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POCKET MONSTER RUBY
第16話 『すれ違う姉妹』
ハルカ 「…ふぅ」
とりあえず、朝早く私はハジツゲに向かって歩いていた。
途中トレーナーと戦うこともあった。
エリートトレーナーがふたりで、さすがに今まで戦った野良トレーナーとは比較にならない強さだった。
戦いの後、番号交換をし、再戦を誓った。
そして、私はその先の113番道路を歩いていた。
ハルカ 「地球が持たん時が来ているのだ!!」
…などと言うことはない。
少なくとも私はユウキ君(?)のように急いでもいなければ、それほどポケモン(?)に絶望してもいないからだ!
…と言うギャグは置いておいて。
この辺りは、空で灰が太陽の日差しを遮っており、比較的寒く感じる。
いや、もちろん私の服装が問題なのであって、正直10月も半ばに入ろうかと言う時期に半袖短パンはハジケ過ぎなようね…。
ハルカ 「…にしても、ハジツゲタウンって…何があるんだろう?」
少なくともジムがあるわけではない。
特に目立った情報もなく、悪く言えば地味な街だろう…。
ハルカ 「問題は、フエンにはどうやって行こうかな?」
バッジが4つ集まらないことには、父さんとは戦えない。
つまり今カナズミ戻る必要はないということだ。
しかしながら、フエンから帰りに使う分にはいいのかもしれない…。
というわけで、『りゅうせいのたき』からの道も調べておく方がいいかもしれない。
色んなポケモンに出会うことも考えられるし、ポケモンの成長に繋がるかもしれないし。
ハルカ 「よしっ、じゃあ目的が決まった所で行きましょうか!」
気合を入れ、灰の中を進む。
これが死の灰だったら今頃死んでるわね…さすがに1兆倍の致死量には堪えられる自信が無いわ。
と言うギャグは置いておいて、私はトレーナーを蹴散らしながら進んでいく。
すると、気がついたら私の体はかなり寒くなっていることに気付く。
いや、寒いと言うよりも冷たい…。
ザパァン!
忍者ごっこの少年 「砂の中からドロロロンッ!! 勝負でござる!」
ハルカ 「……」
私はため息をつく気力もなくなりそうだった。
しかし、挑まれれば受けるのが私のポリシー。
戦いは避けられないわね。
少年 「いざ! 任せたでござる、『ドガース』!」
ボンッ!
ドガース 「ドガァ〜ス」
ドガースか…『ほのおのぬけみち』ではいくらでも出てきたわね。
あの時は図鑑確認する余裕無かったけど、今なら見れるか…。
私は図鑑を開く。
ポケモン図鑑 『ドガース:どくガスポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:0.6m 重さ:1.0Kg タイプ1:どく』
ポケモン図鑑 『刺激を与えるとガスの毒素が強まり、体のあちこちから勢いよく噴出す。真ん丸に膨らんだ後大爆発する』
ハルカ 「…うわ、最悪」
爆発すると言うことは、物理的な衝撃や炎は危険ね…有毒ガスと化学反応しても嫌だし。
ということは、電気も危険…しかしながら毒にかかるのはできれば避けたい。
ならば使うポケモンは決定。
ハルカ 「『クチート』、任せたわよ!」
ボンッ!
クチート 「クチクチッ!」
クチートは鋼タイプ。
ノーマルタイプの技は効果今ひとつな上、毒タイプの技は全く通用しない。
技も多彩で、何かと役に立つことの多いポケモンだ。
少年 「先手必勝でござる! ドガース、『たいあたり』!」
少年はそう言って、いきなりクチートに『たいあたり』をしてくる。
ハルカ 「クチート、『かみつく』!!」
クチート 「クチッ!」
クチートは後ろを向き、大きな角でドガースに噛み付いた。
ガブッ!
ドガース 「!?」
ハルカ 「よし、そのまま投げ捨てて!!」
クチート 「クチッ!」
ヒュンッ!
