ポケットモンスター パール編
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おまけ
『ジムリーダー…各地方に点在するジムを任される責任者』
『ジムリーダーはポケモンリーグ運営委員会に統括され』
『各地方のポケモンバトルの質の向上に努める』
『また、緊急の事態の際には運営委員会の指令に従いその力を行使する』
−ジムリーダーの定義より一部抜粋−
ヒカリ 「クロガネシティ…天然の自然に恵まれたエネルギーみなぎる炭鉱街」
ヒカリ 「コトブキシティから東に向かった所にあり、途中洞窟があるわね」
ヒカリ 「そして、洞窟を抜けたらそこが…」
コウキ 「クロガネシティ…!」
第3話 『挑戦クロガネジム!』
『ここはクロガネシティ エネルギーみなぎる場所』
ヒカリ 「やっとクロガネシティね」
コウキ 「ここにジムがあるんだ…!」
僕たちはソノオタウンに向かう予定から変更してこのクロガネシティに来ていた。
ここはコトブキシティに比べたらずいぶん荒れ放題に見えるが地面はしっかり平地になっている。
でも、ここの活気はコトブキ以上のように思えた。
タンクトップ姿でヘルメットを被ったいい体をした大人たちが多く見られる。
少し石炭臭いが、元気の良い街に思えた。
そして、ここにジムがあるんだ。
コウキ (ジュン君はもう終わらせたのかな…)
僕はジムへ挑戦すると言っていたジュン君を思い浮かべる。
凄く強かった。
もし、彼が勝てないのなら僕にはどうやっても勝てないだろう。
僕には…勝てるのだろうか?
ヒカリ 「先にポケモンセンターに寄ろうか?」
コウキ 「うん」
僕たちはまず真っ先にポケモンセンターに向かった。
『同日 時刻某時刻 クロガネシティ ポケモンセンター』
ヒカリ 「お願いします」
ポケモンナース 「はい、二人ともポケモンをお預かりしますね」
コウキ 「はい」
僕たちはまずポケモンたちの回復を頼んだ。
ポケモンたちも元気だったしそんなに時間はかからないと思うけど。
コウキ 「ちょっとの時間どうしようかヒカリちゃん」
ヒカリ 「そうね、まずはジムでも見学に行こっか?」
コウキ 「そうだね」
僕たちはそういう訳で、先にどんなジムか見に行くのだった。
幸いジムはポケモンセンターの近くにあったのですぐに着く。
受付 「ようこそ、クロガネジムへ」
クロガネジムに入ってまず待っていたのは30代くらいのおじさんだった。
ヒカリ 「あの、見学をしたいんですけど」
まず手早くヒカリちゃんが用件を言う。
受付 「あ、それなら今ちょうどヒョウタがジム戦しているから見に行くといい」
コウキ 「ヒョウタ?」
受付 「うちのジムリーダーだよ、見るんだったらそっちの左側のドアを潜るんだ」
受付 「観客席で見れるぜ」
ヒカリ 「ありがとうございます」
コウキ 「ありがとう」
僕たちは受付のおじさんの指示に従って左側の通路を通った。
そして、ドアを開けると…。
ヒョウタ 「イワーク! 『いわおとし』!」
イワーク 「ゴォォォ!」
コウキ 「!?」
ヒカリ 「わぁお、ジム戦の真っ最中ね!」
ドアを潜るといきなり大きなポケモンが目に映った。
ズドドドド!
スボミー 「スボーッ!?」
イワークの放った『いわおとし』は小さな緑色のポケモンを押し潰した。
あれはまずい…!
どう考えても小さな体のあのポケモンじゃ、あれは大ダメージだ。
どうするんだ!?
