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POCKET MONSTER RUBY



第1話 『ポケモントレーナー・ハルカ参上!』




ガタガタガタガタッ…!
ブオオオオオオッ!!

車の中は一際大きく揺れている。
この車は一般の軽乗用車ではなく、荷物などを運ぶ引越し等に使う中型のトラックだ。
車の荷台部分には大きく社名の入ったペイントもしてある。
そして中には引越し先で必要な物が半分詰まっている。
私も含めて…。

? 「何で、私はこっちなのよ…! もう、結局こうやって費用削るんだから!」

ちなみに、私の自己紹介をしておきます。
私の名前はハルカ。
ついこの間までコガネシティに住んでいたバリバリの関西人です。
服装はちょっとアダルト?な赤白黒の色合いでバランスを取った半袖のトレーナー。
ちなみに下は黒のスパッツよ〜☆
んで、髪型にも気を配ってオシャレ?に赤いバンダナを巻いているの♪
ち・な・み・に♪ 両手には黒と白のグラブも装着済・み☆
あ、それから言っておくけど年齢はYukiさんのオリジナルの設定で16歳よ〜ん♪

まぁ、とりあえず話の始まりとしては『ジョウト地方』から『ホウエン地方』に引っ越してきたーって言う話。
引越しの費用を削って、トラックの荷台に私は押し込められ、監禁状態に…んで、行き先はミシロタウン。
以前に比べたら『か・な・り』ド田舎だけど、静かで良い所ではあるわね…。

ハルカ 「………」

退屈しそう…。
ったく、父さんの誘いじゃなきゃひとりで残っているところだわ。





そして、しばらく私は荷台で仮眠を取った。
と言ってもほとんど眠れなかったけど。
やがて車は停止し、エンジン音のみが残る。

ガチャ!

ハルカ「……」

荷台の後ろ扉が開く。
そこから突然強烈な光が私の視界を奪う。
慣れるのに数秒ほどかかったが、私は何事もなかったかのように荷台を降りた。



−ここはミシロタウン、どんな色にも染まらない町−




? 「ハルカ、お疲れ様!」

私が降りてしばらく待っていると、家から母さんが出てくる。
つまり、そこが私の家ってわけ。

母 「長い間、トラックに揺られて大変だったでしょ?」

そう思うのなら費用をケチらないで…。
私は表情に出しそうになったけど、我慢する。

母 「ここがミシロタウンよ!」

母さんは大げさに笑いながらそうジェスチャーする。
町の看板見ればわかります…。

母 「そして! ここが新しいお家!」

またしても大げさなリアクションで家を強調してくれる。

それも見れば分かります…って言うか、表札があるじゃない!

母 「ちょっと古風な感じで、住みやすそうな所でしょ?」

確かに古風と言えばそうだろう。
塀はなく壁は土気色、屋根には瓦が敷いてある。
築云十年はありそうな家ね。

母 「今度はハルカのお部屋もあるのよ! さぁ、中に入りましょ!」

そう言って母さんはさっさと家の中に入っていく。
とりあえず、いい加減疲れているので、私もその後を追うことにした。

母 「ほらハルカ! お家の中も素敵でしょ?」

中はまだ未開封のダンボールでごった返ししていた。
配置や片付けは引越し会社のゴーリキーが二匹でしていた。
多分バイトの所有ポケモンでしょうね。

母 「お家の片付けは引越し屋さんのポケモンがしてくれるから楽チンね!」

母はそう言って笑っている。
…何時もながら不安にさせてくれる笑顔だわ。

母 「ハルカも二階にある自分のお部屋に行ってごらん!」

母さんにそう言われ、私は二階に上がった。



二階に行ってみると何時の間にやらテレビ、ベット、机、パソコン、マットが設置されていた。
そして、壁に掛けてある直径30センチ位の赤色の丸時計があった。
何故か時間が12:00に合わされていたので、私は持っている携帯時計で掛け時計を現在の時刻に合わせる。

