ポケットモンスター サファイア編




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第50話 『交錯する存在』





『1月3日 午前8時12分 トクサネシティ』


ユウキ 「おーす! おはようみんな!」

ラグラージ 「らぐぐ〜…」

サーナイト 「う〜、心なしかまだ体が痛い…」

ボスゴドラ 「今日は随分ゆっくりね…」

チルタリス 「早朝トレーニングもなかったっすしね」

ユレイドル 「……」

いきなりだが俺はポケモン達を外に出していた。
みんなはそれぞれ様々な反応をした。
昨日ジム戦をしたラグは欠伸をし、サーナイトは少しだるそうだった。
そして、俺は実はあることを伝えないといけなかった。

ユウキ 「…じつはみんなにお伝えしないといけないことがある…」

チルタリス 「どうせ、新しい仲間っしょ?」

ユウキ 「なんでわかった!?」

ボスゴドラ 「コータス居ないじゃない…」

ユウキ 「ぬ…そこでバレたか…」

そう、今回はコータスがいない。
コータスはパソコンに預けたのだ。

サーナイト 「あれ? じゃあ、新しい仲間はどこに?」

ラグラージ 「ラグラ〜?」

チルタリス 「そういえば…」

ユウキ 「…まだ、モンスターボールにいる」

ボスゴドラ 「なんで、外に出していないの?」

ボスゴドラがそう言うとみんな疑問の眼差しを送る。
そう、習慣として新しい仲間が入った場合全員集合していたのだ。
なのに、今回はその新しい仲間がいない。
…それにはわけがあるのだ。

ユウキ 「これからの旅、海での戦いがほとんどになる…それゆえにコータスには一線を一時的に離れてもらった」

チルタリス 「ということは必然として新しい仲間は水中戦を前提とした仲間?」

ユレイドル 「……」

サーナイト 「水タイプ?」

ユウキ 「それでは…でてこい! サメハダー!」

サメハダー 「サメッハー!!」

ズドォン!!

俺は勢いよくボールを投げると中からはサメハダーが現れた。
…これが、新しい仲間だ。

サメハダー 「サメー!!」

ラグラージ 「……」
サーナイト 「……」
ボスゴドラ 「……」
チルタリス 「……」
ユレイドル 「…ユ」

全員目が点になる。
…実際俺も初めて見た時は唖然とした。
なぜかというと…。
大きいのだ…!

サメハダー 「サメハ〜?」

頭から顎までで大体4メートルくらい。
全長にすると8〜9メートルあるかもしれない…。
まさに○ョーンズ…。

チルタリス 「あの…一体どこでゲットを…?」

ユウキ 「実は、以前入った仲間のホエルコと交換をしてな…」

しかもその相手はなんとハルカと来た。
なんでも、もう一匹ホエルコが必要なのだがどうにか手に入らないかという話が来た。
なんでもトクサネ辺りはホエルコがよく出現するため、俺に相談したようなのだ。
たまたま俺はホエルコを持っていたので、ハルカとの経緯で交換をすることに。
ハルカは面白い子とだけ伝えて俺にこのサメハダーを渡した。
まさに開けてビックリだったわけだ。

ユウキ 「まぁ、お前らちゃんと仲良くな」

ラグラージ 「ラージ」

ユレイドル 「ユレ…」

サメハダー 「サメーッ!」

ラン 「あ! お兄ちゃん!」
フウ 「あ! お兄ちゃん!」

ユウキ 「ん?」

ポケモン達に仲良くするよう言うと突然後ろから声が聞こえた。
言わずと知れたあの姉弟だ…。

ユウキ 「どうし…ゲフ!?」

ラン 「お兄ちゃん♪」
フウ 「お兄ちゃん♪」

ドコォ!

