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POCKET MONSTER RUBY



第63話 『トーナメント開幕! ミカゲVSネロ!!』




『4月2日 時刻9:00 ポケモンリーグ・スタジアム』


コトウ 「さぁ、ついにこの日がやってまいりました!!」
コトウ 「ホウエン地方で、最も強いトレーナーは誰か!?」
コトウ 「その答えを出すために、今年も始まります!!
コトウ 「ポケモンリーグ・サイユウ大会!! ついに開催です!!」
コトウ 「お馴染みの実況は、私! コトウがお送りいたします!!」

ワアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァッ!!!!!

コトウさんの実況と共に、大歓声が巻き起こる。
その歓声は、まさにこれから起こるであろう激しいバトルを期待する歓声に思えた。

コトウ 「まだ4月と言えど、すでに暑い日差しが降り注いでおります、ここサイユウスタジアム!」
コトウ 「これより、選手入場です!!」

ワアアアアアアアアアアアァァァァァァッ!!!!



………。



ハルカ 「いよっしゃぁ! まずは一番乗り!!」

ノリカ 「きゃーーーー!! ハルカ様ーーー!! 頑張ってーーー!!」

ハルカ信者一同 「L! O! V! E! ハルカ様ーーーー!!」

コトウ 「さぁ、マニアなファンの声援を受け! 最初に入って来たのは、実力テスト『最下位』! のハルカ選手!!」
コトウ 「例え成績は『最下位』! と言えど、その表情には迷いはありません!」
コトウ 「果たして、無事に予選突破となるか!? 期待も高まります!!」

やたら最下位を強調するのが非常に気になるけれど、中々いい実況をしてくれる。
気分は悪くない、マニアファンの中にノリカが混じっているのが気になるけれど、今は気にしなかった。

ハルカ (ここが…追い求めていた場所)

私は一番乗りで、まだ誰も踏み入っていない会場の土を踏みしめ、思う。
キヨミさんに打ちのめされ、期待され、ユウキと何度も戦い、託された。
今まで戦ってきた多くのバトルは、必ず私の中で生きている。
負けたことも含め、私は思う。

ハルカ (ただ、思いっきりやろう! できることをするだけ)

私の背から、様々な『気』を感じる。
そして、次第にそれらは姿を現し始めた。



………。



コトウ 「さぁ、どんどん入場を続ける選手たち! 続いて登場するのは、ミツル選手!!」
コトウ 「テストでの順位は64人中、55位!! 低すぎない順位だが、才能溢れるバトルで勝利を掴むぞ!!」

ミツル 「………」

僕は、ゆっくりと歩きながら、前を見る。
ここが、僕の目指した場所…ポケモンリーグ。
最初は、ここまで来る事に何の不安もなかった。
でも、ハルカさんに打ちのめされ、僕は変わった。
ひとりじゃ何も出来ない、ポケモンもそう。
だから、僕はシダケタウンを出て、旅に出た。
ラルトスと力を合わせて、ここまで来た。
成績は、お世辞に良くはないけれど、僕は全力を出して戦う!



………。



コトウ 「さぁ、すでに半分の選手が入場しましたが、まだまだ選手は残っています!」
コトウ 「続いて登場するのは、31位のメフィーさん!」
コトウ 「大人しいスマイルが魅力な、凄腕トレーナーだ!!」

メフィー 「どうもどうも〜♪」

私はゆっくりと、歩む。
成り行きでここまで来た、私たち。
最初は、適当な気分で目指していたけれど、ひょんなことからフィーナちゃんに再会した。
そして、ハルカさんたちと出会って、いつの間にかここまで来た。
元々、そこまで勝つことに執着はないけれど、出るからには勝ちたい。
私なんかが、どこまでやれるのかわからないけど、頑張ろう。


コトウ 「さぁ次の選手は、30位のフィーナ選手!!」
コトウ 「さっきのメフィー選手と同様、オーレ地方からの参戦だ!!」
コトウ 「普段大人しい風貌から、バトルでは一変!!」
コトウ 「荒々しいバトルで明日を掴めるか!?」

フィーナ 「うっしゃああ!! やってやるぜーーー!!」

俺は両手を広げ、天高く吼える。
暑い太陽の日差しが今は気持ちいい。
オーレに比べりゃ、まだ涼しいけどな。
今回のバトル、実力試しでここまで来た。
オーレに比べりゃ、眠くなるようなバトルも、たくさん経験した。
ラファさんに会ったのは、驚いたけど、負けるつもりでバトルはしねぇ!
俺は絶対に勝ってみせるぜ!!



………。



コトウ 「さぁ、強豪ひしめく選手入場の中、気がつけばテスト順位8位!!」
コトウ 「引きちぎられた拘束衣を身に着けての入場は、悪魔の入場か!?」
コトウ 「ポケモンをポケモンと思わぬその非常さが、目立つダークホース!!」
コトウ 「ネロ選手!!」

ネロ 「……クク」

俺は、周りを見渡す。
どいつもこいつも、怯えた目をしてやがる…。
ククク…笑いが止まらねぇ。
ここにいる観客全ての顔が、恐怖に引きつる面が拝めるとあっちゃあな。


コトウ 「さぁ、続いて順位7位! 強力なパートナーと共にここまでやってきたジョウトのトレーナー!」
コトウ 「ヒビキ選手!!」
コトウ 「クールなバトルをポケモンリーグでも見せられるか!?」

ヒビキ 「………」

ようやく、この日が来た。
俺は、ジョウトのリーグで敗北を味わってから、己とポケモンを磨き続けた。
いつか、リベンジを果たすため、俺は今なお戦い続ける。
俺が求めるのは、ただバトルのみ!
強き相手と戦うのが、俺の望みだ!