クチートはドガースを咥えたまま、上空高くに放り投げた。
少年 「ドガース、立て直せ!!」
ドガース 「ガスッ」
ドガースは空高い位置で停止する。
私はそれを見計らってクチートに指示を出す。
ハルカ 「この位置なら! クチート『かえんほうしゃ』!!」
クチート 「クチーーーッ!!」
ゴオオオオオオオオッ!!
ドガース 「!!」
ズンッ!!
ドガースは黒焦げになりながら、灰と共に地面へと墜落した。
少年 「ド、ドガース!?」
ドガースは間違いなく戦闘不能に見える。
私は勝ちを確信してクチートをボールに収めた。
………。
……。
…。
ハルカ 「ふぅ、まだ灰が積もってる。って言うか止みそうにないなぁ…」
私は近くに小屋を見つけ、そこに一旦逃げ込むことにした。
………。
ハルカ 「ふぅ…暖かいわねここ。ごめんくださーい! ちょっといいですか〜?」
少女 「は〜い、何ですか〜?」
玄関で私が挨拶すると、奥から少女がやってくる。
見た所小学生と言った所だ。
ハルカ 「ちょっと、休ませてもらえないかな? 外は灰が酷くって…」
少女 「この辺りはいつもそうですから、傘を持った方がいいですよ〜」
ハルカ 「う〜ん、持って無くって…」
少女 「まぁいいです、とりあえず上がってください! 工房の方で暖まってください!」
そう言って、少女はトテトテと奥に駆けて行った。
私は靴のまま中を歩いている少女に習ってそのまま歩いて行く。
………。
ハルカ 「うわ…これは暑いわ」
見ると、何とここはガラス工房だった。
そう言えば聞いたことがある、確か灰を使ってガラスを作る技術があるって…と言っても細かいことは知らないのでちょっとわかりかねるけど。
少女 「♪〜♪♪〜♪」
少女は何やら楽しそうに笛を吹いていた。
いやもとい、ビードロという奴だ。
見るのは初めてだけど、成る程。不思議な音がするのね。
おじさん 「おお、いらっしゃい! 傘も差さないでその格好は寒かっただろう?」
ハルカ 「あ、どうも…お邪魔してます」
私は頭を下げてそう挨拶する。
気のいいおじさんで、温かく迎えてくれた。
おじさん 「旅のトレーナーかい? そんな格好で来た所を見ると、あまりこの辺は詳しくないのかな?」
ハルカ 「えと、はい…最近ホウエン地方に来たばかりで、全然知らないことだらけなんです」
少女 「そうなんだ! じゃあ、お姉さんは灰を集めることも知らないんだね」
少女はそう言うと、何やら大き目の袋を私に渡してくれた。
しっかりとした作りの袋で、かなり丈夫だ。
しかも中は灰の香りが凄い。
少女 「それに灰を沢山入れて持って来たら、ガラスの道具を作ってあげるよ♪」
ハルカ 「ガラスの道具…?」
おじさん 「ガラスの机や椅子を作ることもできるよ、他にはトレーナーだったら…ビードロを作ってあげるよ」
ハルカ 「ビードロですか…何かの役に立つのかなぁ?」
少女 「『あおいビードロ』なら、眠っているポケモンを起こすことができるよ、『きいろいビードロ』なら混乱を治すの」
少女 「『あかいビードロ』なら、メロメロ状態を治せるし、『しろいビードロ』は野生のポケモンを引き寄せるのよ」
おじさん 「そして、『くろいビードロ』なら野生のポケモンを遠ざけるんだ」
ハルカ 「おお、使い道多し! でも、どうして色で効果が変わるの?」
もっともな疑問だろう、本当は聞いてはいけないことかもしれないが。
おじさん 「ん、色に意味はないよ…単に効果がわかりやすいようにね」
おじさん 「別に好きな色を言ってくれれば、効果を付加してあげるよ?」
ハルカ 「あ、いえ…そのままでいいです、確かにわかりやすいですし」
私はそう言って、『はいぶくろ』を貰う。
こうして、私はポケモンの修行も兼ねて灰を集めることにする。
単純に外で袋を開けていれば勝手に入ってくるので、楽な物だ。
………。
……。
…。
ハルカ 「よし、キャモメ『みずでっぽう』!!」
キャモメ 「キャモ〜!」
バシャァンッ!
