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POCKET MONSTER RUBY



第66話 『永い休日の始まり』




『4月2日 時刻19:00 サイユウホテル・701号室』


ワアァァァァァッ!!

テレビのモニターから、大きな歓声が巻き起こる。
今日行われたバトルのハイライトがもう何度も放映されていた。

ミカゲ 「……」

私はベッドから起き上がり、自分の姿を見る。
気がつくと、服を着ていなかった。
そして、同時に私は理解する。

ミカゲ 「…50%以上、か」

私の体に浮き上がる、黒い模様。
まだ小さい物だけど、随分『侵食』された。
私は側に置いてあった黒い下着を身に着ける。

ミカゲ (…ん? ブラのサイズが違う)

でも、サイズを確認すると前と同じサイズが記されている。
いくらなんでもいきなり胸が大きくなるわけは無い。
と、なると…ブラが新調されたと言うべきかしら?

ミカゲ (よく見たら、新しい物のようね)

私は普段気にもしないブラジャーを見て、そう思う。
どうせ、カミヤの気遣いでしょう、ね。

ガチャ

カミヤ 「あ、起きたのかい?」

ミカゲ 「…張っ倒すわよ」

ノックもせず、堂々と下着姿の私に向かって歩いてくるカミヤに私はそう言う。
すると、カミヤはワハハと笑いながら。

カミヤ 「気にすることは無い、君は僕の娘みたいなものだからね♪」

ミカゲ 「服は? 無いとか言ったら問答無用で張り倒すわ」

カミヤ 「…とりあえず、前の服はもうボロボロだったから、新しいのを持ってきたよ」
カミヤ 「ちゃんと、肌を隠せるから…ほら」

そう言って、カミヤは新しい服を持ってきた。
前のドレスとは違い、今度はやや薄着。
黒いウェットスーツの様な上着に、紺のズボンだった。

ミカゲ 「…なぁに、これ? センスの欠片も無いじゃない」

カミヤ 「そ、そう言うなよ…これでも迷ったんだから」
カミヤ 「それに、見た目を気にするほど繊細だったかい? 君は…」

ミカゲ 「………」

本気で張っ倒そうかと思った。
だけど、この性格がこいつだから仕方が無い。
まぁ、こんな気温でドレスは確かに暑い。
辛いと思ったことは無いけれど、こっちの方が快適なのは良くわかるわ。
私は、とりあえずその服を着てみることにした。



………。



カミヤ 「おっ、さすがミカゲ! 黒が良く似合う!」

ミカゲ 「お世辞はいいわ、用はこれだけ?」

カミヤ 「…そうだね、一応『調整』はしておいた」

ミカゲ 「!!」

カミヤは無感情にそう言う。
調整…要はいじくられたわけね。
おかげで今は痛みも無い…通常通りの行動をすることができるわ。

カミヤ 「どうせ、止めろと言っても君は聞かない」
カミヤ 「だったら、僕はできることをするだけだ」
カミヤ 「君は絶対に死なせないよ…生みの親としてね」

ミカゲ 「くだらないことを言わないで! 私には親はいないわ」
ミカゲ 「私は、所詮マリアのクローン…Mチルドレンの第一号で、初のGC搭載成功型」
ミカゲ 「いくつもの実験体を経て私は作られた…そんな私に親はいないわ」

私は自分の手を見ながらそう言う。
そう、私は所詮マリアの細胞から生み出された実験体。
マリアの父であり、HP団の総帥でもある『マシュウ』の狂気的な計画で生み出された産物。
マシュウは、ポケモンの存在誕生に注目した。
ポケモンが何故生まれたのか? 何故人と一緒にいるのか?
人をはるかに超える力を持っていながら、人と共存するポケモン。
だが、答えは出るはずも無く、マシュウはひとつの結論を出した。

マシュウ 『もし、人の手で神が作り出せるのなら、それを行った者も神となる』

人工神体計画…それは狂気の元に行われた、神をも恐れぬ所業。
マシュウは娘のマリアを0歳の頃から実験材料にし、いくつもの実験体を産み出した。
産まれて間もない赤子の細胞から、人を創り出す。
だが、初期の頃は成熟に時間もかかりすぎ、実験としてはあまりにも途方の無い期間が要せられた。
また、ほぼ同時期に創られたクローンはどれも短命で2年と生きずに死んでいった。
そんな中、たったひとり成功例が産まれた。

ミカゲ (それが…私)

私はマリアが産まれたと同時に創り出された。
私の体内には、『はんこつポケモン・ギラティナ』の細胞が植え込まれている。
この、悪魔とも思える所業は成功を収め、私はMチルドレンの第一号として育てられた。
産まれてすぐに、同じく産まれたてのミカルゲを側に置かれ、私は常にポケモンと一緒に育てられた。
僅か4歳で、特例によりシンオウのバトルタワーへ挑み、100連勝を収めた。
私は、常にポケモンと一緒にいた。
だけど、同時に私は常に戦いの中にいた。
バトルしか知らない、勝つことしか知らない。
勝つことにしか興味が無い、だからポケモンも強くないといけない。