ハルカ 「……」

時間を合わせるとそれをまた元の場所に掛けておく。

母 「どう? 新しい部屋は」

時計を壁に掛けるとまるで待っていたかのように母さんが現れる。
…有りえるわね。

母 「うん、綺麗に片付いているわね」

母さんはそう言って私の部屋をぐるりと見渡す。
むしろ何にもなさ過ぎて綺麗なんですけど…。

母 「下ももう片付いているわ、ポケモンがいると本当に楽チンね!」

母さんは変わらず笑いながらそう言う。
そりゃ、半分なんだから早いでしょう…荷物も少ないし。

母 「それじゃ、私はもう下に降りるわね」

母さんはそう言うとさっさとと下に降りて行ってしまう。
私は母さんがゆっくりと階段を降りていくのを見た後、もう一度その部屋を見渡す。

ハルカ 「…違和感だらけね」

自室という物自体、初めてだった。
以前よりも部屋が果てしなく広い上に、ほとんど何も置かれていない。
あるものと言えば、せいぜいゲームキューブとゲームボーイアドヴァンス。
しかもソフトもほとんどないし…。
私は、一息はぁ…とため息をついて下に降りることにした。



母 「…あ! ハルカハルカ! 早くいらっしゃい!」

階段を下りてみるとリビングで何やら母さんがテレビに見入っていた。

ハルカ 「…?」

私は母さんの手招きで、同じように後ろからテレビを見る。

母 「トウカジムが映っているわ、お父さんが出るかもよ!」

インタビュアー 「…以上、トウカジムからでした!」

テレビにはインタビュアーとその後ろに和風の道場のような建物。
…つまり、トウカジムだ。
しかし既に肝心の場面は終わっており、まもなくカメラはスタジオに返された。

母 「あらら…終わっちゃった」
母 「お父さんが出てたみたいだけど残念ね…」

父さん…名は『センリ』と言い、父さんは今この町ミシロタウンにはいない。
父さんがいるのは『トウカシティ』…。そこで父さんはトウカジムの『ジムリーダー』をやっている。

ジムリーダー…一応わからない人のために説明をしておきます。
この世界には幾つもの『ジム』という施設があります。
ジムには必ずジムリーダーと呼ばれる人物がおり、彼らは道場などでいう師範代のようなもので、そのジムの信念を貫き、その道のプロフェッショナル。
しかし、プロではなくアマである。
彼らはポケモンリーグ実行委員会という機関に統括されその委員会の認可を受けることによってはじめて人はジムリーダーになれる。
もっともこれはリーグ公認ジムの話で世界には非公認のジムも多い。
父さんの働いているトウカジムは公認されており、ジムバッジも用意されている。
非公認ジムと公認ジムの違いのひとつにはこのジムバッジがある。
リーグ公認のジムにはリーグからバッジが用意されているのだ。
バッジの詳しい説明はここでは控えておきます。

さて、話を戻してジムについて。
ジムの存在意義についても言っておきます。
ジムの存在理由の一つとしてポケモンリーグがあります。
ポケモンリーグとは1年に1回3月に各地方で行われるポケモントレーナー達の大会です。
参加条件はその年のリーグ公認ジムバッジを8つ以上所持しているのが条件です。
ジムバッジは公認ジムのジムリーダーとジム戦というポケモンバトルを行いジムリーダーに勝利することによって手に入れることが出来る物。
まぁ、なかには非公式のジムでもオリジナルでバッジを製作しているところもあるらしいけど。
バッジはポケモンリーグの参加するのに必要なもの。
更にバッジはそのジムのジムリーダーに勝利したという証明品にもなるわけだから、強くて有名なジムリーダーに勝ったなら誇りになるわけね。
ジムリーダーからバッジを得るのはほぼ全てのポケモントレーナーの憧れ。
そしてそのためにポケモントレーナー達はジムリーダーに挑む。
まぁ、中にはジムリーダーに憧れその下につくポケモントレーナーもいるのよね。
憧れ、下につくか、超えるため、戦いを挑むか…。
トレーナーとしては、すべからず後者であるべきだと思うけど。


