ポケットモンスター パール編




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おまけ





『迷いの洞窟』

『サイクリングロードの真下、206番道路の横穴にある洞窟である』

『中は広大で、とても複雑に入り組んでいる』

『中に入って帰ってこれなくなった者も多く、迷いの洞窟と呼ばれるようになった』

『現在では、穴抜けの紐などもあるので、よほどのことが無い限り出られないと言うことは無い』

『しかし、この周辺では事件が耐えない…』

『はたして、それは…なぜなのだろうか?』


−迷いの洞窟の説明−





? 「ふ、ふえぇぇ…ど、どうしよう…」
? 「み、道に迷っちゃった〜…で、出られないよ〜…だ、誰か助けて〜…」



『某日 時刻10:16 迷いの洞窟より』







第11話 『ヒカリちゃん憤怒、コウキ君困惑』




『同日 時刻08:20 ハクタイシティ ポケモンセンター』


ヒカリ 「あ〜…体だるい…てか、疲れた…」

コウキ 「だ、大丈夫ヒカリちゃん?」

ヒカリ 「昨日のギンガ団との戦いでおじさん疲れちゃったよ…」

コウキ 「おじさん…?」

ヒカリ 「は〜、まぁ自転車貰えちゃって得しちゃったけど、ボツボツサイクリングロードでも通ってヨスガ目指しますかねぇ…」

コウキ 「でも、サイクリングロードの下には草むらも広がっているしここの調査はしなくていいの?」

ヒカリ 「ああ…おじさん忘れてたわ、そうだねぇ…迷いの洞窟っていうポイントもあるし、ポケモンの分布調査を行っておかないとねぇ…」

コウキ (今日のヒカリちゃんどうしたんだろう?)

なんだか、いつもと雰囲気が違うな…。
なんだか、いつもより年寄り臭い…ていうかおじさんって?

ヒカリ 「じゃ、そろそろ行こうか、コウキ君の突っ込みもなくて寂しいし」

コウキ (突っ込み?)

ヒカリ 「とりあえず、今日の予定! まずサイクリングロードを通って106番道路に出るわ!」
ヒカリ 「そこから、サイクリングロードのしたの草むらおよびその奥にある迷いの洞窟のポケモン分布の調査!」
ヒカリ 「それが終わったらテンガン山を抜けてヨスガシティを目指すわよ?」

コウキ 「うん」

ヒカリ 「じゃ、行くわよ」

僕たちは今日の予定を確認すると、持ち物を見直してポケモンセンターを出るのだった。
そして、昨日貰った自転車を使ってサイクリングロードを目指して南に下るのだった。



…………。
………。
……。



『同日 時刻09:58 106番道路』


ヒカリ 「……」

コウキ 「……」

ヒカリ 「……」

コウキ 「…ポケモンいないね」

ヒカリ 「あ、いや…その…まぁ、たまたまよ、そう! たまたま!」

僕たちはサイクリングロードの真下の草むらにいた。
もはやいつもの事だが野生のポケモンが見当たらない。
僕のせいだということはよく理解しているが、ここまで嫌われると言うのはやはり嫌なものだ…。
僕って…いっつもヒカリちゃんの邪魔している気がする…。

コウキ 「…例によって離れます…」

僕はいつもどおり離れたところからヒカリちゃんの作業を見守ることにした。

ヒカリ 「はぁ…やっぱり悲しいよね…コウキ君はこんなにいい人なのに…まぁいいわ…えと…」

ヒカリちゃんはていよい岩を見つけるとそれに乗って少し高いところから草むらを見渡した。

ヒカリ 「え〜と、イシツブテ、ポニータ、コロボーシ…あ、進化形のコロトックもいるわね」
ヒカリ 「あとは夜から活動するズバットは橋の下で眠ってるか、あれ? ヤジロンもいる…あれ普通には見つけられないのにね…」

コウキ (あ…ヤジロンって図鑑には載ってないんだ…)

さっきからヒカリちゃんが言っているポケモンを片っ端から検索していたが、ヤジロンだけ出てこなかった。
シンオウ図鑑には登録されていないんだ…でも、普通には見れないって…じゃあどうやったら見れるんだろう?

ヒカリ 「あ、スカンプーもいる! あれって、見れる人しか見れないのよねぇ…でもあたしがスカンプーを見つけたってことはニャルマーは見れないのか…残念」

コウキ (なんで野生のスカンプーを見るとニャルマーを見れないんだろう?)