サンド 「サ〜ン!」
………。
ハルカ 「ワカシャモ、『にどげり』!!」
ワカシャモ 「シャモ!」
ドガガッ!
パッチール 「パッチ〜…」
………。
ハルカ 「ふぅ、結構倒したわね…」
すでに皆のレベルも相当上がってきたと思う。
中でもキャモメの成長がかなりよく、ひょっとしたら進化をするのかもしれない。
他にも全体的に色んな成長を見せている仲間たち。
この調子なら次のジム戦も期待は出来そうだ。
ハルカ 「でも、次のジム戦って…どんなジムなのかな?」
ふと思う。
今度は何体で戦うんだろう…?
そんなことを思っていると、ふと私はUFO(未確認飛行物体を発見する!)
ハルカ 「あれは…?」
ポケモン図鑑 『エアームド:よろいどりポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.7m 重さ:50.5Kg タイプ1:はがね タイプ2:ひこう』
ポケモン図鑑 『全身が硬い鎧に覆われている。時速300キロのスピードで空を飛び、刀の切れ味を持つ羽根で切り裂く』
ハルカ 「あれ、鳥なの!?」
ぱっと見ただけでは、一瞬機械かとも思った。
だけど、その翼はしっかりと羽ばたいており、生物だと言うことを認識させる。
しかしながら、そのスピードに驚かせる。
50キロという鋼タイプならではの重さに加え、あれだけの体長だ。
キャモメよりも速いかもしれない…こう言う場合、単純に相性のいいポケモンで戦うのが妥当!
ハルカ 「行くわよ、『ラクライ』!!」
ボンッ!
ラクライ 「ライッ!!」
このエアームドは間違いなく私を狙っている、下手に背を向けたらそれこそ危険ね。
鋼と飛行は私も大体、相性がわかってきている。
鋼に有効なのは、炎、格闘、地面…飛行なら、電気、岩。
つまり、炎タイプのワカシャモ、電気タイプのラクライ、『かえんほうしゃ』を使えるクチート、『でんげきは』を覚えたキャモメ…と対策はほぼ万全!
どこかの方向音痴とは違うわ!!
ただし、この中でもマッスグマは相性がよろしくない…物理攻撃しかないマッスグマではチト不利なのだ。
こう考えると、マッスグマにも色々考えて覚えさせた方がいいのかもしれない。
コノハナに関しては草なのでここは出ない方がいい。
エアームド 「ムドーーー!!」
ギュンッ!
ハルカ 「くっ、速いだけで…!」
ハルカ 「ラクライ、『スパーク』よ!!」
ラクライ 「ライ……」
ハルカ 「って…降りて来なさいよ、このバカーーーー!!」
エアームド 「……」
エアームドはあざ笑うように空中で羽ばたく。
その際、灰がやたらとこっちに舞い上がってくる。
コノヤロウ…。
ハルカ 「ラクライ、『でんじは』!!」
ラクライ 「ライ!!」
バチチィッ!!
エアームド 「ムドー!」
ラクライは『でんじは』を放つが、見当違いの方向に『でんじは』を撃つ。
当然エアームドには当たらない。
ハルカ 「ちょ、何で!?」
ラクライ 「ライ〜…」
よく見ると、ラクライは目を擦っていた。
まさか『すなかけ』!?…いや灰かけ!?
どちらにしてもラクライは目をやられたようだ。
ううむ、『スパーク』は体当たり技だから、空を飛ばれると届かない…。
仕方ないので、ここはあえてこちらも鳥で対抗する。
ハルカ 「『キャモメ』、頼んだわよ!!」
ボンッ!
