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POCKET MONSTER RUBY



第99話 『VS四天王 その4! ポケモントレーナー・ゲンジ』




『4月20日 時刻13:00 サイユウシティ・休憩室』


ロボ 「…とうとう4戦目ですね、大丈夫ですか?」

ハルカ 「………」

3戦目が終わった後、私は昼休憩で昼食を摂った。
いよいよ、四天王もラスト一人…最強の四天王が待ち受ける、ということだ。
否が応にもプレッシャーは大きくなる。
だけど、そんな物に負けてはいられない…あの娘に笑われちゃうからね。

ハルカ (問題は出すポケモンか…)

バシャーモ、マッスグマ、ライボルトは確定。
ダメージを追ったアーマルド、ジバコイル、ダウンしたホエルオーは…ここまででしょうね。
次の相手はドラゴン使いのゲンジ。
ドラゴンは氷とドラゴンに弱い…

ハルカ (と、なると…氷の使えるポケモンが重要ということ)

控えで使えるのはフィオネ、ペリッパー、クチートか。
ラストバトルも考えると、全員でなるべくダウンを抑えるバトルがいいんだけど。
ドラゴンは炎、水、草、電気を半減するため、これらのタイプを重複させるのは正直望ましくない。

ハルカ (と、なると…ダメージの大きいジバコイルはここでリタイアでしょうね)

電気ならライボルトが使えるし、信頼感も高い。
交代させるなら…誰?

ハルカ (ホエルオーの代わりはペリッパーがいいわね…同じ水だし、空を飛べる方が今回は有利な気がする)

となると、ジバコイルの代わりも自ずと決まった。

ハルカ 「よしっ、オーダー決定! いざ行かん!!」

ロボ 「それでは、入場しましょう」

私はロボと一緒にフィールドへの扉を開いた。
そして、その先に広がるのは……

ビュゴオオオオォォォォォォッ!!

ハルカ 「!?」

見渡すかぎりの山脈。
いや、普通に考えたらありえない気がするけど、ここはサイユウの山の頂上付近。
特別なフィールドと考えれば問題ないのか。

ゲンジ 「よくぞここまで来た! 待っておったぞ…」

古い時代の船長…と言った服装に身を包み、広い口髭を長く伸ばしている初老の男。
見た目からして、ベテランの臭がし、強さは身に纏う気ですぐに分かるほどだ。

ハルカ 「!! あなたが、四天王のゲンジ…」

私がそう言うと、ゲンジさんはニヤリと笑い、答える。

ゲンジ 「いかにも! ワシこそが、ホウエン四天王の最後のひとり!」
ゲンジ 「挑戦者よ…お前にひとつ問おう」

ハルカ 「?」

ゲンジ 「お前は、ポケモンにとって何が大切がわかるか?」

唐突な質問だった。
だけど、私には愚問だ。

ハルカ 「そんな物は人それぞれ。皆、自分たちにとっての大切な物を持っているわ!!」
ハルカ 「ポケモンも然り! 大切なのは、トレーナーと共に過ごした時間よ!!」

私が強くそう言うと、ゲンジさんは嬉しそうな顔をする。
そして、笑顔で私を静かに睨み、言葉を放つ。

ゲンジ 「それが分かっているのならば、良し。分かっていないのであれば、ワシを倒すことはできん!」
ゲンジ 「それ以上のことは、バトルの中で知れい! 出ろ!! 『コモルー』、『フライゴン』!!」

ボボンッ!!

ゲンジさんが出したのは二体のドラゴン。
一体は、地上にズッシリと4本足で立ち、こちらを睨んでいる丸っこいの。
もう一体はヒビキさんが使っていたので知っている、ご存知フライゴンだ。

ハルカ (フライゴンは地面タイプ…電気は封じられたか、だったら!)

ボボンッ!!

クチート 「クチッ!」
ペリッパー 「ペリッ!」

私はこの二体で行く!
交代させたばかりだけど、早速やってもらうわよ!!

ロボ 「それでは、バトル開始」

ハルカ 「先手はもらう! ペリッパー『ふぶき』!!」
ゲンジ 「先手はもらう! フライゴン『すなあらし』!!」

互いが同時に叫ぶ。
これがゴングとなって、互いのポケモンが動き始める。
速度は圧倒的にフライゴンの方が速い! ペリッパーは大技だけにかなり遅れてる!

フライゴン 「フラァッ!!」

ビュゴオオオオオオオオオオォォォォォッ!!

まずはフライゴンが砂嵐を起こし、フィールドを覆う。
広いフィールドだが、バトルの射程から考えても十分すぎる範囲だ。
私たちはトレーナーもろとも『すなあらし』の効果範囲に入っていた。
視界は若干奪われ、ポケモンにはダメージを蓄積させていく。
地面タイプのフライゴン、鋼タイプのクチートはまるで意に介さないけど、他のポケモンはそうではない。

ペリッパー 「ペ、ペリ〜〜!」

ビュゴオオオオォォォォッ!!

