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beatmaniaUDX The ANOTHER Story Type.K


9th STAGE 『おでかけ』




対アゼルガット戦、最初の戦いを無事勝利に終えた私たちとEDEN。
私たちは元アゼルガット王国の将軍ルルススちゃんと、ルルススちゃん率いるゼクトバッハSigSigを仲間として迎え入れた。

これに際し、それまで静観していた反アゼルガット組織や、各地方の諸侯たちが蜂起を始める。
今まさに、アゼルガット王国は歴史最大の動乱を迎えようとしていた。

そんな中私たちは何をしているかというと……。



赤いの 「お待たせしましたルルスス様!」
青いの 「きました〜」
黄色いの 「きましたの〜……きゃあっ!?」

ズテン! と黄色い娘が転んじゃう。

ルルスス 「大丈夫?」

黄色いの 「大丈夫です、ルルスス様〜」

ケイ 「ねぇ、思ったんだけどその三人って個別の名前ってないの?」

ルルスス 「え? SigSigはSigSigだし……」

どうやら、無いらしい。
ふむ、あ……そういえばこの三人って左から青黄赤って並ぶとまるで……。

ケイ 「まるで信号機みたい」

青 「しん?」
黄 「ごう〜?」
赤 「き?」

なにそれ、って顔をされたので私は軽く説明すると、本人たちは感心したように納得した。
それにしても名前がないのって不便だよね。

ルルスス 「調度いいわ、ねぇケーが決めてよ」

ケイ 「私が? うーん」

私は名前を考えてみる。
信号機……うん。

ケイ 「禊、金剛、瞬○殺?」

て、どんな豪華なスーパーアーツよ!?
どの技も相手の体力6割は持っていく大技じゃない!?
第一そんな名前にしたらもう、CV西○知道氏になってしまう!

ケイ 「よしシンプルにいこう! 赤はマゼンダ、青はシアン、黄色はイェロゥ!」

エクレメス 「ダメよケー! それはだめ!」

ケイ 「え? なんでですかエクレメスさん!? ていうかいつからいたんですか!」

エクレメス 「ついさっきからよ! ていうかそれはだめなの!」

ケイ 「も〜、どうしてだめなんですか?」

エクレメス 「クロスオーバーでややこしいからよ! ただでさえ同一人物多いんだから!」

ケイ 「……クロスオーバー?」



――第一章第三節 光より遠く、未来より早く!――



エレキ 「ケー、ちょっと司令部に来てくれ〜」

ケイ 「あ、は〜い!」

赤いの 「行ってらっしゃいませ〜大旦那さま〜」

青いの 「それちがうよー! こういう場合は大ご主人様だよ〜!」

黄色いの 「ご主人様のご主人様ぁ?」

後ろから元気(?)に私を送り出してくれる三人を後に私は司令部へと向かう。
最近続々と各地方に散らばった反乱組織の人間が集まっているって聞く。
その関連かな?



セリカ 「あ、ごめんねケーちゃん、突然呼んじゃって」

ケイ 「かまいませんよ」

司令室に向かうとそこにはセリカさんとナイアさん、それ以外に知らない人が多くいた。

男性 「おっ、アンタか! アゼルガットの右腕ルルスス将軍を口説き落としたって奴は!」

ケイ 「え? 口説き落としたって……セリカさん?」

セリカ 「あ、あはは〜♪ あ、ありのまま今起こったことを話すぜ……」

……どうやらいつの間にか私はこの基地を落とすと同時にあの反乱軍にとって恐怖の対象だったルルススちゃんを落とした人だと認識されているらしかった。

男性 「アンタみたいな人と一緒に戦えるなんて光栄だぜ!」

女性 「よろしく頼みますわね、ケイさん」

ケイ 「え? えと……え?」

私はどうしていいか分からずあわてふためいてしまう。
とりあえず〜……。

ケイ 「セリカさん、こっち!」

私はセリカさんの手を引っ張ると部屋の隅に行く。
とりあえず何故こうなったのか説明してもらわないといけない。

ケイ 「ルルススちゃんを仲間に入れたのは本当だけど、どうして私がこの基地を陥落させたってことになっているんですか? この基地は降参で手に入れましたよね?」

セリカ 「あ、あはは〜、ありのまま各組織に伝達したはずなんだけど、どこかでずれたみたい……とにかく頑張ってね、英雄様?」

ケイ 「セリカさーん!?」

……その後分かったことだが、情報が伝播する従い、情報は誇張されて私はアゼルガットの英雄だと広まってしまっていた。
まぁ、たしかにオロロージョさんとかは私のことを救国の英雄だっていうけどさぁ……。
問題はその後なんだよね。

