Menu
BackNext
サファイアにBackサファイアにNext




POCKET MONSTER RUBY



第14話 『対決! 電撃オヤジ!!』




ハルカ 「…さて、まずはどうしようかしら?」

次の日の朝、早速ポケモンセンターを出て考える。
現状、今のパーティでジム戦を勝ち抜けるかと考えると、どうにも自信がない。
電気に対して強いポケモンがいるわけではなく、かと言って不利になるポケモンはいる。
この問題は、カナズミの時とは比較にならないかもしれない…。
何せ、これから進化して打開しようとするのはかなりの時間を要すると思えるからだ。

ハルカ 「かと言って、新しいポケモンに頼るって言うのもあれだしねぇ…」

私は途方に暮れながら、ある施設に目が行く。
そして、それが今回の勝因に繋がるとはまさか思いもしなかった…。





………………。





ハルカ 「…自分の動体視力に乾杯」

私はそんなことを思いながら、そろそろジム戦に向かうことにした。
時刻は夕方、さすがに『遊び』過ぎたらしい。
準備は万端、いざ行かん!!
そして、私はポケモンジムに近づく。



『キンセツシティ ポケモンジム リーダー:テッセン −あっかるい電撃オヤジ!−』




ハルカ (…どんなオヤジよ)

そんな疑問を抱きながら、私は先客がいることに気付く。
そして、それは意外にも私の見知った顔だった。

? 「なぁ、やっぱりまだ早いと思うよ?」

ミツル 「大丈夫です、僕とラルトスなら絶対戦えます!」

そう、それは以前トウカシティにて出会ったミツル君だ。
ミツル君は、何やら40代位の男性と言い合っていた。
そんなに険悪と言うわけではなく、男性の方がなだめているような感じだ。
父親と言うには弱く感じる。

ハルカ 「…こんな所で奇遇ね、まさかあなたもジム戦?」

ミツル 「あ、ハルカさん!?」

私が話し掛けると、ミツル君は驚いた顔で私を見た。
そんなに意外だったのかしら? こっちの方が意外だと思うけど。

ハルカ 「ジムに挑戦するみたいだけど、ここのジムのレベルはわかってるの?」

ミツル 「え…? いえ、それは…わかりません」

ミツル君はややためらいながらもそう言う。
やっぱりね、ぶっつけ本番でここから挑もうってわけ…。
正直、私には無理だと思えた。
これまで、カナズミから私はジム戦をしてきたけど、旅を続ける度に相手トレーナーは力を増していく気がしている。
ここまで来たら、以前のカナズミ手前の実力では歯が立たないかもしれない…と思うほどだ。
ミツル君は、私よりもポケモントレーナーとしての実力は薄い…はず。
知識ではともかく、こと戦うことの駆け引き等においては、負ける気はしない。
それがいきなりジム戦だというのだ、親族としては気が気じゃないんだろう。
私はこの時点で、言い合いの内容がおよそ読めていた。
要は、ミツル君がジム戦をやりたいのよ。
でも、保護者(?)としてはそれが怖いのね…。
溺愛と言えばそれまでだけど、いきなり歴も浅い内に絶望感を味わう必要はないと思うけど…。

ハルカ (…私ならともかく、ね)

ふと、カガミにやられたあの戦いを思い出す。
ロクにポケモンの動かし方もわからず、何の予備知識もない戦いの結果。
まぁ、あれに関しては相手が相手だけど…。

ミツル 「とにかく、僕とラルトスなら誰が相手でも勝てるはずです!!」

ハルカ 「…あなた、どこまで馬鹿なのよ!」

ミツル 「!? ハルカさん…?」

私が強い口調でそう言うと、ミツル君は怯えたように後ずさる。
さすがに黙ってられなかった。
それは勇敢ではなく無謀ということもこの子はわかってない。

ハルカ 「どんな自信があるかは知らないけど、あなたはジム戦の怖さがわかってない!」
ハルカ 「あなたが思っているほどジム戦は甘くない!」

ミツル 「…でも、やりもしないで結果を出すなんておかしいです!」

どうやら、ミツル君は引き下がる気がないらしい。
なら、私が直接手を下すしかない、か。
私はモンスターボールを手に取り。

ハルカ 「いいわ、ならここで私が教えてあげるわ…本当のバトルがどんな物かを!」

ミツル 「…ハルカさん、わかりました!」

ミツル君はモンスターボールを手に取り、バトルの体勢を取る。
私は先にモンスターを出す。

ワカシャモ 「シャモッ」

ミツル 「相手は、格闘タイプ…だったら、こっちが有利なはずだ!」

そう言って、ミツル君はラルトスを繰り出す。
初めからわかっていることだ。
私は全く動じない。

ラルトス 「ラル…」

ミツル 「行くよ、ラルトス!」

ラルトス 「ラル…!」

ハルカ 「……」

ラルトス、実際に戦うのは初めてではない。
以前にも使うトレーナーと戦ったことはある。
だが、印象に残ったのは、ロクな攻撃技を持っていないことだった。
トレーナーの戦い方にも左右されるだろうけど、かなり玄人好みなポケモンなのかもしれない。