? 「スボミー、『すいとる』!」
スボミー 「スボ〜♪」
イワーク 「!? イワ〜…!?」
突然、イワークは苦しみだすと、スボミーは元気になる。
ヒカリ 「『すいとる』、相手の体力を奪う草技よ、岩であり地面でもあるイワークには効果抜群ね」
コウキ 「草タイプの技…」
これを機にどうやら形勢は逆転したらしい。
動きの鈍ったイワークに、元気になったスボミー。
一体スボミーを使っているのって…?
コウキ 「…!? ジュン君」
ジュン 「スボミー! 『しびれごな』だ!」
スボミー 「スボ〜」
イワーク 「!? イワ〜…」
ヒョウタ 「しまった! 麻痺してしまったか!?」
ジュン 「よし! 確実に決めるぜ! 『メガドレイン』!」
スボミー 「スボーッ!」
スボミーはなにやら緑色の光の玉がイワークから放たれ、スボミーがそれを吸収する。
するとイワークはその大きな体を地面に倒した。
ズドォォン!
審判 「イワーク戦闘不能!」
ヒョウタ 「戻ってくれイワーク、よく頑張った」
ジムリーダーと思われる男性はイワークをボールに戻す。
ジムリーダー…ヒョウタと言われる男性は受付の人に比べると相当若く、まだ20いっていないんじゃないかという歳に見えた。
身長は170ほどで、灰色の作業着に赤いヘルメットを被っていた。
目が悪いのか眼鏡もつけている。
ヒョウタ 「これで最後のポケモンだ! いけ、『ズガイドス』!」
ズガイドス 「ズガー!」
コウキ 「あれ?」
ヒカリ 「あたしも初めて見るポケモン…ズガイドスっていうらしいけど…」
僕はポケモン図鑑でズガイドスを確認するのだった。
『ズガイドス 頭突きポケモン』
『高さ 0,9m 重さ 31,5kg』
『鉄球のような化石から復活した古代のポケモン』
『頭突きで獲物を仕留めた』
コウキ 「化石…」
対するスボミーは…?
『スボミー つぼみポケモン』
『高さ 0,2m 重さ 1,2kg』
『澄んだ池のほとりに生息』
『激しいくしゃみと鼻水を引き起こす花粉をばら撒く』
コウキ (ジュン君の使う草タイプのポケモンか…)
少なくとも8メートルはゆうにあったイワークをいとも簡単に倒してしまった。
大きさは関係ないとはいえ、あんなにあっさり倒してしまうなんて…。
ジュン 「スボミー! 『メガドレイン』だ!」
スボミー 「スボー!」
ジュン君はスボミーにさっきイワークを倒した技を命令した。
あれの威力はあんな大きなイワークを間単に倒すほど。
ジムリーダーはどうするんだ!?
ヒョウタ 「僕のズガイドスを甘く見てほしくないな、ズガイドス! 『ずつき』!」
ズガイドス 「ズガーッ!!」
ジュン 「!? 速ぇ!?」
ズガイドスは迷うことなく一直線にスボミーに襲い掛かる。
そのスピードは速く、スボミーが攻撃モーションに入る前に相手の懐に飛び込んだ。
先に命令を受けたのはスボミーなのに!?
ズガイドス 「ズガー!!」
ドッカァァァ!!
スボミー 「スボーッ!?」
スボミーは為す術なくズガイドスの硬そうな頭から繰り出される『ずつき』で壁まで吹き飛ばされた。
審判 「スボミー、戦闘不能!」
ジュン 「ち…スボミーよくやった戻れ!」
ジュン君は苦い顔でスボミーをボールに戻した。
あのスピード、あの攻撃力…普通じゃない。
コウキ (これが…ジム戦!)
ジュン 「いけ! ヒコザル!」
ヒコザル 「ウッキー!」
次にジュン君が出したのはヒコザルだった。
ナエトルもあのヒコザルにやられた。
コウキ 「あのズガイドスというのは多分岩タイプ…相性の悪いヒコザルでどうするんだろう…」
ヒカリ 「…勝つわよ、多分ジュンがね」
コウキ 「え?」
ヒカリちゃんは真剣な目でこのバトルを見ていた。
相性を無視してジュン君が勝つのか?
