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beatmaniaUDX The ANOTHER Story substream


Final STAGE 『赤赤月浄化』




『惑星5.8.8.近辺 宇宙空間』


イェロゥ 「このままじゃ、数に押されて負けてしまう…!」
イェロゥ 「せめて、どちらか一方だけでも抑えられれば…」
イェロゥ 「え? こ、この反応は…!!」



キュィィィィッ! キュィィィィッ! キュィィィィッ!

リュウ 「何だ!? まだ何か来るのか!?」

イェロゥ 『全部隊に通達!! ジュ、Giudeccaの母星が出現!! 繰り返します!! Giudeccaの母星が出現!! EXEの後方です!!』

マゼンダ 『嘘だろ!?』

シアン 『そんな、こんなことって…!!』

タッシュ 『何だ!? 何故こんな所に母星が…!?』

俺たちは全員が驚愕した。
EXEの後方に見える、小惑星…『Giudecca』
俺たちの目に映る、その星は敵の母星だと言うのだ。
つまり、その中にある戦力はもはや…!

リュウ (終わるのか…? こんな所で? 俺は、誰も守れないのか!?)

少しの間だが、その場の全ての機体が動きを止めた。
静かに佇む、Giudecca…そしてその星の周りに部隊が展開された。


ババババババババババババババババババババババババババババババババッ!!!!

イェロゥ 『!! て、敵数、汎用人型10000!! 転移しました!!』


茶倉 『1万ですって…!!』

セリカ 『そんな、そんなもうどうしようも…!!』

彩葉 『嘘、嘘でしょ…』

エレキ 『畜生…! どうすりゃいいんだ!!』

鉄火 『FB! 何か無いのか!?』

FB 『あるかボケ! どないも…ならんわ!』

アクティ (士朗ちゃん……もうダメかもしれない)



………。



ホルス 「…やはり、これだけの戦力差が出たか」

ガルマン 『ホルスさん! どうするのですか!? このままではここを凌いだところで…!』

クール 『最悪、投降することも考えないと…』

状況は最悪だな…これだけの数相手にもはや生き残るのは無理とも言える。
いや、生き残るだけならば、まだ…



………。



? 『お初、お目にかかる…勇気ある戦士たちよ』

リュウ 「!? お前は?」

突然、1万の中の特別異彩を放つ1機が通信を開いた。
その機体は、どこか騎士を思わせるような佇まい。
地球で言う所の西洋甲冑をイメージしたようなデザインだ…大きな大剣を両手に持ち、下に刃先を向けていた。
群青のカラーを施した、その機体は、ゆっくりと言葉を紡いでいった。

? 『私は「キラー」…Giudeccaの王だ』

マゼンダ 『!? 王だって…?』

シアン 『そ、そんな人聞いたことも…ありませんわ!!』
シアン 『そもそも、Giudeccaを統率している者は星その物では…?』

キラー 『…それは、タッシュが君たちに植え付けた、偽の記憶だ』

タッシュ 『!? キ、キラー…!!』

タッシュはうろたえている様だった。
まるで、キラーがここにいるのが想定外と言わんばかりに、言葉に力が残っていなかった。

キラー 『さて、私が不在の間、随分好き勝手なことをやろうとしたようだな、タッシュ?』

タッシュ 『だ、黙れ!! 私はもはやお前の人形ではない!! 私は今こそお前を倒し、ここでGiudeccaの全てを物にしてやる!!』

ギュンッ!!

EXEはキラーの機体に向かって、突進する。
だが、キラーの機体の前に、別の機体が立ち塞がった。

ギィィィンッ!!

タッシュ 『!? その機体…リヒトかぁ!!』

リヒト…と呼ばれたパイロットが乗る機体は、キラーの者とはまた違う特徴のある機体。
全身が刺々しく、灰色と赤のカラーリングを施していた。
武器の類は持っておらず、手の爪でタッシュのブレードを易々と受け止めた所を見ると、相当なスペックを感じる。

リヒト 『下がれ人形! 貴様如きがキラー様に刃を向けるか!?』

タッシュ 『下がるのは貴様だリヒト!! 邪魔をするな!!』

キラー 『よい、リヒト…下がれ、己の過ちは私自身の手で着けよう』

チャキッ!

キラーは剣を構え、タッシュの動きを待つ。
来い…と言う意思表示だろう。
タッシュはそれを見て、笑う。

タッシュ 『ハハハッ!! そうだ、殺してやる!! お前を殺して私が王となる!!』

ギュンッ!!

タッシュ 『死ねキラー!! お前を殺して全てを滅ぼす!! くだらないこの世界を一掃し! 新たな世界を作る』

ズバァァァァンッ!!

一刀両断だった。
タッシュは狂ったように叫び、キラーに向かうが、キラーの機体はそれをあっさりと両断した。
タッシュの…最期だ。

タッシュ 『ははは…は! 壊してやる…全部……何も、かも……新たな、世界を……私が………必ず……………』
タッシュ 『はっはっは…はーーーはっはっは………!!』


…ドッ! バアアアァァァァァァァァァァァン!!!

