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FC学園



第3話外伝2 『FC学園、模擬戦…勇者チーム VS ポケモン's』




『ポケモン's用・選手控え室』


サヤ 「ハルカさん、選手のオーダーは決まりましたか?」

ハルカ 「ん〜、こんなもんで」

私はオーダー表をサヤちゃんに見せる。
すると、サヤちゃんはやや悩んだ様子で。

サヤ 「…本当にやるんですか?」

ハルカ 「…まぁ、いいんじゃない? 適当にやるわよ」

アムカ 「……」
シャドウ 「………」
ペル 「………」

むしろ、この面子でどうにかなるのかが問いたい…。
あ〜あ、何か面倒だなぁ。
ユウキじゃないけど、かったるいわ。

サヤ 「…それじゃあ、オーダー表を提出してきます」

ハルカ 「ん、いってらっしゃ〜い」

アムカ 「いってらっしゃ〜い」

サヤちゃんは、ひとりオーダー表を持って部屋を出る。
異様なまでの沈黙が、後は支配していた。

ハルカ (あ〜あ…何か最悪)

シャドウ 「……」
ペル 「………」

アムカ 「ふぁ〜…」 ← 欠伸



………。



『勇者チーム・選手控え室』


レオン 「じゃん! けん!!」

アルル 「ぽんっ!!」

エド 「アルルの勝ち〜」

レオン 「くっそ〜…ジャンケンには自信あったのに」

シーラ 「あ、あはは…それじゃあアルルさんが大将ということで♪」

ダイナマイツ 「うむ! 異存は無し! 皆で決めたことだからな!!」

レオン 「ちっくしょう…俺が副将か」
レオン 「まぁいいや、オーダー表頼みますよシーラさん」

シーラ 「わかりました…それでは提出してきますね」

ガチャ。

シーラさんはそう言って部屋を出て行く。
しかしながら、改めて考えてもジャンケンでオーダー決める俺たちって…。



………。
……。
…。



ウォーズ 「さぁて! まもなく第2試合が始まろうとしております!」
ウォーズ 「今、こちらの方にもオーダー表が提出されました、今より会場内のオーロラビジョンで映し出されます!!」


デンッ!!


そんな軽快な音共に、モニターに互いのオーダー表が映し出された。



ポケモン's
先鋒:アムカ
次鋒:サヤ
中堅:ハルカ
副将:シャドウ
大将:ペル

勇者チーム
先鋒:エドワード
次鋒:シーラ
中堅:Mr.ダイナマイツ
副将:レオン
大将:アルル



………。



ハルカ 「うわ…何よ相手のデタラメな順番」
ハルカ 「裏かいたつもりかは知らないけど、思いっきり面倒な組み合わせになったわねぇ」

サヤ 「…大丈夫でしょう、特に問題がなければこちらは2勝確定ですから」

アムカ 「…どうして?」

サヤちゃんの言わんとしていることはわかる。
まぁ…当たり前よねぇ。

ハルカ (やれやれ…ね)

シャドウ 「……」
ペル 「………」



………。



レオン 「エド、気をつけろよ? 相手が女の子だからって甘く見るな!」

エド 「そのつもりだ…実力もわからない相手だが、出てくるからには戦えるのだろうしな」

シーラ 「気をつけてください、どんな攻撃法を取ってくるかはわかりませんので」

アルル 「ガンバ〜♪」

ダイナマイツ 「うむ、御健闘をお祈りいたしますぞ!」



………。



ウォーズ 「さぁ、互いの先鋒が入場!」
ウォーズ 「まずは赤コーナー! ポケモントレーナーでありながら、バトルはてんでダメ!!」
ウォーズ 「可愛い容姿に、ロリっ娘属性ながらも、高校生と言う萌え属性!! アムカ選手!!」

ワァァァァァァァァッ!!!

アムカ 「……」(汗)

ウォーズ 「対する勇者チームわぁ! 地味ながらも実力者!」
ウォーズ 「何かと台詞はあるが出番は微妙! 縁の下の力持ち的存在!」
ウォーズ 「戦隊物で言うところ、黄色のようだが、別に怪力ではない!!」
ウォーズ 「ここで、頭角を出せるか!? エドワード選手ーーー!!」

ワ〜…!



レオン 「うわ…歓声ちっちゃ!」

アルル 「そりゃ、萌えキャラと地味キャラが天と地の差があるでしょ…」

シーラ 「で、ですが、それは別に実力の差になるわけでは…」(汗)

アルル 「甘い! 甘いよシーラさん! 世の中人気だよ!?」
アルル 「人気のないキャラは、いくら実力があってもコロリと死ぬものだよ…」

レオン 「…人気あってもシナリオの都合で急死するのもいるがな」

シーラ 「……」(汗)



エド (さて…相手はサムライソードか、俺の剣で通用するかな…?)

