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POCKET MONSTER RUBY



第98話 『VS四天王 その3! 熱き血潮のプリム!! と、その他バトル!』




『4月20日 時刻11:00 サイユウシティ・休憩室』


ロボ 「…次はいよいよ3戦目、準備はよろしいですか?」

ハルカ 「………」

私は前回の戦いを振り返る。
ダウンしたポケモンはバシャーモ、マッスグマ、ライボルト、ジュペッタの4体。
今、無事に私の手持ちにいるのは、前回のダメージを負っているホエルオー、そして無事に回復したアーマルドの2体のみ。
正直、このまま挑むのは愚行…いくらなんでも無茶が過ぎる。
とはいえ、交換すればそれが後々響いてくる。
考えて選ばないと…私に必要なメンバーは…?

バシャーモ…この娘を外すなんて考えられない、確実に休み。
マッスグマ…できれば残しておきたい、どんな局面でも活躍はできる娘だ。
ライボルト…やはり主力。必要になる場面も必ずあるはず。
ジュペッタ…頭の良さは折り紙付き、意表を突く意味でも、非常に役に立つ。

ハルカ (うわぁ〜! 選べねぇ!!)

自分で考えてて馬鹿らしく思えてきた。
無い知恵絞っても限界があるわね…。
この際、相手に合わせてみようかしら?

ハルカ 「次の相手は、氷使いなのよね?」

ロボ 「そうですね、主に使うのは『氷』となります」

ハルカ 「…主に?」

私はロボの言葉に少し疑問を覚えた。
主に…ということはそれだけではない、ということ。

ハルカ (フヨウさんも、ゴーストだけでなく、悪タイプも使ってきた)

と、なると、複合タイプがまたいると思った方が確実ね…カゲツさんなんかほとんどそれだったし。

ロボ 「四天王のプリム選手は、氷をメインとしますが、むしろプリム選手の性質はその戦い方にあります」
ロボ 「…これは実際に戦えばすぐにでもわかることでしょう」

そう言ってロボは深くは言わなかった。
なるほど…何となくわかったような気がする。
となると、やはり先のゲンジ、ダイゴさんの両名をどうにかできるようにパーティを変えなくては…



………。
……。
…。



『同日 時刻11:05 サイユウシティ・スペシャルフィールド3』


ハルカ 「う…寒い」

フィールドに出ると、そこは極寒とも思える雪と氷のフィールドだった。
空からは人工的に降らせてあるのか、雪が降り続けている。
気温は確実に氷点下だろう…それ位寒い。

ロボ 「ハルカ選手、上着の貸出もしておりますので、どうぞご利用を」

ハルカ 「いらん! このままで十分よ!!」

? 「その意気ですわ!!」

ハルカ 「!?」

雪が降り、視界の遮られる正面から、一際大きな声を出す女性がいた。
そう、その女性こそ私が今から戦う相手…

プリム 「私は、四天王が参! 人呼んで、熱き血潮のプリム!!」
プリム 「あなたが挑戦者ですね…待っていましたよ」

プリムさんは金髪のいかにも異人さんと言った風貌。
この気温にしてはやや薄着にも思えるドレス(?)に身を包み、私をしっかりとした目で見据えていた。
この瞬間、私は確信を得る。
この人は、同じタイプのトレーナー…だと。

プリム 「私は強くなるために、祖国からこの国へと渡ってきました!」
プリム 「寒い祖国より、この暑い日本…」
プリム 「私の持つ氷タイプは、この暑い気候によって更に強く磨かれました!」
プリム 「さぁ、戦いましょう! ハルカさん! あなたの熱いバトルを私に見せて!!」

ボボンッ!!

オニゴーリ 「ゴー!!」
トドグラー 「グラッ!」

プリムさんが繰り出したのは、オニゴーリとトドグラー。
どっちも見たことはある、ただ…

ハルカ (トドグラーは水タイプでもある…やっぱり複合タイプか!)

しかも、水は炎を弱めるため、実質弱点が変わっている。
一筋縄でいかないのは、当たり前か…
私は、自分のポケモンを信じて、2体を同時に繰り出す。

ボボンッ!!

ジバコイル 「PP!」
ホエルオー 「ホエッ!」

私はこの2体を場に出す。
ジバコイルはジュペッタと交代した。
残念だけど、ここはタイプ相性を生かす!

プリム 「ふふ、まずは弱点を突いてセオリーという所でしょうか…」
プリム 「ジバコイルならば、水にも氷にも効果抜群、良いポケモンです!」
プリム 「ですが! 弱点などという物は、倒せなければ何の意味も無い!!」
プリム 「さぁ、始めましょう! トドグラー『みずのはどう』! オニゴーリは『じしん』です!!」

ハルカ 「ジバコイル『でんじふゆう』! ホエルオーは『ねむる』!!」

オニゴーリ 「ゴーー!!」
ジバコイル 「P−!」

ドッギャァァァァァァッ!!!