ミカゲ (でも、私はマリアとは違う)

強いだけのポケモンなんていらない。
私が欲しいのは、強くて、傷つかないポケモン。
私は、ポケモンが傷つくのは嫌い。
だから、私はポケモンを卵から育成し、ポケモンの個体レベルを限界まで模索する。
弱いポケモンだと、すぐに傷つき、倒れる。
私はそんな姿を見たくない、だから求める、最高の個体を。
でも、私はマリアとは違う…強い種族に興味は無い。
だから、私は気に入ったポケモンを育てる。
それでも、私は負けなかったから…。

カミヤ 「…ミカゲ、僕はもう行くよ」

ミカゲ 「! そう…早く消えて」

カミヤ 「…リーグが無事に終わるまでは会場にいる」
カミヤ 「ネロも…どうにか元に戻りそうだ」

ミカゲ 「!? ネロが…」

カミヤの言葉に私は耳を疑う。
あのネロが、元に戻ると言うのだ。
狂気に取り付かれ、狂人と貸し、いくつ物実験体を育て上げた悪魔が。

カミヤ 「…君にやられたのが幸いしたのかもしれない」
カミヤ 「ヒードランを追い詰めたことが、ネロにとって何かしらの薬になったのかもね」
カミヤ 「それじゃ、僕はネロの病室に行くよ」

ガチャ…パタン

そう言って、カミヤはドアを閉める。
途端にひとりになってテレビの音がうるさく感じた。

プツッ!

ミカゲ 「……」

私はテレビの電源を切って、カーテンを開ける。

カシャッ!

ミカゲ 「………」

私の視界には、夜のサイユウシティが佇んでいた。
明日は、確か休日。
やること…何も無いわね。



………。
……。
…。



『時刻7:15 サイユウシティ・総合病院 203号室』


ガチャ

ヒードラン 「! ヒドッ」

カミヤ 「おっ、ヒードラン、まだ休んでないのかい?」

ヒードラン 「ヒドッ…」

僕は、病室のベッドで静かに眠るネロを見る。
ヒードランは、あれからずっとネロの側にいた。
ヒードランは、ネロがまだ正常だった頃にゲットした、親友。
ネロの中で一番、信頼していたポケモンだ。
それが、ある日を境にネロは狂人と化した。
理由はわからない…ただ。
2年前、HP団から突然の失踪をし、翌年、ハードマウンテンに現れ、HP団のトレーナー34名、野生のポケモン2002体を大量虐殺した。
駆けつけたマシュウ総帥の手により、ネロは捕らえられ、トバリの刑務所に懲役170年の刑を課せられていた。
本来なら、死刑を免れることはできなかったはずだが、マシュウ総帥の策略により、ネロはHP団の手駒とされたのだ。
HP団の力でネロは釈放され、その後1年かけてネロはMチルドレン8名を育て上げる。
いずれも、ミカゲやマリアに劣らぬと言われる実力らしいが、実際に姿を見たものはいない。
本当に存在しているのかもわからないが、当のネロがこれでは、聞くこともできない。

ネロ 「………」

ヒードラン 「…ヒド」

カミヤ 「気を落とすなよ、ヒードラン」
カミヤ 「大丈夫、僕が助けるよ…ネロは、僕にとっても親友だからね」

ヒードラン 「ヒド♪」

そう言って、ヒードランは笑う。
僕は、もうしばらくネロの側にいることにした。





………………………。





『同日 時刻20:00 サイユウシティ・ポケモンリーグ本部』


男 「以上が、RMU本部としての意向です」

男 「ま、待ちたまえランマ君! いくらなんでも急にこんな!」

ワテはサイユウシティの大会役員のトップ相手に、ある書類を見せとった。
その書類は、日本ポケモンリーグのRally management union(大会運営組合)本部からのある決定事項が記された書類や。

ランマ 「急なことはありまへん、先月頭にシンオウリーグから順に各地方へこの連絡は伝達されとります」
ランマ 「あんたんとこだけでっせ、ルール改正を受け入れてへんのは」
ランマ 「このまま、RMUの意向に背いとったら、どうなるかはわかってますやろな?」

ワテは少々凄んで見せる。
すると、サイユウ支部の支部長ともあろうお方が、明らかに顔を青ざめてうろたえた。

支部長 「…し、しかしだな、すでに選手たちは今のルールで行く物と…」

ランマ 「その選手たちのためのルール改正でっせ! 特に、今年は全地方に渡って、恐ろしいまでのレベル上昇が見込まれとります!」
ランマ 「このまま、以前のルールを続けたら、参加選手及び、参加ポケモンは怪我で済まなくなりますわ!」
ランマ 「ルール改正、受けられるのか、受けられへんのか、今すぐ答え出してもらいましょうか!?」