アムカ (…甘い物食べたいなぁ〜、うにゅ〜)

相手は、何だか顔が緩んでいる…大丈夫かアレ?
とりあえず、俺は支給された一般的なスティールソードを構える。
片手でも両手でも使いやすい部類の剣だ、何かと対応はしやすいだろう。
相手は、剣を抜こうともしてない…居合いの類か?

エド (何にせよ…手を合わせないことにはわからない、か)

アムカ 「…ふぁ〜」

ユウキ 「こら、試合直前に欠伸をするな」

アムカ 「うにゅ…ごめんなさ〜い」

エド (…気が抜ける)

ユウキ 「まぁいいや、始め」

アムカ 「!!」

バヒュゥッ!!

エド 「うおおっ!?」

俺は間一髪少女の一撃をかわす。
運が良かったと言っていい…たまたまバランスを崩して位置がズレただけだ。

アムカ 「もう〜、何でかわすの〜? 折角楽に首を落とそうと思ったのに…」

エド 「あっさりと過激発言〜!?」

少女はふてくされた表情であっさり言う。
アサシンの類か! これは気を引きしめねぇと本当に死ぬな!
俺は剣を両手で握りなおし、少女と相対する。
彼女は剣を鞘に戻さず、だらんと下にぶら下げていた。

エド (くっそ…嫌な汗が出てきやがる! あの目を見てると恐怖感が増す!)

俺は少女の無垢な瞳に恐怖する。
見た目は小さな子供に見えるだけに、何の疑問も殺意も持たずに攻撃してくる。
これほど怖い凶器はない…向こうに悪意はないのだから。
俺は両手で握った剣を力強く握りこむ。
正直、手が痛い位だが…意識を保つにはそれ位の痛みが必要だった。

アムカ 「…面倒だから、さっさと片付けるね」

エド (来るか!?)

俺の体が強張る。
頭で動けと指示するが、思うように動かない。
少女の動きが、何故かスローモーションに見える。
まるで夢の世界にいるかのような感じだ。

ヒュッ! キィィィィィィィンッ!!!

直後、金属音。
頭の中に、痛いと思えるほどの金きり音が響き渡る。
だが、その一瞬で俺の体は動き始めた。

エド 「おおおっ!!」

ザシィィッ!!

アムカ 「!!」

俺は少女の剣を無意識に受け止めていた。
そして俺は少女の上段切りを弾き、全力で上から振り下ろす。
少女は、若干驚いたような顔をし、軽くバックステップして回避した。
畜生…余裕って感じだな。

エド (体は…動く。剣は…振れる!)
エド 「反撃はここからだ!!」

俺は大声を出して自分に渇を入れる。
恐怖にすくんだ自分が情けない。
魔王軍でもない、目の前の少女に恐れをなしたのだからな。

アムカ 「…はぁ、お腹空いてきたのに」

キンッ!

エド 「!?」

俺は横薙ぎに剣を払うが、少女は剣の腹で簡単に止める。
こっちは両手で切りつけていると言うのに、少女は右手一本で微動だにせず俺の剣を止めたのだ。

エド (くっ…ビクともしねぇ!!)

アムカ 「…それが限界みたいだね、じゃあさよなら♪」

ヒュンッ!!

俺には…少女の最後の動きが見えなかった。
最後に見たのは、少女が笑う顔。
そこから先は…赤いカーテンに遮られて、何も見えなくなった…。



………。



ウォーズ 「え〜、観客の皆様にお伝えいたします」
ウォーズ 「ただ今、多少残酷なシーンが見られましたが、実際にはちゃんと『身代わり』の『護符』があります」
ウォーズ 「ですので、ゴミの様に切り捨てられたエドワード選手は問題なく生存しておりますので、ご安心を♪」
ウォーズ 「さぁて! 気を取り直してまずは先手をとったポケモン's!」
ウォーズ 「全く役に立たなかった先鋒を失った勇者チームは巻き返しなるか!? 次回を待てーー!!」



…………。



ハルカ 「まずは一勝か…案外チョロかったわね」

サヤ 「…相手の実力が出し切れなかった、という所でしょう」

アムカ 「ZZZ〜」

アムカは帰ってきて早々、私の膝枕で寝始めた。
いつも思うけど、アムカって何でこんなによく寝るのか…。

サヤ 「…力を使ったから、反動でよく寝ていますね」

ハルカ 「…反動?」

サヤ 「…アムカは魔眼を開きっぱなしですから、眠くなるのも当然です」

ハルカ 「サヤちゃん、魔眼って…」

サヤ 「…出番ですので、行きます」

カツカツカツ…。

サヤちゃんは答えないまま、去っていく。
控え室には、私たちが取り残される。

ハルカ 「…アムカ、起きて。サヤの戦い見に行くわよ?」

アムカ 「…うにゅ、サヤの戦い」

アムカは眠そうに体を起こす。
これが…反動、ねぇ。



………。



レオン 「いきなり白か」

アルル 「エド、役立たずにも程があるよ〜」

シーラ 「ま、まぁ相手は凄腕のアサシンのようでしたし、仕方ないかと…」

ダイナマイツ 「うむ! 子供といえど侮れませんな」

レオン 「まぁ、いいさ…とにかくシーラさん、頼む!」

俺は両手を合わせてシーラさんに懇願する。
とはいえ、勝てるかどうかはわからない、か。

シーラ 「そ、それでは行ってきます」



………。



ウォーズ 「さぁて、大方の予想をいきなり覆してポケモン'sが華麗に先制!」
ウォーズ 「勇者チーム、タイに戻せるか!? 次鋒戦です!!」



サヤ 「………」


ワアアアアァァァァァァァァァァッ!!


