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POCKET MONSTER RUBY



第95話 『VS四天王! 悪の華・カゲツ!!』




『4月18日 時刻10:00 サイユウシティ・RMUビル』


秘書 「ランマ様、これが今回のリーグにおけるデータ統計です」

ランマ 「ご苦労さん、いつも助かるわ〜」

ワテはそう言って、今回の統計データを見る。
今回のデータは予想通り分厚くなったもんやな…まぁ、当然と言えば当然や。

ランマ 「ホンマに…今年はえらかったわ」

秘書 「心中、お察しいたします…」

ス…

そう言って彼女はワテの机に茶を置いてくれる。
考えれば考えるほど…今年のリーグは波乱だらけ。
よもや最後の最後まで波乱が続くんやからな…

ランマ 「……ん、ええ温度や」

秘書 「恐れ入ります…」

ワテは茶を口に含み、喉を潤す。
データを片手に眺めながらワテは肩肘突いて、ややしかめ面をした。

秘書 「…まだ悩んでおられるのですか?」

ランマ 「そらそや…年に一度の祭りやからな」
ランマ 「せやかて…例外をそうぽんぽん出すわけにもいかへんし」

秘書 「ですが、チャンピオンリーグを挑戦者無しで行うわけには」

そう、今回の問題はこれや。
リーグ優勝者である、ミカゲはんは現在病院にて療養中…絶対安静で、少なくとも1ヶ月は入院予定や。
こうなると、チャンピオンリーグはとても参加させるわけにはいかへん。
かと言って、2位繰り上げ…と言うのも上が納得せぇへんやろうしな。

秘書 「やはり、今年は現チャンピオンのダイゴ選手がそのまま継続…と言うことになるのでしょうか?」

ランマ 「君は、どうしたい? 見たいと思うか? チャンピオンリーグを…」

秘書 「それはもちろんです…誰もが同じことを考えているはずでしょう」

ランマ 「……せやな、誰もが思ってることや」
ランマ 「…はぁ、上の説得が面倒そうやな」

秘書 「でしたら、強引に進めてみては? 始めてしまえば誰も文句は言えないかと…」

ランマ 「おいおい…それが秘書の言うことかいな」
ランマ 「まぁ…ワテはそう言うのも好きやけどな♪」

ワテはそう言って、茶を啜る。
腹の内は決まった! 後は、なるようになれ!やな…





………………………。





『翌日 9:30 サイユウシティ・総合病院』


ハルカ 「やっほ〜、元気してる?」

マリア 「…あら、そっちはもう平気なの?」

ハルカ 「あははっ、私は体が資本だからね!」

カミヤ 「あははっ、さすがだね! まぁ、ゆっくりして行ってよ!!」
カミヤ 「ほら…ミカゲ、ハルカちゃんが来てくれたよ?」

カミヤさんがそう言うと、側のベッドで寝ているミカゲがゆっくりとこっちを見る。
けど、すぐに顔をぷいっ、とそっぽ向けてしまった。
やれやれ…何を恥かしがってるんだか。

ハルカ 「まぁ、思ったよりは元気そうね…てっきりガタガタで強がることも出来ないかと思ったけど」

マリア 「根が図太いもの…これがそんな弱音吐くともおもえないし、ね」

そう言って、同じくベッドで雑誌を読んでいるマリアちゃんがミカゲを指差す。
するとミカゲはさすがに嫌そうな顔をして渋々体を起こす。

ミカゲ 「…余計なことは言わないで、あなたも似たような物でしょう?」

マリア 「あら? 聞こえてたの? それは悪かったわね…悪気が合ったわけじゃないのよ」

ミカゲ 「ふん…」

ミカゲはそれ以上は何も言わずに、またベッドに横になった。
やれやれ…無理に体起こしちゃって。

カミヤ 「ふふ…ミカゲは何だかんだで嬉しいんだよ」
カミヤ 「ハルカちゃんが見舞いに来てくれるのを楽しみにしてたんだから♪」

ハルカ 「え、そうなの?」

ミカゲ 「…そんなわけないでしょう、勝手な想像しないで」

ミカゲはそっぽを向いたままそう否定する。
まぁ、そりゃ絶対に肯定するとは思ってないけどね。

カミヤ 「…ハルカちゃんは、ミカゲにとって初めての友達だもんね」

ハルカ 「そうなの? まぁ…ミカゲにそんな友達っていなさそうではあるけど」

ミカゲ 「……別に、初めてと言うわけじゃないわよ」

カミヤ 「あれ? じゃ、いたの? 友達……」

マリア 「強がりはよしなさいよ…あなたも私も友人なんて作る柄じゃないでしょ?」

ミカゲの言葉にふたりは明らかに驚く…と言うかマリアちゃんは呆れてるけど。
でも、ミカゲの表情からはそれが嘘だとは思いにくかった。
何か、とても大切な物を語るかのような…そんな雰囲気。