まずは、オニゴーリが『じしん』を放つ。
ジバコイルはギリギリ技が間に合い、『じしん』を見事回避する。
新たに覚えていたこの技…さっそく役に立ったわね!

トドグラー 「〜〜!! グラーーー!!」
ホエルオー 「〜〜! ホエッ!」

ギュッバァッ!!

しかし、安心も束の間、『じしん』をまともに喰らいながらもトドグラーは技を放ってきた。
狙いはホエルオー! だけど、ホエルオーも『じしん』に耐え、すでに技の態勢に入っていた。

バァンッ!!

ホエルオー 「…! ZZZ〜」

ホエルオーは更に相手の技に耐え、眠りに着く。
3分はこのままだけど、体力は完全回復した…ホエルオーなら水も氷も半減なのですぐにはやられないはず。

プリム 「く…『じしん』と『みずのはどう』を両方受けても耐えるとは!」

ハルカ 「今度はこっちの番よ! ジバコイルトドグラーに『10まんボルト』!」

ジバコイル 「GG−!!」

バチバチバチッ!!

トドグラー 「グ、グラーーー!!」

トドグラーはまともに電気を喰らい、ダウンする。
よしっ、まずは好調に一体撃破よ!!

プリム 「くっ、さすがですね…! 戻りなさいトドグラー! 出なさい『トドグラー』!!」

ボンッ!

トドグラー 「グラー!!」

ハルカ 「また同じポケモンか…!」

フヨウさんの時もそうだったけど、同じポケモンを使ってくるのか…
こうなると、どんなことをしてくるのかが私には読めない。
同じポケモンを2体以上使うなら、同じ育て方はしないはずだ。
今度のはどんな戦い方をする?

プリム 「まずは、ジバコイルを落とす! オニゴーリ『ふぶき』! トドグラーは『あられ』!!」

トドグラー 「〜〜ラーー!!」

バラバラバラッ!!

ハルカ 「くっ!? 天候変化技か…!」

まずはトドグラーが天候を『あられ』に変えてしまった。
この状態だと、その場にいる全員がダメージを受ける。
もちろん…氷タイプ以外が。

ハルカ 「ジバコイル! なんとかかわすのよ!!」

オニゴーリ 「ゴーーーー!!!」

ビュッ! ゴオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォッ!!!!

だが、オニゴーリの口から放たれた『ふぶき』は想像を絶する効果だった。
霰の影響も大きいのか、フィールド全体を揺るがすかのようなそれは回避などできるはずも無い効果範囲だった。

ジバコイル 「PP〜〜!!」
ホエルオー 「!! ZZZ…」

ジバコイルとホエルオーはダメージに耐え、何とか事なきを得る。
効果今ひとつとはいえ、この威力…流石と言わざるをえない。
そう何度ももらうわけには行かない…ここは一気に攻める!!

ハルカ 「立てなおすのよジバコイル! オニゴーリに『ミラーショット』!!」

ジバコイル 「PG!」

カァッ! バヒュンッバヒュンッ!!

ジバコイルは左右の腕から二発の弾丸を撃つ。
弾速はそれほど早くないが、この技は当たるとそれなりに効果が高い。

ババァンッ!!

オニゴーリ 「ゴ、ゴーー!!」

オニゴーリは何とか耐える…が、『ミラーショット』の効果により視界を奪われ、相手を見失っていた。
そう、これが『ミラーショット』の追加効果、相手の命中を下げる能力!

プリム 「くっ! 構いません! 『ふぶき』ですオニゴーリ!! トドグラーも『ふぶき』!!」

ハルカ 「!? ガン攻めとはね…!」

どうやら、少し考えを改める必要がありそうだった。
この人は私と同じタイプだと思ってたけど、訂正する。
この人は私を遥かに超える、『猪』だ。
弱点だろうが今ひとつだろうがお構いなし、最大の攻撃をとにかく相手に浴びせてKOする。
攻撃こそ最大の防御とは…よく言ったものね。
だけど、この状況ではそれが最良か…! ジバコイルは攻撃後でまだ動けない…ホエルオーは後1分!

ハルカ 「ジバコイル! 動けるなら動け! 『ソニックブーム』!!」

私は叫び、ジバコイルに指示を出す。
だけど、相手の方が先に攻撃する、当たり前と言えば当たり前。
それでも、この指示に意味はある。
限界を超えろ…!! あんただってできるはずよ!!

