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第4話 「ミス・ガイア」

司会 「さぁ! お次の審査だぁー!! 次の審査は『ザ・コスプレ!!』」

オオオオォォォ!!!

会場の揺れるような声援と供に、第3審査が行われる。

ユウ 「コスプレ…?」

要するにコスチュームプレイのことだよな?
選手が全員、着替えのためしばらく会場からいなくなる。
その際10分間のインターバルが行われる。
ちょうど一息つけるな。
あらかじめ用意されている出店で俺は飲み物を購入し、近くの椅子で一息つく。

ユウ 「バルも一息ついたらどうだ?」

バル 「そうだな…」

バルも飲み物を買い、俺の隣に座り、一息つく。


………。


ガイ 「よっ、お疲れさん! これ差し入れだぜっ」

ガイが俺たちに夜食を差し出す。

ユウ 「サンキュッ」

バル 「……」

俺たちはそれを受け取り、すぐに平らげる。
すると、間もなく第3審査が始まる。


会場がブラックアウトし、司会だけが照らされる。

司会 「さぁてぇ!! 皆さんお待ちかねぇ!! 第3審査の開始だーーー!!!」
司会 「ルールは単純明快!! 選手のコスプレを見て、皆さんに人気投票してもらうというのものだ!!」
司会 「ちなみにこのコンテストはポイント制で振り分けられるぞー!?」
司会 「まずは気になる順位表だ!!」
司会 「1位! ルーシィ選手!」
司会 「2位! ネイ選手!」
司会 「3位! エイリィ選手!」
司会 「4位! レイラ選手!」
司会 「5位! レイナ選手!」
司会 「同率5位! ミル選手!」
司会 「7位! ウィル選手!」
司会 「同率7位! ユミリア選手!」
司会 「前も言ったが、これは僅差で、コンテストはまだまだこれからだぁ!!」
司会 「それでは! 選手の美しい姿を、特とごらんあれぇぇぇっ!!!」

ワアアアアアァァァァァ!!!

まさに会場が振るえる。
そして、最初に姿を現したのは…。

ユミリア 「……」

ユウ 「うおっ!」

まずはユミリアさん。黒く、露出度の高い服、そして蝙蝠の翼に大鎌を持つ姿はまさに悪魔…。
突然、シリアスな感じがするな。ユミリアさんもそれなりの顔してるし、顔のメイクもかなり凝ってる。
しかし、俺にはこっちの方が妙に馴染む気がする。
見たところ、割と体育会系の男どもに受けているようだ。
そして、間を少し置いてから、次の選手が現れる。

ウオオオオオォォォォォッ!!!

ウィル 「ふっふ〜ん♪」

ユウ 「……」

これまたとてつもなく露出度の高い服…。
胸のラインが完全にわかるほどのもので、腹等は完全に丸出し。
スタイルがいいウィルさんならではの服だな…。
寒くないのかな…?
等と思うが気にしないでおく。
こんなの見たら、年頃の男は暴走するぞ…。

ウィル 「ふふん、まだまだよ…」

オオオオオオオオォォォッ!!!

ウィルさんは突然その場で踊りだす。
ただでさえ窮屈そうな服なのに、動くことでさらにラインがくっきりと現れる。
一部の男は興奮に耐え切れず、倒れてそうだ…。
そして、それに見とれているうちに次の選手が現れる。

ミル 「にゃは〜…っ」

ウオオオオオオォォォォッ!!!

ミルの姿はご存知、3大萌え要素のひとつ。メイド服だ!
ちゃんと、モップも所持しており、ちょこちょこと歩く姿は可愛いの一言。
黒と白のコントラストで、ミルのそことなくはにかんでいる表情が男どもの脳髄を直撃する。

ミル 「にゃは〜…」

そこでミルは耳をぴょこぴょこ動かす。
可愛すぎる…。

ユウ 「っていうか…」

服装とか選んでるのは誰だ…?
妙な疑問が浮かんだが、すぐに忘れることにした。
すると、次の選手が…(以下略)

ワアアアアァァァァッ!!!

レイナ 「………」

レイナはなんとナース服で登場する。

ユウ 「!?」

しかも何故か翼が白い…。
どういうメイクだ!?

ウオオオオオォォッ!!

