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POCKET MONSTER RUBY



第13話 『CROSS FIGHT!!』




…魔の110番道路。



ハルカ 「…どうも皆さん、ハルカです」
ハルカ 「この道路は、とてつもなく呪われているのであります…」
ハルカ 「毒あり、麻痺あり、火傷あり…しまいにゃ氷までかかるのであります」(それはない!!)
ハルカ 「と言うギャグはは置いておいて。私はもう何度目かここの道路で立ち往生していると言うわけであります」
ハルカ 「その理由はと言いますと…」

ユウキ 「お〜い、大丈夫か?」

私の暴走をユウキが止めてくれる。
正直ウザイ。
何であんたまで私の邪魔するのよ!?
そう、今度こそ問題なくこの道路を通れるかと思ったのに…何とユウキがバトルを挑んできたのだ。
そして、私はそれを断れるわけもなく、受けてたったと…。

ユウキ 「…何か機嫌悪そうだな」

ハルカ 「悪いのよ! とにかく、やるからには覚悟はしてよ!?」

ユウキ 「あんまり無理するなよ…まぁ、先輩として胸貸してやるからっ」
ユウキ 「じゃあルールは、使用ポケモン3体で道具はなし、交換は自由だ! よし、行くぞ『キノココ』!」

ボンッ!

キノココ 「キノ〜」

出てきたのは茸だった。
どこかで見たことあるような気もする…しかしながら改めて確認することにした。

ポケモン図鑑 『キノココ:きのこポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.4m 重さ:4.5Kg タイプ1:くさ』
ポケモン図鑑 『深い森の湿った地面に生息。落ち葉の下でじっとしていることが多い。落ち葉が積もってできた腐葉土を食べる』

なるほど、やはり菌類ね。
だとしたら、燃やすのが手っ取り早い。

ハルカ 「だったら、胸貸してもらいましょうか! いけ『ワカシャモ』!!」

ボンッ!

ワカシャモ 「シャモ」

繰り出すのは当然炎タイプのワカシャモ。
相性は言うまでもなし。
あっさり負けても恨むんじゃないわよ…。

ハルカ 「ワカシャモ『ひのこ』!」

ユウキ 「キノココかわせ!」

ワカシャモ 「シャモ!」

キノココ 「キノ!」

動いたのはほぼ同時、キノココは左右に動いて器用に『ひのこ』をかわす。
菌類にしては速いじゃない…だけど。

ハルカ 「ワカシャモ『つつく』!」

ユウキ 「キノココ、『やどりぎのタネ』!」

ワカシャモ 「シャッ!」

キノココ 「キノー!」

ガツガツガツッ!

連続でクチバシをキノココに叩き込む。
キノココはこれに怯みながらも、妙な種を撒いた。
それはワカシャモに取り付き、何やら発芽していた。
根がワカシャモに絡み付いている。
ワカシャモはそれを喰らって見る見る弱っていく。

ハルカ 「な、何!?」

キノココ 「キノ〜♪」

よく見ると、キノココは先ほどのダメージが全くないように見えた。
あの技、『すいとる』みたいに吸収する技なの!?
私は焦って指示を出す。

ハルカ 「ワカシャモ『ひのこ』!」

ユウキ 「戻れキノココ!」

ハルカ 「あっ!」

ワカシャモの『ひのこ』は何もない空間を焼く。
そっか、交換って言う手もあるんだった。
最近は交換することも少なくなってたからすっかり忘れていた。
しかもこのタイミングは完璧と言える、時間を稼げる上にワカシャモは体力を奪われる。
それを見て、当たり前と言った風な顔でユウキは代わりのポケモンを繰り出す。

ユウキ 「行け、『ドンメル』!」

ドンメル 「ドン〜」

あれは前に見たドンメルだ。
確か、地面と炎の掛け持ち。
しかしながら、マグマ団の下っ端ごときと同じに見たらダメだ。
私はすぐにワカシャモを交換する。
このままじゃジリ貧だ。
とりあえず、地面にも炎にも強いポケモンを…!

