ポケットモンスター サファイア編




Menu

Back Next



ルビーにBack ルビーにNext





第79話 『届かない』






シャベリヤ 『さぁ、さっきの熱いバトルも終わり、いよいよAブロック第3試合が始まろうとしています!』
シャベリヤ 『今回のカードはレン選手VSイブ選手!』
シャベリヤ 『圧倒的強さを誇るレン選手、それに道対抗するイブ選手!?』

イブ (どう対抗する…か、本当にどう対抗しよう…攻めどころがあるのはわかるけどレベルが単純に違う)
イブ (一体どうやったらあんなにポケモンが強くなるのかわからないけど現実にこの子は存在している)

レン (はぁ…お腹空いた…)

私はレン君を見る。
表情からはなんとも読めないけど、のほほんとしているのは確かね。
単純…本当にその言葉が似合うような相手だけど無知ゆえ、その発想が全く掴めない。
チカちゃんと仲が良くて、本人はユウキさんに会いに着たらしいけど…話しているところ見たことがない。
ユウキさんが無視しているのか、レン君が話しかけられないのか…。
多分、両方な気がする。

シャベリヤ 『さぁ、今回のバトルフィールドは電撃ネット! フィールドを囲む鉄柵は電撃が流れるぞ!?』

レン 「痛たたたたたたたっ!?!?!?」

シャベリヤ 『と、言ってる側から不用意に触らないように!!』

レン 「あ〜う〜、し〜び〜れ〜る〜…」

イブ (不安だ…)

本当に、何をしでかすかわからない相手ね。
これじゃ迂闊に交換とかも選べない。
天然ボケで変な技をくらいたくはない。

シャベリヤ 『さぁ、その効果はレン選手が見せてくれたが、フィールドの端に追い込まれると絶体絶命だぞ!? その点を留意して戦ってくれ!』

イブ (さて、それじゃ…まずはなんとか隙を突きながら戦うことにしよう!)

少なくとも相手は隙はかなりある。
そこをなんとか突いていけばきっと勝機はある!

審判 「両者、不正のないようポケモンをフィールドへ!」

イブ 「出てきて、ギャロップ!」
レン 「で〜て〜き〜て〜、ド〜タ〜ク〜…」

ギャロップ 「ヒヒーン!」

ドータクン 「ドータ!」

シャベリヤ 『イブ選手のポケモンはギャロップ、レン選手はドータクンだ!』

イブ (ドータクン、一般的に弱点はたったひとつのポケモン…)
イブ (その弱点は炎と地面、しかし特性に耐熱か浮遊がある、これらによりどちらかの弱点がなくなる)

たしか、レン君のドータクンは耐熱だったわね。
ということはギャロップの炎は通用しにくい。

イブ (だけど、私のギャロップはちょっと特殊な技もある!)

レン 「ふぃぃ…まだ、ちょっと痺れる…えーと、ドーたん! さいみん…!」
イブ 「ギャロップ、『さいみんじゅつ』!」

ギャロップ 「ヒー…!」

ドータクン 「ド、ド〜タド〜タ…ZZZ」

レン 「ああっ! ドーたん!?」

シャベリヤ 『おおっと、あのギャロップ『さいみんじゅつ』が使えるのか!? あれは生まれたとき稀に覚えていると聞いたことがあります!』

イブ 「さて、戻ってギャロップ!」

とりあえず、ギャロップをボールに戻す。
無理にドータクンをギャロップで押す気は無い。
下手に目覚まれて反撃されても困る。

イブ 「でてきて、カラカラ!」

カラカラ 「カラー!」

レン 「おーきーてー! ドーたーん!」

ドータクン 「ZZZ」

シャベリヤ 『イブ選手、ここでポケモンを戻し、出したのはカラカラだ! ドータクンは眠っているー!!』

悪いけど、まだ眠っていてもらう。
一発で終わらせるから!

イブ 「カラカラ! 『ボーンラッシュ』!」

カラカラ 「カーラー…カラ!」

バキィ!

ドータクン 「!?」

カラカラ 「カラ! カラ! カラ!」

バキィ! ドカァ! ドコォ!

シャベリヤ 『カラカラの『ボーンラッシュ』、次々とヒット! 効果は抜群だ!!』

イブ 「Finish!」

カラカラ 「カーラー!!」

バッキィィッ!!!