ハルカ 「…良かったら、それ…聞かせてもらえない? 私、ミカゲのこととかもっと知りたいし」

カミヤ 「僕も興味あるね…って言うか、僕にも教えてくれなかったことなんてちょっと複雑だけど…」

マリア 「私はどっちでもいいわ…話したければ聞いてあげるけど」

ミカゲ 「…鬱陶しいわね」

ミカゲはそう言って一蹴する。
でも、少し間を置いて口を開き始めた。

ミカゲ 「…もう、10年位前だわ」
ミカゲ 「たまたま…ジョウト地方に訪れた時のこと」

カミヤ 「あ…まさか、それって」

マリア 「黙っていなさい、カミヤ…野暮と言うものよ」

カミヤ 「あ、ごめん…」

マリアちゃんが珍しくミカゲの肩を持ってカミヤさんにそう言う。
すると、ミカゲは続きを語る。

ミカゲ 「…たまたま、コガネシティで出会った少女がいたわ」
ミカゲ 「名前は…覚えてない、ただ…」

ハルカ 「……?」

ミカゲ 「また、遊ぼうって……約束をしたわ」

ハルカ 「………」

ミカゲはその時のことを思い出しているのか、とても寂しそうな顔をする。
そして、私もまた…不思議な気分になっていた。

カミヤ 「…約束、か。でも、来なかったんだよね、その子…」

マリア 「何よ、もしかして初恋だったとか、甘ったるいこと言うんじゃないでしょうね?」

ミカゲ 「…甘ったるいのは、あなたの脳よ。相手は少女…私と変わらない位の年の女の子だったわ」

ミカゲはちょっときつめにそう言った。
マリアちゃんはツッコミ返せずに渋い顔をして雑誌に目をやる。

ハルカ 「…その女の子、一緒に木登りとかしたでしょ?」

ミカゲ 「…そうね、確かやったわ」
ミカゲ 「……って、何であなたが知ってるのよ? 人の心を読んだの?」

確かに、私はそういうこともできますがね…今回は違うっての!

ハルカ 「…はぁ、道理で」
ハルカ 「特別な感じがするわけだ…ねぇ?」

ミカゲ 「…何を言ってるのよ? わけがわからな…っ!?」

パサッ…グルグル

私はバンダナを外し、髪型を昔の風に素早く整え、ポニーテールにしてバンダナで縛る。
当時とは結構違うだろうけど、多分十分だろう。
現に、私の今の姿を見て、ミカゲは呆然としていた。

ハルカ 「…ごめんね、約束……守れなくて」

ミカゲ 「…嘘でしょ、何で…何であなたなのよ!?」
ミカゲ 「大体…今更、ごめん…って…わけがわからないでしょう!?」

ミカゲは信じられないという顔でそう捲くし立てる。
無理も…無いわよね。
ミカゲにとっては初めての友達で、唯一、心を許せた相手だから。

ハルカ 「…あの時の約束、忘れてたわけじゃないのよ」
ハルカ 「あの日は、私にとっても……ショックが大きすぎる日だったから」

ミカゲ 「……何よそれ、言い訳なんて聞きたくないわ!」

ハルカ 「…それでも、聞いて」
ハルカ 「あの日は、私がポケモンとの触れ合いを絶つと決めた日だった」
ハルカ 「自分の弱さを克服するため…格闘技を習うと決めた日だった」

カミヤ 「…な、何か複雑なんだね。でも、どうしてミカゲに会いに行くことは出来なかったの?」

ハルカ 「…ミカゲにはミカルゲがいたから」

ミカゲ 「……?」

ミカルゲ 「ミカ〜?」

突然ミカルゲが顔を出す。
そうか、やっぱり今も一緒なのね。
私はミカルゲを見てそっと微笑みかけた。
すると、ミカルゲも笑いかけてくれた。
私はクスス…と笑い、話を続ける。

ハルカ 「私はポケモンと触れ合うことを拒否した」
ハルカ 「だから、ミカルゲと一緒のミカゲに会うことはできなかった」
ハルカ 「それでも、翌日…話だけでも、と思ったら、もういなかった」
ハルカ 「後悔…と言えば後悔かもしれない」
ハルカ 「それでも、自分が選んだ以上…もう考えを変えることは出来なかった」

マリア 「って…これ10年前の話よね? あなた8歳って所でしょう? よくそんな考え持てるわね…」

言われりゃもっとも…まぁ、そう言う両親の元で育ったからかなぁ?

ハルカ 「ま、まぁ…そう育てられたからよ、多分!」

? 「んで、そっから4年後、お前は俺と出会ったわけだ」

ハルカ 「師匠!?」

コウリュウ 「よっ、立ち聞きもなんだから入らせてもらうぜ?」

そう言って、師匠は病室に入ってきた。
って言うか、まだいたの?

カミヤ 「あ、えっと…ハルカちゃんの親御さんですか?」

コウリュウ 「はぁ? まぁ…似たようなもんだがな」

ハルカ 「違いますよ…この人はコウリュウ、私の格闘技の師匠です」
ハルカ 「はぁ…ややこしくなりそうだからあんまり首突っ込まないでくださいよ?」

コウリュウ 「何だよ…さすがに気になるじゃねぇか、愛弟子の倒した相手がどうなってるのとかよ!」

悪趣味だ…最悪だこの人。

マリア 「まぁ、別に過去とかもういいわ…長くなりそうだし」
マリア 「それより、ミカゲはどうするのよ?」

ミカゲ 「…はぁ? 何がよ…」

マリア 「あなた馬鹿? 折角、友人と再会できたんだから、抱き合って喜び合ったら〜?」

完璧に楽しんでマリアちゃんはそう言う。
明らかにミカゲをからかっている。
死んでもそんなことはしないということもわかっているでしょうに。

ミカゲ 「……何よ、今更」
ミカゲ 「ずっと、忘れていたくせに…私は、忘れてなかったわ」

ハルカ 「…うん、謝っても許してもらえないとは思ってる」
ハルカ 「だから、改めて!」

グッ!