コトウ 「さぁ、次は第6位! 何と、一時期姿をくらませていたあの伝説的トレーナーのひとりが入場だーーー!!」
コトウ 「かつて、10年前から7年前までの間、恒例かのような姉妹の決勝バトルを展開したひとり!」
コトウ 「キヨハ選手ーーーーー!!」

キヨハ 「………」

ついに、この日が来た…か。
特に興味があったわけじゃないんだけど、キヨミが7年の沈黙を破ってまで出ようとしたこの大会。
そして、その起爆剤となったハルカちゃん。
興味がないと言えば、嘘になるわね。
まぁ、借りを返さなければならない相手もいるし、せいぜい楽しませてもらうとしましょうか。


コトウ 「さぁ、ここからはTOP5! まずは5位のラファ選手!!」
コトウ 「マサラタウン出身ながら、異国人の血を持つ、努力家!!」
コトウ 「数え切れぬ戦いを繰り返し、鍛え続けたポケモンをひっさげ、ついに登場です!!」

ラファ 「……」

ようやく、ここまで来ることが出来た。
7年前、キヨミに敗れて、私はオーレ、ナナシマと色んな所を渡り歩いた。
いつものバトルを経験し、私はキヨミに勝てる力を得ただろうか?
その答えを、この大会で出してみせるわ!


コトウ 「さぁ、次は第4位!! 生きながらにして、伝説となったジョウト最強のトレーナー!!」
コトウ 「デビューしてから3年、無敗のまま人々の前から姿を消した、キヨミ選手!!」
コトウ 「今でも、姉のキヨハと演じたバトルは、歴史に刻まれております!」
コトウ 「その伝説的な強さは、今でも健在か!? 期待は高まるばかりです!!」

キヨミ 「……」

もう二度と、ポケモンリーグの門を潜ることはないと思っていた。
初めてチャンピオンになった日、私は僅か6歳のミカゲに負けた。
あの時は、まだ気づいていなかった。
上に立つ人間の暗い現状が。
トレーナーになって5年。
私は上に立って戦うことに嫌気が差し、ついに姿をくらませた。
二度と、バトルをしないと誓って…。
でも…。

キヨミ (私は、ここに立っている)

かつて、センリさんの言葉を受けて、私はトレーナーを辞めることを思い留まった。
上に立つ必要はどこにもない。
だけど、トレーナーとはポケモンと共に強くなるもの。
決して、独りよがりでは生きていけない。
だけど、それがまかり通るのがポケモンリーグ。
ミカゲの様な、勝つことだけを考えたバトルが繰り広げられる場所。
私は、それを今日払拭する。
ハルカちゃんと出会って、私は知らされた。
ポケモンを想う事の意味を。
だから、私は自分が強くなったことを確信に変えるため、もう一度ここに立った。
私が求めるのは、あくまでハルカちゃんとのバトル!
そして、私はハルカちゃんと戦う時が来るまで、誰にも負けるつもりはない!!


コトウ 「さぁ、次は第3位!! シンオウ地方からの参戦!!」
コトウ 「ポケモンリーグ初出場ながら、とてつもない強さでここまで登ってきた、恐るべき少女、マリア!!」
コトウ 「強力な種族を扱い、確実な行動を行う、まるで機械のようなバトルは、まさにキラーマシン!!」
コトウ 「はたして、彼女を脅かす存在は現れるか!? 期待は高まります!!」

マリア 「……」

やれやれ…ね。
昨日は散々な目にあったけれど、今日は少しでも楽しませてもらおうかしら?
どの道、私のポケモンを倒せるようなポケモンはいるはずもないし、せめて面白くなればいいわ。

マリア (どの道、目的はミカゲの抹殺…お父様がどう考えているかは知らないけれど、私は私のやりかたでやらせてもらうわ)


コトウ 「さぁ、次は第2位ミカゲ選手!!」
コトウ 「世界中に数あるジムのほぼ全てを回り、集めたバッジは50枚以上!!」
コトウ 「しかし、ポケモンリーグ参戦は初出場!!」
コトウ 「不明な点も多いトレーナーだが、果たしてその実力は本物か!?」

ミカゲ 「………」

鬱陶しいわね…これだから、公式戦は嫌なのよ。
私は別に、富も名声も必要ない。
私が求めるのは、ただ『勝利』だけ。
後は、楽しめれば、それでいいわ…。


コトウ 「さぁ、いよいよ最後のトレーナーです!!」
コトウ 「かつて、かのトウカジムのジムリーダー、センリとバトルをし、惜しくも敗北した神話のトレーナー!!」
コトウ 「老いさばらえても、その爪や牙は衰えず!!」
コトウ 「圧倒的なまでのパワーで相手をねじ伏せる、そのバトルはまさに鬼か!? はたまた修羅か!?」
コトウ 「今大会、最強のLvを誇るポケモンを扱う、恐るべきトレーナー! ザラキ選手!!」