ウォーズ 「さぁ、まず赤コーナーから現れたのは、アムカ選手の双子の姉『サヤ』選手ーー!!」
ウォーズ 「アムカ選手と同じ容姿ながらも、静かな様相は何やら神秘さを物語ります!」
ウォーズ 「目を閉じたままでも、人間を遥かに凌駕するその動きは、果たして勝利に繋がるのか!?」


シーラ 「……」


ワアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァッ!!!


ウォーズ 「対する青コーナーからは! 今をときめく清純僧侶ーー!!」
ウォーズ 「どう考えても歩く萌え要素と言えるその姿は野郎共の脳髄を刺激いたします!!」
ウォーズ 「一見おしとやかそうな一面ですが、扱う魔法はどれも神技! 果たしてどう戦うのか!?」
ウォーズ 「いよいよ、バトルスタートです!!」


ユウキ 「うっし、始め」

サヤ 「…!」

チャキッ!

私は居合いの構えを取り、まずは相手の様子を伺う。
相手は手に持っている本をしっかりと抱え、真剣な面持ちでこちらを見た。

サヤ (…あれが、神器と言われる『ネクロノミコン』ですか)
サヤ (今の所は、さして力は感じないけれど…)
サヤ (手を出さなければ、戦いには勝てないわね)

ヒュッ!

シーラ 「!?」

ビュオゥッ!!

私は相手の頬を掠める程度に剣を抜く。
と同時に、私は相手の視界から消え、背後に回った。

シーラ (は、速い! まるで風の精霊のよう…)
シーラ 「『デポテッド』!!」

キィィンッ!!

サヤ 「くっ…!」

まるで、異質な硬さを持った何かを叩いた様な感覚だった。
私の剣はあっさりと跳ね返され、攻撃は失敗する。

サヤ (全方位バリアと言ったところか…あれでは、攻撃のしようがないわね)

シーラ 「スペルレイ!!」

サヤ 「……」

ヒュンッ!! ドォォンッ!!!

私の動きが止まった一瞬を狙って、光線が出る。
しかし、私は落ち着いてその場から移動し、それを回避する。
威力はとんでもない…当たれば終わるわね。

サヤ (でも、当たれば…の話)


ウォーズ 「目の覚めるような攻防! まるで疾風の如しサヤ選手の動き!」
ウォーズ 「対するシーラ選手は、まるで神の如き鉄壁の防御!」
ウォーズ 「傍目にはまるで釈迦と猿が戦っているかのような…」


サヤ (猿には、猿の知恵がありますよ…)
サヤ 「ふっ!」

シーラ 「『デポテッド』! 私は頑なに閉ざす!!」

キィンッ!!

またしても止められる。
回避した後の攻撃では止められる、私の速度を持ってしても間に合わない。

サヤ (止むを得ませんね…本当は使いたくないのですけど)

チャキッ!

シーラ 「…?」

私は剣を鞘に戻し、再び居合いの態勢に入る。
やや前傾姿勢に構え、懐を隠すように私は構えた。

シーラ (一体、何を…?)

相手は、静かに待ってこちらを誘う。
防御は鉄壁、貫かれるはずはない…そう、まさにその通り。

サヤ 「はぁっ!」

ヒュンッ!!

シーラ 「『デポテッド』!!」

キンッ!!

私は最高の速度で踏み込むも、やはり止められた。
だけどそれでいい…。


ウォーズ 「またしても止められたー! やはり通用しない!!」
ウォーズ 「サヤ選手、再三の攻撃を試みますが、まるで効果がありません!」


シーラ 「何をしようとも、この防御壁を破ることはできませんよ?」

サヤ 「…そう、だからこそその自信が仇になる」

シーラ 「? この距離なら外しません! 『ブラッドバレ…」

カビゴン 「カビーーーーーーーーーーー!!!!」

ドズゥゥゥゥゥゥンッ!!!!


オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォッ!?!?