ジバコイル 「PPGGーーー!!!」

オニゴーリ 「リーーー!!」
トドグラー 「ラーーー!!」

ゴォッ!! ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオワアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!!!

2体がほぼ同時に『ふぶき』を放ってくる。
ジバコイルはそれを正面に見据え、限界を……超えた。

ジバコイル 「PG!!」

バッ! ビュワアァァァァッ!!

プリム 「なっ!?」

ジバコイルの放った『ソニックブーム』は『ふぶき』をいくつかかき消し、ジバコイルはダメージを軽減する。
ホエルオーはそのままダメージを食らってしまったけど、体力はまだ大丈夫…それに。

プリム 「あの攻撃に対応するなんて…! 凄いわ…!」

ハルカ 「これ位で驚かれても困るわよ! ホエルオー『じしん』!!」

ホエルオー 「ZZ…! ホ〜エーーー!!!」

ドッギャァァァァァァァァァァァンッ!!!

オニゴーリ 「ゴッ!?」
トドグラー 「グラーー!!」

眠りから起きたと同時、ホエルオーは『じしん』でフィールドを揺らす。
ジバコイルは空中なので当たらない、当然相手2体のみを襲ったのだ。

ロボ 「オニゴーリ戦闘不能」

プリム 「くっ…強い、さすがにここまで来るだけのことはありますね!」
プリム 「ですが、まだ終わりません! 出るのです『オニゴーリ』!!」

シュボンッ! ボンッ!!

オニゴーリ 「ゴーーー!!」

ハルカ 「また同じポケモンかい!!」

私はいい加減ツッコミを入れる。
四天王はそんなに同じポケモンが好きなのだろうか?
バリエーションが無いと言われても仕方ない気がする。

ハルカ (とはいえ、読み辛いという点では変わらない)
ハルカ (ここまで統一でガン攻めだけど、同じだろうか?)

プリム 「オニゴーリ『かみくだく』!!」

同じだった…特殊が物理になっただけかい!!
まぁ、この際与し易いと思っておこう!!

ハルカ 「ジバコイル『マグネットボム』! ホエルオーは『とびはねる』!!」

ジバコイル 「PP!!」

ヒュヒュヒュンッ!!

オニゴーリ 「ゴーーーッ!!」

ガブッ! メキメキッ!!

ホエルオー 「オーーー!!」

ホエルオーは噛み付かれるも痛みに耐えてその場から飛び跳ねた。
そして、ジバコイルの放った『マグネットボム』が正確にオニゴーリを攻撃する。

ドドドォンッ!!

オニゴーリ 「ゴーッ!!」

オニゴーリはマグネットボムの直撃でホエルオーから離れる。
この技は威力が低めだけど確実に命中するのが良い所だ。

プリム 「まだっ! トドグラー『ふぶき』よ!!」

トドグラー 「グラーーーー!!」

ビュゴゴゴゴゴオオオオオオオオオォォォッ!!

またしても、『ふぶき』がフィールドを襲う。
オニゴーリが地面に向かって落ちていくのを見てか、一気に技を放ってきた。
この状態ではさすがに同じことは難しい…だけど、ただのガン攻めなら対応はできる!!

ハルカ 「ジバコイル、下降!!」

ジバコイル 「! P!」

ジバコイルは『でんじふゆう』のスイッチを切り、その場から急降下する。
上に向かって放たれた技ならこうしてかわせば良い…ホエルオーはまだ一発位耐える!

ホエルオー 「〜〜!! ホエーーー!!」

ハルカ 「よしっ! 行けホエルオー!!」

ホエルオーは『ふぶき』に耐え、トドグラーに向かって落ちていく。
ホエルオーの体重で思いっきり圧し掛かられるんだから、その威力は計り知れない…

トドグラー 「グ、グラーッ!!??」

トドグラーは慌てて回避しようとするが遅い。
ホエルオーの巨体はすでに真上まで迫っており、トドグラーを無常に下敷きにした。

ズッドオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォンッ!!!

プリム 「今だ! オニゴーリ『だいばくはつ』!!」

ハルカ 「え…!?」

オニゴーリ 「オニゴーーーーリーーーーーーーーーーーーーー!!!」

カッ! チュッドオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォンッ!!!

一瞬のことだった。
ホエルオーがトドグラーを踏み潰し、ジバコイルは地面スレスレで止まった所。
オニゴーリは体を震わせてその場で『だいばくはつ』を起こした。
あまりに不意のことで私も対応が出来なかった。
まさか、ここでそんな策に出るとは…!