振り向いたやいなや腹に突き刺さるような衝撃が走る。
本人達は抱きついているつもりだろうがタイミングの合った殺人タックルに見えなくもない。
○城ホワイトナイツの槍並みか…。

ユウキ 「いきなりタックルするな…」

ラン 「ええ!?」
フウ 「タックルじゃないよ!」

ユウキ 「わかったから離れなさい…」

ラン 「はーい」
フウ 「はーい」

ふたりは息ぴったりにそう言って離れる。
ふう…。

ユウキ 「で、どうした?」

ラン 「あ、朝ごはん一緒に食べよ♪」
フウ 「それでまだ居ると思って呼びに来たんだ♪」

ユウキ 「そうだったのか…」

そういえば時刻はもう朝の8時…そろそろ朝飯を食べないとな。

フウ 「ところでお兄ちゃんは何していたの?」

ユウキ 「新しい仲間をみんなに紹介していたんだ」

ラン 「仲間?」

サメハダー 「サメー!」

フウ 「うわっ!? お、大きい!?」
ラン 「○ョ、○ョーンズ!?」

それ、俺も思った…。
やっぱでかいよな…。
普通のサイズの2倍以上あるもんな…。
ちなみに通常のサメハダーは高さ1,8メートル。

ユウキ 「じゃ、飯食おうか、フウ、ラン」

フウ 「あ、うん♪」
ラン 「あ、うん♪」

そして、やはり同じタイミングに同じ反応。
本当に見ていて飽きない姉弟だ。
しかし、それも今日で見納めか…。
そう、実は俺は今日の昼にはトクサネシティを発つ予定なのだ。
それまでにこの姉弟にも別れを告げなければならない…。
悲しいことだがな…。

ゴト!

ユウキ 「ん?」

ラグラージ 「ラグラ?」

突然、背中のバッグから何かが落ちる音。
俺は何かと思い後ろを振り向いた。

キラン!

ユウキ 「…! 謎の剣か…」

それはあの捨てられ船で拾った謎の剣。
rarudoと彫られた謎の剣の柄と刃の一部分。
何気にまだ持っていたな…。

ラン 「なにそれ…?」

ユウキ 「ひろいもんだ」

フウ 「…ちょっと不思議な感じするね」

ユウキ 「そうか? まぁ、そんなことよりさっさと飯にしようぜ?」

フウ 「あ、うん」

ラン 「こっちだよ、お兄ちゃん!」

ユウキ 「ああ、あ、ラグ、その剣持っといてくれ」

ラグラージ 「ラグ〜」

俺はラグラージに折れた剣を持っていてもらうと姉弟の後を追うのだった。





サメハダー 「みなさん! よろしくお願いいたします!!」

チルタリス 「おお〜、なかなか元気っすね」

ボスゴドラ 「まぁ、よろしくね」

サーナイト 「よろしくお願いします」

ラグラージ 「ま、そういうことでよろしく」

ユレイドル 「……」

僕たちはとりあえずこのサメハダーさんを心良く受け入れる。
なかなかインパクトの強いキャラだな…。

チルタリス 「と、ユレイドルさんもちゃんと挨拶しないと!」

ユレイドル 「……」

しかし、ユレイドルさんは全く反応しない。
まるで眠っているみたいだった。
あれ…ていうかパルスがない…?
て、え?

サメハダー 「も、もしかして俺…歓迎されてません?」

ラグラージ 「気にするな…あいつは単に無口なだけだ」

サーナイト 「いや! というか大丈夫ですか、ユレイドルさん!?」

僕は慌ててユレイドルさんの体をゆすった。

ユレイドル 「ん…な、なんだ?」

チルタリス 「サーナイトさんどうしたっすか突然?」

ボスゴドラ 「昨日の戦いで頭のネジでも外れたのかしら?」

ユレイドルさんは何が起こったかわからないといった顔で『目を覚ました』。

サーナイト (さっき、たしかにパルスを感じなかった…でも、戻った…?)

パルスは生命である…これが無くなったらそれは死を意味する。
そして、ユレイドルさんはたしかにさっき…『死んでいた』。
そして、蘇った?
心臓が止まったとかそんなレヴェルじゃない…確実に生物としての死を意味していた。
な、何が起きたんだ?