ウォーズ 「な、ななな、何ということだーー!?」
ウォーズ 「シーラ選手がサヤ選手に向かって魔法を放とうと言う矢先!」
ウォーズ 「一体、いつの間に放たれたのか、サヤ選手の『カビゴン』が上から強襲!!」
ウォーズ 「観客も唖然としております! シーラ選手300kg以上もの巨体に踏み潰され、大丈夫なのか〜!?」



………。



アムカ 「うにゅ…どうなってるの?」

ハルカ 「あれじゃあ、いつボール投げたかなんてわからないでしょうね」
ハルカ 「サヤちゃんは、居合いの構えの時に鞘の先を使って、背中側からボールを跳ね上げてたのよ」
ハルカ 「懐を隠すように構えたのは、そっちに視線を持っていくため…さも何かがあるように見せるためね」
ハルカ 「で、相手はそっちに集中してサヤちゃんの背中越しに自分の真上にボールが放たれたとは気づかなかった」
ハルカ 「…サヤちゃんの頭脳プレーね♪ 相手はポケモンを頭に入れてなかったのが敗因…って」

アムカ 「嘘っ!? 起き上がる!?」



………。



シーラ 「…っ」

サヤ 「…目を疑いますね、どういう体の構造をしているのか」
サヤ 「いえ…人間ではないのですから当然ですか」

シーラ 「…知っていたのですね」

私はふらふらになりながらも起き上がるシーラさんを見て言う。
ダメージはあるだろうけど…少しでも動けるなら、こっちは負ける。
私は冷静に、剣を構えなおす。

サヤ (同じネタは通用しない…さて、どうしましょうか)

シーラ 「…同じ攻撃なら無駄ですよ、もう通用しません」
シーラ 「動ける内は、魔法は放てますから…」

サヤ 「…戻ってカビゴン」

シュボンッ!!

私はカビゴンをボールに戻し、もうひとつのボールを手に取る。

シーラ 「ポケモンの力を使いますか…それでこそポケモントレーナーです」

サヤ 「…『エテボース』」

ボンッ!

エテボース 「エテテッ!」


ウォーズ 「サヤ選手、ここでエテボースを繰り出す!」
ウォーズ 「しかし、神の如き力を放つシーラ選手に攻撃が通用するのか!?」


レオン 「改めて見ても、シーラさんは凄いな」

アルル 「ホント〜…普通アレは死ぬよ」

ダイナマイツ 「…ですが、ここが正念場でしょう」

レオン 「何で? シーラさんならもう大丈夫でしょ…あんな意表を着いた攻撃は通用しないですし」

ダイナマイツ 「そうですが…あのサヤと言う少女の放つ気が、諦めていませぬ」



サヤ (…さすがに、虫のいい話でしたね)
サヤ (神器を扱うものなら、使う者も神と言うことですか)

シーラ 「『アルターエゴ』!」

ギュゥゥゥンッ!!

相手は、自分の周りに2体の分身を出す。
これで…手数の有利は無くなった。
むしろ…不利、か。

サヤ (…絶体絶命か、まさかこんな所で味わうとは思わなかった)
サヤ (人の力では限界があるとはいえ…人でない者を倒すには、それ相応の『器』が必要…ということね)

私は、居合いの態勢のまま動きを止める。
まともに戦って勝てる相手ではない…果たして勝ち目があるのだろうか?

サヤ 「エテボース『ねこだまし』」

エテボース 「ボーッ!」

シーラ 「エゴ!」

ドンッ!!

一体のエゴがエテボースの攻撃を受ける。
大して効いてはいない、だけど動きは一瞬止まる。

サヤ (届くか!?)

ヒュンッ!!

キィンッ!!

エゴ2 「!!」

私の剣はもう一体の分身に止められる。
これで完全にこちらは封じられた。
攻撃の隙がまるでない。

シーラ 「『ブラッドバレット』!」

ビュチャァッ!!

サヤ 「!!」

私は瞬時に空中へと跳び、難を逃れる。
こちらは一撃食らったら終了だ。

シーラ 「…終わりです、『スペルレイ』!!」

サヤ (来た! これを待ってた!!)
サヤ 「戻って『エテボース』! カクレオン『まもる』!!」

シュボンッ! ボンッ!!

私は空中で、相手の攻撃を見てポケモンを入れ替える。
そして、私の目の前に出たカクレオンがこちらへの集中攻撃を『まもる』で防御する。

ドドドドドオオオオオオォォンッ!!!

シーラ 「!?」

爆風で、相手は状況を見失う。
だけど、こちらはすぐに次の行動に出る。

サヤ 「チャンスは一度切り…! カクレオン『トリック』!!」

カクレオン 「カックレー!」

シーラ 「相手は…あっ!?」

ヒュヒュンッ!!

サヤ 「……」

スタッ!! ドスンッ!

カクレオン 「カックレレ〜♪」


ウォーズ 「な、何とーーー!! カクレオンがいつの間にやら『ネクロノミコン』を奪っている!?」
ウォーズ 「そして、シーラ選手は代わりに傷薬を持たされています!」
ウォーズ 「しかし、あれはポケモン用! 人間その他には効果ありません!」


シーラ 「…くっ、これがポケモンの技!」

サヤ 「…これで形勢逆転ですね、神器がなければ今までのような強力な魔法は使えないでしょう」
サヤ 「降参するなら、今の内です」

私は剣を相手の首下に突きつけ、降参を迫る。
相手は無念そうに表情をしかめ、口を動かそうとした瞬間。

ゴォォォォッ!!