ロボ 「…オニゴーリ、トドグラー、ホエルオー戦闘不能です」

ハルカ 「!? ジバコイルは耐えてる! 戻ってホエルオー!」

シュボンッ!

私はホエルオーを戻し、すぐにジバコイルの元に向かって『かいふくのくすり』を使う。
良かった…鋼が威力を半減させてくれたんだ、助かった。

プリム 「く…倒しきれませんでしたか、仕方ありませんね…これが最後です! 『トドゼルガ』、『ラプラス』!!」

ボンッ!!

トドゼルガ 「ゼルガーーー!!」
ラプラス 「ラプーーー!!」

高らかに雄叫びをあげ、トドゼルガとラプラスは登場する。
大きなポケモンだ、あれがプリムさんの切り札。
どちらもかなりの威圧感を感じる。
確実に強いポケモンだ…同じ戦術でも、どこまでやってくるか…!

ハルカ 「こっちもこれが最後よ!! 出なさい『アーマルド』!!」

ボンッ!

アーマルド 「アマーー!!」

こっちも負けじと咆哮する。
そう、これが今回最後のポケモン…残りのポケモンは全て回復中だ。
無謀とは思ったけど、限界までやる価値はあった。
ジバコイルは想像以上にレベルを上げ、プリムさんを圧倒してくれた。
ホエルオーは耐えられなかったけど、限界までやってくれたと思う。
後は、任せるわよ!

プリム 「それが最後とは…思い切った物ですね、3体だけで私に勝つつもりだったとは…」
プリム 「ですが、私は四天王が参!! そう簡単に負けるわけには行きません!!」
プリム 「さぁ、最後まで己が血を煮え滾らせましょう!! 私のポケモンにも流れる熱き血潮!!」
プリム 「今こそ、あなたにお見せします!!」

トドゼルガ 「ガーー!!」
ラプラス 「プーー!!」

ハルカ 「気合で負けるな!! こっちも全力で行くのよ!! 相性は五分!! 限界を超えろーーー!!」

ジバコイル 「GGG!!」
アーマルド 「アマーー!!!」

4体のポケモンが叫ぶ。
ここからは小細工無用のガチバトルだ! ケンカの強い奴が勝つ!!

ハルカ 「先手は取るわよ!! ジバコイル『10まんボルト』!! アーマルドは『ロックブラスト』!!」
プリム 「叩け!! トドゼルガ『こおりのキバ』!! ラプラスは『ハイドロポンプ』!!」

ジバコイル 「PPG!!」

バチバチバチィッ!!

まずはジバコイルが先手を取る。
比較的鈍足なトドゼルガを狙い、まずは足を止めた。

アーマルド 「アマーー!!」

バババババッ!!

ラプラス 「ラプーーーーーーーー!!!」

バッシュウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!! ドバババババァンッ!!

アーマルド 「ア、アマーー!!」

アーマルドの『ロックブラスト』は『ハイドロポンプ』に貫かれ、一気に大ダメージを追う。
威力は半減させたけど、この威力…! 直撃だったらやられていた!
これでこっちのアーマルドと相手のトドゼルガは互いに大ダメージ。
まだまだ、勝負はこれからって所ね…プリムさんは強い表情で見ている。

トドゼルガ 「ガーー!!」

ハルカ 「マズイ!? アーマルド『まもる』!!」

アーマルド 「マ…!? アマッ!!」

ピキィィィィンッ!!

アーマルドは辛うじて技を間に合わせる。
絶対無敵のバリアでトドゼルガの攻撃を凌いだのだ。

プリム 「まだまだこれからですよ!! ラプラス『なみのり』!!」

ラプラス 「ラプーーー!!」

ドッズゥゥゥゥアアアアアアアアアアァァァァンッ!!!

ラプラスは周りを気にせずに一気に波に乗ってきた。
相方のことは全く見ていない、体力に任せてこっちを沈める気か!?

ハルカ 「『まもる』の連続使用は分が悪い…! ジバコイル『ほうでん』!!」

ジバコイル 「PGPG!!」

ピシャァァァァンッ!! バチチィッ!!

プリム 「!? くうっ!」

向こうが水で全体攻撃するなら、こちらも電撃で全体攻撃をお見舞いした。
互いの技がぶつかり合うも、電気と水は相容れない物。
互いの技が全てのポケモンにダメージを与える結果となった。

トドゼルガ 「ガ…!!」

ドズゥゥンッ!!

ロボ 「トドゼルガ戦闘不能…アーマルド…」

アーマルド 「ドーーーーーーーーー!!」

ザパァンッ!!

アーマルドは何とその場から水を跳ね除けて元気をアピールした。
あの子…指示なしで『まもる』の連続使用を…!
運任せとはいえ、それに勝ったのは強運の証だ! これで…勝ったも同然!!