ザラキ 「……」

よもや、もう一度この空気に触れるとは思わなんだ。
センリに負けたあの日から、小生は更なる戦いを続け、高みを目指した。
悪鬼、羅刹と言われようとも、小生は己が道を見失ったことはない。
だが、時は残酷すぎた…。

ザラキ (センリは、もはや小生の知っているセンリではなくなっていた…)

あの、強さだけを目指し、恐るべき執念を持っていたセンリは、もういなかった。
小生は、それを認められず、戦いを続けた。
いつか、再び立つであろう、センリと戦うために。

ザラキ (だが、それも叶わなんだ…)

センリは、ジムリーダーとなり、もはや牙を捨てていた。
強くなるためではなく、導くための存在となった。

ザラキ (センリを倒した時…小生は生きる意味を失った)
ザラキ (だが、まだ小生は戦うことができる)
ザラキ (そして、小生に生きる道標を見せるのが、ハルカと言う女子)
ザラキ (かのセンリの血を引く、修羅…小生が最期を飾るにはふさわしい相手よ!!)



各々が、それぞれの想いを胸に、64名全ての選手が入場を終えた。
そして、ひとりの男性トレーナーが前に出る。
その姿は、私の知っている顔だった。

ダイゴ 「宣誓! 我々、ポケモントレーナー一同は!!」
ダイゴ 「ポケモンとの絆を第一とし、正々堂々戦う事を、今ここに誓います!!」

ワアアアアアアアアアァァァァァァッ!!!

そう、それはあの『ダイゴ』さんだった。
見間違うはずは無い。
何故、ダイゴさんがここにいるのかはわからない。
でも、彼は『トレーナー』としてここに立っている。
それはつまり…。

ハルカ (ダイゴさんは、このリーグに参戦するトレーナー…)

コトウ 「さぁ、前年度チャンピオン・ダイゴ選手の宣誓も終了し、いよいよ予選トーナメントの組み合わせが発表されようとしています!」
コトウ 「予選トーナメントは8ブロックに分けられ、それぞれ8人づつが頂点を競います!!」
コトウ 「そして、それぞれのブロックを制した者たちが、本戦リーグへと進むことができるのです!!」

ハルカ (前年度チャンピオン…ダイゴさんが)

今の今まで知らなかった。
何となく、凄い人だとは予想していたけど、まさかホウエンチャンピオンだったなんて。
そんなことを考えている内に、会場の大スクリーンに、トーナメントの組み合わせが発表される。

ピピピピピピピピッ!! ジャーーーンッ!!

効果音と共に、まずAブロックの組み合わせが発表される。
その中にいるトレーナーは…。

キヨミ (…いきなり第1戦か)

ハルカ (キヨミさんが第1試合…他に、知っているトレーナーはいないようね)

つまり、キヨミさんにとっては勝ち上がる可能性が高いと言うこと…。
私がキヨミさんと戦うには、やはり本戦に出場しなければならないようね。
続いてBブロックの組み合わせが発表。

ヒビキ (Bか…知っている名はない、な)

今度はヒビキさんが第3試合に入っている。
案外、知り合いとは噛み合わないものね…。
次は、Cだ。

ラファ (Cか、本戦出場しない限り、キヨミとは戦えないわね)

特に、知っている名はない…次はD。これで半分ね。

キヨハ 「………」

キヨハさんを発見。
他に知った名はない…未だに噛み合い無し。
何だか、自分の名前が出てこないのが逆に怖い。

ハルカ (まさか、ミカゲやザラキさんと同じブロックになるんじゃ…)

そう思うと、急に怖くなってくる。
実力最下位だけに、どこに組み込まれてもおかしくはなさそうだし、ね。
しかし、その考えを打ち消すかのような組み合わせが発表される。

フィーナ 「う…嘘ぉ!?」

ミカゲ 「……」

ハルカ (ミカゲと…フィーナちゃんが、しかも)

ネロ 「クク…大当たり」

Eブロックはいきなり大混戦。
第1試合でいきなり、第2位のミカゲと第8位のネロ選手がバトル。
そして、第4試合にフィーナちゃん…順調に勝ち進めば、決勝でフィーナちゃんは、ミカゲかネロ選手にぶつかる。

フィーナ 「……」

さすがのフィーナちゃんも不安が隠せないようだ。
だけど、闘志は伝わってくる。
絶対に勝つんだという気迫が、表情から伝わってきた。
対して、ミカゲは…。

ミカゲ 「……」

鬱陶しそうな顔だった…消化試合とでも思ってそうね。

まぁ、ともかく、次はFブロック!

メフィー 「あ、私ここですね〜」

メフィーちゃんの名前を第2試合に発見。
そして、同じブロックに…。

マリア 「…あら、こんな所なの?」

ハルカ (マリアちゃん…第3位のトレーナー!)

