ポケットモンスター サファイア編




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第60話 『栄光を手に』






『2月28日 某時刻 チャンピオンロード内』


ユウキ 「今何日っすか?」

イヴ 「最終日、2月28日だな」

ユウキ (てーと、あと何時間かな?)

たしか、締め切りは今日の18:00。

ユウキ (時間は…15:00)

あと3時間…もうほとんど時間が無いな。
だけど、もうゴールまであと少しのはず。
さっき戦った専属トレーナーのエイジさんがもうすぐゴールだといっていた。

イヴ 「…もしかしたら、最後に出会うかもしれないな…」

ユウキ 「例の少年トレーナーですか?」

俺はイヴさんの言葉に思い当たる単語で答える。

イヴ 「ああ…」

ユウキ 「…あれは俺じゃなかったみたいだもんな」

俺も十分少年だが、な。

ほんの数十分前にさかのぼるが、その時同じようにポケモンリーグを目指す選考トレーナーとバトルになった。
受けたのは俺で流す程度に倒しが、その時気になることを言っていた。

『なんでもわずか4ヶ月あまりでジムを制覇してしかも、11、2の少年がいるらしい』

ユウキ (うそみたいな成績だよな)

俺でも切羽詰って半年なのに、その少年はおれより更に短い4ヶ月って…。
しかも、俺15より下ときた。
もし本当に存在するのならばその少年はほとんどバケモノだな。

イヴ 「…! 出口だ!」

イヴさんは先を指すと、かすかに光が漏れていた。
出口だ…やっと…サイユウシティに…。

ユウキ 「やっとか、ようやく…」

? 「待ってください!」

イヴ 「?」

ユウキ 「この声…」

突然、後ろから呼び止められる。
しかも聞いたことのある声で。
この声は…検索中、検索中、検索中。
検索結果…該当あり。

ユウキ 「ミツル君!?」

ミツル 「やっぱりユウキさんだ! ユウキさんもきていたんですね!」

なんと、俺を追いかけてきた者はあのミツル君だった。
かつて、俺がこのホウエン地方に来て間もない頃出会い、そして、キンセツシティでは俺が彼に挫折を味合わせたこともある。
まさか、ミツル君がここにいるとは。

ユウキ (まさか…まさかとは思うが、4ヶ月あまりの天才って…)

ミツル 「まさか、ユウキさんとこんな所で出会えるなんて思ってもいませんでしたよ!」

イヴ 「知り合いか?」

ユウキ 「ええ、ポケモンと触れ合って4ヶ月あまりのバケモノ的天才ですよ」

半年以下でのポケモンリーグ挑戦なんて聞いたことがない。
だが、わかっていることは、俺がキンセツジムに挑んだとき、彼はジム戦なんて持っての他のずぶの素人だったということ。
それが、ロゥスタートでありながら俺と同じ位置まで追いついたと?
余計なことがあった期間があったことは認めるが、それにしても速すぎる。
それほど、ミツル君は急成長したのか?

ミツル 「僕、アレから頑張って強くなったんです! ユウキさん! お相手お願いします!」

ユウキ 「いいだろう」

俺も気になる。
一体どんな生活を送ったらあのグリーンボーイがここまでこれるのか…?

ミツル 「まずは僕から! 行って! チルタリス!」

チルタリス 「タリ〜♪」

ユウキ 「チルタリスか」

いい加減見慣れているポケモンだ。
そうか、ミツル君もチルタリスを育てたのか…だったら。

ユウキ 「こっちも行くぞ! チルタリス!」

チルタリス 「呼ばれて飛び出てたり〜っすっと」

俺もミツル君と同じくチルタリスを出す。
これが一番実力を測るにはいいだろう。

ミツル 「ユウキさんもチルタリスを育てていたんですね! なんだか嬉しいです!」

ユウキ 「よろこんでばっかりでもダメだぜ?」

ミツル 「はい! チルタリス! 『りゅうのいぶき』!」

チルタリス(ミ) 「タリーッ!」

チルタリスは口から『りゅうのいぶき』をチルタリスに放つ。
セオリーだな。
だが、チルタリスにはこっちの方が効くぜ?

