Menu
BackNext




beatmaniaUDX The ANOTHER Story substream


5th STAGE 『Infinite Player』




『惑星5.8.8. SCREAM SQUAD・暫定基地』


ナイア 「……」

ガガガッ!! チュンチュンッ!!

私は、作業をあらかた終え、たったひとつ、調整の残った最後の機体を見ていた。
以前の細い人型のベースは変わらない…しかし、大きな違いがある。

ジルチ 「ようやく、出来上がるな…新生ACTか?」

孔雀 「まぁ、機体ベースは何もいじっちゃいないんだから…そのままACTでもいいだろ」

そう、今私たちの目の前にあるのが、ACT。
アクティの専用機で、換装型の機体。

アクティ 「わ〜! 何か凄い装備になってるー!」

士朗 「ほう…これがACTか」

クール 「すっごいなぁ…肩におっきなレーザーキャノンが着いてますよ!」

第3小隊のメンバーが、新しいACTを見に来ていた。
まぁ、さすがに気になるでしょうしね。

ナイア 「この換装は遠距離支援・狙撃型の『HIGH』よ」

士朗 「支援・狙撃型か…なるほど、ACTの機動力に加え、これだけの武装を持てば、相当な戦力になるだろうな」
士朗 「だが、この装備だと重量が重過ぎるんじゃないのか?」

最もな意見を言われる。
そりゃ、単純に考えても、ACTのあのサイズにこの重武装は無茶その物。
しかしながら、それを簡単に覆せる機能がこの機体にはある。

ナイア 「この換装は、元々ACTに対応させるように造られた換装よ」
ナイア 「そんな致命的欠点は、設計の段階で解消されているわ」
ナイア 「…理由は単純、アクティ専用機だからよ」

アクティ 「私…専用」

士朗 「それはわかる…が、アクティが乗ることでどうやって現実的な重量過多が消えると言うんだ?」

ナイア 「システムの関係よ…ACTには元々重量を緩和する機能がついてたの」
ナイア 「もっとも、これは換装を施さないと使用できない機能で、私もついさっき知ったばかり」
ナイア 「Vのメカニックは、アクティの能力で対応できるように無茶なシステムを初めから設計していた」
ナイア 「だから、この無茶な装備が成り立つのよ…」

私は元の重量から5倍以上の重量に跳ね上がったACTを見る。
この装備だと、普通に立っていることさえできないだろう。
だからACTには専用の支えがいる。
アクティが起動させた時点で重力緩和装置が働き、増えた分の重量が9割消える計算だ。
整備がとにかく面倒だけど、それだけのスペックをこの機体は持っている。
これからの戦いを考えれば、心強いはずだわ。

アクティ 「あの…もう動かせるんですか?」

ナイア 「ん…そうね、『HIGH』だけなら」
ナイア 「近距離強襲・白兵型の『LOW』はまだ時間がかかるし、先に試しても構わないわ」

私がそう言うと、アクティは嬉しそうに乗り込む。
思えば、アクティは人型に乗って戦うことに恐怖は感じないのだろうか?
アクティは、誰が見ても優しく、気のいい少女に思える。
だけど、裏を返せば無邪気すぎて、相手を倒すこともいとわないのでは?と思う時がある。
今まで、ACTには武器がなかったから、考えもしなかったけど…アクティに敵が撃てるのだろうか?

ナイア (それも…すぐにわかる、か)
ナイア 「クール、あなたの機体も仕上がってるわ、一緒に出て演習をして頂戴」

クール 「あ、はい!」

士朗 「クールの機体か…どんな機体だ?」

ナイア 「機体名は『Blame』、主に偵察・策敵がメインの可変型よ」

私はそう言って、やや端っこの方で整備されている『Blame』を見た。
装備は割と軽量で、変形を前提にしている。
武装は極力省き、頭部バルカンとレーザーナイフ位しかない。、
直接戦闘ではほとんど活躍できないけれど、背中に内蔵されているレーダーが本命。
era以上の策敵範囲を有し、相手のシステムをジャミングすることもできる。
加えて、相手のレーダーを撹乱するデコイも多数内蔵されており、小隊と言う編成に置いては十分な役割を持つはず。

士朗 「…なるほどな、でxenonはどうなんだ?」

ナイア 「調整はもう少しかかるわ…他の作業もあるし」
ナイア 「専用のAIBは完成してるんだけど、ちょっとだけ問題もあってね」

士朗 「問題?」

ナイア 「…拒絶反応があるのよ、何故かしらね」

そう、AIBがxenonに拒否されたのだ。
設計上、問題ないはずなのに、いざ積み込んだらシステムが全く反応しない。
さすがにこれは私も参った…対策が全く出ない。
しかしながら、私はある予測を立てていた。

