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ポケットモンスター エメラルド編


第19話 『チームワーク』




『10月21日 午前6時 ポケモンセンター112号室』

チュンチュン…。

ヒトシ「ふぁ〜」

俺は欠伸をして、目を覚ます。
昨日の夜、朝1にキルリアが話をしたいという。
早朝トレーニングのため、いつもは6時30分に起きるのだが。
しかし、今日のトレーニングは少し特殊にするつもりだ。

ヒトシ「出ろ、キルリア」

キルリア「……」
ヒトシ「どうした? そんな浮かない顔して?」

キルリアはなんだか寂しそう…いや、悔しい…といった方がいいだろうか?
しかし、キルリアが考えている事はすぐにわかった。

キルリア「あの…ジュプトルさん達…いや、僕以外全員がエアームドさんを認めてくれないんです…」

キルリアはそんなことを言う。
俺はエアームドの紹介係を、ジュプトルではなく、あえてキルリアにした。
恐らくそのときにトラブったのだろう。

ヒトシ「…なぁんだ! そんなことか〜〜」

キルリア「は?」

キルリアは俺の反応に戸惑った。
俺がもっと悩んでくれると思ったのだろう。

ヒトシ「俺はそんなことは想定済み…いや、予測してた」

キルリア「え!? だったらなんで…」

ヒトシ「キルリア、俺はジュプトルではなく、あえてお前に紹介させた…その理由がわかるか?」

キルリア「え? え、えーと…」

ヒトシ「紹介の時のジュプトルの反応を見て、俺があいつに頼んでたらやると思うか?」

キルリア「………やらないと思います」

ヒトシ「だろ? エアームドは…あれだ、刑務所から出てきて、そのせいで就職できないのと同じような状態だ」

キルリア「は、はぁ…」

ヒトシ「今日の早朝トレーニングは特殊だから」
ヒトシ「ふぅ…30分寝るか…」

キルリア「……」

俺はキルリアを戻して、目覚ましを30分後に設定し、浅い眠りにつく。

…………。


ヒトシ「……出ろ! みんな!」

一同「……」

一斉に出てきたのが嘘のような静寂に包まれる。
エアームドをまだ認めていない…そういうことだ。

ヒトシ(ふ…思った通りだ)
ヒトシ「今日のトレーニング内容は…ジュプトルVSエアームド、以上」
ヒトシ「他は見学!」

キルリア「はいぃぃぃ!?!?」
ジュプトル「ジュ、ジュル!?!?!?」
エアームド「エ、エア…」

ジュプトルとキルリアは驚きを隠せない様子。
エアームドは少し気まずい…そんな様子だ。
そりゃそうだろう…リーダーにすら認めてもらえないのにそのリーダーとバトルするのだ。
俺が1年の新入りなのにその時の4番バッターのバッティングピッチャーをやったときより気まずいだろう。
だが、このジュプトルの反応でジュプトルのエアームド拒否の理由を確信した。

ヒトシ「…それでは、始め!」

ジュプトル「ジュ、ジュル!!」

エアームド「エア!?!?」

ジュプトルは先に『でんこうせっか』を仕掛ける。
それをエアームドは回避した。

ヒトシ「エアームド? 遠慮はいらないぞ?」

エアームド「エ、エア…」

…と言ってもどうしても遠慮してしまうだろう。
対してジュプトルは…。

ジュプトル「ジュル! ジュル!」

…………。

キルリア「…怯えている?」

マリルリ「え?」

キルリア「いや、サイコパワー使えば、色で感情がわかるんです」
キルリア「今のジュプトルさんは黒、怖い…といった感情です」
キルリア「たいしてエアームドは紫…困った、戸惑っている…といった感情」
キルリア「なんで…マスターはエアームドが遠慮しているとわかったんだろう??」

ジュプトル「ジュル! ジュル!」(この! この!)

エアームド「エア…」(うう…どうしよう…下手に攻撃できない…攻撃したら…)

ヒトシ(そろそろか…だいぶジュプトルの感情が読めた)
ヒトシ「止め!!」

ジュプトル&エアームド「!?」

これでこの早朝トレーニングの目的は達成された。
今回の目的は能力UPのためではない。

ヒトシ「ジュプトル、お前の今の感情を教えてやろうか?」

ジュプトル「…ジュル?」

ジュプトルは何のことか分からないらしく、首を傾げた。

ヒトシ「お前、『怯えている』んだろ?」

ジュプトル「!?」

ヒトシ「戦い方からしてもお前にしては珍しく控えめだった」
ヒトシ「攻撃もただ闇雲に…よく相手を見ていなかった」

ジュプトル「ジュル…」

ヒトシ「他もだ! お前らはエアームドが怖いんだと思う」
ヒトシ「だが、エアームドはそんなことはしない…」
ヒトシ「理由は…キルリアがよくわかっているだろう」

キルリア「え!?!? 僕!?」

ヒトシ「……」

俺は皆をモンスターボールに戻し、朝食に向かう。

…………。

ジュプトル「俺が…俺が…怯えていた?」

キルリア「僕が一番わかっている…って…?」

マリルリ「…困っていたから?」

ドンメル「? どういうことです?」

マリルリ「うん、キルリアが言ってたでしょ?」
マリルリ「エアームドが遠慮しているって」

イシツブテ「ってことは…エアームドはオオスバメさんと同じように怪我をさせたくない…ってことですか?」

キルリア「…そうか!」
キルリア「マリルリさんの言うとおりだ…エアームドはジュプトルさんに遠慮していた」
キルリア「その理由はジュプトルさんを怪我させたくないから?」

