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beatmaniaUDX The ANOTHER Story


11th STAGE 『一日の休息』

リュウ 「………」

俺は家の居間でくつろいでいた。
この銀河、この星(地球と言う)に来て1週間。
俺たちはそれぞれ優里たち3人の仕事を手伝ったりしながら、燃料と食料を買う為に働き続けた。
その結果、燃料も十分に補給でき、EARTH LIGHTは再び飛び立つことができるようになった。

セリカ 「明日には出発だね…」

セリカが俺の側でそう語りかける。

リュウ 「…ああ」

俺は特に関心もなくそう言った。

セリカ 「…リュウは寂しくないの?」

俺はセリカの方を向いて表情を見る。
…何故か、悲しそうに見えた。

リュウ 「…よくわからん、記憶がないせいかもな」

セリカ 「…そう」

セリカは小さくそう答えて、その場を去る。

………。

リュウ (寂しい…か)

あるいはエリカやセリカと離れるのなら、そう言う感情もあったのかもしれない。


………。
……。
…。


そして昼時。

優里 「明日には行ってしまうんですね…」

優里は昼食の片づけをしながら、名残惜しそうにそう言った。

ナイア 「仕方ないわ…ここは居心地がよすぎるわ。私たちは戦争をしてるから」

ツガル 「…でも、本当に感謝してます。私たちを信じてくださって」

ツガルがぺこりと頭を下げる。

美夏 「いいのよ、これも何かの縁だったと思うし」

彩香音 「あたしはちょっと残念…もっと一緒にいられたらなぁ」

彩香音は明るく振舞ってはいたが、内心は複雑なのだろう。

彩香音 「そうだ、どうせなら街に繰り出してぱあ〜っとやろうよ!」

彩香音は両手を上げ、そう表現する。

美夏 「そうね…折角最後なんだし」

優里 「もちろん、皆さんが良ければですけど…」

ナイア 「私は別に構わないわよ…作業は終わってるから、後は食料と燃料を積むだけで飛べるし」

セリカ 「うん、私も賛成」

リリス 「…異論はありません」

トラン 「私も同じです」

エリカ 「いいんじゃないの?」

ダルマ 「俺は賛成!」

ツガル 「私もっ」

全員、やる気のようだ。

優里 「リュウさんは…? こういうのは嫌ですか?」

リュウ 「……わからん、だがやりたいのなら異論はない」

俺はそれだけ言った。
そして、すぐに俺たちは街に降りることになった。



………。
……。
…。



無論、途中レース勝負になったことは言うまでもない…。

セリカ 「…何でこうなるの?」

彩香音 「…性分なのよ」

エリカ 「彩香音はこの性格だからわかるけど、他のふたりも何で『レース』となると積極的なの!?」

美夏 「趣味だから♪」

優里 「楽しいでしょう?」

セリカ 「わ、私はもうパス…」

エリカ 「…ふぅ、これから楽しむのに疲れてどうするのよ」

リュウ 「…大丈夫か?」

俺はぐったりしているダルマとツガルを介抱する。

ダルマ 「全然大丈夫じゃない…」

ツガル 「死ぬかと思いました…」(涙)