ユウキ 「チルタリス! 『れいとうビーム』!」

チルタリス(ユ) 「フリーザーストーム!!」

俺はチルタリスに『れいとうビーム』を命令する。
チルタリスは口から集約された冷気のレーザーを放ち、それは『りゅうのいぶき』を貫通して、チルタリスに一直線に飛ぶ。

ミツル 「いけない! かわしてチルタリス!」

ユウキ 「やや上! 『ドラゴンクロー』!」

チルタリス(ユ) 「せいや!!」

当然、4倍のダメージになる『れいとうビーム』は回避しようとするミツル君のチルタリス。
しかし、それは俺も予想しているところ。
俺の予想通りチルタリスは上昇して、『れいとうビーム』を回避するが、そこへ俺のチルタリスの『ドラゴンクロー』が襲い掛かる。

ザシュゥッ!

チルタリス(ミ) 「タリーッ!?」

ミツル 「大丈夫!? チルタリス!?」

チルタリス(ミ) 「タリ!」

ミツル君のチルタリスはまだまだ大丈夫そうだ。
さすがによく鍛えられている。
若さもあり勢いもあるだけにあまり防衛的にやっていては調子付かれる可能性もあるな。

ユウキ 「チルタリス! 『れいとうビーム』!」

チルタリス(ユ) 「もう一発!」

ミツル 「反撃だ! 『つばめがえし』!」

チルタリス(ミ) 「タリー!」

俺は一撃で決めるべく、再び『れいとうビーム』を指示する。
対してミツル君は『つばめがえし』だ。
この技…非常に厄介だ。
いわゆる攻防一致。
『つばめがえし』は絶対に回避できないとされているからな。
そして…。

チルタリス(ミ) 「タリッ!」

チルタリス (ユ) 「ヌオッ!?」

ユウキ (敵の攻撃を回避と同時に接近戦で一瞬のうちに敵視界から姿を消す…)

理にかなった技だ。
始動モーションは回避動作から移るのだからな…。

ユウキ (だが、こんな強引な破り方がなくもない!)
ユウキ 「チルタリス! 『そらをとぶ』だ!」

チルタリス(ユ) 「緊急回避っすーっ!」

チルタリスは天井付近まで飛び上がり、ミツル君のチルタリスの攻撃を凌ぐ。

イヴ (素早いな…あのチルタリス…ミツル君のとはスピードが1,2倍は違う…)

チルタリス(ミ) 「チルッ!?」

当然、チルタリスは攻撃モーションに入っていたので標的が一瞬で遠ざかり、すか振る。
そして、今度こそ俺は最後の一撃を決める。

ユウキ 「チルタリス! れい…!」
チルタリス(ユ) 「言われなくたってわかってるっすー!!」

チルタリスは俺が命令する前に『れいとうビーム』をミツル君のチルタリスに放った。

キィン!

チルタリス(ミ) 「チルチルーッ!?」

ミツル 「チルタリス!?」

ミツル君のチルタリスは『れいとうビーム』を食らって苦しむ。
さすがに四倍だからな…。

ユウキ 「チルタリス…ドラ…いや、やっぱりいい」

チルタリス 「っす?」

俺はミツル君のチルタリスを見て、追撃を止める。

ミツル 「ユウキさん…?」

ユウキ 「この勝負、俺の勝ちだ、どうするまだやるか?」

俺はまだかろうじて立っているチルタリスを見る。
チルタリスにまだ戦う闘志が見える。
だが、このまま戦うことを俺は勧めない。

ミツル 「…チルタリス、戻って」

チルタリス(ミ) 「…チル」

ミツル 「僕は…まだユウキさんに僕の全てを見せていない! 2匹目、いきます!」

ユウキ 「OK、戻れチルタリス」

チルタリス(ユ) 「もう出番終わりっすか?」

俺は出番の少なさに愚痴るチルタリスをボールに戻す。
ミツル君もチルタリスをボールに戻した。

ユウキ 「俺から出してやるよ、2匹目はお前だ!」

コータス 「コー!!」

俺は2体目にコータスを出す。
対してミツル君は?