ペリッパーは強引に『ふぶき』を放つも、威力が乏しい。
砂嵐の風力に負けているのか、本来の威力を出せないでいた。

ゲンジ 「そんな程度の吹雪では効果はないぞ!? コモルー『すてみタックル』!!」

対象指定はしていない、となると狙うのは地上のクチートか!?

ハルカ (だけど、鋼相手に反動付きの『すてみタックル』!?)

どう考えてもミスチョイスの技、この時点で裏があると踏み、私は指示を出す。

ハルカ 「クチート! 『れいとうビーム』!! 下からなぎ払え!!」

クチート 「クチチッ!!」

コオオオオオオォォォォッ! キィィィィィィンッ!!

クチートの角から放たれた『れいとうビーム』は地面から上になぎ払われ、空中のフライゴンを狙った。
地面からやったのは一応布石、地上のコモルーに対しての対応だ。
とはいえ、コモルーには直接ヒットはしていない、あくまで最大の効果はフライゴンに向けてのものだからだ。

ゲンジ 「ちぃっ! 旋回!」

フライゴン 「フラァッ!」

ビキィンッ!!

フライゴンは高速で旋回するも、翼を凍らされた。
当然飛び続けるのは難しく、下降してくる。
私はその隙を見逃す気はない。

ハルカ 「ペリッパー! 『ハイドロポンプ』よ!!」

ペリッパー 「パーーーー!!」

バシュウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!

圧縮された水柱がペリッパーの口から放たれ、フライゴンの土手っ腹に直撃する。
効果は普通だけど、効いているわ!!

ハルカ (だけど、やっぱり強い…! ペリッパーの技じゃ最高の威力なのに半分弱しか削れない)

ドラゴンの力というのはとにかく大きいのだ。
弱点も大きい分、それら以外にはとにかく強い、どうにかして氷をぶつけないと…!

ゲンジ 「フライゴン! 『はねやすめ』!」

フライゴン 「フ、フラッ!」

ハルカ 「マズイ!? 回復される…!」

とはいえ、すぐにこっちは行動できる状態ではない。
しかもコモルーがもう…

コモルー 「コモーー! コッ!?」

ツルンッ!! ドシャァッ!!

ゲンジ 「!? コモルー! どうした!?」

ゲンジさんはコモルーの状態を把握できていないようだった。
だけど、これが私の狙い。
クチートの『れいとうビーム』で地面が凍り、コモルーは足を滑らしたのだ。
何をする気かはわからなかったけど、この隙に…

ハルカ 「クチート、もう一発『れいとうビーム』!!」

ゲンジ 「むぅ!? 『まもる』!!」

クチート 「クチィッ!」
コモルー 「コモーーー!!」

ピキィィィィンッ!! パァァァァァンッ!!

クチート 「クチーーーー!!」

ハルカ 「な、何今の!?」

見たこともない使い方だった。
コモルーは『まもる』のフィールドを展開し、そのフィールドを一気に広げたのだ。
その余波は若干距離のあったクチートまで及び、フィールドをぶつけられたクチートは後ろへ吹き飛ばされた。
これにより、コモルーは『まもる』の隙を完全に消去し、相手の攻撃すらキャンセル。
まさに絶好の反撃チャンスとなってしまった。

ゲンジ 「行けい! 『かえんほうしゃ』!!」

ハルカ 「くっそ! だったらこっちもやり返す!! 名づけてアドヴァンシング! 『まもる』よ!!」

クチート 「クッチーーー!!」

ピキィィィィンッ!! パァァァァッァンッ!!

コモルー 「コモッ!?」

ゴワァァァァッ!!

コモルーの『かえんほうしゃ』を完全にかき消し、クチートはコモルーがやったことをそのままやり返した。
元々、並じゃないセンスを持ってた娘だったけど、ここに来てまた成長したわね!

ズザザァァァァッ!!

コモルーは自分がやったことをそのままやり返され、戸惑いの表情を見せる。
いかにトレーナーがベテランでもポケモンがそうとは限らないみたいね!
隙だらけよ!!

ハルカ 「小細工なし! 『ラスターカノン』よ!!」

私は現状クチートが使える最大の技を『試し打ち』する。
そう、まだ使ったことがないのだ。
威力、速度、その他の効果をとにかく知る必要がある。
何せ、私自身『初めて』見る技だし。

クチート 「クッチーーーー!!」

ギュィィィンッ!! バァァァンッ!!

クチートは角の口に鋼のエネルギーを溜め、それを弾丸として撃ち出す。
正面のコモルーに向けてそれは高速の弾となり、1秒もかからず着弾した。

ドォォンッ!!

直後爆発。
コモルーは派手に後ろへ吹き飛んでゴロゴロと岩場の地面を転がった。
ダメージはあるけど…まだコモルーは倒せない!

