ポケットモンスター サファイア編




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第7話 「廻(めぐ)りあわせ」






俺はサメハダーにゆっくりと近づいていった。
サメハダー達は俺の接近に緊張を増し全員がこちらを向く。
やがて俺は船の近くに行く。
一番近いサメハダーとなら2メートルほどの距離だ。

ユウキ 「お前らサメハダー達、来るならさっさと来やがれ!」

俺は声を張り上げてサメハダー達を挑発する。

サメハダーA 「サメ!」

サメハダーB 「サメサメ!」

サメハダー達は明らかにいきり立っている。
俺は2メートルほど後ろに下がる。
さすがに丘では素早くは動けまい!

サメハダーA 「サメー!」

サメハダーB 「サメッ!」

サメハダーの二匹が飛び上がり襲い掛かってくる。
その飛び上がった高さは俺の身の丈の倍はあった。

ユウキ 「ヌマ! 『マッドショット』! グラエナ! 『たいあたり』で迎撃!」

ヌマクロー 「ヌマー!」

グラエナ 「ガウ!」

ドカァ!

ヌマクローは『マッドショット』を的確に当て、グラエナはもう一匹の迎撃に成功する。

サメハダー達 「サメーっ!!」

サメハダー達は今度は全員まとめてかかってくる。

ユウキ 「みんな! 頑張ってくれ!」

ヌマクロー 「ヌマー!」

グラエナ 「ガウ!」

スバメ 「スバー!」

ラルトス 「はいっ!」

ツチニン 「ニンニン!」

キノココ 「キノー!」



…………。



サメハダーが大量に襲ってくる中皆は必死で頑張ってくれる。
どう考えても分が悪い勝負だが…この戦い負ける気はしない。

丘の上ということもあってサメハダー達は思うように戦えず戦況はこっちに有利だった。
しかしさすがに数が多いので徐々に押され後退していく。
しかし、俺はそこで一気に終わらせる1つの作戦を行う。

ユウキ 「キノココ! 『しびれごな』だ! ありったけ大量にばら撒け!」

キノココ 「キノー!!」

俺がそう命令するとキノココは頭をめい一杯震わせて粉を辺りにばら撒く。

ユウキ 「よし! みんな、風上に逃げろ!」

ばら撒かれた粉は風に乗りあたり一帯を黄色い粉で包む。
サメハダー達は丘に乗り出しすぎて思うように逃げられず粉に包まれてしまう。

サメハダー達 「サ、サメ〜…」

サメハダー達は物の見事に全員痺れて全滅だ。

ユウキ 「ふう…みんなご苦労様」

グラエナ 「グラ〜」

スバメ 「スバ…」

俺がそう言うとみんなもばたばたと倒れていく。

ユウキ 「さすがにこのまま放置っていうのも可哀相だよな」

俺はそう思うとサメハダー達を海に返してあげることにした。

ハギ 「なんか凄いことになっているの…」

ピーコ 「キャモ〜」

そこへハギ老人が起きてくる。
今の今まで寝ていたのか…。

ユウキ 「ヌマ、ちょっと手伝ってくれ」

ヌマクロー 「ヌマ」

サメハダー1匹の体重は約88,8キロ、とても一人じゃ持てない。
下手したらふたりでも無理か。

俺とヌマはサメハダーの1体をふたりで持ち上げる。

ユウキ 「う…なんか痛い…」

これがサメハダーの特性『さめはだ』か…。
触っているだけでも怪我をしてしまいそうだ。
そりゃ、こんな肌に物理攻撃をしたら怪我するわな…。

ユウキ 「まず、1匹っと…」

俺たちはサメハダーを海に放すともう一匹を運ぶため海面を背にする。
しかし、その時…。

サメハダー 「サメー!!」

ユウキ 「なっ!?」

ヌマクロー 「!?」

ハギ 「ユウキ君! 後ろ!」

突然海を背にした瞬間海面からずっと隠れていたサメハダーの一匹が俺に襲い掛かる。
もうこの状況では回避は出来ない。
このまま頭から食べられてジ・エンド。
グッバイ、マイ人生!

? 「マクノシタ! 『つっぱり』!」

マクノシタ 「シター!」

バチン!

サメハダー 「サメェ!?」

ユウキ 「…え?」

突然、謎のマクノシタに助けられる。
さっき命令する声が聞こえたが誰だったのか?