ミツル 「コータスか、立ったらこっちは…いけ、エネコロロ!」

エネコロロ 「エネ〜♪」

ユウキ (エネコロロ…エネコの進化系…たしかトウカジムでも見たな…)

俺は一応図鑑を参照する。

ポケモン図鑑 『エネコロロ:おすましポケモン エネコの進化系』
ポケモン図鑑 『高さ:1.1m 重さ:32.6Kg タイプ:ノーマル』
ポケモン図鑑 『決まった住処を持たずに暮らすポケモン』
ポケモン図鑑 『他のポケモンが寝床に近寄ってきても決して争わず寝る場所を変える』

ユウキ (個体差はあるだろうが…性格の軽いポケモンだな…)

まぁ、それとこのバトルは全く関係ないのだが。

ミツル 「行きますよ! エネコロロ、『みずのはどう』!」

エネコロロ 「エネー!」

ユウキ 「さっすがノーマルタイプ、水技も完備か…so but、『まもる』!」

コータス 「コー!」

ピキィン!

エネコロロの『みずのはどう』はコータスに直撃するがコータスは全くの無傷。

ミツル 「さすがに、いきなり貰ってはくれないか…」

ユウキ 「順当過ぎるぜ、ミツル君」
ユウキ 「今度はこっちの番だ! コータス! 『えんまく』!」

コータス 「コーッ!! ピィィィィィッ!!」

コータスは背中と鼻から『えんまく』を放って周りの視界を悪くする。
さぁ、ミツル君はどうするのかな?

ミツル 「くっ!? エネコ! 『めざめるパワー』!」

エネコロロ 「エネーッ!」

エネコロロの周りには白く輝く野球ボールくらいの玉が生まれる。
エネコロロはそれを周囲にばら撒いた。
ばら撒かれた『めざめるパワー』は煙幕を突き破ってコータスの作った『えんまく』を払いのける。
しかし、その時既にコータスの姿はない。

ミツル 「!? コータスがいない!?」

エネコロロ 「ミャ!?」

ユウキ 「そのまま、『のしかかり』!」

コータス 「コー!」

ジムリーダーアスナの王道パターン。
『えんまく』で視界を封じた後、コータスの『のしかかり』を決める。
コータスは見た目からしても非常に遅く見える。
実際、確かにコータスは鈍重だが、走ったり、飛び上がったりするくらい出来る。
見た目よりずっとコータスは俊敏だ。
ただまぁ、『えんまく』などで普選をしかなければとても成立しないがな…。

コータス 「コーッ!!」

イヴ (『えんまく』で視界を封じて…その後に『のしかかり』…恐ろしいコンボだな)
イヴ (前体験なしでは俺でも引っかかっていただろう…)

エネコロロ 「ミャアーッ!?」

ドシィン!

コータスはエネコロロに圧し掛かる。
さすがに80キロもあるコータスの『のしかかり』だ、痛いだろう。

ミツル 「くっ! エネコロロ! 『ねこのて』!」

ユウキ 「はい? 『ねこのて』…?」

ねこのては猫の手。
この技…何が出るかわからない。
ミツル君が連れているポケモンの持っている技からランダムで飛び出すのだ。
つまり、ミツル君次第の技…。

エネコロロ 「ネー!!」

コータス 「!? コーッ!?」

突然、コータスの体が浮かび上がる。
その際、コータスの体は不思議な膜が覆っていた。

ユウキ 「『サイコキネシス』か!」

ウチのサーナイトの得意技だな。
そういや、ミツル君ラルトスを持っていたな。
てことはそいつのか?

ユウキ 「コータス! 『かえんほうしゃ』!」

コータス 「コー!」

コータスは体を浮かび上がらせながらもエネコロロに『かえんほうしゃ』を放つ。

ミツル 「エネコロロ! 回避と同時にコータスを壁に投げつけろ!」

エネコロロ 「エネーッ!」

エネコロロはコータスを4メートルは先の壁にたたきつけると同時に『かえんほうしゃ』をステップで回避した。

ミツル 「エネコロロ! 『みずのはどう』!」
ユウキ 「コータス、『ねっぷう』!」

エネコロロ 「ネェーッ!」

コータス 「コォ…コーッ!!」

俺たちは同時に命令する。
エネコロロは『みずのはどう』をコータスに放ち、少し遅れてコータスの『ねっぷう』が発生する。
その結果…。

ゴォォォォォ! バシャァン!!