謎だ…謎すぎる。
わかる人にはわかるのかもしれないけど少なくとも僕には意味不明だ。

ヒカリ 「えっと〜、ほ〜か〜に〜は〜?」

ヒカリちゃんはキョロキョロと周りを見渡す。
ここら辺は結構広い上、色々な環境があるから結構ポケモンも種類がいる。

コウキ 「…ん?」

突然、後ろから気配を感じる。
僕は後ろを見ると。

ドーミラー 「……」

コウキ 「う…うわっ!?」

ヒカリ 「ん!? どうしたのコウキ君!?」

コウキ 「ポ、ポケモン…?」

突然なんだか薄っぺらい変なポケモンが背後から迫っていた。
僕は咄嗟にポケモン図鑑でそのポケモンを調べる。


『ドーミラー 青銅ポケモン』
『高さ 0,5m 重さ 60,5kg』
『体の構造を調べようとレントゲンで撮影したが結局何も写らなかった』

コウキ (謎だ…謎過ぎる)

ヒカリ 「あ、ドーミラーね、エスパータイプのポケモンか、でもコウキ君に自分から近づくなんて…」

ドーミラー 「……」

コウキ 「?」

ドーミラー 「…ミ」

ヒカリ 「もしかして…そのドーミラーコウキ君に興味があるんじゃないかな?」

コウキ 「え? 僕に?」

ヒカリちゃんはそう言うけど、本当にそうなんだろうか?
まぁ、ブイさんとかはそんなに気にしていなかったみたいだったけど…。

ドーミラー 「ド〜…」

コウキ 「ド〜? えと…なんでこんなところにいるって?」

ドーミラー 「ミラ〜」

コウキ 「え? ここら辺は危ない?」

ヒカリ (なんでドーミラーと会話が出来るのよ…コウキ君…そういやブイさんとも会話できたわね…コウキ君って一体…)

ドーミラー 「ド〜」

コウキ 「なぜなら…?」

ガササ…。

ヒカリ 「ん…? ……て」

フカマル 「フッカー!!」

ヒカリ 「きゃああああっ!?」

コウキ 「!? ヒカリちゃん!?」

突然、後ろからヒカリちゃんに接近してきていた一頭身の変なポケモンの襲われていた。

フカマル 「フカフカ!」

ガササササッ!

一頭身のポケモンは僕が近づくと一目散に洞窟の方に逃げだした。
僕はヒカリちゃんの安否を確認する。

コウキ 「大丈夫ヒカリちゃん?」

ヒカリ 「うん…とりあえずは…て、あれーっ!? ポ、ポケモン図鑑がない!」

ドーミラー 「ドードー」

コウキ 「え!? なんだって!?」

ヒカリ 「え!? なになに!? ドーミラーはなんて言っているの!?」

コウキ 「あのフカマルは本来はあの橋の下にある洞窟の奥に生息しているんだけど、時々外に出てこうやって悪さをしているらしいんだ」
コウキ 「つまり、ヒカリちゃんはあのポケモンに図鑑を盗まれたみたい…」

ヒカリ 「な…あ、あのフカチビがぁ…許さない!」

ドーミラー 「ドードー」

コウキ 「迷いの洞窟は凄く暗いからフカマルを探すのは大変だって」

ヒカリ 「う…で、でもあれはとても大切な物だし…」

コウキ 「…あの、ドーミラーさんはフカマルのことを知っているの?」

ドーミラー 「ドー」

コウキ 「え? 知り合い? じゃ、じゃあドーミラーさん僕たちに力を貸してくれませんか!?」

ドーミラー 「ドー」

ドーミラーさんは頷いてくれる。
よかった、力を貸してくれるらしい。

ドーミラー 「ドードー」

ドーミラーさんはついてこいと言わんばかりに洞窟に向かう。
迷いの洞窟はふたつの入り口があって、本来フカマルは見えにくい橋の下の方の入り口の方を住みかにしているらしい。
でも、今回は普通に端の方にある光の当たっているほうの入り口に入ったみたいだった。
僕たちは迷いの洞窟に入るのだった。



…………。



ヒカリ 「うわ…中、真っ暗…」

コウキ 「これじゃ進めないね…」

迷いの洞窟の中は本当に真っ暗だった。
これではフカマルを探すどころか自分たちの位置さえも定かにはならない。

ヒカリ 「うぅ…あたしのルクシオの『スパーク』じゃ限界あるし、せめて『フラッシュ』が使えるポケモンがいたら…」

コウキ 「『フラッシュ』?」

ヒカリ 「その名の通り、周りに明かりを照らすポケモンの技」

ドーミラー 「ドー」

コウキ 「え? ドーミラーさん、使えるって? て……うわっ!?」

カァァァッ!!