私は強引にミカゲの手を取り、笑いかける。

ハルカ 「私と友達になってください!」

ミカゲ 「は、はぁ!?」

カミヤ 「あははっ、良かったねミカゲ! 今度こそ初めての友達だよ!!」

マリア 「全くお似合いよ、あなたたちは…付き合ってられないわ」

コウリュウ 「何かよくわからんが、元気そうで何よりだ!」

小さな病室に巻き起こる笑い声。
気がつくと、ミカゲ以外、皆が笑っていた。
そして、そんな空気に耐えられないミカゲは私の手を振り払って布団に潜り込む。

ミカゲ 「…ふん、別にいらないわよ、友達なんて」

ハルカ 「そっか、じゃ…しょうがないね」

ミカゲがそういう以上、私はこれ以上踏み込めなかった。
私は少しだけ間を置き、その場を後にすることにした。

コウリュウ 「行くのか?」

ハルカ 「はい、そろそろミシロタウンに戻ろうと思うんで」

ミカゲ 「!!」

マリア 「あら…いいのミカゲ? ハルカとはもう会えなくなるわよ?」

カミヤ 「後悔するくらいなら、本当のこと言った方がいいよ?」

ミカゲ 「……!!」

ふたりはそう言うけど、ミカゲは何も言わなかった。
けど、少しだけ布団が震えてるのがわかった。
うん…そうだよね、やっぱり寂しいよね。
私も…同じ気持ちだから、今は……

ハルカ 「…さよなら、ミカゲ」

ミカゲ 「……! ぅ…!!」

私はそれだけ言って歩き出した。
少しだけ、涙が出た。
私は涙を拭くために顔を俯かせていると、突然前方不注意で人にぶつかる。

ドンッ!!

ハルカ 「きゃっ!? ご、ごめんなさい!」

ランマ 「おっとと…大丈夫かいなハルカちゃん」
ランマ 「何か、あったんか?」

ハルカ 「あ、え…あははっ、な、何でもないです!」
ハルカ 「そ、それじゃ!」

ランマ 「あ〜! 待ちぃな!! ハルカちゃんもおるなら丁度ええわ!」
ランマ 「ちょっと、話あるさかい、聞いてくれなはれ」

ハルカ 「え…?」

何だか突然のことに少し戸惑いつつも、私たちはまた病室に留まることになった。



………。



ランマ 「…話はまず、今年の『チャンピオンズ・リーグ』のことや」

ハルカ 「? 何です、それ?」

マリア 「あなた馬鹿? ポケモンリーグ優勝者が最後に挑戦を許される、いわば本当の最強決定戦」
マリア 「それがチャンピオンズ・リーグなのよ…大体、おかしいと思わないの?」
マリア 「ポケモンリーグに、現チャンピオンや四天王が出場していないことに…」

ハルカ 「言われて見れば…」

ランマ 「…まぁ、そういうことや」
ランマ 「で、今年の優勝者であるミカゲはん…」
ランマ 「残念やが、医師の許可が出ん以上は、出場は許可されへん」
ランマ 「で、本来なら中止…ってことになるんやが」

コウリュウ 「2位繰り上がり…ってとこか、大将?」

師匠がそう言うと、ランマさんは頷く。
え…それってつまり、準優勝の私が…?

カミヤ 「やった! ハルカちゃん凄いじゃない!! 勝てばホウエンチャンピオンだよ!?」

ハルカ 「え、ええ〜!? でも、ミカゲ抜きでそんなこと…」

ランマ 「ハルカちゃんの言うことも最もや」
ランマ 「せやから、ふたりに聞きたいんや」
ランマ 「ハルカちゃんが出場することに賛成か反対か」
ランマ 「ミカゲはんがハルカちゃんの出場を認めへんって言うなら、この話はハナから無しや」
ランマ 「せやけど、認めるって言うなら…それは優勝者からの権利譲渡として正式にハルカちゃんに譲られる」
ランマ 「…後は、ハルカちゃんが出場したいかどうかや…これは本人の意思で決めてくれなはれ」