何と、第4試合にマリアちゃんの名があった。
つまり、メフィーちゃんは、マリアちゃんと戦う可能性が…。

ハルカ (…まだ、私とザラキさん、後ミツル君の名前が出てこない)

確率は2分の1。
本気で、ザラキさんと当たる可能性が…(汗)
そして、運命のGブロック発表。

ザラキ 「……」

ザラキさんの名前発見! そして、私の名前は…無い!!
どうにか、首の皮一枚繋がったようだ。
これで、まだ私には成長できるチャンスがある!
しかし、これで同時にわかったこともある。

ハルカ 「最後のHブロックは…」

ジャンッ!!

最後のブロックがついに発表。
そこにある名前は当然。

ハルカ (第1試合! そして、ミツル君が、第4試合!!)

奇しくも、チャンピオンロードで果たせなかった戦いが、ここで実現してしまった。
私が決勝まで昇ることができれば、私はミツル君と戦うことになるだろう。
ミツル君は必ず昇ってくる…それは確信できた。

ミツル (ついに…ハルカさんと戦うチャンスが!)
ミツル (決勝まで昇ることができれば、ハルカさんと戦える!)
ミツル (ハルカさんは、きっと昇ってくる、僕はそう信じている!!)

さて、ミツル君の名前は確認できた。
当面の問題は、最初の相手…ミツル君と戦うには、2回勝たなければならない。
そのひとり目…名前は『ヤエコ』、女性トレーナーの様ね。
記憶を辿る所、そんなに順位は高い方じゃなかったと思うんだけど、どっちにしても私よりかは上だしね。

コトウ 「さぁ、これで全ての組み合わせが発表されました!!」
コトウ 「試合開始は、10時より! 各ブロック同時に開催です!!」

ハルカ (と言うことは、自分のバトル中に他のブロックのバトルを見るのは難しそうね)

会場は、各ブロック別の場所で行われる。
このサイユウスタジアムは、8つのバトルフィールドがあるのだ。
私は最後のブロックだから、第8スタジアム。
時間はまだ、あるので、準備期間がある。
もう一度、ポケモンの編成を考えた方がいいかもしれない。



………。
……。
…。



『同日 時刻9:30 第8選手控え室』


ハルカ 「……」

私はポケモンを編成し、ボールをラックに戻す。
予選は2体使用のダブルバトル。
そんなに数は出せないだけに、手の内は隠すことができる。
1試合ごとに使用ポケモンを変えても構わない分、全ての試合を全力で戦っても問題はあまり無い。
どうせ、私は手の内を隠す様なバトルはできないし、ね。
弱いトレーナーは、弱いなりに全力で戦うしかない!

ヤエコ 「…なるほど、あなたが私の最初の相手だったのね」

ハルカ 「…ん? あ、ああっ!! あなたは!?」

私はいきなり私に声をかけてきた女性トレーナーを見て驚く。
それは、まだ肌寒い冬のある日の出来事だった…って回想は別にいらないから!!
確か、ヒワマキジムに挑む前、私をコケにしてくれた、エリートトレーナー!!

ヤエコ 「…本当に上ってくるなんてね。ちょっと侮ってたわ」
ヤエコ 「てっきり、途中で脱落していると思っていたのに」

以前と変わらぬ、憎まれ口。
だけど、私は動じない。

ハルカ 「お生憎様、私はまだまだ成長期なの」
ハルカ 「悪いけど、踏み台にさせてもらうわよ! 前の借りもあるしね!」

私は笑ってそう答える。
それを見てか、ヤエコは不思議そうな顔をする。

ヤエコ 「…どこから、その自信が出るのかはわからないけれど」
ヤエコ 「少なくとも、私だってLvは上がっている…あなたとの差が縮まったとは思えないわね」
ヤエコ 「まぁ、せいぜいあっけない終わり方だけはしないで頂戴」

それだけ言って、ヤエコは部屋を出て行く。
時間はまだ10分以上ある…少し、気持ちを落ち着けようかしら。
私はそう思って椅子に座りながら、少し目を瞑って瞑想する。



………。



ミツル 「あの、ハルカさん?」

ハルカ 「……ミツル君?」

私は、目を瞑ったまま、ミツル君の名前を呼ぶ。
他に人の気配は感じない。
いるのは、私とミツル君だけのようだ。
私は、気を落ち着け、目をゆっくりと開く。

ミツル 「……」

ハルカ 「……」

私の目の前には、ミツル君の顔があった。
一見、美少女にも思える程、綺麗な顔立ちだが、その瞳には闘志が感じられた。
彼は真っ直ぐな目で、一直線に私の目を見ていた。
私たちは、数秒目を合わせたまま、沈黙する。
そして、先に口を開いたのは、彼だった。

ミツル 「ハルカさん…ようやく、この時が来ましたね」

ハルカ 「…まだ、あなたと戦えるとは決まってないわよ?」

私は、冷静にそう答えるが、ミツル君は笑う。
そのにこやかな笑顔からは、一切の迷いや躊躇いはなかった。

ミツル 「僕は、信じていますから。ハルカさんは絶対に勝ち上がってくるって」
ミツル 「そして、僕は必ずあなたを超えます」
ミツル 「僕はもう、あの時の僕じゃありませんから」

ミツル君は、強い意志でそう言う。
だけど、ミツル君はひとつだけ間違っている。

ハルカ 「…ミツル君、あなたはもう私をとっくに超えているわ」
ハルカ 「テストの結果を見れば、一目瞭然でしょ」
ハルカ 「私は、最下位…あなたは違う」
ハルカ 「でも、私は…誰にも負けるつもりはない」
ハルカ 「あなたの言葉、そのまま返させてもらうわ」
ハルカ 「必ずあなたを倒して、私は強くなって見せる!」