ユレイドル 「どうした…サーナイト? 何を難しい顔をしている…?」

サーナイト 「いえ…なんでもありません」

チルタリス 「それより、ユレイドルさんも挨拶するっす!」

ユレイドル 「挨拶…?」

ユレイドルさんはまるでなんのことかわかっていないようだった。

サメハダー 「あの、よろしくお願いします!」

ユレイドル 「ん? あ、よろしく…」

ユレイドルさんはマイペースにサメハダーさんを確認するとよろしくと控えめに言った。

ラグラージ 「どうしたんだ? らしくないな」

ボスゴドラ 「本当にねぇ〜…」

ユレイドル 「……」

それっきりユレイドルさんは無口になる。
今はいつも通りの姿だ…。

ユレイドル (おかしい…記憶が無い…どこからない?)
ユレイドル (たしか、サメハダーがボールから出るところまで覚えている…そこから先は全くない…)
ユレイドル (き、気絶したのか? しかし…まるでそんな感覚はなかった…一体何が起きたんだ?)

ラグラージ 「さ〜て、それじゃ俺たちはどうしようか?」

チルタリス 「じゃ、歓迎に三奏演奏でも…」

ゴゴゴゴゴゴゴ!

チルタリス 「おや? なんすかこの音?」

サーナイト 「わわっ!? じ、地震!?」

ボスゴドラ 「ちょ、ラグ! 歓迎に地震はいらないって!」

ラグラージ 「これは技じゃねぇっての!」

サメハダー 「し、自然発生っすか!?」

ユレイドル 「…!」

ゴゴ…。

サーナイト 「ふぅ…収まったみたいですね…」

ラグラージ 「ああ、そうみたいだな…」

ユレイドル 「!? おい、ラグラージ…お前!」

ラグラージ 「ん? どうした?」

突然、ユレイドルさんが驚いたようにラグラージさんを見る。
それを見て僕たちも驚いた。

サメハダー 「先輩! 体透けてますよ!?」

サーナイト 「な、一体何が!?」

ラグラージ 「へ?て…体が…?」

ヒュン!!

しかし、ラグラージさんは気付く前に姿が見えなくなる。
いや、透明になったんじゃない。
パルスが消えた…つまり、消滅した。

ボスゴドラ 「ちょ、いきなり神隠し!?」

ユレイドル 「冗談じゃない…何が起こったんだ?」

サーナイト 「ぼ、僕マスターを急いで呼んできます!」

僕は慌ててマスターのパルスを探し、マスターの居る場所に向かうのだった。
今日はどうなっているの!?



…………。



『同日 某時刻 トクサネジム』


ユウキ 「…収まったな?」

ラン 「うん…怖かった…」

俺たちは飯を食べ終えた後地震にあった。
あれは自然の物だな…。

ユウキ 「なんか、不吉だな…だが言わないといけないしな…」

フウ 「…やっぱり別れの挨拶?」

ユウキ 「やっぱ、わかるか…」

俺がそう呟くと姉弟は『うん』と頷いた。

ユウキ 「俺はこれから…」

フウ 「大丈夫! 笑って見送るよ!」

ユウキ 「……」

ラン 「お兄ちゃんはポケモントレーナーだもん! 仕方ないよ!」

別れるのは辛い…それでも別れなければならない。
そして、それをこの幼い姉弟はよくわかっている。
辛くないわけ無い…それなのに笑ってくれている。
そんな姉弟を見て俺は。

ユウキ 「ああ! ポケモンリーグには必ず出るか応援してくれよ!?」

フウ 「うん♪」
ラン 「うん♪」

姉弟は満円の笑みで返してくれる。

ユウキ 「よーし、それじゃ…」

サーナイト 「ま、マスターいますか!?」

ユウキ 「ど、どした? サーナイト…」

突然、サーナイトが血相を変えて部屋に殴りこんできた。
さすがに驚いたぞ…。

サーナイト 「ら、ラグラージさんが消えちゃいました!!」

ユウキ 「は…どういう意味だ?」

イマイチ状況が読めない。
消えた…て?

