ポケットモンスター サファイア編




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第35話 『閉ざされた門』





ユウキ 「IN THE NAVY〜♪」

とりあえずいつも通り歌いながらわが道を行く。
いわゆるご〜いんぐまいうぇいである。
当然フ○ースロマ○○ャンセルは4回入れる。
これで6割はもっていける。

ユウキ 「さて…ここがヒワマキシティか!」

とりあえず長い旅を経て、ついに俺はヒワマキシティに到着した。
途中、道に迷ったり、ザンジークに命狙われたり、食料なくなったり、アクア団に襲われたり、挙句の果てにボスゴドラに進化するし。
なんか、波乱万丈な道路だった。

ユウキ 「さて、早速ジムを目指しますか」

ここヒワマキシティはとても特殊な街である。
ツリーハウスの連立した町並みは実に90パーセントがヴァージンフォレストに支配されている。
生まれはまだ20年にも満たない新しい街だ。
実際にはシティとつくが、生活はそんなに近代的なものではない。
とりあえずジムに目指す。

ユウキ 「ツリーハウスか」

とりあえず、はしごを昇る。
昇ると街全体が見渡せる。
確かに森林に囲まれている。
ジムは…あそこか。
俺はジムを見つけると樹上を歩く。
ギシギシと音を立てて揺れる樹上は不安定にも感じるが恐怖はない。
生きているって感覚はよく感じる。

ユウキ 「なんていうかこの街…凄く生き生きとしてる…」

まるで不思議だ。
今までどんな行ったどんな街よりも人が生き生きとし、活気のある街だ。

お婆ちゃん 「あらまぁ、旅のトレーナー?」

ユウキ 「あい、ミシロタウンからきたんですよ」

お婆ちゃん 「あらまぁ、遠いところから来たのねぇ〜」

ユウキ 「あい、ジム戦にきたんです」

ちなみにさっきから『あい』といっているがこれは古文で『はい』に当たる言葉だ。
江戸時代から昭和初期くらいはまだこのあいという言葉を使っている。
十分おばあちゃんには通用する。

お婆ちゃん 「あらぁ? ジム戦に来たの? でもナギちゃんは相手してくれるかねぇ〜?」

ユウキ 「え?」

そう言えば父さんも、何かそんな感じのことを言っていたな…?
どういうことなんだ?

ユウキ 「まぁ、とりあえずジムに行ってみますわ」

お婆ちゃん 「頑張ってねぇ〜」

ユウキ 「あい、ありがとうございます」

俺は少々ここのジムリーダーに疑問を持ちながらもジムへと直行する。
途中、目の前には酷く残念そうな顔をしたポケモントレーナーがいた。

ユウキ (まさかな…)

俺は嫌な予感を隠しながらそのトレーナーの横を通り過ぎる。
その間…。

トレーナー 「あ〜あ…折角来たのに…ジム戦ができないなんて…」

ユウキ 「……」(ピク)
ユウキ 「あんだって…?」

あ〜あ…折角来たのに…ジム戦ができないなんて…
ジム戦ができないなんて…。

ユウキ 「ジム戦ができない…なんで?」

俺は無駄足と思いたくないゆえそのままジムへ向かう。
ジム戦を断るジムリーダーなんて…いるはずが…。

ユウキ (アスナさんは…例外だな)

居たので、例外にする。
ていうか、あの人は凄い個人的理由じゃん!
しかも、かったるいほどの…。

ガッ!

ユウキ 「たっ!?」

突然、壁に阻まれた。
…あれ?

ユウキ 「か、壁なんて…」

驚くことに壁など目の前には存在しない。
じゃ、じゃああれはなんだったんだ?