爆発。
EXEは跡形も無く、吹き飛んだ。
同時に、R5は機能を停止、動くことはなくなった。
そして、1万の軍勢の前、俺たちは動けずにいると、キラーは口を開く。

キラー 『…すまなかった、戦士たちよ』

リュウ 「…何だと?」

それは、謝罪の言葉だった。
何に対してなのかはすぐに理解できなかったが、別の意味は理解できた。

キラー 『タッシュの暴走は私の不始末だ、その積は全て私にある』

リヒト 『キラー様! 何も、そこまで…』

キラー 『リヒト! これは私の罪なのだ…』
キラー 『微力ではあるが、これより、我等がGiudeccaは君たちに力を貸そう』
キラー 『行くが良い勇気ある戦士たちよ…君たちの帰る場所は、我々が守ろう』

リュウ 「…了解した、協力感謝する!」
リュウ 「全部隊に通達! これより、Giudeccaは友軍となる!! 敵はEDENのみだ!! 全機EDENを迎え撃つぞ!!」

マゼンダ 『りょ、了解!』
シアン 『了解ですわ!』

キラー 『…シアン、マゼンダ…そして、イェロゥ』

イェロゥ 『? キラー…様』

キラー 『必ず、生きて帰るのだぞ…』

イェロゥ 『……はい』

マゼンダ 『死んでたまるか!』

シアン 『もちろんですわ!!』

キラーとマゼンダたち3姉妹は何かあるのか? 疑問を抱きつつも、俺は戦闘に専念した。
EDENだけならば、1000機だろうが、やってみせる!!



………。
……。
…。



バァァァァンッ!!

ホルス 「ちぃぃ…っ!! オシリス…!! 貴様いつの間にその機体を…!!」

オシリス 『ふ…完成させたのだよ、我等の業を』
オシリス 『この機体こそ、我々の決着を着けるのに、相応しい…違うか?』

ガルマン (ホルスさんがこうまで圧倒的に押されるとは…! いやパイロットの性能だけならばホルスさんの方が上)
ガルマン (機体のスペックが尋常ではない!! あの機体、GENOCIDEよりも上なのでは!?)

クール 『あの赤い機体、ほぼ全ての性能において、GENOCIDEのフルパワーに匹敵する性能を持っています!』
クール 『いくらホルスさんでも、1体1じゃ…!!』

ホルス 「『Antares』…呪われた計画の機体…廃棄したはずの計画を何故今更!」

脳裏に嫌な思い出がフラッシュバックする。
あれは、呪われた計画の機体だ。
ただ、戦いに勝つために、それだけを目的に作られた機体。
赤き色は、消え入る前の炎…激しく燃え上がり、そして消える炎。

オシリス 『ホルス、私は決着を着けたいのだ…君に、そして自分にも!!』

ホルス 「ならば、足掻いてやろう!! お前がそれを望むのなら!! 私は最後まで足掻く!!」
ホルス 「もはや、あいつはいないのだ!! その宿命も! 全て絶つ!!」

私はすでにボロボロの機体を動かし、オシリスに向かう。
機動性は40%低下か…だが!

オシリス 『!? 一瞬、モニターが…? はっ!?』

ドンッ!!

私はライフル弾を一発命中させる。
狙った場所は、右脇下の間接部分。
そこが、唯一の弱点のはず…!

オシリス 『甘いぞホルス!』

ドォンッ!!

ホルス 「ぐぅぅっ!! やはり、弱点はすでに…!!」

唯一の望みを絶たれた。
もはや、機体は動くこともままならない。
爆発まではしないものの、完全に機体は行動を停止していた。

オシリス 『さすがだ…あの状況で、ピンポイントショットとは…もし、設計図通りに完成させていたらやられていたのは私だった』
オシリス 『やはり…パイロットとしての腕は、君には及ばなかったか…だが!』

ホルス (負けたのは…俺か)

ガルマン 『ホルスさんを守る! クール!! ENジャマーを張れ!!』

クール 『はい! ENジャマー散布!!』

クールの機体からENジャマーが散布され、ここら一体では並のエネルギー兵器が無力化する。
同時にモニターにも影響を及ぼし、数分だが相手から姿を消すことが出来る。

ホルス 「…来たか、口惜しいが任せるぞ、リュウ」

ガルマン 『リュウさんが…?』

クール 『Aurora確認! 良かった! 他の機体も皆います!!』



………。



リュウ 「ホルス! 無事か!?」

ホルス 『ふ…私を誰だと思っている?』

リュウ 「それを聞いて安心した…艦に戻って休め」

ホルス 『いや、ここで見届けさせてもらう…私が見届けねばならんのだ』

リュウ 「? わかった、ガルマン! クール! ホルスを守ってくれ!!」

ガルマン 『了解です!』
クール 『了解!』

リュウ 「相当な機体という事か…生き残るためだ、多対一でも文句は言うなよ!?」

オシリス 『構うことは無い…何人相手でもこの機体は負けはしない!』

マゼンダ 「なら、まずは一発貰ってもらうわよ!?」

ガキャァッ!!

R2の右拳が敵機にヒットする。
だが、吹き飛ぶこともなく、それを左腕で受け止めていた。
何と言うパワーだ! R2の一撃を正面から!?

シアン 『これならどうですの!?』

マゼンダは気配を察し、すぐにその場から横にずれる。
瞬間、R3から放たれた長距離射撃のエネルギーライフルがAntaresを襲う。

ギャギャギャギャギャッ!!

シアン 『そんな馬鹿な!? いくらENジャマーの中だからって…!!』

オシリス 『大した出力だが、その程度ではこの機体を焼くことは出来んよ』
オシリス 『何人たりとも、このAntaresを打ち倒すことは出来はしない!!』

リュウ 「はぁぁぁっ!!」

ギィィィィィィィンッ!!