突然、ドーミラーさんは自分も使えると言うとその場で激しく輝きだす。

ヒカリ 「へ〜、『フラッシュ』って自力では覚えず、技マシンで覚える技なのにね…まぁいいか、それじゃフカマル捜索開始ー!」

ヒカリちゃんはそう言って、僕たちはヒカリちゃんのポケモン図鑑を奪ったフカマルを捜索するのだった。



…………。



ヒカリ 「しかし、無駄に広いわねぇ…伊達に迷いの洞窟とは呼ばれてはいないわね」

コウキ 「だけど、もう10分以上歩いているけど今だに行き止まりに着かないね…」

ヒカリ 「まぁ、幸いこちとら通称歩く黒いビードロことコウキ君がいるから特に問題はないけどねぇ」

ドーミラー 「ドー?」

コウキ 「……」

どうして、そう胸をザクリと抉ること言うかな…。
でも、これを考えるとフカマルも僕のせいで見つからないんじゃ…。

ドーミラー 「ドー」

ヒカリ 「ん? どうしたの?」

ドーミラー 「ドードー」

コウキ 「え? 向こうに何かいるって?」

なんと、ドーミラーさんはこの先に誰かがいるという。
もしかしたらフカマルかな?

ヒカリ 「待ってなさいよ〜…フカマル…絶対ギャフンと言わせてやるんだから!」

コウキ 「……」(汗)

ヒカリちゃんはそう言って拳をぶつけ合う。
あ、あんまり物騒な事、よくないと思うなぁ…僕は。

? 「ふぇぇ……ふぇ?」

ヒカリ 「て…あれ?」

コウキ 「女の子……?」

ドーミラー 「……」

突然、迷いの洞窟を奥へ奥へと進むと、ひとりの女の子と出くわす。

女の子 「ふ、ふぇぇぇん!」

女の子は突然、大きな声で泣き出す。

ヒカリ 「おお、よしよし、もう大丈夫よ」
ヒカリ 「一体どうしたの? お姉ちゃんに話してみて」

ヒカリちゃんは、怯えた少女を見ると近寄り、腰を下ろして目線を少女に合わせて、頭を優しく撫でた。
それにしても、本当に少女が一人でこんなところに居るなんて…一体どうしたんだろうね?

女の子 「えぐえぐ…こ、この洞窟に入ったの…そして奥へと進んだら…気がついたら道に迷っちゃって出られなくなっちゃったの…」
女の子 「怖かったよ〜…ふえええ〜ん!」

