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ポケットモンスター エメラルド編
第33話 『テレポートフォルム』
俺はアクア団が占拠していた天気研究所に乗り込んでいた。
下っ端たちは困難も無く倒した。
まぁ時間稼ぎで十分なのだろう。
そして、あろうことか幹部のイズミに拳銃を頭に突きつけられている。
ヒトシ「ちっ…エア…」
イズミ「オーホッホー!!余計な真似をするとあなたの顔が吹っ飛ぶわよ!?」
ヒトシ「ふ…ふんっ!!」
ドコォ!
イズミ「うっ!?」
俺はイズミの隙を付き、拳銃の方の腕を掴みその腕を途中まで回す。
ヒトシ「所詮は女性の力…突破するのは簡単だ!」
グィィ!
イズミ「ああっ!?」
コトン、
ヒトシ「!」
ササッ、チャキッ、
立場逆転、俺が拳銃を突きつけている状態だ。
イズミ「…オーホッホ!!」
イズミ「その拳銃、弾入ってないわよ!」
ヒトシ「…だろうな、じゃなきゃこんな落ち着いていられわけがない」
イズミ「この天気研究所の中心、わかりやすく言えばここが破壊されればこの建物場はドドドン!!と瓦礫になるわ!」
イズミ「もう何がしたいか、あなたならわかるわよね〜?」
ヒトシ「まさか!そしたらお前も…」
イズミ「私は大丈夫だわ!もう脱出経路は確保してあるの!」
イズミ「サメハダー!かみくだいちゃいなさい!!」
サメハダー「サメッ!」
ガリガリガリ、
ヒトシ「こんにゃろ!!」
カタカタカタ、
ゴゴゴゴゴゴゴ!!
イズミ「グッバーイ♪」
ササッ、
ヒトシ「待てっ…うあああああ!!」
畜生…こりゃ下敷きになりゃお陀仏じゃないか!
15で死ねるかよ!!
ピカーーーン!
ヒトシ「う…あ?俺…生きてる?」
俺は気付いたら謎の空間に包まれている。
周りには無数の光の玉。
ここはどこ?死んだ後の世界?地獄?天国?
だとしたら俺以外に死者がいるはず。
いや、この光の玉が死者の魂なのだろうか?
だったら他の人には俺が光の玉に見えているのかも…。
?「お目覚めか」
ヒトシ「誰だ!?」
俺の目の前には俺そっくりの少年が立っていた。
いや、浮いていると言ったほうがいいだろうか。
?「驚くだろうな、自己紹介だ」
?「俺はお前だ!」
ヒトシ「はぁ?何分けわからないことを!」
俺?「まぁそうだろうな、そういやお前の兄貴が同じような状況になってよぉ」
ヒトシ「何!?」
俺?「ああ、なんでもわけあって火山のマグマに飛びこんでな」
俺?「そしたら、この空間に送られたってわけ」
俺?「確か名前は…」
ヒトシ「ユウキ…だな?そいつは…死んだのか?」
俺?「そう、それ」
俺?「ピンピンしてるさ、『フォルム』を使ってな」
ヒトシ「フォルム?なんだそれ?」
俺?「まぁ聞け、そのユウキってやつが使ったのがスフィアフォルム」
俺?「もう一人使えるやつがいるんだが、そいつがウイングフォルム」
俺?「お前が使うのがテレポートフォルムだ」
ヒトシ「ちょ!?なんで俺が使う前提で話してるわけ!?」
俺?「じゃあ死にたい?」
ヒトシ「くっ…わかったよ…」
ヒトシ「その前に教えてくれ!フォルムってなんだよ!?」
俺?「『キメナ』って知ってるか?」
ヒトシ「…確か幻の∞番ポケモン」
俺?「そうだ、分かりやすく言えばそいつの能力だ」
ヒトシ「はぁ?ポケモンの能力を俺が使うって言うのか?」
俺?「まぁそういうことになるな」
俺?「キメナは普通に人の姿をしているし、言葉も喋れる」
俺?「詳しく話せば6000年前まで遡らなきゃいけないから長くなる」
俺?「キメナは不労だ、人間で言うと20歳になったら年を取らない」
ヒトシ「は?そんなのが現実にいるわけ…」
俺?「あるんだよ、人間と見分けが付かないだけで」
俺?「見分けるとしたら、その白髪だな」
ヒトシ「…これ?」
俺は生まれながらの白髪を触る。
医者からは原因は不明、しかし普通の人となんら健康状態は変わらないと言われていた。
まさかその原因がキメナ…?