バンッ!!とワテは支部長の机を叩く。
専用の椅子にふんぞり返った支部長は、頭を抱えて考えていた。

支部長 「……」

ランマ 「はよ、してくれまへんか? ワテも暇やありまへん」
ランマ 「休日は明日きり…結論は今出して、明日通達してくだはらんと」

支部長 「わかった…改正を受け入れる、明日早朝にルール改正の支持を全選手に伝える」

ランマ 「寛大な対処に、感謝しますわ♪」

ワテはそう言って笑う。
そして、書類にハンコを押してもらうのを確認し、ワテは部屋を出た。

パタン…

ランマ 「ふ〜…全く、手間かけさせるわ」
ランマ 「ホンマ…このスーツとか鬱陶しいで」

ワテはネクタイをさっさと外し、スーツの上着を脱いで肩にかける。
アバウトながらも、これがワテや。
きっちりした服は好かん。

キヨハ 「随分、久しぶりかしら…ランマ、いえ…オトメ選手?」

ランマ 「! …何でここにおんねん」

ワテはいきなり後ろから声をかけられ、そう返す。
振り向くと、柱の影に隠れてワテを見るキヨハがおった。

キヨハ 「…その言葉、そのまま返させて貰うわ」
キヨハ 「まさか、あなたが参加しているなんて思わなかったもの」

ランマ 「…何や、気づいとったんかい」
ランマ 「まぁ、ええわ…どの道終わったことや」

ワテはそう言って、ダレる。
キヨハはそんなワテを見て、微笑する。

キヨハ 「変わらないわね、あなた」
キヨハ 「今は大会役員? 推測するに、それなりの地位は得たようね」

ランマ 「せやな、察しの通りや…お前さんがどこぞの組織の幹部になったようにな」

ワテが軽くそう返すと、キヨハは少しだけ反応する。
クールなやっちゃ…妹とはえらい違いや。
ま、そんなとこがワテの気に入ってるとこやが、な。

キヨハ 「…で、今回は仕事で来たの? それとも私用?」

ランマ 「これ見てわからんか? 仕事に決まっとるやろ!」
ランマ 「リーグに参加したんは、直にホウエンのレベルを見るためや」
ランマ 「予想通り、今年のホウエンリーグは常軌を逸しとる! こないな馬鹿げたレベルは歴史上、類を見ん」
ランマ 「今まで通りのルールやったら、間違いなく悲惨な結果が出る…そのためのルール改正を申請したんや」

ワテが真剣な顔つきでそう言うと、キヨハは考える。
そして…

キヨハ 「…それが本音?」

ランマ 「…半分な、もう半分は察してるやろ」
ランマ 「ま、もうどうでもええけどな」

ワテはそう言って、歩き始める。
キヨハはそれにゆっくり着いて来た。



………。



ランマ 「…はぁ、ホンマ鬱陶しいわ、役員って」

キヨハ 「あら、いきなり弱音なんて…レンジャーの仕事はどうしたの?」

ランマ 「もうレンジャーは引退や、役員とごっちゃではやっとられん」
ランマ 「幸い、有望な新人も何人かおるしな、そっちに引き継がしたわ」

ワテはそう言って夜空を見る。
今は雲ひとつ無い、満天の星空が見えた。

キヨハ 「そう…」

ランマ 「…何や、元気ないな」
ランマ 「お前こそ、何で戻ってきた?」
ランマ 「お前ら姉妹…こう言う舞台が嫌で逃げたんちゃうんか?」

ワテがそう言うと、キヨハはやや沈んだ表情をする。
思うことは色々あるやろ。

キヨハ 「…そうね、嫌で逃げ出したのは本当よ」
キヨハ 「でも、キヨミは戻ってきた」
キヨハ 「私は、その理由を知りたかった…そして知った」
キヨハ 「後は、私なりのケジメよ…多分、今年が最後」

ランマ 「……ほうか」

キヨハは俯きながら、決心した声でそう言った。
最後…か。
その最後の相手がワテやないのが、唯一の心残り、か。

ランマ 「…いくらサイユウでも、これ以上は体冷やすわ」
ランマ 「お前もはよホテルで休み、ワテはまだ仕事が残っとる」
ランマ 「ルール改正は明朝発表や、恐らくしばらく休みになるやろ…」
ランマ 「その間にしっかり休めとき」

キヨハ 「そうね、そうするわ」

キヨハ最後に軽く笑う。
その笑みが何を意味しているのかは、ワテにはわからへんかった。
ワテは、ホテルへ戻っていくキヨハの背中をギリギリまで見送った。





………………………。





『4月3日 時刻8:00 サイユウシティ・ポケモンセンター』


ハルカ 「…はぁ〜」

私は食堂で考えていた。
ついさっき、サイユウシティにいる全ての人間に対して、今大会のルール改正が通達されたのだ。
その内容は、リーグ戦のはずだった決勝大会をトーナメントに変更すると言う物。
参加選手、参加ポケモンの安全を考慮した上での変更だそうだけど、それはそれで…とも思う。

ハルカ (つまり、8人参加だから、3回戦ったら終わり…)

私は、ミツル君との戦いで飛躍的なレベルアップを果たした。
とはいえ、まだキヨミさんやザラキさん、ミカゲやマリアちゃんと戦えるとは思えなかった。
戦う数が少なくなる、と言うことは私の成長も妨げられる…と考えられた。