ちゃんとカルテを片手にちょぼちょぼと歩き出すその姿は新米ナース。
これまた若い男性の脳髄を貫通だ…。
そして次の…(以下略。断じて書くのがめんどくさいからではない!by作者)

オオオオオオオォォォォッ!!!

レイラ 「………」

レイラは紅いチャイナドレスで登場。
未だにチャイナの意味がわからない謎の服だが、露出度も高く、オタクなやつらどもには人気は高い。

レイラ 「……!」

レイラはその場で演舞を開始する。
いわゆる拳法と言う奴だ。
いつの間にあんな独特の武道を…。
そして、次の選手が現れる。

ワアアアアアァァァァァァッ!!!

エイリィ 「……」

エイリィは割とシンプルに森の民と言う奴だろう。
葉っぱや木などで服を作っており、露出度は割と高め。
そして、弓を引くその姿は何となくフィリアさんを思い出す。

ユウ (同じエルフだもんな…)

こういうのは、オタクとかよりもむしろ真面目そうな男に受けがいいようだ。
そして次の選手が…。

ネイ 「…ととっ!」

いきなり転びそうになってネイが現れる。

オオオオオオオオォォォォッ!!!

ユウ 「……」

巫女服か…。
一体どこで入手してるんだか…。
まさか、誰かが作ったのか?
多分そうだろうな…。

ネイ 「う〜。動きにくいよぉ…わっ!?」

ドスンッ!

ネイは途中で転んでしまう。

ネイ 「ふぐ…痛いよぉ〜」

ワアアアアアアアアァァァァァァッ!!!

一際歓声。
涙ぐむネイの表情が、会場を揺らす。

ユウ 「……」

考えるのよそう…。
一瞬で結論が出た。

ネイが起き上がるのと同時に、最後の選手が現れる。

ルーシィ 「……」

ウオオオオオオオオォォォッ!!!

会場がまた揺れる。
ルーシィの服装はいわゆるお姫様だ。
白の下地に銀の装飾を施し、銀の髪飾り。
ルーシィもこの時ばかりは大人しく見える。

ユウ (…いや、元は大人しいのか?)

何となく昔を振りかえるが、あいまいな記憶ばっかりだった。


司会 「さぁてぇ! 皆さん堪能していただけたでしょうか!? ではこれより人気投票の時間です!!」


………(投票中)


ちなみに俺とバルは投票してない。
ガイは聞いてみたが教えてくれなかった。


司会 「さて!! 集計が終わりました!! 結果はぁっ…!?」

ダダダダダダダダダダ…

何やらドラム音が鳴り響き。

司会 「それでは! 現在の順位を5位から読み上げます!!」
司会 「5位ぃ!! ユミリア選手! そしてレイナ選手!!」
司会 「4位ぃ!! エイリィ選手!!」
司会 「3位ぃ!! ルーシィ選手!!」
司会 「そしてぇ、2位ぃぃぃぃはぁっ!? レイラ選手ーーー!!」
司会 「お待ちかねぇ!! 現在の1位はぁっ!?」

ダダダダダダダダ…

ジャン!!

司会 「ネイ選手だぁぁぁぁっーーーーー!!!」

おおおおおおおおおぉぉぉぉぉっ!!!!

一際歓声が上がる。

ユウ 「……」

今のところはガイの言った通りになったな。

司会 「しかぁぁぁぁしっ!! まだ審査は後ふたつもある!! 安心するのは早いぞぉー!!」

ユウ 「………」

まだあるのか…?
そろそろ無理がないかこの企画?
大体、美少女コンテストとか言ってる割にユミリアさんやウィルさんが出てる時点で微妙に感じるし…。
単なるミスコンでは…?
いまさらながらそう思う。

司会 「それでは次の審査の準備を行うため、今一度10分間のインターバルを挟みます!!」


………。

ユウ 「…とんでもなくなってきたな」

バル 「何を今更…」

ユウ&バル 「………」



司会 「それではお待たせしましたぁーーーー!! 次の審査は5本勝負だーーーっ!!」

今度は何が出るやら…。

司会 「まず! 第1本目!! アァァァァムゥッ!! レッスリィィィングゥ!!」
司会 「単純に力が要求されるぞぉ!? さてそれではトーナメント方式でGOだ!!」
司会 「1回戦!! ネイ選手VSレイラ選手!!」

ワアアアアアァァァァッ!!!