俺は横からブレードで切りつけた。
特殊フィールドを纏った、Sphereブレードだ! フィールドにより防いでいるならこれで…!

リュウ 「無傷だと!? 一体どんな装甲をしている!?」

ホルス 『無駄だ! その機体の装甲はありとあらゆる攻撃を弾く!』
ホルス 『Antaresは宇宙その物…傷を着けることなどできん!』

リュウ 「ならば、どうすれば…!!」

ホルス (あの時の設計図通りなら、破壊はできん…あの装甲はもはや物質ではない)
ホルス (いわば無機質の装甲…ありとあらゆる理論を覆す、究極の素材)
ホルス (だが、それだけに…人の手には余る……いずれ奴は)

オシリス 『さぁ、来るが良い!! この機体の前に、儚く散れ!!』

ドォンッ!!

リュウ 「くっ! 損傷は!?」

Aurora 『皆無です、フィールドを貫通する武装ではないようです』
Aurora 『ですが、敵機の数が中々減りません…現状、残り800機は残っています』

リュウ (加えて、この機体! どうする!? 背後はGiudeccaが守ってくれているとはいえ、俺たち自身は無事では済まんか…)



………。



茶倉 「ちっ! これで109機撃墜!!」

ズドンッ!!

私は着々と数を減らすもまだまだ先が長い。
ホルスに啖呵は切った物の、実際にやるとなると、機体が持たないわね…

セリカ 『えやぁぁぁぁっ!!』

ズバァァンッ!! ドバァァンッ!!

セリカもまるで宇宙を舞う様に華麗に敵機を撃墜していく。
小娘にしてはやるわね…ちょっとウザいけど。

彩葉 『数が多すぎる…このままじゃ捌ききれないよ!!』

彩葉は泣き言を言い始める。
とはいえ、仕方ないところか…この数は本当にウザいわ。

セリカ 『必殺! 剣の舞!! えいやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』

ババババババアァンッ!!!

セリカはそんな必殺技名を叫びながら、敵機を纏めて10機ほど撃墜した。
踊るように華麗に宇宙を舞い、周りに固まった敵機を薙ぎ払ったのだ。
って、今のであいつも50は落としたんじゃないの? こりゃうかうかしてられないわね…



………。



エレキ 「このぉ!! なめんなぁ!!」

ズバァァンッ!!

俺は少しづつ落としていくも、弾数が気になり始める。
残りはまだ800位いる…さすがに単純計算じゃ弾が足りない!

鉄火 『だぁ〜! 畜生!! 減らねぇ!!』

FB 『根性出さんかい!! 生き残るためやぞ!?』

アクティ 『アクティ〜! ブラスタァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!』

ドッ! ギュアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァンッ!!!

ACTの放った、両肩のエネルギーキャノンが敵機を纏めて落とす…今ので100機は落ちたな、これで残り700か!

アクティ (絶対生き残る! 勝つんだ!!)



………。



イェロゥ 「これより、HORIZONの主砲を発射します! 放射線状にいる機体はすぐに退避してください」
イェロゥ 「主砲、発射!!」

ギュバアアアアアアアアアアアァァァァァァァァッ!!!

艦の主砲により、人型を50機ほど落とす、同時に撹乱にもなったようだ。
固まった人型部隊を上手く分断できたのか、敵の統率が若干甘くなった。

エリカ 「イェロゥ…状況は?」

イェロゥ 「エリカさん!? 今はまだ…」

エリカさんは部屋を出て、ここに来ていた。
出撃する機体はない、彼女もここにいるしかないのだ。

エリカ 「…良くなさそうね、でも。Giudeccaがどうしてここに?」

イェロゥ 「…Giudeccaの王、キラー様の協力により、友軍となったのです」
イェロゥ 「タッシュはすでに戦死、現状はEDENとの戦闘に専念しています」

エリカ 「…そう」

エリカさんは俯き、今の状況をかみ締めているようだった。
奇しくも、マゼンダの予言通り、タッシュは倒された。
帰る場所は…ともかく、エリカさんにはもうどうすれば良いのかもわからなくなっているのかも。

イェロゥ 「エリカさん、せめてここで見ていてください」
イェロゥ 「私も戦います、帰る場所のために」
イェロゥ 「ここが、エリカさんの居場所ですから」

エリカ 「イェロゥ…」

エリカさんは外を見た。
そこにはいくつもの光に包まれ、戦いが行われている。
皆の戦い、私たちの、戦い。



………。



リヒト 『キラー様、本当にこれで良いのですか?』

キラー 「…これは戦士たちの戦いだ、そこに余計な剣は必要ない」
キラー 「我々は、ここで見守るのだ…Xepherの剣は、あくまで守るための剣なのだから」

私はそう言って、自分の機体Xepherを思う。
Giudeccaの王が乗る機体であり、守るための剣を振るう騎士の機体。
そして、それを助ける、リヒトの機体『Apocalypse』
いずれも、Giudeccaを守る機体でもあり、民を救う希望でもある。

キラー (私は見ているぞ、娘たちよ…イェロゥ、シアン、マゼンダ)



………。



オシリス 『さすがにしぶといな! ホルスを倒した男だけのことはある!!』

リュウ (くそっ! 攻撃は通じない上に、あらゆるスペックで上を行かれる!)
リュウ (こんなふざけた機体にどうやって勝つ!?)