? 「君! 怪我は無かったかい!?」

突然さっきの命令の声の主が現れる。
このマクノシタのトレーナーは男で半袖短パンの結構ガタイのいいお兄さんだった。

ユウキ 「は…はい」

突然のことで多少ビックリしたがこの人のおかげで無事ですんだな…。

? 「…ふむ」

ユウキ 「? ?? な、なんすか?」

この人は突然俺の体をぺたぺた触りだす。
俺は動くことが出来ずただ様子を見守っていた。

? 「うん…たしかにどこも怪我はないようだな」

どうやら俺の体を触って調べていたようだ。
触診ってやつか…?

ハギ 「! 君はトウキ君!」

突然ハギ老人が現れたと思ったらこの恩人トレーナーの前に出る。
今、トウキ君って言っていたが…知り合いか?

トウキ 「あなたはハギさん!」

トウキさん(というらしい)はハギ老人を見て懐かしいものを見たよう顔をする。
どうやら知り合い同士らしいな。

トウキ 「あの時以来ですね! ハギさん!」

ハギ 「君もまた一段とたくましくなったな!」

なにやらいきなり談話モードになっているし。
俺は関わらずに済むなら関わるなという俺の本能に任せて再びサメハダー達を海に返し始める。

トウキ 「あ、君! 僕も手伝うよ!」

トウキさんは俺の姿を見るとそう言って有無いわず手伝い始める。
体育会系の人だな…。

トウキ 「よい…しょ!」

マクノシタ 「マク!」

ユウキ 「………」

なんとトウキさんは一人でサメハダーを持ち上げ運び始めた。
マクノシタもそれを見て手伝う。

ユウキ (サメハダーって80キロ相当あるってのに…)

俺はトウキさんのあの体のどこにこれほどの力があるのかと疑問に思いながらヌマクローと一緒にサメハダーを運んだ。



…………。
………。
……。



ユウキ 「これで…最後っと!」

ザッパーン!

俺は最後のサメハダーを海に帰すとようやっと一息つく。
途中からサメハダー達も元気を取り戻したが暴れることが無かったのでとりあえず終了だ。

ラルトス 「あれほどの敵意は…もう無いですね」

ラルトスは波打ち際で足だけ海の水につけてそう言う。
確かにサメハダー達の敵意は完全に消えた。
恐らくラルトスも思っているとは思うがあのサメハダー達の敵意は変だった。

ユウキ (やはり…誰かが裏で糸を引いていたのか?)

俺は波打ち際で思いふけっていると突然肩が叩かれる。

ユウキ 「?」

トウキ 「やあ」

俺は何かと思い肩の叩かれた後ろを向くとそこにはトウキさんがいた。

トウキ 「まだ、自己紹介をしていなかったね」
トウキ 「俺の名はトウキ、一応ムロタウンでジムリーダーをやっているんだ」

トウキさんはこれでもかっていう位の爽やかな笑顔でそう言う。
そうか、ジムリーダーだったか…って、なぬ!?

ユウキ 「え! ジムリーダー!?」

トウキ 「そ、そうだけど何か?」

俺が突然大声を出したせいでトウキさんも少しビックリしている。
我ながら驚きすぎか…。

ハギ 「彼は『ユウキ』、ポケモンリーグを目指して旅をしているそうじゃ」

ハギ老人はそう説明を入れる。
あれ? 俺ポケモンリーグを目指しているってことハギ老人に言ったっけ?