一体どういうことだろう…。
ジュン 「ヒコザル! 『ひのこ』!」
ヒコザル 「キー!」
ゴゴゴゴッ!
ヒョウタ 「そんな技じゃ僕のズガイドスは倒せない! 『ずつき』だ!」
ヒコザルの『ひのこ』はズガイドスの足にヒットするがズガイドスは止まらない。
そのままズガイドスはヒコザルに突進し、『ずつき』をするのだった。
ジュン 「かわして『ひのこ』!」
ヒコザル 「キー!」
ヒコザルは身軽に当たる瞬間に横に飛んでズガイドスの『ずつき』を回避するとまたもや足に『ひのこ』が当たった。
ヒカリ 「コウキ君よく見ていて…バトルにはこういう勝ち方もあるのよ…」
コウキ 「え?」
ヒカリちゃんはただそう言った。
勝ち方って…?
ズガイドス 「ズガ…!」
ヒョウタ (成る程…そういうことか、まずいな既に症状が出始めている)
ヒョウタ 「やるしかないか! ズガイドス『ずつき』!」
ズガイドス 「! ズガーッ!」
コウキ 「動きが遅い!?」
ズガイドスは明らかに足を引きずっていた。
そのため自慢の足も殺され、スピードが半減していたのだ。
ヒカリ 「火傷よ…足を的確に攻撃し、自慢の攻撃力を半減させたのよ」
コウキ 「状態異常…」
ジュン君はこれが狙いだったのか…。
ジュン 「この勝負もらったぜ! ヒコザル『かえんぐるま』!」
ヒコザル 「ウッキー!!」
ヒコザルは僕のナエトルを倒した技『かえんぐるま』で正面から真っ向勝負を挑んだ。
既にスピードを殺されたズガイドスにはどうしようもない。
ヒコザル 「キー!!」
ズガイドス 「!? ズガーッ!?」
ズガイドスは下から『かえんぐるま』を腹部に受けてそのまま2メートルほど吹き飛ばされた。
頭ではなく腹部への攻撃…ズガイドスは立てそうにない。
ヒョウタ 「く…!」
審判 「ズガイドス戦闘不能! よって勝者挑戦者ジュン!」
ジュン 「おっし!」
コウキ 「……」
ヒカリ 「当然かもしれないわね…」
ヒカリちゃんはやや面白くなさそうにしていた。
ジュン君は大いにポケモンと一緒に喜んでいる。
彼は…ポケモンが好きなんだな。
ヒョウタ 「おめでとう、ジュン君これがクロガネジムで勝った証コールバッジだ」
ジュン 「ありがとうございます!」
コウキ 「おめでとうジュン君!」
ジュン 「お? おお、コウキと…おお! 我が心のマドンナヒカリちゅぁーん!!」
ジュン 「ねぇねぇ見てたヒカリちゃーん! 俺勝ったぜー!」
ヒカリ 「はぁ…うざい」
ヒカリちゃんって…もしかしてジュン君が苦手なのかな。
ヒカリちゃんはそっぽを向いていた。
ジュン 「待ってて! 今そっち行くから!」
ジュン君はヒコザルをボールに戻すとそう言ってバトルフィールドを出た。
ヒカリ 「コウキ君、急いで帰るわよ!」
コウキ 「え? でもジュン君は…?」
ヒカリ 「無視よ無視!」
ヒカリちゃんはそう言うと強引に僕の腕を掴んでジュン君と会う前にジムを出るのだった。
…………。
コウキ 「はぁ…はぁ…なにも走って逃げなくても…」
ヒカリ 「いいのよ、あんなのに関わっていたらこっちが疲れるわ!」
僕たちは全速力でポケモンセンターに帰ってきた。
ジュン君の姿は…。
ジュン 「ひどいなヒカリちゃん…逃げなくてもいいじゃんかよ」
ヒカリ 「ひゃあっ!? いつの間に!?」
なんとジュン君、いきなりヒカリちゃんの後ろに潜んでいた。