ドータクン 「ドー!?!?」

ズッシャァァ!

レン 「負けないでドーたん! 『あやしいひかり』!」

ドータクン 「ド、ドー!!」

カラカラ 「!? カラカラ〜?」

イブ 「!? そんな、耐えられた!?」

カラカラはドータクンの『あやしいひかり』で混乱してしまう。
ドータクンを倒しきれなかった!?
カラカラは私のポケモンで一番レベルが高いのに!?

イブ 「カラカラ! 『ホネブーメラン』!」

カラカラ 「カ、カラ〜!?」

ヒュォン!

シャベリヤ 『カラカラ、骨を投げるがまるで見当違いの方向だ! ドータクンには当たらない! そしてそのまま返ってくるが!?』

バッキィ!!

カラカラ 「カ、カラー!?」

シャベリヤ 『ああっと、自分の頭に『ホネブーメラン』がヒット! 骨のヘルメットのおかげでダメージは少ないか!?』

レン 「ドーたん、『ラスターカノン』!」

ドータクン 「ドーター!!」

ギュオオオッ! ズドォン!

カラカラ 「カラー!?」

シャベリヤ 『ドータクンの『ラスターカノン』がカラカラにヒット! しかし相性が悪い!』

レン 「あれ? あれれ? 効果が薄いの!? あれあれ!? カラカラって何タイプ!?」

イブ 「チャ、チャンス到来! カラカラ、もう一度『ホネブーメラン』!」

カラカラ 「カーラー!?」

ヒュォウ! ドッコォ!

ドータクン 「ドー!?」

レン 「ああっ!? ドーたん!?」

シャベリヤ 『『ホネブーメラン』がドータクンにヒット! そのまま返ってきてもう一度ー!!』

ドッカァ!

ドータクン 「ドー!?」

ズッシャァァ!

イブ 「よし!」

ドータクンはそのまま倒れる。
やった! これで勝った!

ドコォ!

カラカラ 「カラ!? カラ〜…」

シャベリヤ 『ああっとしかし、カラカラ骨を上手くキャッチできず顔面ブロックだ!!』

カラカラはまたもや『ホネブーメラン』で頭蓋骨のヘルメットを揺らしている。
ヘルメット越しではあるが、痛そうだ。

審判 「ドータクン、戦闘不能!」

レン 「うぅ…ごめんねドーたん…」

レン君は本当に申し訳なさそうにポケモンをボールに戻す。
さて、運よく1匹倒せたけど、あれでレン君のポケモンの恐ろしさは大体わかった。
イマイチ彼のリーダーポケモンがわからないけど、最低でもこちらの効果抜群技1発は耐えられるくらいの体力もある。
加えて、直撃を受ければこちらは一撃ダウンは当たり前と思ったほうがいいかもしれない。
後は相手の技次第だけど、さっきのように素ボケで相性の悪い技が飛び出してくるとは思えない。
多分…だけど。

レン 「仇をとって! ムッ君!」

ムクホーク 「ムクホー!」

シャベリヤ 『レン選手の2匹目はムクホークだ! 地面タイプは無効の飛行タイプで勝負にでた!』

イブ (ムクホーク…たしかに、飛行タイプは地面タイプの技は効かないけど…地面タイプは大抵…)
イブ 「『いわなだれ』! カラカラ!」

岩技を持っている。
別に飛行タイプの攻撃で効果抜群を受けるわけでもないので、むしろ飛行タイプはカモ。
2勝目もいただくわ!

レン 「ムッ君! 『ブレイブバード』!」

ムクホーク 「ムクホー!!」

ドカカカカッ!

シャベリヤ 『おおっと! 迫り来る『いわなだれ』を弾き飛ばしてムクホーク、カラカラに突撃だーっ!!』

イブ (嘘っ!? 一意専心すぎるでしょ!?)

ムクホーク 「ムックー!!」

ドカァ!!