ナイア 「ここからは私の感なんだけど…」

士朗 「……」

ナイア 「xenonって、初めからAIBを積んでるんじゃない?」
ナイア 「DoLLの姉妹機なら、当然よね?」

士朗 「…わからん。俺には機体のことは詳しく話されなかったからな」
士朗 「だが、DoLLにAIBがあったのなら、xenonにもある可能性は否定できないだろう」
士朗 「スペック上は、全く同じはずだからな…」

士朗はそう言って、今だ放置状態のxenonを見た。
動かすだけなら問題ない、でもこのままだと私のプライドが出撃を許さなかった。

ナイア 「うしっ! なら分解するわ!」
ナイア 「DoLLは一度覗いてるるし、xenonも場所が違うだけで、AIBは絶対あると予想するわ!」
ナイア 「士朗、悪いけどアクティとクールの演習をお願い!」

士朗 「あ、ああ…」

私はそう告げてxenonに向かう。
何が何でも、謎を暴いてやるんだから!



………。



『惑星5.8.8. 演習用荒野』


アクティ 「わぁ…凄い」

私は新しくなったACTを動かして感動する。
重くなっているはずなのに、まるでそれを感じない。
今までと同じ感覚で操れる…それが凄く思えた。
私には特殊な力がある…と言われても、私にはそれを自分で理解することはできなかった。
でも、今は実感としてそれがわかる…私はこの機体を特殊な力で動かしてる。

士朗 『アクティ、試運転はそれ位だ…次は武装のチェックに移るぞ』

アクティ 「あ、うんっ!」

私は士朗ちゃんの指示に従い、武装をチェックする。
私のモニターにホログラムの敵機が写り、私はそれをロックする。

アクティ 「えっと…これでロックだから!」

ドギュアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァッ!!!!

私は右肩のレーザーキャノンを撃つ。
物凄い威力で、正面に固まっていた敵機は全て消えてしまった。
射程距離も凄い、下手に撃ったら危ないかもしれない。

クール 『凄い威力ですね、射程はざっと5kmって所ですね!』
クール 『ただ、エネルギーの残量がかなり減ってます、フルパワーで撃つと2発が限界ですね』

士朗 『よし、アクティ次だ』

アクティ 「了解であります!」

私は、通信モニターに向かって笑顔で敬礼する。
クール君は笑ってくれたけど、士朗ちゃんは複雑そうだった。

アクティ (守るんだ、私が士朗ちゃんを! もう、守られてばかりじゃない!)



………。



『SS暫定基地・会議室』


ガルマン 「これが、ACTのスペックです」

リュウ 「…なるほどな、遠距離型と近距離型か」

クール 「ええ、まずは遠距離型の『HIGH』が完成、『LOW』もすぐに上がると思います」
クール 「実際に見てみましたけど、凄いスペックですね…普通の支援機体じゃないですよあれは」

ガルマン 「…特機だからな、アクティ専用の」
ガルマン 「元々、V内部では、そう言った強化人間や改造人間の企画はあった」
ガルマン 「非人道的な行為から、オシリス大佐とホルス少佐に睨まれて、結局完成体はアクティのみ…」
ガルマン 「本来なら、大量生産される予定だったと言われている…」

ガルマンは痛みに耐えるように言う。
実際、聞いているだけでも気分が悪くなる。
人の体を弄ぶように、強化、改造を施す…許されざる行為だろう。

リュウ 「…ハルも犠牲者だった」

ガルマン 「…ハルザリック中尉ですか。そう言えば、リュウさんの友人だったのでしたね」

俺は無言で頷く。
忘れもしない…あの痛み。
俺は自らの腕で、打ち貫いたハルの最後を思い出す。
狂っていた…あいつも強化手術で。
アクティも、ああなるのかと思うと恐怖が走る。

クール 「…とりあえず、アクティさんのことは士朗さんに任せましょう」
クール 「僕の方でもサポートはしますし、無理させませんよ」

リュウ 「ああ、よろしく頼む」

ガルマン 「…リュウさん、このニュースは目を通しましたか?」

ガルマンは俺にひとつの新聞記事を見せる。
その記事の端の方に、小さく写っている写真を見て、俺は頷く。

リュウ 「…あれで生きていたとは思えん、だが」

ガルマン 「生きているのなら…間違いなく」

リュウ (俺のところに来るだろうな…ホルス!)

俺は、妙な胸騒ぎを覚え、格納庫に向かった。



………。



リュウ 「………」

ナイア 『リュウ君…Auroraはまだ武装が完全じゃないわ』
ナイア 『一応、ライフルとブレードは装備しているけど、それだけ』
ナイア 『実際の戦闘でどこまでやれるかはわからないから、リュウ君も今の内に体で覚えておいてね♪』

リュウ 「了解だ、Aurora…出撃する!」

Aurora 「了解、システム起動…カタパルト射出」
Aurora 「Aurora…出撃」

ドギュアァァッ!!

俺はAuroraに乗って、出撃する。
機動力は以前に試した、今度は武装を見る。
単純なライフルとブレードのみだが、どこまでやれるか…
フィールドとのタイムラグも計った方がいいな。



………。



リュウ 「!!」

ドギュンッ! ギュンッ!!

