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FC学園



第2話外伝1 『ユウキとハルカ』




『FC学園 放送部部室』


ユウキ 「……」

俺は放送部の部室に一人いた。
今はゴールデンウィーク、学校にはほとんど人はいない。

ユウキ 「かったるいよな…本当」

ハルカ 「ふんふんふふ〜ん♪」

ガチャ!

ユウキ 「…! ハルカ…なんで休日に?」

突然、放送室の扉が開かれたかと思うとなんとハルカが入ってきた。
放送部は元はユウたちの部活魔法都市防衛部兼冒険探索部の部室を使っているので実はこの部室一階の裏庭にある。
おもいっきり体育会系の部活の場所だな。

ハルカ 「あ、いや、ちょっと暇でね…」

ユウキ 「暇って…お前たしかピクニックの誘いきてたろ?」

ハルカ 「あ、いや…その時は少し用事もあったし…」

ユウキ 「まぁ、いいけどさ」

ハルカ 「そういうアンタこそなんでここにいるのよ!」

ユウキ 「一応部長だぜ? 管理確認しているんだよ」

ハルカ 「そ、そう…」

ユウキ 「……」

俺は本を片手に持ってちらりとハルカを見る。

ハルカ 「……」

なんか、気まずい。
ハルカのやつ、無言のまま壁を見つめている。

ユウキ 「ハルカ、しばらく部室にいるのか?」

ハルカ 「え?あ、ええ…そのつもりだけど?」

ユウキ 「…職員室行ってるから、留守番頼むぞ〜」

ハルカ 「ええ…て、ん? なんで職員室に?」



…………。



ユウキ 「…かったるいな、本当にかったるいよ」

マリア 「な〜にが、かったるいの? ユ・ウ・キ・君♪」

ユウキ 「…マリア先生」

俺が校舎に入ろうとするとマリア先生が現れる。
初等部の先生、マリア・レウス先生だ。

マリア 「どうしたの? もしかして『例』の返答がもらえるの?」

ユウキ 「…もう少し待っていてくれませんか? さすがにすぐには出せませんよ」

マリア 「う〜ん、ユウキ君ってさっぱりしてそうで、結構考えちゃうのね」

ユウキ 「あのねぇ…俺まだ15歳です、普通15歳で学生辞めて教員なれってのはどうかと?」

マリア 「う〜ん…でも、ユウキ君にはその素質あるしねぇ…」

俺は今、この学校の教員になろうとしている。
本来は学生としての本分を全うする年齢なのだがすでに教育免許を持っているため、学校側から教師として働いてくれないかと呼び声があった。
たしかに、俺は先生として働くことに文句はない。
だが、ひとつ心残りがある。

ユウキ 「…放送部が心配ですよ」

マリア 「ハルカちゃんに任せたら? ユウ君やレイナちゃんだっているじゃない」

ユウキ 「余計心配です、特にハルカは!」

一応、副部長だし、ハルカに部長を任せようとは思っている。
だが、ハルカはそこそこ真面目ではあるがあまり部長向きとは思えない。
俺もあまりまとめるのは得意ではないが、ハルカに任せるにはまだ心配だ。

ユウキ (それに…最近のハルカなんか変なんだよな…)

昔(フリートーク)時代は毒舌連発だったのに最近妙に大人しい。
大人になったといえばそれまでだけど、なんか丸いんだよな…。
妙に俺を気にしているし。
俺がハルカを気にしているのを逆に感じたのか?
ありえるな…あいつ勘鋭いし…。

マリア 「ふふ、本当に子供らしくない子供ね」

ユウキ 「見た目よりしっかりしていますから!」

マリア 「まぁいいわ、じゃいい返事を待っているわね」

マリア先生はそう言うと俺の横を通って一階に降りていった。
俺はそれを黙って見送り、適当に校内を歩くのだった…。

ユウキ (学生としての本分をとるか、それとも教育者として指導に当たるか…)

かったるいよな…本当に。



…To be continued




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