カラカラ 「カラー!?」

シャベリヤ 『カラカラ、強烈な一撃にたまらずダウンです!』

審判 「カラカラ、戦闘不能!」

イブ 「戻って、カラカラ…」

私は呆然としながらカラカラを戻す。
確かに無茶苦茶な戦法が代名詞だけど…ここまでだなんて…。

イブ (『いわなだれ』で止まらない上、ブレイブバードだなんて反動技を使う…正気の沙汰じゃないけど、それを実現してしまうなんて…)

シャベリヤ 『イブ選手、顔が重い! まさかの一撃に唖然といったところか!? 相性が良くても勝てない! これがレン選手の真骨頂か!?』

レン 「真骨頂って…僕、普通にやっているだけなんだけど?」

イブ 「出てきて、ライチュウ!」

ライチュウ 「チュー!」

シャベリヤ 『さぁ、イブ選手2匹目はライチュウだ! 飛行は電気で落とす、セオリーどおりだが果たして通用するか!?』

イブ (通用…しないかもしれない、だけど戦い方は電気技で押すだけじゃない)

普通に電気技で戦ったところで恐らく止められない。
だけど、あのムクホークが攻撃技以外を使うところは見たことがない。
十分、攻める手立てはあると思う。

レン 「電気タイプ…ムッ君苦手だもんなぁ…こーこーは! 戻ってムッ君!」

レン君は不利とみてムクホークをボールに戻す。
ここは素直に戻してきたか、問題は相手がセオリーどおりにだすのかどうか?
なんせ相手は天然ボケが標準搭載の相手、素で電気タイプに有利なタイプを間違えかねない。
なんせ水タイプが草タイプに強いと勘違いしたくらいだからね…。

レン 「出てきて、、マスキッパ!」

イブ 「ライチュウ、『でんじは』!」

ライチュウ 「ラーイ!」

マスキッパ 「マ、マス!?」

シャベリヤ 『ああっと、マスキッパ出てきた瞬間『でんじは』で麻痺状態になってしまった! これは大変だぞ!?』

レン 「し、しっかりしてマスッキ! 『パワーウィップ』!」

マスキッパ 「マ、マースーキー! キキキ…」

イブ 「戻って、ライチュウ」

私は『でんじは』をかけるだけでライチュウをボールに戻す。
向こうが交換ならこっちも交換。
ライチュウじゃマスキッパには相性がわるいもの。

イブ 「でてきて、ギャロップ!」

ギャロップ 「ヒヒーン!」

シャベリヤ 『イブ選手、交換で出てきたのは最初に出したあのギャロップだ!』
シャベリヤ 『草には炎、しかしマスキッパの強烈な『パワーウィップ』が襲い掛かる!』

イブ 「ギャロップ、『とびはねる』!」

ギャロップ 「ヒヒーン!!」

バッシィィン!

シャベリヤ 『おおっと! ギャロップ空高く飛び跳ねた! 寸前で『パワーウィップ』を回避! マスキッパの攻撃は地面を叩いただけだ!』

イブ 「よし! Go!」

ギャロップ 「ヒーン!」

ズッシィン!

マスキッパ 「マ、マス〜!?」

シャベリヤ 『ギャロップの『とびはねる』が炸裂! まさかの飛行タイプの技にマスキッパ、効果は抜群だー!』

レン 「あーうー!? マ、マスッキ〜! 『かみくだく』!」

マスキッパ 「キ、キッパッパ〜!」

イブ 「ギャロップ、『だいもんじ』!」

ギャロップ 「ヒッヒーン!!」

ズッガァァン!!

マスキッパ 「キッパパ〜!?」

シャベリヤ 『マスキッパ! 『だいもんじ』に焼きさかれた! 効果は抜群! これは耐えられないか!?』

マスキッパ 「キッキキ〜…」

審判 「マスキッパ、戦闘不能!」

レン 「あ〜うう〜…マスッキ、戻って…」

イブ (よし! また一歩リード!)

なんとか、相手の弱みに付け込んで押している。
いくらポケモンのレベルが高くてもトレーナーがあれなら勝てなくは無い!

レン 「出番だよ! パッチン!」

パチリス 「パチパチ♪」

シャベリヤ 『レン選手、4匹目のポケモンはパチリスだ! ライチュウが電気鼠ならこっちは電気リス! パチリス、差を詰められるか!?』

イブ (パチリス、初めて戦うポケモンだけど、ライチュウとは違う雰囲気が感じられるわね)

ポケモンにもパチリスとのバトル経験は無い。
そんなに強そうなポケモンには見えないけど甘く見ないほうがいいだろう。

イブ 「ギャロップ、『フレアドライブ』!」

ギャロップ 「ヒッヒーン!!」

ギャロップは火車となって相手に突進する。
この技はかなり強力だけど反動がある。
頑張ってギャロップに覚えさせたわ!

