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OPERATION Second 『記憶喪失』






サナリィ軍事基地




サナリィ…サナリィとは反エグザイルを唱える非合法組織で、エグザイルの世界征服を真っ向から阻止しようとしている組織だ。
しかし、その軍事力はエグザイルとは雲泥の差がありとても抗える存在ではない…。
しかし、反エグザイルを唱える者は多い、そういった者が集まりこうやってサナリィという組織は生まれた。

そしてそのサナリィの軍事基地のひとつ。
あのスパイとナイトメアの運ばれた基地でひとりの男と女が話をしていた。
話の内容は例のスパイのことのようだった。

女 「男の経歴等…一切不明」
女 「わかっていることは例のユニットを奪ったエグザイルのスパイって事だけよ」
女 「まぁ、もっとも現場の状況から推測しただけだけどね…どう? 分かったかしらグレッグ?」

女は資料もなしで淡々とそう言う。
見た目は淡いブルーのショートヘアーで顔は割と童顔だった。
スタイルはよく服装がТシャツとジーンズをはいているだけだったのでそのラインがかなり出ていた。
誰が見てもその女性は美人というだろう。
それくらいのスタイルを持っていた。
名はマリア…『マリア・レウス』という。

グレッグ 「ふむ…しかし、記憶喪失らしいじゃないか?」

この男はグレッグ、『グレッグ・フォスター』。
38歳でこのサナリィの総司令官、大将なのだ。
身長は180センチ程度と割と高い身長を持つアジア系の男だ。
髭は綺麗にそってあり。
一応な軍服を着ている。
その軍服はベージュ色で左胸の辺りから下に白と青と赤のラインが入っていた。
帽子は被っておらずザンバラな髪型が顔を出している。

マリア 「らしいわね…ま、しょうがないでしょ」

グレッグ 「ふむ…とりあえずその男はお前に任せるぞマリア」

マリア 「オーケー、わかったわグレッグ」

マリアはそう言うとさっさとその場から離れる。
そこは司令室のようで大きな事務用の机がひとつあるだけ。
マリアはその机に乗っかっていた。
机から降りるとすぐ近くのドアに向かって歩いて行きさっさと司令室から出たのだ。

マリア 「さってと…シュウイチに任せたままだけど、どこにいるかしらね…?」

マリアはそう呟くと考えながらもとりあえずどこかへ向かった。
マリアはとりあえずあてはあるようだ。
マリアは迷うことなくそこへ向かう。



………………



シュウイチ 「名前が思い出せないなんて困りましたね…」

シュウイチはそう言って頭を抱えて本当に困った顔をする。
ちなみにこいつシュウイチは『三倉 修一』というらしい。
身長は俺より小さい150センチくらいだ。
体は華奢でもなければごつくもない普通の体型。
顔はまだ幼い感じが残る美少年だ。
髪はスポーツ刈りでさっぱりしていた。

ちなみにこのシュウイチは俺を見つけた青年だ。
見た目はオドオドとしているが中身もそんな感じがする。
大丈夫だろうか?

シュウイチ 「何とか名前思い出せませんかね〜?」

シュウイチはまだ名前にこだわっていた。
名前なんてそんなに大事な物なのか?
俺はどうも記憶がいろいろ抜けているせいかそういう所はよくわからなかった。

スパイ 「なんなら名無しでもいいんじゃないのか?」

名前とはようはその人物と当てはめるための暗号だろう。
それならば名無しでも問題ないはず…。
しかし、シュウイチは苦笑いをしている。
名無しではダメなのか?

シュウイチ 「名無しはまずいですよ…道徳的に」

スパイ 「?」

道徳的…?
ちょっとよくわからない。
道徳的とはなんだ?
モラルのような物か?
どっちにしろきっと大事なことなんだろう。

スパイ 「しかし実際思い出せないのだから仕方がないだろう…」

そんな簡単に思い出せるようならこんなに頭を悩ませることはないだろう。
名前なぞどうでもいいがシュウイチにとってはどうでも良くないようだ。
やはりよくわからん…。

マリア 「じゃ、『クレス』ってのはどう?」

突然後ろから女の声が聞こえる。
俺はゆっくり振り向くとそこには女がいた。
はじめて見る女だ、一体誰だ?

シュウイチ 「あ、マリアさん」

マリアさん?
マリアさんという名前なのか?