ユウキ 「まあいい…て、んが!?」

前に進めない。
間違いなく透明な壁らしき物がある。

ユウキ 「もしかして、ジム戦ができないって…これの性?」

俺はまさかとは思うがこの壁に阻まれているのでそうかもしれないと思う。

ユウキ 「しゃーない…だったら先進むか…」

俺はパパの言うとおり、ここのジムは無視することにする。
ジム戦ができないのにいつまでもこんな所に居るつもりはない。

ユウキ 「えっと、次はトクサネシティだったよな?」

確か、海の向こうにある街だ。
パパが薦めるくらいだからかなり強いジムと思っていいだろう。
まぁ、勝てないようならポケモンリーグなんて持っての外だけどな。

ユウキ 「とりあえず、ミナモに向かうか」

食料の再充填は完了してある。
ポケモンたちも元気満々だ。
だからこそポケモンセンターに寄らずにジムに来たのにな。

ユウキ 「まぁ、悔やんでも仕方がない…」

短い付き合いだったがサラバ、ヒワマキジム。




…………。
………。
……。




『11月30日:午前10時30分 120番道路』


ユウキ 「アレ? ダイゴさんじゃないか」
ユウキ 「どうしたんだろう?」

俺は一日過ぎた11月の最終日、大きな川の上に建つこれまた大きな橋の中腹で呆然と立っているダイゴさんの後姿を確認する。
ゆっくり座って休憩するならともかく何であんな所で呆然と立っているのだろう。
俺は気になったので少し早歩きでそのダイゴさんに近づいた。

ユウキ 「どうしたんです、ダイゴさん?」

ダイゴ 「ん? ユウキ君か?」

突然俺が現れたことに驚いているダイゴさん。
こんな所に呆然と立っているあなたにも驚きましたよ…私は。

ダイゴ 「久し振りだね、ユウキ君」

ユウキ 「はい、久し振りです」
ユウキ 「で、どうしたんですか?」

俺は単刀直入にどうしたのか聞いてみる。

ダイゴ 「ここに見えない何かが居るよね?」
ダイゴ 「わかるだろ?」

ユウキ 「え?」

ダイゴさんはそう言って俺の目の前を指す。
見えない何か…?

ユウキ 「むぅ…」

特別何かがあるようには見えない。
て、見えないんだから当然か。

ダイゴ 「ふふっ、で見えない何かにこの道具を使うと…」

ダイゴさんは俺の難しい表情を見て笑うとどこからかカメラのような道具を取り出す。
ドラ○もんの○思議道具の類でしょうか?

しかし、ダイゴさんは使う様子を見せない。
それ所か何か、険しい表情を見せた。
故障ですか?
しかし、ダイゴさんからはそんな俺の考えを全く覆すようなことを言うのだった。

ダイゴ 「違うな…説明するより実際使った方が方が楽しそうだ」

ユウキ (て、使う気満々じゃなかったのか)

どうやら、説明する気満々だったようだな。
それはそれで聞いてみたかったかも…。

ダイゴ 「ユウキ君。君のポケモン、戦う準備はできているかい?」

ユウキ 「え? そりゃ今すぐジム戦だってできるくらい万全ですよ?」

いきなり何を言い出すんだこの人は?
まさか、この場でポケモンバトル!?
でも、それだとあのカメラの意味が…。

ダイゴ 「ふふ、君のポケモントレーナーとしての実力、見せてもらうよ!」

ダイゴさんはそう言うと俺の目の前でカメラのシャッターを切る。
いや、違う…ただ光っただけだ。
しかし…。

カクレオン 「カッ、カックレ〜!!?」

ユウキ 「なっ!?」

突然カクレオンが現れた。
まさか…見えない何かってカクレオン!?

ポケモン図鑑 『カクレオン:色変化ポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ:1.0m 重さ:22.0Kg タイプ:ノーマル』
ポケモン図鑑 『体を景色と同じ色に変えて獲物に気付かれないように忍び寄る』
ポケモン図鑑 『長く伸びるベロで素早く捕まえる』

カクレオン 「カックレー!!」

ユウキ 「て、うお!?」

カクレオンは突然のことに驚いてか襲い掛かってくる。
俺は慌ててモンスターボールを取り出し投げる。
どのモンスターボールかなんて確認していない。
咄嗟のことだから何が出るやら…?

ラグラージ 「ラーグ!!」

ユウキ 「ラグラージか! 行くぞラグ!」

ラグラージ 「ラグー!」

カクレオン 「カククー!!」

ビキャアアアアアア!!

ラグラージ 「ラグゥ!?」

ユウキ 「『サイケこうせん』か!?」

サイケこうせんはサイケ光線。
エスパー技で怪しげなレーザーを対放射線状の敵に放つ。
時々混乱してしまう技だ。

ユウキ 「ラグ! 『マッドショット』!」

ラグラージ 「ラージ!!」

カクレオン 「クレー」

ヒュウン!

ユウキ 「なっ!?」

カクレオンはその場の景色に一瞬で溶け込む。
単純に考えれば恐るべき技だ。
だが、所詮は体の細胞を透明化させるだけの技だろうが!!

ユウキ 「ラグ! 『だくりゅう』!!」

ラグラージ 「ラージ!!」

ラグの『だくりゅう』は橋全てを覆う。
回避なぞできないぞ!