ミツル 「ラルトス! 『ねんりき』!」

ハルカ 「ワカシャモ! 『きあいだめ』!」

ラルトス 「ラルゥ!」

ワカシャモ 「シャモッ!」

ワカシャモは気合を溜め、ラルトスの『ねんりき』をまともに喰らう。
確かに効果は抜群、だけどこれだけではさほど致命傷にはならない。

ミツル 「よし、そのまま『ねんりき』で…」

ハルカ 「ワカシャモ、『にどげり』よ!」

ミツル 「え!?」

ラルトス 「ラル!?」

ワカシャモ 「シャ〜モーーー!!」

ドガァッ!!

ワカシャモは『ねんりき』を気合で振り切り、一気に間合いを詰めてラルトスの顔面に、右足で前蹴りをお見舞いする。
二発目はない、一撃で勝負はついた。
効果は今ひとつ、でもラルトスの防御力じゃ一撃耐えることもできなかったようね。

ハルカ 「ご苦労様、ワカシャモ…」

ワカシャモ 「シャモ…」

シュボンッ!

私はボールに戻して一息つく。
さすがに、ワカシャモも良い気分ではなかったようだ。
どっちかって言うと、憎まれ役だからね。
ただ、この時何故か、私はカガミに感謝していた。
あの時、カガミに負けていなかったら、私がミツル君のようになっていたのだろう…。
今思えば、カガミの行動は私のためだったのかもしれないと思えた。
今度会ったら、確認してみてもいいかもしれない。

ミツル 「ラルトス…」

ラルトス 「……」

ラルトスはピクリとも動かない。
恐らく、気絶したのだろう。

ハルカ 「その程度でジム戦とは笑えもしないわ…」

ミツル 「……!」

私はラルトスを抱きしめているミツル君に容赦のない言葉を投げかける。
さすがのミツル君も参っているようだ。

ハルカ 「相性のいい相手に勝てもしないようじゃ、ここのジムでは戦えないわ」
ハルカ 「悪いことは言わないから、おじさんの言うこと聞いて早く家に帰りなさい」

ミツル 「……はい」
ミツル 「…やっぱり、トレーナーって凄いんですね」

そうは言うが、ミツル君の表情は悔しそうだった。
体が震えているのがわかる、強がってるわね。
ミツル君は顔を上げなかった。
叔父さんになだめられ、ミツル君はラルトスをボールに戻し、117番道路に向かって歩いた。

ハルカ (…ここで諦めるか、これから這い上がってくるかは、あなた次第よ)

私は期待感にも似た想いをミツル君に思う。
カガミも、私と同じような気持ちで私と戦ったのだろうか。
その答えは、帰っては来ない。

おじさん 「…君がハルカちゃんだったんだね、今日はどうもありがとう」

そう言って、おじさんは頭を下げる。
私としては恨まれるかとでも思っていたのだけれど、このおじさんは予想以上に理解しているようだった。

おじさん 「私たちは、シダケタウンの方に住んでいるから、よかったら立ち寄ってくれ。きっと、ミツル君も喜ぶだろう」

そう言って、おじさんもミツル君の後を追う。
シダケタウンか…よくは知らないけど、一度は行ってみようかな。



………。
……。
…。



ハルカ 「…で、私は結局悩むと」

未だにジムの前で立ち往生している。
いつもの調子なら一気に行きたい所だけど、不安がありまくる。
何体で戦うのかはわからないけど、電気に対策があるわけじゃない。
一応、自分で確認したことでは…。

ハルカ (電気タイプは、地面に効果がない、そして草にもあまり通用しない)
ハルカ (問題は、水、飛行に有利という点)

少なくとも、キャモメは脱落ということになる。
相性が悪すぎる。
ということは残りのメンバーで挑むことになるだろう。
私は、不安を抱えながらも、行くことにした。
負けても、それはそれでしょうがないと思おう。

ハルカ 「…たのもー!」

例によって道場破りの口調で中に入る。
すると、中はやけに怪しい空間だった。

ハルカ 「…何で電撃?」

まさに電撃。
どう考えても前に進めるとは思えなかった。
しかしながら、横を見ると隙間がある。
一応ここで曲がれば…。

ハルカ 「……」

何故か、酷く不快になる。
カラクリ屋敷の姉妹店だろうかココは?