ハルカ 「『キャモメ』、お願い!!」

ユウキ 「ビンゴ! ドンメル『たいあたり』だ!」

ハルカ 「…っしまった!」

交換した直後は無防備になるため、大抵は無条件で相手の攻撃を貰う隙が出来てしまう。
これは当然誰にでも当てはまるセオリー。
私のキャモメは戦闘態勢を取る前にドンメルの重い『たいあたり』を食らってしまう。

ドンメル 「ドンッ!!」

キャモメ 「キャモ〜!」

バッシャァンッ!!

キャモメは何と地面ではなく海の方に落ちる。
軽いから簡単に吹っ飛んだのね。

ハルカ 「…! そうだ」

私は閃く。
キャモメは水タイプ。
水に落ちたのは返って好都合だったかも。
私はすかさず指示を出す。

ハルカ 「キャモメ、そのまま斜め上に『みずでっぽう』!!」

ユウキ 「何ぃ!?」

ユウキ君は驚いた反応で海の方を見る。

バッシャァンッ!!

キャモメの水鉄砲により、海水が上空、ドンメルの真上付近に吹き上がる。
と言っても水中でのことなので、そこまで強力な物ではない。
だが、怯ませるには十分だ。

ドンメル 「ドンッ!?」

飛沫は見事にドンメルを慌てさせる。
このポケモンは極端に水を嫌う。
確か地面タイプも水に弱いもんね…。

ハルカ 「キャモメ今よ! 真上に上昇!!」

キャモメ 「キャモー」

呑気な声をあげながらも、キャモメは元気に現れる。
さすが水タイプ、水中でもそんなに問題はなかったみたいね。

ユウキ 「くっ、ドンメル『ひのこ』だ!!」

ハルカ 「焦ったわね! キャモメ、受け止めてから『みずでっぽう』!!」

ドンメル 「ドンッ!」

キャモメ 「キャモ!」

ジュジュジュジュジュジュッ!!

ユウキ 「あ!?」

ユウキはしまったと言った顔で慌てる。
まだキャモメの体は海水で濡れている。
火の粉程度の炎ではダメージにならない。
キャモメはその終わり際を見て『みずでっぽう』をドンメルに叩きつける。

バシュウッ!!

勢いのついた『みずでっぽう』がドンメルを吹き飛ばす。
キャモメの『みずでっぽう』もどんどん強くなってる。
最初の頃からは比べ物にならないほどの威力を持っていた。

ドンメル 「ドン〜…」

ドンメルは眼を回してダウンする。
これで一体倒せたわね!

ユウキ 「よくやったドンメル…」

ユウキは緊張感を高めているのがわかった。
どうやらキャモメの存在がかなり向こうにとって大きいみたいね。
何が何でも倒したいって顔よ…。
対して私はやや落ち着く。
ワカシャモが手負いだけど、キャモメの存在が落ち着かせてくれる。

ユウキ 「よし、頼む『キノココ』!!」

キノココ 「キノ〜!」

ここで出てきたのはキノココ。
これで私は確信する。
ユウキが最後に控えているポケモンはキャモメに相性が悪い。
だから、飛行タイプを持つキャモメに対してキノココを繰り出したんだ。
私は意気揚揚とキャモメ指示を出す。

ハルカ 「キャモメ『つばさでうつ』!!」

ユウキ 「キノココ、迎え撃て! 『ずつき』だ!!」

何と、ユウキは玉砕戦法に出た。
冗談…相性悪いのに!?

ドガァァッ!!

キャモメ 「キャモ!」

キノココ 「キノーーー!!」

当然のようにキノココは吹っ飛び、起き上がらない。
効果は抜群よ…しかも自分から飛び込んだ分ダメージはカウンターで…。
どうしてあんな無茶を…。
そこで、私はキャモメの異変に気付く。

ハルカ 「キャ、キャモメ!?」

キャモメ 「キャモ…」

何と、キャモメの体がやや紫色に変色している。
これは…毒!?