サヤ 「!?」
シーラ 「!?」

カクレオン 「カ、カックレレ〜!?」

サヤ 「まずい! カクレオン戻って!」

シュボンッ!! ドサッ!

私は危険を感じ、カクレオンをボールに戻す。
カクレオンが持っていた『ネクロノミコン』が何やら黒い気を放っていた。
一体…これは!?

シーラ 「まさか…暴走?」
シーラ 「速く、回収しないと…!」

ゴゥゥッ!!

シーラ 「くぅっ!!」

気に弾かれ、相手は吹き飛ぶ。
どうやら、マズイことになったようね。


ウォーズ 「こ、これはどういうことか!? 『ネクロノミコン』から黒い気が…持ち主のシーラ選手をも吹き飛ばしてしまった!!」


レオン 「お、おいマズイんじゃないのか!?」

アルル 「こ、これどうなるの!?」

ダイナマイツ 「最悪、我々が突入せねばなりますまい!」



サヤ 「…あの気、恐らく邪念の類」
サヤ 「と言うことは、止むを得ませんね…」

キィィィ…!



ハルカ 「な、何かサヤちゃんの剣が光って…!?」

アムカ 「『退魔の剣』…使うんだね、サヤ」

ハルカ 「な、何よそれ?」

アムカ 「サヤの本当の力…『退魔』の力」
アムカ 「サヤの目が開いた時、サヤは本当の力を解放して『退魔の剣』を使う」
アムカ 「それが…あの剣」



………。



シーラ (く…体が、全身の骨がきしんでいる…これ以上は動けない?)

サヤ 「退魔神剣『光剣』(みつるぎ)よ…真の姿を現せ」

カァァァッ!!

私が瞳を開き命ずると、私の剣は『逆刃刀』へと変化する。
人を切る剣ではなく、心を切る剣。

? 『ウォォォォム!』

私は、『ネクロノミコン』から発せられる、悪意、邪念、憎悪を感じ取る。
あれは、恐らく『ネクロノミコン』により犠牲になった者の呪い。
術者の手を離れたことで、一時的に姿を現した…という所ね。
本来なら取るに足らない存在でしょうけど、今回のように多くの人が集まってしまった会場では…

サヤ (会場にいる観客全てが聖人君子ではない…誰でも悪意や憎悪は持っているのだから)
サヤ 「だから…私が、切る!」

ヒュンッ!!

私は一気に踏み込み、悪意の『気』を切る。
一撃では終わらない、もう一度…!

バヒュンッ!!

? 『バァォォォム!!』

サヤ 「大人しく、冥府へと逝け…『聖光魔渇』(せいこうまかつ)!」

カァァァァァァァァァッ!!! ドジュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!!



………。



ヒュゥゥゥゥ…。

サヤ 「………」

私は再び目を閉じ、剣を収める。
これで、今回は大丈夫。
でも…この神器はあまりにも強すぎる。
私は本を持ち、術者へと返す。

サヤ 「…とんだアクシデントでした、これはお返しします」

シーラ 「…ありがとうございます、まさかこんなことになるとは」

サヤ 「気にすることはありません…ただの『アクシデント』ですから」
サヤ 「戦いは…もうどうでもいいです」

カツカツカツ…。

私はそう言って、去っていく。
正直な所…今にも倒れてしまいそう。
久しぶりの力だったから…一気に、眠気…が。

ドサッ!!

シーラ 「サ、サヤさん!?」

ユウキ 「おいおい…この試合、どうすんだ?」
ユウキ 「ん…判断に任す、か」
ユウキ 「シーラさん、どうする? 本人はどうでもいいらしいけど…」

シーラ 「あ…それじゃあ、私の負けにしておいてください」
シーラ 「どの道…降参するつもりでしたから」

ユウキ 「ん、んじゃこの試合はサヤの勝ち!!」

シーラ (…『ネクロノミコン』、これでいいよね)



…………。



ハルカ 「……」

アムカ 「うにゅ…ハルカさん〜」

サヤ 「駄目よ…今は話しかけちゃ」

アムカ 「…ん」

ハルカ 「……」

私は控え室でふたりに見守られ、静かに『気』を高める。
事の他心は落ち着いている…昂ぶりは無い。
以前なら、速く戦わせろと言わんばかりに体が疼くくらいだったけど。
ポケモントレーナーになって、意識が変わったというのもある。
でも…今回ばかりは相手が悪い。

ハルカ (勝てる相手とは普通に思えない…でも負けるとは思わない)

次第に、自分の鼓動が速くなって来るのを感じる。
戦いは、すぐに始まる…。



………。



ダイナマイツ 「……」

レオン 「ダイナマイツさん…」

シーラ 「静かに…今は話しかけない方がいいですよ」

アルル 「う〜ん…これぞ闘う男」
アルル 「グラップラーの姿だね♪」

ダイナマイツ (子供とはいえ、相手は『元』世界格闘技チャンピオン…)
ダイナマイツ (どんな技を使うのか? どんな闘い方をするのか?)
ダイナマイツ (興味は尽きぬ…久し振りに面白い『闘い』になりそうだ)

ダイナマイツさんは目を閉じながら僅かに口元を緩める。
笑っている? 何に対して?