レン 「パッチン、『てんしのキッス』!」

パチリス 「パッチン♪」

ギャロップ 「!? ヒヒ〜?」

イブ 「!? しまった、状態異常!?」

なんと、ギャロップは混乱してしまう。
正攻法ではなく、変化球!?
ということはパチリスはそっちがメインなの!?

イブ (どうする!? 戻す!? だけど読みどおり状態異常を誘われるとこちらに分が無い!)
イブ 「Pull yourself together! ギャロップ! 『ほのおのうず』!」

レン 「パッチン、『いかりのまえば』!」

パチリス 「パッチー!」

ガブリッ!

ギャロップ 「ヒ、ヒヒーン!?」

ギャロップは『ほのおのうず』を出す前にパチリスに噛みつかれてしまう。
あの技は相手の体力を半減させる技!

レン 「よーし、トドメの『ほうでん』!」

パチリス 「パーチーン!!」

バッチィィン!!

ギャロップ 「!?!?」

ズッシャァァ!!

イブ 「ギャロップ!?」

シャベリヤ 『ギャロップ、至近距離からの高電圧に吹き飛ばされたー! そのまま立ち上がる様子は無い!』

審判 「ギャロップ、戦闘不能!」

イブ 「oh my god…、戻ってギャロップ」

押し返された、やったらやり返される、相手がどういうポケモンかわからなかったのが敗因だわ。
あのパチリスはこちらの揺さぶりも使いこなしてくる。
他のポケモンより扱いにくいように感じるわ。

イブ 「Go! ライチュウ!」

ライチュウ 「チュウ!」

私は今回エントリーしているポケモンを考えながら、ライチュウを出す。
今回エントリーしているのは後だしていないのでチルタリス、ギャラドス、ムウマ。
パチリスを相手にしたとき、これが一番ましと思えた。

イブ 「ライチュウ、『なみのり』よ!」

ライチュウ 「ラーイー!」

ザザザァ!!

シャベリヤ 『おおっと! ライチュウ、なんと『なみのり』を使い出した! この技は特殊なピチュー、ピカチュウが覚えることで有名だが、まさかイブ選手のライチュウが使えるとは!』

そう、私のライチュウは生まれつき『なみのり』と『ボルテッカー』という特殊な技が使える。
今だこのふたつの技を覚えるメカニズムは解明されていないみたいだけど、両方覚えるピチューはとても珍しいらしい。
ポケトピアというところで貰ったんだけど、そのまま私の相棒として頑張ってくれていた。

レン 「わわっ!? すっごい技キター!!」

パチリス 「パチ、パチパチ!」

レン 「あ、パチリス、『メロメロ』!」

イブ 「なっ!?」

パチリス 「パッチ〜♪」

ザッパァァァン!!

ライチュウの『なみのり』は既に発動していたのでそのままパチリスに襲い掛かる。
だけどライチュウはその最中パチリスの『メロメロ』を受けてしまった。

イブ (しまった…まさか、『メロメロ』をもっていたとは)

ライチュウは♂、パチリスは♀、見事なまでにかかってしまった。
次くるとしたら?

レン 「パッチン! 『てんしのキッス』!」

イブ 「ライチュウ! 『きあいパンチ』よ! 応えて!!」

パチリス 「リ〜…パッチン♪」

ライチュウ 「ラ…ラ…ラ…ラァ…ラーイー!!」

パチリス 「!? パッチー!?」

ドッカァァァ! バチバチバチィ!!

イブ 「やったわ! ライチュウ!」

ライチュウ 「ライライ〜???」

ライチュウは混乱しているらしくそのばでふらふらしていた。
よく煩悩を捨てて攻撃してくれたわ。
次に攻撃技は絶対こないと確信していた。
問題はライチュウがちゃんと攻撃できるかどうか。
『てんしのキッス』で混乱しつつも、よくパチリスを攻撃してくれたわ。

パチリス 「パチチィ…」

審判 「パチリス、戦闘不能!」

レン 「うぅ…強烈…パッチンまでやられちゃった…」

レン君は非常にわかりやすくヘコんでパチリスをボールに戻す。
次に来るのはなに?
ムクホーク? それともフローゼル?

