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POCKET MONSTER RUBY



第11話 『転機』




…ザッパァァァァンッ!!

ハルカ 「……」

…ここはカイナシティ。
ようやく到着したことに、少なからず喜びを覚える。
砂浜の感触が妙に懐かしい。



−ここはカイナシティ。人とポケモンが、行き交う港−




ハギ 「それじゃあハルカちゃん、ここでお別れじゃな…」

ハルカ 「そうですね、ここからはしばらく船に乗ることはないと思いますから」

短い間だったけど、ハギさんにはお世話になった。
これから先は自分の力で進んでいかなければならない。
ハギさんもずっとここにいるわけではないだろうし、自分の家があるだろうから。

ハルカ 「それじゃあ、本当にお世話になりました!」

ハギ 「うむ、また何かあったらいつでも声をかけておくれ」
ハギ 「ピーコちゃんと一緒に、いつでも船を出すからな」

ハルカ 「はい、どうかお元気で!」

私はこうして、その場を後にした。
砂浜を踏みしめ、歩く。
とりあえず街の方に向かう。
まずはクスノキさんに会わないと。
しかし、どこにいるかがわからない。
まずは聞き込みかな。



………。



ハルカ 「なるほど…そんなに有名人だったんだ」

ここではクスノキ艦長と言えば、誰でも知っている人らしい。
何故艦長かは知らないけど、それなりに偉い人らしい。
クスノキ艦長は造船所で働いているそうなので、そこに向かうことにした。

ハルカ 「…ああ、ここね」

街の南東に、それらしい大きな工場が見つかった。
年季がこもってはいるが、まだまだ現役だと言わんばかりに中では働いている人がいた。
看板には、クスノキ造船所と書いてあるから間違いない。
入り口は開放されてあり、中からは機械の音が聞こえてきた。
私はすぐに中に入った。



チュィィィィンッ! ガガガガガガッ!



ハルカ 「……」

さすがに造船所というだけあってバカ広い。
何やら完成間近と言った感じの船がドンッと目に映った。
私はクスノキ艦長を探す。
とりあえず一番身近にいた人間に話し掛ける。

ハルカ 「あの、クスノキ艦長はいますか?」

男 「はい〜? あれ君は?」

私は手早く用件を述べる。
すると、男は何やら頭を掻き、う〜んと唸る。

男 「今、クスノキ艦長はここにはいないんだよ、その荷物は直接渡してくれないかな?」
男 「カイナシティのどこかにいると思うから」

ハルカ 「はぁ…」

って、アバウトすぎでしょ!
カイナシティってかなり広いわよ!?



………。



ハルカ 「どうしよう…」

とりあえず、ポケモンセンターに向かうことにした。
そして、そこで妙な光景を目にする。



マグマ団員A 「おい、まだかよ!?」

マグマ団員B 「前の奴が小銭忘れたんだと…」

マグマ団員C 「早くしろよ〜!」



ハルカ 「…うわ、ウザ」

どう考えても怪しい。
絶対あそこに何かある気がした。
遠目に見て、『うみのかがくはくぶつかん』と書いてあった…。

ハルカ 「はぁ…あれじゃ中に入れないわね」

とりあえずポケモンセンターに行って一度休むことにした。



………。



店員 「いらっしゃいませー!」

元気のいい声が店内に響く。
私はとりあえずカードを提示して部屋を借りた。
人はそんなに多くないようで、割と空いているようだった。
とりあえず部屋を予約だけして、外に出る。

ハルカ 「…もう入れそうね」

ウザイ行列はなくなっており、中には入れるようだ。
私はとりあえず入館することにした。

受付 「ようこそ『うみのかがくはくぶつかん』へ!」
受付 「入場料は50円となります」

ハルカ 「……」

私は無言で小銭を出す。
すると、受付は笑顔で。

受付 「それでは、ごゆっくりどうぞ!」

私はそのまま中に進むが、とてつもなくウザイ光景に遭遇する。
どう見ても赤服のウザイ集団がたむろしているのだ…。
間違いなくマグマ団だろう…。

ハルカ (とりあえず、無視しよう)