私が真っ直ぐミツル君の目を見てそう言うと、ミツル君は一瞬戸惑いながらも、再び笑う。

ミツル 「…やっぱり、ハルカさんは僕の目標です」
ミツル 「ハルカさんとのバトル…楽しみにしてます」
ミツル 「本当は、フルバトルで戦いたかったですけど…それは、また別の機会に取っておくことにします」

ミツル君は、そう言って、控え室を出て行く。
私は時間を見る。
そろそろだ…もうすぐ、全会場で同時に予選トーナメントが始まる。
私は、ボールを確認し、覚悟を決める。
相手は、一度私を倒している相手。
同じ相手に、そう何度も負けるわけにはいかない。
私は、まだまだ強くなる! だから、必ず勝つ!!



………。
……。
…。



『時刻 10:05 第1スタジアム』


オウシ 「さぁ、ここ第1スタジアムではいきなり、大物のバトルが展開されているぞーー!!」

キヨミ 「任せたわよ、『デンリュウ』、『エーフィ』!」

ボボンッ!

デンリュウ 「リュウ〜♪」
エーフィ 「フィ!」

サガラ 「行け、『ゴローニャ』! 『ギャラドス』!!」

ボンッ!

ゴローニャ 「ゴロンッ!!」
ギャラドス 「ギャオーース!!」

オウシ 「キヨミ選手が繰り出したのは、デンリュウとエーフィ! 対するサガラ選手はゴローニャとギャラドスです!!」
オウシ 「電気タイプのデンリュウに対して、地面タイプのゴローニャ!」
オウシ 「タイプ相性で言えば、ほぼ互角か!? さぁ、いよいよバトルスタートです!!」

ギャラドス 「ギャオオオオオオッス!!」

デンリュウ 「!!」
エーフィ 「…!」

オウシ 「サガラ選手のギャラドス! 相手を激しく『いかく』しております!!」
オウシ 「キヨミ選手のポケモン、やや怖気づいたか!?」

キヨミ (特殊攻撃主体のポケモンなら、『いかく』はさほど効果ないわね)
キヨミ (悪いけれど、一気に行かせてもらうわよ!)
キヨミ 「デンリュウ、ギャラドスに『10まんボルト』! エーフィはゴローニャに『サイコキネシス』よ!!」

サガラ 「ゴローニャ『まもる』! ギャラドスはデンリュウに『はかいこうせん』!!」

エーフィ 「フィー!」

ゴローニャ 「ゴロンッ!!」

ドギュウゥンッ! ピキィィンッ!!

オウシ 「さぁ! まず、先手を取ったのはエーフィ! しかし、ゴローニャは『まもる』で完全防御!!」
オウシ 「続いて、ギャラドスが先にデンリュウを攻撃する!!」

ギャラドス 「ギャアアアッス!!」

キュィィ…ドギュアアアアアアアァァァァッ!!

デンリュウ 「デ〜ン〜リューー!!」

バリバリバリィ!!

カッ! ズドオオオオォォンッ!!

ギャラドス 「!? ギャアアアアアアッス!!」

バチバチバチィ!!

オウシ 「デンリュウの『10まんボルト』が『はかいこうせん』を貫通!! ギャラドスにクリーンヒットォ!!」

ギャラドス 「ギャーーッス…!」

ドッズウウウウウンッ!!

オウシ 「これは大ダメージ!! ギャラドス、たまらずダウンです!!」

審判 「ギャラドス戦闘不能!」

サガラ 「くっ…戻れギャラドス!」

シュボンッ!

オウシ 「サガラ選手、いきなり手痛いダメージを受けてしまいました!」
オウシ 「しかし、まだどちらにも勝つチャンスは残されています!」

サガラ 「ゴローニャ! 『じしん』だ!」
キヨミ 「エーフィ『くさむすび』!!」

ゴローニャ 「ゴロ〜!!」
エーフィ 「フィ!」

シュルル!!

ゴローニャ 「ゴ、ゴロッ!?」

ドッズウウウウンッ!!

オウシ 「『くさむすび』がゴローニャの足を絡めとる!! 効果は抜群だーー!!」

ゴローニャ 「…ゴ、ゴロッ」

審判 「ゴローニャ戦闘不能!! よって、勝者キヨミ!!」

ワアアアアアアァァァァァァッ!!

オウシ 「強い! まさに圧倒的な強さ!!」
オウシ 「やはり、伝説は本物だった! キヨミ選手! 堂々の勝利です!!」

キヨミ (このまま、Aブロックは私が勝つ! 信じてるわよ、ハルカちゃん!)



………。



『時刻10:17 第2スタジアム』


ワアアアアアァァァァァッ!!

審判 「ラフレシア戦闘不能! よって勝者ヒビキ!!」

ソン 「決まったー!! 緒戦を鮮やかに飾ったのは、ヒビキ選手!!」
ソン 「危なげないバトルで、見事に勝ち進みました!!」

ヒビキ (…格下の相手とはいえ、相性のおかげで楽に勝てたと言ったところか)
ヒビキ (さすがに、気は抜けられんな)



………。



『時刻10:12 第3スタジアム』


ラファ 「キレイハナ『ソーラービーム』!! リザードン『かえんほうしゃ』!!」

キレイハナ 「ハーナーーー!!」
リザードン 「ドォォッ!!」

ギュアアアアァァァァッ!!
ゴオオアアアアァァァァッ!!