ハルカ (くっそ…こっちの攻撃力が相手の防御力に追いついてない! レベルの差は結構大きいみたいね)

特に今回の2体は久しぶりの実戦、レベルもそれほど鍛えられてないのが響く。
この戦闘中にどこまでレベルアップできるかにかかるかも…

ゲンジ 「よしっ! フライゴン『りゅうのいぶき』だ!! コモルーは『あなをほる』!」

今度は同時に動かしてくる。
その速度はここまでで一番早い。
どうやら、本気になり始めたようね…

ゲンジ (ふふふ…嬉しいぞ、これ程の挑戦者は久しい)
ゲンジ (実に心が若返る! お前の父を思い出すわ!!)
ゲンジ (ダイゴが気にかけていると言う少女…調べてみれば、それも納得。あのセンリの娘とはな!)
ゲンジ (ワシはこのバトルを心底楽しみにしていた! 今はその幸せを噛みしめておるわ!)

フライゴン 「フラッ!」

ゴオオオオオォォォォッ!!

コモルー 「コモッ!!」

ドゴォッ!

フライゴンは地上に足をつけたまま空中のペリッパーに狙いを定めて放射。
コモルーはその場で地面を掘り、姿を消した。

ハルカ 「ペリッパー『まもる』! クチートは『てっぺき』!!」

私は防御策を敷く。
こちらの攻撃では相手を押し切るのが難しい…なら逆の戦術を立てるまでだ!

ペリッパー 「ペリッ!」
クチート 「クチッ!」

ピキィィィィンッ!! カキィィィィィンッ!!

ペリッパーは『りゅうのいぶき』を凌ぎ、クチートは防御を高める。
弱点攻撃でも物理系ならこれでクチートは耐えられる。
ペリッパーはこの隙に反撃を…

ゲンジ 「ふっ…セオリーのようにはいかんぞ?」

ハルカ 「?」

コモルー 「コモーー!!」

ドゴァッ!!

ペリッパー 「ペ、ペリッ!?」

何と、コモルーは地面から飛び出すと、そのまま空中のペリッパーに噛み付いた。
これにはさすがの私もドびっくり。
どう考えても予想できない攻撃だからだ。
地面タイプの技で空中の相手を狙うなんて!!

ゲンジ 「直接効果はなくとも、そんな物は応用が効くものだ!!」
ゲンジ 「コモルー『かみくだく』! 引きずり下ろせ!! フライゴン『じしん』だ!!」

マズイ!と思った頃には事は終わっている。
なので、私はすでに頭の中で指示に入っていた。
強引だが、テレパシーでクチートに指示を送っておいたのだ。

クチート 「チィッ!!」

フライゴン 「フ、フラッ!?」

狙いはフライゴン。
距離はかなり遠かったけど、『ふいうち』の効果でクチートは一気に距離を詰められた。
やられる前にやる!
ダウンは取れなくてもフライゴンの意表は突ける!

ガコォッ!!

鈍い音がした。
クチートは鋼の角でフライゴンの脳天を叩き割ったのだ。
体力を回復させたフライゴンはダウンこそしないもの、『じしん』のタイミングはずらすことに成功した。

ゲンジ 「むぅ!? 速いな…これ程の反応で対応してくるとは!!」

ハルカ 「ペリッパー気合入れろーー!! 『ふぶき』!!」

ここで私は一気に気合を込める。
ペリッパーは翼をコモルーに噛み砕かれながらも口から『ふぶき』を全力で放った。
砂嵐はすでに消えている! 全力で行け!!

ペリッパー 「ペーリーーーー!!」

ビュゴゴゴゴゴゴゴゴワァァァァァァァッ!!!

コモルー 「コ、コモ〜〜〜!!」

かじり着いていたコモルごと吹き飛ばし、その効果はフライゴンにまで及ぶ。
クチートはすぐにその場からは離れられないため、直撃を受けることになるが、鋼なので大したダメージにはならない。

フライゴン 「フラーーー!?」

ズッギャァァァァァァァンッ!!

派手な音と共に、フライゴンは最後の力を振り絞って『じしん』を巻き起こした。
その時点で地面近くにいたポケモンは全てダメージを負う威力だ。
こうなるのは眼に見えていたけど、こうするしかなかった…!



………。



大きな音と共に音が止む…しばらくの静寂。
私はその場の状況を判断し、すぐに指示を出した。

ハルカ 「ペリッパー『はねやすめ』! クチート『つるぎのまい』!!」

ゲンジ 「!?」

ペリッパー 「ペリッ!!」
クチート 「クチィッ!!」

ロボ 「フライゴン、コモルー、戦闘不能です」

ペリッパーとクチートはダウン宣言の前に技を繰り出して次に備えた。
私は自身の能力で体力を判断し、直ぐ様対応したのだ。
これでペリッパーは受けたダメージを大きく回復。
クチートはダメージこそ大きい物の、能力を高めた。

ゲンジ 「むぅ…! 瞬時に己のポケモンの状態を把握するとは!」
ゲンジ (ここまでの戦い、それほど力が拮抗しているわけではなかった…むしろこっちが圧倒的に有利になるはずだった)
ゲンジ (しかし、恐るべきはトレーナーとそのポケモンか…)

シュボボンッ!!