マリア 「で、どう? クレスってのは」

スパイ 「クレス?」

マリア 「そ、クレス」

スパイ 「問題ない…わかった」

名前は必要だそうだからな。
クレスという名前で良いというのならそれでいいだろう。

マリア 「じゃ、クレスに決定ね」

クレス 「うむ」

俺はとりあえず頷いておく。
頷く必要があるのかどうかは知らないがそうした方がいい気がしたからだ。
もしかしたら間違った行動を取ったかもしれない、がその時はその時だ。
少なくともこのマリアさんとかいう女は特に気にする様子もない。

マリア 「じゃ、とりあえず自己紹介しとくわね」
マリア 「あたしはマリア・レウス。フランス人よ」

マリア…か。
それでいいんだよな?

クレス 「マリア…で、いいんだな?」

俺は一応聞いておく。
間違えていたら誤認する可能性があるからな。

マリア 「あら、いきなり名前で呼ぶなんて大胆ね」
マリア 「ま、いいわよマリアで」

クレス 「……?」

名前で呼ぶことが大胆?
名前を呼んで何が悪いんだ?

シュウイチ 「えっと…一応僕ももう一回自己紹介しておきますね」
シュウイチ 「三倉・修一。日本人です」
シュウイチ 「気軽にシュウイチでいいです」

クレス 「うむ、よろしく頼むシュウイチ」

シュウイチ 「はい! よろしくお願いしますクレスさん!」

シュウイチはそう言いながらお辞儀する。
俺もみようみまねだがお辞儀する。

マリア 「なんか、変な光景に見えるな〜」

マリアは何故か笑っていた。
何故だ?

マリア 「あ、そうだ、忘れる所だったわ」

マリアはそう言うと突然何かを思い出したようにする。
いや、思い出したんだろう。

マリア 「本日付であなたの監視役兼世話係になったからよろしくねクレス」

クレス 「うむ、わかった、よろしく頼む」

マリア 「うーん…簡単に納得されちゃったわね」

マリアはどこか複雑な笑みを浮かべていた。
何か間違えたか俺は…?

マリア 「ま、いいわ…で、何か質問はある?」

クレス 「…?」

質問…?

シュウイチ 「どうしたんですかクレスさん?」

シュウイチは俺の顔を見てそう言ってくる。
きっと俺が不思議そうな顔でもしていたのだろう。

クレス 「質問とは何だ?」

俺は素直にそう聞いた。
分かることもあれば分からない事もある。
まったくもって不便なものだ。

マリア 「そういや一部の言葉の意味忘れているんだったわね…」

マリアは目を細めながら頭を掻いた。
そう言うことも忘れていたようだ。

シュウイチ 「えっとですね、知らないこととかを知りたい時に使う言葉ですね」

そのときシュウイチが簡単にそう教えてくれる。
成る程…そう言うことか。

クレス 「それならいくらでもある」

今まで何がなんだかわからない言葉がいくらでも出てきた。
さすがに理解できないのは不便だ。
ここは一気に聞いておこう。

マリア 「え!? ちょ、ちょっと待って!」

マリアは突然ギョッとした顔をする。

マリア 「やっぱり却下! 質問はなし!」

マリアはそう言って両手を振って拒否する。

クレス 「…残念だ」

しかし、マリアが嫌がっているのなら仕方ないだろう…。
少なくとも俺に決定権はない。
マリアがダメというのなら仕方あるまい。

シュウイチ 「では、僕がお答えしますよ」

クレス 「…本当か?」

マリアの代わりにシュウイチが答えてくれるといってくる。
それは俺にはありがたいことだ。

マリア 「正気…?」

マリアは疑惑の眼差しでシュウイチを見る。
問題があるのか?


ヴォーン! ヴォーン!


クレス 「!? なんだ?」

突然妙な音が鳴り始める。
この音以前にも聴いたことがある気がする…。
ただ、思い出せない。
何か危機感のある感じだ。
外の通路も赤いランプがついている。

マリア 「敵が来たようね…行くわよシュウイチ!」

シュウイチ 「はい!」

マリアとシュウイチは突然神妙な面持ちに変わり急いでどこかへ走り去ってしまう。
どこへ行くのかはわからないが俺もこの場でじっとしているわけにはいかない気がしたのでマリアたちの後を追った。

よく見るとどうもこの基地全体が慌しくなっているようだ。

クレス (そういえばマリアが敵がどうとか言っていたな)

俺はふとマリアの言葉を思い出す。
敵…あまりいい感じがしない言葉だ。
何かよくはわからないがいやな感じがするのは確かだ。
しかし、一体何が起こっているんだ?
少なくとも通路ですれ違う人たちはみんな急いでいた。
まぁ、かくいう俺も急いでマリアたちの後を追っているのだが…。

………


やがて、しばらく通路を通ってマリアたちの後を追っていると『ユニットデッキ』という所についた。
俺はその場所に入るとそこには昨日見た巨人達がいた。
たしか…ユニットだ。
俺もよくはわからないが人の操る巨人のような物のようだ。
マリアとシュウイチもそれぞれユニットに乗って基地の外に出て行ったようだ。
外ではどうも爆発が起こっているようだ。
よくはわからない…俺も外に出てみないとわからないか。

クレス 「あれは…俺の乗っていたユニット…?」

その場には俺の乗っていた赤いユニットもあった。
ただ、何か変だ。
何か一回りほど小さく見える。
ていうかハリボテ?