ユウキ 「あ、俺はユウキっていいます! その、さっきはありがとうございました」

とりあえず俺自身も自己紹介をしてお礼のお辞儀をした。
トウキさんはそれを見て当然のことをしたまでさという顔で。

トウキ 「なに、たまたまパトロール中に見かけたから助けただけさ」

と言う。

ユウキ 「あの、もしよろしければ自分とジム戦してくれないでしょうか…?」

俺は上目づかいにそう言う。
これで断られたらどうするか。

トウキ 「いいよ! いつでもムロジムにきたまえ! 相手をしてあげよう!」

トウキさんはこっちの予想通りそう言って承諾してくれる。

トウキ 「あ、そろそろ戻らないと! それじゃもう行きますね!」

トウキさんはそう言うとまた現れた方の森の方へと走っていく。
そしてそれをマクノシタが追う。

マクノシタ 「マクー!」



ユウキ 「………」

ハギ 「…トウキ君は強いぞ…」

ハギ老人が横に立つと突然そう言う。
まぁ、俺にもとても弱そうには見えなかったが。

ハギ 「さて、それじゃわしらもムロタウンへ向かうか」

ユウキ 「はい」

俺はポケモン達をボールに戻すと再び船に乗る。
そしてハギ老人が船にエンジンをかけると船は再びムロを目指す。

ユウキ 「…太陽があの位置とすると…」

俺は空を見上げ、太陽の位置を確認する。
恐らく今は10時ごろ、今日はもう疲れた…。
俺はまだ午前中だが横になって寝ることにした。



…………。



サメハダー 「サメ、サメサメ!」

シャドウ 「…まだまだ、だな」

さっきユウキ達がいた島…。
ハギ老人の動かす船が常人の視力では見えないくらいの所に行くとシャドウは突然姿を現す。
そして、サメハダーの一匹がシャドウを確認すると浮上し、なにやら話し出す。

サメハダー 「サメサメ!」

どうやらサメハダーはシャドウに何かを報告しているようだった。

シャドウ 「まだ…覚悟が出来たに過ぎないか…」

シャドウはそう言うと一人どこともなく歩き出す。
そしてシャドウはこの無人島の森の中へと消えていった。



…………。



ユウキ 「ん…?」

俺は不意に目を覚ます。
周りは真っ暗だ。
今何時だ?

ピーコ 「! キャモー!」

ピーコちゃんは俺が起きたのに気付くとそれをハギ老人に伝える。
伝えるといってもただ鳴いているだけだが。
そして、それを聞いてハギ老人はこっちを振り向き。

ハギ 「おお、目を覚ましたか!」

ユウキ 「今何時ですか?」

俺はとりあえず聞いてみた。
少なくとももう午後8時にはなっていそうだが…。
それくらい辺りは暗かった。

ハギ 「…ふむ、もう10時じゃな」

ハギ老人は腕時計を見るとそう言う。

ハギ 「もうすぐでムロタウンに着くぞ」
ハギ 「ほら、見えてきた」

ハギ老人は首を右に向けるとそう言った。
成る程、そこは確かにどこかの島のようだった。
この船は今島の外周を走っている様だった。
島はかなり大きかったし、確かにそれっぽい。

ユウキ 「…町の光!」

やがてしばらくすると急に町の光が目に飛び込む。

ハギ 「ムロタウンじゃ!」

ユウキ 「…ムロタウン…やっとか!」



…………。
………。
……。



ハギ 「…よし、降りていいぞ」

ハギ老人は暗い中、船を港に着けるとそう言う。
俺は船のエンジン音が止むのを聞いたらさっと船から降りる。

ユウキ 「ハギさんはどうするんです?」

俺は船から降りるハギ老人に聞くとハギ老人は。

ハギ 「わしはとりあえず腹が減ったからどこかで飯を摂ろうと思う」

ハギ老人はそう言うとどこかへ歩いていってしまう。
途中一緒に来るかと言われたが俺は断っておく。

ユウキ 「飯か…」

俺は腹が空くのを感じ何か無いかとバッグを覗く。
あった木の実とか果物がたくさん。
そういえばハギ老人用に取っていたっけ。

ユウキ 「すっかり渡し忘れていたな」

俺は仕方が無いのでそれを今晩の飯にすることにした。
…が、なんかさっきまで眠っていたのにまた眠くなってしまう。

ユウキ 「やっぱ…今日は寝よ…」

俺はそう考え、真っ先に足をポケモンセンターへと向けた。





『10月2日 時刻23:02 ムロタウン・ポケモンセンター』


ネイ 「こんばんわ! 遅くまでご苦労様です!」

ユイさん似の女の子がカウンターでそう言う。
そうか、この人がネイさんか…。
ネイさんは顔はユイさんそっくりだった。
感じ的には高校生くらいだろうか?

ユウキ 「部屋、貸してください…」

ネイ 「畏まりました! この鍵をお使いください!」

ネイさんはそれを聞くとさっと鍵を取りさっと鍵を俺に渡す。
たしかに、働き者っぽいな…。

俺はそれを受け取ると宿泊施設の方へと歩く。

ネイ 「お休みなさいませ!」

ユウキ 「…無理はするなってお姉さんが言ってましたよ」

ネイ 「え?」

俺はそう言うとさっさと部屋に向かう。
俺はネイさんの方を向いていなかったからどんな顔をしていたかわからないが明らかに驚いたといったような声が聞こえた。



『107号室』


…なんか、また同じ番号の部屋になっている。
たまたま…か?