バシャアアア!!

カクレオン 「カックレ!?」

ユウキ 「いた! そこに『どろかけ』!」

カクレオンはだくりゅうの泥で姿がバレバレになる。
俺はそこにすかさず『どろかけ』を放たせる。

バシャシャ!!

カクレオン 「カッ、カクレ!? カークレー!!」

カクレオンは負けじと『サイケこうせん』を放つ。
しかし、もう終わりだ。

ユウキ 「ラグ! かわして『みずでっぽう』!!」

ラグラージ 「ラージ!!」

ラグラージは『サイケこうせん』をジャンプしてかわして空中から『みずでっぽう』を放つ。

カクレオン 「クレレー!!? カ〜クレ〜…」

『効果抜群』の攻撃を受けたカクレオンはさすがにもうダウンだった。
思ったより打たれ強い奴だったな。

ユウキ 「敗因は『どろかけ』で『地面タイプ』になったことだ…」

カクレオンの特性は『変色』。
最後に受けた技の属性にタイプが変化してしまうのだ。
俺はそれを逆手にとってわざと『どろかけ』を使ったのだ。
効率よく倒すために。

ダイゴ 「なるほど、君の戦い方、面白いね」
ダイゴ 「初めてムロで出会った時よりもポケモンも育っているし…うん、そうだね」
ダイゴ 「このデボンスコープは君にあげよう」

ダイゴさんはそう言うと俺にカクレオンの正体を明かした秘密兵器を渡す。

ユウキ 「いいんですか?」

正直これがあればかなり便利に思う。
しかし、良いんだろうか?
結構高そうだぞ…これ。

ダイゴ 「ユウキ君、僕は頑張っているトレーナーとポケモンが好きなんだ」
ダイゴ 「だからあげるよ」
ダイゴ 「君の事、良いと思うよ」

ダイゴさんはそう言うとモンスターボールを取り出す。
そして、中から出てきたのは大きくて強そうなエアームドだった。

ダイゴ 「他にも姿を隠しているポケモンがいるかもしれないし、持っているといい」
ダイゴ 「じゃあ、またどこかで会おう!」

ダイゴさんはそう言うとエアームドに跨って大空を飛ぶ。
エアームドのそらをとぶ。
ダイゴさんはエアームドに跨ってあっという間に遠くの空の彼方に去ってしまった。

ユウキ 「間違いないな…ダイゴさんはかなりの名トレーナーだ…」

あのエアームドでわかる。
あのエアームド…とても鍛えられている。

ユウキ 「こりゃ、俺も負けてられないな!」

俺はそう自分に活を入れる。
しかし、これはもしかすると…。

ユウキ 「このデボンスコープ…もしかしたらあのヒワマキジムの…」

俺はヒワマキジムの見えない壁を思い出す。
もしかしたら、このデボンスコープなら正体がわかるんじゃないだろうか!?