キャモメ 「キャモ〜」
呑気な鳴き声でラクライと交代するキャモメ。
こちらも飛行だけに、攻撃が届かないことは無い。
まずは牽制で…。
ハルカ 「キャモメ、『みずでっぽう』よ!」
キャモメ 「キャモッ!」
エアームド 「ムドー!!」
ヒュンッ!!
ハルカ 「く…また速くなった!?」
先ほどよりも数段速くなっている。
正直、あそこまで速いとは思わなかった。
エアームド 「ムドーー!!」
キャモメ 「キャモ!?」
ズドドドドッ!!
エアームドの口から星が無数に飛んでくる。
あれは、確か『スピードスター』とか言う回避不能の技…!
キャモメ 「キャモ〜…!」
キャモメは空中で落ちそうになるが、何とか持ち直す。
ダメージはありありだ…キャモメは打たれ強い方ではない。
長引くと不利…だけどあのスピードを撃ち落すには…。
ハルカ (あの技しかない…でもぶっつけ本番でいけるのかな?)
迷っている暇は無い。
相手の攻撃は回避不能。
こちらの攻撃はほとんど当たらない…だったら。
エアームド 「ムドー!!」
ヒュヒュヒュンッ!!
エアームドはなおも『スピードスター』を連発する。
キャモメはなおも耐える、もうこれ以上は無理だ。
私は決断する…が、その前に何かキャモメに予兆が訪れる。
カァァァァァァッ!!
ハルカ 「…え!?」
エアームド 「?」
キャモメ 「……キャモーーー!!」
キャモメの体を光が包み込み、眩い光と共に体が再構成されていく。
それは、全く別の生き物に見えた…。
? 「ペリーーー!!」
ポケモン図鑑 『ペリッパー:みずどりポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.2m 重さ:28.0Kg タイプ1:みず タイプ2:ひこう』
ポケモン図鑑 『小さいポケモンや卵を嘴(くちばし)に入れて運ぶ、空の運び屋だ。海辺の険しい崖に巣を作る』
ハルカ 「え、えと、とりあえずペリッパー、『でんげきは』よ!!」
突然進化したペリッパーに向かって、私はぶっつけ本番でそう指示する。
ペリッパー 「ペリ〜!」
ペリッパーは大きな顎を開き、そこから高速の電撃を放つ。
まさに電光…あれじゃあかわし様は無いわね。
バシィンッ!!!
まさに閃光。
光ったかと思うと、エアームドは地に落ちた。
さすがに驚いた…。
私は改めてペリッパーを見る。
ペリッパー 「ペリ〜?」
ハルカ 「…か、鴎(かもめ)がペリカンになった」
さすがに驚く、ま、まぁ進化なんだからいいのかな?
猿が人間になったくらいだし…まぁねぇ。
私はペリッパーをボールに戻し、一度工房に戻った。
さすがに灰もかなり溜まったし、これならビードロを作ってもらえるだろう。
………。
おじさん 「おお、灰が集まったのかい? どれどれ…」
おじさん 「うん、これならビードロを作れるよ! で、どれを作る?」
ハルカ 「えっと…『くろいビードロ』を」
おじさん 「よ〜し、じゃあ今日はここで泊まっていくといい。明日には出来上がっているから」
ハルカ 「あ、はい…今夜はお世話になります」
少女 「じゃあ、今夜は三人分ですね!」
ハルカ 「チッチッチ♪ ポケモンの分も6匹分よ! 今日は私が料理を披露するから楽しみにしててね!」
少女 「おお、お姉さん強気ですの! 楽しみですの!」
………。
……。
…。
こうして、私はおじさんと少女に特性スタミナ料理をプレゼントし、次の日私はビードロを受け取って外に出た。
………。
ハルカ 「『はいぶくろ』は…無駄にはならないわね」
私は未だ降ってくる灰を見てそう思う。
そして私は灰の中を駆け抜けた。
−ここはハジツゲタウン。小さな畑がある農村−
…To be continued
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