ゲンジさんは帽子の先を摘み、下にずらす。
そしてこちらをジッ…睨みつけ、何かを考えているようだった。

ハルカ (…ここまでは120点、限界突破って所ね)
ハルカ (正直、分の悪い賭けだった…むしろよくやった方だわ)
ハルカ (だけど、ここからも同じとは限らない…まだまだ底が見えてない気がする)

ゲンジ 「よしっ! 行け『チルタリス』! 『フライゴン』!!」

ボボンッ!!

チルタリス 「チルルッ!」
フライゴン 「ライッ!!」

ゲンジさんはまたフライゴンを出した。
四天王って、ネタ無いの? それともそれ自体が戦略なのかしら?
まぁ、この際どっちでもいい! 相手の弱点は変わってないのだから…

ハルカ (どの道、氷を当てれば大きなダメージが与えられる!)

ロボ 「それでは、初めてください」

ハルカ 「クチート『バトンタッチ』!!」

クチート 「クチチッ!!」

クチートはすぐに身を翻し、自分の技でボールへと戻った。
そして、その力は別のボールへと移り変わり、私は次のポケモンを繰り出す。

ゲンジ 「フライゴン『だいちのちから』!! チルタリスは『りゅうのまい』!!」

当然、交換にはリスクが付きまとう。
ゲンジさんも『バトンタッチ』は知っている、『てっぺき』で上げた能力を無視した攻撃を選んだってところね。

ハルカ 「耐えろ『マッスグマ』!!」

ボンッ!

ドギャギャギャギャギャァンッ!!

フライゴンは地面を伝って大地のエネルギーをマッスグマにぶつけた。
その威力は大きく、マッスグマの体力を大きく持って行ってしまった。
だけど、その代償は払ってもらう!

ハルカ 「ペリッパー『ふぶき』!!」

ペリッパー 「ペリーーーー!!」

ビュゴゴゴゴゴゴゴゴワァァァァァァァッ!!

ペリッパーは再度『ふぶき』を放つ。
今度は邪魔する物はない! まともに当たれば一気に…

ゲンジ 「チルタリス『りゅうのはどう』!!」

チルタリス 「チルルーー!!」

ギュバァァァァンッ!! ドビュウゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!

チルタリスは大きな波動を口から発射し、それは大きな球体となって吹雪を貫いた。
その波動で吹雪は威力が拡散し、思ったダメージは与えられなかった。

ハルカ (くっ!? 威力を殺してきたか…!)

ゲンジ 「フライゴン『にほんばれ』!!」

フライゴン 「ラッ! ライーー!!」

ボボゥッ!! カァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!

ゲンジさんはすぐに場を展開する。
まるで無駄の無い指示ですぐに戦局を変えてくるのだ。
場は日照り状態となり、これでは『ふぶき』の効果にも影響が出る…(注! 実際のゲーム中では特に変わりません)

ハルカ 「だけど、トコトンやる!! マッスグマ『ずつき』!!」

マッスグマ 「グマーー!!」

マッスグマは大きなダメージをもろともせず、突進していく。
相手は指定していないが、マッスグマは宙を舞うチルタリスに狙いを絞った。

ダダダダダダダッ! ダダンッ!!

チルタリス 「チルッ!?」

ゲンジ 「くっ…? もう射程に入ったか!? チルタリス『ドラゴンクロー』!!」

ハルカ 「遅い! 叩き込め!!」

マッスグマ 「グマーーー!!」

ドッガァァァァッ!!

チルタリス 「〜〜〜!!」

チルタリスの下から顎を叩き上げ、マッスグマは弾けるように下へと落ちる。
チルタリスはそのまま気絶したのか、力なく地面に落ちていった。

ドッシャァァァァァッ!!

ゲンジ 「チルタリス!」

ロボ 「戦闘不能です」

ロボが瞬時に状態を告げる。
ゲンジさんは無言でチルタリスをボールに戻した。
3体目! これで半分!

シュボンッ!

ゲンジ 「…正直、驚いている」

ゲンジさんは静かな声でそう言った。
私は戦闘態勢を一瞬解いて、その言葉に耳を傾けた。
ゲンジさんは背中を見せたまま話し始める。

ゲンジ 「聞けば、お前はまだトレーナーになって1年足らずと聞く」
ゲンジ 「たったそれだけの期間に、これほどの力…鬼気迫る物を感じる」
ゲンジ 「だが、同時に楽しみでもある…これほどの力を持ったトレーナーがその先に何を見るのか!」

ハルカ 「!?」

ゲンジさんは最後の言葉と同時にこっちに向き直る。
バサッ!とマントを靡かせ、帽子を再び下にずらす。
そして、ゲンジさんは鋭い目で再度私に問いかけた。

ゲンジ 「…ハルカよ、お前はワシを倒し、頂点に立ったとして、その先に何を見る?」

ハルカ 「…え?」

それは、自分で再三悩んでいたことだった。
そう、もう…答えは目の前にあるも同然。
この先、チャンピオンを倒し、頂点に立った時…私はどうするのだろう?
ミカゲに結果を報告して、一緒にパーティでもやって…騒いで…それから?
次の日はどうだろう? 騒いだ後の片付けが残ってる。
一緒にポケモンと戯れて、勝利の余韻に浸って…

ハルカ (それだけ? その後は?)