ユウキ 「おっしゃ! それならヒワマキに戻る価値有り!」

俺はそう思うと善は急げとヒワマキシティに戻るのだった。




…………。
………。
……。




『12月1日:午後10時15分 ヒワマキシティ』


ユウキ 「ふっふっふ…ついにやって来たぞヒワマキシティ!」
ユウキ 「早速ジム戦! …といきたい所だが…」

もうすでに時刻は午後10時だ。
今日は諦めてとりあえず明日朝一番にジムへ行こう。

ユウキ 「とりあえず、ポケモンセンターだな…」

俺はポケモンセンターを探すのだった。
今日はもう寝よう。



…………。



ユウキ 「さすがにツリーの上に建っていたりはしないわな…」

俺はポケモンセンター前でそう呟いた。
ポケモンセンターはちゃんと地面の上にあった。
こことジムだけは文明的なものを感じるな…。

ウィィィィィン。

等と考えながらも俺はポケモンセンターのシャッターを潜る。

お姉さん 「夜遅くまでご苦労様です、ようこそポケモンセンターへ」

中は普通のポケモンセンターでやや広々としたロビーを持っていた。
受付の所はどの町でも変わらないらしい。
ひとりのポケモンナースが出迎えてくれる。

ユウキ 「あの、部屋を借りたいんですけど」

お姉さん 「かしこまりました、これが部屋のキーです」

お姉さんは手際よく部屋のキーを渡してくれる。
部屋のキーには123と書かれていた。
随分部屋数が多いんだな…。

ユウキ 「ありがとうございます」

お姉さん 「ごゆっくりどうぞ」

俺は鍵を受け取るとその番号の部屋に向かう。
123っていうことは23室以上あるってことだよな?
それってポケモンセンターとしてはかなり多い部屋数だぞ…。

ユウキ 「と、ここだ」

ポケモンセンターの電灯も大半が消灯している時間、俺は月の光のおかげではっきりとナンバープレートを発見する。
俺は自分の部屋の鍵穴に鍵を挿して回し、中に入る。

ユウキ 「はは…こりゃ、ホテル並だな…」

さすがに苦笑した。
中は広々としており、ベッドルームとリビングがあった。
どうやらバスルームもあるらしい。
キッチンだけはないようだな。
外には広々とした庭もあるポケモン用か。

ユウキ 「でろ、お前ら」

俺は庭に出るとポケモンたちを外に出した。

ラグラージ 「らぐ〜?」

サーナイト 「…?」

ボスゴドラ 「あら?」

チルット 「…?」

コータス 「こ〜♪」

リリーラ 「……」

それぞれが奇妙な顔をしていた。
どこだここって感じなんだろう。

ユウキ 「今日は久々に外で寝れるぞ」
ユウキ 「俺は風呂に入った後、寝る…お前らは明日に備えてゆっくり休め」

俺はそう言うと部屋に入った。





サーナイト 「ポケモンセンターですかね?」

チルット 「それ以外考えられないっすね」

ラグラージ 「なんにせよ、ゆっくり眠れそうだな」

コータス 「そ〜ですね」

ボスゴドラ 「う〜む、まだ体が馴染まない気がするわ」

リリーラ 「……」

とりあえず、思い思いのみんな。
相変わらずまとまりがないな〜…。

ボスゴドラ 「とりあえず私は早いとこ寝るわ」

そう言ってボスゴドラさんが真っ先に横になった。
ボスゴドラさんはザンジークから解放されて以来、普通に人間の言葉が喋れるようになった。
けど、極力人前では人間の言葉は話さないようにしている。
これ以上目立ちたくないかららしい。
でも、マスターには普通に喋っている。
意思の疎通が行いやすいからだろう。

チルット 「今日ばっかりはオイラも休むっす」

ラグラージ 「俺もそうするか」

コータス 「そうですね〜」

リリーラ 「…寝る」

ラグラージさんたちも早々眠るらしい。

サーナイト 「月の光で明るいし、僕は本を読んだ後寝ようかな?」

ラグラージ 「早めに寝ろよ?」

サーナイト 「はい」

ラグラージさんは横になりながらそう忠告してくる。
僕は月の光を頼りに大好きな本を読んだ。






ザァパーン!

ユウキ 「ふぅ…」

俺は体をお湯で流していた。
久し振りの風呂は気持ちいいな。
雨で服とかも酷いことになっていたしできれば洗濯したいがこの服以外に持っていないんだよな…。
まぁ、体だけで我慢するか…。

ユウキ 「ふぃ〜…極楽極楽」

俺はゆっくり湯船に浸かる。
なんだか身も心も温まるな…。

ユウキ (明日はジム戦だ…ゆっくり休まないとな)

でも、どうしても何か引っかかる。
パパやあのおばあちゃんのせいかな…?


(センリ 「そして、キンセツシティに向かっから118番道路に向かって『ヒワマキシティ』に向かうと良い」)

(ユウキ 「ヒワマキシティ…そこにジムが?)

(センリ 「ああ、あるにはある…」)

(ユウキ 「? あるにはある…何か問題が…」)

(センリ 「いや、その…私も詳しい事情を知っているわけではない…」)
(センリ 「ただ、言えることはもしジム戦を拒否されたら迷わず他のジムへ行け」)



(お婆ちゃん 「あらぁ? ジム戦に来たの? でもナギちゃんは相手してくれるかねぇ〜?」)



ユウキ 「この二つはあの見えない壁には関係ない…」

そんなの簡単にわかる。
『ナギ』という人物に問題があるとしか思えない。

ユウキ (やだな…そんな簡単にジム戦を諦めるなんて…)

パパはああ言ったけど、やっぱり戦いたい。
今まで俺は色んなジムリーダーと戦った。
それぞれ個性的で素晴しく強いトレーナーたちだった。
俺達はそんなジムリーダーたちと戦って強くなってきたんだ。
やってくれないからってはい、そうですかいったらこの先もすぐに諦めてしまう気がする…。
やだな…それって。

ユウキ 「明日…わかるよな」

俺はそう思うと風呂から上がる。
明日のためにぐっすり寝よう…。



………。
……。
…。



お姉さん 「おはようございます」

ユウキ 「おはようございます」

朝6時、俺は少しゆっくりと眠って起きた。
ロビーには依然眠そうな表情など見せない徹夜のお姉さんがいた。

お姉さん 「ぐっすり眠れましたか?」

ユウキ 「ええ、おかげ様で」

お姉さん 「そう、よかったわ」

お姉さんはほっとした顔でそう言った。
そういう優しい性格の人なんだろうか?
それとも苦情でもあるのか?