本当にいつの間に…。
ジュン 「で、どうよどうよ!? 俺の戦いっぷり! もう惚れちゃったでしょ!?」
ヒカリ 「まだまだね、どうせならスボミーだけでズガイドスも倒しなさいよ」
ヒカリちゃんは疲れた顔でそう言った。
ジュン 「甘いね…ピンチの中の逆転…それが格好いいのさ!」
コウキ (たしかに相性の悪い炎で勝ったら格好いいよね…)
少し納得する僕。
でも、ヒカリちゃんは。
ヒカリ 「完全な勝利! それ以外に何か? それよりあたしたちもジム戦なんだからとっととどっか行ってくれない?」
ジュン 「ジム戦? なんだ結局ヒカリちゃんたちもするのか!」
ヒカリ 「やるのはこの子、コウキ君だけどね」
ジュン 「なんだ、野郎かよ…ヒカリちゃんなら全力で応援するのにさ」
ヒカリ (あたしがジム戦じゃなくてよかった…)
ジュン 「まぁいいや、それならもうこの街には用はねぇな、次のジムのあるハクタイシティに行くか!」
ジュン 「おっと、そうそうここのジムは3体戦だから、ポケモン3匹いるぜ、じゃ、あばよー!」
ジュン君はそう言うとまた慌しく次の街へと向かった。
元気だなぁ〜…。
ヒカリ 「しまったわね…頭数忘れていたわ」
コウキ 「頭数?」
ヒカリ 「ジム戦をするには向こうの指示する所持ポケモン数があるのよ」
ヒカリ 「クロガネジムは3匹使用して戦うジム」
ヒカリ 「てっきり2匹のジムと思っていたからここら辺でなんとかポケモンゲットすれば何とかなると思っていたけど…」
そうか…数が足りないのか…。
ヒカリ (一匹ならポケモンが嫌うコウキ君でもなんとかなるんじゃないかと思ったけどさすがにここで2匹もゲットなんて無理だわ…)
ポケモンナース 「二人とも、ポケモンたちはみーんな元気になりましたよ」
ヒカリ 「あ…」
コウキ 「ありがとうございます」
ヒカリちゃんと僕がジム戦のことで悩んでいると突然、横からポケモンを預かってくれていたポケモンナースのお姉さんがポケモンを返してくれた。
ヒカリ 「仕方ないわ! 応急処置よ! コウキ君この子たち使って!」
コウキ 「え!? それって…」
ヒカリ 「ポッチャマとコリンク、頭数だけど何とかしましょう!」
そう言ってヒカリちゃんはポッチャマとコリンクの入ったボールを僕に渡してくる。
コウキ 「でも…」
ヒカリ 「どうやったってポケモンがそろわない以上こうするしかないでしょ!?」
コウキ 「…うん」
もはや、諦めるしかないのかもしれない。
僕は…ポケモンに嫌われている…。
この業からは逃れられないのか…。
ヒョウタ 「やれやれ…」
ヒカリ 「あ、ジムリーダー!」
突然、ヒョウタさんが困った顔でポケモンセンターに入ってきた。
ヒョウタ 「おや、君たちはさっきジム戦を観戦していた二人か」
ヒカリ 「あの、これからジム戦を申し込みたいんですけど」
ヒカリちゃんは勝手にジム戦を申し込んでいた。
ま、まだ覚悟が決まってないのに…。
しかし、それを聞いたヒョウタさんは。
ヒョウタ 「う〜ん、いいんだけど、さっきズガイドスが火傷してしまったからね…ポケモンセンターに預けないといけないんだ」
ヒョウタ 「普通の怪我ならすぐにでもできるんだけどね…ごめん、30分位したらできるから」
ヒカリ 「わかりました! では30分後ジムに伺います!」
ヒカリ 「行くよコウキ君!」
