勇者と魔王〜嗚呼、魔王も辛いよ…〜




Menu

Next Back





第6話 『人の性は悪の性』





『魔王城:サタン寝室』

俺は今、寝室にいた。
情けないことに怪我でベットで寝たきり状態だった。
波○拳を13発も体内に受けてしまったからな…。

セリア 「ねぇ、サーちゃん大丈夫?」

サタン 「ふん! この程度の怪我どうということ無い!」

セリア 「と、言われましても瞬○殺受けましたからね…とりあえずしばらくは寝たきりですわね」

サタン 「くそ…主人にスー○ーアーツをかますとは…いつか仕返ししてやる…」

セリア 「サーちゃん情けないですわね、今なら私でも勝てそうですわ」

サタン 「馬鹿いえ! 怪我していようと貴様ごときに負けるほど愚かではない!」

セリア 「ほほぅ〜、では!」

ギュウ!

サタン 「痛!!」

セリアはいきなり怪我した場所をつねる。
マジで痛いって!!

サタン 「や、やめい!!」

セリア 「うふふ♪ 私の勝ちですわ♪ ほら、看病して差し上げますから大人しくしてなさい!」

サタン 「看病など必要ないわ! お前はさっさと牢獄に帰れ!」

セリア 「もう、相変わらず強情ですわね、ひとりでは立つのも大変でしょうに」

サタン 「問題ない、第一人間に施しを受けるほど愚かではないわ!!」

セリア 「はーいはいはい、御託はいいですの…とりあえず部屋を出ていきますが大人しくしておくのですよ?」

サタン 「ふん…この魔王約束は破らん」

セリア 「ふふ、では…」

セリアはそう言って部屋をでていく。
あの女やはり喰えん。
一体どういう魂胆なのか…?
少なくともすでにこの城の者たちとすっかり溶け込んでしまった。
モンスターたちを恐れる様子もなく、まるで平然としている。
それになんだ、時にまるで我が身のように接してくるのは…?

サタン 「人間の考えはわからん…」



さてさて、魔王城で何やらロマンスの予感が繰り広げられている中勇者一行は…?



ウンディーネ 「さぁ、見えましたよ! あれが港町『ウォンティーゴ』!」

レオン 「ふぅ…やっと腐臭が取れた感じがするな…」

アルル 「潮風が気持ち良いよ〜♪」

俺達は霊海を抜けて、海の見える小高い丘にいた。
空は晴天で、海の近くには町が見えた。
港町ウォンティーゴ…古くより漁業で栄えた町らしい。
北側の大陸に向かうにはあの町から海岸沿いに向かった町シャルルーに行かなければいけないらしい。