コータス 「コーッ!?」

エネコロロ 「ミャーッ!?」

互いにクリーンヒット、その結果は…。

コータス 「コ〜…」

エネコロロ 「ミャミャ〜…」

イヴ 「相討ち…か」

両者ダウンの相討ちだった。

ユウキ 「やるな、ミツル君、相討ちか」

ミツル 「運が良かっただけですよ、『ねこのて』で『サイコキネシス』が出ていなかったら負けていました」

俺たちはそう言いながらポケモンをボールに戻す。

ユウキ 「運も実力のうちさ…と、行け! ユレイドル!」

ユレイドル 「…ユ」

俺はユレイドルを出す。
ちょっと一罰だが、こいつにもちったぁ働いてももらわないとな。

ユウキ 「まだやるんだろ? ミツル君」

ミツル 「ええ! いきますよ! ロゼリア!」

ロゼリア 「ロゼ〜」

ユウキ (ロゼリアか…何回か見たことあるけど図鑑参照したことは無いんだよな…)

というわけでやっぱり図鑑参照。

ポケモン図鑑 『ロゼリア:茨ポケモン』
ポケモン図鑑 『高さ0.3m 重さ:2.0Kg タイプ:草 毒』
ポケモン図鑑 『極稀に珍しい色の花を咲かせているロゼリアがいるといわれる』
ポケモン図鑑 『頭の棘は猛毒を持っているぞ』

ユウキ (ホウエン図鑑だとスボミーの進化系って出ないんだな…)

まぁ、どうでもいいんだけね…。
なお、ロゼリアは光の石という進化石があればロズレイドに進化できる。
もっともこのホウエン地方では採掘できない石だがな。

ミツル 「ロゼリア! 『ヘドロばくだん』!」

ユウキ 「ユレイドル! こっちも『ヘドロばくだん』!」

ロゼリア 「ロゼー!」

ユレイドル 「ユ…!」

バシャァッ!!

ユレイドル 「…!?」

互いの『ヘドロばくだん』がぶつかり合うと僅かだがこちらが押し負ける。
向こうはタイプ一致で威力が高いからな…。

ユウキ (実の所どちらも草タイプだけどこっちの方が相性悪いのよね…)

互い効果が抜群の攻撃は無いだろうが、こっちにもまともにダメージを与える技が少ない。
向こうは毒タイプだから『ヘドロばくだん』で毒ることもないしな…。

ミツル 「ロゼリア! 『しびれごな』!」

ユウキ 「と! さすがにそれはまずいな! ユレイドル! 後退して『あやしいひかり』!」

ユレイドル 「ユッ…」

ユレイドルは後ろに跳び、『あやしいひかり』を放つ。
『しびれごな』は出が遅い。
なんせ相手の頭上に粉をばら撒く技だ。
風上に逃げたら何の意味も無いしな。
ただし、食らうと恐ろしい…確実に麻痺するからな…。

ロゼリア 「ロ〜ゼェ〜ェ〜?」

対して、こちらの『あやしいひかり』。
光だけあって避けようがない。
絶対に当たるというわけではないのだが付加要素が無い限り回避は不可能だ。
そして、ロゼリアはその場でクルクル回っていた。

ミツル 「しまった! ロゼリア!?」

ユウキ 「チェックメイト! ユレイドル、『げんしのちから』!」

ユレイドル 「……!」

ユレイドルは接近戦をしかけ、頭部に力を溜めるとそのままロゼリアをゴルフスイングのようにして跳ね上げた。

ロゼリア 「ロゼーッ!? ロゼ〜…」

ロゼリアは天井に激突して、そのまま地面に倒れた。
ふぅ、なんとかなったか。

ユレイドル 「……」

ユウキ (そして、ユレイドルの時間停止か…)
ユウキ 「お疲れさん、ユレイドル」

ミツル 「また負けた…やっぱり強いな…ユウキさんは」
ミツル 「でも! 僕は諦めない! 行け、レアコイル!」

レアコイル 「レア〜」

ユウキ 「諦めたら最後だな、まぁ、俺も負ける気はないが」

俺はそう言って次のボールを手に取る。
ユレイドルはボールに戻しておいた。
時の止まったユレイドルをそのまま使うわけにはいかないから。

ユウキ 「いけ! ボスゴドラ!」

ボスゴドラ 「ゴドー!」

俺の4体目はボスゴドラだ。
本来、レアコイル相手ならラグラージの方が遥かに有利だ。
だが、ここはあえてボスゴドラだ。

ユウキ (簡単に終わっちゃ…面白くないからな)