ふたりが現れ、中央の机にふたりは腕を乗せる。

ユウ 「……」

どうなるんだ…?
単純にネイは力は高い。
しかし竜族というだけあってレイラも半端じゃないだろう…。
後は気合で決まる。

ネイ 「……」

ネイは表情からすると気合は乗ってる。
レイラは…?

レイラ 「………」

全くわからん…無表情すぎる。

司会 「準備はいいかぁ!? レディィィィ!! GO!!」

合図と共に両者の腕に力が入る。

ネイ 「!?」

レイラ 「………」

両者その場から全く動かない。

ユウ 「互角か…?」

バル 「いや…」

ネイ 「わっ!?」

バアァンッ!!

途端に大きな音。
レイラの一方的勝負だ。
ネイもそれなりに力は高いんだがなぁ…。

司会 「さぁて、どんどん行くぞー!? お次はルーシィ選手VSエイリィ選手ー!!」

ユウ 「…わからん」

エイリィはエルフだが力が特別高いわけではないし。
ルーシィは普段からは全く想像できん。

エイリィ 「……」

ルーシィ 「……」

この時は珍しくルーシィも真剣な表情をしている。

司会 「レディィィィッ!! GO!!」

エイリィ 「ふっ!」

ルーシィ 「!?」

ダンッ!

勝負は一瞬。
勝者はエイリィだ。
さすがに普段から月光亭で働いているだけあって基礎体力はできてるな。

ルーシィ 「…こんなの無茶よ」

司会 「さぁ次は!? 3回戦はレイナ選手VSユミリア選手!!」

ユウ 「無理だろ…?」

バル 「……」

レイナ飛翼族だけあって、腕力は無いに等しい。
ユミリアさんは片手で大剣振り回せる怪力。
心なしか、ユミリアさんが微笑を浮かべてる。
レイナは諦めきった表情だ。

レイナ 「……」(泣)

ユミリア 「……」

司会 「レディィィィッ!! GO!!」

ダァンッ!

これまた一瞬。
当然ながらユミリアさんの勝利だ。

司会 「さて4回戦は残ったふたりに登場だ!!」

ミル 「うう…こういうのは苦手だよ」

ウィル 「やっと私にもツキが回ってきたわね!!」

ウィルさんは高笑いを上げ、準備をする。

司会 「レディィィィッ!! GO!!」

ウィル 「おりゃあ!」

バアァンッ!!

一瞬。
さすがはウィルさん。
ミルは力が弱いわけじゃないが、どっちかって言うと瞬発力だからな。

司会 「さて…じゃあ次はワーストの決定だ! まずはネイ選手VSルーシィ選手!!」

ネイ 「ようし…」

ルーシィ 「はぁ…」


……以下略。


ネイ 「やったー!」

ルーシィ 「……」

司会 「次は! レイナ選手VSミル選手!!」

レイナ 「うう…まだ手が痛いのに」

ミル 「手は抜かないよ?」


……以下略。


レイナ 「うう…やっぱり手が痛い」

ミル 「よっし!」

司会 「さぁ、時間も詰まってるからどんどん行くぞー!? 次はレイラ選手VSエイリィ選手だ!!」

ユウ 「終わったな…」

さすがにあれは無理だろ?


……以下略。


レイラ 「……勝った」

エイリィ 「化物ね…」

司会 「さぁてぇ! 決勝に進むのはどっちだぁ!? ユミリア選手VSウィル選手!!」

ユミリア 「…面白い勝負なりそうね」

ウィル 「勝負は勝負! 先生だからって手加減はしないわ!!」

両者共に気合は十分。意地でも勝つ気だな…。

司会 「レディィィィッ!! GO!!」

ユミリア 「はぁっ!!」

ウィル 「このおっ!!」


………。


全く動かない。

ユウ 「根比べか…」

バル 「……」

ユミリア 「くぅ…!?」

ウィル 「負けるもんかぁ…!!」


………。


徐々にウィルさんの方が押し始めている。
気を抜いたら…。

ユミリア 「!!」

ダアァンッ!!