俺は、次々と出てくる敵機を確実にライフルで撃ち落す。
さすがにナイアが俺専用にプログラムしたIGだけあり、かなり突飛な動きをしてくる。
通常の機体ではありえない様な動きをされるが、俺は戸惑わずに確実に打ち抜いていく。



………。



エレキ 「どっすか、師匠…って! 何じゃありゃ?」

マゼンダ 「…あんなのどうするのよ?」

シアン 「訓練用にしては…きつすぎなのでは?」

リュウ君の様子を見に来たエレキとマゼンダ、シアンがまず驚く。
それもそのはず、今リュウ君が相手をしているIGは並ではない。

ナイア 「私がリュウ君用にプログラムしたIGよ…普通の人間じゃまず対応できないわね」
ナイア 「今の所、リュウ君でさえ被弾率は2割って所か…ただし、命中に関しては必中ね」

シアン 「あの動き相手に必中!? さすがリュウ様♪」

茶倉 「リュウなら当然の結果でしょうね…普通じゃないもの、私と同じように」

ナイア 「…まるで、自分しか知らないって言っているようね?」

突然現れて、そんな言葉を放つ茶倉。
私が振り向いてそう言うと、茶倉は微笑する。

茶倉 「…Infinte Player」

ナイア 「!?」

エレキ 「…な、なんすかそれ?」

マゼンダ 「聞いたことのない単語ね」

シアン 「…専門用語でしょうか?」

茶倉 「ナイアは知ってるわよね? 知らないはずがない…」

ナイア 「止めて! 思い出させないで!!」

私は全身を震わせて、思い出しそうになるのをこらえる。
そんな私の姿を見てか、皆は言葉を失う。

茶倉 「…あなたがどう思おうが勝手だけど、私とリュウは間違いなくInfinite Playerよ」
茶倉 「リュウはまだ自分では気づいてない…だけど、あの動きを見ればすぐにわかる」

エレキ 「そのInfinite Playerって何ですか?」

茶倉 「………」

茶倉は私を見て、言うべきかどうか考えているようだった。
私は、正直止めてほしい。
リュウ君が薄々、そうだと言うのは感じていた。
でも、私にとっては信じたくなかった。

茶倉 「逃げるのは、まぁ勝手だけどね…単純に言うわ」
茶倉 「Infinite Playerは、ある特殊な能力を持ったパイロットの称号のひとつ」
茶倉 「私やリュウの様に、人間離れした反応や予測をするパイロットのことをそう呼ぶのよ」
茶倉 「最も…その称号を持つ者は、3人だけ…」

エレキ 「3人…ってことは」

マゼンダ 「まだ、ひとりいるってことね…」

ナイア 「妹よ…私の」

エレキ 「!?」

私は死人のような声で、そう呟く。
誰が聞いても、力のない声だったろう。
私は、心の痛みに耐えながら、言葉を続ける。
逃げるのは…もう止めよう。
現実に…直面しなければ、リュウ君や茶倉も、同じ運命を辿るかもしれない。

ナイア 「one or eightの初起動時に、私の後に座っていた少女」
ナイア 「one or eightの負荷に耐え切れず、死んでしまった妹」

エレキ 「ナイアさん…」

マゼンダ 「…失敗作品に付き合って、倒れたってことね」

シアン 「可哀相に…」

茶倉 「現実は、そう甘くはないわね…『アルア』は死体さえナイアから引き離されたのだから」

茶倉は淡々と口にする。
多少は気遣っているのだろう、茶倉にしては控えめな言い方だった。

ナイア 「…見ない方がいいと思ったわ」
ナイア 「きっと、見たら私は生きていけなかっただろうから」

エレキ (それだけ、おぞましい死に方をしたってわけか?)

シアン (妙ですわね…同じ機体に乗っていたのなら、何故ナイアさんは無事だったのでしょうか?)
シアン (同じ機体に乗って、片方だけが異形の死を遂げるなんて…考えられませんわ)

ナイア 「…アルアの死体は私も見ていない」
ナイア 「でも、きっとぐちゃぐちゃになっていたのだと思うわ」

マゼンダ 「待ちなさいよ、だったら一緒に搭乗しているあなたは何で五体満足なのよ?」

ナイア 「…え?」

茶倉 (やっぱり、ね)

私は、言われてハッ…と、なる。
確かにそうだ…どうして?
私はあの時、アルアの死体は見せられるものじゃないと言われて、遠ざけられた。
あの時、私は全身の骨にダメージを負い、気を失っていた。
アルアの死を知らされたのは、後からだ。