ミツル 「ボスゴドラか…よし! レアコイル、『10まんボルト』!」

レアコイル 「レア〜!」

ユウキ 「ボスゴドラ、『かえんほうしゃ』!」

ボスゴドラ 「ゴドーッ!」

ミツル 「!」

レアコイル 「レ、レア!?」

ボスゴドラは『かえんほうしゃ』を放つとさすがにミツル君も驚く。
レアコイルは攻撃を中断して慌てて避けた。
まぁ…効果抜群だからな。

ミツル (あのボスゴドラ『かえんほうしゃ』を使うんだ…これは気をつけないと)

ユウキ (見せてやったんだぜ…そろそろ天才の本領発揮してくれよ?)

ミツル 「! レアコイル、とにかく『10まんボルト』だ!」

レアコイル 「レアー!」

レアコイルはとにかく『10まんボルト』を放つ。

バチィン!

ボスゴドラ 「ボス!? ゴドー!」

ユウキ (結構威力が高いな…だが、それだけじゃ勝てないぜ!?)
ユウキ 「ボスゴドラ! 接近しながら『きんぞくおん』!」

ボスゴドラ 「ゴドー!」

ガンガンガキガキリンリンギラギラ!!

ミツル 「うわっ!?」

イヴ 「う…」

レアコイル 「!?!?!?!」

ボスゴドラは『きんぞくおん』を立てながらレアコイルに近づく。

ユウキ 「ボスゴドラ! 『メタルクロー』!」

ボスゴドラ 「せぇの!」

ザシュゥ!

レアコイル 「コイッ!?」

ボスゴドラはそのままレアコイルに『メタルクロー』を決める。
しかしまぁ、これでレアコイルを倒せるわけではないが。

ミツル 「く! レアコイル、『スパーク』で応戦だ!」

レアコイル 「レーア!」

どうやら、ミツル君も接近戦がお望みのようだ。
なんていうか、若いねぇ…。

ユウキ 「だが、接近戦はレアコイルに分は無いぜ!? 『どろかけ』だ!」

ボスゴドラ 「ボスッと!」

レアコイル 「コイッ!?」

ボスゴドラは泥をレアコイルの顔面(3つとも)に泥を掛けて目を潰す。
若いってのは怖いもの知らずってことか。
…て、俺も十分子供だから若いっつーの!

ミツル 「くっ! 『でんげきは』!」

レアコイル 「レアー!」

パァン!

ボスゴドラ 「きゃっ!?」

ユウキ (『でんげきは』か…確定で当たる技…だが、その分威力は少し低い)
ユウキ 「ボスゴドラ気にするな! 『かえんほうしゃ』だ! 決めろ!」

ボスゴドラ 『ボス!』

ゴォォォォォォッ!

レアコイル 「!?!?!?!?!?!」

ボスゴドラは目の潰れたレアコイルに『かえんほうしゃ』を放つ。
さすがに『きんぞくおん』で特殊防御力が下がっている上効果は抜群だ。
耐えられず、そのままダウンしてしまう。

ミツル 「…もどってレアコイル」
ミツル 「やっぱり僕じゃまだ勝てないんですね…」
ミツル 「でも、ここまでやったからには全力尽くします!」
ミツル 「いけ! サーナイト!」