ギィィィ…。

俺は扉を開けると扉は年季の入った木造独特の軋みをあげる。
中の作りはどうやら全く一緒のようで二段ベットが二つ部屋の両脇にあった。
窓からは月の光が差し込み海がザザァ…と音を立てていた。

ユウキ 「…もう寝よ」

俺はバックを下ろし、ボールラックを外すとそのままベットで横になる。
今日は疲れた…。



…………。



真っ暗闇な世界…。
暖かいとも感じられず寒いとも感じられない真っ暗闇の世界。
ひとたびその世界で眠ってしまえば次に目覚めた時、生きているのか死んでいるのかさえもわからない。
ただ、再び外の世界へ出されるのを待つしかない…。
自分の力ではこの世界から出るのは難しい…。
ただ、ゲットされたあの時からこの地獄は始まる。
いま、自分は立っているのか座っているのか…?
いま、自分は起きているのか眠っているのか…?

 『いま…、自分は生きているのか…?』
『それとも死んでいるのか?』

…何もかもわからない。
私はただ暴れた。
本当に暴れているのかはわからないが暴れた。
感覚さえも無い…。
己の体さえも無い…。
ただ、暴れた…。
暴れて、暴れた…。
ただ、光が差すのを待って…。



ボフンッ!

ラルトス 「………」

突然ボールラックから出たのはラルトスだった。
ただ、ラルトスの様子は普段とはどこか違っているようだった。
虚ろな瞳…。
まるでラルトスではないような…。
いや、虚ろではない…。
ただ、悲しみとも、喜びとも…なんとでも取れそうな不思議な瞳をしていた。

ラルトス 「月は綺麗だ…」

ラルトスは窓から見える月を見てそう言った。
その瞳はひどく懐かしそうだった。

ラルトス 「………」

ラルトスは突然目を閉じる。
そして、瞑想状態に入る。



 『…ここはどこ?』

? 「君の中…」

突然暗闇の中から声が聞こえた。
僕はその声のした方を振り向く。

 『あなたは…?』

? 「私は君よ…」

声のした方には一匹のポケモンがいた。
そのポケモンはサーナイトの姿をしていた。
そして、そのサーナイトは僕だと言った。

 『どうして? 君は女の子…僕は男の子だよ?』

それに、いくら僕の進化形だからといって同じポケモンというのは矛盾があった。

? 「そうね、確かに君といっても一概そうとは言えないわね」

彼女はそう言うととても綺麗な笑みを浮かべた。

? 「でもね…一概嘘でもないの」

 『…え?』

? 「私はあなたであってあなたじゃないの…」
? 「私はあなたと同じ魂を持つ者…」
? 「私は6000年前に死んだの…」

彼女は少し悲しい顔をするとそう言う。
でも、正直僕には信じきれない…。

? 「どうしてって顔ね?」

 『………』

? 「単刀直入に言うわ」
? 「ラルド…いえ、あなたのマスター、ユウキを護ってあげて」

 『え…? マスターを…護る?』

? 「あなたが彼と出会ったのは偶然ではないわ…」
? 「輪廻の中で彼は突然現れた…」
? 「そして、それと同時にあなたがこの世に生まれた…」
? 「輪廻は必然的にあなたとユウキを惹き合せたの」

 『…………』

さっきからこの『ひと』は途方も無いことを言っている…。
でも、何故だかそれが本当のような気がする…。
何故かは…わからないけど…。

? 「あの人の守護は私たちの役目じゃないけど…役に立ってあげて」
? 「もう、あまり時間は無いわね…」

このひとは突然そう言う。
ちょっと理解が出来ない。

? 「彼の出現によって少なくともあと、2人は輪廻しているはず…」
? 「きっと運命は彼と繋げる…」
? 「…これ以上はあなたに干渉できそうに無いわ…」

このひとはそう言うと徐々にその体を暗闇の中に消していく。

 『待って! ひとつ聞かせてください!』

? 「…なに?」

 『僕が女の子っぽいのってあなたのせいですか?』

? 「………」

自分ながらとんでもないことを聞いてしまった。
この女性もそれを聞いて少し固まってしまう。

? 「…ごめんなさい…私にはわからないわ…」

最後にそう言って彼女は得体の知れない暗闇の中に飲み込まれていった。



ラルトス 「…て、あれ?」

気が付くと僕はどことも知れない部屋にいた。

ラルトス 「…月は綺麗だ」

真っ先に目がいったのは窓から見える月だった。
6000年前も月はこんなに綺麗だったのだろうか?