男性 「聞いた話だが、アンタ朱槍を持って一人で敵軍団に突っ込んで1000人を薙ぎ払ったそうじゃないか!」

ケイ 「そ、そんな人間離れしたことできませんよー!?」

男性 「あれ? 違うのか?」

女性 「じゃあ、あれは? なんでもあなたの部下は数名しかいないけれど全員が一騎当千の強者だっていうのは?」

ケイ 「あ……それは間違ってないかも……」

オロロージョさんにエクレメスさん、ルルススちゃん。
皆この世界では正しく一騎当千だろう。
しかし、それを聞くとどぉっ! と更にギャラリーが湧き立つ。

ナイア 「はいはい、今日は皆さんお疲れでしょうしそろそろお休みください、作戦決行にはまだしばらく時間がかかりますから」

突然割って入ったナイアさんによってギャラリーはようやく去っていく。
とりあえずナイアさんに救われた……ふぅ。

ケイ 「信頼してもらえるのはうれしいけど、私は凡人以下なのにぃ〜」

ナイア 「大衆はそうは思ってないわ、特に一番大きかったのはルルススを仲間に入れたことね」

ナイアさんの話によると、ルルススちゃんは元々親に捨てられた孤児で孤児院で過ごしていたらしいけれど、その孤児院も盗賊に襲われて自分以外皆殺しにされたらしい。
自分も殺されそうになった所に現れたのがまさにキラーさんであり、キラーさんに助けられたことによりルルススちゃんはキラーさんに深い恩義を覚えたらしい。
そんな生い立ちのルルススちゃんは、優しい性格をしており、同時に自分の大切な家族を奪った盗賊などの蛮族をひどく嫌い、あくまでも冷徹に始末するようになった。
また民衆に対して惜しみない援助を行い、アゼルガットにありながら、民衆を味方に付けた英雄とも言える存在だったのだ。
その存在があるからこそ反乱軍や諸侯たちは立ち上がることができなかった。
ルルススを倒せば皮肉なことにそれは社会的非難を免れないからだ。
だが、そのルルススちゃんが私たちの仲間、つまり反乱軍側に加わったことで、反乱軍側における悩みが解消されたのだ。

そしてこの私小有珠・慧にとって最大の誤算はそのルルススちゃんが私の評判をそのまま+で加算してしまったということだ。
ルルススちゃんを部下に受け入れた(私としては仲間として同格に扱いたいのだが、本人がオロロージョさんたちの立場を重んじて敢えて下った)ことで、ルルススちゃんの実績は全部私の実績になっちゃったわけ。
正直、ルルススちゃんほど動ける自信は全くと言っていいほどない!
とはいえ、ルルススちゃんと約束した以上、私は絶対にルルススちゃんの期待は裏切れない。

ケイ (改めて王様になるなんて無茶約束しちゃったけど、本当になれそうだから怖いなぁ……)