さて、ちょっと説明が長くなってしまいましたが、例によって作中の時間は全く動いていないので気にしないで♪

気が付いたところで、母さんが私に話し掛けてくる。

母 「…あ、そうそう! この町には『オダマキ』博士っていうお父さんのお友達がいるの」

母さんは思い出したように手をポンっと叩いてそう言う。

母 「博士の家はお隣だからきちんと挨拶をしてくるといいわ!」

母さんはそう言って終始笑顔だった。
私はため息をついて、オダマキ博士の家に向かった。



家を出て、まず左右を見渡す。
すると、家の右側に同じような家があった。
数メートル程離れてはいるが一応お隣さんね。

私は一応挨拶にその家に向かった。


家にはインターホンが無かったため私は扉を手で叩く。
するとすぐに扉は開き、中から女性が出てくる。
女性はうちの母とは見た目からして全く違うタイプの女性だと思えた。

ハルカ (やっぱり母ってこう何か見た目からして、こうじゃないとね…)

そう思ってしまう。
それだけうちの母は浮世離れしている…いい加減年齢って物を考えなさいと思うわ。

女性 「…えーと、どなたかしら?」

私ははこの町に引越し、お隣に来たということをこの女性に話す。

女性 「そう、あなたがお隣に引っ越してきたハルカちゃんね!」

女性はどうやら私のことを知っているようだ。
どうせ母さんがペラペラと喋ったんだろうけど…。

女性 「うちにもあなたと同じ年頃の息子がいるのよ」
女性 「『新しいお友達ができる!』なんてとても楽しみにしてたわ」
女性 「2階にいると思うから、会ってあげて」

そう言って私を家の中に入れ、案内してくれる。
やっぱりうちの母とは大違い…落ち着いているわ。
私はとりあえずそのまま2階へと上がる。



2階に上がると何やら机に座って何かをやっている男がいた。
私は近づいて様子を見てみることにする。

男 「ポケモンの体力は満タン! 道具もこれでよしっと!」

何やら準備をしていたようだ。
バッグと1つのモンスターボールを確認していた。

男 「…って、お前誰?」

男は私の存在に気づき後ろを振り向く。
気が付いたら私が後ろにいたのでそれなりに驚いているようだ。

ハルカ 「今日、こっちに引っ越してきたハルカ…って多分聞いていると思うけど」

私は、簡単に自己紹介しておく。
どうにもこういう状況は苦手だわ。

男 「お前がハルカ、そうか今日引っ越してきたのか…」
男 「あ、俺はユウキって言うんだ」

ユウキという男は少し照れくさそうにそう言う。
惚れるなよ…。

ユウキ 「そうか、俺はあのセンリさんの子供だから、てっきり男だと思ってた…」
ユウキ 「まさか、女だったなんて…」

ユウキは私をまじまじと見つめる。
余程意外なのか、複雑な表情をしていた。

ユウキ 「あ、いけね! 俺父さんの手伝いで野生のポケモン捕まえに行くところだった!」

ユウキはハッとそれに気づきバッグを背負う。

ユウキ 「じゃ、また後でな!」

ユウキはそう言ってドタバタと音をたてて下りていく。
なんか、視線が微妙に嫌だったな。
余程、お隣引越し美少女ドッキリ出会いが効いたようね…我ながらベタなネタだと思うわ。



ハルカ 「…お邪魔しました」

私は一階に降りて家を出る前にユウキのお母さんに挨拶を入れておく。

ユウキの母 「ええ、またいつでも来てね」

ハルカ 「…ええ」

ユウキの母 「それじゃあ、ごきげんよう」

私はそれを聞いて家を出た。
やっぱりこっちのとは違うわね…こっちのとは。



ハルカ 「…?」

私はオダマキ博士の家を出るとすぐにあるものに気づく。
町の入り口の所で何やら困ったような顔で外を見ている子供がいた。
私はその子供に近づき何があったか聞いてみる。

ハルカ 「何かあるの?」

子供 「こ、この先で叫び声が聞こえるよ!?」
子供 「どうしよう!? どうしたらいいかな!? 助けに行かなきゃ…!?」

私は半分パニクっている子供を無視して叫び声のする方へ向かう。
すると数メートル先の所でその叫び声の元凶を見つけた。
なにやら白衣のいかにも怪しい男が黒い犬のようなポケモンに追いつめられている。