そう言ってランマさんは話を区切る。
思いの外、重大な話だ。
あくまで優勝者はミカゲ…でも、ミカゲが出場できない以上、私が出ると言うことに…

ミカゲ 「………」

マリア 「別にいいんじゃないの? 片意地張って中止にするのも、何か勿体無いわ」
マリア 「期待している人間も多いでしょうし、盛り上げるだけ盛り上げれば?」

カミヤ 「…まぁ、決めるのはミカゲだし」

ハルカ 「……ミカゲ」

ミカゲはしばらく何も答えなかった。
やがて、ランマさんが椅子から立ち上がり、最後に言う。

ランマ 「…一応、急ぎの話でもあるから、できれば今日中に答えは頼んます」
ランマ 「答えが無い場合は、中止の方向で進めますわ」

カツ、カツ、カツ…

そう言って、ランマさんは部屋を出て行く。
このまま答えを待っても…無理か。

ハルカ 「…しょうがないよね、ミカゲの代わりだなんて、私もとても勤まらないだろうし」
ハルカ 「下手に出場して負けても、格好悪いだけだし、ね…」

コウリュウ 「それでいいのか? 折角の晴れ舞台だぜ?」

ハルカ 「ミカゲが認めないと言うなら、仕方ないことです」
ハルカ 「…私みたいな半人前がここまで来れただけでも、上出来ですから」

私はそう言って部屋を後にする。
が、すぐにそれを呼び止める声があった。

ミカゲ 「…待ちなさいよ」

ハルカ 「…ミカゲ?」

見ると、ミカゲが体をヨロヨロと起こし、こちらを見ていた。
そして、私の顔を一瞬見て、すぐに目を離す。
後は、ただ一言……

ミカゲ 「…やるからには、勝ちなさいよ」
ミカゲ 「私の代わりに出るんだったら、絶対負けは許さないんだから!」

ハルカ 「!! ミ、ミカゲ…」

カミヤ 「…うん」

マリア 「全く…不器用ね」

コウリュウ 「だ、そうだ。ハルカ、行って来い!!」

ハルカ 「は、はいっ! 行って来ます!!」

ダダダダダダダダッ!!

私は全速力でランマさんを追いかけた。
病院では走るな…と言う注意も聞かずに。(滝汗)





………………………。





『4月20日 午前9:00 サイユウシティ・スペシャルフィールド』


ワアアアアアアアアアアアアァッッ!!!

コトウ 「さぁ、皆様! いよいよ始まります!! 今年最大のメインイベント!」
コトウ 「果たして、今年は王座交代があるのか!? 注目が集まる中、挑戦者の入場です!!」



ハルカ 「っしゃあああああああぁぁぁっ!!」

私は全力でフィールドを駆け抜ける。
今回のフィールドは今までとはまるで違う…ラインも何も引かれていないし、完全にアウトドアだ。


コトウ 「優勝者のミカゲ選手が出場不可能ということにより、その権利が本人から準優勝者へ譲渡され、出場となったハルカ選手!」
コトウ 「もちろん、ファンは待っていた!! 彼女の強さは誰もが認めております!!」
コトウ 「ミシロタウンからやって来た、吹き荒れるタイフーンは! チャンピオンすら吹き飛ばせるのかーー!?」



………。



? 「よく来たな、チャレンジャー…」

ハルカ 「!? あ、あなたが最初の相手ね…!」

私は声のする方に目をやる。
すると、そこにはモヒカンの明らかに怪しさ抜群の男が立っていた。
横には黒服サングラスのヤバそうな部下を引き連れている…ってか、ヤクザだろこれ!?

黒服 「カゲツさん! どうぞ!!」

カゲツ 「馬鹿野郎! 相手はガキだ…煙草は置いとけ」

黒服 「し、失礼しやした!!」

そう言われ、部下は退く。
すると、カゲツと呼ばれたモヒカンの男は私を見て笑う。

カゲツ 「こいつはいい…いい目をしてやがる」
カゲツ 「久しぶりに、骨のある挑戦者って所か…」

ハルカ 「…とりあえず、あなたを倒してさっさと先へ進ませてもらうわ!!」

カゲツ 「オーケー…じゃあ軽くルールを説明してやる」
カゲツ 「まず、ここでの戦いはそれぞれが6体のポケモンを自由に使って戦う」

ハルカ 「6体を自由に?」

カゲツ 「とは言っても、同時に出せるのは2体までだ」
カゲツ 「フィールドは自由に動き回っていい…少なくとも見えてる一帯全てがフィールドだ」
カゲツ 「観客や、実況はスタジアムからモニターしている、だからここにいるのは俺たちだけだ」
カゲツ 「後の細かいことはそこの案内ロボに聞け」

ハルカ 「ロボ?」

ロボ 「ご質問があれば受付いたします」

そう言って現れたのは、小さな液晶画面が着けられた、空飛ぶ機械。
直径30cm位の小型ロボはどうやら、私のサポートをしてくれるようね。
相手にも同じ物が飛んでる…何か色々な機能がありそうね。

ハルカ 「とりあえず、審判は?」

ロボ 「それは私が代用いたします」
ロボ 「ポケモンのダウン判定、決着、全て私が決定を下します」

カゲツ 「と言うわけだ、さぁ始めようぜ!! 俺たちにしか出来ないポケモンバトルをよ!!」

ボボンッ!!

グラエナ 「ラァッ!」
アブソル 「ソルッ!!」

ハルカ 「悪タイプの使い手カゲツ…なるほど、ただの相手じゃなさそうね!!」

私は明らかに鍛えこまれた面構えの二体を見る。
四天王に関してはユウキから色々教えてもらった、基本的に四天王はジムリーダーと同じ様にひとつのタイプを突き詰めている。
それゆえに、独特の戦法が存在し、今まで戦った相手とはまるで比較にならない…ってことだけど。

ハルカ 「とりあえず弱点は弱点!! セオリーで攻めるわよ!!」

ボボンッ!!

アゲハント 「ハ〜ン!」
アメモース 「アメッ!」

カゲツ 「ほう…虫タイプ二体か、こいつはちょっと厄介だな」

グラエナ 「ガウゥッ!!」

アメモース 「アメ〜ッ!」

まずはグラエナとアメモースが互いに『いかく』をする。
これにより互いのポケモンは攻撃がそれぞれ下がってしまった。
さて…ここは先制攻撃で一気に仕掛けるか?