ズッドオオオオオオオォォンッ!!

トウジ 「ラファ選手、見事なコンビネーション!! 同時攻撃を受けたウキナさんのポケモンは大丈夫かー!?」

ゴルダック 「…ゴ、ゴルッ」

審判 「ゴルダック戦闘不能! よって勝者ラファ!!」

トウジ 「ここで決着が着いたーー!! ラファ選手、見事な勝利で、2回戦進出です!!」

ラファ (待っていなさいキヨミ! このブロックは必ず私が勝ち抜いて見せるわ!)



………。



『時刻10:24 第4スタジアム』


クジラ 「ホエルオー、ブラッキーに『ハイドロポンプ』!! ハガネールも続いて『アイアンテール』!!」

ホエルオー 「ホエーーー!!」

ドバアァァァァァァッ!!

ノック 「ホエルオーの『ハイドロポンプ』がブラッキーにクリーンヒットォ!! 続いてハガネールが襲い掛かる!!」

ハガネール 「ハガーーーー!!」

ドッギャアァァアッ!!

ノック 「これまたクリーンヒットォ!! しかし、キヨハ選手のブラッキー、まるで怯まない!!」
ノック 「とてつもない、防御力! ここから反撃開始だぁ!!」

キヨハ 「…ブラッキー、ホエルオーに『しっぺがえし』、ヘラクロス、ハガネールに『インファイト』」

ブラッキー 「ブッキーー!!」

ドバキィィッ!!

ホエルオー 「ホエーーーー!!」

ノック 「決まったーーー!! 強烈な一撃! ホエルオー、たまらずダウンです!!」

ヘラクロス 「ヘラーー!!」

ドガガガガガガガァッ!!

ハガネール 「ハガーーーー!!」

ノック 「こちらも続いて大ダメージ!! 防御力の高いハガネールが一撃でダウン!!」
ノック 「まさに、圧倒的! 相手の攻撃を完全に受けきった上で、実力の差を見せ付けての勝利です!!」

キヨハ (まぁ、こんなものね…キヨミが大分酷使してくれたみたいだけど、好調なのはいいことね)

しばらくの間、離れていたポケモンを使うことに、違和感はほとんどなかった。
キヨミがかなり無茶をさせていたのは明白だけど、その分レベルは上がっている。
だけど、それを差し引いてもキヨミの方がテストは上だった。

キヨハ (さすがと言うか、何と言うか…ポケモンに関しては本当にエキスパートね)

結局、私は一度もキヨミに勝ったことは無い。
ポケモンバトルに置いて、私はキヨミよりも勉強し、キヨミよりもバトルをこなしたつもりだ。
それでも、私はキヨミに勝てた事は一度も無い。
何故、勝てないのか? 私の愛情が足りないからなのか?
考えても答えは一度として出なかった…同じ姉妹で、同じスタートを切ったのに、差ができてしまった。

キヨハ (…才能、か)

姉妹なのに、その差があるのが恨めしい。
でも、今回の大会で、私は決めていることがある。
どうなるかは結果次第だけど、どうなっても私は受け入れるだろう。

キヨハ (後は、流れに任せるだけ…私は、私のやるべきことをやるだけよ)



………。



『時刻10:03 第5スタジアム』


タダシ 「さぁ、ここ第5スタジアムでは、本日最も注目とされる一戦をお送りいたします!」
タダシ 「何と実力2位のミカゲ選手対、実力8位のネロ選手がバトルを行います!」
タダシ 「すでに、両者はスタンバイ状態!! いつでもバトルはできる模様です!!」




………………………。





『同日 同時刻 ???????????』


研究員 「ミカゲ、及びネロのバトルがこれより開始します。カミヤ主任…」

カミヤ 「はいはい…見ればわかるよ〜」

そう言って、僕は○ョコボールを食べながらモニターを見る。
やっぱりピーナッツが一番だね♪ キャラメルも捨てがたいけど…歯につくんだよなぁアレ

カミヤ 「やれやれ…自分たちが仕組んだとはいえ、いきなりだね」

研究員 「主任…本当に、これでいいんですか?」

研究員のひとりが僕に何か訴えるような顔でそう言う。
僕は、特に表情を変えることも無く答える。

カミヤ 「僕がどうこうできる立場じゃないからね、ミカゲはマシュウ総帥の一存だから」

研究員 「ですが! ミカゲは総帥の娘…」
カミヤ 「ストップだ…それ以上言ったら僕でもフォローできないよ」

研究員 「……!」

僕は研究員が言い終わる前に止める。
この部屋は、色々厄介な場所だから、こう言う話題はタブーだ。

カミヤ 「ミカゲは、確かに総帥の実の娘…『マリア』のコピーだ」
カミヤ 「数多くのクローンを作りながら、唯一成長することに成功した、サンプル」
カミヤ 「あれは…いくつ物作られた命の上に立って生きている、サンプルだ」