ヒカリ 「よしよし、もう大丈夫よ、お姉ちゃんたちが出口に連れてってあげるからね」
ヒカリ 「さて…で、出口ってどっちだったっけ?」

コウキ 「え? え、えと…ドーミラーさん?」

ドーミラー 「……」

僕はドーミラーさんに聞いてみる。
ドーミラーさんならきっとわかるだろう。
しかし、ドーミラーさんは何も答えてくれない。

ヒカリ 「…もしかして、あたしたちも遭難しちゃった…?」

コウキ 「ミイラ取りがミイラに…ていうの?」

ヒカリ 「…どこでそれ覚えたのよ、コウキ君…しかも合っているし」

女の子 「ふ、ふえええっ!」

ヒカリ 「ああ、大丈夫大丈夫! きっとなんとかなるわ!」
ヒカリ 「ああ、そうそう名前を言ってなかったわね! あたしはヒカリ、で彼が…」

コウキ 「コウキだよ、で、このポケモンがドーミラーさん」

ドーミラー 「ドー」

ヒカリ 「お嬢ちゃんは?」

女の子 「えぐっえぐっ! ミ、ミル…」

ヒカリ 「そう、ミルちゃんっていうのね、とりあえず、覚えている所まで戻りましょうか」

コウキ 「うん」

ドーミラー 「ドードー」

結局、僕たちはフカマル捜索は中断して戻れるところまで戻るのだった。



…………。



ヒカリ 「えっと〜…次は…右だったっけ?」

コウキ 「え? いや…左だったと思うけど…」

ドーミラー 「ドードー」

ミル 「このドーミラーはなんて言っているの?」

コウキ 「真っ直ぐって…」

ヒカリ 「…弱ったわね」

コウキ 「どっちだったっけ…?」

戻ること十数分、ついに帰り道がわからなくなった。
道は3択…一体どう進んだか…。
迷いの洞窟と言うだけあって進めないし戻れない…。

ガガガ…。

ミル 「? なに…?」

ヒカリ 「どうしたのミルちゃん?」

コウキ 「ミルちゃん?」

突然、ミルちゃんが周りをきょろきょろ見渡す。
一体どうしたというのだろうか?

ミル 「な、なんだか変な音がしたんだけど…」

コウキ 「音?」

僕たちは耳を澄ましてミルちゃんの言っていた音とやらを探る。

ガガガ…ガガガガッ!

フカマル 「フッカー!!」

ミル 「え!? きゃあっ!?」

ヒカリ 「ああっ! フカマル!」

なんと、音の正体はフカマルだった。
フカマルが地面に体を擦りながら僕たちに忍び寄っていたのだ。
そして、フカマルの射程圏内に入ったらフカマルは一気にミルちゃんに飛び掛ってきた。

フカマル 「フカカーッ!」

ミル 「きゃああっ!?」

ドーミラー 「ドー」

コウキ 「ドーミラーさん?」

突然、ドーミラーさんが光り始める。
するとフカマルも同じように光に包まれるのだった。
そのまま、フカマルは浮かび上がり地面にフカマルを落とした。

ミル 「ああっ! あたしの髪留めがない!?」

ヒカリ 「コラー! また盗みをして! 返しなさい! あとあたしのポケモン図鑑も!」

フカマル 「フーカフーカ!」

見るとフカマルは黄色いボール状の物を持っていた。
ミルちゃんが髪留めに使っていた物のようだ。
フカマルは人を小馬鹿にしたようにヒカリちゃんに背中を見せて踊っていた。

ヒカリ 「このぉ…!」

段々、ヒカリちゃんの怒りが溜まっていっているのがわかる。
まずい…このままでは惨劇が起きてしまう!

コウキ 「出てきてブイさん!」

ブイゼル 「ブイブーイ!」

僕はブイさんを出す。

コウキ 「返してくれないというのなら実力行使しますよ! フカマル、返して!」

フカマル 「フッカフッカ!」

ブイゼル 「ブイィ〜」

フカマルはまるで聞く耳を持ってくれない。
ブイさんも半ば呆れている。
交渉するだけ無駄か…本当は実力行使なんて好きじゃないけど、ヒカリちゃんに殺人(もとい殺ポケ?)はしてほしくない。