サーナイト 「サァ〜♪」

ユウキ 「あの時のラルトスの成長した姿か」

ミツル 「はい! ユウキさんのおかげで捕まえられた僕の最初のパートナーです!」

ユウキ 「もどれ、ボスゴドラ」

ボスゴドラ 「See you♪」

ユウキ 「…だったら、俺も見せてやるよ! いけ、サーナイト!」

サーナイト 「……」

俺はボスゴドラをボールに戻すとサーナイトを出す。
さて、第二次同ポケ対戦といきますか。

ミツル 「わぁ、ユウキさんもサーナイトを使っていたんですね!」

ユウキ 「一応俺の方が先にゲットしているんだぜ? 付き合いは2時間くらいは俺の方が長い」

ミツル 「ははっ! 僕だって過ごしてきた中身の濃さでは負けてないつもりですよ!」

くしくも俺たちはラルトスを同じ日にゲットしてる。
これは少し面白いバトルになるかもな。

イヴ (再び同じポケモンの対決か…)
イヴ (少なくともここまでの戦いユウキ君が圧倒的に優勢だ)
イヴ (しかし、ミツル君も負けを意識せず、最高のバトルを見せている…最後までわからないな)
イヴ (まぁ、単純に考えれば修羅場を潜り抜けてきたユウキ君の勝ちだろうが)

ユウキ 「まずはどれくらいの力の差があるのか…サーナイト、『サイコキネシス』!」

サーナイト(ユ) 「はぁ!」

ミツル 「こっちも『サイコキネシス』だ! サーナイト!」

サーナイト(ミ) 「サー!」

互い同じ技を使う。
これならどちらが強いかはっきりわかる。

サーナイト(ミ) 「!? サァ…」

ミツル 「!? サーナイト!」

イヴ (やはりユウキ君のサーナイトが優勢か、レベル差もあるだろうがユウキ君のサーナイトは相当の特殊攻撃力を持っているからな…)

ユウキ (ウチのサーナイト控えめだからな…その性か特殊技が痛いんだよな…)

どうやら、特殊攻撃力は俺のサーナイトの方が強いらしく押し勝つ。
とはいえそこまで大きな差はないのだろう。
相手の体を完全に掌握することは出来ない。

ミツル (いけない! 僕のサーナイトがパワー負けしている!)
ミツル 「サーナイト! 『ふういん』!」

ユウキ 「ヲイ…」

その技は自分のつかえる全ての技を相手は使用できなくなる技じゃないですか…。
てことは…こっちが使えるのって。

ユウキ (3色パンチと『10まんボルト』くらかよ!?)

さすがに冗談きついな…まさかそうくるとは。

ミツル (よし! これでパワー減のはずだ! さらにこっちはサーナイトに効果抜群な技がある!)
ミツル 「サーナイト、『シャドーボール』!」

ユウキ 「やばっ! 避けて『10まんボルト』!」

サーナイト(ユ) 「っと! せーの!」

バチィン!

サーナイト(ミ) 「サァッ!?」

ミツル 「負けるな! 『さいみんじゅつ』!」

サーナイト(ミ) 「サー!」

サーナイト(ユ) 「!? う、う〜ん…ZZZ」

ユウキ 「ちゃあ…厄介な展開だな…」

イヴ (完全にわからなくなったな…少なくともこのままではユウキ君のサーナイトは負ける)
イヴ (『ふういん』か…同じポケモン同士の戦いなら大きな力を発揮するな)

ミツル 「サーナイト、『めいそう』!」

サーナイト(ミ) 「サァァァ…」

ユウキ (積んできたか…ますます敗色濃厚になってきたな…)

サーナイト(ユ) 「ZZZ…ZZ…」

おまけにこっちのサーナイトはまだ眠りこけているし。
さすがに技で眠ったからな…通常の眠りと違って物凄く深い…。
こりゃやばいっすね…。

ミツル 「よし! 『シャドーボール』!」

サーナイト(ミ) 「サー!」

ドカァン!

サーナイト(ユ) 「うにゃ!? ZZZ…」

サーナイトは無防備に『シャドーボール』を貰う。
一発じゃ落ちないがこのままではまずいな。

ユウキ 「しゃーないな…」

ミツル 「もういっぱつ『シャドーボール』!」

ユウキ 「こらっ! 女顔! 起きんかい!」

サーナイト(ユ) 「にゃっ!? お、女じゃないです! 僕男ですよ!」

サーナイト(ミ) 「サー!」

さすがにデンジャーなキーワードにはしっかり反応するらしい。
すんでのところで目を覚ます。
しかし、すでにミツル君のサーナイトは『シャドーボール』を放っている。

ユウキ 「サーナイト! ダッキング!」

サーナイト(ユ) 「ええっ!? て、うわっ!?」

サーナイトは咄嗟のことに驚きながらも前進しながら屈む、ダッキングを行って『シャドーボール』を避ける。

ミツル 「なっ!?」

サーナイト(ミ) 「サァッ!?」

ユウキ 「『ヴァルカリマンダ』!」

サーナイト(ユ) 「せぇのっ!!」

サーナイトは両手に力を集めた後、ミツル君のサーナイトに両拳を接触させる。

ドカァン!!