ユウキ 「ん…」

ラルトス 「!」

僕はマスターの声を聞いて咄嗟に振り向く。
振り向いた先にはマスターがベットで眠っていた。

ラルトス (アレはなんだったんだろう…?)

正直わからないけどただ、あれは夢ではなかったと思う。
僕はそっとベットの上に上がりマスターの眠るベットに入った。

ラルトス 「あったかい…」

マスターの懐は暖かかった。
僕はそこで眠りにつく。
ボールの中は孤独だ。
とても怖い…。
だから、今日はここで眠る。

ラルトス (マスター、いえ、ユウキさん大好きです…)




ポケットモンスター第7話 「廻(めぐ)りあわせ」 完






今回のレポート


移動


105番水道→106番水道→ムロタウン


10月2日(ポケモンリーグ開催まであと150日)


現在パーティ


ヌマクロー

グラエナ

ラルトス

スバメ

キノココ

ツチニン


見つけたポケモン 15匹

NEW マクノシタ



おまけ



その7 「輪廻の中で…」




今回はとある野性のココドラのお話…。
時間帯は丁度ラルトスが突然サーナイトの女性と心の中で出会った頃…。
石の洞窟で似たような現象に出会う一匹の♀のココドラがいた。



? 「ココドラ…目覚めろ」
? 「ココドラ…ココドラ…!」

うっさいわね…。

? 「おい! こら! さっさと起きろ!」

ココドラ 「あー! うっさい! 何なのよ人の夢の中で!」

あたしはあたしを起こそうとするやつに怒鳴りつける。

? 「夢の中でまで寝るなっつーの! あと、オメェは人じゃねぇ!」

見るとそこには体長2メートルはあろうかという♂のボスコドラがいた。
て、2メートルなら普通か…。

ココドラ 「で、一体何なのよあんたは?」

ボスコドラ 「口の悪い女だな…」

ココドラ 「そりゃあんたの方でしょ!」

ボスコドラ 「…まぁいい、簡単に言うぞ、お前は俺だ!」

ココドラ 「はぁ? あんた頭壊れてんの?」

ボスコドラ 「言っとくが嘘じゃないぞ! 俺は6000年前のお前だ!」

ココドラ 「はぁ?」

とんでもなくばかげたことを言う。
馬鹿には付き合ってらんないわね。

ボスコドラ 「そこ! だるそうにすんな!」

ココドラ 「いいからさっさと話し進めなさいよ…」

なんか、こいつあたしに似ている気がする。
まぁ、折角だから信じてやってもいいか。
それに、なんか嘘じゃない気がするし…。
根拠はないけど…。

ボスコドラ 「説明するのがダリぃから簡単にいうぞ」
ボスコドラ 「お前はもうすぐ『ユウキ』っていう人間のトレーナーに出会う」
ボスコドラ 「そいつは運命の人だ、6000年前、命を賭して守らなければならなかった人だ」
ボスコドラ 「俺には守れなかった…が、お前は守れ!」
ボスコドラ 「運命の輪廻は必ずお前をユウキと廻りあわせる」
ボスコドラ 「つーわけだからがんばれよ〜」

そう言って謎のボスコドラは逃げるように暗闇に姿を消した。

ココドラ 「人の夢の中で…言うだけ言って消えたわね…」



…………。



ココドラ 「………」

気が付くと石の洞窟内だった。
やっぱり夢だったみたいね…。

ココドラ (運命の人…ユウキ、か…)

ちょっと憧れる言葉だった。
いささか怪しいけどもし本当だったら近いうち会えるらしい。
もし、本当だったら嬉しいな…。

あたしはそう思うと外へ向けて歩き出す。



…………。



ココドラ 「………」

月が綺麗だった。
6000年前も月は変わらないのかしら?

ココドラ 「運命の人…早く会いたいな…」

あたしは早く会えることを祈って月の下寝るのだった。




おまけその7 「輪廻のなかで…」 完



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