プリム 「…くっ、これも天命ね。戻って『トドゼルガ』」

シュボンッ!

プリムさんは険しい顔をするも、闘志は消えていなかった。
私も気を抜きはしない。

プリム 「私は最後まで戦うをことを止めはしない!!」
プリム 「ラプラス『ハイドロポンプ』!!」

ハルカ 「ジバコイル『ミラーショット』!!」

ジバコイル 「PG!」

バシュシュンッ!! ドドンッ!!

ラプラス 「ラプーー!?」

ドバァァァァッ!!

ラプラスは顔面に直撃を受け、照準を狂わせた。
当然ながら、そこには誰もいない…そして私の指示も待たずにアーマルドはラプラスに最後の一撃を見舞う。

アーマルド 「アマーー!!」

ザシュ! ドバァッ!!

ラプラスは十文字に切り裂かれ、その場でぐったりとする。
『シザークロス』が直撃した…もう立てない。

ロボ 「…ラプラス戦闘不能、よって勝者ハルカ選手」

ハルカ 「うっしゃぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

プリム 「…戻りなさい、ラプラス」

シュボンッ!

プリムさんはラプラスをボールに戻し、表情を和らげた。
戦いは終わったのだ…苦しくとも、私は勝利した。

プリム 「さすがに、強いですね…それでこそ挑戦者です」
プリム 「私は全力を尽くしました、悔いはありません」
プリム 「さぁ! 先に進みなさい!! 四天王最強の男があなたを待っていますよ!!」

ハルカ 「はいっ!」

私は、強く答え、先へと進んだ。
後ふたり…それが終われば私がチャンピオン…か。

ハルカ (今はそれでいい、称号が欲しい訳じゃないけど)
ハルカ (私はミカゲの分まで負けるわけにはいかないんだ!!)





………………………。





『同日 同時刻 サイユウシティ・総合病院・ミカゲの病室』


カミヤ 「また、勝ったみたいだね」

ミカゲ 「………」

私はVTRでハルカの活躍を見ていた。
途中、危ない場面もあったけど、勝ってはいる。
不思議な物ね…前は他人のバトルなんて何の気にもならなかった。
今は、何故か妙な気分になる。
ハルカのことだけは、私の心を少しだけ安らかにしてくれる気がした。

ガチャ…

マリア 「あら、また勝ってるの? 以外とやるようね、あなたの『親友』さんは」

マリアはいきなり病室に入ってくると、そんな口を叩く。
鬱陶しいが、今は気分が悪くないので何も言わないでおいた。

カミヤ 「マリアちゃん、今日で一応退院でしょ? どうしてここに?」

マリア 「別に…何となくよ」
マリア 「ポケモンの回収ついでに寄っただけだから」

そう言ってマリアは少し恥ずかしそうに顔を赤らめて、髪を手で靡かせる。
こいつもよくわからないわね…前に比べると随分丸くなったみたいだけど。

カミヤ 「ふふ…これもハルカちゃんのおかげだね」

カミヤは勝手に納得したのか、微笑む。
一体何が嬉しいのか…私にはよくわからなかった。

マリア 「…ふん、まぁいいわ」
マリア 「私は久しぶりに遊んでくるわ…ポケモンの状態も確かめたいし」
マリア 「あなたはどうせ動けないんでしょ? せいぜい休むことね…」

バタンッ

マリアは言うだけ言って出て行ってしまった。
全く、何が言いたかったのか…本当によくわからない。

カミヤ 「次は最後の四天王…ハルカちゃんは勝てるかな?」

ミカゲ 「負けるようじゃ困るのよ…私の代わりなんだから」

私はややきつめにそう言う。
だけど、まるで私の心境を見透かしたかのようにお、カミヤは笑っていた。

カミヤ 「ふふ…そんなことを言えるようになっただけでも、ミカゲは随分成長したね」

ミカゲ 「………」

私は何も答えなかった。
いつ尽きるかもわからない私の体に、成長なんて意味があるのかしら?
前は何とも思わなかった…でも、今は。

ミカゲ (何故か、『生きたい』と思う……)





………………………。





『同日 時刻12:30 サイユウシティ・ポケモンセンター』


店員 「はい、あなたのポケモンは元気になりましたよ!」

カレン 「どうも…」

私は回復したポケモンを受け取り、センターを後にした。
そして、空を見上げる。

カレン (知らなかった……ネロ先生がすでに亡くなられていたなんて)
カレン (それも、ひとりの少女を救うために…)

私はこの前、病院で真相をついに突き止めたのだ。
それも、ネロ先生の親友である、カミヤ先生から。

カレン 「…出てきて、『ヒードラン』」

ボンッ!