サーナイト 「えと…! その…!」

ラン 「サー君落ち着いて」
フウ 「深呼吸深呼吸」

サーナイト 「あ、はい…スーハー」

サーナイトはその場で大きく深呼吸をする。
う〜む、こういうところ○ルファリルに似ているな…。

サーナイト 「えと、突然地震の後、ラグラージさんの体が透明になっていったかと思うと突然神隠しにあってしまったんです」

ユウキ 「は…まじ?」

サーナイト 「まじです…」

俺は一瞬思考がまとまらなくなる。
えと…とどのつまり?

ユウキ 「ラグラージは?」

サーナイト 「消えました」

ユウキ 「…なんですーっ!!?」

おもわずムンクの叫びのような顔で驚いてしまう。

ユウキ 「ちょ、悪いがもうお別れだ!」

俺は慌てて身支度を終えると、すぐにその場を発とうとする。

ラン 「あ、待って!」

ユウキ 「ん? な、なんだ!?」

フウ 「おにいちゃん」
ラン 「おっきな『落ちもの』に気をつけて」

ユウキ 「え? あ、ああ…」

なんだかよくわからないがとりあえずうなづいておく。
落ちものってなんだ?
まぁ、いいか。

ユウキ 「いくぞ! サーナイト!」

サーナイト 「は、はいっ!」

俺は慌てて皆の待つ場に向かうのだった。



…………。



ユウキ 「みんな大丈夫か!?」

チルタリス 「一応…」

ボスゴドラ 「でも、ラグラージが…」

サメハダー 「サメ〜…」

ユウキ 「まじで神隠しかよ…」

戻ってみるとなんとラグの姿が無かった。
なんでよりによってラグが…。

ユウキ (まさか、あの剣のせいっすか!?)

今日は偶然にもあの剣が落ちてしまい、ラグに持たせてしまった。
そして、ラグは剣と一緒に神隠しに…。

ユウキ 「Oh、My、God…」

さすがに洒落にならん…。
もしかしてお先真っ暗という暗示では…?

ユウキ 「はぁ…消えたからにはしかたない」

そうとなればコータスを引き戻すしかないだろう。
そうと決まれば…。

? 「きゃああっ!?」

ユウキ 「ん? なに? どこ?」

突然、どこからか女性の悲鳴が聞こえた。
不思議と嫌な予感だけがした。

チルタリス 「あ、マスター上」

ユウキ 「え? 上…!?」

俺は上を見上げる。
しかし、その時には…。

ズドン!

ユウキ 「うげっ!?」

突然、女性が俺の上に落ちてきた。
俺は物の見事に下敷きにされるのだった…。

女の子 「痛た…なんで横から入って落ちるの〜?」

ユウキ 「わけのわからないこと言ってないで…どいてくれない…?」

俺は苦しみながらそう言った。
死ぬ…ていうかよく生きてた…。
さすが俺。

女の子 「あ! ご、ごめんなさい! だ、大丈夫ですか?」

女の子は慌ててどいてくれた。
俺はそれでやっと重みから解放された。

ユウキ 「あんた…一体何を考え…え?」

女の子 「本当にごめんなさい…」

俺は女の子の顔を確認すると頭に?が浮かぶ。
それもそのはずだった。
その女の子はどう見てもここらじゃ暑そうな紫色の冬服を着て、下は白いロングスカート。
上着としてなぜかエプロンを着ていた。
金色というよりは黄色という方がしっくり来るパッチリ大きな瞳と綺麗なショートヘアー…そして。

ユウキ (何あれ…ちょうちん? 最近の流行か?)