カゲツ 「戻れ『アブソル』! グラエナ『ほえる』だ!!」

シュボンッ!!

グラエナ 「グ〜…ラーー!!」

アメモース 「モスッ!?」

シュボンッ! ボンッ!

ライボルト 「ラ、ライ!?」

ハルカ 「しまった出遅れた!! アゲハント『むしのさざめき』!!」

カゲツ 「おっと、まずは逃げるぜ!!」

グラエナ 「ガウッ!」

ズドドドドッ!!

ハルカ 「は、はぁっ!?」

アゲハント 「ハ〜ン…」

何と、カゲツさんは背を向けてグラエナと走り去ってしまった。
ま、まさかこの広大なフィールドを駆け回るつもり!?

ライボルト 「ライッ! ライライ!!」

ハルカ 「う〜ん、追いかけなきゃそりゃ始まらないけど…」

どう考えても罠だろ…
でも私は挑戦者! そんなの構うかーーー!!

ハルカ 「よっしゃーー!! やるだけやるわよ!!」

ライボルト 「ライッ!」
アゲハント 「ハ〜ン♪」

私はライボルトとアゲハントを連れ、とにかくカゲツさんの後を追うことにした。
今はとにかくわかる範囲で戦うしかない! このフィールドで戦うのはカゲツさんの舞台で戦うと言うことだ。

ダダダダダダッ!!



………。



ハルカ 「…結構走ったけど、何よここ? まるでジャングルじゃない!」

ガササッ!

アゲハント 「ハ〜ン♪」

アゲハントは楽しそうに飛び回っている。
虫タイプはこういう所が好きそうよね…対してライボルトは。

ライボルト 「ライ〜…」

草や木が邪魔なのか、どうにも歩きにくそうな感じだ。
仕方ないわね…ここは一旦。

ドゴァッ!!

グラエナ 「ガァッ!」

ライボルト 「ライーー!!」

ハルカ 「な、何事!?」

カゲツ 「かかったな! ダーテング『しぜんのちから』!!」

ダーテング 「テンッ!!」

パラパラパラ!!

アゲハント 「ハ〜ン!!」

あまりの突然な出来事に私はパニックになる。
足元からグラエナが飛び出し、ライボルトを攻撃、更に木の上からダーテングが『しぜんのちから』
ライボルトは一気にダメージを受け、アゲハントは痺れてしまった。

カゲツ 「畳み掛けるぞ! グラエナ、アゲハントに『アイアンテール』!!」

グラエナ 「グラッ!」

ヒュッ! ドガァッ!!

アゲハント 「アゲーーー!!」

ドシャッ!!

グラエナの素早い攻撃にアゲハントは木に叩きつけられてしまう。
マズイ! 完全に相手のペースだ!! こっちも反撃をしないと!!

ハルカ 「ライボルト、グラエナに『10まんボルト』!!」

ライボルト 「ラーーイッ!!」

バチバチバチィッ!!

カゲツ 「甘いぜ! 止めろダーテング!!」

ダーテング 「テンッ!!」

ヒュンッ!!

ハルカ 「は、速っ…!?」

何と、ダーテングは目にも留まらぬ速度でライボルトの前に立つ。
そして『10まんボルト』を受けきってすぐに反撃に移る。

ダーテング 「グゥッ!!」

ライボルト 「ライッ!!」

ドガァッ!!

ダーテングの『かわらわり』をライボルトは素早く回避する。
反射的にかわしたから良かった物の、相当なスピードだ。
私はまさか、と思い上空を見上げる。

カァァァァァァァァァッ!!

ハルカ (やっぱり! すでに『にほんばれ』が仕込んである!!)

さすがは四天王と言うべきか…逃げたかと思えばちゃっかり場を整えていたなんて!
これが経験の差ってやつかしらね…ミカゲなら難無く対処しちゃうんだろうけど…(汗)

アゲハント 「ハーーンッ!!」

キィィィィィィィィンッ!!

カゲツ 「くっ!? まだ倒れていなかったのか!?」

グラエナ 「グゥゥ…!」

ダーテング 「テーーン!!」

ズダンッ!!

ロボ 「ダーテング戦闘不能です」

カゲツ 「ちぃ…さすがに弱点では仕方ないか!」
カゲツ 「グラエナ! 逃げるぞ!!」

グラエナ 「ガウッ!!」

ズドドドッ!!

またしても背を向けて逃げるカゲツさん。
クソッ…このまま逃がしてたまるか!!

ロボ 「ハルカ選手、道具は使用いたしますか?」

ハルカ 「え? 道具?」

ロボ 「はい、この試合では『かいふくのくすり』が2つ支給されており、好きなタイミングでの使用が可能となっております」
ロボ 「必要でありましたら、お申し付けください」

アゲハント 「…ハ〜ン」
ライボルト 「ライ…」

見るとふたりともダメージは思いの外大きい…一度態勢を立て直すべきか、それともギリギリまで温存するか?