コウキ 「ブイさん! 『アクアジェット』!」

ブイゼル 「ブイブーイ!」

ブイさんは水を巻き上げてフカマルに突撃する。
さすがにフカマルもその速度に反応しきれず正面から直撃を受けた。

フカマル 「フッカー! フカフカ!」

フカマルは怒ったようにじたばたする。
説得するには逆効果かもしれないが、少なくとも聞く耳はもってくれたみたいだ。

コウキ 「フカマル、大人しく返して! 僕は君とバトルしたくはない!」

フカマル 「フッカー!!」

コウキ 「!? 避けてブイさん!」

突然、大きな口をあけてフカマルは何か息のような物を吐いてくる。

ヒカリ 「気をつけて! フカマルの『りゅうのいかり』よ!」

ミル 「『ソニックブーム』と同じようにどんな相手にも固定ダメージを与えるの!」

コウキ 「固定ダメージ…ということは一撃ダウンは心配しなくて大丈夫みたいだな…」

とはいえ、受けると痛そうだ。
ブイさんならなんの問題もないと思うけど…。

ドーミラー 「ドー、ドードー」

フカマル 「フカッ! フカカッ!!」

ヒカリ 「? ドーミラーたち何言い合っているの?」

突然、ドーミラーさんが前に出てきて、フカマルに何か言う。
それが気になってかヒカリちゃんは僕に聞いてきた。

コウキ 「フカマルを説得している、だけどフカマルはそれを拒否しているんだ」

ドーミラー 「ドー…ドー!」

フカマル 「!? フカァ〜…」

突然、ドーミラーが何かを放ったかと思うとフカマルは眠ってしまう。

ヒカリ 「『さいみんじゅつ』?」

そうか、初めて見たけどあれが『さいみんじゅつ』か。
こうやって眠ってしまえば相手は何もできない。

コウキ 「ドーミラーさん、どうして…?」

ドーミラー 「ドー」

コウキ 「そう…」

ミル 「? コウキおにいちゃん、ドーミラーなんて言ったの? ていうかなんでわかるの?」

コウキ 「仕方がないって…悪いことは悪いから」

ヒカリ 「ちなみに、コウキ君のその能力はフィーリングって噂もあるわ、あたしたちのはまったく不明だけどね」

コウキ 「まぁ、なんとなくだから」

しかし、その何となくでポケモンと意思疎通できているのだから世の中不思議だ。
でも、僕にとってはヒカリちゃんたちの方がなんでわからないのか不思議だけどな。

ミル 「髪留め、良かった〜ちょっと汚れてるだけだ」

ミルちゃんはそう言うと土を軽く払って再び髪留めを付け直すのだった。

ヒカリ 「あっれ〜? この子ポケモン図鑑持ってない!」

ドーミラー 「ドー」

コウキ 「ドーミラーさんはどこかに隠しているんじゃないかって言っているよ」

ヒカリ 「はぁ!? このぉ…つくづく人に迷惑かけてぇ…!」

やばい…再びヒカリちゃんの怒りが溜まっていっている。
このままでは無防備なフカマルの命に関わる!

コウキ 「ドーミラーさん…」

ドーミラー 「ドー…」

コウキ 「うん、えと…あ、仕方ないな…」

僕はボールラックを見る。
見てみるとモンスターボールがひとつしかないない。
しょうがないので僕は最後のモンスターボールを手に取る。

コウキ 「いけ! モンスターボール!」

フカマル 「!」

眠っているポケモンは成す術もなくゲットされるしかない。
僕はフカマルをゲットするのだった。

コウキ 「出てきて、フカマル!」

僕は捕まえたフカマルを早速外に出す。

フカマル 「フッカー!」

フカマルはさっきのバトルのダメージは特に感じさせず元気に外に出てきた。

ヒカリ 「さぁ! フカマル、あたしのポケモン図鑑を返しなさい!」

フカマル 「フッカ〜? フーカフーカ! フカカカ!」

フカマルは全く聞く耳を持たない。
まるでヒカリちゃんをあざ笑うかのよう、その場で踊り狂っていた。

ヒカリ 「フ〜カ〜マ〜ル〜!」

コウキ (まずい! すでに噴火寸前! このままでは危険だ!)
コウキ 「フカマル! 命令だ! 返しなさい!」

フカマル 「フッカカ〜カ〜♪」

フカマルは突然その場から走り去ってしまう。

コウキ 「あ! フカマル!?」

ヒカリ 「コラー! 待ちなさいフカマル!」

フカマル 「フッカッカ〜♪」

フカマルはまるで遊んでいるようだがヒカリちゃんは顔を真っ赤にしてフカマルを追いかけるのだった。

コウキ 「はぁ…」

ドーミラー 「ド〜…」

なんだか、ドーミラーさんも疲れているようだ。
なんだか、問題児捕まえてしまったみたい…。

ドーミラー 「ドードー」

コウキ 「え? ドーミラーさん、責任取るって…」

ドーミラー 「ドー」

ドーミラーさんはフカマルが迷惑をかけたぶんの責任は取るという。
ゲットしろとのことだ。

コウキ 「本当にいいんですか? 僕みたいな人間に捕まえられて…」

ドーミラー 「ドー」

コウキ (それほど悪い人間とは思えない…か)

ドーミラー 「ドードー」

ドーミラーさんは言う。
たしかに、僕からは黒いポケモンたちを怯えさせる波動のような物を感じると、しかしその気を持つからといって悪人とは限らない。
なぜ、僕がポケモンから嫌われるのか…その理由はドーミラーさんにもわからない。
だけど、僕は悪人とは限らない。
それをドーミラーさんから聞いたとき、僕は少し救われた気がした。

コウキ 「ボール…もう後はこれくらいしかないけど、ドーミラーさん、いけ、クイックボール!」

ドーミラー 「……」

カチ…カチ…ボフン!