ユウキ 「『ほうし』にかかったな…予想通りだよ」

ハルカ 「え!?」

ユウキはまさに作戦通りとばかりに笑っていた。
どうやら、全部折込済みだったらしい。

ユウキ 「キノココは『ほうし』って特性がある。これは相手と接触した時に相手を痺れさせたり、毒にしたり、眠らせたりする技さ」

ハルカ (つまり、『せいでんき』とかと同じ効果か…)

思いっきり突っ込んだのは、『ほうし』をより大きくばら撒くため…。
ユウキはこれでキノココも失った。
だけど、私のキャモメも同時にダウンしたといっていい。
毒の状態では、長く持たない。
私はすぐにボールに戻した。

ユウキ 「さて、ようやくお前の出番だ、『ヌマクロー』!!」

ヌマクロー 「ヌマー!!」

ハルカ 「あれは…」

あのモヒカンは以前見た気がする。
確か、アチャモのデビュー戦で戦ったポケモンに似てる…と言うことは。

ハルカ (進化系か…ワカシャモみたいに)

私はすぐに図鑑を参照した。


ポケモン図鑑 『ヌマクロー:ぬまうおポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.7m 重さ:28.0Kg タイプ1:みず タイプ2:じめん』
ポケモン図鑑 『地上でも生活できるように体の表面を薄い粘膜が包んでいる。潮の引いた海岸で泥遊びをする』


背は低いが、結構重い。
間違いなくパワータイプ。
なるほどね…キャモメを嫌がるわけだ。
水の攻撃が効かない上、地面の攻撃も効かなかったらこのポケモンはどうしようもない。
だけど、飛行タイプはキャモメだけじゃないわ!
私は次のポケモンを繰り出す。

ハルカ 「お願い、アゲハント!!」

ユウキ 「く、まだ飛行タイプがいたのか…!」

予想通り、嫌がる。
相当あのポケモンは地面技が得意と見えるわね。

ユウキ 「ただ飛行タイプに手がないと思うのかよ! ヌマクロー『みずでっぽう』だ!!」

ハルカ 「アゲハント、かわしなさい!」

ヌマクロー 「ヌマー!!」

ブシュゥゥゥゥッ!!

アゲハント 「ハ〜ント」

アゲハントは優雅に羽ばたき、『みずでっぽう』をかわす。
だけど、こちらの攻撃はどうしよう…?
強力な遠距離攻撃があるわけではないので、確実に倒すためには近づかなければならない。
確か、アゲハントの『すいとる』は水や地面に良く効くはず!
私は一気に勝負に出た。

ハルカ 「アゲハント、『すいとる』!」

ユウキ 「来た! ヌマクロー『がまん』!!」

ハルカ 「!?」

かなりヤバイことになった。
『がまん』は当然あの『がまん』。
ダメージを倍返しする…タネボーの得意技!

アゲハント 「ハ〜ント」

アゲハントはその場で飛び回りながら、ヌマクローに対して『すいとる』を行使する。
ヌマクローの体から何やら光の球体が現れ、アゲハントに向かって吸収された。
当然ながら、効果は凄く抜群だ。
しかも、アゲハントは防御力に比べて攻撃力がかなり高い。
これは、まずい結果になりそうな気がした。

ハルカ 「アゲハント、離れて『かぜおこし』!!」

アゲハント 「ハ〜ント!」

『がまん』の発動には時間がかかる。
距離を離せば…。

ヒュゴォォォォッ!!

ヌマクロー 「ヌマ〜……!」

ユウキ 「耐え切った、行けヌマクロー!!」

ヌマクロー 「ヌ・マーーーー!!!」

バシャアアアアァァァァンッ!!

アゲハント 「ハ〜ント………」

ズシャァッ!!

ハルカ 「…!?」

何と、ヌマクローの『がまん』は口から『光』を放っていた。
そうか、『がまん』と言っても、ポケモンによって発動方法が違うのか…。
アゲハントは当然直撃…これで互いに残り一体となった。
互いに手負いのポケモン。
しかしながら、相性を考えて私は不利を否めなかった。

ハルカ (大丈夫よね…今までだってピンチは潜り抜けてきた)
ハルカ (キャモメとアゲハントがあんなに頑張ってくれたんだもん、きっと勝てる)
ハルカ 「信じてるわよ、『ワカシャモ』!!」

ワカシャモ 「シャモ!!」

一際気合を入れ、ワカシャモが出てくる。
この状況を予想していたのか、真剣な顔つきだった。

ヌマクロー 「ヌ、ヌマ…ヌマッ!」

ヌマクローは予想以上にダメージがあるようだった。
これなら、押し切れる!

ハルカ 「行けワカシャモ、『にどげり』!!」

ユウキ 「ヌマクロー、ガードして耐えろ!!」

ワカシャモ 「シャモ、シャモッ!!」

ドガッ、バキィッ!!