そう、その女の子はチョウチンアンコウのような触手が頭から生えていた。
年齢は俺と同い年くらいかな?
結構可愛いぞ…。

ユウキ 「失礼ですが、その頭のは流行ですか?」

女の子 「はぁ? これ?」

そう言って女の子は頭から二本生える触手を触った。
俺はコクリと頷く。

女の子 「何言ってるの? 生えてるに決まっているじゃない…」

ユウキ 「は、えてる?」

女の子 「あなた頭大丈夫?」

ユウキ 「たぶん…」

自信ない…。
今、この子はこう言った…生えてる…って。
じゃ、なにか!? この子は人間じゃないってのか!?
俺も似たようなものか…。

女の子 「それにしても暑いわね…それにここどこ?」

ユウキ 「どこって…トクサネシティだけど」

女の子 「トクサネシティ? どこそこ? 私アクアレイクにいたはずなのに…」

ユウキ (聞いたこと無いぞ…)

女の子は全く持って不可解だった。
一体何者なんだ?

女の子 「…まさか、本当にシースの占いが当ったわけ…?」

ユウキ (シースって誰だ!?)

知らない人の名前が出てくる。
どうしよう…変な人に関わっちゃったのかも…。

女の子 「あ、そういえば自己紹介がまだだったわね、私はシルク、チョンチー種よ、あなたは?」

ユウキ 「俺はユウキ…て、え? チョンチー種? ポケモンの?」

女の子はシルクと名乗った後チョンチー種といった。
Surprise…それじゃなに? この子はポケモンとでもいうの?
擬人化したらたしかにこんな娘になるかもしれないけどさ…。

シルク 「あなたやっぱり大丈夫? あなたはなんてポケモンなの?」

ユウキ 「いや、俺はポケモンじゃなくて人間…」

だと思う…。
しかし、普通の人間はフォルムを使えるだろうか?
いや、無理だ…だが人間としか言いようが無い。

シルク 「に、人間…? あ、あの伝説の?」

チルタリス 「伝説も何も人の姿をしているのはみんな人間っす!」

シルク 「うひゃあ!? なにこれ!?」

シルクはチルタリスを見るとこれでもかって位驚く。
う〜む、この娘の反応を見る限り間違いなく…。

ユウキ (この世界の人間…もといポケモンじゃないな…)

ラグが消えたのなら現れる者がいても不思議じゃなく、むしろ当然のように感じた。
それにしても大きな落ちものってこの女の子のことだったんだな…。

チルタリス 「これとは失礼な! あんたと同じポケモンっす!」

シルク 「え? マジ…?」

サーナイト 「本当です…僕たちの方が信じられないくらいですから…」

ユレイドル 「……」

ボスゴドラ 「全くよね…」

シルク 「もしかして夢?」

ユウキ 「だったら…俺も嬉しいんだけど…結論から言うとあんたは異世界からやってきたみたいだな」

シルク 「やっぱり…はぁ」

ため息つきたいのこっちの方だよ!
なんで俺ってばこんな出会いばっか!

シルク 「…頼れるのは君だけか…」

シルクはそう言うと俺を善望の眼差しで見る。
はぁ…ようするにプリーズヘルプミーってことね。

ユウキ 「10分でわかりやすく状況を説明するからよーく理解してくれよ?」

シルク 「うん」



…………。



ユウキ 「Do you anderstand?」

シルク 「…にわかには信じられないけど…」

あれから10分、俺はなんとか彼女が納得できるよう彼女の視点で状況を説明した。
とりあえず、要らない部分はかなり省いた。
しかし、それにより彼女は自分がまさに彷徨い人ということと、この世界のポケモンについてよく理解してくれた。
とりあえず、頭のはアクセサリー、そして彼女は人間という扱いになってもらう。

シルク 「で、私って君について行ってもいいの?」

ユウキ 「この世界に余計な混乱を招きたくないならくることを推奨する」

シルク 「うぅ…君、子供っぽくないよ…多分私とそんなに年齢変わらないのに…」

ユウキ 「ちなみに何歳? 俺はもう15ね」

俺は11月の中旬には誕生日で15になったからな。

シルク 「じゃ、私と一緒か、私もついこの間誕生日来たから」

…これはどっちの驚き方をしたらいいのだろうか?
俺と同じに驚くべきか、俺が同じということに驚くべきか?