ユウキ 「とりあえず、鍵をお返しします」
ユウキ 「それと、ポケモンたちをお願いします」

俺はそう言って鍵とモンスターボールをお姉さんに渡した。

お姉さん 「はい、確かに」
お姉さん 「ポケモンの方はしばらくお待ちください」

ユウキ 「はい」

俺はそう返事してその場で待っていた。
途中その場を見渡してみる。
やっぱり大きなポケモンセンターだな。

ユウキ 「随分、大きなポケモンセンターなんですね」

思わず話しかけてみた。

お姉さん 「そうね、でも宿泊する部屋は一階にしかないのよ?」

するとお姉さんは気さくに言葉を返してくれた。
一階にしかない?

ユウキ 「でも、あそこに階段が」

俺は二階へと続く階段を指差す。

お姉さん 「2階はね、病院なの」

ユウキ 「病院? へぇ、結構大きいポケモン病院なんだ」

お姉さん 「人の病院もあるけどね」

お姉さんは優しく微笑みながらそう付け足した。
へぇ、街はあれだけどポケモンセンターは随分立派だな。

お姉さん 「まぁ、人間の方は診療所って言った方がしっくりくるんだけどね」

ユウキ 「へぇ…」

俺はそう相槌を打って階段の方を見た。

ユウキ 「そういや、ここら辺って雨は降らないんですか?」

俺はある素朴な疑問を投げかけた。
ヒワマキ以降雨が降っているところを見たことがない。
ヒワマキに来る前までは雨はしょっちょう降っていたの。

お姉さん 「そうね…何故かこの辺りは雨が降りにくいわ」
お姉さん 「きっとだからここに街をつくったんでしょうね」

ユウキ 「ふぅ〜ん、そうなんですか」

なるほど、やっぱり降り難いんだな。
それにしては立派な木々が生えているが。

お姉さん 「はい、お待たせいたしました、あなたのポケモンはみんな元気になりましたよ♪」

ユウキ 「あ、ども、ありがとうございます」

俺はお姉さんからモンスターボールを受け取るとそれをボールラックに付けていく。
そして、俺はポケモンセンターを出る。

お姉さん 「ありがとうございました」

最後はお姉さんのエンジェルスマイルに見送られて俺はジムへと目指す。



………。



『12月2日:6時30分 ヒワマキジム前』


ユウキ 「さー! デボンスコープの出番だ!」

俺はとりあえず見えない壁のあった場所に到着するとデボンスコープを取り出す。
いざ、フラッシュ!

カシャ!

カクレオン 「!?」

やはりカクレオンだ…。
あの一メートルの体格でどうやって俺を阻んでいたのかはさっぱり謎だ…。

カクレオン 「!!?」

カクレオンはフラッシュに驚いてか慌てて草むらに逃げたのだった。

ユウキ 「まぁ、ジム戦前に余計な戦闘は省いておきたいもんな」

俺はそう思うとカクレオンを無視してジムの前に立つ。
ジムはカナズミシティで見たような体育館のような場所のようだ。
中はどうなっているんだろうか?

ユウキ 「とりあえず、たのもー!」

ガッ!

しかし、扉は硬く閉ざされていた。
て、何でねん。
どうやら扉は錠前がかけてあるらしい。
これでは真っ青ではないか…。

ユウキ (やはり、早く来すぎたか…?)

考えてみれば時間はまだ朝の6時半だ。
いくらなんでも早すぎるか…。

ユウキ (しょうがない…もう一度時間を置いて出直すか…)

俺はそう思うとジムに背を向け、帰ろうとする。
しかし…。

? 「あら? あの…」

ユウキ 「え…?」

突然、見知らぬ女の子に声をかけられた。
何故かパジャマ姿で、かなり可愛い娘だった。
ちょっとドキュンとする格好してるな…。
一体誰だろう?