もうすでに周りのユニットは皆外に出て行ってしまった。
一体外で何が起こっているのか…。
とりあえずそれを確認するため俺もユニットに乗る。
あの狭い中は居心地はよくはないが入らなければ話にならない。
恐らくあれも動くはずだ。
…動かし方はわからないが。

クレス 「…どうやって乗ればいい…?」

少なくとも以前おれが乗っていた場所は俺の身長よりずっと高い所にある。
以前みたいに倒れていてくれでもしないと乗れないぞ…。

クレス 「まてよ…ならば何故他の者は乗れる…?」

確かさっきの奴等は…。
俺はそのときある足掛け目にする。
確か、これを踏むと…。

クレス 「…!」

俺は足掛けの棒を踏むと棒に付いた線は上に引っ張られる。
俺はそれに乗っているとそのままコクピットとかいう所に運ばれる。
俺はそれに乗り込むのだった。

男 「あ! おい、それは…!」

下で整備員(たしかガンスとかいう奴)がなにやら叫んでいたが俺は気にしない。
俺はそのままコクピットに入った。

クレス 「たしか、これで閉める…」

俺はあるボタンを押すとコックピットは閉じた。

クレス (…! 俺は知っていた?)

そう、俺は今確かに知っていたからそれが出来た。
…ということは俺はこいつを知っているのか。

クレス 「ならば…操作方法も…」

俺は無意識の内に二つの棒を持っていた。
…確か操縦桿だ。
確かにわかる…昨日まではまるでわからなかったが今ならわかる。

俺は感性のまま棒を動かす…。
しかし、機体は動かない。

クレス 「…動かない?」

やはりここでも虫食いのように何かを忘れている。
何か重要なことを忘れている…。
何か…何かしなければ起動しないだ。
だが、その何かが全く思い付かん…。

クレス 「! メインパワー?」

俺はそう書いてあるボタンを見つけた。
メインボタン…?
俺は文字は読めるのだが意味がわからない。
だが、何か思い出しそうだ。

クレス 「そうだ! これだ!」

俺はそのボタンを押す。
すると中は急に明るくなり前面になにやら外の様子が映し出されていた。
今思い出した。
メインパワー…つまり主電源。
起動キーを挿した状態でこれを押さないと起動できないんだ。

キーは最初から挿されていたようだ。
恐らく挿しっぱなしだったというのが正解だろう。
だが、これで動かせる!

とはいえ今の俺は初心者同然なので覚えている限りでゆっくり動かして外に出る。
記憶がなくとも体が覚えているものだな…。
俺は体が覚えているまま動かしているとあることに気付く。

クレス 「音がしない…」

そう、外にいたときは平気で爆発音なり何なりが聞こえていたのだが今は何も聞こえなかった。
完全防音は良いがそれはそれで困る…。

クレス 「どうしたら良いんだ…?」

モニターに移っている映像には爆発も確認できる。
はっきり言って危なそうだ。
しかし音がないからイマイチ感覚が…。

クレス 「たしかこれもボタンで…」

俺はそう言ってボタンを探す。

クレス 「…外部出力…?」

これだろうか。
何故かこれで止まった。
多分止まったということはこれだろう。
きっとこれも体が何となく覚えていたに違いない。

クレス 「押してみればわかるか…」

俺はとりあえずそれを押してみる。


ドカァン!


クレス 「うおっ!?」

突然爆音が鳴り響く。
正直驚いた。

ガンス 「おい! その機体は今整備中だから装備は何もされていないんだよ!」

クレス 「…?」

これは外部の声じゃない。
さっきの男…ガンスの声だ。
スピーカー?

よくはわからないがそう言う言葉が思いつく。
本当によくわからないな…。

ガンス 「聞いてるのか!? 無装備だぞ!?」
ガンス 「専用ライフルもエネルギーブレードも多弾頭ミサイルポッドも装備されていないんだよ!」
ガンス 「おまけに装甲全部外しているんだ!」

クレス 「…???」

装備…?
装甲…?