ヌマクロー 「ヌ、ヌマー!!」

ヌマクローは両手をクロスさせて防御する。
と言っても、技による防御ではないので、ダメージはそこまで軽減してはいない、しかしながら…一歩も退がらないとはね。
ワカシャモはすぐにバックステップで距離を一旦離した。
臆病な性格が災いする、ユウキはそれを見逃さなかった。

ユウキ 「いまだヌマクロー! 『マッドショット』!!」

ハルカ 「また知らない技!?」

ヌマクロー 「ヌマーーー!!!」

何と、ヌマクローは口から泥を勢い良く噴出す。
だが、ワカシャモは体を捻って直撃を避けた。
ただ、下半身に泥がまとわりつく。

ユウキ 「良し! 動きを止めただけで十分だ! ヌマクロー、『げきりゅう』入りの『みずでっぽう』をお見舞いしてやれ!!」

ヌマクロー 「ヌマッ!!」

ハルカ (足を取られてる、すぐには動けない…!)
ハルカ 「だったら…! ワカシャモ! 手で『すなかけ』よ!!」

ユウキ 「!?」

ワカシャモ 「シャモ!!」

足はともかく、手の動きでならこっちの方が早かった、ワカシャモは先に右手で地面を削り、そこから砂をヌマクローの顔面に叩きつける。
しかも、足元は泥まみれになっていたので、ヌマクローの視界を完全に覆った。
そこから、ややでたらめに『みずでっぽう』が発射される。
ワカシャモは屈んだ状態だったので、それを紙一重で回避することが出来た。
そして、千歳一遇の隙が出来る。

ハルカ 「ワカシャモ『にどげり』よ! このまえ練習した新しいパターンよ!!」

ユウキ 「何だって!?」

当然ながらユウキは慌てる。
新パターンと言われては、予想が出来ないものね。

ワカシャモ 「シャモ!」

ワカシャモは泥を振り払い、一気に突っ込む。
それは、ヌマクローよりも低い姿勢で懐に飛び込んでいた。

ヌマクロー 「ヌ、ヌマ!?」

ヌマクローはワカシャモの姿を確認する。
すでに至近距離だ、飛び道具は使えないわよ!

ユウキ 「く、何があろうと! ヌマクロー『たいあたり』だ!」

ハルカ 「遅い! 下!!」

ワカシャモ 「シャモ!」

ドカァッ!!

ヌマクロー 「ヌマー!」

ワカシャモは右足の水面蹴りでヌマクローの右足を払い、体勢を崩した。
ヌマクローは右足を払われ、後ろにステンッと尻餅を着く。
そして、そのまま水面蹴りの回転を使ってワカシャモはもう片方の足で宙に跳ぶ。

ユウキ 「!?」

ヌマクロー 「ヌ、ヌマ!?」

一瞬で視界から消えたワカシャモを見失い、ヌマクローの動きが止まる。
それを見ていたユウキですら呆気に取られていた。

ハルカ 「行けーーー!!」

ワカシャモ 「シャーモーーー!!」

バキィィッ!!

ヌマクローの横っ面に、右後ろ回し蹴りがヒットする。
ヌマクローはゆっくりと地面に前のめりに倒れた。
これはワカシャモの脚力あってこその技よ! これは立てないわ!!

ヌマクロー 「…☆…☆…」

ヌマクローは完全に目を回していた。
それを見て、ようやくユウキが動く。

ユウキ 「…戻れヌマクロー」

シュボンッ!

ユウキはボールに戻し、ボールラックに戻した。
そして、複雑そうに。

ユウキ 「へぇ、ちゃんとポケモン育ってたんだな…」
ユウキ 「最初の頃とは随分成長したじゃないか!」

やや強がっているようにも聞こえるが、所詮は負け犬の遠吠え、気にしなかった。

ハルカ 「まぁ、当然ね。ちゃんとジムバッジだって2枚持ってるんだから」

ユウキ 「ふ〜ん、まぁ頑張っているなら何よりだ。俺はまだ父さんの仕事の手伝いがあるから、じゃあな!」

私はそう言ってあしらうが、ユウキは気にもせずに自転車で去っていった。
あら残念…マイペースなのね。
って言うか、自転車って…それで何で下通ってるのよ?