ハルカ 「…ぶっこわしてやろうかしら」

しかしながら、気持ちを抑えてスイッチを踏む。
すると、電撃の位置が変わった。
なるほど、これで通れるようになるわけね。



………。
……。
…。



というわけで、私はスイッチを3つほど押してようやく最後の部屋にたどり着いた。

ハルカ 「…他にはないみたいね」

? 「おお、お前さんワシの仕掛けを破ったのか!」

またしても不快になる。
やっぱりこの人もカラクリ大王の親戚なんだろうか?
ジムリーダーと思える、その男性は、小柄で私より身長は低い。
ただ、体格はやや肥満体型。
焦げ茶色のセーターを着て、顔には髭が沢山生えており、全て白かった。
顔は温和で優しそうではある。
常に笑い上戸なのか、笑顔が耐えなかった。

? 「わっはっは! ワシの名前はテッセン! このキンセツジムのジムリーダーだ!」

ハルカ 「…とりあえず、挑戦受けてもらえるんでしょうね?」

私はまるで誘惑するかのようなポーズでそう言う。
だが、さすがはジムリーダー(?)、まるで気にした風もなく、話を勝手に進める。

テッセン 「ここでの使用ポケモンは3体! 道具の使用は今回は無しじゃ」

ハルカ 「あれ? ないんですか?」

私がそう聞くと、テッセンさんはうむ、と唸る。

テッセン 「こないだのジム戦で切れてしまってな…今はないのじゃ」

ハルカ 「まぁ、いいですけど…で交換とかは?」

テッセン 「無論自由じゃ、後のルールは他のジムと同じと思ってええ」
テッセン 「そちらも初めてのジム戦というわけではないんじゃろう?」

私は頷き、バトルフィールドに向かう。
今いる、さらに奥の部屋でジム戦は始まるのだ。



………。




ハルカ 「…あれ、審判は?」

テッセン 「もうすぐ来るよ、それまではちょっと休んでおいてくれ」

ハルカ 「…はい」

私はそう言われて、準備体操をする。
別に私が戦うわけではないのだが、少しでもテンションを高めておきたかった。
しばらくすると、いつもの格好をした審判が現れ、静かにジム戦が始まろうとしていた。
かなり広いフィールドで、観客席まであったが、観客はひとりもいない。
完全に私と、テッセンさん、後は審判しかいなかった。

ハルカ 「随分…寂れているんですね」

テッセン 「わっはっは! ちょっと色々あってな…今は人払いをしているんじゃよ」

理由は聞かなかった。
さすがにこれから戦う相手のテンション下げたくはないからだ。
私は最後に深呼吸をし、眼前の相手を見据える。

ジャッジ 「これより、ポケモンリーグ公認! キンセツジム公式、第375回ジム戦を行います!」



………。



盛り上がりは一切ない。
審判の高い声が響くだけで、後は何も帰っては来ない。
かえってこう言う沈黙の方が緊張する。
今回は対策も何もない、ただ思いっきり行くだけだ。
今回のフィールドはまっさらな床。
滑り止めはしっかりしているので、足が取られることはないだろう。
ただ、恐ろしく広い。
ここから直線、およそ50メートルほど先にテッセンさんがいるのだ。
正直、ここまで広いというのは予想してなかった。
一体どんな戦い方をするのか…。

ジャッジ 「まず挑戦者を紹介します!! 今回の挑戦者は……」

ハルカ 「……?」

テッセン 「…?」

そこで審判が止まる。
何かあったんだろうか?