私が、今何ひとつ想像できない未来がそこにはあった。
それが、今疑問として突きつけられている。
私は…どうしたいの?

ゲンジ 「……答えが見えぬ、か」
ゲンジ 「しかし、それも若さゆえの止むなき事」
ゲンジ 「しからば! その答えはバトルで語るのみ!! 出ろ『ボーマンダ』!!」

ボンッ!!

ボーマンダ 「ボーーーーーーマッ!!」

高らかな咆哮を上げ、出てきたのは一際大きなボーマンダだった。
フィーナちゃんが使っていたのとは比較にならない大きさだ…長年の付き合いだというのを感じさせる。
強いて言うなら、ザラキさんのバンギラスと同じ臭いがする。
一筋どころか二筋縄でも行かない相手だろう。
私は首をぶんぶんと横に振り、考えを捨てる。
今は目の前の相手を倒す! それが答えだ!!

ゲンジ 「うむ、それでいい! 全力でかかってくるがいい!! それでこそ挑戦者だ!!」

ゲンジさんは両腕を大きく開き、かかってこいと体で表現する。
私はそれを見て、喉から全力で指示を出した。

ハルカ 「ペリッパー!! 『ふぶき』!! マッスグマ『はかいこうせん』!!」

ゲンジ 「答えろボーマンダ!! 『だいもんじ』!! フライゴンは『ソーラービーム』!!」

強く照らす日差しの中、ゲンジさんは大技を指示する。
スピードはボーマンダが一番早い! 次にマッスグマが動いて、フライゴンが続く。
ペリッパーは一際遅く動き、完全に浮いていた。

ボーマンダ 「ボーーーッマ!!」

ドゴォッ!!」

マッスグマ 「グーーマーーーー!!!」

キュィィィィ…ドゴォォォワアァァァァァァッ!!

マッスグマは力の集中している途中で『だいもんじ』を食らう。
その圧倒的な火力にマッスグマは為す術も無く沈んだ。
そして、それとほぼ同時、ペリッパーを上空から熱線が襲った。

カァァァァァァァァンッ!! ドジュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥッ!!

フライゴンの『ソーラービーム』は日照りの効果でチャージを即完了し、発射。
ペリッパーは技の態勢に入る前に体水分を蒸発させられ、沈んだ…

ロボ 「マッスグマ、ペリッパー、戦闘不能です」

ハルカ 「…く」

シュボボンッ!!

私は顔をしかめてふたりをボールに戻した。
予想はしていたことだけど、やはりパワーが圧倒的に違う。
考えを振り切るつもりで攻撃したのが裏目に出た…もっと冷静に、慎重にならないといけなかったのに…

ハルカ (だけど、私は答えるしか無い…)

それが挑戦者なのだから。
私が攻撃した時、ゲンジさんは一瞬嬉しそうな顔をした。
それは、してやったり…とかそう言うのじゃない。
まるで、子供の成長を見届けるかのような…そんな幸せそうな顔。
あの人は、何を想って戦うのだろう?
私は、ふと…そんな疑問ができてしまった。
長きに渡って、ホウエンの四天王を務めているゲンジさん。
あの人なら、私の答えを知っているのだろうか…?

ハルカ (それを聞くには…戦って勝つしか無い! それも正面から!!)

私はそう思い、迷いもせずふたつのボールを手に取り、腕を交差させてそれを開くと同時に放った。

ボボンッ!!

クチート 「クチッ!」
アーマルド 「アマッ!!」

ふたりともダメージは引きずっている。
しかも、お世辞に相性はいいとは言えない。
薬を使えば、全快できるけど…私はそれを拒否した。

ハルカ (薬で回復なんて出来るか!! 相手は正面で待っているのに!!)

バカと言われても私は知らない。
あの人は回復する気なんてさらさら無い…それが目に見えてわかった。
これまでの戦い、回復する暇はいくらでもあったのに、ゲンジさんは技での回復以外にはやってこない。
あくまで、四天王最強の漢として、私の前に立ち塞がっているんだ!
それに答えられなくて……チャンピオンだなんてちゃんちゃら可笑しいわ!!

ハルカ 「行けアーマルド! 『ロックブラスト』!!」
ハルカ 「クチートは『れいとうビーム』よ!!」

ゲンジ 「そうでなくてはな!! 共に鍛え上げたポケモンの力比べ! これに勝る楽しみは無い!!」
ゲンジ 「ボーマンダ『だいもんじ』! フライゴンは『だいちのちから』!!」

アーマルド 「アマーーー!!」

ゴゴゴゴゴガッ!!