恐るべしルルススちゃんの存在力。

ケイ 「ふぅ……ちょっと街の巡回に行ってきま〜す」

私はとりあえずルルススちゃんとの約束を守るために、街の巡回に向かう。

セリカ 「あ! 護衛はつけてね! ケーちゃん弱いんだから!」

ケイ 「うぐっ!?」

見事に突き刺さる言葉の刺。
いざ、弱いと言われるとマジでヘコむよねぇ。



…………。



赤いの 「警備〜♪」
青いの 「巡回〜♪」
黄色いの 「警邏〜♪」

ケイ 「……別にルルススちゃんたちは基地でゆっくりしていたらいいのに」

ルルスス 「いえ、私もお手伝いします。街の平和を見て回りたいから」

私が街の巡回に行くと、ルルススちゃんも着いて来ることになった。
私が街の巡回に行くと言った時、ルルススちゃんちょっと嬉しそうだったなぁ。

ケイ 「うーん、でも剣も扱えない私がこんな立派な剣を腰に挿してもいいのかなぁ?」

私が基地を出るときルルススちゃんに光り輝く立派な剣を渡された。
なんでも本人が言うに。

ルルスス 「立派な剣を持っていたら、それだけでゴロツキ等は騎士と思って悪さをできませんから」

とのこと。
たしかに、この時代一般の人はこんな新品同然の剣なんてまず持つことができない。
そういう意味では私は周りから見ればなんちゃって騎士ということだろう。
まずは見た目からということかな?
ちなみについでにいうと。

ルルスス 「もしもそれでも襲われるようなことがあったら素直に剣を差し出してください、そうすれば大抵は命は助けてくれますから」

というわけ、まぁ何にしても命より大事なものはないってことだろう。

ケイ 「それにしても大きな街だねぇ〜」

私たちは基地から一番近い街に着ていた。
今まで見たなかでは首都の次に大きな街であり、その活気は凄まじかった。
と言っても、東京に比べると全然だけど。

ルルスス 「この街はアゼルガットでも大きな街にはいります」

ケイ 「へぇぇ」

ルルスス 「ちなみに主産業は製紙で、上質の紙を生み出してくれます」

ケイ 「へぇ、この街では紙を創る技術があるんだ」

そういえば、この世界に来てから何度か紙って見たけど、この世界では紙は随分普及しているのかな?
私の住んでいた世界だったら紙って中世だとものすごく高価な物だって聞いてたけど。

ルルスス 「でも、大きな街はそれだけ多くの人を呼ぶから、余程警備が強くないと街の安全は守れません……」

ケイ 「そうだよね、私のいた世界でもそうだったもん」

私の居た世界も警察も一杯いるし、警備カメラも多いけど犯罪はなくらないもん。
ううん、ある意味ではこの世界で起きる犯罪とは違うけど、もっと凶悪になったかも。

チンピラ 「おい店主! この店では客に虫をくわせんのかぁ!?」

ケイ 「! なにこの古典的なのは?」

突然近くのラーメン(みたいな物)のお店でクレームを出す大柄の男がいた。
漫画の世界だけかと思っていたけど、案外いるんだねぇ。
それとも異世界では普通なのかなぁ?

ケイ 「うぅ……怖いけど、これもお仕事!」

私は右手に剣を握り締めると、その男に近寄る。
しかし、声をかけようとしたその時、先にある人がその男の前に立った。

男 「おい……アンタ」

チンピラ 「ああん? なんだあんちゃ――ッ!?」

突然だった、クレイモアのような大きな大剣がガラの悪い男の首元にかけられていたのだ。
誰が……というと言うまでもない先に声をかけた男だ。

男 「消えろ」

チンピラ 「し、失礼しましたーっ!」

チンピラは恐れおののき、その場から逃げ出した。
大剣を持った男は剣を背中に背負うと、そのまま麺屋を後にしようとする。

店主 「あ……あの、ありがとうございました」

男 「……」

慌てて出てきた店主はそう言って男の人に礼を言った。
しかし男の人は特に答える様子はない。

店主 「あの……なにかお礼を」

男 「……あいにくだが一文無しだ、払える物がない……」

ケイ 「あ、だったら私が肩代わりしますよ?」

そこへようやく私の出番。
私はにこやかに現れてそう言った。

男 「アンタは?」

ケイ 「私は小有珠・慧です。もう諦めてますけど小有珠・慧ですからね?」

その他 「ッ!?」

突然、皆の視線が私に集まる。
あれ? これはどういうこと?