マゼンダ 『はぁ、はぁ…! くっそーー!! 全然減らないじゃないのよーーー!!』

シアン 『諦めちゃダメですわ!! 何のためにここまで来たんですの!? 生き残るんですのよ!!』

ふたりは段々と精神的に参ってきている。
敵の数はまだ半分位だ…これで折り返しとはな。
ふたりは雑魚の相手で限界…こっちは一対一でも、勝ち目がまるで見当たらない。



マゼンダ 「くそっ! 何でよ!! R2には真の力が眠ってるんでしょう!?」
マゼンダ 「今こそそれを発揮する時でしょうが!! 目覚めなさいよーーーー!!」

ドォンッ!! バァンッ!!

マゼンダ 「きゃぁぁっ!!」

シアン 『マゼンダァァァ!?』

機体に敵弾が被弾する。
同時に衝撃で私は腹部に熱を感じる。
やば…破片が……

マゼンダ 「…畜生、動け馬鹿…!」

キィィィィィィィン…

R2 『パイロットの生命に異常発生、パイロットの生存を優先…危険』
R2 『現状の打破を最優先…結論、敵機の殲滅…了解』
R2 『これより、HYPERモードを起動。フルスペックを解禁します』

カァァァァァァッ!! ゴォワァッ!!

マゼンダ 「…? これは…」

私は自分の機体を確認する。
今まで、ウンともスンとも言わなかったR2が突然、喋りだしたかと思えば、いきなりHYPERモードだとか言うのだ。
だけど、私は理解する。
これは、生き残るための力だと…

マゼンダ 「はぁ……はぁ……」

R2 『パイロットに異常発生、オートモードに切り替えます』

マゼンダ 「馬鹿、余計だ…自分で動かす」

R2 『拒否します。パイロットの安全を最優先』

マゼンダ 「この……何なのよ、いきなり」

R2は勝手に動き、敵を殲滅に入っていた。
R2は全身から炎を出し、その熱を持って周りの機体を焼き払っていく。
こんな…こんな力を秘めていたなんて。

ゴォワァッ!! ドガァァンッ!!

R2の炎撃で多数の敵機が落ちていく、周りの敵は見る見る内に減り、わずか1分で50機は撃墜してしまった。



シアン 「凄い…あれがR2のHYPERモード…あんな機能がこの子にも?」

R3 『R2のHYPERモードを確認…了解、R3もHYPERモードを起動します』

シアン 「嘘!? どうして!?」

R3 『計算結果、現状を打破するにはHYPERモードによる敵の殲滅が一番と判断』
R3 『シアン様、ご指示を』

シアン様って…今まで何も喋らなかったこの子が。(汗)
でも、いいわ! それならやってやるだけですわ!!

シアン 「行きますわよ! R3!!」

R3 『了解、前方の敵を排除します』

コォォォォォォォッ!!

R2の炎とは対照的にR3からは冷気が放出される。
武器を持たず、両手から放たれた冷気はたちまちに敵機のみを冷凍する。
一瞬で機体凍らされ、身動きを取れなくなった人型たち。
直接的な攻撃力は無いものの、中のパイロットにも影響はあるはず。
これなら、この力ならまだ行けますわ!

シアン (生き残りますわよ! 私も、マゼンダも!!)



………。



リュウ 「…あれが、R2とR3の隠された力か。これならば、まだ耐えられそうだな」

オシリス 『余所見をしている暇があるのかな!?』

ギャギャギャッ!!

リュウ 「クッ…!」

俺はフィールドを展開し、相手の攻撃を受け止める。
幸い、こっちは無尽蔵にエネルギーは供給されている、耐えるだけならば…何とか!

オシリス 『なるほど、消耗戦を仕掛ける気か』
オシリス 『だが甘いぞリュウ! このAntares! それほど甘い機体ではない!!』

リュウ 「!?」

Antaresは右手のライフルを構え、こちらに向ける。
いかに威力があろうが、フィールドを打ち抜く威力はないはず…!

Aurora 『危険、回避を!』

リュウ 「!?」

俺は瞬間的に機体を横にずらした。
瞬間、Auroraの腹部を敵弾が貫く。

バァンッ!!

リュウ 「うぉぉっ!!」

何と、敵弾はフィールドを貫通どころか、弾を直接フィールド内に放ってきた。
正確には弾だけを転移させたのか?
だが、そんな技術が奴等にも…?

ホルス 『あれは、転移砲ではない。あれもあの機体の装甲素材と同様の弾丸』
ホルス 『装甲が破壊できないのと同様、弾も止めることはできん』
ホルス 『あれは、有機物ではないのだ…目に見ることもできはしないだろう』
ホルス 『だが、もう少しだ…耐えろリュウ!』

リュウ (もはや、倒すことも耐えることもできんというわけか!)
リュウ (だが、もう少しとは…一体?)

オシリス (くっ…よもやここまでしぶといとは。これがInfinite Playerか!!)
オシリス 『ぐぅ…ダメか、もはや、私も……』





………………………。





オシリス (何故だ!? 何故あいつが死ななければならなかった!?)

ホルス (手遅れだった…私にも、止められはしなかった)
ホルス (『彼女』は、自らの命で、この計画を…)

オシリス (…確かに、褒められた計画ではない。だが! この計画を成功させることで今の戦いを終わらせることができるんだぞ!?)