ハルカ 「ん…考えてみれば、常にポケモンを2体出しておくことも無いのか」

ロボ 「はい、最低1体、最高2体のポケモンを常に場に出しておく、と言うのがルールですので」

ロボの念押しを受け、私は現状の状況を考える。

ハルカ 「よし、それなら…」



………。
……。
…。



カゲツ (む…随分遅いな、挑戦者の気質ならそろそろ来てもおかしくなさそうだが)

グラエナ 「……」

ハルカ (予想通り…隠れてるわね)

今度は私も隠れている…フィールドはまだジャングル。
それなら、利用はできないこともない。
隠れる場所は嫌と言うほどあるし、気配を消せば少なくとも私の姿はほとんど感づかれない。
問題は、ポケモン…グラエナは目視できた、今度は地中じゃない。
もう一体は…見えない所を見ると出してないのかもしれない。

ハルカ (よし、ここはこっちのペースにさせてもらうわよ! 行けダーテング『リーフストーム』!!」

ダーテング 「テンッ! テ〜〜〜〜〜ンーーー!!」

ビュゴゴゴゴゴゴゴオオオオオオォォォッ!!

カゲツ 「な、何っ!?」
カゲツ (トレーナーの指示が聞こえなかったぞ!? ポケモンが自分で動いたと言うのか!?)

グラエナ 「ガ、ガゥ…」

ロボ 「グラエナ、戦闘不能です」

カゲツ 「ちぃっ…やってくれるな挑戦者! 出ろ『ノクタス』!!」
カゲツ 「かくれんぼはここまでだ! 『すなあらし』!!」

ハルカ (『にほんばれ』よ!)

ノクタス 「タスッ!!」

ビュゴオオオオゥゥゥゥゥゥゥッ!!

ダーテング 「グ…テンッ!!」

ゴゥッ! ギュンッ!! パアァァァァァァァァァァァッ!!

ノクタスはすぐに『すなあらし』で天候を変えるけど、私はダーテングに『にほんばれ』を心で指示する。
タイミングはバッチリで、天候はすぐに日照りへと変わった。

カゲツ (かかった! まだまだバトルは甘ちゃんだな!!)
カゲツ 「『ミサイルばり』だ!!」

ノクタス 「ターーー!!」

バババババッ!!

ダーテング 「テ、テンッ!!」

ハルカ (反応が速い! 誘われていたの!?)

ノクタスがすぐに攻撃に転じた。
4倍の攻撃を受け、ダーテングは何と簡単にダウンしてしまう…

ロボ 「ダーテング戦闘不能です」

ハルカ 「くそっ、戻って!」

シュボンッ!!

カゲツ 「はっ! 悪タイプで俺に挑むなんざ、舐められたもんだな!」
カゲツ 「悪タイプのことで俺の知らないことはない!! そして、使い手の心理と言う物も自ずとわかる」
カゲツ 「しかも、お前のダーテングは『はやおき』の特性だ、日照りにした所で速度が上がるわけじゃない」

ハルカ 「く…そこまで読まれてるなんて!」

さすがと言うべきか…ダーテングは私のポケモンでもかなりレベルが高いポケモンだと言うのに、こうもあっさりと。
しかし、ここで退くわけにはいかない! ノクタスも虫には弱い! 一気に行くしかない!

ハルカ 「出て『アメモース』!!」

ボンッ!!

アメモース 「アメッ!!」

ノクタス 「ク…!」

カゲツ 「上等だ!! こっからがカゲツ様の真骨頂よ!!」
カゲツ 「ノクタス『すなあらし』! そして出ろ『アブソル』!!」

ノクタス 「タスッ!」

ビュゴゴゴゴゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!! ボンッ!!

アブソル 「ソルッ!」

ハルカ (2体出してきたか! 一体じゃさすがに不利だけど…)
ハルカ 「ここは逃げる!!」

ドドドドドドッ!!

アメモース 「モ〜ス!」

パタパタパタパタッ!!

カゲツ 「なっ!? そう来るか畜生!!」
カゲツ 「行くぞ野郎ども!!」

アブソル 「ソルッ!!」
ノクタス 「タッス!」



………。



ザザァァッ!!

ハルカ 「わぉ…海岸♪ さぁて見晴らしもいいし!」
ハルカ 「戻ってアメモース! そして出るのよ『バシャーモ』、『アーマルド』!!」

シュボンッ! ボボンッ!!

バシャーモ 「シャモッ!」
アーマルド 「アーマッ!!」

私は後ろを見る、まだカゲツさんは来ていない。
それなら、一気に場を整えますかな!

ハルカ 「アーマルド『ステルスロック』!!」

アーマルド 「アマッ!!」

ヒュヒュヒュヒュンッ!!

ステルスロックがフィールドを漂う。
こんな広大な所で使った事ってないけど、ちゃんと機能はするわよね?
問題は、カゲツさんの残り手持ちだけど…

カゲツ 「や〜っと追いついたぜ! 手間かけさせやがる!」

ハルカ 「あなたに言われたくありません!」
ハルカ (ん? カゲツさんのポケモンが見当たらない…まさかまた地中?)

私は念のため、ESPサーチ(勝手に名付けた)で、気配を探る。
いる、1体だ! でもこれって上…

? 「サメハー!!」

バシャーモ 「シャモッ!!」

ズドォッ!! バシャァァァンッ!!

ハルカ 「くっ…一体いつの間に!!」

カゲツ 「ちっ、奇襲失敗か…いい反応だなそのバシャーモ!」
カゲツ 「サメハダー! 『ダイビング』!!」

サメハダー 「サメハッ!!」

バッシャアアンッ!!