俺ってキメナなのか?人間じゃないのか?
俺?「それじゃ、「フォルム」と叫べ!」
俺?「これからも「フォルム」と言えばこの力を貸そう」
ヒトシ「なんだかよくわからないことだらけだが…」
ヒトシ「こうなりゃヤケだ!フォルム!!」
パーーーーーン…
ヒトシ「……ここは?外?」
すぐ横には瓦礫になった天気研究所。
そして俺に驚いている…あいつはイズミだ。
イズミ「まさか!?あれは…フォルム?あいつはキメナなの!?」
なんでイズミがキメナのフォルムを知っているのがわからないが…。
まさかアクア団が関係するのでは…?
ヒトシ「考えても仕方ないな…」
ヒトシ「はぁ…これ俺の心が持たない…」
下手すりゃ、精神病になってもおかしくない。
それほどのことだと思う。
俺は今にも心が崩れそうだ…。
ヒトシ「このことはポケモン達には話すべきじゃないな…」
テレポートフォルム…その名の通り、瞬間移動の能力。
スフィアフォルム…恐らく霊体の能力、なんでも透き通る、守りの能力ではないだろうか?
ウイングフォルム…翼…飛行能力だ…。
ヒトシ「あぁぁ!!考えたくない!!」
やめだ、考えるのは止めよう。
俺は普段どおり、人間の生活をしていいはずだ…ポケモンリーグ目指していいはずだ…
ヒトシ「そうだ、普段通りでいいんだ!」
吹っ切れた…とまでは行かないが、今は結構気が楽だ。
このまま何か気分転換がしたいところだが…。
ザーー、
ヒトシ「生憎の雨か…はぁ…」
ハルカ「ヒトシ君?」
ヒトシ「? って!ハルカ!?」
そこには自転車に乗ったハルカがいた。
フィールドワークの途中だろか?
ハルカ「どこにいたのよ!探したのよ?」
ヒトシ「なんで探すんだよ、俺は死にそうだったんだぞ」
ハルカ「ま、旅はそういうもんだよ、今からバトルしない?」
ヒトシ「バトルか…まぁいいけど!」
そう言って俺はモンスターボールを構える。
それを見たハルカもモンスターボールを構えた。
ヒトシ「頼む、エアームド!」
ハルカ「よろしく!ぺリッパー!」
エアームド「エアーッ!!」
ハルカ「ぺリッ〜♪」
ポケモン図鑑『ぺリッパー 水鳥ポケモン キャモメの進化系 特性:鋭い目』
ポケモン図鑑『高さ:1.2m 重さ:28.0kg タイプ:水・飛行』
ポケモン図鑑『海面擦れ擦れを飛びエサを見つけると大きな嘴で海水ごとすくい取る』
ポケモン図鑑『嘴の中にタマゴを入れて守る』
ハルカ(エアームド…突破には『つばさでうつ』は無理)
ハルカ(『みずてっぽう』で攻めるべきだけど、ちょっと絡め手で行きましょうかね!)
ハルカ「ぺリッパー!『ちょうおんぱ』よ!」
ヒトシ「だろうな!音波を掻き消せ!『エアカッター』!!」
エアカッターは、言わば空気の刃。
刃は刃でも空気だから音を消すとまでは行かないものの方向を変えることは出来る。
ヒトシ「よし!『みだれづき』だ!」
ハルカ「かわして!」
ヒトシ「ビンゴ、向かった先の木を蹴って『エアカッター』!!」
エアームド「エアッー!!」
シュシュシュ!
ぺリッパー「ぺリ〜」
ハルカ「ああ!ぺリッパー!?」
ヒトシ「どうやら急所に当たったようだな」
ハルカ「ええ、ワカシャモ!頼んだわよ!!」
ヒトシ「ここで主力投入ですか」
ハルカ「この子しかエアームドを突破できないからね!」
ハルカ「幸い雨も今は降ってないわ」
ヒトシ「戻れ、エアームド!」
ヒトシ「頑張れ!ナックラー!」
ナックラー「ナク♪」
ハルカ「ナックラー!?」
ヒトシ「俺は基本均等に育てるんでね」
ヒトシ「余程のことがない限りもうエアームドは出てこない」
ハルカ「でもナックラー…ナメてるとは思わないからね!」
ハルカ「ワカシャモ!『きあいだめ』!」
ワカシャモ「シャモーー!!!」
『きあいだめ』は技を急所に当たりやすくする技。
恐らくナックラーだから能力アップの隙があるとでも思ったのだろう。
ヒトシ「ナメてるのはそっちじゃないか?」
ヒトシ「ナックラー!『じしん』!」
ナックラー「ナクッーー!!」
ゴゴゴゴゴゴ!