男 「アンタがあの英雄ケー? こんな小娘だとは……あ、失礼した。俺はエイリ、EDEN独立外部部隊の者だ」

ケイ 「え? あ……エイリさんってEDENの人だったんですか?」

その男のひとはエイリと言うな前の人だった。
オレンジ色の髪をしており、シャギーカットのように短髪、身長もありオロロージョさんとそう変わらない。
大剣を使うところからもすごい力持ちって感じだった。

ルルスス 「あ、私はルルススです……」

エイリ 「ああ……知っている、ていうかアンタは有名人だ、知らない方がおかしい」

ケイ 「へ〜、ルルススちゃんって本当に有名なんだねぇ」

ルルスス 「……」

ルルススちゃんはエイリさんが怖いのか私の後ろに隠れてしまう。
う〜ん、将軍やっていたときのキリッとした顔も良かったけど、こうやってちょっと臆病な妹みたいなルルススちゃんも可愛いなぁ。
もう、これが萌えってやつなのかな!?

エイリ 「で、奢ってくれるってのは……?」

ケイ 「少しだったら持ち合わせありますし、店長さんもお礼って言っていますし食べていったらどうですか?」

エイリ 「……」

エイリさんはなんとか納得したのかそのままテーブル席にドカッと座った。
私も少しお小遣いを貰っているので、少しくらいなら大丈夫だ。
まぁ、普通お礼でっていうんだから、払わせるとは思わないんだけどね。

エイリ 「店主、コーヒーはあるか?」

店主 「コーヒーですか? す、すぐお持ちします!」

店主はそう言うと慌てて厨房の方へと戻っていく。
私はその向かい側に座ると、ルルススちゃんも座るように勧める。

ケー 「ちょっと休みなよ、ルルススちゃん」

ルルスス 「あ、いえ、結構です」

ルルススちゃんはそう言って座らない。
よく見るとルルススちゃんは後ろのSigSigっ娘を気にしているようだった。
私はそれを見るとピコンと思いつく。

ケイ 「ルルススちゃん、こっちこっち」

ルルスス 「?」

私はルルススちゃんを手招きする。
ルルススちゃんは不思議そうな顔をしていたけど、側まで来るとガバッと襲いかかるようにルルススちゃんを捕まえて私の腰に座らせる。

ケイ 「ほら、SigSigちゃん達もお座り♪」

赤いの 「は〜い♪」
青いの 「座るの〜♪」
黄色い 「座る〜♪」

そう言うと彼女たち、何を勘違いしたのかルルススちゃんの上に重なるように座っていく。
ていうか……お、重い!

ケイ 「あ、あのさ……左右空いているんだから、そこに座らないの?」

私はあまりに重いので苦笑いをしながらそう聞いた。
すると三人は。

赤いの 「え〜? あたしも大ご主人様の上に座りたいの〜!」
青いの 「たいの〜!」
黄色い 「座りたい〜」

と、三人とも私の上に座りたいと言うのだった。
そう言えばこの三人、個体としては全部同じSigSigだからみんな同じ行動取っちゃうのか。

ケイ 「じゃ、じゃあ仕方がないね……ルルススちゃんは重くない?」

ルルスス 「少し……重いです」

やっぱり重いんだ、私はそんなルルススちゃんも一緒だから更に重いです。
さて、そんな様子を見ていたエイリさんは呆然としている。
なんというか、驚いているというか呆れているというか。

エイリ 「ますます分からねぇ……アンタ一体なんなんだ?」

ケイ 「ほえ? なんなんだと言われても私は私ですし……」

ルルスス 「……」

赤いの 「大ご主人様はとっても強いんだぞ〜!」
青いの 「とっても優しいの〜!」
黄色の 「とってもドジなの〜」

ケイ 「SigSig黄色ちゃん、それ褒めてないから」

エイリ 「……」

エイリさんは何か興味深そうにこちらを見てはいるが、やはり分からないという表情。
うーん、ちょっと前までは確かに私もただの女の子だったし、そもそも違う世界から来ちゃったんだから不思議なのは仕方がないのかな?