ジャッジ 「…えっと、挑戦者の名前と出身は?」

私は今更ながら、『ああ』と思う。
そう言えば名乗ってなかった。
とりあえず、簡単に紹介をすると、審判は気を取り直して。

ジャッジ 「まず挑戦者を紹介します!! 今回の挑戦者は、ミシロタウンから来た旅のトレーナー、ハルカ!!」
ジャッジ 「そして、キンセツジム、ジムリーダー・テッセン!』

テッセンさんは笑っていた。
大らかな人だ。

ジャッジ 「ルールを説明します! 時間は無制限、使用ポケモンは3体。ポケモンの途中交代は基本的に制限なしとします!」
ジャッジ 「試合中の図鑑使用は、閲覧のみ認められ、それ以外の用途での使用は、失格と見なされることもありますので注意してください!」
ジャッジ 「なお、今回は道具の使用を禁止します!」
ジャッジ 「それでは挑戦者、何か質問はありますか?」

いつも通り、私は冷静に。

ハルカ 「いえ、結構です」

ジャッジ 「では、これより試合を開始します! まずジムリーダー、最初のポケモンを!!」

こうして、ついにジムリーダーのポケモンと相対することになる。
私はすでに図鑑を手に取り、相手の情報を調べようと画策する。

テッセン 「行くぞ『コイル』!」

テッセンさんは最初にコイルと呼ばれるポケモンを繰り出してきた。

ボンッ!

コイル 「…ピピピ」

何やら奇怪な機械音を放つ。
鳴き声なのだろう…しかし。

ハルカ (もしかして、あれって…)

私は図鑑を確認する。
すると、思いの他私の想像は当たっていた。

ポケモン図鑑 『コイル:じしゃくポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.3m 重さ:6.0Kg タイプ1:でんき タイプ2:はがね』
ポケモン図鑑 『電線にくっついて電気を食べている。停電になったらブレーカーを調べよう。コイルがびっしりくっついているかも 』

ハルカ (ゴキブリみたいな説明ね…ちょっと怖いわ)
ハルカ (にしても、鋼タイプか…)

どうやら、少しは運が向いているのかもしれない。
一応タイプ関係の相性を自分なりに勉強したのだ。
クチートが鋼タイプで、ワカシャモの炎、格闘にはとにかく相性が悪いようだった。
つ・ま・り、ワカシャモで相性がいいということになった。
これはかなり運が良さそうである。

ジャッジ 「それでは、挑戦者のポケモンを!」

ハルカ 「とりあえず、連戦で悪いけど…頼むわ『ワカシャモ』!!」

ワカシャモ 「シャモッ」

ミツル君との戦闘でダメージを負っていたのが気になるが、一応傷薬を与えておいたので多分大丈夫だと思う。
PPに関してもそんなに気にしないでいいはずだ。
とにかく、今は出来ることをやるしかない! 私は先制攻撃でワカシャモに指示を出す。

ハルカ 「ワカシャモ、『ひのこ』!」

まずは手堅く遠距離攻撃で戦う。
最初の位置では遠すぎて近づくのは迂闊すぎる。
電気タイプは『せいでんき』やら『でんじは』やらで相手を麻痺させてしまうからだ。

テッセン 「コイル! 『ソニックブーム』!!」

ハルカ 「例によって知らない技か…『ひのこ』の後すぐにかわして!」

コイル 「ピピピ!」

ワカシャモ 「シャシャシャ…! シャモー!」

『ひのこ』と『ソニックブーム』が激突し、『ひのこ』は払われてしまう。
予想通り、遠距離過ぎて『ひのこ』が威力を発揮しない。
射程距離が足りないのだ。
相手はその分射程が高く、あの位置からでも『ソニックブーム』の威力は変わりないようだった。
ワカシャモはすぐに左右に動き、コイルに的を絞らせない。
いい加減ワカシャモのスピードもかなりの物になってきた、今ではそうそう相手にスピード負けすることはない。

ハルカ 「いいわよ、そのまま徐々に間合いを詰めて! 電気技には気をつけるのよ!」

ワカシャモ 「シャモ!」

さすがに間合いが詰まり始め、相手の攻撃も激しくなってくる。
だがワカシャモはそれを全て回避し、ようやくこちらの射程になる。

テッセン 「コイル、『たいあたり』じゃ!」

ハルカ 「ワカシャモ、『すなかけ』! そして『にどげり』よ!!」
ハルカ 「って、しまった!」

コイル 「ピピピ…!」

ワカシャモ 「シャモ!」

ワカシャモは『すなかけ』をしようとするが、ここは砂がない。
当然、『すなかけ』ができるわけもない。

ドガァッ!

ワカシャモ 「シャモ!」

当然のように『たいあたり』がクリーンヒットする。
が、ワカシャモはそれを両手で受け止めた。

テッセン 「おおっ!?」

ハルカ 「ナイス、ワカシャモ! そのまま真上に投げて『ひのこ』!」

ワカシャモ 「シャモ! シャシャシャ!!」

コイル 「ガガガ…!」

妙な機械音をあげ、コイルは『ひのこ』で大ダメージを負う。
そして、そのまま無防備に落ちてきた所で。

ハルカ 「ワカシャモ、『にどげり』よ!!」

ワカシャモ 「シャーモ!」

ガキィッ、ガコォンッ!!