アーマルドは口から5発の岩弾を放つ。
それらは空中のボーマンダに向かった。
当たれば効果は抜群…だけど。

ボーマンダ 「ボマーーー!!」

ボーマンダは軽く上昇してそれを回避し、すぐに反撃に移った。
ボーマンダの口から極大の炎弾が放たれ、それはアーマルドに向けられる。

ゴバァァァッ!!

クチート 「クチィィィ!!」

コオオオオオォォォォォォッ!!

クチートはその場で左に『れいとうビーム』を放った。
その光線はアーマルドの目の前に伸び、そこからクチートは光線を右に薙ぎ払う。
当然、その間光線は出っぱなしで、かなりの力を使っているのが私にはわかった。
コオオオオオオオオオオオォォォォォォォッ!! ドグワァァァァァッ!!

ボーマンダ 「!?」
アーマルド 「!!」

アーマルドに向かってきた『だいもんじ』が『れいとうビーム』にぶつかり、爆発。
だけど、クチートはそのまま光線をフライゴンにまで伸ばした。
『だいもんじ』の威力に負けず、威力を衰えさせながらもそれはフライゴンにまで到達する。
そして、同時にフライゴンが『だいちのちから』でクチートを強襲した。

キィィィィィィィィィィンッ!! ガガガガガガガガガァンッ!!

フライゴン 「フラーーー!!」
クチート 「チーーー!!」

互いに効果抜群の技を直撃。
ここに来てクチートは無理矢理にでもアーマルドを守り、同時に相手を撃破したのだ…

ロボ 「フライゴン、クチート戦闘不能」

ハルカ 「ぐっじょぶクチート…」
ゲンジ 「よくやったフライゴン」

私たちは互いにポケモンを戻す。
これでゲンジさんは最後のポケモンを出すことになる。
こっちはまだ1体の余裕がある……けど、実質無いに等しい、か。

ハルカ 「ここは任せるわよ『バシャーモ』!!」

ボンッ!

バシャーモ 「シャモッ!」

ゲンジ 「出ろ『キングドラ』!!」

ボンッ!

キングドラ 「ドラッ!」

ゲンジさんはキングドラを出す。
確か、あれは水タイプのポケモン…益々ヤバい気がしてきた。
まだ日照りは続いている…バシャーモを活かすにはこのタイミングしか無い!

ロボ 「それでは初めてください」

ハルカ 「とにかくぶちかませ!! バシャーモ『オーバーヒート』!!」

ゲンジ 「甘いわ! キングドラ『あまごい』!!」

キングドラ 「ドラーー!!」

シュボンッ! ゴゴゴゴゴゴゴッ! ザアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァッ!!!

ハルカ (やられた! 完全に出遅れた!!)

バシャーモは決して遅くなかった。
ただ、技の性質上相手の方が相当速かったんだ…!

バシャーモ 「シャ、シャモーーーーーーーー!!」

ハルカ 「止まれバシャーモーーー!!」

バシャーモ 「シャ、シャモッ!?」

私は強引に叫んで止めさせた。
すでに炎を纏って放つだけだったけど、この状態では無意味にも程がある。
もはや主導権は完全に握られた…! 今は隙を見せてでも状況を変えるしか無い!

ハルカ (後方に水を受けられるのはいない…もう力技しかないんだ!!)

ただし、力技とは言え技は選ばなければならない!
相手は格上なんだから!!

ゲンジ 「あえて隙を晒すか!! ボーマンダ『ハイドロポンプ』!!」

何と、ボーマンダはここに来て水技をも操ってみせる。
今まで炎を操っていたその口から今度は圧縮された水が集められているのだ。
この時、私はわかった。

ハルカ (ゲンジさんのバトルはまさにボーマンダを使ってのバトル!)

『にほんばれ』にせよ、『あまごい』にせよ、ボーマンダはそれを利用して攻めてくる。
日照りは竜の苦手な氷を焼くため、大雨は飛行の苦手な岩を妥当するため…
これらは全てボーマンダ対策を撃破するための布陣。
ゲンジさんの戦いは、全てボーマンダの為の戦い。
タイプの統一は弱点の統一と言うジレンマを生み出す。
それをゲンジさんはパーティで完全にカバーし、自身の切り札でトドメを刺す。
これまでの戦いでボーマンダに有利なポケモンは先に潰されてしまった…私は見事にハメられたのだ。
それも意図されたわけじゃない、自然にそうなったのだ。
だからこそ怖い…ゲンジさんは今までの相手とは格が違う…!

ハルカ (チャンピオンのダイゴさんは…この人よりも強いのか?)

一体、どれほどの人なのだろうか、ダイゴさんは…
私がそんな考えをしている間に、ボーマンダの『ハイドロポンプ』がポケモンを貫いた。

ギュバアアァァァァァァァァァァッ!!