ワカシャモ「シャ、シャモ!?」
ハルカ「! そんな!?」
ただしレベルの差もあるだろう。
ワカシャモはまだ余裕のようであった。
ハルカ「ここでワカシャモを失うわけには!」
ハルカ「戻って!ワカ…」
ヒトシ「させるか!ナックラー!『すなじごく』!」
ナックラー「ナク、ナクナクナク!ラーー!!!」
ワカシャモ「シャモーー!!!」
ハルカ「しまった!?」
ヒトシ「ワカシャモはもう逃げられない!」
ヒトシ「とどめの『じしん』だ!」
ナックラー「ナクーー!!」
ワカシャモ「シャモーー!?」
ハルカ「まさか『じしん』を覚えていたなんて…」
ハルカ「お疲れさま、ゆっくり休んでね」
ハルカ「ハスブレロ!頼んだわよ!」
ハスブレロ「ハスゥ〜」
ヒトシ「ナックラー、お疲れさん」
ヒトシ「サーナイト!ラストだ!」
ハルカ「ここでサーナイト…何をしてくる…」
ヒトシ「サーナイト!『めいそう』!」
サーナイト「……」
サーナイトは『めいそう』の体勢に入り、体がスカイブルーに包まれ、能力をアップする。
ただし、その間は無防備になるのが欠点だ。
ハルカ「ハスブレロ!『しぜんのちから』!」
ハスブレロ「ハスゥ〜」
パラパラパラ…
サーナイト「!? うっ!」
ヒトシ「『しびれごな』か!?」
この場は砂漠でもなければ、海上でもなく草むらでもない。
この場では『しびれごな』になるのだ。
ヒトシ「ちぃ!動けるか!?」
サーナイト「くっ…な、なんとか!」
ヒトシ「頑張ってくれ!『サイコキネシス』!」
サーナイト「は、はぁ〜!」
ハスブレロ「ハ、ハスゥ〜」
ルンパッパ譲りの耐久力からすれば、まだ大丈夫だろう。
せいぜい、3分の1残ってるかどうか。
ヒトシ「サーナイト!もう1発!」
サーナイト「はい…ああ!?」
ビリビリッ!
ハルカ「今よ!『みだれひっかき』よ!」
ハスブレロ「ハスゥ!!」
ガリガリガリガリ!!
サーナイト「ああっ!?」
ヒトシ「くっ…麻痺のしびれが…」
恐らく、『サイコキネシス』も十分なダメージは与えられなかっただろう。
素早さが遅くなり、先に攻撃されるからだ。
ハルカ「もう一回『みだれひっかき』よ!」
ヒトシ「よけるのは無理だ!受け止めて『10まんボルト』!」
サーナイト「くぅ…!!はぁぁ!!」
ガリガリガリ!!
バチバチィ!
サーナイト「はぁ…はぁ…」
ハスブレロ「は、はすぅ…」
バタッ!
ヒトシ「ハスブレロ戦闘不能…ってことでいいな?」
ハルカ「ふふふ…あははは!!」
ハルカ「負けた負けた!ヒトシ君やっぱり強いね!」
ハルカ「あたし1匹も倒せなかったわ!」
ヒトシ「まぁここで負けてるようじゃポケモンリーグなんて夢のまた夢だしな」
ハルカ「そうだよね…じゃ、ヒトシ君にはこれあげる!」
ハルカ「秘伝マシンNo.2、『そらをとぶ』」
ハルカ「1度行った町ならひとっ飛びよ」
ハルカ「そのためにはヒマワキシティのジムバッジが必要だけどね」
ヒトシ「勿論、取りに行くつもりだ」
ハルカ「そう…頑張ってね!それじゃあまた今度!」
ヒトシ「ああ、また今度」
ハルカは別れを告げると、自転車でヒマワキ方面へと向かう。
そしてその代わりにあるアロハシャツの男性に会う。
ヒトシ「エニシダさん?」
エニシダ「おお!覚えていてくれたのか!」
エニシダ「今バトル見てたよ!ヒトシ君強いな!」
エニシダ「さっきの子、悔しそうにして去っていったよ」
エニシダ「じゃ!ジム戦頑張ってな!」
ヒトシ「は、はい!ありがとうございます!」
…To be continued
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