シルク 「…じゃ、そういうことでどうなるの?」

ユウキ 「とりあえずアクア団の捜索…以上」

シルク 「…アクア団って?」

ユウキ 「かったるい!」

シルク 「…かわいくないな〜」

ユウキ 「可愛く見られたくもないから!」

シルク 「まぁ、いいやじゃ早く探そうよ!」

ユウキ (…疲れそうだな)

しみじみそう思ってしまう。
アクア団は海中のどこにいて、それを探さないといけない。
ポケモンリーグは残り1ヶ月とちょっと時間があるようで実は全然ない。
さらに主力ラグ喪失、さらにわけのわからん少女捕獲(鹵獲?)。
+なし、−いくらでも。

ユウキ (最悪だぁ〜…)

しかし、嘆くわけにもいかない。
俺はコータスを戻すとハギ老人のいる港に向かうのだった…。




ポケットモンスター第50話 『交錯する存在』 完






今回のレポート


移動


トクサネシティ


1月3日(ポケモンリーグ開催まであと57日)


現在パーティ


サーナイト

ボスゴドラ

コータス

チルタリス

ユレイドル

サメハダー


見つけたポケモン 52匹




おまけ



その50 「いない者、いる者」




あ、さてさて今回はユウキのポケモン達のお話。
ラグラージのいなくなったユウキ一行のポケモンたちは?




サーナイト 「……」

サメハダー 「あの〜…んが!?」

ボスゴドラ 「ほっといてあげなさい…」

サーナイトは明らかに落ち込んでいて、何も知らないサメハダーはそんなサーナイトを見かねて声をかけようとするが私がそれを叩いて止める。

サメハダー 「でも…あれ、明らかに…」

ボスゴドラ 「そうね、落ち込んでいるわ…ラグが消えたからね…」

サーナイト 「ん? あ! えと、みんなあんまりこの場からはなれないでくださいねー!」

ユレイドル 「……」

チルタリス 「とりあえず、了解しといてやるっす」

サーナイトはガラにもなくリーダーぶる。
明らかに慣れていない。
傍から見たら?を頭に浮かべるだろう。
だけど、みんな何も言わない。

サメハダー 「どうして、サーナイトさんは?」

ボスゴドラ 「サーナイトとラグはね、第1期のメンバーなの」
ボスゴドラ 「それ以外はみんな第2期、あなたは第3期ね」

サメハダー 「はぁ…」

サメハダーはまるで私の言おうとしていることを理解している様子はない。
私はそのまま話を続けた。

ボスゴドラ 「サーナイトは今まで一線を離れた多くの仲間を知っているわ、それでもサーナイトは折れなかった」
ボスゴドラ 「それはね、ラグがいたから…サーナイトにとってユウキとラグだけが心の拠り所だった」
ボスゴドラ 「グラエナとかいた時はそうでもなかったんだけど、段々消えていったからね」
ボスゴドラ 「彼は一番と言うのにあまりなれていないし、生真面目だから自分が何とかしなきゃとも考えてる」
ボスゴドラ 「今は彼のやりたいようにやらせるのが一番、彼はあれで繊細だから余計な気遣いは返って傷つけるわよ?」

サメハダー 「この人、歴史ありってやつっすね〜…」

ボスゴドラ 「そうね、私たちの出会いはまだ半年にもなっていないけど…それでも途方もなく長いように感じたわ…」

しみじみそう思う。
今まで色んな出逢いがあった。
色んな戦いがあった。

ボスゴドラ (そして、これからがこれまでもっとも辛い戦いになるでしょうね…)
ボスゴドラ (私たちは何だかんだであなたに頼っていた…ラグ…)
ボスゴドラ (これから私たちはあなたがいない状態で今まで以上の激戦を潜り抜けないといけないのね…)





おまけその50 「いない者、いる者」 完



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