ヒードラン 「ヒドッ」

私は引き取った『ヒードラン』を外に出す。
先生がずっと使っていた、伝説のポケモン。
先生は、ヒードランを使役しているのではなく、友として一緒にいると言っていた。
私にはそれがよくわからない。だけど、このヒードランの育てられ方を見れば、その理由はわかる気がした。

カレン 「…あなた、最後まで先生と一緒だったのよね? 先生は、満足だったと思う?」

ヒードラン 「…?」

ヒードランは良くわからないという風に、首を傾げた。
そうよね…わかるわけはない。
これは私のエゴだ。
先生を救えるのは私だけだったという…思い込みの。

ミク 「…良いポケモンね、相当な強さを感じるわ」

カレン 「!? あ、あなた…いつの間に!」

ミク 「…大会で一度見たことがあるわね、VTRだったけど」
ミク 「あのヒードランかしら?」

カレン 「え…? ご、ごめんなさい…私にはちょっとわからないけど」

ミク 「…そう、同じポケモンだと思ったのだけど。そうね…あの時のトレーナーは男だった」
ミク 「伝説のポケモンと呼ばれる者がそう何体もここにいるとは思えないけど」

この人、一体何なんだろう?
妙な雰囲気は感じる。
だけど、それはトレーナーとしての感覚だ。
この人は、強い…身に纏う闘気が普通のそれではない。
私じゃ、絶対に勝てない…そんな気がした。

ミク 「…あなた、良かったら私とバトルをしない?」

カレン 「はっ?!」

いきなり挑まれてしまう。
さっき、絶対に勝てないと確信したばかりなのに…

カレン 「私じゃ、絶対に相手にならないと思います! その…止めた方が…」

ミク 「このポケモンを育てたのがあなたなら、そうは思わないわね」
ミク 「相当な実力者と判断するわ…」

そこまで褒められるとは、さすがネロ先生のポケモン。
私は少し、心が痛かった。

ヒードラン 「ヒドッ!」

ボボボッ!!

カレン 「ヒードラン…あなた、戦いたいの?」

ヒードラン 「ヒドンッ!!」

ヒードランはそう言って強く頷く。
私は、今までポケモンの心に深く触れようと思ったことはなかった。
だけど、大切な人が死んで、その人のポケモンを受け継いで…私は、新しい一歩を踏み出さなければならないのかもしれない。

ミク 「本当に良いポケモンね…この子は戦いによって得られる物を理解している」
ミク 「それは、あなた自身にも関係のある物よ? それでも、戦いを拒むのなら、それは仕方がない」
ミク 「無理強いはしないわ…戦う意思のない者と事を構えることはしない」

カレン 「…やります」
カレン 「戦います、このヒードランで!」

私がそう言うと、女性は微笑した。
そして、顔つきを変え、ボールをひとつ取り出す。

ミク 「我が名はミク!! 亡き父の意思を受け継ぎ、今ここにその魂を見せん!!」
ミク 「出でよ!! 『バンギラス』!!」

ボンッ!!

バンギラス 「バーーーンッ!!」

カレン 「!? 凄い気迫!! 左目に傷を負ったバンギラスとは…!」

だけど、こっちのヒードランも負けてはいない!
向こうが父の魂を受け継いだと言うなら、こっちも同じ条件だ!!

カレン 「私はカレン!! 亡き師の魂を受け継いだヒードランで迎え撃つ!!」

ミク 「ほう…そう言う事だったのか、なるほど…道理で」

ミクさんは納得したのか、微笑む。
そして、それは一瞬のこと、すぐに表情を戦闘モードに切り替えた。

ミク 「さぁ、参られよ!! このバンギラス…生半可な攻撃ではビクともせぬぞ!!」

ミクさんがそう言うと、バンギラスはドッシリと重心を低くし、身構える。
迎え撃つための態勢だ。自分からは攻撃しないと言う意思表示。
相手の攻撃を受けた上で反撃をすると言うのだ…これは恐ろしい。

カレン (だけど、ネロ先生ならここは小細工なんてしない!)
カレン 「行くわよヒードラン! あなたの力を私に見せて!! 『だいちのちから』!!」

まずは効果抜群の技でバンギラスを攻撃する。
ヒードランはその場で前足ふたつを高く上げ、一気に大地を踏み抜いた。
その衝撃波が地面を伝い、バンギラスの足元を揺らす。

ビキャァァァァンッ!!