コウキ 「え!? ど、どこに!?」
ヒカリちゃんは僕の腕を掴むとずるずるとどこかへ連れて行くのだった。
『炭鉱』
ヒカリ 「コウキ君! 特訓よ!」
コウキ 「特訓って…」
ヒカリ 「いいコウキ君! はっきり言ってこんな短時間にレベルアップは不可能だわ!」
ヒカリ 「でも、3体戦をすることを踏まえるとナエトルだけで3匹相手をするのは辛いわ!」
ヒカリ 「この特訓でコリンク、ポッチャマと息を合わせるのよ!」
ヒカリちゃんはなんだかいつもと様子が違っているように思えた。
コウキ 「ヒカリちゃん、そんなに焦らなくても…」
ヒカリ 「焦ってないわよ! むしろ焦らないといけないのはコウキ君なのよ?」
コウキ 「…うん」
ヒカリちゃんはどう考えても焦っていた。
僕は僕でまだ不安がある。
一体…どうなるんだろう…。
…………。
『同日 時刻14:15 クロガネシティ クロガネジム』
ヒョウタ 「ふぅ…さてと…準備はいいかいコウキ君!」
コウキ 「…はい!」
午後を少し過ぎた頃、僕はクロガネジムチャレンジャーサイドに立っていた。
あれから30分でポッチャマとコリンクとの息合わせをした。
コリンクは僕とナエトルに興味があるのか少し躊躇いながらも僕の言うことを聞いてくれた…。
でも…ポッチャマだけは…。
コウキ (ポッチャマだけは…僕の言うことを全く聞いてはくれなかった)
ヒカリ (ポッチャマ…まだコウキ君に心を許してくれないのね…)
ヒカリ (クロガネジムは岩タイプのジム、実質コリンクは役に立たないわね…ポッチャマも言うことをきかない以上戦えるのはナエトルだけ…)
審判 「これよりクロガネジム、ジム戦を行います!」
審判 「使用ポケモンは3匹、道具の使用は無しとします」
審判 「先制はジムリーダー! 交換は挑戦者のみとします!」
審判 「ジムリーダー、最初のポケモンを!」
ヒョウタ 「さて、連戦で辛いけど頼むよ! 『イシツブテ』!」
イシツブテ 「イシッ!」
コウキ (イシツブテ…)
『イシツブテ 岩石ポケモン』
『高さ 0,4m 重さ 20,0kg』
『石ころと見分けがつかない』
『頑丈な体を仲間とぶつけ合い硬さを競い合う』
コウキ (たしか、岩と地面タイプのポケモン)
コリンクは電気タイプで電気タイプの技は地面タイプには効果がない。
でも、まだコリンクは電気技を覚えていないから攻撃は気にしなくてもいい…。
コウキ 「いけ! ナエトル!」
ナエトル 「ナエー!」
僕はナエトルを繰り出した。
まずはナエトルで様子を見よう。
コウキ 「ナエトル! 『はっぱカッター』!」
ナエトル 「ナエー!」
ヒョウタ 「イシツブテ、『まるくなる』だ!」
イシツブテ 「イシッ!」
ヒカリ (防御力アップ!? 耐えられる自信があるの!?)
イシツブテは丸くなって防御力をアップした。
『はっぱカッター』は物理技、物理防御を上げる『まるくなる』はダメージを軽減する。
ザザザザザッ!
イシツブテ 「イシ〜…イシッ!」
ヒカリ 「耐えられた!?」
ヒョウタ 「イシツブテ! 『ロックカット』!」
イシツブテ 「イシッ!」
イシツブテは自らの体を削る。
この技は…!?
イシツブテ 「イシー!」
コウキ 「早い! 素早さを上げる技!?」
ヒョウタ 「よし! 『いわおとし』だ!」
イシツブテ 「イッシ!」
ズドォン! ドドド!