ホルス (そうだ、だから我々はこの計画を立ち上げた)
ホルス (だが…彼女の死を受け止めてまで、私は…この計画には)

オシリス (…っ! 私とて…そうだ!!)





………………………。





オシリス (…セト……この機体には、君がいるんだ)
オシリス (私は、いつまでも……君と一緒に……いたい)
オシリス (だから………)

セト (ええ……逝きましょう、もう)
セト (ホルスもアヌビスもそれを望んでくれているわ)

オシリス (ああ…………セト、ホルス……そして、リュウ君………ありがとう)



………。



リュウ 「何だ!? 一体、奴に何が…!」

ホルス 『よくやった…お前の勝ちだリュウ』

リュウ 「ホルス? どういうことだ!」

俺は通信越しにホルス問いただすが、その前に目の前のAntaresが光を失った。
まるで、消え入る蝋燭の様に…ゆっくりと…その炎を、消した。

ホルス 『あの機体は、理論を覆し、この世にあらざる物で作り出した呪われた機体』
ホルス 『いや、機体と言うべきものではないかもしれん。あれは、いわば魂だ』

リュウ 「魂だと?」

ホルス 『かつて、私やオシリスを含めた4人の兵士は戦闘に勝つためだけにあの機体を設計した』
ホルス 『通常の理論を全て覆す、究極の機体』
ホルス 『だが、それは想像を絶する犠牲が必要となった』
ホルス 『その機体を完成させるには、ミクロサイズのシステムチップに人の思念のみを何万と染み込ませる』
ホルス 『結局、当時はその機体が完成することは無かった…ひとりの兵士が命を落としたために』

リュウ 「…なんと言う」

ホルス 『見るが良い、あれがあの機体の正体だ』

ブゥゥゥ…

何か、駆動音が消え去るような音。
そんな音と共にに、Antaresは姿を消し、何も残らなかった。
いや、どうやらチップが一枚残っているようだ、Auroraが検出した。
だが、パイロットは?

ホルス 『オシリスもまた、あの機体と共に天へ帰ったのだ』
ホルス 『呪われた機体には、こう言う最後が相応しいのかもしれん』

理論を全て覆す機体…か。
だが、これで、戦いは……

バァンッ!!

リュウ 「!?」

ババババババババァンッ!!

リュウ 「何だ!? 一体何が…!!」

突然、EDENの機体が片っ端から爆発していく。
何かがいるのか!? だが…一体…!?

リュウ 「あれは!? 羽…?」

そう、形容するなら、羽だ。
大きな羽の形をした機械が次々と人型を襲っていく。
凄まじいスピードと破壊力で、残った人型を一掃していった。
そして、レーダーに一機の人型が映る。
俺たちは全員、その方向を見た。
そこにいるのは、明らかに今までと違う雰囲気を持った機体。
そして、何故か、俺は思った…この機体に乗っているパイロットは、何かが違う、と。

茶倉 「まさか…あの機体、そういうこと、なのか…!!」

セリカ 『何? どういうこと?』

茶倉 「あれは…私やリュウと同じ、Infinite Playerが乗っている!」

彩葉 『ええっ!? って言うことは…』

茶倉 (アルア…やっぱり生きていたのね!! 敵として!!)






































あなたは、彼女がいなくなった理由を知っていますか?

彼女は赤赤い世界にいってしまったのですか?

どうすれば僕もその世界にいけますか?

彼女の歌声が聞こえます

彼女の歌声を追いかけるたびに、魂が浄化されていくのを感じます

彼女はどこにいるのですか?


赤赤く染まる、月の雫、涙、空

哀しみは、声にならないほど、深く


赤赤く染まる、傷つけ愛した一夜

融けだして、心は凍てついていく








































アルア 「…宇宙、戦いが続いている」
アルア 「不浄…全てが」
アルア 「宇宙は乱れている、もう…救えない」
アルア 「だから、私が『浄化』します……この機体『CaptivAte』で」

ウォォォォォン…

何か、呻き声のような声が聞こえた。
そして、赤い渦を謎の羽根着きが吸い込んでいく。
まさか、Antaresの思念を全て吸っているのか!?

羽根突きの機体は蒼い空色のカラーリングをし、細身の女性を思わせる機体。
武装は何も持っておらず、ただ巨大な羽が着いていた。
先ほどはあの羽で高スピードの攻撃を繰り出していたが、あれが唯一の武装だろうか?
どちらにせよ、嫌な予感だけがある。
一体、どうなるんだ? この戦いは…!!

リュウ (一体、いつ終わるんだ! この戦いは!!)

だが、予感はあった。
あの機体を倒せば、この戦いは終わる気がした。
Infinite Playerの勘だろうが、確かな気がした。

アルア 「CaptivAte、浄化を…」

ヒュヒュヒュヒュッ!!

敵機から再び羽が射出される。
およそ、8組、合計16機の羽が敵機から放たれる。
そして、それらひとつひとつが俺たちに目標を定めた。

ヒュンッ!!

茶倉 「上等じゃないの!!」

バァンッ!!

茶倉はバズーカで羽を打ち抜く。
あのスピードに当てたのはさすがだが、羽ひとつとっても、やはり強力。
gigadelicの火力を持ってしても、羽すら落とせないとは…!

アルア 「…? 私と同じ感覚? もうひとりいる?」

茶倉 「くっ…! 羽如きでこの装甲だっての!?」

セリカ 「このぉっ!!」

ギャァァァンッ!!