自慢じゃないけど、私はポケモンに関しては意味不明。
興味はありありだけど、今まで触ったことすらない。
さて、どうしたものかしらね…。

怪しい男 「た、助けてくれーっ!」

ハルカ 「……」

私がしばらく考えていると、男は私に気付く。

怪しい男 「あ、そこの君! 助けておくれーっ!!」

大方の予想通り、私に助けを求めてきた。
私は考えをまとめ。

ハルカ 「じゃ、そういうことで…」

私はそそくさと背を向けた。
こういう厄介事は警察呼べ警察。

怪しい男 「ど、どこへ行くんだい!? 早く助けておくれ〜!!」

ハルカ 「めんどい〜…」

私はそのまま去ろうとする。
そして、男は予想通り条件を出してきた。

怪しい男 「よし! 助けてくれた暁にはレアなポケモンをプレゼントしよう!!」

ハルカ 「乗った!!」

私はダッシュで男の側に駆け寄る。
やっぱ世の中ギブ&テイクよね〜♪

ポチエナ 「ガルルッ! ワンワン!」

と言っても、犬は随分興奮状態だった。
少々近寄りがたいわね…。

ハルカ 「投げや関節技は無理ね…やはり打撃系で!」

これでも小さい頃から趣味で格闘技全般を学んでいたんだから!

怪しい男 「そこの鞄にモンスターボールがある! それで戦うんだ!!」

男は顔を蒼くしながらそう叫ぶ。
その鞄はちょうど見晴らしのいい草むらにあったのですぐ見つかった。
私は急いでその鞄のところに向かう。

ハルカ (何よ…モンスターボールが三個だけ? しけてるわね…)
 ↑
あわよくば、ピンハネしようと思っていた女。
私はその鞄の中を見ると同じノーマルのモンスターボールが3つ入っていた。
とりあえずこれで戦えと言うのだからやってやろうじゃない…。
私はど真ん中に置かれているモンスターボールで戦うことにする。

ハルカ 「ほな、いっきまっせー!!」

思わず興奮気味で関西弁が出る。
そう言えば、アカネちゃん今ごろ元気かな? いつかはジムリーダーになるんだって夢追いかけてたけど。
あの泣き虫のアカネちゃんがなれるかなぁ…いや無理。

ポケモン 「チャモ〜♪」

気が付くと、モンスターボールからはヒヨコが出てきた…。
赤いヒヨコで、ゆくゆくは立派なニワトリになるであろうと予想できた。
とりあえず、そのヒヨコに命令する。

ハルカ 「ようし! 『はかいこうせん』よ!!」

ヒヨコ 「…チャモ?」


………。


ハルカ 「あ、あれ? おかしいな…父さんは得意技なのに」

ヒヨコは意味不明と言った風に首をかしげる。
黒犬も何か呆れているように見えた。

怪しい男 「アホッ!! アチャモが『はかいこうせん』を覚えるわけないだろうが!!」

ハルカ 「え! そうなの!?」

私は本気で驚く。
ちなみにこの子はアチャモっていうのね…覚えとこ。
とりあえず、仕方ないので他の技を…。

ハルカ 「ようし、なら『きりさく』!!」

アチャモ 「…チャモ〜?」

またしても時が止まる…何故か風が冷たく感じた。

怪しい男 「まだ、覚えてねぇよ!! 頼むから早く助けて!!」

黒犬 「ウ〜! ワンッ!!」

黒犬がアチャモを攻撃する。
ただの『たいあたり』だが、アチャモはいともたやすく吹っ飛ぶ。

アチャモ 「チャモ…」

地面を転がりながらアチャモは気絶する。

ハルカ 「って、『私』のアチャモに何すんのよーーー!!!」

ドガァッ!!