イシツブテは地面を叩くと、岩がせりあがって上空から岩がナエトルに襲い掛かった。
コウキ 「ナエトルよけて!」
ナエトルは後ろに下がって『いわおとし』をよける。
ヒョウタ 「イシツブテ『ステルスロック』!」
イシツブテ 「イシッ!」
ヒュッヒュヒュヒュ!
コウキ 「!? な、なに…!?」
突然、フィールドに無数の尖った岩が浮遊していた。
ヒカリ (あの技…たしかクロガネジムの伝統の技『ステルスロック』…効果は…交換時の追加ダメージ!)
コウキ 「くっ! ナエトル『はっぱカッター』!」
ナエトル 「ナエーッ!」
イシツブテ 「イシーッ!?」
イシツブテはナエトルの『はっぱカッター』を2度食らってダウンする。
さすがにそれには耐えらなかったみたいだ。
ヒョウタ 「よくやった、後は任せてくれ、次はこいつだ!」
イワーク 「イワーック!」
ヒカリ 「でたわね…イワーク!」
コウキ (まじかで見るとここまで大きいのか…)
僕は図鑑でイワークを参照する。
『イワーク 岩蛇ポケモン』
『高さ 8,8m 重さ 210,0kg』
『頑丈な長い体をよじらせながら地中を進む』
『掘りながら餌を食べ続ける』
コウキ (8メートル以上…途方もないな…でも、その分当てる部分は大きい!)
コウキ 「ナエトル! 『はっぱカッター』だ!」
ナエトル 「ナエーッ!」
ヒョウタ 「甘いな、もうその技は見切っているよ! 『いわおとし』!」
イワーク 「イワー!」
ズガァン! ドドドド!
ナエトル 「ナエッ!?」
イワークが地面を叩くとフィールドが縦揺れする。
それと、同時に大量の岩が競りあがるが…。
ガガガガガガッ!
ヒカリ 「嘘っ!? 『いわおとし』のせりあがりで大量に襲い掛かる『はっぱカッター』を防ぐの!?」
コウキ 「そんな…!?」
なんとイワークの攻撃はナエトルの『はっぱカッター』をことごとく防いでしまう。
そのまま、余った岩がナエトルを襲い掛かった。
ヒョウタ 「イワーク! 『いやなおと』!」
イワーク 「イワーッ!!!」
キィィィンキィンキィン!!!
コウキ 「くぅっ!?」
ナエトル 「ナエーッ!?」
ナエトルはイワークの『いやなおと』で後ずさる。
ヒョウタさんは攻撃を緩めようとはしない。
ヒョウタ 「イワーク! 『たいあたり』!」
イワーク 「イワーッ!」
ズドドドド!
コウキ 「!? 速い!?」
イワークは地面を抉りながらナエトルに襲い掛かる。
ナエトル 「ナエーッ!?」
ドッカァァ!
コウキ 「ナエトル!」
ナエトルはイワークの『たいあたり』で壁に激突した。
ヒカリ (まずいわ…『いやなおと』は相手の防御力を大幅に下げる技…耐えられる…?)
ナエトル 「ナ…ナエ〜…」
審判 「ナエトル戦闘不能!」
コウキ (あのイワーク、巨体に似合わずなんて素早いんだ…)
まさか、ここで早くもナエトルを失ってしまうなんて…。
コウキ 「く…いけ! コリンク!」
コリンク 「コリン!」
ヒカリ (ここでコリンク!? …どう判断すればいいのかしら…たしかにポッチャマは言うことをきかないし…)
ヒカリ (でも、後ろに控えているであろうズガイトスとの戦いにコリンクを…ううん、だめだ…どう考えても…)
ズドォン! ズドド!
コリンク 「コリン!?」
コウキ (!? 浮遊していた岩が急に襲い掛かってきた!?)