ノリカ 「まるで、全員とやりたかった…って顔してますね」

ハルカ 「…う、そうかも」
ハルカ 「でも、実際にそうなったら大変なのよね…7回もあんな化け物たちとやりあうと思うと」

私の隣で朝食をとっているノリカに私はそう言う。
実際、やれば強くなるだろう…でも、危険極まりないのは明白。
特に、誰と当たっても間違いなく、負傷は免れない。
去年までのルールだと、回復もままならないため、途中でリタイヤする選手も少なくなかったとか…。

サヤ 「ですが、今回のルール改正に伴い、休みが伸びました…」

アムカ 「はむ…はむ…」

サヤちゃんが食事を終えてそう言う。
アムカは食パンを少しづつかじっていた。

ハルカ 「そうなのよね〜…次の試合は1週間後の4月10日」
ハルカ 「その間に、特訓しとかないとな〜」
ハルカ 「折角の休日はきっちり取らなければ!!」

ノリカ 「やっぱりハルカ様はハルカ様です!」
ノリカ 「不肖、このノリカも全力で手伝わせていただきます!!」

ノリカはコーンポタージュを口に着けたまま、そう言った。
私は目の前にある野菜サラダを口に運ぶ、まずは朝食ね…。



………。
……。
…。



『時刻9:00 サイユウシティ・ポケモンセンター』


店員 「はい、ハルカさんのポケモンは皆元気になってますよ!」

ハルカ 「あ、どうも…あの、悪いんですけど、今日一日広場の方にポケモンを離しておいてもらえますか?」
ハルカ 「昨日の今日だから、ちょっと羽を伸ばさせたくて」

店員 「畏まりました、ただ、ハルカさんのホエルオーはサイズがかなり大きいので、海岸側の広場へ移動となりますが、どうしますか?」

店員はそう言って、私の答えを待つ。
そうか、ホエルオーが手持ちだからそうなるのか。
私は、少し考えて。

ハルカ 「あ、それなら皆海岸に固めておいてください」
ハルカ 「夕方には引き取りますんで、それまで」

店員 「畏まりました、それでは責任を持って預からせていただきます」
店員 「どうぞ、ごゆっくり…」

店員はそう言って頭を下げる。
う〜ん、さすがは天下のポケモンリーグ・スタッフ。
礼儀正しさも天下一品だわ、さて…

ハルカ (今日一日は、私もしっかり休もう…頭を切り替えないとね)

昨日のバトルのせいで、私は少々頭痛に悩まされていた。
無理に力を引き出したせいで、しっぺ返しが来たようだ。
ちゃんと回復させないと、本番が辛くなるわね…この力も慣れないと。

ノリカ 「ハルカ様っ、これからどうします?」

ハルカ 「う〜ん、そうねぇ…とりあえずゆっくり休むつもりだけど」

サヤ 「…誰か来ます」

アムカ 「……?」

私がノリカと話していると、サヤちゃんが入り口の方を見る(向く?)
すると、そこには予想だにしない人物がふたりいた。
そして、ふたりは私を発見すると。

オダマキ 「やぁ〜! やっと見つけたよハルカちゃん!」
オダマキ 「久し振りだね! 昨日のバトルはお疲れ様!!」

ハルカ 「オ、オダマキ博士!? 何でここに!?」

そう、そこにいたのは紛れもなくオダマキ博士。
前に見たアバウトな制服に、無精髭。
どう考えても変な男にしか見えない、立派な博士がここにいるのだ。
そして、その背中に隠れるように、ひとりの少年が佇む。
その少年は私を見て、ニヤリと笑った。

ユウキ 「よっ」

ハルカ 「ユウキ! あんたも来たんだ!」

ユウキ 「父さんの付き添いでね、折角だし直にホウエンリーグを視察しようと思って」
ユウキ 「ちなみに、父さんは仕事でここまで来てる」
ユウキ 「一応、ホウエンを代表する博士だからな」

ユウキは相変わらず、憮然とした態度でそう話す。
こう言う所は相変わらず、か。

オダマキ 「ま、そう言うことだよ!」
オダマキ 「しっかし、本当にここまで来るなんてね…正直、驚いているよ!」
オダマキ 「出会ったばかりの頃からはまるで想像できない! もう立派なトレーナーだね!」

ハルカ 「いやいや、まだまだですよ♪」

ユウキ 「その通り、まだまだだな…全然変わってない所もある」

ハルカ 「無知な所、とか」
ユウキ 「無知な所、とか」

私は、ユウキの台詞を予測して同時に言う。
ユウキも少々驚いたのか、眼を丸くしていた。

ハルカ 「私が無知なのは当たり前、経験が無い物」
ハルカ 「何も知らずにポケモンを触って、旅に出た」
ハルカ 「知識なんて物は、後から着ければいい物、私は戦いながら学ぶわ」

ユウキ 「…本当に変わらないな、その性格」
ユウキ 「普通の女の子が言う台詞じゃない」

ユウキは呆れた顔でそう言う。
むぅ、確かにそうかも…とはいえ、今更私は変わるつもりも無い。
どこぞのヒロインと違って、私は女らしくなろうとは思わない。
自分は自分、人は人。
どう思われようが、私は自分を貫くだけ!