クレス 「全然わからん…」

一体どうゆう事だ?
それはいったいなんなんだ?

ガンス 「ああー!! 何でもいいから基地に戻りやがれ!!!」

ガンスはかなり怒っているようだ。
どうやらなにかまずいのは確かのようだ。

クレス 「わかった急いで戻る」

とは言っても俺はいつのまにか戦場のど真ん中にまで歩かせていた。
本当はこの機体もっと早かった気がするんだがな…。
とりあえず俺は全速力で歩かせて基地に戻る。


ドカァン!!!


クレス 「!?」

突然すぐ真後ろで爆発。
あともう少しで基地に入れそうという所で攻撃されてしまう。
幸い機体には当たらなかったが当たったらえらいことだ。
俺は思わず後ろを振り向く。
するとそれ程遠くない位置に敵と思しき奴がいた。

やばい…明らかにこちらを狙っている。
そういうのがよくわかった瞬間。

ドシュゥン!

ドカァン!

クレス 「くっ!?」

敵は肩からミサイルを放ってきた。
内臓式のようだ。
右腕には大きなガトリング砲も装備されている。

本来ならこのままお陀仏していたろうが俺はこのとき無意識の内に体が動いていた。

ガンス 「やばい! 早くもどってこい!」

クレス 「…応戦する!」

ガンス 「んな!? どうやって!?」

ガンスはスピーカー越しにそう言うが俺の体は既に動いていた。
ブースターの出力を最大に引き出し、一気に距離を詰める。
相手はそれに反応して咄嗟にガトリング砲を放つが俺は上に飛んでロックから外れる。

クレス 「当たらなければいいことだ…!」

…?
当たらなければいい…?
今、俺は無意識にそう言った。
いや、無意識じゃない…これは知っていることだ。
俺はそのまま敵との距離を無くすと敵の頭部を殴りつけてモニターを破壊する。

クレス 「はぁ!」

その後蹴り倒して俺は相手のガトリング砲を奪うと相手のコクピットを穴だらけにする。

クレス 「武器が無いなら奪えばいい…」

…また俺は何かを思い出している。
いや、今まで知らなかったことはほとんど思い出した。
さっきの爆発の偶然かそれとも…?
どちらにしても今はいいことだ。

クレス 「敵機体数は7か…速攻で終わらせる!」

はっきり言って装甲も何も無いから当たるわけにはいかない。
だが、当たらなければどうということは無いだろう!

俺はナイトメアの性能を最大限に引き出し戦場を駆け抜ける。
他のユニットとは性能が違う。
刹那の内に敵を破壊することくらい容易だ。




………………
……………
…………
………
……





グレッグ 「みんなご苦労!」
グレッグ 「約一名、かなり無茶な戦法を用いてくれたおかげで無事負傷者も出なかった」
グレッグ 「今日はご苦労! それでは解散!」

俺たちは無事戦闘を終えるとなにやらミーティングルームのような所に集められた。
そこで総司令官のグレッグの言葉を聞いていた。
そしてすぐに解散だ。
どうやらあまり規律のような物は存在しないようだな…。

クレス 「…マリア」

俺は解散した後マリアを探し、話し掛ける。
言わないといけないことがあるからな。


マリア 「何?」

マリアは不思議そうな顔をしていた。

クレス 「質問のことだが…」

マリア 「え!? あ〜それは…勘弁して…」

マリアはそれを聞いた瞬間困ったような顔をする。
どうせそうだろうと思った。
だから俺は…。

クレス 「もういい」

マリア 「へ?」

マリアは不思議そうな顔をしてそう言った。
さっきの戦闘で細かい事はほとんど思い出した。
だが…全てを思い出したわけじゃない。
たとえば…名前。
これは未だに思い出せない。
それに今まで俺が経験した記憶も。
肝心のところが何一つ無い…。
それが一体何故なのかは分からない。

もしかしたら…思い出したくないのかもしれない…俺は。
俺は一体何者なのか知りたい。
だが、俺は知ることが出来ないのか?
そんなことは無いと思いたい…。


…NEXT OPERATION A GO




Strategy of the following!

一応の記憶を取り戻したクレス。
しかし肝心のことは何も分からずじまいだった。
どうしても知りたい自分という存在。
そこでクレスはかつて記憶を失う前の場所へ向かうのだった。
そこでクレスは…己を知るものと出会う。

次回 UNIT

OPERATION Third 「自分を知る者」


クレス 「…俺は一体…」




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