ハルカ 「あ、そうか…ポケモンの調査してるんだっけ」

それなら、上通っても仕方がないわね…納得。
しかしながら、自転車はさすがに便利に感じる。
だけどあんまり大きな荷物になっても嫌だしねぇ…複雑。

ハルカ 「ま、これでようやく先に進めるって訳ね」

しかしながら、私のポケモンは3匹負傷している。
私はまず傷薬や何でも治しでポケモンを治療した。
そして、そこから先、野生戦はラクライ、クチートが頑張ってくれ、トレーナー戦はマッスグマが大活躍と、全く問題なく先に進むことが出来た。
そして、それから二日ほどかけ、私は念願のキンセツシティに到達することになる。
長かった…ここまで本当に。



−ここはキンセツシティ。明るく輝く楽しい街−




ハルカ 「はぁ〜凄いわねここ」

今は既に夜。
だと言うのに、この街はまさに明るく輝いている。
大きな建物が多く、カナズミよりも小さい街なのに、スケールは大きく見えた。
私はとりあえず、適当に歩いて行く。
時刻はもう20時だと言うのに、まだ人は沢山出歩いていた。
何となくコガネシティを思い出す、夜のネオン街はこんな感じだもんね。
って、子供がそういうの知っていると問題な気もする。
なので、さっさとポケモンセンターに向かうことにした。
まさに、街の中心にそれは位置し、今までの所では一番大きい支店に思えた。



………。



ハルカ 「ふぅ…どうにか一休み」

店員 「夜遅くまで御苦労様です。お泊りですか?」

ハルカ 「はい、とりあえずワンボックスで一泊お願いします」

とりあえず、一泊予約する。
今日は遅いので、すぐにでも休もう。
私はカードを提示し、ポケモンを預ける。
受け取りは例によって入浴後。
なので、すぐに大衆浴場へと向かった。



………。
……。
…。



ハルカ 「…今日は、変な人はいないけど」

ガヤガヤ…ザワザワ…。

やたらと込んでいた。
まさに大衆浴場。
それだけこの街は人口が多いのだろう。
時間も大体ラッシュ時だし。
私はとりあえずは気にせずに体を石鹸でしっかりと洗う。
そして、髪を備え付けのシャンプーで洗う。
後はざっとお湯で流す。
ここまでで10分。
女の子としては速い方かもしれない…。
まぁ、気にしても仕方ないか…。
私は湯船の端の方から浸かる。
端っこの方がお風呂って落ち着くのよねぇ…。
私はタオルで顔の汗を拭きながら、ゆったりとする。
すると、何やら話し声が聞こえてきた。
私はつい聞き耳を立ててしまう。



女性A 「ねぇ、聞いた…この前のジム戦」

女性B 「あ、知ってる知ってる! 暑苦しい茶色のローブ着たトレーナーでしょ?」



どうも、カガミのことらしい。
あの人、どこでもあんな目立つ格好してるのね…。
そこまでして正体を隠すなんて、何があるんだろう?



女性A 「でもさ…電気タイプのジムが、よりにもよって水タイプ一匹にやられるなんてねぇ」

女性B 「それだけじゃないって! 飛行タイプでもあるらしいよ!」



なるほど…ということはキャモメと同じことになるわね。
って、また一匹!?
相変わらず化け物のような強さね…。



女性A 「ってことは、単純計算4倍のダメージなのにねぇ…しかもテッセンさんの『でんげきは』は回避不能って言われてるのに」

女性B 「何でも、ホウエン地方では見られないポケモンらしいよ…確かマンタインだったっけ?」

女性A 「そうそう、それ! 確かジョウト地方にいるポケモンだよ」

女性B 「だったら、あの人ジョウト地方の人なのかなぁ…?」

女性A 「う〜ん、かもね〜」

女性B 「って言うかさ〜…魚系のポケモンでどうやって戦ったんだろう?」

女性A 「聞いた話だと、一歩も動かなかったそうよ…『じしん』で全員一発だって」

女性B 「うわ…エグイ。『じしん』使うんだ」

女性A 「さすがのテッセンさんも落ち込んだみたいね…何にも出来なかったらしいから」

女性B 「は〜…何だか凄すぎて声も出ないね」



………。



ハルカ (ホントに声も出ないわ…でもヒントになった)