オダマキ 「ははは、ユウキもハルカちゃんに会えてよっぽど嬉しいんだな!」
オダマキ 「普段無口なユウキが今日は活舌だ!」

ユウキ 「余計なことは言わないでくれ! 俺はいつも通りさ…」

そう言って、ユウキは頬を赤らめそっぽを向く。
ふ〜ん、少しは可愛い所あるじゃない♪

オダマキ 「はははっ! 素直じゃないのは誰に似たのか…それより、ハルカちゃん!」

ハルカ 「はい?」

オダマキ 「今、ポケモン図鑑は持っているかい?」

ハルカ 「あ、はい…これですよね」

私は、オダマキ博士にもらった図鑑をリュックから取り出し、博士に見せる。
すると、博士はうんうんと頷き。

オダマキ 「今のままだと、あまり図鑑としての機能を果たしてないだろ?」
オダマキ 「今年は、特に他の地方から参加者が多いし、参照できないポケモンが多すぎる」

ハルカ 「確かに、もう参照とかはほとんどしてませんもん」

実際、その通り。
ミカゲとかのを見ても、参照できるポケモンは皆無。
キヨミさんやキヨハさんだって、わからないポケモンを多数持ってる。
このままだと、私は知識的な部分を鍛えることができそうに無かった。
私がポケモンに未だ無知なのも、いわば教科書がないから、と言っているような物。
幸い、優秀な教師がいるおかげで、何とかやっている感じがある。
とはいえ、自主的に学べないのはもどかしい。

オダマキ 「ま、そうだろうと思ってね…実は、アップデートの話を持ってきたんだ」

ハルカ 「ア、アップデート!? できるんですか!?」

確か、以前ホウエンではまだできないと聞いてたけど…。

ユウキ 「ホウエンリーグが始まる前、オーキド博士が研究所に来てね…それでデータを置いて行ってくれたんだ」
ユウキ 「何でも、優秀なトレーナーたちのおかげで図鑑完成に近いんだと」
ユウキ 「ま、そう言うことだから、図鑑を貸しな」

ハルカ 「そう、それなら断る理由も無いわね…元々は、オダマキ博士のだし」
ハルカ 「はい、後は好きにして」

私はユウキに図鑑を渡す。
それを受けとると、ユウキは図鑑をまじまじと見た。

ハルカ 「な、何なのよ?」

ユウキ 「…いや、今までどんな使い方をしたのか、ってね」

ハルカ 「はぁ?」

ユウキは私の図鑑を見ながら、語り始める。

ユウキ 「この図鑑を見れば、今までハルカがどんな道を辿って来たのかが、大体わかる」
ユウキ 「よっぽど、滅茶苦茶な旅をして来たんだな、って」

ハルカ 「な、何よ…滅茶苦茶で悪いの?」

私がそう言うと、ユウキは微かに笑う。

ユウキ 「いいや、お前らしい…頑丈に作られてるこの図鑑が、ここまで悲鳴あげてるなんてね」
ユウキ 「深海の水圧にだって耐えられる計算なのに、色んな所でガタが来てる」
ユウキ 「普通のトレーナーなら、まずこうはならない…」

ハルカ 「……」

言われてみれば、納得できる。
私が辿った道、考えても見れば相当な道のりを歩いてきたんだと思える。
『えんとつやま』の火山、ヒワマキの雨、『てんきけんきゅうじょ』の地震、グラードンの眠る深海、そして…『チャンピオンロード』
普通に考えれば、相当酷使したとも言える。
特に、私は無知だから、図鑑を頼ることも多かった。
今まで気づかなかったけど、相当図鑑に負担をかけてたのね…。

ユウキ 「…ダメだ、このままだとアップできない」

オダマキ 「どれどれ…う〜ん、ああ、本当だ」
オダマキ 「通信系に異常が出てるな…参照はできるけど、外部からの接続が全くできなくなってる」
オダマキ 「これは修理しなきゃダメだ…1週間位かかるかな」

ハルカ 「1週間って…試合始まっちゃうじゃないですか!」

それでは、間に合わない…最悪、図鑑無しで挑むことになる。
って、普通図鑑見ながら決勝挑む奴もいないか…。

ユウキ 「…これ使えよ」

ハルカ 「え?」

そう言って、ユウキは自分の図鑑を渡す。
私は、それを無言で受け取る。

ユウキ 「…俺のはもうアップデートしてある、すぐにでも使える」
ユウキ 「最新式のOSが入ってるから、ポケモンの能力値、技、性格、性別、個性、好み、コンディション、全部調べることができる」
ユウキ 「ただし、そこまでわかるのは自分のポケモンのみ、それ以外のポケモンは図鑑説明と生息分布が出るだけ」
ユウキ 「ポケモンの登録は今まで通り、センターのPCでアップできる」
ユウキ 「それをやるから、好きに使いな…その代わり、お前のは俺がもらう」
ユウキ 「ギブ・アンド・テイクだ、それなら文句無いだろ?」