バンギラス 「!!」

ミク (!? 父さんのバンギラスが一瞬怯んだ…鍛えられているようね!)
ミク 「バンギラス『じしん』!!」

カレン 「!?」

即座にミクさんは反撃に移る。
ヒードランは地面タイプに酷く弱い! 喰らえば即ダウンもあり得る!

バンギラス 「ガァァァッ!!」

ドッギャァァァァァンッ!!

ヒードラン 「ヒ、ヒドーーーーッ!!」

バンギラスはこちらの予想を超える速度で『じしん』を繰り出し、ヒードランを強襲する。
まともに喰らったヒードランは大ダメージを負い、確実に致命傷を負った。

ヒードラン 「ヒ、ヒドッ…!」

ミク 「あの攻撃に耐えるのか…やはり、強いな!」

カレン 「ヒ、ヒードラン、もう…!」

ミク 「喝!! カレン殿! 貴公がそんなことでどうする!!」
ミク 「貴公のポケモンはまだ戦えると言っているのだ!! それを信じないで何とする!!」

カレン 「!? ヒ、ヒードラン…あなた?」

ヒードラン 「ヒドォ! ヒーードッ!!」

ドォンッ! ズシィンッ!!

ヒードランはダメージを気にしないと言った風に強く地面を踏みしめた。
ダメージは大きいはずなのに…それでも戦うと言うの?

ミク 「さぁ、もう一度参られよ!! その力を示して見せぃ!!」

バンギラス 「バンッ!!」

ドズゥンッ!!

バンギラスは右足を強く前に踏み出し、再び前屈みに構える。
何度でも来いと言う意思表示だ。
そして、限界までやろうと言っている。
先生なら、笑って答えたのかしら?

カレン 「だったら!! やってみせるわよ!! ヒードラン『マグマストーム』!!」

ヒードラン 「ヒーードォッ!! ガァッ!!」

ゴッバァァァッ!! カッ! ドッグォォォォォンッ!!!

バンギラス 「グオオオオオオォォォッ!!」

ミク 「!? バンギラスが悲鳴を!!」

私自身も、驚いていた。
効果が今ひとつな技であるのにこの威力…ヒードランは今まで力をセーブしていたのだろうか?
強力すぎる力は伝説のポケモンにとってひとつの枷になっていると聞いたことがある。
ヒードランは意識的に力をセーブしていたのかもしれない…相手を傷つけることを恐れて。
だけど、今目の前にいる相手は全力で戦うに値すると判断した相手。
だからヒードランは本気になった。
それが、この力…私に初めて見せてくれた姿。

ミク 「その力…見事。だがっ! 勝負においては我も後退は無い!!」
ミク 「バンギラス『ストーンエッジ』!!」

バンギラス 「!! グオオオォワァァァァッ!!!」

バンギラスはマグマストームの嵐の中右手を大きく振り上げ、その場で地面を殴りつけた。
そして、その力は大地へと流れ込み、岩の槍となってヒードランを襲う。

ドバァァァンッ!!

ヒードラン 「!! 〜〜〜ッ!!」

ドガシャァッ!! ズズゥゥゥンッ!!!

カレン 「ヒ、ヒードラン!?」

私はすぐにヒードランへと駆け寄る。
凄まじい一撃だった…ストーンエッジがあんな形で出るなんて。
まさに一撃必殺の槍…これも、トレーナーとの絆で成せる技だとしたら、恐ろしい物だ。

ミク 「…よくやったわバンギラス、さすが…父さんのポケモンね」

バンギラス 「…グゥ」

シュボンッ!

ミクさんはバンギラスをボールに戻し、私の元に歩み寄った。

ミク 「少し、やりすぎたか…だが、許して欲しい、こうでもしなければこちらが危なかった」

カレン 「いえ…正しい判断かと、私も…こんなにヒードランの力が強いとは知らなかったので」

ミク 「ふ…互いに、己のポケモンとはまだまだ分かり合えていないようだ」

そう言ってミクさんは笑う。
私も不思議と笑みが零れた。
何年振りだろう…こんな風に笑うのは?
先生…私は、成長しましたか? カレンは、まだまだ…未熟者です。





………………………。





『同日 時刻18:00 サイユウシティ・海岸』


マリア 「ふぅ…全然練習にもならないわね」
マリア 「これじゃ、リハビリにならないわ…誰かまともに私の相手をできるようなのはいないのかしら?」

キヨミ 「ここにいるぞーーーー!!」

マリア 「な、何よあなた!?」

キヨミ 「そんなことはどうでも良し! トレーナーなら、目が合ったら…」
キヨミ 「即バトル! 行け『バクフーン』!!」

マリア 「!? やるなら相手になってあげるわよ! 『ガブリアス』!」

ボボンッ!