マリルリ「あたしたちって…ひどいことしちゃったかも…エアームドは本当に反省してて、もう2度と繰り返したくはなかったはずなのに…それなのに…」

エアームド「わかってくれればいいですよ」

イシツブテ「!? エアームド…」

エアームド「僕は…もうあのようなことは繰り返したくありません」
エアームド「もし…やってしまったら…僕がこのパーティを出て行きます」

ドンメル「でも…」

ジュプトル「その位の覚悟はできてるんだな?」

エアームド「!? …はい!」

ジュプトル「…いいだろう…俺は認めよう」

キルリア「ジュプトルさん…」

マリルリ「…ジュプトルが認めるなら…」

イシツブテ「俺たちも認めましょう…ですよね?」

マリルリ「あたしも…そうね」

ジュプトル「はい」

エアームド「?」

ジュプトル「握手、これからはいいチームワーク繋げようぜ!!」

エアームド「! はい!」

…………。

さて、ここで俺はなんでエアームドを仲間にしたか解説を入れよう。
まず、オオスバメの傷害の原因はエアームドの過度の攻撃であること。
これによりエアームドに対するトラウマがオオスバメのみならず、ジュプトルやキルリアたちにも影響がどうしても出てしまう。
だからどうしてもエアームドを捕まえたかった。
そして後でキルリアだけを連れてエアームドを捕まえに行こうかと思ったが、そこにいいところにエアームドが現れたってわけだ。

ヒトシ「さて、行きますかな?」
ヒトシ「出ろ、キルリア」

キルリア「…」

ヒトシ「あいつらの様子はどうだ?」

キルリア「…ブイ!」

キルリアは指2本でVサインを示す。

ヒトシ「ふっ…理解の早いやつらだ…行くぞ!」

キルリア「はい!」

…………。

ヒトシ「? なんだ?」

なにやら1つの民家にお巡りが2人いた。
何か事件かと思ったんで聞いてみた。

ヒトシ「あの…なにかあったんですか?」

お巡りA「? いや、ソライシ博士が連れ去られてね…」

ソライシ博士?
オダマキ博士の親戚だろうか?

お巡りB「ソライシ博士は隕石を調査していてね…それが昨日の夜のうちにいなくなってしまったらしいんだ」

つまり誘拐事件の可能性があるわけか…。
もし犯人がアクア団だったら俺は行かないと行けないかもしれない。
まぁ違ったらそれまでだな。
あのロープウェイで見た赤服の可能性もあるか?

ヒトシ「どうもありがとうございました」

話によると場所は『りゅうせいのたき』という場所らしい。
となれば次の目的地はりゅうせいのたきだ。
迷うなよ! 俺!

…………。

『同日 午前10時 114番道路』

俺はダード自転車で流星の滝に向かっていた。
しかし困ったことに滝と思われる場所が見つからない。

ヒトシ「すみません、りゅうせいのたきってどこですか?」

キャンプファイヤー「う〜ん、教えてあげてもいいけどそれはバトルに勝ってからだな!」

ヒトシ「…わかりました、イシツブテ!」

イシツブテ「イシ!」

キャンプファイヤー「やる気だね? 行け、マグマッグ!」

マグマッグ「マグ〜」

ヒトシ「まずは様子見だ! イシツブテ! 『いわおとし』!」

イシツブテ「イシ!」

キャンプファイヤー「マグマッグ! こっちも『いわおとし』だ!」

マグマッグ「マグー!」

ゴロン! ドガン!!

ヒトシ「ちっ…相殺か…」

キャンプファイヤー「どんどん行くぞ! マグマッグ! 『ひのこ』だ!」

ヒトシ「!? 『どろあそび』で防御!」

マグマッグ「マグ!」

イシツブテ「イシーー!!」

『どろあそび』で『ひのこ』の威力は軽減された。

キャンプファイヤー「何!?」

ヒトシ「今だ! 『マグニチュード』!」

イシツブテ「イシ!!」

マグマッグ「マグ〜〜」

キャンプファイヤー「あ!? マグマッグ! ちくしょ〜負けた〜」

ヒトシ「ありがとう、イシツブテ」

イシツブテ「イシ♪」

カァァァァ!

ヒトシ「!?」

俺がイシツブテを誉めた瞬間、イシツブテが光に包まれる。
とうとうイシツブテも来たか!

?「ゴローン!!」

ポケモン図鑑『ゴローン 岩石ポケモン 特性:石頭or頑丈』
ポケモン図鑑『高さ:1.0m 重さ:105.5kg タイプ:岩・地面』
ポケモン図鑑『急斜面を転がり山を降りていく』
ポケモン図鑑『行く手を塞ぐ大木や大岩は体当たりでなぎ倒してしまう荒々しさ』

ヒトシ「ゴローンか! これからもよろしくな♪」

ゴローン「ゴロ♪」

キャンプファイヤー「おお! これが進化か! 初めて見たよ!」
キャンプファイヤー「そうだ! りゅうせいのたきは…」

…………。

ヒトシ「ありがとうございます!」

どうやらりゅうせいのたきは洞窟の中らしい。
どうりで外から見えないわけだ。
そしてその洞窟へは階段で登りつつ右へ行けば見つかるらしい。

ヒトシ「よし…行くか…」

俺はソライシ博士を助ける。
目撃情報によるとソライシ博士は赤服集団と一緒だったらしい。
となればあいつらはアクア団と同じ悪者集団。
ということはアクア団と同盟結んでるか敵対してるか…。
俺的には片方いるだけで嫌なんだが。

ヒトシ「洞窟! ここだ!」

看板にもりゅうせいのたきと書いてある。
確信した俺は洞窟の中へと姿を消した。



…To be continued




 
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