アーマルド 「ア、マ……!」

ドシャァァァァァッ!!

ロボ 「アーマルド戦闘不能です」

狙われたのは敢えて消耗していたアーマルド。
無傷のバシャーモは大雨で使いものにならないと判断されたのだ。
奇しくも、私にとって、ゲンジさんの『ボーマンダ』である私の『バシャーモ』が……!

ハルカ 「……!!」

ギリッ!と私は歯ぎしりする。
それは自分に対する怒りだ。
その気持ちはバシャーモはおろか、手に持ったボールのポケモンにも伝わる。
ごめんねアーマルド…もうゆっくり休んで。
正直、わかってた……このリーグはもう終わりだってことに。
例えゲンジさんを倒しても、手持ちはフィオネが残るだけ…
最悪、2体で戦うことになる。
それでこのゲンジさんよりも強いチャンピオンを倒せる? 無理だ…

シュボンッ!

ハルカ 「……」

私は最後のボールを握り締める。
リーグは終わった…それは誰の目を見ても明らかだ。
だけど、私はこのバトルには絶対勝つ!! 負けるわけにはいかない!!

ハルカ 「まだ終わってないのよ! 私『たち』の戦いはぁぁぁぁーーっ!!!」

ボンッ!

ライボルト 「ラーーーイッ!!」

私の怒りが伝わったのか、脳天気なライボルトがいきなり吠える。
『とおぼえ』だった。
何も指示はしていない、だけどライボルトは技を持って感情を表現した。
特に技としての意味は無い。
だけど、その気持は痛いほど伝わった。

ゲンジ 「見事な物よ…かつてこれほどのチャレンジャーは見たことがない」
ゲンジ (父を超えるか、ハルカ? だがそれでこそ立ち塞がる意味がある!!)
ゲンジ (リーグを超えて、このバトルには意味を持てる!)
ゲンジ (今、ワシは世界一の幸せ者よ! この歳になってもまだ生き甲斐を感じられる!)
ゲンジ (最高の挑戦者を前に、自身が四天王であることの嬉しさと怒りを同時に感じる!)
ゲンジ (惜しむらくは、ワシがもう50年若ければ…ワシもまた…挑戦者として戦い続けていたであろうに)

ロボ 「初めてください」

ハルカ 「行けライボルト! 『かみなり』よ!!」
ハルカ 「バシャーモは『にどげり』!!」

ライボルト 「ラーーーイッ!!」

ボーマンダ 「遅いぞ! キングドラ『ハイドロポンプ』!!」

キングドラ 「ドラーーー!!」

ギュバアアアアアァァァァァァァァァァァァッ!!

キングドラはライボルトはおろか、ボーマンダすら凌駕するスピードで技を放った。
そうか…! 雨で速度を上げる特性!

その水柱は、またしてもバシャーモではなく、ライボルトを狙っていた。
だけど、それはわかっていたこと…バシャーモはすでにそのために動いている。

バシャーモ 「シャーーー! モーーーー!!」

ドガァッ!!

ゲンジ 「なんと!?」

バシャーモは技をライボルトに向けて放ち、ライボルトを上空に蹴り上げた。
これにより、『ハイドロポンプ』は回避し、同時にライボルトは安全圏でキングドラを強襲する。

ピッシャァァァァァァァァァァンッ!!

キングドラ 「ド、ドラーーー!?」

キングドラに向けて今までで最高の『かみなり』が落ちる。
ダウン…とまではいかないまでも、その効果は絶大。
キングドラは『まひ』し、動きが衰えたところでバシャーモが追撃をかける。

ゲンジ 「させん! 止めろボーマンダ!!」

ハルカ 「邪魔するなーー!! バシャーモ『スカイアッパー』!!」

バシャーモ 「シャモーーー!!」

ボーマンダ 「ボマッ!?」

私はターゲットを切り替えてボーマンダを迎撃する。
『にどげり』はライボルトを狙った時点で終了している。
バシャーモはすでに走っている途中で次の指示待ち!
ゆえに、この行動は当然の処置だ!!

ドッガァァァァァァッ!!

カウンターで近づいてきたボーマンダをバシャーモは右アッパーで迎撃する。
ダメージは僅かだけど、ボーマンダは突然のことに怯んでいた。
そして、次はライボルトに指示を出す。

ハルカ 「ライボルト『でんじは』よ!!」

ゲンジ 「マズイ!? キングドラ…ぐっ!!」

ゲンジさんは指示を出そうとした瞬間、諦めるように首を背けた。
キングドラは麻痺し、動けないとわかっていたのだ…すでにライボルトは空中から地上に降り立つタイミングで技に入っている。
間に合わない…だけど、それで終わるゲンジさんではなかった。

ゲンジ 「ボーマンダ切り返せ! 『つばめがえし』!!」

ハルカ 「!? このタイミングで! バシャーモ耐えろーーー!!」

バシャーモ 「!!」

ボーマンダ 「ボマーーー!!」

ヒュンッ!! バチチチィッ!!