ウィル 「よっしゃーーーー!!」

ウィルさんは歓喜の声をあげて喜ぶ。

わああああああぁぁぁぁっ!!

会場もそれに合わせて盛り上がる。
いい勝負だった…。

司会 「さぁ、3位4位を決定するぞー? エイリィ選手VSユミリア選手だ!!」

エイリィ 「ごめんなさい…棄権するわ」

司会 「お〜っとぉ? ここでエイリィ選手棄権を宣言しました。と言うことは自動的にユミリア選手が3位だ!!」

ユミリア 「あらあら…だらしないわね。今なら疲れてるのに」

エイリィ 「無理ですよ…」

司会 「さぁ! ついに来ました最終決戦!!」
司会 「力の称号を貰うのはどっちだぁ!?」

レイラ 「………」

ウィル 「……」

ウィルさん、いつに無く気合が入ってるな。
何がなんでも勝ちたいって顔だ。

司会 「それではっ! 決勝戦!! レディィィィッ!! GOォ!!」

レイラ 「……」

ウィル 「せいやあああああぁぁぁっ!!」

バアァァァァンッ!!

まるで爆音。
で結果は…?


レイラ 「………」

ウィル 「いったぁぁぁぁいっ!!」

ウィルさんの腕が変な方向に曲がってる…。

ウィル 「ちょっと! 何でそんなに涼しい顔してるのにそんなに強いわけぇ!?」

レイラ 「………」

レイラは俯いてしまう。

ウィル 「悔しい〜! こんなのアリ!?」

司会 「決まりました!! それではここでポイント清算です!!」

ダダダダダダダダダ…

シャン!!

司会 「3位! エイリィ選手、ユミリア選手、ルーシィ選手ー!!」
司会 「2位!! ネイ選手!!」
司会 「そして1位はレイラ選手だーー!!」

ユウ 「意外に荒れたな…」

バル 「まぁ、単純な力比べなら妥当言う所か」

ユウ 「確かに」

今更ながらに思ったが、昔のシャールさんとかだったらこういう大会好きそうだよな…

司会 「さぁ、『力』に続いて次は『技』の競技!」
司会 「ルールは単純ひとつの箱を紐でちょうちょ結びにしてくれ!」
司会 「早くできた順番でポイントが入るぞぉ!」

司会が言い終わるとすでに机の上には箱が乗っており、その横に後7つあった。

司会 「さぁ、まずはレイラ選手からだ!! ちなみに制限時間は10秒だ!」
司会 「レディィィィッ!! GO!!」

レイラ 「…?」

レイラは全く手が動かない。

ユウ 「もしかして…意味わかってないんじゃ?」

バル 「それ以前にちょうちょ結びを知っているのか?」

そして、無常にも時間は終わる。

司会 「はいそこまで! じゃあ次の選手だ!!」

レイラ 「???」

レイラは意味不明のままだった。


ウィル 「ふふんっ、見てなさいよぉ…!」

司会 「レディィィィッ!! GO!!」

ウィル 「おりゃあ!!」

シュバババッ!!

ユウ 「おお! 手が見えない!?」

司会 「これは凄い! 所要時間は…1.7秒!?」
司会 「しかも紐の左右の狂いも全く無い!!」

オオオオオオオオッ!!

司会 「さぁ、まだまだこれからだ! 次の選手どうぞ!」

ユミリア 「う〜ん、こういうのは得意じゃないわね」

司会 「レディィィィッ!! GO!!」

ユミリア 「よっ!」

司会 「所要時間3.2秒! これも早い!」

ユミリア 「こんなものでしょうね…」

司会 「さぁ、どんどん行くぞー!!」


………以下略。


その間、エイリィ2.6秒、ルーシィ4.1秒、ネイ6.3秒、ミル5.1秒。
そして…真打登場である。

司会 「さぁ、現在はウィル選手の1.7秒が最速! これを超えれるか!? レイナ選手ーーー!!」

レイナ 「……」


ユウ (レイナの器用さは折り紙付だが…はたして?)

司会 「レディィィィッ!! GO!!」

レイナ 「!!」

一閃。
まさにその言葉が相応しかった。

司会 「あ…え? しょ、所要時間は…?」
司会 「……れ、0.9秒!?」

ウオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォッ!!!!