レオン (俺には到底わからない次元の考えなんだろうな…)

シーラ 「…ダイナマイツさん、そろそろ」

ダイナマイツ 「うむ! それでは行って参ります!! 2連敗の後ゆえ、私がここで踏ん張りましょう!!」

ズシンッ! ズシィィンッ!!

ダイナマイツさんは一度、二度…と、足を踏み鳴らし、歩き出す。
相手はどう考えてもただの少女。
ポケモントレーナーとはいえ、巨大マキナ相手でも真っ向から戦えるダイナマイツさんと戦えるのか?

レオン 「…今回ばかりは、相手に同情だな」

アルル 「確かに…普通敵わないよね」

シーラ (果たしてそうでしょうか? 私には一筋縄ではいかない気がしますが…)



………。



ワアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァッ!!!


ウォーズ 「さぁ、気がつけば2連勝のポケモン's! 予想をいとも簡単に覆し速くもリーチ状態!!」
ウォーズ 「しかも! ここで出てくるのは、学園不良共のアイドル的存在! 元格闘王のハルカ選手だーーー!!」

ウオオオオオオオオオオオォォォォッ!!!

ハルカ 「……」

ザッ…ザッ…!

不良A 「ハルカ様ーーーー!! 絶・対・勝・利ーーーー!!!」
不良B 「ロートルなんざぶっ飛ばせーーーー!!!」

ウォーズ 「相変わらず、プロレスの様な声援を受けるハルカ選手! 本人は複雑そうな心境でしょう!」
ウォーズ 「しかぁし!! 今回は声援の数でも負けてはいないぞ!?」

オオオオオオオオオオオオオォォォォッ!!!

ダイナマイツ 「……」

子供A 「Mr.ダイナマイツーーーーーーーーー!!」
子供B 「頑張ってーーー!! 勝ってーーー!!」
子供C 「やっちゃえーーー!! 負けっこないぞーーー!!」

ウォーズ 「お聞きください、この子供たちの歓声!」
ウォーズ 「子供たちの夢を背負って戦う『漢』の背中! そうそうな罵声ではビクともしません!!」



………。



ハルカ 「……」

ダイナマイツ 「……」

私たちは静かに対峙する。
思っていたより、かなり大きいわね…。
こうやって対峙すると、それがよくわかる。
気の質が他とはまるで違う…
私の対戦経験の中でも、これほど恵まれた体をした相手はいなかった…。
強いのは痛いほど伝わってくる。

ユウキ 「…うし、始め」

ワアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァッ!!!

ハルカ 「…!」

ス…。

私は左足を前に出し、左足は後ろに重心を置く。
左手は軽く前に突き出し、力は抜く。
右手は握りこまず、引き手の態勢で止めておく。
やや真横に近い構えで、生命線を狭くし、相手を真っ直ぐ見据える。

ダイナマイツ 「…!」

ザッ!

相手は、やや前屈みに両手を目の高さまで上げ、すぐにでも掴み掛かれる様な態勢に構える。
総合格闘技系の構えね…迂闊に懐へは飛び込めない。

ハルカ (とはいえ…近づかなきゃこっちの攻撃は届かない)
ハルカ 「ふっ!!」

ダンッ!!

ダイナマイツ 「!!」

私は思いっきり踏み込む。
距離を一瞬で潰し、ダイナマイツさんの手の下を潜り抜けた。
そして、私は腹に向けて右手をかざそうとする…が。

ドンッ!!

オオオオオオオオオォォォッ!!

ハルカ (…退いた!? それもあのスピードで…!)

ダイナマイツ 「……」

相手は一歩だけ力強く地面を踏み、鮮やかにバックステップして、私の射程外に逃げる。
そしてもう一度構え直し、微笑した。

ハルカ (踏み抜いた地面が軽く抉れてる…私の震脚並かもしれないわね)

しかも、たった一歩であの距離…やっぱり普通じゃないわね。
段々と怖くなってくる…正直逃げ出したい位ね。

ハルカ (だけど…体は前に出たがってる)

ジリジリ…と私はゆっくり間詰めて行く。
すり足で近づき、いつでも蹴りが放てる態勢を保っておく。

ダイナマイツ (ふふふ…近づいてくるか、あの小さな体にこれほどのプレッシャー)
ダイナマイツ (本能的に、体が退いてしまった…一瞬とはいえ恐怖を感じた)
ダイナマイツ (なるほど…予想を遥かに超える実戦を積んできたと言うことか)

ザッ!