ナイア 「ど、どうして…!? 何で記憶が抜けてるのよ!」
ナイア 「私、アルアと一緒に乗ったのに! アルアは体がバラバラにって…」

茶倉 「…記憶を操作されたわね、リュウの様に」

茶倉は無感情にそう言い放つ。
記憶…操作?
リュウ君と同じように…って。

エレキ 「…どういうことっすか?」

茶倉 「…アルアはていよく回収されたってことよ」
茶倉 「Vが壊滅した以上、詳細はわからないわね」

ナイア 「…それじゃ、アルアはまさか」

私は考えられる推測を立てる。
私の記憶を操作してまで、アルアを手に入れたがったV。
いや、そもそも、私の記憶にVと関わった記憶なんて…

ナイア (いや、ある…今、思い出した)
ナイア 「そっか…私、騙されたんだ」
ナイア 「勝手に死んだと思い込んで…ふふ、お笑い種ね」

茶倉 「…3人目のInfinite Player、アルアはVに回収された」
茶倉 「私も詳細はわからないけど、もしかしたらV残党のEDENには…」

ナイア 「アルアがいるかもしれないってことね! オッケー、やる気出てきたわ!!」
ナイア 「リュウ君! テストはその位にして、そろそろ…」

リュウ 『それどころじゃない! 敵だ!! 今攻めらている!』
リュウ 『増援はまだか!? いい加減弾切れだ!』

ナイア 「はぁっ!?」

エレキ 「冗談だろ!?」

シアン 「リュウ様ーー! 今私がお助けいたしますわーー!!」

マゼンダ 「やれやれ…」

茶倉 「…警報位、ちゃんと着けときなさいよね」

そう言って、皆が出撃に向かう。
私は、すぐに状況を確認した。

ナイア 「く…相手は、EDEN!? まさか、攻め込んでくるなんて!」
ナイア 「リュウ君、悪いけどもうちょっとだけ持ちこたえて!」

リュウ 『了解だ!』



………。



ドガッ! ドゴォッ!!

リュウ 「ちぃ! Aurora、状況は!?」

Aurora 「敵機数15、戦艦が1隻、それほど大きな部隊ではないようです」
Aurora 「ただ、自機のエネルギー残量が残り20%ほどです、フィールドを一時的に解除します」
Aurora 「武装は使用不可…何とか逃げ切りましょう」

リュウ (武器は無しか…エネルギーも無いとなると)

ドォンッ!!

リュウ 「!? 被弾か…ダメージは?」

Aurora 「ジェネレータに異常…機体、空中制御不可」

リュウ (やられた! いきなりか!!)

まさか、敵の接近をこう易々と許すとは…
模擬戦でエネルギーをギリギリまで使い切ったのが敗因か!

敵兵A 「敵の新型と思われる機体が地上に落下!」

敵将 『よし、そのまま撃破せよ!』

敵兵B 「了解、これより撃破に…」

ズドォォンッ!!

リュウ 「!?」

突如爆発。
地上に落下したAuroraのモニターから、俺は空中を見上げた。
そして、爆発の影から、見た事も無い機体が現れる。

敵兵B 「あ、新たな敵機を確認! 物凄いスピードで…うわぁ!!」

ズバァァンッ!!

リュウ 「な、何だあの機体は!? 黒い、機体だと…!」

Aurora 「スキャン確認、所属不明の機体です」
Aurora 「スピードは自機とほぼ同速と思われます、火力はバズーカに両肩のグレネードキャノン」
Aurora 「実弾ライフルも装備しており、ほぼ無駄弾無く、相手に必中させています」
Aurora 「こうしている間にも、すでに敵機を12機撃破、もはや敵勢力は物の数でしょう」

リュウ (この手際…まさか!)



………。



クール 「凄いですよこれ…わずか2分で敵機を14機撃破! めちゃくちゃ強いですよ!」

ガルマン 「ま、まさか…この戦い方は!」



………。



敵将 「ば、馬鹿な! 何なんだあの機体は!?」
敵将 「たった1機で…我が部隊を…うおおっ!?」

カッ! チュッドオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォンッ!!!

? 「ふ…他愛の無い」

リュウ 「そこの、黒い機体! お前は何者だ!?」

? 「随分と、腕がなまった様だな…あの程度の敵に後れを取るとは」

リュウ 「…!? その声…まさか!!」

? 「ククク…久し振りと言うべきか」
? 「私は、片時もお前を忘れたことは無かったぞ」

その後、通信は途切れた。
黒い機体は、こちらの基地に収容を希望。
その後、会議室にて俺たちはその機体のパイロットと相対することになった。



………。



『SS暫定基地・会議室』


ウィィィンッ

リュウ 「…やはりお前か、ホルス!」

ホルス 「ふ…その目は変わらんな」

俺は、中に入ってきたホルスと相対する。
何やら重々しい装備を身につけているようだが、特に動きが鈍そうには見えない。
右目がエメラルドグリーンに輝いている、義眼…か。