店主 「お待ちしました、コーヒーです」

エイリ 「……うむ」

明らかに店に並んでいなかったろうなというのに、粗末なコップにコーヒーが入れられて運んでくる。
私の時代のコーヒーに比べると明らかにアレだけど、エイリさんは満足そうにそれを飲んでいる。

ケイ 「エイリさんは今までどうしていたんですか?」

私は気になってこれまでエイリさんが何をしていたのか聞いてみる。
私はずっとEDEN本隊にいたから、別働隊ってなにをしているのか知らない。
そもそも別働隊がいた事自体、サイレンさんたちの時に初めて知ったし。

エイリ 「む……? そうだな……俺はEDENの独立部隊の所属だ……EDENのための行動ならば特に制限をされていない」

ケイ 「そういえば最初に言ってましたね」

独立部隊ってなんか格好良いイメージあるよね、あれってアニメとかのせいかな?
とにかくエイリさんの言葉は続く。

エイリ 「俺は単身でノイグラードとの国境付近の警備や、対抗組織への牽制を行っていた」

ルルスス 「ノイグラード王国……アゼルガットにまた争いを持ち込む気なんですか?」

エイリ 「いや、今のところ動きはない……だが、あそこは実質アギオナの独裁政権だからな……何をしでかすかわからん」

ルルスス 「4年前の時はキラー様の力で退けられたけど……」

ケイ 「あの〜? 全然分からないんですけど?」

二人はノイグラードとかいう国のことを話しているみたいだけど、私は昔名前だけは聞いたことあるかな程度でありちんぷんかんぷんだった。

ルルスス 「あ、ごめんんあさい。ノイグラードとはこの国から東方にあり、このアリア・テ・ラリアの実質すべてを握る大国です」
ルルスス 「元は男子を王とする国でしたが、いつからか国家女王制により現在はマタン・カトルセが現ノイグラード王国の女王に就いています」
ルルスス 「しかし実質は執政機関アギオナに全権を握られ、ノイグラードは実質傀儡政権と思うべきでしょう」

ケイ 「ごめんなさいルルスス先生、全然わかりません。というか詳し過ぎて逆にわかりません、多分読者もついていけません……」

赤いの 「大ご主人様は馬鹿なの〜」
青いの 「阿呆なの〜」
黄色の 「だからお前はアホなのだぁ〜」

ケイ 「はふぅ……やっぱりそうなのかなぁ? 私って馬鹿なのかなぁ?」

私はおもいっきりへこんでしまう。
と、とにかくノイグラードとかいう国があるっていうことはわかった!
今はこれだけでいいよね!? ここアゼルガットなんだから、必要ないよね!?

ケイ 「あ、そういえば対抗組織への牽制とかも言ってましたよね? 対抗勢力というのは?」

エイリ 「こいつに関しては実質一つだな、ある意味ではEDENがアゼルガット以上に重要視している……DoLLという組織だ」

DoLLという組織は?
そう言えばわずかに聞いたことはあるけれど、詳しい話は聞いたことがない。

ケイ 「DoLLとは?」

エイリ 「悪いがDoLLについては対して喋れん、EDENにおける機密事項が大量に含まれているからな」

ケイ 「はぁ……」

機密事項……それはかとなくデンジャーな言葉だね。
アニメとかだと知ると殺されるんだよね?
うん、大丈夫、死亡フラグ回避の方法は知っているもん。

ルルスス 「ケー、そろそろ巡回に戻りましょう」

ケイ 「あ、そうだね……と言うわけで下りてくれる?」

私はプレーメンの音楽隊状態になっているのでまず三人娘を下ろす。
三人はそれを聞くと素直に上から順番に降りていき、最後にルルススちゃんが降りてようやく開放される。
ふぅ〜……重かった。

ケイ 「あ〜、これが重力に惹かれるということなのかぁ〜」

ゆっくりと椅子から立つとまだまだフラフラする。
思わず意味不明な台詞を言ってしまう。

ケイ 「あ、コーヒー代、これで足りますか?」

エイリ 「ああ、足りるだろう」

私は硬貨を一応数枚机に置いておく。
後は軽くその場でストレッチをすると、ルルススちゃんたちと一緒外に出るのだった。



…………。



ケイ 「――ふぅ、あれからは大体平和だったねぇ」

私たちはエイリさんと分かれると、街の様子を見ながら巡回を続けていた。
特に街中では問題は起きておらず、平和であった。
むしろ王国側から理不尽な徴収があっただけに、それがなくなったことでお祭り騒ぎだ。
まぁ、私たちがこようがこまいが元々ルルススちゃんが立件するためにやってきたしね。