薄い鉄板をへこますような音が響き、コイルは遠くまで吹っ飛ぶ。
そして、それを見た審判が戦闘不能のコールを出す。

審判 「コイル戦闘不能! ワカシャモの勝ち!」

テッセン 「わっはっは! やるのぉ…さすがに相性が悪かったか、ならば!」

ボンッ!

ビリリダマ 「ビビビ!」

テッセンさんは次のポケモンを繰り出す。
またしても知らないポケモンだった。
見た目はモンスターボールのバッタ物…。
私はすかさず図鑑を参照する。

ポケモン図鑑 『ビリリダマ:ボールポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.5m 重さ:10.4Kg タイプ1:でんき』
ポケモン図鑑 『モンスターボールを作っている会社で、初めて発見された事と姿形が似ている事の関係はまだ謎である 』

ハルカ 「…謎ね」

見た目からして謎である。
ただ、丸いだけのポケモンとは思えないが、やはり『まひ』には注意するべきだろう。

テッセン 「では、行くぞビリリダマ、『いやなおと』じゃ!」


ビリリダマ 「!”#$%&’()=〜|{‘*}}*+<>_?」

ハルカ 「!?!?!?」

突然不快な音が鼓膜を襲う。
私は耳を抑えながらも、ワカシャモをボールに戻した。

ハルカ 「…! つぅ、何て技使うのよ…」

テッセン 「わっはっは! さすがに効いたかな? さぁ何を繰り出す?」

ハルカ 「このぉ…行け『コノハナ』!」

コノハナ 「コノ〜♪」

何と、ここで私はコノハナを繰り出す。
当然、ジム戦初登場だ。
不安はあるが、電気タイプの技を半減させてくれるので、相性はさほど悪くないはず。

テッセン 「むぅ、草タイプか…しからばビリリダマ、『ソニックブーム』じゃ!」

ビリリダマ 「ビビビ!」

ハルカ 「コノハナ、かわすのよ!」

コノハナ 「コノ〜♪」

ビュォンッ!!

テッセン 「むぅ、かわされたか! ならばビリリダマ『いやなおと』じゃ!」

ビリリダマ 「”!#$%&&#%’’)(}{‘」

ハルカ 「だぁ〜〜〜! またこれなの!?」

コノハナ 「コノ〜♪」

しかしながら、コノハナはあまり効いていないようにも見えた。
私はとりあえず指示を出す。

ハルカ 「コノハナ、『しぜんのちから』!!」

コノハナ 「コノ〜!」

コノハナは何やら手をかざし、両手から星型の変な技を繰り出す。
かなりのスピードと量で、ビリリダマはなす術なく直撃を食らう。

ビリリダマ 「ビ、ビビビ…!」

テッセン 「『スピードスター』か! まさか回避不能の技が出るとはな…!」
テッセン 「しかし、防御は下がっているはずじゃ! ビリリダマ、『たいあたり』じゃ!!」

ビリリダマ 「ビリ!」

ビリリダマは一気に高速で突っ込んでくる。
かなりのスピードで、とてもかわせない。
私はコノハナに指示する。

ハルカ 「コノハナ、『がまん』よ!!」

テッセン 「む!?」

コノハナ 「……!」

コノハナは両手でガードを固め、ビリリダマの『たいあたり』を正面から受け止める。
思いの他ダメージは少ないようで、このままだと大したダメージはない、かも…。

ハルカ (あの娘、いつも同じ表情だからわかりづらいのよねぇ…)

正直効いているのかいないのかもわからない…。
私はコノハナを信じて戦うしかなかった。

テッセン 「じゃが、『がまん』とは早まったな、ビリリダマ『じゅうでん』じゃ!!」

ビリリダマ 「ビビビッ!!」

ハルカ 「じゅ、『じゅうでん』?」

いかにも電気技。
しかしながら、このままでは先に『がまん』が発動してしまう。
私は少々マズイと思いながらも、このまま成り行きを見守る。

コノハナ 「コノーー!」

ドーンッ!