セリカもブレードをぶつけるが、切り裂くに至らない、まるで撫でたような感じだ。
羽は傷一つ着いていなかった。

ドガァッ!! バァンッ!!

彩葉 「キャァッ!!」

茶倉 「!? くそぉっ!!」

ドガガガァッ!!

桜が羽の体当たりを受け、一気に大破する。
追撃を防ぐため、茶倉がgigadelicで盾になるが、それも一瞬。
2機の羽により、gigadelicはすぐにスクラップへと変わった。

茶倉 (この力…機体だけの力じゃない! さっきのAntaresと同じ、何か怨念めいた力を持ってる!!)
茶倉 (逆に言えば、それを絶てれば、勝ち目はある!!)
茶倉 (だけど、それができるのは、ただひとり…動けるか? あれが…!)



………。



イェロゥ 「くっ…! 敵機、の攻撃によりEDENは全滅! こちらの損害も…ほぼ全壊!?」
イェロゥ 「そんな…まだ数分なのに、あの機体1機でこちらの部隊をあっという間に…!!」

エリカ 「!! こんな所で見ていられるか! 私も出る!!」

イェロゥ 「ダメです! 余った機体は無いんですよ!?」

エリカ 「戦闘機でも偵察機でも良い! このまま死ぬのを見ていられるか!!」

士朗 「必要ない…今、とある機体の整備が完了した」

エリカ 「お前は…?」

士朗 「…士朗だ、が…今はどうでもいい」
士朗 「ここは、あいつに任せておけ…いや、あいつにしかできない」
士朗 「俺たちは、もう…託すしかないんだ」



………。



ナイア 「…はぁ〜」
ナイア 「結局、こうなるのよね…ううん、わかっていた」
ナイア 「あの娘を止められるのは私だけ…」
ナイア 「茶倉はこうなることを予想していた…だから、この機体を完成させた」
ナイア 「one or eightよりも若干軽量化し、加速力は向上! フィールド展開により、重力減少!」
ナイア 「コンセプトは一意専心!! 行くわよ、『侍』!!」



ゴォゥッ!!



………。



リュウ 「…ぐぅ…何と言う」

マゼンダ 「………」

シアン 「うぅ…強すぎる」

すでに俺たちは全機ボロボロで動くこともできなかった。
後1分もあれば確実に全機がバラバラにされるだろう。
人知を超えた機体…Antaresの思念を全て吸収した謎の羽根着き。
恐らくは、あの機体もAntaresと同様に破壊不可の機体。
ダメか…諦めるしかないのか…?

Aurora 『…増、援……で、す』

ノイズだらけのAuroraが最後に報告する。
増…援? 一体、誰が…?

アルア 「…!? この、感覚、は?」

ナイア 「アルアーーーーーーーーーーーーーー!!!」

私は全力で突貫する。
やることは前と同じ! だけど、以前よりも更にスピードアップよ!!
後がどうなろうと知らない! ただ、あの娘は私が止める!!
物理的攻撃は聞かないのでしょうけど、この一撃にはねぇ…

ナイア 「私の想いが全部詰まってるのよ!! 吹き飛べ怨念ーーーーー!!」

ドッ! ガキャァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!

アルア 「!? 損、傷? CaptivAteに…傷?」
アルア 「何…これ? どうして、こんな……あれ? これ…? 涙?」
アルア 「!! お、姉…ちゃ……」

バァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!



リュウ 「……」

一撃だった。
one or eightと同じ剣を携え、一刀両断にしたその巨大な特機は、一撃で羽根着き撃破した。
だが、その一撃は重かった…物理的にではない…まるで、家族の愛が詰まった…そんな一撃に見えた。

ナイア (……アルア…天国で待っててね、いつか、謝りに行くから……必…ず………)

リュウ (ナイア…自分で、断ち切ったのか…全てを背負う覚悟で)

あの機体にはナイアにとって大切な人が乗っていたのだろう。
あの機体が思念や怨念と言った類で強化されていたのなら、それを断ち切るのも人の思念か。





………………………。





戦いは、終わった。
奇跡的にか、誰一人死ぬ者はいなかった。
短い間だったが、長い戦いのように思えた。
俺たちSCREAM SQUADはチームとして、そのまま共に歩むことを決め、同じ道を歩むことに決めた。