研究員 「…それは、わかってます」
研究員 「ですが、総帥は何故こうまでしてミカゲにこだわるんですか?」
研究員 「マリアだって、十分総帥の見込み通りの性能を出しているはずなのに」

カミヤ 「…マリアが総帥の娘だからでしょ? 総帥だって人の親だよ…実の娘を危険にさらすことはできない」
カミヤ 「まっ、総帥は、むしろミカゲの中にあるアレに注目しているんだろうけどね」

研究員 「アレ…? 何かあるんですか?」

おっと、口が滑ったかな。
まだ、このことは僕と総帥とネロしか知らないんだっけ。
まぁ、まだ大丈夫とは思うんだけどね。

カミヤ 「忘れてくれ…知らなくてもいいことだから」
カミヤ 「後、君はしばらく休んだ方がいい…」

研究員 「えっ? どういうことですか…」

カミヤ 「休暇をあげるから、旅行にでも行っておいで」
カミヤ 「君のように優しい研究員は、この仕事向かないから」

そう言って、僕は研究員を部屋から出て行かせた。
部屋には僕だけが残る。
研究員は納得したような、できなかったような、不思議な顔をしていた。

カミヤ 「…ホント、総帥も鬼だよね」

僕はチョ○ボールを食べ終わると、次はズボンのポケットから夏○ロルを出した。
これ、季節限定なのはわかるけど、何でこんな微妙な味のラインナップなのかなぁ?





………………………。





『同日 時刻10:05 サイユウシティ・第5スタジアム』


ミカゲ 「………」

ネロ 「ククク…嬉しそうじゃねぇか」

ミカゲ 「…張り倒すわよ、どこをどう見たらそう見えるの?」

ネロの下らないジョークに私はツッコム。
この時点で、かなり鬱陶しい。
だけど、それを見てネロは更に笑う。

ネロ 「クク…俺は嬉しいんだがな、お前を真っ先に始末できるんだからな」
ネロ 「感謝しろよ〜? わざわざ大勢の前で、その可愛いアンヨをひき肉にされるんだ?」
ネロ 「容赦はしねぇ…たっぷり悲鳴あげて死にな」

ミカゲ 「…言い残すことはそれだけ?」

私は極めて冷静にそう言う。
くだらないわ…あなたに私が倒せるとでも?

ネロ 「クックック…以前のバトルが俺の全てだと思うなよ?」
ネロ 「今回は…特別ゲストも連れてきたからなぁ!」

審判 「両者、準備はいいか!?」

ネロ 「ククク…さっさと始めるぜ?」

ミカゲ 「好きにしなさい…その分、あなたの退場が早まるだけよ」

私がそう言うと、ネロはボールをふたつ取り出す。
そして、そこから現れるポケモンは。

ボボンッ!!

ヒードラン 「ヒーード!」

サーナイト 「サ〜」

ミカゲ 「!?」

出てきたのは、何と『ヒードラン』と『サーナイト』だった。
サーナイトは珍しくもなんとも無いけど、あのヒードランは。


タダシ 「おーっとぉ! ネロ選手が繰り出したのは、何とヒードランとサーナイト!」
タダシ 「ヒードランはシンオウ地方に生息する、伝説のポケモンだ!! まさかネロ選手が所持していたとは!!」


ミカゲ 「…ふざけたポケモンを用意してくれるわね」

ネロ 「クックック! 気に入ったかい?」

嫌な笑い方をするネロ。
余程、面白いらしい。
私も、続いてポケモンを出す。

ミカゲ 「出なさぁい…『マニューラ』」

ボンッ!

マニューラ 「…ニュラ」

私はまずマニューラを出す。
相性は5分5分、問題はそんなに無いでしょうけど。

ミカゲ 「…出番よ、『ミカルゲ』」

ヒュッ! ドッズゥゥンッ!!

私は108kgあるミカルゲの要石を地面に放り投げる。
大きな音と砂埃をあげ、ミカルゲは戦闘体勢に入る。

ミカルゲ 「ミカ〜」


タダシ 「対するミカゲ選手はマニューラとミカルゲで応戦!」
タダシ 「果たして、勝利はどちらの手に! いよいよバトルスタートです!!」


ネロ 「! クク…意外と本気のようだな」

ミカゲ 「冗談じゃないわ…軽くあしらってあげるわよ」

ネロ 「その強がりがいつまで続くかな? ヒャハハッ!!」

審判 「それでは、試合開始!!」

ミカゲ 「マニューラ、サーナイトに『つじぎり』!」

マニューラ 「マニュ!」


実況 「さぁ、戦いの幕が切って落とされました! 先手を取ったのはマニューラ!!」

サーナイト 「サ〜!」

ネロ 「サーナイト『きあいだま』だ!」

サーナイト 「サ〜!」

ギュゥゥンッ!!

マニューラ 「マニュ!?」

チュドォンッ!!


タダシ 「サーナイトの『きあいだま』が地面を直撃! マニューラ間一髪かわしたぁ! そのまま空中から攻撃だ!」


ネロ 「ヒードラン『かえんほうしゃ』!!」

ヒードラン 「ヒー!!」

ミカゲ (対象を指定せずに命令!?)