黒犬 「キャイーーーーンッ!!!」

私の右回し蹴りで黒犬は数メートルの高さまで吹っ飛ぶ。
そして、ズシャア!!と大きな音を立てて黒犬は空から地に落ちた。

ハルカ 「いや〜んっ、アチャモ大丈夫?」

アチャモ 「チャモチャモ〜」

どうやら無事のようだ。
私は優しく抱き上げて、アチャモを撫でてあげた。

怪しい男 (何だあの戦いは…? 普通は納得できんぞ…)

気が付くと怪しい男は私の目の前にきていた。

怪しい男 「と、とりあえず助かったよ、ありがとう」

怪しい男はため息をついて、丁寧にことのいきさつを教えてくれた。
どうやらポケモンの調査をしていたらしい。

怪しい男 「どうやら、想像以上のおてんばなようだね…ハルカちゃん」

ハルカ 「は?」

どうやら私を知っているらしい。
この言葉から察するに…この男もしかして。

ハルカ 「オダマキ博士…?」

っていうかそれしか考えられなかった。
こんなに怪しいとまでは思ってなかったけど。

オダマキ 「いかにも私がオダマキだよ」
オダマキ 「実際に会うのは初めてだから、知らないのも無理はない」

どうやらマジのようね…アウトドア派とは聞いていたけど、こんなに立派な髭とスポーティな格好に白衣…怪しすぎね。

オダマキ 「まぁ、こんなところでは何だかちょっと研究所まで来ておくれ」

ハルカ 「は、はぁ…」

私は仕方なくオダマキ博士に従いアチャモを抱きかかえてオダマキ博士について行く。



………。
……。
…。



『ポケモン研究所』


私はオダマキ博士に連れられてポケモン研究所にやってきた。
中はそんなにゴチャゴチャとはしていなく、割とスペースのあるところだった。
が、別に整理がよくされているというわけでもなく単になんにもないように感じた。
まぁ、図鑑のような類の本は私の身の丈よりもずっと高い脚立を使わないといけないような本棚にしまってあり、後はダンボールがいっぱいあった。
他には見た事のない機械だらけ。
後は、助手もひとりいた。
ちなみに男の。

オダマキ 「さて、ハルカちゃん!」

私は研究所の奥に案内されていた。
そこで博士が元気な声で私に話し始める。

オダマキ 「君のことはお父さんからいつも聞かされていたよ!」

ハルカ 「………」

本当に口の軽い夫婦ね…。
まぁ、知り合いなんだからそれぐらい話すのかもしれないけど…。

ハルカ (両親の溺愛にも困ったものね)

ちなみに父さんと博士が知り合ったのは4年前だそうだ。
当時、まだジョウト地方でジムリーダーをしていた頃、偶然博士がジョウト地方にやってきた。
慣れないジョウトの地で博士は色々と困り、父さんと出会った。
そこでふたりは意気投合し、親友になったそうだ。
そして、博士はジョウトでの仕事を終えるとホウエンに帰る時、父さんがこう言ったそうだ。

センリ 「もし、何か困ったことがあれば呼んでくれ」

と…。
それから二年…今から二年前突然オダマキ博士から電話があった。
その電話の内容はこうであった。

オダマキ 「現在ホウエン地方ではジムリーダーが不足している」
オダマキ 「そこでポケモンリーグ運営委員会から優秀なジムリーダーをホウエン地方に呼んでくれないかと電話があった」
オダマキ 「もし良ければ、ホウエン地方に来てくれないか?」

父さんは困っていた。ジョウトには私や母さん、この地で知り合った多くの友人や育成トレーナーがいたからだ。
しかし、かつての約束もあるし親友が困っているのを知らん振りはできなかったのだろう。
そこで父さんは当時14歳だった私と母をジョウトに残し、単身ホウエン地方に渡った。
その時父さんは自分の勤めていたジムを、その当時の若手トレーナーに権利を渡した。
そして現在、私と母さんはホウエン地方にやってきたのだ。

オダマキ 「しかし、君はまだ自分のポケモンを持ったことがないんだって?」

ハルカ 「…はい」

最近は小さい頃からポケモンを父ないしは母に貰ったりするそうだが。
私はポケモンは好きでも関わったことは一度もなかった。
ジムにも入ったことはなかったし、格闘技を覚えるのに夢中だったのもある。