なんと突然『ステルスロック』で張られた尖った岩がコリンクに襲い掛かってきた。
岩はコリンクを襲うと何事もなかったかのようにまた、フィールドの周りを浮遊した。
コウキ 「大丈夫!? コリンク!?」
コリンク 「コリン!」
ヒョウタ 「コリンクか、よく育てられているな、これは相性だけでは計れそうにないな」
コウキ (僕じゃなくてヒカリちゃんの育てたコリンクだからね…)
コリンクがどんな子でどんな技を使うかはヒカリちゃんとの特訓でよく理解している。
コウキ 「コリンク、頼むよ!」
コリンク 「コ、コリン!」
コリンクは躊躇いながら縦に頷いた。
コリンクはナエトルが架け橋となって少し僕を信用してくれていた。
でも、まだバトルは…。
ヒョウタ 「さぁ、行くよ! イワーク『いわおとし』!」
イワーク 「イワーク!!」
コウキ 「コリンク! よけて!」
コリンク 「コ、コリン!?」
ヒカリ (ダメ! 岩の数が多すぎてコリンクが戸惑っている!)
コウキ 「コリンク!」
コリンク 「コリ!? コリ!?」
コリンクの真上に今、無数の岩が大小様々降り注ごうとしている。
コリンクの目には今降り注ぐ岩で覆いつくされているのだろう。
コウキ 「コリンク! 後ろに!」
コリンク 「コ、コリ〜!」
コリンクは回れ右して逃げ出す。
ヒョウタ 「イワーク! 『あなをほる』!」
イワーク 「イワーッ!」
ズガァン!
コリンク 「コ、コリッ!?」
コリンクが命からがら『いわおとし』から逃げるが、その隙にイワークは地中に潜ってしまった。
ヒカリ (まずい! 『あなをほる』は地面技! コリンクには効果抜群だわ!)
イワーク 「イワーッ!」
ズカァン!
コリンク 「コリ!? コリーッ!?」
突然、コリンクの真下の地面が競りあがる。
イワークだ、イワークがコリンクを空中へ跳ね上げた。
ヒョウタ 「今だイワーク! 『しめつける』!」
イワーク 「イワーック!」
コリンク 「コリ〜!!?」
イワークは空中で身動きの取れないコリンクをその長い体できつく締め上げた。
コウキ 「コリンクー!?」
ヒョウタ 「そろそろ終わりしよう! イワーク!」
イワーク 「イワー!」
コリンク 「コ、コリー!?」
イワークはコリンクを放す。
コリンクは無造作に地面に落ちた。
審判 「コリンク、戦闘不能!」
コウキ 「ごめんなさい…コリンク…」
結局コリンクは何もできずに倒されてしまった。
僕のせいだ…僕のせいでコリンクは一方的にやられてしまった…。
コウキ 「お願い…ポッチャマ!」
僕はもはやこの子に頼るしかなかった。
だが、ポッチャマは僕の言うことをきいてくれない。
やはり、この子は僕を嫌っているみたいだった。
ポッチャマ 「チャマ!」
ヒョウタ 「! そのポッチャマ…」
ポッチャマはボールから出るなり、いきなりそっぽを向いてしまった。
よほど僕の命令を聞くのが嫌らしい。
ヒカリ (ああ、もう何やっているのよポッチャマ! あなたが鍵なんだから!)
ヒョウタ (そうか…あのポッチャマは彼の言うことをきかないのか)
ヒョウタ (楽に勝てるに越したことはないけど、それじゃつまらないからね、少し本気にさせてみようか!)
ヒョウタ 「まずはステルスロックの効果だ!」
ズドォン! ズドドドド!
ポッチャマ 「!? チャマーッ!?」
ポッチャマ 「チャマ〜…チャマチャマ!」
イワーク 「イワー!」
ポッチャマはにやら怒ったようにイワークに抗議をした。
しかしイワークは聞く耳を持たないといった感じだ。
ポッチャマ 「ポ〜…チャマー!!」
ビビビビビ!