これでは、ヒードランが何を狙うのかわからない。
だけど、予測はつく。
私はすぐに対策を練る。

ミカゲ 「ミカルゲ! 右斜め前方、やや高めに『シャドーボール』よ!」

ミカルゲ 「ミカー!」

ドギュウゥゥンッ!!

ミカルゲは私の指示通りの方角に打ち込む。
そして、ヒードランの『かえんほうしゃ』は予想通り、マニューラを狙う。

ヒードラン 「ヒドォォォッ!!」

ゴオオオォォォッ!!

ミカゲ 「マニューラ!」

マニューラ 「!? マニュー!!」

ブオゥッ!!


タダシ 「おーっと! これは凄い!! マニューラ『つじぎり』の風圧で『かえんほうしゃ』を切り裂く!!」
タダシ 「トレーナーとの息もばっちりだ!! そして『シャドーボール』がマニューラに向かう!!」

マニューラ 「マニュッ!!」

チュドォンッ!!

マニューラ 「マニュ!」
マニューラ (ちっ、無茶しやがる…)

ミカルゲ 「ミカッ」
ミカルゲ (よかったぁ…反応してくれた)

ネロ 「ちっ…」

マニューラは空中でミカルゲの『シャドーボール』を自分の『シャドーボール』で相殺する。
その際の爆風で、空中を移動し、『かえんほうしゃ』の起動から逸れたのだ。


タダシ 「凄まじい攻防! ミカゲ選手のポケモンが魅せる技は、驚きの連続です!!」


ミカゲ 「…ミカルゲ『あやしいかぜ』! マニューラはサーナイトに『こおりのつぶて』!」

ミカルゲ 「ミカ〜!」

ビュゴゴォォッ!!

ミカルゲは対象を気にせず、正面に『あやしいかぜ』を放つ。
どちらに当たるかは知らない、ただ、マニューラはその場からサーナイトを狙う。

ヒードラン 「ヒーッ!!」

ビュゴゴッ!!

『あやしいかぜ』はヒードランに命中する。
ダメージはほとんどないわね…まぁいいわ。
次は…

ヒュヒュヒュッ!!

ネロ 「サーナイト『サイコキネシス』だ!」

サーナイト 「サ〜!」

ドギャァンッ!!

サーナイトは『サイコキネシス』で『こおりのつぶて』を相殺する。
隙が出来たわね。

ミカゲ 「マニューラ…『つじぎり』よ!」

マニューラ 「マニュ!!」

ザシュウッ!!

サーナイト 「サ、サーーー!!」

サーナイトは隙を突かれ、切り裂かれる。
だが、耐える。
そして、ネロはサーナイトに指示を出す。

ネロ 「サーナイト『ダークストーム』だ!!」

ミカゲ 「何ですって!?」

サーナイト 「サーーーーー!!」

ゴオオオオオオオオオォォッ!!

突然、サーナイトは黒い気を放ち始める。
そして、サーナイトはそれを嵐のようにマニューラとミカルゲに放った。

ゴゴオオオオアアアアアアアアァァァッ!!


タダシ 「おーっと! サーナイトが何やら謎の技を繰り出した!!」
タダシ 「ネロ選手が叫んだのはダーク…何とかですか?」
タダシ 「何かわからない技ですが、凄い威力でミカルゲとマニューラを吹き飛ばしたぁ!!」


ミカルゲ 「ミ、ミカッ!」

マニューラ 「マ…マニュッ!」

ミカゲ (ダークストームですって…こんな公式の場で、そんな技を使うなんて)
ミカゲ 「周りは気にしないと言うことね…だったら、本気でやるしかないようね!!」
ミカゲ 「ミカルゲ『めいそう』! マニューラ、サーナイトに『こおりのつぶて』!!」

ミカルゲ 「ミカ〜」

パァァァッ

マニューラ 「マニュッ!」

ドスドスドス!

サーナイト 「サ〜…」

ドシャァッ!

審判 「サーナイト戦闘不能!」

ネロ 「ヒードラン、今だ!」

審判 「えっ、おい!!」

ヒードラン 「ヒィードォ!!」

ゴオオオオオオオォォッ!!

マニューラ 「マニューーーー!!」

ドシャァッ!!


タダシ 「な、何とーー!! ネロ選手、自分のサーナイトが倒れた隙にマニューラを攻撃!」
タダシ 「本来なら、先に自分のポケモンをボールに戻すと言うのに、この非情な選択!!」 
タダシ 「いくらルールに、罰則が書かれていないとはいえ、この戦法は非情にいたたまれません!」


審判 「マ、マニューラ戦闘不能!!」

ミカゲ 「…戻りなさい、マニューラ」

ネロ 「クク…上出来だサーナイト」

シュボボンッ!!

私たちは同時にポケモンをボールに戻す。
私としたことが、迂闊だったわね…あの程度も読めないなんて。

ミカゲ 「まぁいいわ…今度は邪魔するポケモンはいない! ミカルゲ『わるだくみ』よ!!」

ミカルゲ 「ミカ〜…!」


タダシ 「ミカルゲ、能力をどんどんアップさせています! ヒードランはまだダメージをほとんど負っていない!」
タダシ 「果たして、どうなるこの試合!? 次回に続く!!」

ミカゲ (1話でまとめられなかったわね…あのダメ作者)



…To be continued




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