ホルス 「お前との戦いで、少々体が吹き飛んでな…7割は機械化する必要があった」

ガルマン 「な、7割!? と言うことは、ほとんどサイボーグ」

ホルス 「ガルマン、元気そうだな…あれから腕は上げたか?」

ガルマン 「しょ、少佐…」

ガルマンは何を言ったらいいのか迷っていた。
例えようのない思いがあるのだろう。
ホルスはそんなガルマンを見て、微笑する。

ホルス 「私はもはや軍属ではない…その呼び方はよせ」

ガルマン 「はっ、申し訳ございません!」

ガルマンはホルスに対し、敬礼で答える。
その姿に疑問を持ったのか、ホルスは複雑そうな顔をし。

ホルス 「…私は、もうお前の上官ではないぞ?」

淡白にそう言い放つ…
だが、ガルマンはあくまでホルスに敬意を払っていた。
どれほどホルスを尊敬していたかが見て取れるな。

リュウ 「単刀直入に聞く…何をしに来た?」

ホルス 「…EDENを倒すのに協力してやる、と言ったら信じるか?」

リュウ 「…何の理由があって、俺たちに力を貸す?」
リュウ 「お前は、戦いだけが全てだと思っている人間だ、そんな理由で俺たちを助けるとは思えん」

俺は、気を緩めずにホルスを問いただす。
何を考えているのかはわからん…トランがいれば、すぐに判断できるのだが…

ホルス 「EDENのオシリスと決着を着ける…ただそれだけだ」

ガルマン 「…オシリス大佐と」

リュウ 「…なるほど、それが理由か」
リュウ 「いいだろう…協力をするというなら、受け入れる」
リュウ 「だが、条件がある…SCREAM SQUADは俺がリーダーだ…俺の指示には従ってもらうぞ」

俺はそう言って、ホルスに圧力をかける。
だが、ホルスは笑って。

ホルス 「いいだろう、ここでは私は新米だ、好きにこき使うがいい」

ガルマン (少佐が、笑っている…本気、なのか?)

リュウ 「…ガルマン、皆を集めてくれ」

ガルマン 「は、はい!」



………。
……。
…。



こうして、突如現れ、俺たちの仲間になったホルス。
ホルスがどこまで本気で俺たちに協力する気かは知らないが、嘘は着いていないように感じる。
俺は、警戒しながらも、今は信じておくことにした。

セリカ 「…まさか、あのホルスがねぇ」

ナイア 「確かに…普通なら信じられないわ」

リュウ 「だが、助けられたのは事実だ」
リュウ 「そのことに関しては、礼を言うべきだろう」

俺たちは3人で談話室にいた。
ホルスは自機の整備をするらしく、格納庫にいるようだ。

リュウ 「ところで、ホルスの機体はどうなんだ?」

ナイア 「GHOST REVIVALね…触らせてもらえなかったわ」
ナイア 「本人が自分のことは、全部自分でやるって言うし、私の出番は無さそうね」
ナイア 「ただ、見た感じだけのスペックなら、Auroraといい勝負じゃない?」
ナイア 「quasarに比べても軽量だし、武装が減った分機動性は確実に伸びてるわね」
ナイア 「ただ、以前に比べると相当装甲は弱そうよ…そう言う意味でもAuroraと似ているかもね」

ナイアは軽く、ホルスの機体を語る。
なるほど、雪月花に負けたのを少なからず意識したと言うところか。
パワーよりもスピードに重点を置くとなると、1対1での戦闘力はこちらよりも上だろうな。

セリカ 「それより、Abyssの調整は終ったの?」

ナイア 「ええ、問題ないわ…あなたの希望通り、女の子よ」

リュウ 「む…AIBか」

セリカ 「そっ! どうせ乗っけてもらうなら、やっぱり女の子の方がいいもん!」
セリカ 「暇な時は会話ができそうだし♪」

ナイア 「…あんまり変なことを吹き込むのは止めなさいよ?」
ナイア 「xenonの様にヘソ曲げられても困るわ」

リュウ 「…xenonがヘソを曲げるのか?」

俺は、ナイアがボソリと呟いた言葉に突っ込む。
すると、ナイアは頭を抱えて。

ナイア 「そ! xenonには最初からAIBがあったのよ! DoLLと同じように」
ナイア 「で、そのAIBを何とか起動させるところまでは行ったんだけど…」

セリカ 「ヘソ曲げられたと…」

ナイア 「そ!! またあれも女の子なわけよ!!」
ナイア 「もう、どんなセットアップかけようが、全部拒否!」
ナイア 「士朗本人以外には、触られたくもないようね!」
ナイア 「とんでもないじゃじゃ馬よあれは!」

ナイアは語りながら、頭を抱えていた。
余程、てこずったようだな…。

セリカ 「で、結局動くの?」

ナイア 「動くだけならね…でも、あのままじゃ以前と余り変わらないかもね」
ナイア 「元々スペックは高い機体だけど、Pandoraからの永久機関が前提条件だった機体だし…」
ナイア 「正直…これからの戦いではきついかもしれないわ」