リュウ 「…リリスとトランは?」

リリス 「……」

トラン 「………」
クロロ 「みぃ」

このふたり(+一匹)は問題がないようだ…。

ナイア 「結構面白いわね…今度私もやろうかしら?」

優里 「それはいいですね、その時が楽しみです♪」

これはこれで盛り上がったようだ。

エリカ 「でも、これから何するの?」

彩香音 「ゲーセンにでも行こうよ、この人数なら長く遊べるし」

美夏 「そうね、いいかも」

優里 「じゃ、そうしましょうか」

セリカ 「ゲーセンって?」

セリカが疑問を投げかける。

彩香音 「ゲームセンターのことよ、知らない?」

セリカ 「ごめんなさい…ちょっと」

美夏 「そっちにはそういう施設がないのね」

ナイア 「ゲーム自体はあるけどね、それ専門の施設は残念ながらないわね」

エリカ 「とりあえず、行こうよ?」

エリカの言葉を機に、俺たちはゲーセンとやらに向かった。


………。


ザワザワ…。

リュウ 「………」

そこは騒がしい空間だった。
人はそこまでいるわけではなかったが、音が凄い。
何やら、爆発音のような物まで聞こえてくる。

トラン 「…? 動物厳禁」

クロロ 「にゃあ…」

彩香音 「さぁ、何しようか?」

ナイア 「…一応言うけど、私たちここのお金はないわよ?」

ナイアが、この状況で冷静かつ切実な問題をあげる。

優里 「安心してください、今日は私たちのオゴリで遊びましょう。いいわよね?」

彩香音 「もちろん!」

美夏 「当然よ」

3人はそう言って、それぞれの金を俺たちに分配した。

リュウ 「トラン…?」

何やら、トランが入り口の側で止まっている。

セリカ 「どうしたの?」

トラン 「…動物厳禁」
クロロ 「にゃあ」

美夏 「あ…クロロはダメね。中はちょっとまずいかも」

トラン 「……」

トランが固まる。クロロと離れるのは辛いらしい。

クロロ 「みぃ」

トラン 「きゃ」

突然クロロがトランのリュックに入る。
そのまま暴れることもなく、静かになった。

トラン 「クロロ…」

リュウ 「………」

あの猫は人の感情を読めるのか?

トラン 「…行きましょう」

美夏 「でも、いいのかな?」

トラン 「大丈夫です、クロロは気を利かせてくれましたから」

リュウ 「……」

わかるんだな。
こうして、それぞれ分かれて遊ぶこととなった。


………。



セリカ 「何これ?」

私はやたらと四角いマス(?)が並んでいるゲームを見ながら言う。

美夏 「それは…麻雀よ、ってわかるわけないか」

セリカ 「…何をするの?」

美夏 「えっと、まぁ実際のは賭博の一種なんだけどね、難しいから他のにしましょう」

セリカ 「あ、うん…」

リリス 「……?」

美夏 「どうしたの? 何か見つけた?」

リリス 「…○、×」

美夏 「ああ、クイズゲームね…これは意味がわからないだろうから止めた方がいいわ」

セリカ 「クイズ…成る程」

私は納得した。
確かに、この星に関するクイズなんか出されても解けるはずがない。



彩香音 「エリカはこれなんかどう?」

エリカ 「?」

私は彩香音に勧められたゲームを見る。
どうやら闘うゲームのようで、画面では人間(?)がふたり闘っていた。

彩香音 「格闘ゲームよ、ルールわね…」

………。

エリカ 「大体わかったわ…要は倒せばいいのね」

私はそう言って椅子に座り、コイン投入。

彩香音 「って、いきなり対戦するつもり!?」

エリカ 「え? それがルールでしょ?」

彩香音 「ああ、いや、そういう意味じゃなくて…まぁいいか」

エリカ 「?」

彩香音は何かを言いかけたが、いい留まる。
私はとりあえずスタートボタンを押した。
すると、画面が切り替わり、キャラ選択画面(というらしい)に変わる。
私はまずレバーと言う物を回してみる。
すると、カーソルが動き、別のキャラに切り替わっていく。

エリカ 「成る程…」

適当に見ていると、いつのまにか勝手にキャラが決まる。

エリカ 「あれ?」

彩香音 「言い忘れたけど…時間切れがあるから」

エリカ 「そういうことは先に言って…」

気が付くと、やたらと筋肉隆々のごついオッサンになっていた。
これだけ大きいなら強いでしょう。

彩香音 「………」

しばらくすると、画面が切り替わり、先ほどの対戦画面になる。
画面中央に『ROUND 1』と現れ、『FIGHT!』の文字が出る。
その瞬間、殴られていた…。

ドカバキゴスッ!!