これまでに無い歓声。
たかだかちょうちょ結びで何でこんなに盛り上がれるんだ…?

司会 「これは凄い!! もしかしたら世界新では!?」
司会 「さぁてぇ! 集計の結果だ!!」
司会 「第4位!! ウィル選手、ユミリア選手、レイナ選手!!」
司会 「第2位!! エイリィ選手、ネイ選手!!」
司会 「そして1位は未だにレイラ選手だ!!」

オオオオオオオオオォォォォォッ!!

司会 「さぁ、次は『知』の競技だ! これまた単純明快! 計算問題の早説きだー!!」
司会 「プリントに書かれている計算問題10問を1分以内に解いてくれ!」

ウィル 「なぁんだ楽勝じゃない♪」

ユミリア 「やれやれね…今更こんなことやることになるとは」

ネイ 「うう…苦手だよ」

ミル 「…私もあんまりかな?」

ルーシィ 「……」

エイリィ 「ふぅ…」

レイラ 「???」

レイナ 「う〜ん」

司会 「それでは!! レディィィィッ!! GO!!」

司会の合図と共に、一斉にそれぞれが答案用紙に向かう。


・………。


ウィル 「ハイ終わりっ」

ユウ 「はえぇ…」

バル 「20秒かからなかったな」


………以下略。


司会 「さて、結果だ! 上から行くぞ! ウィル選手17秒!!」
司会 「ユミリア選手21秒!!」
司会 「ルーシィ選手28秒!!」
司会 「レイナ選手38秒!!」
司会 「エイリィ選手39秒!!」
司会 「ミル選手47秒!!」
司会 「ネイ選手56秒!!」
司会 「レイラ選手タイムアウト!!」

ワアアアアアアァァァァッ!!!

司会 「それでは集計結果だ!!」
司会 「今回はかなり荒れたぞ〜!? 第3位!! エイリィ選手、ルーシィ選手、レイナ選手!!」
司会 「第2位!! ユミリア選手、レイラ選手!!」
司会 「第1位!! ウィル選手ーーー!!!」

ユウ 「あらら…ネイがランクアウトしちまったな」

バル 「……」

司会 「さてお次は『芸』の称号だ!! 断じてあっちじゃないぞ!? 画力勝負だ!!」
司会 「ルールは単純! 3分以内に好きな絵を書いてくれ!!」
司会 「後は皆さんの人気投票で決まるぞ〜!!」
司会 「それではっ! レディィィィッ!! GO!!」

いつの間にか皆の机の上には答案用紙の変わりに新しい白紙が用意されていた。
そして、それぞれが鉛筆を取って描き始める。


………。


司会 「ハイそれまでーーー!! それでは順に見せてもらいましょう!」
司会 「まずはウィル選手!!」

ウィル 「う〜ん」

司会 「これは…山ですか?」

ウィル 「そうよ! 見ればわかるでしょ? ちゃんとグラデーションもつけてるんだから!!」

司会 「おお…確かに」
司会 「ではユミリア選手!!」

ユミリア 「は〜い」

司会 「これは…何ですか?」

ユミリア 「…何ってベッドよ」

司会 「…ああ、でも形が…」

ユミリア 「ダブルベッドで二段ベッドなのよ!!」

司会 「は、はぁ…」

ユミリア 「さらにここを見なさい!! 二酸化マンガンも置いてるのよっ!!」

ユウ (…で?)