何と、サメハダーは近くの海に潜ってしまった。
く…そう来たか、バシャーモもアーマルドも水が苦手…これは逆にヤバイかも。

カゲツ 「そら行け『シザリガー』!!」

ボンッ!! ザシュシュッ!!

シザリガー 「シ、シザッ!!」

カゲツ (ステルスロック!? 仕込んであったか…だがこの程度ならまだまだ!!)

カゲツさんはシザリガーを追加し、ステルスロックがシザリガーを傷つける。
大したダメージではないけれど、心理的な効果はあるはず…

ハルカ 「とはいえ、また水タイプ…! 相性はある意味互角だけど…」

こちらは格闘や虫で弱点を突ける代わりに、水はどちらも弱点…
撃ち合いとなるとさすがにこれは…

カゲツ 「迷っている暇は無いぜ!? サメハダー『なみのり』!!」
カゲツ 「更にシザリガーは『ふぶき』!!」

サメハダー 「サメハーー!!」

ザァァァァァァァッパァァァァァンッ!!

シザリガー 「ガーー!!」

ビュゴゴゴゴオオオオォォォォッ!!

バシャーモ 「シャ〜〜〜モーーー!!」

バッ!!

バシャーモはすかさず得意の跳躍で一気に波の上に飛び上がった。
で、地上のアーマルドは…

ハルカ 「『まもる』!」

アーマルド 「アマッ!!」

ピキィィィィィンッ!!

ザパァッ! コキィィィンッ!!

アーマルド 「!?」

ハルカ 「なっ!? 氷漬け!?」

カゲツ 「状態異常とまではいかねぇが…しばらくは動けねぇだろ! 戦闘不能宣告されない限り次は出せないぜ!!」

ハルカ 「くっ! バシャーモ『だいもんじ』!」

バシャーモ 「シャモ! シャーーー!!」

バシャーモは高空から真下に『だいもんじ』を放つ。
もちろん狙いは敵じゃない。

ドッゴォォォワァァァァッ!!

アーマルド 「アマーー!!」

ビキィィィンッ!!

バシャーモの炎でアーマルドは氷から解き放たれる。
だが、カゲツさんはそれすらも織り込み済みのようだった。

カゲツ 「シザリガー『クラブハンマー』!!」

シザリガー 「ガーー!!」

アーマルド 「アマッ!! マーー!!」

アーマルドは向ってくるシザリガーに対して真っ向勝負をする。
そして、互いの攻撃が交差し…

ドバシャァァァンッ!! ズズバァァァァッ!!

アーマルド 「ア、アマ〜〜〜!!」
シザリガー 「ガーー!!」

ドズズゥゥゥゥゥンッ!!

ロボ 「アーマルド、シザリガー、両者戦闘不能です」

ハルカ 「アーマルド、ありがとう!」

シュボンッ!

カゲツ 「上出来だシザリガー…」

シュボンッ!

私たちは互いにポケモンを戻す。
これでこちらは残り4体か…やっぱり手強いな。

カゲツ (いいバトルだ…これほどの勝負は久しい)
カゲツ (こんだけの緊張感は長らく無かったからな…面白くて仕方がねぇ!!)

ハルカ 「バシャーモ! 海に向って『きあいだま』!!」

カゲツ 「何!? だがサメハダーは海中に!」

ザンッ!!

バシャーモ 「シャ〜…モーーー!!」

ドギュゥゥンッ!! ズバッシャァァァァァンッ!!

バシャーモは地上に降り立つと同時、『きあいだま』を海に向って放つ。
サメハダーには当たらなくてもいい、だけど…

サメハダー 「サ、サメハッ!?」

カゲツ 「ぬぅっ!?」

『きあいだま』の爆風でサメハダーは何と海中から弾き出された。
当然サメハダーが空を飛べるわけも無いので空中ではじたばたするだけ…

ハルカ 「バシャーモ、もう一発!!」

カゲツ 「舐めるな! 『ハイドロポンプ』だ!!」

バシャーモ 「シャモーーー!!」

ドギュゥゥゥンッ!!

サメハダ 「ハダーーー!!」

ズババシャアアアアアァァァァンッ!!

ハルカ 「なっ!?」

何とサメハダーの『ハイドロポンプ』は正確に『きあいだま』を撃ち抜く。
ハイドロポンプはそのままバシャーモの横に着弾し、砂浜を抉った。
あの態勢から撃ち返してくるとは…さすがね!

バシャァァァンッ!!

再びサメハダーは海中へと逃げ込んでしまう。
くそ…このままじゃラチが開かない。

ハルカ 「戻って『バシャーモ』!」

シュボンッ!!

カゲツ (ほう…ここで交代するか、となると出てくるのは残りの虫2体!)

ハルカ 「行くわよ『アゲハント、アメモース』!!」

ボボンッ!!

アゲハント 「ハ〜ント!」
アメモース 「モース!!」

両者共に、元気よく登場する。
前もって薬で回復してあるからアゲハントも問題ないはずだ。

カゲツ (ちっ…さすがに回復してやがるか、これはキツイな)
カゲツ 「出ろっ『ノクタス』!!」

ボンッ! ザシュシュッ!!