ポッチャマはイワークに『あわ』攻撃を放つ。
ヒョウタ 「イワーク! 『すなあらし』!」
イワーク 「イワーク!」
ヒュウウウウウウゴォォォォォ!!!
ババババババッ!
ポッチャマ 「チャマ!?」
コウキ 「砂嵐で泡が破壊されていく!?」
ポッチャマの攻撃は砂嵐に阻まれてイワークには届かなかった。
ヒョウタ 「イワーク! 『あなをほる』だ!」
イワーク 「イワー!」
ズガァン!
コウキ 「来た! 気をつけてポッチャマ!」
ポッチャマ 「ポッチャマ!」
ヒョウタ 「いけ! イワーク!」
イワーク 「イワー!」
ズガァン!
ポッチャマ 「チャマ!? チャマー!」
パチィン!
イワーク 「イワッ!? イワー!」
ヒョウタ 「やるな! まさか地面から出てきたところを『はたく』なんて!」
ヒョウタ 「だが、岩タイプのイワークには効果は薄い!」
イワーク 「イワー!」
ポッチャマ 「ポッチャマ!?」
イワークは怯まず、その長い尻尾でポッチャマを弾いた。
コウキ 「ポッチャマ! 『バブルこうせん』!」
ポッチャマ 「チャッチャマ!」
しかし、ポッチャマは言うことをきいてくれない。
ポッチャマは怒ってイワークに接近を試みる。
ヒョウタ 「ふ! イワーク『いわおとし』!」
イワーク 「イワー!」
ズガァン!
ポッチャマ 「!? チャマ!?」
コウキ 「! ポッチャマの真下から!」
なんとイワークが地面を叩くとなんとポッチャマの真下から岩が競りあがってきた。
ポッチャマ 「チャマー!?」
ズドドドドド!
ポッチャマはイワークの岩に押し上げられ、上と下からくるイワークの攻撃に押しつぶされてしまう。
ヒカリ 「ポッチャマ!?」
ポッチャマ 「チャマ〜…」
審判 「ポッチャマ、戦闘不能!」
審判 「よって勝者ジムリーダーヒョウタ!」
ヒカリ 「そんな…」
コウキ 「く…」
僕はポッチャマをボールに戻す。
何もできなかった…。
イワーク相手にここまで歯が立たないなんて…。
ヒョウタ 「ふ、さすがに人様のポケモンを借りて戦う相手に負けるわけにはいかないな」
コウキ 「! 気づいていたんですか…」
ヒョウタ 「ああ、あのコリンクもポッチャマも君のポケモンじゃないんだろう?」
コウキ 「…はい」
ヒョウタ 「ポケモンバトルはレベルだけじゃない、たしかな信頼を勝ち取った方が勝つんだ!」
ヒョウタ 「僕は、いつでもバトルを受けるよ、また来てくれコウキ君!」
コウキ 「…信頼」
ヒョウタさんの言った言葉…それが僕の胸に突き刺さる。
信頼…か。
コウキ 「あの…ヒョウタさん!」
コウキ 「僕…また挑みます! 今度は僕だけのポケモンたちで!」
ヒョウタ 「うん! 待っているよ…」
僕は再戦を胸にジムを後にする。
やっぱり勝つには僕だけのポケモンで勝たなければいけない!
ヒカリ 「…コウキ君、負けちゃった…」
ヒカリ 「あたしのせいだ…あたしが無理に頭数であの子たちを貸したから…」
ヒカリ 「一朝一夕の即席パーティで送り出しちゃったから…」
ヒカリ 「あたし先輩なのに…コウキ君に教えないといけないのに…あたし…焦っちゃった…ごめんなさい…コウキ君」
ポケットモンスターパール編 第3話 「挑戦クロガネジム!」 完
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