中をいちいち見ていたら、面倒なことになるかもしれない。
とりあえず1階には赤服しか見えない。
なので、私はさっさと上に上がることにした。



………。



ハルカ 「さすがに似たようなものね…」

二階へ上がると、やっぱり展示品だった。
しかし、下のとはさすがに違い、模型やらミニチュアがある。
2階には赤服が見えず、代わりに白衣の男がひとり見えた。
ひょっとしたらと思い、私はその男に話し掛ける。

ハルカ 「あの、失礼しますが、クスノキ艦長ですか?」

? 「え…? そうですけど、君は…?」

私は例によって手短に紹介を済ませ、今までの経緯を話す。
そして、話し終えて、荷物を渡した。

クスノキ 「そうか…やっと完成したのか。それに『たんちき』まで」
クスノキ 「ありがとう、これでまた完成に一歩近づくよ! そうだ…君にこれをプレゼントしよう」

ハルカ 「? これは…?」

見ると、何やら牙のような形をしたアクセサリーを渡される。

クスノキ 「それは『しんかいのキバ』と言う物さ」
クスノキ 「僕には効果が良くわからないけど、ポケモンに関係していることだけは確かだよ」

ハルカ 「いいんですか? 結構貴重なんじゃ…」

クスノキ 「それほどでもないよ、海底を探索していたら、結構落ちている物だから…多分ね」

多分と言うのが少々引っ掛かったが、貰っておいてもいい気はした。
私は素直にそれを受け取る。
そして、次の瞬間。

マグマ団員A 「そこまでだ!」

マグマ団員B 「その荷物をこちらに渡してもらおうか!」

ハルカ 「?」

クスノキ 「何だ君たちは!?」

突然、後ろから赤服のマグマ団がふたり現れる。

マグマ団員A 「俺たちはマグマ団! 黙ってその荷物を渡してもらおうか!」

クスノキ 「マグマ団…この荷物を狙っているってことは」

マグマ団員B 「渡す気がないって言うなら力づくだ!」

ハルカ 「…ふんっ!」

ドカァッ!

例によって、私の回し蹴りがヒットする。
マグマ団員のひとりが後に吹っ飛ぶ。
それを見て、明らかにもうひとりは怯む。

マグマ団員A 「な、何しやがる!?」

ハルカ 「それはこっちの台詞よ…何企んでるか知らないけど、罪もない善良な市民を襲うなんて何考えてんの?」

私がそう言うと、マグマ団員のひとりはモンスターボールを取り出す。
例によって、バトルだろう…私は受けてたつ。

マグマ団員A 「行けポチエナ!」

ポチエナ 「ポッチ!」

マグマ団員はポチエナを繰り出す。
前の時と同じような感じだ。
確か、悪タイプは格闘に弱い。
でも、ここはあえてこの娘で行くことにした。

ボンッ!

ジグザグマ 「ジグ」

ハルカ 「行くわよ、ジグザグマ。『ずつき』!!」

ジグザグマ 「ジグ!」

ドォンッ!

ポチエナ 「キャインッ!」

先制の頭突きがヒット、ポチエナは一撃でダウンする。

マグマ団員 「んな!? 一撃かよ!!」

ハルカ 「大したことはないわね…」

マグマ団員B 「ふん、情けない奴め! ここは俺に任せてもらうぞ!!」

いつのまにか立ち上がっていたもうひとりの団員がモンスターボールを繰り出す。
面倒ね…いちいち。

マグマ団員B 「行け、『ドンメル』!!」

ドンメル 「ドン…」

ハルカ 「……」

見たことのないポケモンだ、折角なので図鑑を参照しておこう。

ポケモン図鑑 『ドンメル:どんかんポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.7m 重さ:24.0Kg タイプ1:ほのお タイプ2:じめん』
ポケモン図鑑 『叩かれても気が付かない鈍さだが、空腹は1秒でも我慢できない。体の中ではマグマが煮えたぎっている』

へぇ、そんなポケモンもいるのね…初めて見たけど、素早さは低そう。

マグマ団員B 「ドンメル、『ひのこ』だ!!」

ハルカ 「ジグザグマ避けて!」

ジグザグマ 「……」

ゴゴゴゴッ!

ジグザグマは何故か一歩も動かず、『ひのこ』を全弾まともに喰らった。

ハルカ 「嘘? どうして!?」

マグマ団員B 「どうだ、俺のドンメルの強さは!」

何だか、むかつく。
ジグザグマは何やらその場で震えている。
何かあったの!? しかし、それは次の瞬間杞憂に変わる。

マグマ団員B 「トドメだ! ドンメル『ひのこ』!」

ドンメル 「ドン」

ジグザグマ 「ジグー!」

カァァァァァッ!!