ドーミラーさんは抵抗することなくボールに収まってくれる。
当然、ボールにドーミラーさんが入るとその場は真っ暗になってしまう。
僕はそのままドーミラーさんを外に出すと。

コウキ 「行こう、ドーミラーさん、ミルちゃん! ヒカリちゃんを追いかけないと!」

ドーミラー 「ドー」

ミル 「う、うん!」

僕たちは走ってヒカリちゃんたちを追いかけた。



…………。



『同日 時刻17:25 206番道路 サイクリングロード下』


ヒカリ 「ひやぁ〜…なんとか出られた〜」

ミル 「や、やっとお外に出られた〜…」

コウキ 「ふぅ…」

あれから、ヒカリちゃんを探して、フカマルを探して、なんとかポケモン図鑑を見つけた。
そして、出口を探していたら既に日は沈みかけ夕日が見えていた。

ミル 「おにいちゃん、おねえちゃんどうもありがとう!」

ヒカリ 「うんうん、いいのいいの! それより今度からはひとりでこんな場所に来ちゃだめよ?」

ミル 「うん! ばいばーい!」

僕たちはミルちゃんと別れる。
なんとか、外に出られた。
後はヨスガシティを目指すだけか。

ヒカリ 「近くにクロガネシティがあるわね、今日は一旦そっちに行って明日ヨスガシティを目指しましょう!」

コウキ 「うん」

僕たちは今日はここで作業を終え、一旦クロガネシティを目指すのだった。
次の目的地はヨスガシティ、そこに3つ目のジム、ヨスガジムがある…。
今頃、ジュン君は何をしているんだろうか?
すでにヨスガシティでジム戦を終え、次の街に向かったのだろうか…。



…………。
………。
……。



『同日 某時刻 クロガネシティ』


ハヤシガメ 「はぁ…眠い」

ヤミカラス 「ふん! だらしないな」

ブイゼル 「あなたは『ふみん』の特性があるからそう感じるのよ、普通のポケモンはすでに眠ってる時間よ?」

ヤミカラス 「それなら、あの妙な一頭身コンビはどうなるんだ?」

ヤミカラスはそう言って今日新しく入った仲間を差す。
今日入った仲間がたまたま一頭身コンビだったものだからそのままヤミカラスは一頭身コンビと言っていた。
しかし、この一頭身コンビ、たまたま一日に同時に捕まえられた赤の他人というわけではないようだった。

フカマル 「おい、ドーミラー! ありゃ、一体なんのつもりだ!?」

ドーミラー 「一体何の話だ? 話が全く見えんぞ」

フカマル 「どうしたもこうしたもねぇー! 気がついたら俺っち、ゲットされてるじゃねぇか!」

ドーミラー 「お前は放置しておく方が危険だ、ゲットされた方が世の中平和でいい」

フカマル 「フッカー! ふざけんな! なんで好きでもねぇやつにゲットされなくちゃならねぇんだよ!」

ドーミラー 「だから私もゲットされた、まぁお前の監視役だがな」

フカマル 「フカカー! 俺っちから自由を奪って楽しいんかー!?」

ドーミラー 「あ〜…、うるさい」

フォンフォンフォン…。

フカマル 「ちにゃ…ZZZ」

フカマルはその場でコトンと横たわり、眠ってしまった。

ハヤシガメ 「おお、『さいみんじゅつ』…相手にするには厄介だな」

ヤミカラス 「ふん! 眠らされる前に倒せば済むことだ」

ブイゼル 「そうは簡単にはいかないわよ、ドーミラー種はとても頑丈な種族だからね」

ヤミカラス 「ふん…」



…一方、ヒカリちゃんたちのポケモンは?


ポッタイシ 「また、変なの増えたね〜」

ビークイン 「だめですよ、変なのとか言っては、せめて変わっていると」

ルクシオ 「そ、それじゃ全然変わってないですよ…言い方変えただけじゃないですか…」

フワンテ 「フワワ〜、でも、新しい仲間が増えて嬉しいよ〜」

ポッタイシ 「また、迷惑増えただけだと思うけど…」

ビークイン 「そーですね〜」

はたして、ドーミラーとフカマル、あいつら役に立つのか?
次回につづく。





ポケットモンスターパール編 第11話 「ヒカリちゃん憤怒、コウキ君困惑」 完







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