エド 「とりあえず、今日中はあの町で一泊か?」

アルル 「その前にご飯ご飯!」

アルルはそう言ってブルーシートを出し、弁当を並べて座っていた。

ウンディーネ 「あらら? いつの間に?」

エド 「いつものことだ、アルルは飯にはうるさい」

シーラ 「ウンディーネ様もお座りください」

ウンディーネ 「ええ、そうね。ありがとう」

アルル 「はい、ウンディーネさんお茶♪」

アルルはそう言ってウンディーネさんにお茶を差し出す。

ウンディーネ 「ありがとう」

アルル 「いやぁ〜…これが世に言うピクニック日和よね〜」

エド 「たしかに、こういう時は平和なものだよな…」

シーラ 「こんな平和が毎日続いてくれればよろしいですのにね…」

レオン 「魔王を倒したら、毎日こうやってピクニックするのもいいかもな」

アルル 「あ、いいねそれ! じゃあここで約束しようよ!」

エド 「約束って?」

アルル 「この戦争が終わったらみんなでここでブルーシートの上でシーラさんのお弁当を食べて笑うの♪」
アルル 「みんなで約束しようよ!」

アルルは健気に笑ってそう言う。
そういう約束もいいわな…。
こういう時は一番歳の若いアルルはまるで少女みたいだ。
実際少女なんだけどな…。

シーラ 「そうですね、約束しましょう…」

エド 「ああ…」

アルル 「うん♪」

レオン 「勇者一行の…約束だ!」

俺達は4人で手を取り合うとそんな何気ない約束事を交わす。
そんな日を夢見て。

ウンディーネ 「ふふふ、素晴しいですね、あなた方は」

アルル 「え? そう?」

ウンディーネ 「はい、とても素晴しいです、こんな時でもそんな何気ない約束ができるなんて…」

アルル 「ん〜そうかな?」

ウンディーネ 「あなた達のような方達がこの世界に多くいれば、この必要悪はいらなかたったでしょうに…」

レオン 「え?」

ウンディーネさんは突然ボソッとそう言った。
一瞬のことだったけどその時ウンディーネさんは物凄く悲しい顔をしていた。

ウンディーネ (何時まで経ってもこの宿命は変わらないのね…勇者と魔王の悲劇)
ウンディーネ (なぜ、この二人は殺しあわなければならないの…?)
ウンディーネ (神は何故、人間に悪の性と善の性を与えたの…歴史は何故繰り返されるの?)
ウンディーネ (この歴史こそが最も残酷なことなのでしょうか…本当にこの悲劇は必要悪なのでしょうか…?)
ウンディーネ (いつになれば…こんな悲劇は行わなくて済むようになるのでしょうか…?)

エド 「…さん! ウンディーネさん!」

ウンディーネ 「え? あ、はい?」

エド 「どうしたんですか突然、ぼーっとしちゃって」

アルル 「ぽかぽか陽気でぼーとしちゃった?」

レオン 「アルルじゃあるまいし、それはないだろ…」

アルル 「ぶぅ〜! いいじゃない、こんな時くらい!」

ウンディーネ 「ア、ハハハ」

アルル 「ほえ?」

レオン 「ん?」

ウンディーネ 「本当に、素晴しいですね。あなた達は」



………………。



『港町ウォンティーゴ』


ワイワイガヤガヤ!

アルル 「うっひゃ〜、首都には及ばないにしろここも人が多いわねぇ〜」

シーラ 「それに活気もあります」

ウンディーネ 「ウォンティーゴはこの戦争が始まる3ヶ前から急成長したのよね、今ではこの大陸屈指の港町だわ」

ウンディーネさんは歩きながらそう説明する。
さすがに物知りだな。

エド 「そういえばウンディーネさんは何歳くらいなんですか?」

アルル 「そういえば、見た目的には20歳くらいだよね」

うむ、恐ろしいほど美人だからな。
精霊族って結構長生きなんだよな?

ウンディーネ 「聞いたら腰抜かしますよ、きっと」

エド 「そんな凄いんですか?」

ウンディーネ 「もう、3000歳にはなりますね♪」

アルル 「3000!?」

レオン 「そいつは驚いた…まさか3000歳とはな」

シーラ 「でも、精霊族はこの世界と共に生きている種族ですし…」

ウンディーネ 「はい、私達には寿命など存在しないようなものですから、水がある限り寿命では死にません」

エド 「でも、それだったら過去の戦争も体験しているんじゃないんですか?」

ウンディーネ 「はい、私はこれまで3回体験しました、今回ので4回目です…」

ウンディーネさんはとても暗い顔でそう言う。
どうやら余程辛いことだったんだな…。

アルル 「ねぇ、ウンディーネさん…その戦争ってみんな最終的には人間が勝っているんだよね?」

アルルは突然奇妙な事を聞く。
魔族の血を持つ者だから気になるのか?

ウンディーネ 「はい…正確には私は『勇者が』勝ったと思っていますが」

レオン 「勇者が…?」

ウンディーネ 「はい、人間は愚かです、その短い人生の中で罪と罰を知らずに生きています」
ウンディーネ 「知らないが故、人は傲慢になり、人は人として成り立たなくなります…」
ウンディーネ 「この戦争は人間の必要悪なのです…」
ウンディーネ 「戦争は人を導きます…勇者という正しき心を持つ者によって」
ウンディーネ 「今回の戦いもあなたの勝利で戦争は終わるでしょう…そして新たなる歴史と秩序が生まれる」
ウンディーネ 「歴史は繰り返されます…残酷なる神はあなたをこの世界に産み落とした…人の救い手とあるため」