『ひのこ』を受けた瞬間、ジグザグマの体が発光する。
これはもしかしなくても!?

? 「グマーーー!」

マグマ団員B 「んな!?」

ハルカ 「よっしゃあ!!」

私は嬉しくてすぐに図鑑を参照した。

ポケモン図鑑 『マッスグマ:とっしんポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.5m 重さ:32.5Kg タイプ1:ノーマル』
ポケモン図鑑 『真っ直ぐに突っ走り、障害物がある時は直角に折れ曲がって避ける。緩やかにカーブした道がとても苦手』

私はすぐに指示を出す。
そのまま吹っ飛ばす!

ハルカ 「マッスグマ、『たいあたり』よ!!」

マッスグマ 「グマ!」

ズドォンッ!!

ドンメル 「ドン〜」

ドンメルは目を回してダウンする。
今までよりも更にスピードに乗った『たいあたり』が炸裂したのだ。
ダメージも以前とは比較にならない。

マグマ団員A 「おい、どうする?」

マグマ団員B 「うむ…部品が奪えないとまずいぞ」

何やらこそこそと話し合っているようだけど、こうなったからにはただじゃやられないわよ。
だが、次の瞬間、とてつもないプレッシャーを感じる。

? 「…いつまで経っても戻ってこないから、様子を見に来てみれば」

ハルカ 「!?」

とてつもない、重圧。
間違いなく、こんな下っ端とは違う風格を持った男がそこにいた。

マグマ団員A 「マ、マツブサさん!?」

通常の団員とは明らかにデザインの違う赤服に身を包み、鋭い目つきで私を睨んでいた。
やばい…と頭の中でサイレンが鳴る。
間違いなく、手馴れだわ…。
マツブサと呼ばれた男は、前にいる団員を横にどけて前に出る。

ハルカ 「!!」

反射的に身構える。
勝てるのか…この男に?
少なからず、マッスグマも気圧されているようだった。

マツブサ 「私はマツブサ、マグマ団のリーダーだ」
マツブサ 「…ひとつ聞こう、君は何故我々の邪魔をする?」

マツブサは本当にわからないといった感じでそう聞く。
と言っても、答えなんてありきたりすぎる。

ハルカ 「単にお節介なだけよ…」

マツブサ 「お節介、か…ならばひとつだけ言っておこう」
マツブサ 「我々マグマ団は、あくまで人類のために活動している組織だ」
マツブサ 「多すぎる海を、少しでも陸に変える…それによって人類は更に繁栄することができる」
マツブサ 「その思想を良く考えてみたまえ、我々が間違っているか?」

ハルカ 「…それが正義だと思っているんならお笑いね」

マグマ団員A 「テメェ! マツブサさんに向かって!!」

マツブサ 「……」

マツブサは1睨みして団員を抑えさせる。
やるわね、こっちも正直強がりだわ…多分、やばい。
いざとなれば、肉弾戦で切り抜けるしかないかも。

マツブサ 「…まぁいい、君のような子供には我々の崇高な思想は理解できんようだ」
マツブサ 「今回は、これで退こう。だが、この先我々の活動を邪魔するようであれば、容赦はしない」
マツブサ 「それを、よく覚えておくがいい…」

そう言って、マツブサは去っていく。
下っ端ふたりもそれを追った。
場には沈黙が立ち込める。
しばらく、私は立ち尽くしていた。

ハルカ 「…どんなポケモン使うのか、ちょっと興味あったのに」

しかし、さすがにあの状況で挑発する勇気はちょっとなかった。
戦って勝てる自信はなかった。
カガミと同じ位のプレッシャーだったかもしれない。
あの時と同じ思いはしたくないし…。
私はとりあえず、進化したマッスグマを見る。

マッスグマ 「グマ〜」

ぺたりと、地面に横たわった。
元々控えめな性格のせいか、ああ言う状況にはやや弱いのが、この娘の特徴。
だけど…。

ハルカ 「あんた、随分いかつい姿になったわね〜」

以前の愛らしい姿とは打って変わり、肉食獣と言っても差し支えないような姿に変わっていた。
毛並みは相変わらずだが、抱きしめるには大きい。
しかしながら、その分期待感も大きい。
これからどんな成長を遂げるのか。
自分の力で初めてゲットしたポケモンだから、大事にしたかった。