少女 「あの…もしかして、ジム戦ですか?」

その、少女は優しい声でそう言った。
俺はこの時…この出逢いがある種運命的なものだということはまだ気付かない。
そして俺は…この少女からある何かを感じていた…。




ポケットモンスター第35話 『閉ざされた門』 完






今回のレポート


移動


118番道路→ヒワマキシティ→120番道路→ヒワマキシティ


12月2日(ポケモンリーグ開催まであと89日)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

ボスゴドラ

コータス

チルット

リリーラ


見つけたポケモン 47匹

カクレオン



おまけ



その35「育て屋さん2」




グラエナ 「おうおう、今日は晴れたな」

オオスバメ 「そうですね」

キノガッサ 「私には晴れようと降ろうとあまり関係ないけどね」

オオスバメ 「それは茸だからですか? それとも怪我の性ですか?」

キノガッサ 「さぁね」

グラエナ (いつの間にか腐海が誕生してそうだな…)

まぁ、さすがにそれはないとして…。
腐海が出たら今度は甲獣がっと…。
それは何千年後か?

ヌケニン 「……」

グラエナ 「ヌケニン?」

ヌケニン 「……」

気がつくとヌケニンが倒れている。
どうしたんだ?

グラエナ 「おーい」

ヌケニン 「……」

グラエナ 「…死んだか?」

ヌケニン 「生きてます」(?)

オオスバメ (一応生きているんだ…)
キノガッサ (あれで生きてるっていえるの?)

グラエナ 「よし、それじゃ体動かすか! ヌケニン、オオスバメ、相手しろ!」

俺はとりあえずヌケニンとオオスバメを相手にすることにする。
さすがにレベル差もあるはずだし、二人相手もできるはずだ。

ヌケニン 「いいよ〜」

オオスバメ 「うん! 久し振りにやってみようか!」

キノガッサ 「私だけのけ者…」

グラエナ 「しゃーないやん…戦えないんだから」

キノガッサ 「ぱぎゅう…」

ヌケニン 「それじゃあ、自分、いっきまーす」

グラエナ 「おう! こい!」

ヌケニン 「『シャドーボール』!」

グラエナ 「なぬっ!?」

ヌケニンはいきなり間接攻撃をしてくる。
しかーし!

グラエナ 「そんな技に当たる俺ではないわー!」

俺はヌケニンの『シャドーボール』を回避するとヌケニンに接近して噛み付く。

ピキィ!!

ヌケニン 「秘儀AT○ィールド」

グラエナ 「○対拒絶領域かよ!?」

ヌケニンの目の前には6角形のアレが展開される。
ダメージは4000まで無効だ…貫通できるわけねぇだろ!!

ヌケニン 「そして秘儀、神○嵐!!」

ヌケニンの両腕の間接外れてぐるぐる回りながら台風のような風が俺を襲う。

グラエナ 「お前は究極生命体かーっ!!」

ズシャアア!!

ヌケニン 「ふぅ…苦しい戦いだったぜ…この俺をここまで追い詰めるなんて…」

グラエナ 「なめんな…」

やはりヌケニンになっても奴は奴か…。
昔はともかく今はついていけん…。

グラエナ 「もういい…オオスバメ、お前が相手だ」

オオスバメ 「いいですよ♪」

オオスバメは嬉しそうだ。
久し振りのバトルだからか?
まぁ、コイツなら普通にバトルできるだろう。

オオスバメ 「でも、僕の攻撃に耐えられるんですか?」

グラエナ 「ヌケニンの攻撃なら大丈夫だ、かかってこい!」

オオスバメ 「じゃあ…」

グラエナ 「ん?」

オオスバメは突然足を地につけて奇妙な構えをとった。

グラエナ (○斗聖極輪の構え?)

とにかく、そんな感じの構えだった。

グラエナ 「しゃーねぇな…いくぞ!」

俺はオオスバメにつっこむ。
その翼、噛み切ってやるぜ!

オオスバメ 「はぁ!!」

ドカァバキィドカァーン!!

グラエナ 「はいぃィィィーーー!!!?」

いきなりわけもわからず吹っ飛ばされる。

グラエナ (こいつはこいつで天地魔闘の○えかよ…)

どうやらアレは完全な受けの構えだったようだ。
わざと先手を打たせて○ェニックスウ○ングとカ○ミティ○ンドで仕上げ○イザ○フェ○ックスを受けちまった。

オオスバメ 「だから言ったのに…」

キノガッサ 「もうあなたには哀れすぎて…何も言えないわ」

グラエナ 「無茶苦茶だ…」



おまけその35 「育て屋さん2」 完



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