ウンディーネさんは悲壮な顔でそう語る。
まるで全て知っているようにそれは語った。
いや、知っているのだろう…かつての歴史から。

シーラ 「あの、ウンディーネさん、よろしいでしょうか?」

ウンディーネ 「なんでしょうか?」

シーラ 「あなたはこの世の悪は何だと思っていますか?」

ウンディーネ 「…申し訳ありませんが、私自身は人間こそが悪そのものだと思っています」

ウンディーネさんは本当に申し訳なさそうに言った。
そして、俺達の中に誰一人として異議を唱える者はいなかった。
シーラさんもわかっていたかのような顔だった。

シーラ 「…でも、私はその不完全なる人間こそが善でもあると思っています」

エド 「シーラさん…?」

シーラ 「確かに人間は愚かです。罪を犯します。だから罰が生まれます」
シーラ 「もし、これの無い者は聖人か、神か、それとも勇者でしょうか」
シーラ 「しかし、人間全てが聖人にはなれません…ですが、その不完全な人間は善の心も持っております」
シーラ 「この私だってきっと心の中のどこかに邪悪な心を持っていると思います」
シーラ 「だから、私は神に仕え、必死にその邪なる心を追い出そうとしております」
シーラ 「神は、わざとこんな不完全な人間を世に生み出したのでしょう…なぜかはわかりませんが」
シーラ 「…人間の善なる部分は、悪なる部分なのでしょう…」

アルル 「シーラさん、それって…」

シーラ 「ごめんなさい…私は人間だから」

エド 「ああ! なんかそういう暗い話は無しにしよう! ほら、とりあえず町に着いたんだからやることやろうぜ!」

エドはこの暗い雰囲気を断ち切るようにそう言った。
幸いその言葉が効いたのか皆にまた笑顔が戻る。

ウンディーネ 「そうですね」

アルル 「うん! 善とか悪とか今はどうでもいいって! あたし達になんとかできるわけでもないんだしさ!」

シーラ 「どうでもよくは…仕方ないですよね」

レオン 「ふ、じゃあまとまったところでどうしようか?」

俺達はこれからのことについて話し合う。

シーラ 「とりあえず、食料を手に入れましょう」

エド 「装備品やアイテムも手に入るなら買っておくべきだな」

アルル 「それじゃ、二手に分かれようよ!」

シーラ 「では、私が食料の調達に」

レオン 「シーラさん一人じゃ大変だろ、俺も行くよ」

アルル 「あたしも行くね♪」

エド 「それじゃ俺が装備品やアイテムだな」

ウンディーネ 「私はエド君についていくわ」

俺達はそう決めると、それぞれ歩き出す。
港町だし、魚とかは手に入りやすいだろう。
しかし、日持ちを考えるとあまりお勧めできないか。
やはり干物?

レオン 「シーラさん、何を買うですか?」

シーラ 「そうですね、とりあえず市場を見て回りましょう、それから決めることにしましょう」

アルル 「あたしは魚がいいな、今日は魚にしよ!」

シーラ 「そうね、魚は日持ちしないけど今日くらいはそうしましょうか」

どうやら本日のメニューは決まったらしい。
ちなみにこのパーティの料理はシーラさんが担当している。
というわけで食材等もシーラさんに一任だ。
俺は荷物運びな。



………………。



アルル 「ええー!? シースゥ一匹で300G!? ボッているんじゃないの!?」

店長 「馬鹿言え! これでも安いくらいだ!」

俺達は魚屋さんに行くとなんと300Gという値段を叩きつけられる。
ちなみにシースゥというのは海の魚でいわゆる秋刀魚だ。

シーラ 「でも、シースゥは本来10G程の魚のはず…30倍はいくらなんでも…」

店長 「最近は漁獲量が極端に悪い! 漁師達は商売上がったりで嘆いているよ!」

レオン 「一体どうしてなんだ? いくらなんでも30倍まで値段が跳ね上がることはそう無いはずだ」

店長 「マーフォークだよ! あいつら戦争が始まってから魔王軍に加担しやがった! それから事あるごとに漁の邪魔をしてきやがるんだ!」

アルル 「マーフォーク? あの魚人間のこと?」

そう、マーフォークは魚の姿をした亜人間だ。
見た目も中身も全然違うがアルルも亜人間なんだよな。
たしか、アルルの父親が魔族のハーフで母親が人間なんだよな…そういうのクォーターっていうんだっけか?