今度は互いに距離を詰め合う。
向こうも、今度は打ち合う覚悟だ。
とはいえ、まともな打ち合いじゃ私に勝ち目は無い。
全力で蹴ってもあの肉体にダメージは通らないだろう。

ハルカ (となると…発勁(はっけい)しかないわね)

右拳が死んでいる私が撃てる、最大の武器のひとつだ。
いくらあの体でも、体内まで鍛えられるわけじゃない。
受ければ内蔵にダメージは与えられる。

ハルカ (問題は、ほぼ密着状態にならなければならないこと…)
ハルカ (そして、一撃で倒せるとは限らない…か)

嫌な汗が流れ始める。
成功すれば天国、失敗すれば地獄。

ハルカ (私の発勁は『浸透勁』だから、触れされできれば確実に決まる)
ハルカ (後は、覚悟を決めるだけ…か)

ダイナマイツ (次は退けぬな…退けば追われよう)
ダイナマイツ (ならば、我が信念に賭け、受けて立とう!)

ジリ…。


ウォーズ 「何という気迫か! 互いに少しづつ踏み込んでいきます!」
ウォーズ 「すでに互いの手の届く距離! どちらが先に仕掛けるのか!?」



ハルカ (踏み込ませようって言うの? あえて一発食らう覚悟で…)

ダイナマイツ (彼女ほどのスピードがあれば、こちらの攻撃をかわして踏み込んでこよう…)
ダイナマイツ (ならば、肉を切らせて骨を断つ! いつでも来るがよい!!)

すでに私の右手は相手の腹部に触れようかと言う距離。
相手はこちらの攻撃を受けて反撃を行うつもりだ。
否が応でも私は乗らなければならない。

ハルカ (私の勁が通用するか…しないのか)

ダイナマイツ (我が肉体が耐えられるか、耐えられないか…)

ハルカ (勝負!!)
ダイナマイツ (勝負!!)

ズダァァンッ!! カァッ!!

ダイナマイツ 「!? むうぅぅぅっ!!!」

ハルカ (通った!)

私は全力の震脚で踏み込み、相手の体に軽く触れた右手から、『発勁』を叩き込む。
貫通力を極限にまで高めた私の発勁は確実に相手の内臓にダメージを与えた。


ウォーズ 「零距離からハルカ選手の『発勁』がヒットォ!! Mr.ダイナマイツが揺れるーー!!」


ダイナマイツ 「おおおぉっ!!」

ハルカ 「!!」

ブンッ! ズッシイイイィィィンッ!!!

一瞬、目の前が真っ暗になった。
浮遊感はほんの一瞬。
天と地が逆さになった。


オオオオオオオオオオオオオオォォォォォォッ!!!


ウォーズ 「悲鳴にも似た声が観客席から放たれます!!」
ウォーズ 「何とハルカ選手、発勁の直後の隙を突かれ、バックドロップを浴びる!!」
ウォーズ 「ダイナマイツ選手の強靭な肉体から繰り出されるその技は恐るべきスピードでハルカ選手を落したぁ!!」



ノリカ 「ハルカ様ーーーー!?」

不良A 「立ってくれーーーーー!!」
不良B 「スタンダーーーーーーップ!!」



ハルカ 「……」

視界が真っ白に染まる。
倒せなかった…視界が失われていく。
そっか…負けるとこうなるのか…。

ハルカ (負ける? 負けるの…?)

『マケルノ…?』

ハルカ (負ける…マケル?)

『マケル…マケナイ?』

ドクンッ!!

ダイナマイツ 「!?」

ワアアアアアアアァァァァッ!!!


ウォーズ 「ハ、ハルカ選手! まさかの復帰!!」
ウォーズ 「バンダナが落ち、頭から大量の血を流しながら起き上がりました!!」
ウォーズ 「しかし、どう見ても危険な状態! 続行可能なのかーーー!?」


ユウキ 「おい…生きてるか?」

ハルカ 「…邪魔よ、どきなさい」

私は前に出るユウキを押しのけ、歩く。
足元が定まらない…ダメージが大きい。

ハルカ (くっそ…嫌な感覚思い出させるんだから)

思わず、また意識を飛ばしそうになった…。
『Pandora』め…よっぽど私に興味があるのね。
だけど、もう私はあなたに支配なんてされない!

ハルカ (この命ある限り…抵抗してやるんだから!)