ビリリダマ 「ビビッ!!」

コノハナの『がまん』が炸裂、近距離だったため、ビリリダマは派手に吹っ飛んだ。

ビリリダマ 「……ビ、ビ」

ジャッジ 「ビリリダマ戦闘不能! よってコノハナの勝ち!」

ハルカ 「やったぁ、二連勝!!」

思いの他善戦。
これで一気に有利となった。
何だか、怖い位…。

テッセン 「わっはっは! まさかここまでやるとは思っておらんかった…しかし、ワシの本領発揮はこいつからじゃ!!」
テッセン 「『レアコイル』、任せたぞ!!」

レアコイル 「PPP!」

例によって機械音をあげて一匹のポケモンが姿を現す。
見た感じは…コイル×3?
とりあえず図鑑を参照する。

ポケモン図鑑 『レアコイル:じしゃくポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.0m 重さ:60.0Kg タイプ1:でんき タイプ2:はがね』
ポケモン図鑑 『強い磁力で機械を壊してしまうので、大きな街ではサイレンを鳴らして、レアコイルの大量発生を知らせる 』

レアコイル…見た目の姿は、コイルが3匹連結して三角形を描いた姿をしている。
しかしながら、その一匹一匹のコイルは、進化前とサイズが違う。
確実に大きい、重量も、3倍ではなく、10倍だ…。
生半可なレベルではなさそうね。
私はこのままコノハナで戦うことにした。

ハルカ 「このまま頼むわコノハナ!」

コノハナ 「コノ〜」

テッセン 「ふっふっふ! このワシのレアコイルは一味違うぞ! レアコイル『ちょうおんぱ』!!」

レアコイル 「PPPPP!!」

レアコイルは突然震え始め、周りに妙な空間が生まれる。
それに巻き込まれたコノハナはその場で周り始める。
いや、目を回してる!?

ハルカ 「な、何…? まさか『こんらん』!?」

実際に混乱したことはあまりないので、よくわからなかった。
何せ、この娘が混乱するのは実は初めて。
しかし、混乱の怖さは十分わかっている。
このまま戦うのはかなり危険だ。
だが、入れ替えれば同じように混乱させられる可能性もある。
ここは、コノハナを信じよう。
私は大声で指示を出す。

ハルカ 「コノハナ、『しぜんのちから』よ!!」

コノハナ 「コノ〜…」

しかしコノハナは指示を聞いていない。
いや、聞こえていない。
まずいことになってきた。

テッセン 「わっはっは、今じゃレアコイル! 『でんきショック』!!」

レアコイル 「PPP!!」

バチバチッ! バチッ!

レアコイルが放電し始める。
そして、コノハナに電気技が直撃する。

コノハナ 「コノ〜…」

そして、コノハナはそのままダウンしてしまう。
元々ダメージを受けていただけに、耐えられなかったか…。

ジャッジ 「コノハナ戦闘不能! よってレアコイルの勝ち!!」

テッセン 「わっはっは!! 戦いはこれからじゃよ! さぁ次のポケモンを出すがいい!!」

ハルカ 「よ〜し、頼むわよ『ワカシャモ』!!」

ここは自信のあるワカシャモで応戦する。
最後の一匹を決めかねていたということもある。
出来るなら、このまま押し切れ!

ワカシャモ 「シャモッ!」

ハルカ 「さぁ、行くわよ! ワカシャモ『ひのこ』!」

ワカシャモ 「シャッシャッ!」

ワカシャモは口から『ひのこ』を吐き出す。

テッセン 「かわせレアコイル! そして『ちょうおんぱ』じゃ!!」

ハルカ 「速い…!? ワカシャモ、跳び上がれ!!」

ワカシャモ 「シャモッ!」

ワカシャモはすかさずジャンプして『ちょうおんぱ』をかわす。
だが、テッセンさんはそれを待ち構えていたように。

テッセン 「よし、レアコイル! 『でんじは』じゃ!!」

ハルカ (しまった、空中じゃかわせない…! でも)
ハルカ 「ワカシャモ、蹴り抜け!! 『にどげり』よ!!」

レアコイル 「PPP!!」

バチチィッ!

レアコイルからでんじは』が放出され、ワカシャモを痺れさせる。
だが、ワカシャモはそのまま落下の慣性でレアコイルを踏み抜く。

ガキィンッ!!

レアコイル 「PGPG!!」

レアコイルは吹っ飛ぶ、だがそのせいで二撃目が外れてしまう。
ワカシャモは着地するが麻痺が効いているようだった。

ハルカ 「くっ…相手のダメージは?」

レアコイル 「PPP!!」

多少は効いているようだが、まだまだ体力は残っているようだ。
私は何とかワカシャモを動かす。

ハルカ 「ワカシャモ、その場で『ひのこ』よ!!」

テッセン 「レアコイル、『ソニックブーム』じゃ!!」

ワカシャモ 「シャモ!!」

レアコイル 「PPP!!」

ドゴォンッ!!