ケイ 「ルルススちゃんって偉いよね〜、私と違ってしっかりしているもんね〜」

ルルスス 「私なんて大したことはありません」

謙遜しないところがなんというか素晴らしいよね。
ルルススちゃん、やっぱり大人だよねぇ。

ケイ 「それじゃ、そろそろ戻ろうか?」

ルルスス 「はい」

私たちは夕暮れになると、基地の方へと帰るのだった。



…………。



オロロージョ 「……ん〜、あ」

エクレメス 「なにやっているのオロロージョ?」

夕暮れから夜へと進む中、基地のテラスでオロロージョは空を見上げた。
今日は比較的空も澄み渡り、もしかしたら星が見えるかもしれないと思ったからだ。

オロロージョ 「見ろよエクレメス、一番星だ」

エクレメス 「あら、本当。今日は比較的晴れていたものね」

晴れることの少ないアゼルガット王国では、夜に星が見れるのはとても縁起のいいことだ。
オロロージョは思った。
ケーと出会ってオロロージョは3回星を眺めた。
それはどれもオロロージョにとっては吉日となるものだった。
今回の三回目……これも吉日になるのだろうか?
オロロージョに確信はなかった、ただ彼には信じることはできた。
ケーとの出会いを、自分の成すべきことを。

エクレメス 「あ、ケーが帰ってきたみたいよ」

オロロージョ 「本当だ、すぐに迎に行ってくる!」

オロロージョはそう言うと、すぐさま基地へと帰ってくるケーとルルススを迎えに向かった。
エクレメスはというと、そんな慌てて迎えに行くオロロージョを眺めながら。

エクレメス 「別に急がなくたってケーは逃げないわよ……まったく」

エクレメスはテラスの柵にもたれかかると考えた。
オロロージョとエクレメスはとある小さな村で産まれた。
歳はオロロージョの方がひとつ上だが年齢を気にしたことはない。
ずっと、兄妹のように過ごしていたし離れるなんて考えたこともなかった。
オロロージョの性格は良く理解しているし、困ったことは無かった。
でも、今ひっそりとエクレメスは困っていた。

エクレメス (私にとってケーってなんなんだろう)

最初エクレメスにとってケーとはドジで頼りなくて、おどおどしていて正直役立たずだった。
でも、悪い娘じゃなかったし、どこか妹分のように思えていた。
確かに彼女は役立たずだけど邪魔ではなかった。
それでも彼女への思いを決定的に変えたのはキラーとの戦いの後だろう。
エクレメスは初めて彼女ケーは本当は芯が強くて、優しく人望のある人間だと知った。
明らかに個人で生きてきた自分にはなかった物だった。
エクレメスには誰にも真似できない才能がある、でもケーにはなにもない。
だからこそ、エクレメスはケーを支えることにしたのだ。

その事には何も気にしたことはない。
ケーにはオロロージョや自分にはない、王としての器があると感じたのだから、然るべき相手に仕えているだけだ。
自分には王佐の才がある、その力は使うべき相手のために使いたい。

でも、本当はオロロージョのために使いたかった。
オロロージョは心底ケーを信望している。
まさに敬謙たるケーの騎士であろう。
それが、少しだけじれったい。、

ケーが来てからオロロージョと二人っきりでいる時間はずっと減った。
オロロージョがケーにつきっきりだからだ。
オロロージョとの距離が離れたのを感じたとき、彼女は初めて困った。

エクレメス 「……馬鹿馬鹿しい、私ったらケーじゃあるまいし、何ネガティブに考えているんだか」

エクレメスはそう言うと静かにオロロージョを追いかけた。



…………。



セリカ 「エイリ、任務ご苦労様」

エイリ 「いえ」

エレキ 「いや、しかしエイリが帰ってきてくれたのはありがたい、エース級の剣士がウチは少ないからな」

エイリ 「任務報告書は後日提出します」

セリカ 「ええ、今日はゆっくり休んで」

――アゼルガット動乱の時代……それはこのアリア・テ・ラリアの世界でも最も安定しなかった時代かもしれない。
アゼルガットは隣国ノイグラードの圧力に怯え、内部は内部でキラーに怯える。
だが良きにしろ、悪しきにしろ歴史は確かに動いている。
そしてそれはどんな……結末を迎えるというのか?




…To be continued




 
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