ナイアは遠い目をして、そう言う。
確かに、色んな意味でxenonの条件はきつい。
DoLLと同様、外部装備のエネルギータンクでまかなってるのだからな。
ただでさえ、稼働時間は短く、強力なエネルギーキャノンを搭載しているだけに、本来の力を発揮できないのは辛い。

リュウ 「…どうにかならないのか? せめてエネルギーさえ解消できれば、全く違うのだが」

ナイア 「現状じゃ、どうにもならないわね…エネルギーを増やせば重くなるし、それだけ機動性は減るわ」
ナイア 「ただでさえ、そんなに積載量が高くないのに、そんな重いタンクを載せるわけにも行かないし…」
ナイア 「…それなら、作り変えた方がマシかもね」

セリカ 「…じゃあ、新しい機体を作ったら?」

ナイア 「そんな簡単にはいかないわよ…作るのはともかく、0から組み上げてたら、時間がかかるわ」
ナイア 「今回の相手は、時間的に余裕をくれそうもないし、できれば今ある機体だけで何とかしたいわね」

ナイアは悔しそうにそう言った。
確かに、セリカの言うことも一理ある。
確実に不備のある機体を使う位なら、新しい物を作ったほうがいい。
だが、ナイアの言う様に時間がないのも事実…か。

リュウ 「ならば、士朗をしばらく休ませよう」
リュウ 「幸い、ホルスが新しく入ったおかげで小隊の埋め合わせは効く」
リュウ 「その間に、ナイアは士朗の新しい機体を組上げてくれ」
リュウ 「xenonをバラしてやれば、そう時間はかからないだろう」

ナイア 「…ってことは、フレームを流用して、後はパーツを増加…」
ナイア 「…ここのメカニック総出で、最短5日って所かしら?」
ナイア 「保証はないわ…でもxenonのベースを崩さずに増強する形だから、早くてそれ位ね」

ナイアは、あくまで予測を言う。
だが、今はそれで十分に思えた。
現状、敵はどれだけ戦力を送り込んでくるかはわからん。
今はこちらから打って出るのは不可能だ。
だったら、出来る限り迎え撃つ方向で戦うしかない、か。

リュウ 「それで十分だ、5日位なら何とか持たせて見せる」

ナイア 「…決まりね、士朗にはあなたから言っておいて」

リュウ 「わかった」

セリカ 「よしっ、これからが本当の戦いだね!」



………。
……。
…。



士朗 「そうか…こいつも、新しくなるか」

リュウ 「ああ…忌まわしい鎖は断ち切るべきだと俺は判断した」

俺と士朗はふたりっきりで、そう話す。
xenonを見ながら、俺は思う。

リュウ (かつて、俺たちと戦った機体…士朗はどんな思いで乗っていたのか)

士朗 (鎖か…俺にとって、鎖とはこいつだったのか)
士朗 (それが解き放たれた時、俺はどうなる?)

アクティ 「どうにもならないよ…士朗ちゃん士朗ちゃんのまま」

リュウ 「……」

士朗 「アクティか…」

俺たちは声の方を振り向く。
背後にはアクティが立っており、俺たちを悲しそうな表情で見つめていた。

リュウ 「アクティ…しばらく士朗は戦線を離れる」
リュウ 「第3小隊のリーダーにはホルスを置くつもりだ、大丈夫か?」

アクティ 「…わからないよ、あの人の心には出来れば触れたくない」
アクティ 「避けられてるみたいだから…私」

アクティはそんなことを言う。
避けられている…か。
ホルスにどんな心があるのかは知らないが、アクティが言うことでやけに深いことのように思える。

士朗 「…アクティ、死ぬなよ」
士朗 「戦えるようになったからと言って、無茶だけは絶対にするな」

アクティ 「うん…大丈夫、士朗ちゃんがそう言ってくれるなら、私は無敵だよ♪」

そう言って、アクティは健気に笑う。
本気なんだろう、アクティは本気で戦うことを決意している。

リュウ (士朗を守るため…か)

アクティが士朗のことをどれだけ想っているかは、想像が着く。
だが、その想いが届くかどうかは誰にもわからない。
俺も…同じ、か。

リュウ (エリカ…お前はもう、俺の元には戻ってこれないのか?)

俺のエリカへの想い。
この想いは…届くのだろうか?



………。
……。
…。



『同時刻 SS暫定基地・格納庫』


ホルス 「……」

ガルマン 「相当、煮詰まれたようですね…」
ガルマン 「今までの少佐の機体では、最高のスペックと言えるでしょう」

ホルス 「私は、もう少佐ではない…普通に呼べガルマン」

私はそう言って、自機の整備を続ける。
ガルマンはまだ、癖が直ってないのか、情け無さそうな顔をする。

ガルマン 「も、申し訳ございません! つい…」

ホルス 「それに…少佐と言うだけなら、今のお前と同じ階級だ」
ホルス 「敬語を使う必要もない…リュウの様に呼び捨てにすればいい」
ホルス 「私は、別に気にはしない」

ガチャガチャ!