エリカ 「は?」

彩香音 「………」

中央に『YOU LOSE』の文字が現れる。
負けたらしい。

エリカ 「何こいつ? えらく動き遅いわね」

彩香音 「そういうキャラなのよ! そのキャラは投げが強いの、近づかないと! 必殺技を使うのよ」

エリカ 「ああ、何かレバー一回転のあれね」

私は気を取り直して、次のラウンドへ。



………。


エリカ 「何で相手はずっとしゃがんでたの?」

結局ほとんど何も出来ないまま負けてしまった。
せいぜい開始直後の必殺投げが決まったぐらい。

彩香音 「……知らない方がいいわ」

彩香音はため息をついて、別のゲームに向かうことにした。

ダルマ 「…何か色々あるなぁ」

ツガル 「うん、これは…?」

優里 「それは音楽ゲームよ、音楽に合わせて足を踏むの」

ツガル 「足を…?」

優里 「そう、足元のボタンを踏むの。画面にも説明が出てるわ」

見ると、確かに親切に画面が説明してくれていた。

ダルマ 「こりゃわかりやすい…」

優里 「一緒にやってみたら? ふたりでできるのよ」

優里さんにそう勧められ、折角だからやってみることにする。

コインをふたつ投入後、ボタンをふたつ押す。
すると、画面が切り替わり、注意事項が述べられた。
成る程…周りに注意ね。

ダルマ 「うん? モードセレクト…ああ、成る程」

俺は画面のナビを見ながら、画面を進めていく。
すると、曲選択画面になった。

ツガル 「うわぁ…一杯ある」

ダルマ 「何にしたらいいんだろうか? ランダムセレクト…めんどいからこれでいいか」

俺はRANDOMと書いてある場所にカーソルを合わせて決定ボタンを押す。
すると、とりあえず何かの曲が流れ始め、ゲームは開始した。

ダルマ 「よっ、ほっ…あら?」

ツガル 「えい、っと…!」

これは思いのほか難しかった。
だが、楽しめるゲームだということは容易にわかった。

優里 「ふふ…楽しそうね」



リュウ 「……」

トラン 「……」

ナイア 「何、しようかしら?」

とりあえず俺たちは色々回ってみた。
よくわからない物が多すぎて、どうにもならなかった。

ナイア 「あ、これならいけるんじゃない?」

ナイアが見つけたものは、下から上に画面がスクロールしており、何やら戦闘機が戦闘機を打ち落とすようなゲームだった。

リュウ 「シュミレータのようなものか…」

ナイア 「そうね、レバーで移動、ボタンでショット。簡単ね」

リュウ 「ふむ」

ナイア 「ふむ、じゃないわよ…リュウがやらなきゃ」

リュウ 「……」

何故俺かはわからなかったが、しょうがなく俺はコインを投入しスタートボタンを押す。
すると、後は勝手に始まり、敵機が襲ってきた。

リュウ 「これが敵弾か…かわせない物ではない」

ナイア 「いや、かわせなかったらゲームにならないわよ」

トラン 「リュウさん、自分も打たないと」

リュウ 「無駄弾を撃つこともあるまい…」

俺はそう言って、画面の敵機と敵弾を全て避けてみせる。

ナイア 「…弾は無限だから大丈夫よ」

リュウ 「そうなのか? だがいたずらに落とす必要もないだろう」

俺はそう言って、結局すべて避けきった。

トラン 「リュウさん、優しいんですね」

ナイア 「…ここまでスコアが全く0、ある意味凄いわね…でもボスが来たわよ?」

リュウ 「む」

見ると、やたらと巨大な戦艦が襲ってきていた。
弾の数がかなり多く、とても避けきれる物ではない。
だが、俺は機体を何とか動かしてみる。

リュウ (やられたか!?)