ハルカ 「…ええ、ありがたく使わせてもらうわ」

私はそう言って図鑑を握り締める。
とりあえず、ありがたい。
これで、色んなポケモンを知ることができる。
少しでも、勉強しておかないと。

オダマキ 「その図鑑には、技の検索や、タイプ相性のチェッカーも着いてる」
オダマキ 「決勝の前に、予習しておくといいだろう!」

ハルカ 「はい、どうもありがとうございます!」

私はそう言って、オダマキ博士に頭を下げる。
これなら、当日慌てることも少なくなるだろう、強い味方だ。

ユウキ 「父さん、そろそろ…」

オダマキ 「おお、そうだね! それじゃあハルカちゃん! 僕たちはRMUに行くから!」

ハルカ 「RMU〜?」

サヤ 「Rally Management Union…訳して大会運営組合です」
サヤ 「ぶっちゃけて言うと、ポケモンリーグの運営に関わる組織です」

ハルカ 「なるほどな〜…」

オダマキ博士とユウキは軽く手を振って去っていく。
要するにお偉いさんに会うわけか…。

ノリカ 「それより、これからどうするんですか?」

アムカ 「うう…暇だよ」

ノリカは私の考えを待っているようだった。
う〜ん、休むつもりはつもりだけど。
何だか、妙に動きたい気分になってきた。

ハルカ 「どうしよっかなぁ…とりあえず、ポケモンのいる海岸へ行ってみますか」

ノリカ 「了解であります!」

サヤ 「……」

アムカ 「は〜い」

こうして、私たち4人はポケモンたちが解放されている、ポケモンセンター直営の海岸へ向かった。



………。
……。
…。



『時刻9:30 ポケモン広場・海岸』


バシャーモ 「は〜…まだ体がギシギシする」

マッスグマ 「……」

アーマルド 「姐さんたちは、激戦だったみたいッスからね!」

ジュペッタ 「………」

ライボルト 「う〜ん…何だかふたりとも見違える気がするよ〜」

ホエルオー 「そうですね〜」

私たちは、海岸でのんびりと休養を取っていた。
折角の休み…とはいえ、気はあまり休まらなかった。

ジュペッタ 「…それより、こいつをどうするか、だ」

バシャーモ 「ああ、確かに…どうしよ」

ライボルト 「う〜ん…」

私たちは、目の前に山積みされている『わざマシン』を見て、考える。
何で、こんなにあるかと言うと、クゥちゃんたちが、『そだてやさん』に預けられている時に戦利品として手に入れた物らしい。
とはいえ、その量は半端ではなく、数えてみても100枚はゆうにある。
しかも、ホウエン地方では通常見ることのできない、51番以降のマシンも見られた。

ジュペッタ 「…とりあえず、使えそうな物は使うべきだろう」

バシャーモ 「でも、機材無しじゃ使えないでしょ?」

マッスグマ 「ハルカさんに言わないことには…」

ジュペッタ 「ん…都合よく、来たようだな」

見ると、ジュペ君が見る方向から、ハルカさんたちがやってきた。
ノリカさん、サヤさん、アムカさんも一緒だ。
そして、こちらを確認したことで、ひとりが走り寄って来る。

アムカ 「ターゲット・ローーーック!!」

ズダダダダッ! バビュンッ!!

マッスグマ 「!!」



ハルカ 「…あらあら」

アムカ 「ふみー! ふさふさ〜♪」

マッスグマ 「………」

アムカはマッスグマを抱きしめ、ごろごろと転がっていた。
どっちが動物だかわかりゃしない。
そして、私は不可思議に積まれているディスクの山を見た。

ハルカ 「…なんじゃこりゃぁ」

サヤ 「…『わざマシン』のようですが」

ノリカ 「だね、大量」

そう、まさに『わざマシン』の山。
一体、どこから持ってきたのか、皆はその山を囲むように佇んでいた。
私はまじまじとその山を見る。
すると、ジュペッタが近づいてきて、こう言う。

ジュペッタ 「この『わざマシン』は、俺たちの物だ、遠慮なく使え」

ハルカ 「…あんた突拍子も無いこと言わないでよ」
ハルカ 「どう考えてもこれは犯罪でしょ!? どっからパクって来たのよ!!」

ジュペッタ 「…む、戦利品としか言いようが無いな」
ジュペッタ 「そもそも、クゥやテンが持ってきた物だ」
ジュペッタ 「詳しくはあいつらに聞け」

ハルカ 「…どういうことなのよ一体? って言うか、聞いたらいいのか」

そう思った私は、近くにあるポケモンボックス用のPCに向かう。
通常、6体以上は持つことができないけど、ここはポケモンセンターの管理で許可さえもらえば好きなだけポケモンを離すことができる。
というわけで、私は早速手持ちを全員集めることにした。