オダマキ 「…しかし、あの戦い方はちょっといただけないな〜」
オダマキ 「本当にお父さんの血が流れているのか正直疑問だよ…」

ハルカ 「初めてポケモンを触れましたから…大体技とかほとんど知らないし」

父さんが練習していたりするのは見たことがあったので、そう言うのしか分からない。

オダマキ 「そうそう、助けてくれたお礼だけど、その『アチャモ』をプレゼントしよう!」

どうやら報酬はこの子のようだ。

ハルカ 「やった、ありがとう博士♪ アチャモ、よろしくね☆」

アチャモ 「チャモチャモ〜♪」

私はアチャモを高く掲げて喜んだ。
初めてのポケモン、可愛いポケモンでよかった♪

オダマキ 「ちなみにその子は♀だからね」

ハルカ 「そっか〜女の子だったんだ」

アチャモ 「チャモ〜」

私は改めてアチャモを見る。
違いが分からない…♂♀の判断ってどうすれば?

オダマキ 「まぁ、これから経験を積んでいけば良いポケモントレーナーになる『はず』だ!」
オダマキ 「ちょうど、うちのユウキが103番道路でポケモンの調査をしているから会いに行ったらどうだろう?」

ハルカ 「え〜? めんどい…」

私は速攻でダレル…大体いきなり外に出るのも危なっかしい。
技も分からないし…私が戦えってか!?

オダマキ 「そ、そんなこと言わずに、会いに行ってはどうだろう?」

ハルカ 「え〜…だって戦い方もよくわからないのに、アチャモが危険ですよ」

オダマキ 「いや、君が戦えば…じゃなくて! 技と戦い方は今から簡単に教えるから!!」


………。
……。
…。


オダマキ 「…わかったかい?」

ハルカ 「何だ、そんなに簡単だったんだ♪ これなら戦えるねアチャモ☆」

アチャモ 「チャモ?」

オダマキ 「じゃあ、改めて会いに…ってあれ? ハルカちゃん!?」

助手 「ハルカちゃんなら、さっさと出て行っちゃいましたけど?」

オダマキ 「………」
オダマキ 「本当におてんばな…センリの娘とは思えんな」



ハルカ 「とりあえず、町を出ようかな」

外に出ると私は真っ先にミシロタウンを出る。
まず101番道路を抜ける。
すると、早速ポケモンか!?

虫 「ムソムソ…」

ハルカ 「…何だ虫か」

私は無視して、さっさとコトキタウンに向かった。



−ここはコトキタウン、何かが微かに始まる所−




ハルカ 「小さな町ね…ミシロよりも」
アチャモ 「チャモチャモ?」

私はアチャモを抱きかかえたままで、町を歩いていく。
すると、町を出ようとしたところでいきなり声を掛けられる。

? 「ちょ、そこにちょっと入らないで!! 今足跡をスケッチしているんだ!!」

私は少し驚いて後ずさる。
変なマニアのようね…私は仕方なく103番道路へ向かった。



『103番道路』


ユウキ 「えーと、103番道路にいるのはポケモンはコイツとコイツで…」

103番道路に入り、少し小高い丘の上でユウキが何かを調べていた。
真剣な面持ちで没頭しているようだ。
とりあえず声をかけることに。

ハルカ 「何してるの?」

ユウキ 「わっ! ハルカ…!?」

ユウキはあからさまに驚く。
私が近づいてきたのも分からなかったのかしら?

アチャモ 「チャモチャモ♪」

私に抱きかかえられているアチャモを見て、ユウキは。

ユウキ 「…そうか! 父さんにもらったんだ」

ハルカ 「まぁね♪」

私は笑顔で返す。
しかし、ユウキは怪訝な顔で。

ユウキ 「…何で抱きかかえたままなの?」

ハルカ 「? 何か問題でも?」

私が素で聞くと、ユウキは説明する。

ハルカ 「ああ、成る程…そうやってモンスターボールに出し入れするんだ〜」

ユウキ 「ほ、本当に知らなかったの?」

ハルカ 「うん…今日初めてボール触ったもん」

私がそう言うと、ユウキは感心したのか呆れたのか、微妙な表情だった。

ユウキ 「そうだ! 折角だからちょっとバトルしようか?」
ユウキ 「トレーナーってどんなものか俺が教えてやるよ!」

ボンッ!

