Menu

Back Next

K-O パニック +AM  第3話

往人 「………」

今日も不作だった…。
どうして誰も俺の人形芸を見ないんだ…。

往人 「…この街には子供がいないのか?」

ふらりとこの街で倒れていた所を少女に拾われてからというもの、ほとんど子供を見かけない…。

往人 「場所が悪いのか…?」

この商店街には何か、呪いのような物でもかかっているのか…?
じゃなきゃ、不条理だ…。
今までこれだけで生計を立ててきたのに…。

少女 「わっ…汚い人形」

ぐさっ…

今のは心に来たぞ…。

少女 「でも、どうして動いてるのかな〜?」

だが、チャンス! やっとの客だ!

往人 「お嬢ちゃん、お兄ちゃんの人形劇見ていってくれ」

少女 「えっ? 別にいいけど…」

やった! 今度こそ、金が入るチャンス!
神は俺を見捨ててなかったんだな…。
これでこの街からもおさらばだ!
…っても、観鈴が返してくれないかもしれんな。
とりあえず、俺はいつものように人形の頭に指を置き、念を込め直す…。
すると、一度止まった人形は再び動き出す。

少女 「不思議〜…どうやってるのこれ?」

往人 「法術というやつさ」

少女 「ほ〜じゅつ? 何それ?」

往人 「まぁ…一種の魔法みたいな物だ」

少女 「魔法…」

いいぞ、いい反応だ…この子はきっと俺の人形劇に見惚れている…。

真琴 「あっ! ご免ね、真琴今お買い物してるから。また、今度ね!」

少女は買い物かごを持って、商店街の人ごみの中に消え去った。

往人 「………」
往人 「……ふぅ」

なんだったかな?

往人 「ラーメンセットひとつ」

違う…。

往人 「何故だ…」

神はあっさりと俺を見放したようだ…。

少女A 「なにこれ…? 動いてるわよ…」

少女B 「わっ…ほんとだ…ぴくぴくしてるけど…」

何とここに来て新たな客!
やはり神は俺を見捨ててない!
相手はどうやら高校生のようだが、客ならば気にしない!
金さえもらえれば…。
俺はそこまで考えて不安になった。
高校生が俺の人形劇で金をくれるのだろうか…?
自信は一気に崩れ去った…。

少女A 「なんだか、この人白くなってるけど…」

少女B 「…変な人ね」

往人 「…帰ろ」

俺は人形をズボンの後ポケットに突っ込み、立ちあがる。

少女B 「ねぇねぇ、さっきの人形どうやって動かしてたの?」

往人 「…法術だ」

少女B 「法術? 不可視の力と関係あるのかしら…」

少女A 「まさか…それは破壊ぐらいしかできないと思うけど…」

少女B 「やっぱり?」

言ってる事が意味不明だった…。
不可視の力?
なんだそれは、俺の力よりも立派そうじゃないか…。
だが、俺は関わり合いにならないようにその場を去った。

少女B 「あっ、行っちゃた…」

少女A 「郁美〜、早く行こうよ…百花屋、きっと満員だよ〜?」

郁美 「あっ…うん、分かったよ行こっか晴香」


往人 「…腹減った」

またぶっ倒れるかもしれない…。
目眩までしてきた…。
しかし食う金はない…観鈴に食べさせてもらうか。
そう思った時…。

ぽんぽん

いきなり肩を叩かれる。

往人 「ん?」

振り向いても誰もいない。
もしやこのパターンは…。

往人 「…遠野、何してる」

美凪 「………」
美凪 「…ばれちゃいました」

往人 「さすがに同じパターンはくわん」

美凪 「…がっくり」

落ちこんでしまった。

往人 「……う」

俺は空腹のあまり倒れそうになる。

美凪 「………」
美凪 「……」

言いたいことがあるなら早く言え…。

美凪 「…お腹すいてるんですか?」

往人 「…見ればわかるだろ」

もはや突っ込む気にもなれなかった。

美凪 「………」
美凪 「……」
美凪 「…じゃあ、一緒にお弁当でも…」

俺はその言葉を聞いて、きゅぴーん!と音がなるほどの勢いで遠野を見た。

往人 「マジか?」

美凪 「………」
美凪 「……」
美凪 「…冗談です」

往人 「ずっこけーーーっ!」

俺は派手にぶっ倒れる。

美凪 「…あの、今のも冗談です」

往人 「…お、俺はもうダメだ…」

俺がその場に倒れていると…。

ぎゅむ

誰かに踏まれる…。
誰か、じゃない…こんな事をする不届きものはひとりしかいない…。

みちる 「にゃははーっ、美凪〜はやくお弁当食べようよ〜」

美凪 「…そうね」

往人 「………」

みちる 「にょはは! はんば〜ぐ〜♪」

美凪 「…たくさんあるから、ゆっくり食べてね」

みちる 「うんっ」

往人 「………」

もはや、何も言えなかった…。
俺の意識は遠ざかっていった…。
もはや、このような所でお迎えが来るとは…。
俺の人生って、一体…?

(おいおい! 勝手に死ぬなよ!?)

…To be continued

あとがき

Back Next

Menu

inserted by FC2 system