………。



ハルカ 「さて、話してもらうわよ?」

クチート 「クチ、クッチッ!」

ジュペッタ 「…話は『そだてやさん』での出来事になるらしい」

ハルカ 「…詳しくは第50話を見ろ!ね」



………。



と言うわけで、以下省略。


ハルカ 「ふむ…まぁそう言うことなら、いいのかなぁ?」

ノリカ 「いや…私に聞かれましても」

サヤ 「いいのでは? 使ってしまえば証拠は残りません」
サヤ 「使用済みのディスクを届けなければ…ですが」

ハルカ 「さりげなく、悪どいこと言うわね…」

それはどう考えても犯罪。
とはいえ、別に名前が書いてあるわけでもなく、今更誰の物?と聞かれた所で答えは出ない。
しかし、この量は取られた人に取っては大損害だ。

ハルカ 「う〜ん、困ったわね…」

サヤ 「…決めるのはハルカさんですが、どうしてもと言うなら、調べてみましょうか?」

サヤちゃんは、いきなりそんなことを言う。
調べるって、探偵じゃあるまいし…。

ノリカ 「そんなことできるの?」

サヤ 「…マシンの製造Lotを調べれば、少なくともいつ作られて、どこに行ったかは調べられますね」
サヤ 「それで、取り扱い場所がわかれば、誰の手に渡ったかはわかると思います」

アムカ 「ふゆ〜…ふかふか〜♪」

マッスグマ 「………」

ジュペッタ 「…しかし、これだけの物をただ持ち主に返すと言うのもな」

ハルカ 「そこっ! これは一応紛失及び盗難事件に関わるんだから!」

ジュペッタ 「…む」

さすがのジュペッタも考える。
一応、法律ってもんがあるんだから。

サヤ 「…少し、待っていてください、調べて来ます」

ハルカ 「そうね、このままじゃ気味悪いし…お願いっ」

サヤ 「はい、それでは、行ってきます」

ノリカ 「頑張ってね〜♪」

アムカ 「僕、ここにいてもいい?」

サヤ 「…ええ、好きにしなさい」

アムカ 「やった♪ マッスグマ〜♪」

ハルカ 「…よっぽど、好きなのね、まぁちょっとの間我慢しなさい」

マッスグマ 「………」(汗)

マッスグマは複雑そうにアムカに抱かれていた。
まぁ、後はサヤちゃんを待つことにしますか。





………しばらくして………





サヤ 「…わかりました」

ハルカ 「おおっ、やった! それで?」

一時間ほどかかったが、どうやら判明した模様。
やるわね、サヤちゃん。

サヤ 「…どうやら、カントー地方からの流れ物のようです」
サヤ 「所持者は、存在しません」

ハルカ 「…は?」

今、サヤちゃん何て言った?

サヤ 「…所持者は、存在しない、と言いました」
サヤ 「正確には、とある組織の所有物だった物が、持ち主の手を離れてホウエン地方まで渡ってきたというわけです」
サヤ 「それも、ポケモンたちの手によって」

ハルカ 「んな」

ノリカ 「アホな…」

私たちは、思わずそう呟く。
思いの他息がぴったりで驚いた。

サヤ 「…状況から察するに、『そだてやさん』に預けられたポケモンの一味がそれを持ち込んだと言うことですね」
サヤ 「そして、そのポケモン一味が育て屋に来たのと、トレーナーのいないポケモンが育て屋に来たのが同じ日」
サヤ 「すなわち、そのポケモンたちがマシンを持ち込んだ、と考えられるでしょう。トレーナーの所持していないポケモンたちが」
サヤ 「今回の件は、そう言った事情ですので、マシンの行方については特に捜索願も出ていません」
サヤ 「ゆえに、ハルカさんの好きに使ってくれてよい…と言うのが警察の意向です」
サヤ 「これで、問題ありませんね」

ノリカ 「ふえ…じゃあこれ全部?」

ハルカ 「…はぁ」

私は無問題に手に入れることとなったマシンの山を改めて見る。

ハルカ 「……山ね」

ノリカ 「山ですねぇ」

サヤ 「山です」

アムカ 「グマ〜♪」

マッスグマ 「……」(汗)