距離が近いこともあったためか、互いの技が激突して相殺される。
『ひのこ』の爆炎で視界が遮られる。

テッセン 「レアコイル、『たいあたり』じゃ!!」

レアコイル 「PPGG!!」

ワカシャモ 「シャモ!!」

ドガァァッ!!

テッセン 「むぅ!?」

ハルカ 「おおっ!?」

何と、ワカシャモはレアコイルまでも受け止める。
麻痺しているからかわせないとはいえ、正面からリフトアップするなんて…。

ハルカ (さすがに60kgを投げるのは無理でしょうし、ここは強気に!)
ハルカ 「ワカシャモ、そのまま零距離で『ひのこ』よ!!」

ワカシャモ 「シャモシャモシャモ!!!」

レアコイル 「GGGGGG!!!」

レアコイルは放電しながら『ひのこ』を受ける。
だが、思いの他ダメージが少ないようだ。
あのレアコイルは相当耐久力があるらしい…このままじゃダメか?

テッセン 「レアコイル、そのまま『でんげきは』じゃ!!」

ハルカ 「!?」

レアコイル 「PGPGPGPGPGAAA!!!」

ピカッ! バシィィィンッ!!

レアコイルはその場で明るく発光し、眩しいばかりの電撃をワカシャモに零距離で浴びせた。
例によって知らない技を宣告される。
名前だけ聞くと、間違いなく電気技。
わけのわからない機械音をあげ、レアコイルはワカシャモを吹き飛ばす。
ワカシャモはそのまま起き上がれなかった。

ジャッジ 「ワカシャモ戦闘不能! レアコイルの勝ち!!」

テッセン 「わっはっは! これでそちらの残りも一体! 後は最後の一体で勝負じゃな!!」

ハルカ 「……」

私は最後のモンスターボールを握り締める。
相手はレアコイル、通常なら生半可な攻撃は通用しない。
だから、私はこの娘を繰り出す。

ハルカ 「頼むわ、『クチート』!!」

クチート 「クチ〜♪」

クチートはぱたぱたとその場で動き回り、『せっかち』振りを発揮する。
問題は、本当にこの娘で倒しきれるか…相手は相当打たれ強い。
とりあえず、私はクチートに指示を出す。

ハルカ 「クチート、『あまいかおり』よ!!」

クチート 「クチ〜♪」

クチートは口(角の方)から文字通り『あまいかおり』を吐く。
それがフィールド上に広がり、レアコイルはややフラフラとしていた。

テッセン 「む…? レアコイルでもやはり反応するのか?」

どうやらテッセンさんでもわからないらしい。
これは意外に効果があるのかも。
私は続けて指示を出す。

ハルカ 「よし、クチートとりあえずは接近戦よ! 『はさむ』!!」

クチート 「クチ〜!」

クチートはテテテテテッと、軽快な足音をたてて一気に間合いを詰める。
『あまいかおり』のせいか、レアコイルは反応が遅れたようだった。

ガキィッ!

クチート 「クチ〜…」

しかしながら、さすがに硬いようだ。
クチートも少々うろたえていた。
しかし、これはある意味チャンスだった。
私は、クチートに手でサインを送る。
クチートは『はさむ』をやっていてもこちらを見てくれているので、ある意味愉快だ。
そして、サインを受けてクチートはその場で泣き出す。

クチート 「クチ〜…クチ〜…!」

レアコイル 「PPP???」

『うそなき』はレアコイル相手でもちゃんと効いているようで、隙を見せる。
私はまさにしてやったりと、指示を出す。

ハルカ 「今よ、『かみつく』!!」

クチート 「クチッ!!」

テッセン 「あっ!」

ガツンッ!!

しかしながら、レアコイルにはあまり効いていないようだった。
色々やってみるが、効果が薄い。
やはり相手が悪いのか?
しかしながら、私はまだJOKERを切ってない。
それを切るのはこれからよ。

テッセン 「そろそろこちらの番じゃ! レアコイル『でんじは』!!」

ハルカ 「させないわ! クチート『ちょうはつ』よ!!」

クチート 「クチクチッ!!」

クチートはレアコイルに対して、手をクイクイとポーズする。
まるでブルースリーのようだ…。
うちのクチートは女の子だけど。

レアコイル 「WWYYYZZZ!!!」

レアコイルは意味不明な機械音をあげ、その場で回転し始める。
『たいあたり』ね、これで後はJOKERを切るだけ!