ミズゴロウ 「ミズ〜」

そう言ってユウキは水色の四足モヒカンを繰り出してくる。
よくわからないけど、顔は結構可愛かった。

ハルカ 「何かよくわからないけど…挑まれたからには受けるが漢!!」

ユウキ 「ハルカは女だろうが!!」

突っ込まれる。
いいツッコミね…アカネちゃんを思い出すわ。
私はアチャモを下に降ろして構える。

ハルカ 「さぁ、どこからでも来なさい!!」

ユウキ 「………」

ユウキは突然止まる。
何か、また間違えた?

ユウキ 「あ、いや、そうじゃなくて…戦うのはポケモンで」

ハルカ 「だから、私と戦うんでしょ? そのポケモンが」

ユウキ 「………」

何かまた寒い風が…。
また勘違い? それとも間違い?

ユウキ 「あのな…ポケモンバトルって言うのは」


………説明中………


ユウキ 「ということなの…わかった?」

ハルカ 「何だ〜そんな簡単なことだったの♪ よし、任せて! 行くわよアチャモ!!」

アチャモ 「チャモチャモ!!」

私は意気揚揚とアチャモを繰り出す。
相手のモヒカンはこっちと違って素早さは遅そうだ。
私は先制攻撃をかけることに。

ハルカ 「アチャモ! 『ひっかく』!!」

アチャモ 「チャモチャモ!」

モヒカン 「ミズ!?」

ザシュッ!

ユウキ 「ミズゴロウ! 『たいあたり』だ!!」

ハルカ 「アチャモ右に避けて!!」

私はすかさず回避行動を取らせる。
ちなみにあのモヒカンはミズゴロウというのね…覚えとこ。

アチャモ 「チャモ!」

アチャモは体当たりを軽く避ける。
そして、再び攻撃。

ハルカ 「いいわよ、アチャモ!」

どうやら、ミズゴロウはかなり打たれ強いわね…アチャモは逆に打たれ弱い。
できるだけ素早く、相手が一発打つのにこっちは二発打つ!
軽量には軽量の戦い方で!!

ミズゴロウ 「ミズ〜!」

ユウキ 「ミズゴロウ!」

アチャモの連続攻撃にミズゴロウはついに倒れる。
初めて?の実戦で、私もアチャモも疲れた。
でも勝てた…初めて。
何だか胸が熱かった。
ドキドキしてくる緊張感。
勝った後の充実感。
格闘技をやっていた頃よりもずっと感動が大きい。
私は新たな感動を覚えた。

ハルカ 「やったねアチャモ! よく頑張ったわね!!」

アチャモ 「チャモ〜…」

アチャモ疲れたように私の胸にもたれかかった。
私は優しく抱きかかえて撫でてあげる。

ユウキ 「本当にバトルは初めて?」

いつのまにかミズゴロウをボールに戻して、ユウキがそう話し掛けてくる。
私はアチャモを休ませるため、ボールに戻した。
これも初めての操作。

ハルカ 「うん、初めて。ポケモンと触れ合ったのも今日が初めて」

ユウキ 「父さんがハルカに注目するの何となくわかる気がする…」
ユウキ 「貰ってすぐのポケモンがもうなついているよ」
ユウキ 「ハルカなら、きっとどんなポケモンとも仲良くなれるかもな」

ハルカ 「……」

私は一度深呼吸する。
そして、ユウキが。

ユウキ 「じゃあ、俺は研究所に戻るよハルカも一緒に戻ろう」

ハルカ 「…うん」

こうして、私たちは研究所に戻ることにした。
初めてのポケモン、初めてのバトル。
一気に色んなことが起こって整理が出来なかった。
今まで触れ合うことすらなかったポケモン。
でも、今日からは違う。
私は、決意を新たに、モンスターボールを握り締めた。



ユウキ 「…ちなみにボールは腰のスロットにしまおうね、ポケモンが増えてくると持てなくなるから」

ハルカ 「はっ!?」

まだまだトレーナーとして知らないことは多すぎるようだった…。



…To be continued




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