クスノキ 「…ハルカちゃん、どうもありがとう。君がいなかったらどうなっていたか」

ハルカ 「…気にしないでください。ただのお節介ですから」

私はそう言って、苦笑する。
人類のためね…随分な思想持ってるじゃない。
私からしてみれば、お笑いだわ。
何かを犠牲にして手に入る理想ほど、ロクな物はない。

クスノキ 「それにしても、マグマ団の総帥が自ら来るなんて」

クスノキ艦長は悩んでいるようだった。
私はその場から離れることにする。
荷物は渡したし、すぐに襲ってくることはないと思う。

ハルカ 「それじゃあ、私…行きますから」

マッスグマ 「グマ…」

クスノキ 「あ、ハルカちゃん…」

私はすぐに博物館を出る。
あんまりいい気分ではなかった。
一度ポケモンセンターに帰ろう。



………。
……。
…。



ハルカ 「……」

部屋で一休みする。
まだ、時間は夕方だ。
買い物は明日することにして、今日は早めに休もう。
眠れない気はしたけど…休みたかった。





………………。





ハルカ 「…んと、これも買っておかないと」

次の日、私は早速モンスターボールを買い足す。
ここではスーパーボールが販売されていたので新しく購入しておいた。
モンスターボールも一緒に買い足しておく。
何回も投げないと捕まらないことも考えないといけないし。

店長 「はい毎度あり! これ、おまけだよ!」

ハルカ 「? 何ですかこれ?」

見ると、初めて見るデザインのボールだった。
白い。

店長 「それは『プレミアボール』だよ」
店長 「性能はモンスターボールと同じだけど、まぁ…記念品みたいな物だから」
店長 「大抵どこの店でもやってるけど、モンスターボール10個以上買い物すると、一個着いてくるんだ」

ハルカ 「そうですか、どうもありがとうございます♪」

私はそう礼を言って店を出た。
一応着替えも買ったし、必要そうな物は大抵揃った。
どうも、最近気付いたことだけど、ポケモンセンターのパソコンから、道具を転送するシステムもあるらしい。
多くなった道具は預けた方がいいようだ。
しかも、何が凄いと言うと、このシステム自宅から直結できるらしい。
電話で連絡ひとつ入れれば、自宅から道具を送ってもらうこともできるのだ。
このパソコン転送システムを作った人は相当偉いに違いない。

ハルカ 「さて、これ以上はどうしようかな?」

私は一際賑わいを見せる施設を見つける。
見た所、今まで見た事のない施設だった。
紅い色の建物で、看板には大きな字で。

『カイナシティ ポケモンコンテスト 目指せハイパーランク』

そんなことが書いてあった。
そう言えば、ツワブキ社長が言ってたわね、カイナシティにはコンテストがあるって。
でも、私はよくコンテストのことを知らない。
なので、パス。
まぁ、もっとポケモンのことを知ってからやった方がいいでしょう。

ハルカ 「さて、じゃあもうここに用はないかな?」

私はポケナビでホウエンマップを見る。
ここにジムはないみたいだし、次はどこに向かえばいいのかな?