私たちは、ほぼ同時にポケモンを繰り出し、戦闘態勢に入る。
相手はあのミカゲと同等クラスと言われていたマリアだ。
手加減なんて初めから必要ない! 全力で叩き潰す!!

キヨミ 「バクフーン! ぶち込め!! 『だいもんじ』!!」

マリア 「当たらなければどうという事はないわ! 回避して! 『あなをほる』!!」

バクフーン 「フーンッ!!」

ギュバァッ!!

ガブリアス 「ガブッ!」

ドゴァッ!! ドゴォォォンッ!!

キヨミ 「ちっ! かわされたか…バクフーン、全力でジャンプ!!」

バクフーン 「フッ! ーーーーーンッ!!!」

バクフーンは態勢を屈め、一気に飛び上がる。
バシャーモに比べると脚力は無いけど、その場から離れるだけなら十分!

マリア 「甘いわよ! ガブリアス『りゅうのはどう』!」

ドゴォッ!!

ガブリアス 「ガァッ!!」

バフゥンッ!!

ガブリアスは穴から姿を現し、すぐに追撃する。
いい反応ね! 流石と言うわ!!

キヨミ 「だからどうしたぁ!! バクフーン『ブラストバーン』!! 思いっきり行けーーー!!」

マリア 「ちょっ!?」

バクフーン 「フーーーーンッ!! カーーーーーーー!!」

バクフーンは空中から身を捻り、背後のガブリアスを見据える。
目の前には『りゅうのはどう』が迫り来るが、正面から迎え撃った。

キュィィィィィィ…ドギュアアアアアアアアアァァァァァァァァンッ!! ズバァァァンッ!!

ガブリアス 「ガッ!?」

ドバァァァァァァァンッ!! ゴオオオオオォォォォォッ!!!

大炎上。
夕暮れ時の海岸で砂が一気に舞い上がり、炎が巻き起こった。
ドラゴン相手に効果は今ひとつ…だけどそれがどうしたってのよ!
要は大きなダメージを与えればいいのよ! 確実にね!!

キヨミ (とはいえ、隙だらけなのは已む無し…ここは何とか耐え凌ぐわよ!!)

ガブリアス 「ガブァッ!!」

ゴバァッ!!

ガブリアスはさすがにこの程度ではグラつきもしない。
返って神経を逆撫でしたくらいだ…だけど十分に効果はあったわね。

マリア 「ちっ、少し落ち着きなさい! ガブリアス『じしん』よ!!」

ガブリアス 「ガブゥ……ガァァァァッ!!」

キヨミ (来る! 一瞬でもいい!! 飛べ!!)

ドッギャァァァァァァァンッ!!

バクフーン 「フーンッ! ガァッ!!」

ドゴォォォンッ!!

バクフーンはダメージを食らう一瞬に体を動かし、ダメージを最小限に抑えた。
とはいえ、タイプ一致の大技、しかも弱点でただでは済まない! だけど、それがいい!!

マリア 「そんな!? 耐えたって言うの!?」

キヨミ 「死ななきゃ安いわよ!! もう一発ぶち込めーーー!!」

バクフーン 「カァァァァ…フーーーーーーーーーンッ!!!」

ドゴォワァッ!! キュィィィィィィィ……ドッギュアアアアアアアアアアァァァァァァァァンッ!!!

早くも本日二発目の『ブラストバーン』。しかも今度は『もうか』のオマケ付きだ。
いくら今一つでも、そう何度も耐えられると思うな!!

ガブリアス 「!?」

チュッドオオオオオオオオオオオォォォォォンッ!!!

マリア 「キャァァッ!?」

キヨミ 「うっしゃぁぁぁぁぁぁ!!」

私は思いっきり両手を上げ、勝利を確信。
体力0! 文句無し! 私の勝利!!

ガブリアス 「〜〜」

マリア 「…くっ、服が派手に汚れちゃったじゃないの! あなたねぇ!! 見境なくあんな大技を連発するんじゃないわよ!!」

キヨミ 「知らないわよ〜、それ位しないと倒せなかったし…」
キヨミ 「それにポケモントレーナーなら服なんか気にしてられないわよ…どうせ汚れるんだから」

マリア 「うぅ…何でこうなるのよ! 不愉快だわ……」

マリアはぶつくさ言いながらガブリアスをボールに戻して去っていった。
やれやれ…何だかねぇ〜

キヨミ 「うん! 今日も絶好調であーーーーーーーる!!」

私は夕日に向かって両手を腰に当て、高らかに叫んだ。
ハルカちゃんも今頃はチャンピオンかな?
次にやったら絶対に勝つ! 楽しみにしなさいよハルカちゃん♪



…To be continued




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