私は、コクピット周りの整備を終え、機材を片付ける。
それを見て、ガルマンも立ち上がる。

ガルマン 「…やはり、私にとって少佐はいつまで経っても少佐です」
ガルマン 「自分も確かに少佐となりましたが、今はSSの一員です」
ガルマン 「ここでは階級など意味を持ちませんね…考えても見れば」

ホルス 「変わらん奴だな、お前は…いつまで経っても、誰かの引き立て役だ」
ホルス 「本気でトップを狙おうとは思わんのか? お前ならばそれなりの実力を持っているはずだが」

私が立ち上がって言うと、ガルマンは真剣な顔をする。

ガルマン 「私は、それなりの実力しかありません」
ガルマン 「決して、トップになれる器でも実力でもないのです」
ガルマン 「ですから、私はトップを常に補佐する立場にいたい…」
ガルマン 「リュウさんや、少佐を補佐することが、今の俺の役割です」

ガルマンはそういい切る。
野心のない奴だ…望むのであれば、もっといい地位を手に入れることも出来たろうに。
だが、それもこいつの生き方か…私がどうこう言える立場ではない。



………。



『1時間後 SS会議室』


リュウ 「皆、今日はご苦労だった! 最後に第3小隊と第4小隊の再編成を行う!」

全員 「………」

全員が俺に注目する中、俺は再編成した部隊を言い渡す。

リュウ 「第3小隊、リーダーはエレキ、残りはアクティと鉄火だ」

エレキ 「了解!」

アクティ 「…はい」

鉄火 「…第3小隊に移動か」

リュウ 「第4小隊! リーダーはホルス、後はガルマンとクールに任せる」

ホルス 「……」

ガルマン 「了解です!」

クール 「はーい♪」

リュウ 「よし、後は各自自由に行動してくれ!」
リュウ 「ただし、いつ敵が現れるかはわからん、気持ちだけは切らさないようにしてくれ!」
リュウ 「それじゃ、本日は解散だ!!」

セリカ 「うーっし! リュウー、一緒にご飯食べよ♪」

ガシッ!

そう言って、セリカがいきなり俺の左手を掴む、するといきなり逆方向に右手を引っ張られる。

茶倉 「何言ってるのよ小娘!? リュウはこれから私と食事に行くのよ、邪魔をしないで?」

セリカ 「な、何よそれ! 私が先に誘ったんだけど!?」

茶倉 「あ〜ら、私の脳内ではすでに契約されているのよ!」

予想通りというか、ふたりが『また』争いを始める。
こんな展開も久し振り、か…

リュウ 「悪いが、これから俺は第1小隊の打ち合わせがある、食事はまたにしてくれ…」
リュウ 「シアン、マゼンダ、こっちに来てくれ…」

俺はそう言って、シアン、マゼンダを呼ぶ。
まだしばらくは小隊の特徴を頭に入れておかねばな。

シアン 「はい、リュウ様〜♪」

マゼンダ 「了解だ」



………。



セリカ 「………」
茶倉 「………」

何となくその場に取り残された私たち。
行き場のない手が、空気にさらされる。

ひゅ〜…

セリカ 「…飯、行こっか」

茶倉 「…仕方ないわね、付き合ってあげるわ」

何だかんだで、そんなことに…まぁ、たまにはいっか…



………。



リュウ 「…やはり、俺がサポートに回るべきだろう」

シアン 「いえ、サポートは私がやります…リュウ様とマゼンダの2トップで攻める方がよいでしょう」

マゼンダ 「私はどっちでもいい、どちらにしてもR2じゃサポートは出来ない」

リュウ 「…ふむ」

俺たちは、それぞれの役割について話していた。
まず、マゼンダのR2。
攻撃力に特化した接近戦が主体の機体。
どう考えても、後方支援には不向きで、自ずと特攻の役割になる。
それだけのスピードも火力も備えているだけに、頼もしいところだ。
ところがその反面、敵機に最も狙われやすく、多数の相手と戦う場合は不利な場面も多い。

次はシアンのR3。
R2とは対照的に、支援や狙撃を主体とした機体。
機動力はR2ほどではないが、十分速い。
その分、装甲は薄く、一撃喰らうだけで致命の可能性もある。
サポートが必須ともいえ、誰かが守ってやらなければ危険極まりない機体だ。

そして、俺のAurora。
現時点では、遠近両方ともそつなくこなせる万能型だ。
フィールドの関係もあり、味方を守ることも出来る。
現時点では攻撃時にフィールドが展開できないため、相当癖のある機体となっているのがネックだ。