『戦いより10日後 惑星5.8.8. SS本部』


リュウ 「…そうか、結局俺が最後だったか」

セリカ 「もう! 心配したんだから!! でも無事でよかった♪」

セリカは俺の無事を確認すると、抱きついてきた。
が、すぐに後ろから引っぺがされた。

セリカ 「きゃんっ! 何するのよーー!!」

茶倉 「この小娘! 私のリュウに何してんのよ!!」

セリカ 「ふんだ! 誰の者でもないもん!! ねっ!?」

リュウ 「………」

この光景も久しぶりに感じる。
平和でいいのか…これも。
だが、俺は今日はここで戯れるために立っているのではない。
今日は、ある人物に会うために、人を待っていた。

茶倉 「…来たわね」

セリカ 「わぁ〜、確か王様でしょ? 何か緊張するなぁ…」

茶倉 「用があるのはリュウよ、あんたじゃないわ」

セリカ 「そ、それはわかってるけど…むぅ、一言多いのよ」

セリカは頬を膨らませて、ぷいっとそっぽを向く。
全く…それで緊張しているのか本当に。

キラー 「失礼、待たせてしまったな」

リュウ 「いや、早めに待っていただけです、気になさらず」

キラー 「ふふふ…堅くならなくて構わないよ、苦手なのだろう?」

リュウ 「…む」

一瞬で見破られる。
さすがと言うべきか、これが王と呼ばれる者の資質か。

リヒト 「キラー様、時間はあまりありません、すぐにでもお話を」

キラー 「うむ…そうだな」
キラー 「リュウ君、折り入って、君に頼みがある」

リュウ 「? 何をです?」

キラー 「私の娘を預かってもらいたい…」

イェロゥ 「………」
シアン 「……」
マゼンダ 「……」

キラーの横から歩いてきたのは、イェロゥたち3姉妹だった。
戦いの後、キラーの頼みで3人はGiudeccaに帰ったのだが…

リュウ 「どういうことです? 3人はあなたの娘なのですか?」

キラー 「…養女だがな。正確にはタッシュの実験により生み出された子供なのだ」

リュウ 「!! 実験体…」

キラー 「うむ、私はとある事情により、遠くの銀河に遠征に行っていた」
キラー 「その間に、この娘たちは生み出され、タッシュの計画の下、駒とされたのだ」
キラー 「前に私が戻った時、この娘たちはすでに幼いながらも戦いに駆り出されていた」
キラー 「私はそんな親も知らぬ少女たちを見ておけず、自らの養女としたのだ」

リヒト 「だが、その後再びキラー様が遠征に出かけた時、タッシュは3人の記憶を抹消」
リヒト 「新たに記憶を植え付けられ、戦闘兵へと変貌させられた」
リヒト 「…お前の恋人、エリカも同じ頃に攫われ、記憶を操作されたようだな」

キラーの腹心、リヒトの口からそう語られ、俺は憂う。
エリカだけじゃない、この娘たちも、被害者なのだ。

リュウ 「ならば、余計にあなたが一緒にいるべきだ」
リュウ 「子供は親と共にいる方がいい」

キラー 「…私は、再び遠征に出ねばならないのだ」
キラー 「Giudeccaの母星とは別の行動となるため、子供たちには良くない影響が強い。
キラー 「娘たちには、もっと普通の日常を歩ませたいのだ…だから、頼みたい」
キラー 「君の部隊ならば、きっと娘たちも楽しくやっていけるだろう」

リュウ 「ですが…」

シアン 「リュウ様! 私はリュウ様の側にいとうございます!!」

リュウ 「シアン…」

開口一番、最初に言ったのはシアンだった。
マゼンダとイェロゥもまたそれを望んでいるようだった。

キラー 「娘たちも、この様に君たちの元にいたいと思っている」
キラー 「もう一度頼む…どうか、娘たちを預かってもらえないか?」

そう言って、キラーは頭を下げた。
さすがに王と呼ばれる人間にここまでさせるわけにはいかない。
俺は、了承することにした。

リュウ 「わかりました、頭を上げてください」

キラー 「…そうか、すまない」
キラー 「最後に、もうひとつ…今度はエリカ君のことについてだ」

リュウ 「!? エリカは…」

エリカはあれから俺たちと『とりあえず』一緒にいた。
だが、あれからエリカは俺たちとは距離を開け、進んで口を開いたり接触したりはしなかった。
いわば、他人同然だ。
それも仕方がない…それを受け入れていかねば。

キラー 「こんなことで許されることではないが、タッシュの過ちは私の過ちだ」
キラー 「タッシュは私のいない間にGiudeccaを代理で纏めるためのクローン」
キラー 「だが、私の意志とは別に、タッシュは野心を持ってしまった」
キラー 「自分がクローンであることに心を痛め、あの様な戦いを起こしたのだ」
キラー 「私が、もっとタッシュと接していれば、こんなことには…」

リヒト 「キラー様…」

そうか…タッシュにはそんなことが。
まさかクローンだったとはな。

リュウ 「…気にすることはありません、エリカのことは受け入れています」
リュウ 「俺はまた、エリカと時間をかけて接していこうと思います」
リュウ 「ですから、この件は忘れてください」

キラー 「君は、強いな…そして、素晴らしい男だ」
キラー 「娘たちが一目置くだけはある、だが…私には罪を受ける必要がある」

リヒト 「キラー様!?」

ズバァッ!!

キラーは懐から短剣を取り出し、それで自らの顔を傷つける。
鼻の上を横一文字に切り裂き、血が吹き出した。
かなり深い傷だ、自ら傷を負うとは…それも王としての立場か。

キラー 「こんなことで、君の心が軽くならないのはわかっている」
キラー 「だが、私はこうすることで、罪を背負おう…罪から逃げたまま、娘たちと向き合うことはできはなしない」

イェロゥ 「…お、お父さん」
シアン 「お父様…」
マゼンダ 「親父…」

キラー 「…行くが良い娘たちよ」
キラー 「きっと、またすぐに会える」
キラー 「今度会ったら、一緒に外に出かけよう」
キラー 「その時は、お前たちの好きな物を聞かせてくれ」

イェロゥ 「…はい、お父様」
シアン 「はいっ」
マゼンダ 「…うん」

キラーは傷をハンカチでぬぐい、背を向けた。
リヒトが心配そうな顔をしているが、特に問題はないようだ。

リュウ (あれが、父親と言う者か…俺もいずれ、子ができればわかるのだろうか?)