会場 「………」

司会 「は、はい…わかりました。次の人…レイラ選手」

レイラ 「………」

司会 「………」

レイラ 「……」

司会 「えっと…これは?」

レイラ 「…私の兄上」

会場 「………」

司会 「よ、よくわかりました…それではエイリィ選手」

エイリィ 「……」

司会 「ほうこれは…」

それは素人目にも見てわかる『月光亭』である。
さすがに素人だから細かい所はわからないが、大まかに見てわかるだけに良くできてると思う。

司会 「さぁ次の選手、ルーシィ選手」

ルーシィ 「……」

司会 「ほう…ピアノですね」

ルーシィ 「……」

司会 「いいですねぇ…たった2色でこれほど表現できるとは」
司会 「それではレイナ選手」

レイナ 「は、はい…」

司会 「鳥…ですね?」

レイナ 「はい…鳩です」

司会 「Simple is bestですな…では次の選手ネイ選手」

ネイ 「えっとえっと…『いつもの』ーーーー!!」

司会 「は…?」

ネイ 「だから『いつもの』」

ユウ 「………」

バル 「………」

エイリィ 「………」

エイリィはツッコまなかった。

司会 「た、食べ物ですね…それはわかります。ちゃんと形は先鋭ですし」
司会 「で、では最後にミル選手」

ミル 「は〜い」

司会 「これは…おおっ」

オオオッ…

会場が静かに反応する。

司会 「して題目は?」

ミル 「猫の日向ぼっこ」

司会 「成る程…縁側で寝てる猫にも表情が感じられますね」
司会 「それでいて、背景の細かさも見逃せない…」

ユウ 「っていうか、どうやって3分でかけるんだ?」

司会 「これはパースも使ったんですか!?」

ミル 「うん! じゃなきゃ背景がおかしくなるでしょ?」

司会 「…それでは、皆さん御投票お願いします!」


………(投票中)


司会 「それでは集計結果!! 第2位! ネイ選手、ユミリア選手、レイナ選手、レイラ選手!!」

ユウ 「固まってんなぁ…」

司会 「第1位!! ウィル選手!!」

ウィル 「ふっふっふ…私の時代。すなわち私のLegendの始まりよ!!」

司会 「さて…5本勝負も大詰め。最後の称号はこれだっ!! 『運』」

ユウ 「らっき〜?」

バル 「だな」

司会 「ルールは至ってシンプル! トランプのカードを1枚引いてもらって、数が多い方が勝ちだ!! ただしAのみKの上なので注意!! もちろんジョーカーは無条件で最下位だ!」
司会 「ちなみに、トランプは私が切らせてもらいます!!」
司会 「それでは好きな方からどうぞ!!」

ウィル 「私から行くわ!」

シュバッ!

ウィル 「……」(にや)

ウィルさんが不適に微笑む。

ウィル 「Aよ…」

司会 「お〜っと…ただでさえ1位のウィル選手。ここでリーチかぁ!?」

ネイ 「次私ー!」
ネイ 「あ、Jだ〜」

司会 「これもいい数字だ…」

レイナ 「じゃあ、私が…」
レイナ 「Kです」

ネイ 「あう…いきなり負けてるし」

司会 「さぁ、どんどん行きましょう」

ユミリア 「それじゃあ私が」
ユミリア 「あら残念…3だわ」

エイリィ 「次は私…」
エイリィ 「Aよ」

司会 「お〜っとぉ、これはこれは…ちなみに同じ数字の人間は最後に決定戦だ!!」
司会 「ちなみに、決定戦で負けた物は自動的に最下位になるというドボン付だ!!」

ウィル 「……」(ぴくっ)

ユウ 「まだわからんようだな」

ミル 「つっぎ私〜」
ミル 「あう〜…4」

ユミリア 「私よりかは上よ」

ミル 「でも下から2番…」

レイラ 「……」
レイラ 「……6」

ミル 「やっぱり負けてるし…」

ルーシィ 「最後ね…」
ルーシィ 「……4」

司会 「おっとぉ、また決定戦のひとりが…」
司会 「それでは決定戦!! 下から行きましょう!!」

ミル 「うう…これ以上下がるのは」
ミル 「3。更に下がったぁ…」

ルーシィ 「…9」

司会 「これでミル選手がドボンだ!!」

ミル 「うう…」

司会 「しかぁしっ! 次で最上階と最下位が決定するというドラマが待っている!!」

ウィル 「私の今のツキは半端じゃないわよ…?」

ゴゴゴゴゴゴゴ…

ウィル 「………」

会場 「………」

ウィル 「……ふっ」

ユウ 「やったのか?」

ウィル 「………燃えたわ。燃え尽きたわ…真っ白に」

司会 「おっと〜ジョーカーだ…これで強制的に最下位決定!! エイリィ選手が1位!!」

ウィル 「………」(がくっ)



ルナ 「ま、まぁ、人生こんなものよね…?」


司会 「ちなみにこの『運』試しはノンフィクションだー!」
司会 「さて、では集計結果を報告します!!」
司会 「第5位レイラ選手! 第3位ウィル選手、ネイ選手! 第1位! エイリィ選手、レイナ選手!!」

ユウ 「荒れてきたな…しかし、後は最後の審査を残すのみ」

司会 「さぁ、ついに審査も大詰め!! いよいよオーラスです!!」
司会 「最後の審査は…」

ダダダダダダダダダダダダダ…!!