ス…。

ダイナマイツ (あれを受けて立ち上がるか…何と言う気迫よ!)
ダイナマイツ (正直、私は殺す気で落とした…立つとは思っていなかった)
ダイナマイツ (手加減したわけではない…本気でやったのだ)
ダイナマイツ (だが、目の前の少女は立ち上がり、『もう一度やろう』…と、言っている)

私はさっきと同じ構えで歩み寄る。
相手はその私の姿を見て、同じように構えた。



ウォーズ 「な、何と! これはさっきとまるで同じ光景!!」
ウォーズ 「違うのは、あまりにボロボロの姿のハルカ選手!!」
ウォーズ 「さっきと同じ光景をもう一度再現しようと言うのか!?」
ウォーズ 「いくら『身代わりの護符』があるとはいえ、痛みやダメージは精神的に残り続けます!!」
ウォーズ 「下手をすれば、精神が死んで一生植物人間になる可能性もあります!!」



ハルカ (知ったこっちゃないわね…こっちはやらなきゃ気が済まない)
ハルカ (これはポケモンバトルじゃない…戦っているのは私自身)
ハルカ (『飛凰 悠』の名に賭けて…死なない限り私は負けを認めないわ!!)

ダイナマイツ (今度こそ、この戦いは終わるだろう…)
ダイナマイツ (一撃目は耐える自信があった…だが二撃目は無い!)
ダイナマイツ (本来はあれで終わるはずだったのだ)

私たちは同じ距離に達する。
相手は同じようにこちらの攻撃を待つ。
私は右手を静かに相手の腹部のやや上…鳩尾の前に右手を添えた。

ハルカ (……)
ダイナマイツ (……)

会場 「………」

一瞬、何もかもが色を失った。
音も消え、感覚も消え…私は、ただ一撃のために地面を踏み抜いた。


…ズダァァァァンッ!!!



………。



ハルカ 「……」

ユウキ 「…?」

ダイナマイツ 「……」

ザッ!

私は、静かに構えを解き、『戦士』に背を向ける。
終わった…恐らく、二度と戦うことはないだろう。
しかし、この戦いは私の体に刻まれた…最高の『斗い』(たたかい)として残り続けるであろう。

ユウキ 「ん…勝者! Mr.ダイナマイツ!!」


オオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォッ!!!


子供A 「やったーーーーーーーー!!」
子供B 「さっすがダイナマイツーーー!!」
子供C 「最強の男ーーー!!」


不良A 「ハルカ様〜…」

不良B 「泣くな馬鹿者! ハルカ様は立派に戦われた!!」

ノリカ 「そのとーーっり!! 負けてもなお、構えを解かない最強の女ハルカ様!!」
ノリカ 「今、このノリカが向かいますぞーーー!!」

バッ! ズドドドドドドドドドッ!!



………。
……。
…。



ハルカ 「……?」

気がつくと天井が見えた。
目の前にアムカとノリカの不安そうな顔が映った。
私が目覚めたためか、ふたりは安心そうな顔を見せた。

ハルカ 「…ただいま〜、って言うのはおかしいか」

サヤ 「そうですね、下手をすると二度と戻ってこないかと思いました」
サヤ 「とりあえず…お帰りなさい、ですね」

ノリカ 「おおお〜、ノリカは嬉しゅうございます〜! ハルカ様が立派に戦われたことを!!」
ノリカ 「チームは負けても、この度の戦いは永遠の記録となりましょう!!」

ハルカ 「…そうね、私自身も満足はしたわ」
ハルカ 「負けたのは悔しいけど…ね」
ハルカ 「そっか…負けたか、やっぱ」

私は目を瞑って思う。
どうしようもなかった…やれることはやった。
それで負けたなら…仕方ない、か。

サヤ 「とりあえず…動けますか? そろそろ次の選手が入ってきますので」

ハルカ 「ああ…そっか。って…」
ハルカ 「…もしかして残りの試合も終わったの?」

ノリカ 「とっくに終わってますよ〜…ものの3分かかってないですから」

ハルカ 「そう、3分…ってはぁ!?」
ハルカ 「一体、どんな戦いだったのよ?」

アムカ 「うにゅ…見てないから私はわからない」

ノリカ 「私も見てないですね〜」

サヤ 「…聞かない方がいいと思いますが?」

ハルカ 「それでも聞く! 結果聞かないと動かないわよ!?」

私は断固として聞く決意を示す。
サヤちゃんは、はぁ…と珍しくため息をして、一呼吸置く。
そして静かに…。



………。



ハルカ 「何じゃそりゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

サヤ 「…ですから、棄権です」
サヤ 「シャドウさんは行方不明、ペルさんは戦う気無しで棄権扱いです」
サヤ 「ですので、早々に私たちは敗北者です、Do you understand?」

サヤちゃんは、必要最小限のボケ(?)まで入れて説明してくれる。
くっそ〜バイリンガルな発音ね〜…。

ハルカ 「はぁ…私の頑張りは何だったのか? これだったら棄権した方がよかったかも」

ノリカ 「確かに…傷つき損ですよね」

アムカ 「不幸?」

サヤ 「…とにかく、出ましょう」

ハルカ 「…はぁ〜、最っ悪!」





…To be continued




なお、ここから『おまけ…敗北者トーク』へ。




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