接触後は大爆発。
相変わらず豪快な技だ。

サーナイト(ミ) 「サァサァ〜…」

ミツル君のサーナイトはくるくるとその場で回りながら倒れこむ。

ミツル 「やられちゃったか…あともう一歩だったのに」

ユウキ (ふぅ…さすがに『ふういん』は面食らったが…まぁ、なんとかなったな)

イヴ (ヴァルカリマンダか…オリジナルの技のようだが凄い威力だな…たが、あの技普通に当たるのか?)

これで5体終了か…。

ユウキ 「イヴさん、今何時ですか?」

イヴ 「…15:58だ…そろそろ時間がまずい」

ユウキ 「て、ことらしい、そろそろ終わりにしようか?」

ミツル 「はい、ユウキさんありがとうございます」

ユウキ 「ん、にしてもよくそこまで成長したもんだ」

ミツル 「でも、ユウキさんには敵いませんでした」

ユウキ 「本戦までに追いつけたらそれでいいだろう、気にすんな」

等と軽く言う俺。
まぁ、内面そんなに簡単なことじゃないってことはわかっているがな。
まぁ、ミツル君は若いんだ、成長も早いだろうさ。

ユウキ (いやぁ…若いってのはいいよねぇ…ひたすらに上を見ている)
ユウキ (て…今回の俺、なんでこんなに年寄りじみているんだよ)

なんだか苦笑してしまう。
俺って15歳だってば。

ユウキ 「行こうぜミツル君…続きはポケモンリーグで…な!」

ミツル 「はい!」

こうして、俺はチャンピオンロードを抜ける。
ここからが本番って考えてもいいんだよな…?
俺は大きな希望と小さな不安を抱きながら…サイユウシティに入るのだった。



ユウキ、イヴ、ミツル…チャンピオンロードクリアタイム『166:31:12』。
ポケモンリーグ運営委員会確認タイムより。




ポケットモンスター第60話 『栄光を手に』 完






今回のレポート


移動


チャンピオンロード


2月28日(ポケモンリーグ開催まであと1日)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

チルタリス

ユレイドル

ボスゴドラ

コータス


見つけたポケモン 64匹

エネコロロ

ロゼリア




おまけ



その60 「こっちのIVEさん」




あ、さてさて、今回はイヴではなくイブさん。
もうとっくにサイユウシティに入って本戦開始を待っている彼女。
彼女は今、何をしているのか?
それでは毎度恒例おまけその60、始まりと御座候〜♪(テケンテンテン、テテン♪)



お姉さん 「はい、イブさん、あなたのポケモンはみーんな元気になりましたよ♪」

イブ 「Thank You, nurse」

私はお礼を言うと預けていた6つのボールを受け取る。
割と暇だったので今日はみんなでポケモンバトルの訓練をしていたのだけど、ちょっとヒートしすぎてポケモンセンターで回復する羽目になった。

イブ (こっちのポケモンナースってなんだか華やか…)

オーレ地方のポケモンナースってスーツ姿だからなぁ〜。
最高のスマイルをNo priceで提供してくれるのは同じだけど、同じ笑顔でもこっちの制服の方が可愛いもんね。

シズク 「あ…こんにちは」

イブ 「あ、こんにちはです」

私がポケモンセンターを出ようとするとシズクちゃんが入ってきた。
シズクちゃんもポケモンの回復かな?

シズク 「…すいません、回復お願いします」

お姉さん 「かしこまりました、お時間10分ほどかかりますが、よろしいですか?」

シズク 「ええ、待合室で待っています」

お姉さん 「かしこまりました、ポケモンを預からせていただきます」

シズク 「お願いします」

お姉さん 「それにしても、毎日熱心ですね、今日もバトル修行ですか?」

シズク 「はい、あの人にはまだ追いつけないでしょうけどね…」

イブ (あの人?)