ハルカ 「う〜んと、ちょっと遠いみたいだけどキンセツシティが一番近いわね。

他にはコトキに向かう道路があるのだが、海を越えないと行けなかった。
早速私は110番道路を進む。



………。



ハルカ 「何か、結構トレーナーがいるわね…」

この道路だけで、結構な数のトレーナーと出会った。
内、3人(双子ちゃんはひとりで換算)と番号交換をした。
そして、私はある所で立ち止まっていた。

『ここより→へ3歩、↑へ2歩行けば、 そこは素敵な「カラクリ屋敷」!』

ハルカ 「…怪しい」

間違いなく、怪しい。
と言っても、ここまでされては入らないわけには行かない。

ハルカ 「たのもーーー!」

まるで道場破りのように入る。
しかし誰もいなかった。
が。

ハルカ 「こら…」

? 「む…な、何故我輩が机の下に隠れているのに気がついたのだ!? できる!」

この男、馬鹿だろうか?
机の下に隠れる程度だったら、入った瞬間に気付くわよ。

? 「はっはっは! わかったぞ、あんたも我輩のカラクリ屋敷に挑戦しに来たんだな!?」

ハルカ 「…何でもいいから早くしなさい」

私はそっけなくそう言う。
挑戦と言われるからにはやらずにはいられない。
性分ね。
すると、変なオヤジは高らかに笑い。

変なオヤジ 「我輩は、カラクリ大王! 挑戦を認めよう!」
カラクリ大王 「では、あの扉から中に入って、挑戦するがいい! 我輩は一番奥で待っているぞ!!」

そう言うと、カラクリ大王は消えた。
仕掛けは確実にあるはずだが、探さなかった。
折角なので真正面から突き崩そう。
私は掛け軸を調べてみると、後に扉があった。

ハルカ 「さて、何があるのか…」

扉を開け、私は絶句する。

ハルカ 「何じゃこりゃ…?」

いきなり迷路…。
どうやら、変なアトラクションでも体験できるのだろうか?
カラクリと言うからにはそれなりに仕掛けがあるのだろう。
私は先に進んでいく。

ハルカ 「あれ? 細い木がある」

立ち止まると、そこには細い木が邪魔をして前に進めなかった。
10本ほど並べられてあり、隙間から入るのは無理だ。

ハルカ 「上から行くのはさすがに反則だしねぇ…仕方ない」
ハルカ 「折るか、一本づつ」

そんな過激なことを言って、私は一本づつ蹴り折っていく。
意外にもろく、一発で簡単に折れた。
数本折った所で私は先に進む。
同じ様な仕掛けがいくつかあったが、全て折った。
すると、扉に着く。
しかし…。

ハルカ 「うん? 合言葉…?」

見ると、扉に『合言葉は?』と書いてあった。
どうやら、そんな物がいるらしい。
さすがにこれを蹴破るのはルール違反だろう。
仕方ないので、もうちょっと探してみる。



………。
……。
…。



探すこと10分、割と簡単に見つかった。
私は巻物を見つけ、それに書いてある合言葉を書き連ねる。

『カラクリ大王大好き』

カチリと音を立て、扉が開く。
これで終わりかしら?

先には長い通路が続いていて、地下に向かっているようだった。
私は先に進む…。



………。



進みきった所で梯子がかけてあった。
それを登るとそこには…。

カラクリ大王 「うわっ、あんたあのカラクリを解いたのか!?」

ハルカ 「馬鹿にしてるの?」

カラクリ大王 「う〜ん…苦労して昨晩、木を植えたのに」

それは残念なことを…ほとんど折ったわよ。

カラクリ大王 「あんたは、我輩の次の次の次の次の次の次の次位に凄い!」

何かむかつく…でも我慢することにした。

カラクリ大王 「それじゃあ、ご褒美にこれをあげよう」

すると、カラクリ大王は『わざマシン』を取り出す。

ハルカ 「うん? これは…」

カラクリ大王 「わざマシン12番『ちょうはつ』だ! その技は相手に攻撃技しか出させないようにする技なのだ!」
カラクリ大王 「相手が回復技などを使おうとした時に使えば、止めることができるぞ!」

ハルカ 「なるほど…便利そうね」

この技があれば、『ビルドアップ』とかも止められるわけね。

カラクリ大王 「では、我輩は新しいカラクリを考えることにしよう!」
カラクリ大王 「また、気が向いたらいつでも挑戦しに来てくれ!」

そう言って、またカラクリ大王は煙に消えてしまう。
どんな仕掛けなのか…。
多分煙球だと思うけど…忍者かい。
私はひとつだけある扉から外に出る。

ハルカ 「ふぅ…意外と暇つぶしになったかも」

私はここで一度、『わざマシン』を眺めてみる。
そんなに数があるわけじゃないけど、使えそうな技は覚えても良さそうだわ。
とりあえず、早速『ちょうはつ』を覚えさせることにする。
覚えられるポケモンは…。

ハルカ 「あ、クチートだけなんだ」

意外に難しい技なのか、クチートだけが使用可能だった。
とりあえず、セットする。

ウィィィィィン…

ディスクから情報が読み込まれ、クチートに『ちょうはつ』が身に着く。
これがあれば、色々役に立つかもしれないわね。
私はこうして、東に向かう。
ここからは草むらが多い。
自転車があれば、上のサイクリングロードを通れるけど…ないから仕方ない。