電気タイプは地面タイプに弱い。
…って私持ってない!
この前ユウキ君がヌマクローやドンメル使ってけど、それが地面タイプなのよね。
でも、ドンメルは地面タイプの技を使わなかった…って相手がキャモメだったからか。

ハルカ (カガミが使ったポケモンは、ジョウト地方のポケモン…マンタイン。多分、ヘルガーもそうなんだろう)

いまいち、生息地とかは知らないのでわからないが。
どちらにしても、カガミは強すぎる。
その場から動くこともなく『じしん』一発。
相当強力なんだろうな…。
今回はジム戦、誰で行こうかな?
私はそんなことを考えながら、上がることにした。



………。
……。
…。



ハルカ 「どうも〜、回復終わってます?」

店員 「あ、ハルカ様…それがちょっと」

ハルカ 「は…? 何か?」

まだ終わってないのだろうか?
だけど、店員の表情は暗かった。
この展開ってまさか…。

店員 「ハルカ様のアゲハントですが、強い衝撃を受けたせいか、羽を相当痛まれてます」
店員 「しばらくは、回復に努めるほうがいいと思われます」

ハルカ 「…そ、そうですか」

やはり…あの時の無理が祟ったのね。
元々防御力と攻撃力が両極端な子だったから…カウンター系の技は致命傷になってしまったのか。
私は仕方なく、アゲハントをしばらく預けることにした。

店員 「そうですわ、このキンセツシティから西にある道路に『そだてやさん』があるのをご存知ですか?」

ハルカ 「『そだてやさん』…?」

何かそのままな気がするけど…。

店員 「ええ、ホウエン地方でも有名なご老人夫婦で、ポケモンの治療にも精通しているそうです」
店員 「確か、ハルカさんのアメタマがすでに預けられていますよ」
店員 「よければ、こちらの方からアゲハントも手配いたしますが?」

ハルカ 「あ、じゃあお願いします」
ハルカ 「あの、ちなみに育て屋さんにいる間ってどうなるんですか?」

店員 「そうですね、名前の通り育ててくれます」
店員 「もちろん有料になりますが、ポケモンが成長することを考えれば妥当な値段だと思います」

ハルカ 「そっか〜何匹でも行けるんですか?」

店員 「そうですね、相当広いスペースですので、1BOX分位でした問題ないかと」
店員 「利用される方はそこまで多い方ではないので、その時にも寄ると思いますが」

私は色々考えてみるが、とりあえず回復した5匹のポケモンを受け取る。
う〜ん、とりあえずコノハナを戻して補強した方がいいかな?
それとも、新しいポケモンを探すのもいいかな?
とりあえず今日は休んで明日考えることにした。



………。
……。
…。



ハルカ 「……」

色んなことが頭を巡っていた。
目標のカガミ。
次のジムバッジ。
どこかで活動しているマグマ団。
ふとした所から再会したユウキ君。
負傷したアメタマとアゲハント。
奇しくも虫タイプの二匹だ。
今までアゲハントには助けてもらったことも多かったし、ここで抜けられるのは戦力的に凄く痛い。
でも、元々ここのジムは電気タイプのジムらしいので、飛行タイプは相性が悪い。

ハルカ 「…ダメね、明日考えようって決めたのに」

結局考えてしまっている。
これはもう癖だろう。
悪いことを深く考えすぎてしまう。

ハルカ (だけど、電気タイプに相性のいいポケモンが一匹もいない私に勝ち目はあるの?)

単純な実力で考えるなら、ワカシャモ、マッスグマが筆頭に上がる。
だけど、今までみたく2体でのバトルとは限らない。
もし、後一匹必要なら…?

ハルカ 「一番マシなのはラクライか…」

まだ、電気タイプを半減できる。
だけど、こちらの攻撃もあまり通用しないかもしれない。
まだ電気タイプの攻撃技を覚えていないのだ。
そう言うことも考えると、クチートの方が戦えるかもしれない。
何にしても、今私のパーティはやや、ばらつきが出始めていた。
基本的に、徹底して育て直す必要が出てきたのかもしれない。

ハルカ (もう、寝よう…)

私はここで考えるのを止めた。
今は休んだ方がいい。
明日目覚めたら、きっと元気になれるから…。



…To be continued




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