店長 「あいつら昔は良い奴らだったが、やっぱりモンスターだな! 魔族なんかに加担しやがって!」

女主人 「何言っているんだいあんた! あいつらは昔からアタシ達人間と共存しながら生活してたじゃないのさ!」
女主人 「それが、この町の町長が変わってからじゃないか! 仲は悪くなったのはさ!」

店長 「なに言ってんだ! 新しい町長のお陰でこの町はこんなに栄えたんじゃねぇか!」

女主人 「それが、今の状態を生んでるんでしょうが!」

レオン 「……」

何やら言い争いを始めた。
アルルは困ってしまっている。

アルル 「ねぇ、シーラ、悪いのどっちなの?」

シーラ 「それは…見極めなければならないでしょう…」

アルル (うわ、シーラさん本気モード)
レオン (…相変わらずこういうことにはうるさい人だよな…)

見ると、シーラさんの顔には冗談抜きで本気と書いてマジというような顔をしていた。
効果音としてはゴゴゴだろうか?

シーラ 「二人とも! これは食事どころではありません! すぐに調査を開始しますわよ!」

アルル&レオン 「イエッサー!」

思わずシーラさんの気迫に敬礼してしまう。
この人時々怖い…。



…………………。



レオン 「おーい! エド、ウンディーネさん!」

エド 「あ? レオン?」

ウンディーネ 「どうしたのかしら?」

俺は町中でエドたちを見つけると急いで駆け寄った。

レオン 「はぁはぁ」

エド 「大丈夫か?」

レオン 「い、急いで海岸の方まで来てくれ…!」

エド 「な、なんかあったのか!?」

ウンディーネ 「まさか、シーラさんやアルルちゃんの身に何か!?」

レオン 「とにかく、いそいで!」

俺はそう言って走り出す。

エド 「あ、おい!」

ウンディーネ 「ちょ、ちょっと!?」



…………………。



『港町ウォンディーゴ付近の海岸』


レオン 「わ、わりぃ少し遅れた…」

シーラ 「遅いです! 作戦は一刻を争うのですよ!?」

俺はエド達を連れて全速力でシーラさんの下に帰ってきた。

ウンディーネ 「作戦って…一体何があったの!?」

シーラ 「私達は悪事を暴かなければなりません!」
シーラ 「今から、マーフォークたちを調べます!」

エド 「調べるって、調査? だったら明日でも…」

すでに時間は夕刻、これからとなると夜になるぞ?

シーラ 「昔から言うでしょう…『悪・即・斬』と!!」

ウンディーネ 「ね、ねぇレオン君、シーラさん性格変わっていない?」

レオン 「ああいう性格なんですよ…」

そう、ああいう性格なんだ。
時にはた迷惑な時もある…。

シーラ 「さぁ、ぐずぐずはしていられません! 行きますわよ!」

アルル 「お、オー!」

今日のシーラさんにはみんなたじたじだ。
ある意味魔王より怖い…。

ウンディーネ 「ねぇ…レオン君、一体何があったわけ?」

レオン 「ええ、じつは…」

俺は別れた後の事の経緯をウンディーネさんに話した。
ウンディーネさんはそれを聞く成る程と頷き。

ウンディーネ 「さしずめ人間とマーフォークの利害関係が問題の発端か…」

レオン 「ええ、それでどっちが悪なのか調べようとしているんですよ」

ウンディーネ 「で、レオン君はどっちが悪だと思っているの?」

レオン 「推測ですけど…今の所人間の方かと…」

ウンディーネ 「ふふ、成る程」

レオン 「な、なんですかその不敵な笑みは?」

ウンディーネ 「いえ、レオン君もちゃんとした価値観を持っているのねと思ってね」
ウンディーネ 「でも、ひとつ面白いことを教えて差し上げますね。善とか悪とかは人の見方によっていかようにも変わるのよ?」