シャアァンッ!!

司会 「性格判断だーーー!!」
司会 「ルールは単純明快、至ってシンプル!!」
司会 「それぞれの選手に愛を語ってもらい、会場の皆様に人気投票してもうだけ!!」
司会 「つまりは、会場のタイプ片寄り度によって左右されるが、それを超える『心』見せて欲しい!!」
司会 「さぁ!! 野郎どもの脳を破壊してしまえ!! レェディィィィッ!! ゴオォォォッ!!!」

そして、ウィルさんに回ってくる。

ウィル 「え〜? 愛でしょ…?」
ウィル 「う〜ん…まぁ、やっぱ私にとっては楽しさかなぁ…?」
ウィル 「やっぱり、好きな人と一緒だったら楽しい方がいい!」

オオオオオオオオッ!!

歓声と共に次の人に回る。

エイリィ 「そうね…やっぱり安らぎかな。一緒にいて安心できる」

ワアアアアァァッ!!

そうして次々と回していく。

ネイ 「ん〜っと…私は、よくはわからないけど…」

ユウ 「……」

ネイ 「ずっと側にいて欲しい…」
ネイ 「それで、ず〜っと愛して欲しい」

ウオオオオオオオオオッ!!

ミル 「う〜ん…私は、自由かな? 互いに束縛せずにいられたら、きっと幸せだよ」

ワアアアアアアアァッ!!

ユミリア 「そうねぇ…今更こんなこと言うのもなんだけど、やっぱり守って欲しいわね」

オオオオオオッ!!!

ルーシィ 「…理解して欲しい。私自身を…」

ウワアアアアアアアァッ!!

レイナ 「やっぱり…互いに信じつづけたい。お互いの想いを…死ぬその時まで」

ワアアアアアアアアアアアァッ!!

レイラ 「………」
レイラ 「……」
レイラ 「…」
レイラ 「…ずっと、一緒にいられればいい。…ずっとお互いが見ていられればいい」
レイラ 「自分でも…よくわからないけど」

オオオオオオオオオオッ!!

司会 「皆さん…今まで良くお付き合いいただき、ありがとうございました!!」
司会 「それでは! 皆さん!! この娘なら『愛せる』と言う娘にのみ1票だけ投票してください!!」

ドドドドドドドドド…!!

まるで地鳴りのように人が進む。
俺たちは投票はしなかった。


………。
……。
…。


そして、15分後。

司会 「さぁ、お待ちかね!! 結果発表です!!」
司会 「ちなみにその前に各賞の発表です!! これによりマイナスポイントもあるのでまだわからない!!」
司会 「ちなみ各賞の選考内容は…『最優秀』!『敢闘賞』!『笑える娘で賞』!『凄みのある娘で賞』!『安らぐ娘で賞』!『なめてる娘で賞』! です!!」
司会 「それではまず『笑える娘で賞』!! ウィル選手!!」

ワアアアアアァァァァッ!!

ウィル 「皆ありがと〜…!」



ルナ 「複雑そうね…」


司会 「さぁ、お次は『凄みのある娘で賞』!! レイラ選手!!」

ワアアアアアアァァァッ!!

レイラ 「………」(ぺこり)

ユウ 「凄み…確かにな」

司会 「そして、『安らぐ娘で賞』!! レイナ選手!!」

ワァァァァァァァッ!!!

レイナ 「皆さん…ありがとうございます!」

司会 「次は『敢闘賞』!! ルーシィ選手!!」

ウオオオオオオッ!!!

ルーシィ 「…ありがとうございます」

司会 「それでは…『最優秀』!!」

ダダダダダダダダダダダダダ…!!!

突然ドラム音と共に会場がブラックアウトする。
そして…。

シャアァァンッ!!

司会 「『最優秀』はネイ・エルク選手だぁぁぁっーーー!!!」

ネイ 「え、え!? 私っ!?」

さすがに本人も慌てている。

ウオオオオオオオオオオッ!!!