………。



ハルカ 「はぁ、ジュペッタ…皆に覚えたい技とか聞いて」
ハルカ 「私より、皆の方が知ってると思うし」

ジュペッタ 「うむ、ならまずはリーダーからだろう…シャモ」

バシャーモ 『う〜ん、私は直接攻撃系が弱いし、何か特殊系の技があるといいけど…』

ジュペッタ 「ふむ、ならこれを使え、『きあいだま』…特殊攻撃系の格闘技だ」
ジュペッタ 「シャモなら、十分使いこなせるだろう」

ハルカ 「うっし、ならマシンをセット!」



………以下略………



ジュペッタ 「次は、グマ」

マッスグマ 『…私は『ねごと』があればいいわ』

ジュペッタ 「『ねごと』だ」

ハルカ 「ほいほい」



………以下略………



ジュペッタ 「次、ライ」

ライボルト 『ねぇねぇ、私って何が使えるの?』

ジュペッタ 「…ハルカ、図鑑を調べてやってくれ」

ハルカ 「ほいほい…」

私は新たにバージョンアップした図鑑を早速参照する。
すると、ライボルトに覚えられる技が増えていることに気づく。

ハルカ 「あれ? これって…覚えられなかったはずなのに」

ジュペッタ 「む…なるほど『かえんほうしゃ』か」
ジュペッタ 「確かに、今までは使えなかったが…ここに来て、ライボルトの中で何かがハジけたのかもしれんな」

ハルカ 「って、ペルソナじゃないんだから…真顔でボケるなっての」

私はそうツッコミを入れてライボルトに『かえんほうしゃ』を覚えさせた。



………以下略………



ジュペッタ 「次は…アマ」

アーマルド 『何か強力なタイプ一致技が欲しいんだがな』

ジュペッタ 「ふむ、だがお前は自身のレベルアップで強力な技は身に着く」
ジュペッタ 「ここは、別タイプの技で補強するべきだろう」

アーマルド 『任せる、俺にはよくわからんからな』

ジュペッタ 「…アマは物理攻撃が主体だ、性格もあるし攻撃技を重視したいが」

ジュペッタはアーマルドの意見を聞いて考えていた。
私には全くポケモンの声がわからないので、本当に便利だわ。

ジュペッタ 「ハルカはどう思う? アマに必要な物は」

ハルカ 「うん? そうねぇ…今までの戦いを見ても思うんだけど、私のポケモンたちは能力アップの技が少ない気がするのよねぇ」

ジュペッタ 「…確かにな、なら『つるぎのまい』はどうだ?」
ジュペッタ 「防御力が高めのアーマルドなら十分使いこなせると踏む」

ハルカ 「オッケー、それで行きましょう♪」



………以下略………



ジュペッタ 「次はホエ…お前はどうする?」

ホエルオー 『そうですねぇ…僕は覚えられる技があんまりあるわけじゃないですし』
ホエルオー 『『れいとうビーム』をもらえますか?』

ジュペッタ 「『れいとうビーム』だ」

ハルカ 「ほいほい」



………以下略………



ジュペッタ 「次は、フィオ」

フィオネ 『え? 何々?』

ジュペッタ 「………」

ハルカ 「…?」

ジュペッタは何か頭を抱えて困っているようだった。
な、何があったのかしら?
当のフィオネは不思議そうな顔をしていた。

ジュペッタ 「…『ねむる』を覚えさせよう、特性もあるし相性はいいだろう」

ハルカ 「よしきた」



………以下略………



ジュペッタ 「次は…テン」

ダーテング 『そうですねぇ〜…私は、もういくつかは使ってますしぃ〜、『だいはくはつ』を、もらいます〜』

ジュペッタ 「『だいばくはつ』だ…」

ハルカ 「うっわ…そんなの覚えれるの? って、これ使う方も覚悟いるんだけど…」

当のダーテングは気にした風もなく、いつもの調子だった…。



………以下略………



ジュペッタ 「次は…クゥ」

クチート 『うん? あたしか…大体必要なものはもらったからいいわ』

ジュペッタ 「そうか…ならアゲ」

アゲハント 『僕も大丈夫です、アメちゃんとコイさんも大丈夫みたいです』

ジュペッタ 「む…なら後は」

ハルカ 「?」

ジュペッタ 「俺は『シャドークロー』と『トリックルーム』を貰う」
ジュペッタ 「それ位だな…残ったのは、ハルカが考えて使うといい」

ハルカ 「ん」



………以下略………



ハルカ 「で、後はいいのね?」

ジュペッタ 「ああ、急いで覚える必要はない、新しい技に慣れる必要もあるからな」

ハルカ 「そうね…じゃあ、私も今日はゆっくり休むから、あなたたちは自由にしておいて」
ハルカ 「休日は1週間もあるから、ある程度計画的に動きなさいよ?」

ジュペッタ 「む…任せろ。本番までに慣れさせておく」
ジュペッタ 「ハルカはゆっくり休め…思った以上に消耗しているようだからな」
ジュペッタ 「お前が思っているほど、エスパーの力というのは優しいものじゃない」

ハルカ 「!? 気付いてたの…」

ジュペッタは私の新たな能力に気付いているようだった。
それを見越した上で言っているんだとしたら…心配が必要なのは私の方か。

ジュペッタ 「………」

ジュペッタは、軽く微笑み、背中を向ける。
私は同じように微笑し、移動することにした。

ハルカ 「ノリカ、サヤちゃん、アムカ、行きましょう!」

ノリカ 「はいです!」
サヤ 「………」コクリ
アムカ 「う〜…まだ物足りない」

ハルカ 「…なら、アムカだけ残る? 別にいいわよ私は?」

不満そうなアムカを見て、私はそう言う。
するとアムカはマッスグマとサヤを交互に見て。

アムカ 「う…我慢する」

ハルカ 「ん、じゃあ行くわよ」

私はそう言って、一旦ポケモンセンターに向かうことにした。
今日は一日、ゆっくりと休むことにした。
考えることは多いけれど、今は休むことが一番と判断した。



…To be continued




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