俺は一瞬そう思ったが、何故か敵弾は自機をすり抜けた。

リュウ 「……?」

ナイア 「成る程、要するに自機の中心、コクピットに当たらなければ無事ってことね」

ナイアが素早くそう解析する。

リュウ 「成る程、それならば問題ない全てさばける」

ナイア 「だから、弾打ちなさいよ…」

リュウ 「問題ない」

俺は結局ボスが逃げるまで回避を成功させた。

トラン 「リュウさん優しいです…」

ナイア 「…結局ステージ1でスコア0。ある意味化物ね」



………。
……。
…。



それから数時間、俺たちは遊び尽くしていた。


セリカ 「リュウ凄いよね…結局、最終ステージまで避けきっちゃった」

リュウ 「あの程度なら、問題はない」

彩香音 「どういう神経してるのよ…スコア0で全クリって」

どうも俺のプレイは珍しい物らしく、周りにギャラリーが詰め掛けていた。クリア後、全員から拍手される程だった。

ナイア 「意味のないシューティングね…回避訓練のゲームじゃないのよ?」

トラン 「リュウさんらしいです…」

彩香音 「エリカなんて、結局ひたすら闘ってもんね…いつのまにか連勝してるし」

エリカ 「コツ掴んだら簡単だったわよ? もっとも人まねみたいな物だけど」

美夏 「やっぱり優里速いわね〜、全く追いつけなかったわ」

優里 「練習量が違うわよ」

美夏と優里はここでもレースに熱中していた。

ダルマ 「俺たちも結局あればっかだったし…」

ツガル 「でも面白いよね〜、何回やってても飽きないし」

ダルマとツガルは音楽ダンスに夢中のようだった。

セリカ 「うん? そう言えばエリカ、あれやらないと!」

エリカ 「あれって何よ…?」

突然セリカが何かを思い出したようにエリカにゲームを勧める。
それは、何やらサンドバックのような物が…。

エリカ 「…蹴るの? この高さはちょっと…視線が」

エリカは下半身を気にしているようだ、女だから当然だろう。

セリカ 「別に手でもいいと思うけど…」

彩香音 「パンチマシンね…エリカなら相当行くんじゃない?」

彩香音は期待の眼差しをエリカに送る。

エリカ 「…まぁいいか」

エリカはコインを投入し、スタートする。
するとまず、グローブをはめろという警告が流れた。

エリカ 「はいはいと…これね」

次に、パンチの正しい打ち方が流れていた。

エリカ 「何々…脇を締め、拳は目の高さに…」
エリカ 「強く踏み込むと同時に腰を内側に入れ、拳を捻りこむようににして、打つ!!」

ビュオッ!!

素振りをしたエリカの拳が凄まじい風切り音を上げる。
隣にいたセリカの髪が舞い上がるほどだった。
その瞬間、何かギャラリーが集まる。

ザワザワ…

ナイア 「本当に凄いの打ちそうね…」

ダルマ 「これって平均どのくらい?」

彩香音 「そうね…男で150〜160じゃないかしら?」

ダルマ 「男でね…」

全員が緊張し、その場のエリカを注目する。

エリカ 「えっと、相手を選択…? なんか知らないけど折角だから1番強いのを…」

エリカは無謀なのか余裕なのか、1番強い設定の相手を選ぶ。
すると画面は切り替わり、相手の顔が表示され、『READY GO!!』の文字が現れた。
次の瞬間。

エリカ 「ふっ!!」

ズドムッ!!!

凄まじい音と供にサンドバック(のような物)が倒れる。
衝撃で筐体が後ろに揺れるほどだった。

セリカ 「な、何点!?」

その場に全員が注目する、記録は…。
『324kg』

エリカ 「…後2回で合計900超えればいいのね、楽勝じゃない」

エリカは余裕を見せその後も記録を叩き出した…。
女性では最高記録らしい…。

セリカ 「馬鹿力…」

エリカ 「うるさいっ、やらせたのはセリカでしょうが!」

結局、俺もやらされたが、エリカには到底及ばなかった。
セリカに至っては一発100にすら到達しなかった。

セリカ 「私はか弱いのよ!」

エリカ 「…はいはい、せいぜい良い子ぶってなさい」

エリカは特に気にした風もなく引き下がる。



………。
……。
…。



そして、地球での最後の夜が、終わりを告げた。



ナイア 「今まで、本当にありがとう…」

エリカ 「ありがとっ」

セリカ 「ありがとうございます」

リリス 「………」ぺこり

トラン 「…ありがとうございます」
クロロ 「にゃあ」

ダルマ 「お世話になりました!」

ツガル 「本当に、感謝しています…」

リュウ 「…世話になった」

俺たちは全員それぞれ感謝の意を述べる。

優里 「…また来ることがあったらいつでも来てください。私たちはいつでもあなた達を歓迎します」

美夏 「どうかお元気で、皆さんの武運を祈っていますっ」

彩香音 「絶対死んじゃダメよ!? …また来てくれるの楽しみにしてるから!!」

3人はそう答えて、俺たちを見送ってくれる。
俺たちは艦に乗り込み、発進準備をする。

キュゥゥゥゥン…

エネルギーが充填され、艦が浮上を始める。

トラン 『EARTH LIGHT…これより発進します。全員大気圏離脱に備えてください』

ギュアアアアアアアアアァァァァァッ!! ゴゥンッ!!!



そして、光と共にEARTH LIGHTは地球を後にした。

優里 「…どうかお達者で」

美夏 「本当に、宇宙人だったんだね」

彩香音 「私も、本当は行きたかったかな…折角気の合う友人が増えたのに」

優里 「遠い宇宙では戦争が起こってるの…誰かがそれを止めなければ。そして…彼女達には、その力があるの」

美夏 「うん…私たちは信じることしか出来ないけど」

彩香音 「また、きっと会えるさ!」


私たちは見送った。
その光が、消えるまで…。

…To be continued

ANOTHER


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