男ども 「ネイちゃああああああんっ!! 愛してるぅぅぅぅぅーーーーー!!」

ネイ 「…あわわ」(赤面)

ユウ 「…まさかあいつがな」

バル 「いや、最優秀だからと言って1位とは限らん」

ユウ 「そうなのか?」

バル 「最後の賞がな…」

ユウ 「………マイナスかっ」

司会 「さぁてぇ…最後の賞がまだ残っております!! 『なめてる娘で賞』!!」

ダダダダダダダダダダダ…!!

こんな賞ごときに、演出入れるなよ…。

シャン!!

司会 「ユミリア・デミール選手!!」

ユミリア 「がくっ! 私ぃ…?」

司会 「やはり、年齢の差が辛かったようです…『一応』美少女コンテストですから!」

ユミリア 「失礼ね! これでも処女よ!!」

司会 「…ま、まぁまぁ」
司会 「それでは結果発表ーーー!!」
司会 「第8位!! ユミリア・デミール選手!! 2点!!」

ユミリア 「………やっぱり?」

最後にババ引いたもんな…。

司会 「第7位!! ミル・クレア選手!! 11点!!」

ミル 「あう…やっぱり勝てなかった」

司会 「第6位!! エイリィ・セルフォーゼ選手!! 16点!!」

エイリィ 「………」(ぺこり)

司会 「第5位!! レイラ・ドラグーン選手!! 19点!!」

レイラ 「………」(ぺこり)

司会 「第4位!! ウィル・オ・ウィスプ・セレーヌ・アイリドンム・ソルファウス・スラン・ダイヤ選手!! 20点!!」

ウィル 「おおっ! 最後はちゃんと決めてくれたわね司会ちゃん!!」

オオオオオオオオオッ!!

ウィルさんはここぞとばかりにアピール。
ウィルさんはウィルさんで楽しんだみたいだな。

司会 「第3位!! ルーシィ・ティアーズ選手!! 21点!!」

ルーシィ 「………」(ぺこり)

司会 「そしてぇ第2位!! レイナ・ヴェルダンド選手!! 22点!!」

レイナ 「……どうも」(赤面)

ユウ 「ってことは…?」

バル 「……うむ」

ネイ 「えっ? もしかして…」

司会 「皆さん、今夜の花嫁をご紹介いたします!! 今年のミス・ガイアは…!」
司会 「第1位!! ネイ・エルク選手!! 29点!! 最優秀賞受賞!!!」

ネイ 「…あ、あわわわわわ…」

さすがに気が動転してるな。
無理もない…自分が勝つなんて一度も思わなかったろうからな。

司会 「さぁ、ネイ選手に花束、トロフィー、楯、および賞状が贈呈されます!!」

ネイはゆっくりと司会の待つ所に向かう。

司会 「優勝、および最優秀賞受賞! ネイ・エルク殿!!」

ネイ 「は、はいっ!」

ユウ (いや、返事しなくてもいいって…ここに来てボケんでも)

司会 「あなたは1001年度テラ・フォースイベント部主催の美少女コンテストにて、優秀な成績を収めましたのでここに表彰します」
司会 「1001年4月8日、テラ・フォースイベント部、部長ウォーズ・ロム」
司会(ウォーズ) 「おめでとう…」

ネイ 「は、はい…」(赤面)

わああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!

一際会場が大きく揺れる。
今大会最強の声援だな。

ウォーズ 「皆さん、今日は長々とありがとうございました!!」
ウォーズ 「それではっ!! 他のイベントや、来年の美少女コンテストで、またお会いいたしましょう!!」
ウォーズ 「最後に、今回のミス・ガイアに今一度盛大な拍手を!!!」

パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチッ!!!

ウォーズ 「それでは、皆さん! さようならーーーー!!」


………。
……。
…。


会場の人間は見る見るうちにいなくなる。

ユウ 「………」

俺は呆然としているうちにあることに気づく。

ユウ 「来年もあるのか…?」



…To be continued



次回予告

ユウ:突然現れた謎の3人組!
かつての神次さんを髣髴させるこいつらは一体?

次回 Eternal Fantasia 2nd Destiny
第5話 「ネイ・エルク愛好会」


ユウ 「なんだそりゃあぁっ!?」



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