バシャーモ 「シャモー!!」

何と言う不運…ボーマンダがその場から消え、『でんじは』はバシャーモに直撃した。
そして、次の瞬間、バシャーモの死角からボーマンダは『つばめがえし』を放つ。
完璧なシナリオだ…攻防一体の技で形成を逆転させる。
だけど、私のバシャーモだってねぇ…!!

ハルカ 「『からげんき』ぃぃぃぃぃ!!」

ゲンジ 「何ぃ!?」

バシャーモ 「シャ〜…ッ! モーーーーー!!」

痺れを吹き飛ばし、バシャーモは力を振り絞ってその場で前転をする。
背後からボーマンダが高速接近、バシャーモは回転運動で右足を後ろのボーマンダに向けた。
そして、完全なカウンターでボーマンダの顎をバシャーモの『からげんき』カカトが撃ち抜いたのだ。

バギャァァァァァァァァッ!!

『まひ』により、『からげんき』の威力は2倍。
そして、ボーマンダの技にカウンターを取って更に割増!
的確にジョー(顎)と言う急所にヒットさせ、更に威力は倍増!!
ボーマンダは…完全に沈黙した。

ギュルルルッ! ドッシャァァァァァァァァンッ!!!

ロボ 「……ボーマンダ戦闘不能です」

ハルカ 「ライボルト! 一気に……」
ゲンジ 「ここまで!! 降参だ……」

私はそこで指示を止める。
ダメージが大きく、『まひ』までしているキングドラではもはや戦えないということか。
私はその場で拳を握り締め、何も言わずに勝利を噛み締めた。

ゲンジ 「戻れ、『キングドラ』、『ボーマンダ』!!」

シュボボンッ!!

ゲンジさんはふたりをボールに戻し、天を仰いだ。
雨は振り止み、太陽の光が私たちを照らす。
春といえど、日差しの強いこのサイユウシティでは、まるで寒さは感じなかった。
ゲンジさんはしばらくそのままでいると、数秒後私の方を横目で見た。

ゲンジ 「…見事なバトルじゃった。これ程満たされたバトルは久しい」
ゲンジ 「お前ならば、確実にチャンピオンとなれるであろう」

ハルカ 「…でも、私はもう」

残ったポケモンはフィオネを合わせても3体。
そんな戦力ではとてもダイゴさんには…

ゲンジ 「…ここに『げんきのかたまり』が3つある。使え」
ゲンジ 「ルール違反だが、ワシが許す」

ロボ 「………」

ハルカ 「あ、えっと?」

私はゲンジさんとロボを交互に見て戸惑う。
嬉しい…けど、これって思いっきり違反じゃ。

ロボ 「……現在、モニターに異常発生」
ロボ 「同時に、メモリーにウィルスの侵入あり」
ロボ 「ただいまデータを最適化し、再起動いたします」
ロボ 「よって、ここまでのバトル経過は転送できません」
ロボ 「………以上」

ハルカ 「………」

何だかわからないけど、ロボはそう言って勝手に処理し始めた。
何で?

ゲンジ 「…さぁ、早く使え。もっとも、全員は無理だがな」
ゲンジ 「使いたい3体を復活させてやれ、ついでに生き残ったのもな」



………。



こうして、私はゲンジさんとロボ(?)の好意で万全の状態を取り戻すことになった。
結局、ロボはその後も今まで通りだったけど、何であんなことになったのか。





………………………。





カミヤ 「あれ? 何で急に映らなくなったんだろう?」

ミカゲ 「…さぁ? どっちにしてもボロボロじゃない。大丈夫なのかしら?」

カミヤ 「そうだね、ほとんどダウンしちゃったけど、どうなるんだろう?」

結局、それからモニターが復活したらハルカちゃんのポケモンはほぼ全快していた。
明らかにおかしいんだけど、これって?





………………………。





『同日 同時刻 RMUサイユウ支部』


秘書 「あの…ランマ様」

ランマ 「全て良し! 問題ないで!!」

ワテは開口一番でそう言う。
秘書はそれ以上は別に言及しなかった。
まぁ、コレくらいはええやろ…不正どうたら言う前に、あのバトルを賞賛すべきやな。
とはいえ、さすがに大衆の目はちゃうからなぁ〜

ランマ 「面倒やな…ちょちょいのちょいっ…とっ」

イータ 「…何それ?」

ランマ 「ちょこっと、ルール改正」

イータ 「……ちょこっ、と?」

イータは不可思議な目で目を通すが、それも当然。
ここに来て、このタイミングでこれは、あまりにも出来すぎ。
とはいえ、上の連中は特に気にもせぇへんやろ。
要は……

秘書 「大衆が納得すればいい、ということですか」

ランマ 「ご明察…」

こうして、今回の件は強引やけど丸く収めることになった、と……メデタシメデタシ♪



…To be continued




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