ハルカ 「さて、この辺りにはどんなポケモンが…」

? 「ライ!!」

ハルカ 「うん? このポケモンは…!」

私はすかさず図鑑を参照する。

ポケモン図鑑 『ラクライ:いなづまポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.6m 重さ:15.2Kg タイプ1:でんき』
ポケモン図鑑 『長い体毛に電気を溜めている。電流で足の筋肉を刺激して、爆発的な瞬発力を生み出す』

電気タイプ…これは初めての遭遇だった。
唸り声…と言うには、やや甲高い鳴き声を上げ、こちらを見ている。
折角なので、バトル突入と行きましょうか。

ハルカ 「行くわよ、『キャモメ』!」

私はキャモメを繰り出す。
電気タイプのことはよくわからないけど、相当速そう。
だったら、飛行タイプのキャモメでこっちもスピードで勝負よ。

キャモメ 「キャモ〜」

キャモメは例によって呑気な声で、登場する。
ホントに、この子大丈夫なのか…。
私はとりあえず指示をする。

ハルカ 「キャモメ、『みず…」

ラクライ 「ライ!」

キャモメ 「キャモ〜!」

いきなり『でんこうせっか』を食らう。
って言うか、速すぎ!
私はキャモメの様子を見る。

キャモメ 「……!」

キャモメはフルフルと首を横に振り、やや真剣な顔をする。

ハルカ 「よ〜し、じゃあ今度こそ『みずでっぽう』!!」

キャモメ 「キャモ!」

ラクライ 「ライ!?」

『みずでっぽう』がラクライに向かって飛んで行く。
かなりスピードなので、簡単にはかわせない。
ラクライはそれを喰らう。

ズシャアァ!

ラクライ 「ライ〜!」

ラクライは吼える。
『とおぼえ』という奴だろう…確か攻撃力が上がる技だ。
私は続けてキャモメに指示を出す。

ハルカ 「キャモメ! 『つばさでうつ』!!」

キャモメ 「キャモ!」

ラクライ 「ライ!」

ドガァッ! バチィッ!!

何と、ラクライは直撃を食らっても平気な顔をしていた。
もしかして、効果は今ひとつ!?
しかも、当たった瞬間、何かラクライが放電していた…かなりヤバそう。

キャモメ 「キャモ!?」

突然、キャモメが地面に落ちる。
さっきの電気!?
明らかに『まひ』していた…。
まさか、あれが『でんじは』!?

ハルカ 「やばい、こうなったらこの場で!」

私はキャモメを助けることも考え、モンスターボールを投げる。

ラクライ 「ライ!?」

ボールがラクライを捕らえる。
そして、地面に転がったボールは3度暴れ、抵抗を止める。

カチリッ!

その音と共に、私はラクライをゲットした。

ハルカ 「やったぁ! キャモメ、大丈夫?」

キャモメ 「キャモ〜…」

あんまり大丈夫そうじゃなかった。
まさか麻痺するとは…。
私はキャモメを回復させるために一度カイナに戻ることにした。



………。
……。
…。



そして、ここで私はあることに気付く。
ラクライを捕らえたボールが消えたのだ。
私はポケモンセンターで詳しく聞くと。

店員 「ああ、それは転送システムですよ、6匹以上連れているトレーナーが新しくゲットすると、自動的にパソコン預かりシステムに転送されるんです」
店員 「ですから、ここのパソコンでご確認ください」

ハルカ 「どうも」

私は早速、ラクライを確認することにした。
この際、一旦誰かと交代してみようかな?
私は今のパーティから考え、誰を外すか考える…。

ハルカ 「う〜ん…外すとしたら、コノハナかなぁ?」

未だにまともな攻撃技がなく、性格も相まってやや辛い感じがどうしても感じる。
これから成長していくのはもっともだろうけど、他の子たちとの相性も考えて、外れてもらうことにした。

ハルカ 「それじゃあ、コノハナとラクライを交代…っと」

新しく、ラクライが私のパーティに入る。
これにより、私のパーティは更に変化を見せることになった。
そして、私はカイナシティをまた後にする…が。
途中、何回も麻痺させられることになり、その度に回復に戻るという、面倒な状況が多発したため、結局その日はカイナで留まることになった。



…To be continued




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