リュウ 「やはり、まだ武器が完全でないAuroraをサポートに回すべきだと俺は踏む」
リュウ 「幸い、マゼンダのR2は火力が特化している、R3の狙撃力を加えれば十分相手には脅威だろう」
リュウ 「となると、危険なのはむしろシアンのR3だ」
リュウ 「R2は前線に出て接近戦をしなければならないため、どうしてもフォローがおろそかになる」
リュウ 「R3は近づかれた時点で、本来の性能は発揮できない、敵を近づけさせないためには誰かのフォローが必要だ」

シアン 「大丈夫です、リュウ様! 私の腕に賭けて、足手まといにはなりません!」

マゼンダ 「…で、どうするのリーダー?」

リュウ 「…シアンには悪いが、Auroraの装備を考慮に入れなければならない」
リュウ 「現時点で、攻撃と防御が同時に出来ない以上、俺がアタッカーになるわけにはいかないんだ」
リュウ 「むしろ、足手まといは俺になる…サポートをするのが現時点での第1小隊最善の策だと俺は思う」

シアン 「ですが、リュウ様ほどのパイロットが、ただサポートだなんて」

シアンはまだ、納得が言っていない様だ。
俺の実力を買ってくれているのは嬉しいが、機体があの状態では、まともな戦闘は難しい。
他のアタッカーがいないのなら、俺が回ってもいいだろうが、今回はそうではない。
マゼンダのR2は十分アタッカーとして強力だ、頼っていいだろう。

リュウ 「…シアン、気持ちは嬉しいが、小隊としての戦闘は全員が全員をカバーすることだ」
リュウ 「マゼンダは敵を出来る限り前線で撃破し、シアンを守る」
リュウ 「シアンはマゼンダに近づく敵を遠距離から排除し、マゼンダを守る」
リュウ 「そして、ふたりが撃ちもらした敵を倒し、攻撃から守るのが俺の役目だ」
リュウ 「それが納得できないのなら、仕方がない…リーダーは俺じゃない誰かに代わってもらおう」

シアン 「そ、そんな! リーダーはリュウ様以外には考えられません!」
シアン 「その…決して不満と言うわけではなく、私はその…」

リュウ 「…お前の考えはわかる、決して不満があって言っているのではないだろう」
リュウ 「だが、シアンの言う戦術はあくまでAuroraが完全に力を発揮した時に有効な戦術だ」
リュウ 「今は、俺がサポートに回る、Auroraはまだ不完全だからな」

シアン 「…わかりました、リュウ様がそこまで言われるのでしたら、私はそれで納得いたします」

マゼンダ 「…全く、やっと決まったのね」
マゼンダ 「もう、結構な時間が経ってるわよ…夜食、どうするの?」

マゼンダが言うように、時刻はかなり遅い。
夜も更けており、レストランももう閉まっているだろうな。

リュウ 「すまんな、無理に付き合わせたようだ」
リュウ 「どこか、開いてる店で弁当でも買ってこよう、何がいい?」

マゼンダ 「…ん、私は唐揚げ」

シアン 「あ、私は…ハンバーグがいいです♪」

リュウ 「わかった、買ってこよう…ちょっと待っていてくれ」

俺は財布の中身を確認し、会議室を出る。
確か、近くに深夜でも開いている店があったはずだ、そこで弁当を買おう。



………。



シアン 「うふっ…やっぱり、リュウ様って優しい♪」

マゼンダ 「はぁ…一体、あれのどこにそこまで惚れたのかねぇ」
マゼンダ 「まぁ、タッシュとかに比べたら、よっぽどマシか」

シアン 「当たり前ですわ! あんな偏屈司令官とは比べ物になりませんわ!!」

姉さんは、思いっきり本音を口にする。
そうか、そう言う風に思ってたのな。

マゼンダ 「でもさ…リュウって、エリカの恋人なんでしょ?」

シアン 「う…それは、知ってるけど」

姉さんは、悲しそうな顔をする。
リュウから、私たちはエリカとの関係を聞いた。
ふたりは、相思相愛で、恋人同士だったということだ。

マゼンダ 「…姉さん、どこまで本気なのかはわからないけど、嫉妬してエリカを殺すのだけは止めなさいよ?」
マゼンダ 「恨まれていいことなんてないんだから」

シアン 「わかってますわよ! 私は、そんなことはいたしません!」
シアン 「リュウ様の想い人はエリカさんでも…私は構いませんわ」
シアン 「私は、リュウ様を愛し続けます…それが、私が初めて想った人に対する決意です」

姉さんは手を重ねて、祈るようにそう言う。
何て言うか…ねぇ。

マゼンダ (私は、少なくともそこまで考えてられない)
マゼンダ (エリカが敵で来るなら、容赦はしない…!)
マゼンダ (相手に気心なんて加えてたら、消されるのはこっちだわ…)

私はそう決意する。
生きるためには、恨まれても仕方がない。
いいことはないけど、姉さんを守れるならそれも受け入れられる。

マゼンダ (GENOCIDE…あの機体には普通では勝ち目がない、勝算は…多分、ないわね)



…To be continued




 
Menu
BackNext




inserted by FC2 system