私はつい聞き耳を立ててしまう。
悪いとは思いながらも気になった。
それにしてもあの人って?
シズクちゃんが目指している人か…どんな人なんだろう?

シズク 「それじゃ」

お姉さん 「ごゆっくりどうぞ♪」

シズクちゃんは待合室に向かう。
私は少し、気になったので私はシズクちゃんの後を追った。


イブ 「シズクちゃん!」

シズク 「? イブさん?」

私は待合室のソファーに座るシズクちゃんに話しかける。
シズクちゃんはゆっくりと私の顔を見上げた。
私はシズクちゃんの座っているソファーに座って話しかける。

イブ 「シズクちゃんいつもポケモンバトルの練習をしているの?」

シズク 「はい、まぁ日課みたいなものですけど」

イブ 「すごいね、毎日欠かさずやっているんだ」

シズク 「はい」

私は時間があるとき位かな?
ちょっと真似できないかも。

イブ 「ねぇ、さっきちょっと小耳に挟んだんだけどさ、シズクちゃんが目指している人って誰なの?」

シズク 「私の目指している人…正確にちょっと違いますけど…」
シズク 「その人はカントーリーグチャンピオンだった人です」

イブ 「カントーリーグチャンピオン!? すごい人なんだね…」

シズク 「いえ…でも、すぐに返還しましたし」

イブ 「返還? なんだか勿体ないね…」

カントーリーグを制覇してポケモンチャンピオンになったのにすぐ返還なんて…。
一体何のためにカントーリーグを制覇したんだろう…その人。

シズク 「あの人は…馬鹿だから」

イブ 「…馬鹿?」

シズク 「ええ、それも大馬鹿です」
シズク 「あの人は栄光とか、名誉とか興味が無いんです…」
シズク 「本人の目指す道、ポケモンマスターをただ目指して…」

イブ 「ポケモンマスター? なにそれ?」

聞いたことの無い称号だった。
単純に考えると…まんまな意味になりそうだけど…。

シズク 「ポケモンマスターは存在しません」
シズク 「なぜならそれは彼が考え、想像した理想像だからな」
シズク 「あの人はそんな雲を掴むような夢を目指しているんです…そして今も」

イブ 「ポケモンマスターか、永遠に見果てぬ夢ってことか…」

シズク 「だから…あの人ほど追いつくことの難しい人っていないんですよね」
シズク 「少しでも足を止めたらすぐ引き離してしまうから…」
シズク 「目指す方も大変ですよね…」

イブ 「…もしかしてその人ってシズクちゃんのこれ?」

私はそう言って小指を立てる。
たしか、日本では恋人って意味であっていたと思うけど…。

シズク 「違いますよ…お友達です…ただ、とても付き合いにくい…お友達ですけど」

イブ 「…お友達か、なんだ」

シズクちゃんは極めて冷静にお友達といった。
てっきりシズクちゃんの好きな人かと思ったんだけどな…当てが外れたみたい。

シズク 「まぁ、単純馬鹿で頭も悪くて子供っぽい人ですからね」

イブ 「だから、シズクちゃんも強くなれる…か」

もしかしたら、シズクちゃんもその人と同じ様に大馬鹿なのかもしれない。
そう思うと…少し疼いた。
これは…ポケモントレーナーの性なのかもしれない。

お姉さん 「お待たせしました、シズクさん、予定よりかなり早く回復が終わりましたのでお返しします♪」

シズク 「ありがとうございます」

そこへポケモンナースのお姉さんがボールを返しに来る。
私はそこでシズクちゃんに提案するのだった。

イブ 「ねぇ、シズクちゃん、私とポケモンバトルしない?」

シズク 「え?」

イブ 「もちろんプラクティクスでだけど、どう?」

シズク 「いいですよ、実戦感覚も養いたいですし」

イブ 「OK! Let's go!」

私はこうしてシズクちゃんにバトルを挑む。
私の力はどれくらいなのか?
シズクちゃんはどれほど強いのか?
この結果はわからない…。
ただ、終わった時私たちはまた、お姉さんにお世話になるだろう…。






おまけその60 「こっちのIVEさん」 完



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