レオン 「え? てことはウンディーネさんは?」

ウンディーネ 「私は少なくともどっちも悪と思っていないわ」
ウンディーネ 「だって、まだ決めることはできないし」

ウンディーネさんはそう言って歩く。
善とか悪とかは人の見方によって変わるか…。
そうか、そうだよな…そうじゃなかったらあの店長と奥さんは喧嘩なんかしないか。



『マーフォークの洞窟』

マーフォークA 「なんだ!? 人間が近づいてくるマー!」

マーフォークB 「町の人間じゃないぞ!? まさかわれわれを退治するための雇われ戦士かマー!?」

マーフォークA 「大変だマー! 急いで長老様に伝えるマー!」



…………………。



マーフォークB 「何の用だマー! ここは人間の来る所じゃないマー!」

マーフォークの門番と思われる奴はそう言って槍を突きつけてくる。
しかし、シーラさんは物怖じしない。

シーラ 「この先にウォンティーゴと呼ばれる港町があります」
シーラ 「あの町の人間と何があったか教えてもらえないでしょうか?」

マーフォークB 「なんと!? そんなこと聞いてどうする気マー!?」

シーラ 「私は悪を裁かなければなりません! そのためにはあなた方の言い分も必要なんです!」

マーフォークB 「…裁く? 人間がマー? そんなの信用できないマー! もう人間には騙されないマー!」

マーフォークは断固そう言う。
どうやら相当あの町との怨恨は根強いみたいだな…。

ウンディーネ 「私でもですか…?」

マーファークB 「ウ、ウンディーネ様!? ど、どうしてあなたが…!?」

マーフォークはウンディーネさんを見て明らかにうろたえる。
やっぱり水の精霊たるウンディーネさんの力は絶対だな。

ウンディーネ 「どうしても話してもらえませんか?」

マーフォークB 「う、うう…」

マーフォークは明らかにうろたえる。
さぁ、どうなる?

長老 「ウンディーネ様は人間のグルだマー!」

レオン 「!?」

突然、洞窟の奥からそう叫んで出てくる年老いたマーフォークが現れた。
その後ろには20名近く武装したマーフォークがいる。

マーフォークB 「ちょ、長老!?」

どうやら、長老らしい。
それにしてもグルとは随分な言い方だな。

ウンディーネ 「私がグルと?」

長老 「人間の勇者といるのがその何よりの証拠マー! ウンディーネ様に手荒い真似はしたくないマー! すぐに立ち去るマー」

長老のその言い分にみんな動揺する。
どうやら魔王軍側には随分勇者という存在は大きいらしいな。

エド 「ちょっと待てよ! さっきから聞いていたら!」

アルル 「ちょっと、エド…!」

ジャキ!

エド 「う…」

マーフォークたちはその独特の槍トライデントを一斉にこちらに向ける。
さすがにこの数は…。

シーラ 「わかりました…ここは立ち去りましょう…」

エド 「シーラさん!?」

ウンディーネ 「行くわよ、エド君」

ウンディーネさんもきっぱり諦めたようで後ろを向ける。
ちぃ、仕方ないか…。

俺達はその場を去るしかなかった。



…………………。



エド 「くそ、あいつら自分達の言い分ばかり押し付けやがって…」

ウンディーネ 「正当なやり方よ、彼らはそれほど人間に強い憎しみを抱いている」
ウンディーネ 「まずはその憎しみが何故生まれたかを調べないとね…」

アルル 「うーん、どうしてあんなにいがみあわないといけないのかな?」

シーラ 「それを調べないとね」

ウンディーネ 「ここは発想の逆転よ! 何があったのかじゃなく、何故こうなったのか!?」

レオン 「あんまり変わっていない気もするけど…とにかく、なんとかしないとな」

結局そういうと事でこの場は団結する。
このままはい、サラバは簡単だが俺(もといシーラさんとウンディーネさんが)許さないからな。

マーフォーク 「おおーい!」

レオン 「ん? マーフォークが近づいてくるぞ?」

ウンディーネ 「あれは?」

見ると洞窟の方からマーフォークが近づいてきていた。
槍も持っていないところを見ると、さしずめマーフォークの中の一般人か?

ウンディーネ 「あなたは?」

マーフォーク 「はあ…自分、『マーフォーク・マー・マーマデラ・マーンスマ・マママ・マントロゴマ・マンネンマ・マー・マントロス・マー』と申しますマー」

アルル 「名前長! どこからが名前でどこが苗字!?」

ウンディーネ 「えと、マーさんでよろしいですか?」

ウンディーネさんもさすがに苦笑している。
恐るべき人だ…名前内に何個マが入っていた?

マー 「実は、あなた方にお話したいことが…」

シーラ 「話したいこと?」

マー 「はい、そもそもの発端の話です…」

レオン 「…!?」

それはそれこそ、今回の鍵を握るであろう話であった…。
しかし、この後この何気なさそうな話は急展開を見せることとなる。
そして、それを予期する者は…この中には誰もいなかった…。



『同日:同時刻:魔王城』


メビウス 「た、大変です魔王様!!」

サタン 「どうした、メビウス?」

寝室で横になっていると突然メビウスが血相を変えて、飛び込んできた。

メビウス 「あ、あの女が! 『アンダイン』がやってきました!」

サタン 「なんだと!?」




To be continued



Next Back

Menu


inserted by FC2 system