テッセン 「いかん、レアコイル止まるんじゃ!!」

しかし、もう遅い。

ハルカ 「クチート、『かえんほうしゃ』よ!!」

テッセン 「何!?」

クチート 「ク〜チーーー!!!」

ゴオオオオオオオオオオオッ!!!

クチートは角の方ではなく、本当の口から炎を吐き出す。
さて、ここで疑問に思った方、説明しましょう!
それは、今朝のことまで遡ります。





………………。





ハルカ 「ゲームコーナーか…たまには息抜きがてら、遊んでみましょうかね」



………。
……。
…。



ハルカ 「お、小当たり…」

そう、私はスロットマシンにハマっていた。
何でもここではコインを景品に換えられるらしい。
そして、私はその景品に惹かれてスロットにハマってしまったわけだ。

ハルカ 「来たーリーチ!!」



………。
……。
…。



店員 「ありがとうございました〜またのお越しを〜♪」

ハルカ 「ふ〜、がっぽりがっぽり!」

私は見事にスロットを当てまくり、景品をGETしてきた。
と言っても、レートが意外に高く、手に入ったのはひとつの『わざマシン』。
コインは余っていたが、ちゃんと保存してくれるとのことで、私は残りを預けることにした。
そして、改めて35番『かえんほうしゃ』を覚えるポケモンを検索する。

ハルカ 「覚えられるのは、マッスグマ、ワカシャモ、クチートかぁ…」
ハルカ 「ワカシャモは当然にしても、残り二体はねぇ…」

意外なことこの上ない。
つくづくポケモンって不思議だと思う。
だけど、これはチャンスだと思った。
折角強力な技なんだから、誰かに覚えさせたい。
ワカシャモは炎タイプなのでこれから自分の力で炎技は覚える…はず。
マッスグマは今の現状で技に不満は少ない。
と言うことは、やはり…。





………………。





レアコイル 「QOOOON…」

レアコイルはまさに黒焦げとなり、その場でダウンする。
そう、クチートに私は『かえんほうしゃ』を覚えさせたのだ。
まさか、ここで役に立つとは正直思ってなかっただけに、嬉しさは倍増する。

ジャッジ 「レアコイル戦闘不能!! よって勝者はミシロタウンのハルカ!!」

ハルカ 「やっっったぁぁぁぁぁぁっ!!!」

私は溜めを入れてクチートを抱え上げる。
クチートは鋼タイプでも軽いので抱えやすい。

クチート 「クチ〜♪」

テッセン 「わっはっはっは!! いやぁ負けた負けた!!」
テッセン 「やるのぉ、ハルカちゃん! まさかクチートが『かえんほうしゃ』とは予想できなかった」
テッセン 「最初に小技を連発したのは、こう言う伏線を狙ってのことか…うむ、いい勝負じゃった!!」
テッセン 「さぁ、これがダイナモバッジじゃ受け取るがいい!!」

そう言って、私はテッセンさんからバッジを受け取る。
これで、3枚目!
私は、ここで父さんの言葉を思い出す。

ハルカ (後一枚で、父さんと戦うことが出来る)

恐らく最初の目標地点。
父さんとの戦い。
そう言えば、聞くことが出来なかったけど、カガミは父さんと戦ったのだろうか?
あれだけの実力を持っているのなら、すでに父さんを倒していても不思議じゃないのかもしれない。
ともあれ、これでどうにか3枚目、またカガミに近づいたと言える。

ハルカ 「……」



………。
……。
…。



ハルカ 「ふぅ〜」

私はその日はポケモンセンターで休むことにした。
今回は半ば運で勝てた試合と言ってよかった。
あのレアコイルは本当に強かった…『かえんほうしゃ』がなかったらとても勝ち目がなかったと言っていい。

ハルカ 「次は、どこに行こうかな?」

私はベッドに横になりながら考える。
聞いた話だと、次のジムはフエンかヒワマキになるそうだ。
ヒマワキに関しては海を越えなければ行けないため、少々時間がかかる。
どっちにしても、全部周ることになるのだから、戻る手間も考え、私はフエンに行くことにした。

ハルカ 「多分、カガミもそこにいるような気がするし」

もしかしたら、会えるかもしれない。
会ってどうしよう?とは思うが、期待してみたりした。
私は時間を確認し、ちょっと早いが眠ることにする。

ハルカ (とりあえず、明日行動を考えよう…今は休まないとね〜)



…To be continued




Menu
BackNext
サファイアにBackサファイアにNext




inserted by FC2 system