マゼンダ 「…まっ、これからよろしく頼むわ」

シアン 「リュウ様! これからもお側に置いてくださいね♪」

セリカ 「あーー!! いきなり何やってるのよ!!」

茶倉 「さっさと離れろ小娘2!!」

シアン 「べー! ですわ! 年増のおふたりはお引きくださいませ♪ リュウ様に相応しいのは私です!」

茶倉 「こんのぉ! しばく! 絶対しばく!!」

セリカ 「力づくはどうかと思うけど…引っぺがすのは賛成!!」

シアン 「きゃーん! リュウ様ーーー!!」

マゼンダ 「何やってるのよ…一体」

イェロゥ 「ふふ…これから楽しくなりそうね」



………。



キラー 「ふふふ…」

リヒト 「キラー様?」

キラー 「いや、面白くてな…私と一緒でもああやって声に出して大きな声は出さなかった娘たちが」
キラー 「やはり、子供にはいるべき場所という物が必要なのだろう」
キラー 「それは、私のいる場所ではないのだろう…」

リヒト 「…心中、お察しいたします」

キラー 「…うむ。これより遠征に入るが、『DistorteD』の様子は?」

リヒト 「…現状、少しづつですが進行しております」
リヒト 「恐らく、そう遠くない未来に」

キラー 「…そうか、では、『P』の方は?」

リヒト 「現状、動きはありません、こちらに関してはまるで未知数、予測もできません」

キラー 「…わかった、今回の遠征は主に後者を調べる」

リヒト 「了解です…またしばらくは、会えませんね」

キラー 「仕方の無いことだが、娘たちなら大丈夫だろう」
キラー 「彼らの元なら、きっと…な」





………………………。





『それから2時間後 SS本部・会議室兼談話室』


リュウ 「と言うわけで、また3人と一緒に行動することになった」
リュウ 「自己紹介は今更だが、形式として一応な…」

イェロゥ 「…イェロゥです、HORIZONの艦長を任されます、以後よろしくお願いいたします」

そう言ってペコリとお辞儀をし、一歩下がる。
そして次はシアンが。

シアン 「シアンですわ、R3のパイロットでリュウ様直属の、いえ! 恋人候補ですわ!!」

セリカ 「ぶーぶー!」
茶倉 「ふざけんな、小娘2!」

ふたりほど何やら異論を唱えたが、気にしないことにした。
最後はマゼンダだ。

マゼンダ 「マゼンダ、R2のパイロット、いじょ」

エレキ 「って、短っ! まぁ、いいけど…」

彩葉 「ふふっ、また賑やかになるねっ」

鉄火 「確かに! まぁ、その方が楽しいぜ!」

FB 「よろしゅうな、3人とも〜」

ホルス 「………」

ガルマン 「よろしく頼む」

クール 「また、よろしくですね!」

士朗 「…よろしく頼む」

アクティ 「また、一緒に頑張ろうね♪」

エリカ 「………」

ひとり、後ろに佇むエリカの姿がやけに目立った。
ひとりだけ3人を見ることもせず、ただ俯いていた。
まるで、そこにいるのが相応しくないような、そんな表情。

ナイア 「ほら! あんたも挨拶する!」

エリカ 「あ…」

ナイアが無理矢理エリカの手を掴んで、手を振らせる。
それを見てか、イェロゥが微笑んだ。
エリカは少なからずそれを見て、嬉しかったようだ。

ジルチ 「これでまた女性陣が追加か…」

孔雀 「まぁ、いいじゃねぇか! 華がある方がいいぜ! G2ん時じゃ味わえなかったからな♪」

ジルチ 「そりゃ言えてる…」

ナイア 「あんたたちも、しっかり働くのよ? やることは山ほどあるんだから!」

ジルチ 「へ〜い」
孔雀 「へ〜い」

後ろでは何やら色々やりとりがあるようだが、今は気にしないでいた。
そして、あらかた挨拶が終わった所で、俺はエリカの元に向かう。



………。



リュウ 「…エリカ」

エリカ 「……」

エリカは俺を見ようとはしなかった。
記憶にはもうない。
だけど、今から作る記憶はある。
俺は優しく微笑み、エリカに語りかける。

リュウ 「エリカ…少しづつでいい、変わっていこう」

エリカ 「…え?」

リュウ 「俺はいつまでも、お前を想う」
リュウ 「お前は、自分が思う様に生きてみればいい」
リュウ 「ただ、それは俺たちと一緒に歩いてほしい」
リュウ 「ひとりじゃない、俺たちも一緒に…だ」

エリカ 「一緒、に」

イェロゥ 「そうです、皆で一緒です」

セリカ 「そうそう! だって家族だもん!」

リュウ 「そうだ、家族だ!」

エリカ 「…家族」

エリカは俯きながら、その言葉を噛み締めているようだった。
今はこれでいい、少しづつ変わって行こう。
エリカはここから変わっていく。
0に戻っても、また数え直せばいい…それだけの時間は幸いまだ残されている。
歩んでいくにはまだ十分だ。
俺は、そんなエリカと一緒に歩こう…皆と共に。










戦いは終わった…

悲しくも辛い出来事を超え、俺たちはまた歩き出す


この先には何が待っているのだろうか?

人の生とは、長いものだ…

それだけに多くの出来事が俺たちを待ち受けているだろう


だが、俺たちは負けはしない


皆と共に歩むために


愛する人を守るために


そして、家族のために…



俺たちは、再び歩んで行く……道を間違えないように、皆で一緒に











… The End …



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