ノクタス 「タッ!?」

カゲツ (ちぃっ…小ダメージとはいえ、追い詰められていると精神的にきついな)

カゲツさんはステルスロックのダメージに少々顔を歪めた。
ノクタスはまだ元気だけとカゲツさんは確実に追い詰められている。
正常な判断ができなくなったら、一気に試合は終わるわよ!!

ハルカ 「久しぶりに頼むわよ!! 『ダブル・バグストォォォォォムッ』!!」

アゲハント 「ハ〜〜〜〜ンッ♪」
アメモース 「アメ〜〜〜〜〜♪」

キィィィィンッ! ブォワァァァァァァッ!!

カゲツ 「うおおおっ! こ、これはぁ!!」

ノクタス 「タス〜〜〜〜!!??」

サメハダー 「!!??」



………。



久しぶりの必殺技炸裂…これによりその場にいたノクタスはおろか、海中のサメハダーすらダメージが及んだようだ。
まさかのW音波攻撃にカゲツさんも驚きを隠せない顔をしている。

ロボ 「ノクタス、サメハダー戦闘不能です」

カゲツ 「ちっ…まさかこんな必殺技隠してるとは思わなかったぜ、やるじゃねぇか」
カゲツ 「もう、俺に勝ち目は薄い…が、最後まで戦うのが四天王ってもんだ!!」

ボンッ! ザシュシュッ!!

アブソル 「!! ソルッ!!」

ついにカゲツさんは最後のポケモンを繰り出す。
こっちは3体がほぼ無傷、相性も抜群で負ける要素は低い。
2体がかりなら、確実だけど…

ハルカ 「戻ってふたりとも…」

シュボボンッ!!

ハルカ 「最後は任せるわよ『バシャーモ』!!」

ボンッ!

バシャーモ 「シャモッ!!」

カゲツ 「おい…誰が手ぇ抜けと言った? こっちは1体、そっちは2体で攻めるのがセオリーだろうが!」

ハルカ 「そんな勝ち方しても、納得できないだけですよ! それに…これでも負けるつもり無いんでね!!」

そう言って私は強くカゲツさんを睨みつける。
私の意志を知ってか、カゲツさんは頭を抱え。

カゲツ 「なるほど、こいつは大馬鹿だ…相当の」
カゲツ 「上等じゃねぇか!! なら、俺たちのラストダンスと行こうかぁ!!」
カゲツ 「アブソル『サイコカッター』!!」

アブソル 「ソルーー!!」

カッ! バヒュンッ!!

ハルカ 「バシャーモかわせ!!」

バシャーモ 「シャモッ!」

ブォバァッ!!

バシャーモは素早くサイドステップし、『サイコカッター』をかわす。
あれは確かエスパー技だ…当たれば確実に倒れる。
さすがに格闘対策位は基本って所ね…

ハルカ 「行けバシャーモ! 『スカイアッパー』!!」

カゲツ 「迎え撃て! 『サイコカッター』!!」

バシャーモ 「シャモー!」

ドドドッ!

アブソル 「ソルーー!!」

カッ! バヒュンッ!!

バシャーモは正面から突っ走り、アブソルはそれを迎撃する。
アブソルの角から放たれた刃はバシャーモの体を切り裂こうとするが…

バシャーモ 「!!」

ズバァッ!!

バシャーモは当たる瞬間に身を捻り、体を掠めさせて回避する。
胸から腹を切り抜かれたが、バシャーモはそのまま突進を止めなかった。

バシャーモ 「シャモー!!」

ドッギャァァァァッ!!

アブソル 「!? 〜〜〜!!」

ドッシャァァァァァァァッ!!

大きな音と砂煙をたて、アブソルは背中から砂浜に落ちる。
バシャーモは無事に着地し、これで決着は着いた。

ロボ 「アブソル戦闘不能です、よってこのバトル、勝者ハルカ選手」

ハルカ 「いよっしゃぁぁぁぁぁっ!! まずひとーつ!!」

カゲツ 「戻れ、アブソル…」
カゲツ 「やれやれ…やられちまったな。まぁ、見事と言っておこう」
カゲツ 「だが、チャンピオンズリーグの怖さはこんなもんじゃない…お前は先に行ってそれを知るがいいさ」
カゲツ 「俺はお前としか出来ないバトルが出来て満足だった! じゃあなっ!!」

ザッザッザッ!!

そう言ってカゲツさんは男の背中を見せながら去っていった。
う〜む、これぞ男ね…

ハルカ 「さ〜てと、まずはひとつ! 優勝あるのみ!! 待ってろミカゲーー!!」

私はモニターになっているロボに向ってVサインと笑顔を送る。
そして、私はロボの案内に従って次のフィールドへと向った。



………。
……。
…。



カミヤ 「やった! 勝ったよハルカちゃん!」

ミカゲ 「あれ位の相手…倒せて当然よ、私の代わりなんだから」

マリア 「まぁ、それもそうね…初戦でてこずるようじゃ先が思いやられる物」
マリア 「仮にもホウエンで一番強いと言われる相手を倒すんだから…四天王くらいは軽く伸してもらわないとねぇ」

カミヤ 「あ、あはは…きついねふたりとも」
カミヤ (でも、ミカゲは随分嬉しそうだな…顔には出さないけど何となくわかるよ)
カミヤ (『友達』があんなに頑張ってるんだ…きっと、ミカゲも心では応援してるんだろうな)



…To be continued




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