レン 「出てきて、スカたん!」

スカタンク 「スッカー!」

シャベリヤ 『さぁて3匹やられて折り返しのレン選手、次のポケモンはスカタンクだ!』

イブ (こ、このポケモンは…!?)

また見たことのないポケモンだった。
いや、一応予選でパチリスと一緒に使っていたはず…。
だけど、どんなバトルをするのかは知らない!

イブ (タイプもわからないけど、見た目の上では悪タイプに見える、とすると格闘技が効きやすい?)

いや、しかし他のタイプの混じっているかもしれない。
第一悪タイプかどうかもわからない中攻撃するのは危険だわ。

イブ 「ライチュウ、『10まんボルト』!」

ライチュウ 「ラ〜イ〜イ〜?」

シャベリヤ 『ああっとだめだ! ライチュウ、トレーナーの言葉が耳に入っていない!』

レン 「スカたん! 『かえんほうしゃ』!」

スカタンク 「スッカー!!」

ゴォォォォォォ!

ライチュウ 「ラ、ライー!?」

イブ 「うそ!? 炎吐いた!?」

なんとスカタンクは見た目から想像もできず、『かえんほうしゃ』を放ってくる。
て、ことはもしかして炎タイプ!?

イブ 「ラ、ライチュウ『なみのり』!」

ライチュウ 「ラ、ラーイー!」

ザッザザァ!!

シャベリヤ 『スカタンクの『かえんほうしゃ』をなんとか耐え抜いたライチュウ『なみのり』で反撃だ!』

ザッパァァン!

レン 「スカたん、負けるな! 『つじぎり』!」

スカタンク 「ス、スッカー!!」

ザッシュウッ!

ライチュウ 「ラーイー!?」

イブ 「ライチュウ!?」

スカタンクはライチュウの『なみのり』を受けきり、そのまま『つじぎり』でカウンターしてくる。

ズッシャァァ!

ライチュウ 「チュ、チュウ〜…」

審判 「ライチュウ、戦闘不能!」

シャベリヤ 『ここでライチュウダウン! 互い押して押されての一進一退の攻防、互角のまま休憩だ! 後半戦で流れを掴むのはどっちだ!?』



…………。



ケン 「おー、一進一退やそうやぞ」

ヨー 「やるなー、オーレ勢は粘り強いもんな」

チカ 「勝利の執念が強いとも言えるわね」

リフィーネ 「そうですかー? そんなことないと思いますけどねー?」

ケン 「…まぁ、リフィーネさんは楽しめりゃいいかもしれないけどな」

リフィーネ 「ノンノン、ちゃんと勝ちたいですよー? ただ、その思いに強い弱いはないですよー」

サティ 「そんなものかしら?」

チカ 「さて、しかしこれからどう流れるのかしらね?」

ケン 「おっと、また大将に相談か、生徒A?」

チカ 「うるさいわね…で、どう思うの?」

イヴ 「今回は特別予想が難しいな…いかんせんレン君は攻略する糸口が多すぎる」
イヴ 「とはいえ、それを踏まえてもあのポケモンの強さ…常軌を逸している」
イヴ 「普通ポケモンがあれだけの強さになる頃にはトレーナーもそれなりに熟達しているはずだ、しかし、レン君の様子を見ると…」

ユウキ 「ただの天然だよ、あいつは…」

リュウト 「知っているのか?」

チカ 「そういえば、レンもポケモンのことはあなたに教わったって言っていたわね」

ユウキ 「3年前だ、レンがコガネシティに来たのは、その時ウチにホームスティした、以上」

ケン 「早っ!? 思い出とかないんかい!?」

ユウキ 「語るのもかったるい、その頃ポケモンをある程度教えたのは事実だ」
ユウキ 「だが、本当にある程度、ポケモンとの接し方とか、メンタル面でのケアとかバトルとかより精神的なことを教えただけだ」

ヨー 「だから無知なのか?」

チカ 「でも、あの子シロナの従兄弟の弟さんなんだけどね」

ケン 「シロナって誰や、偏屈?」

ユウキ 「…悪い、聞いたことはあるんだがイマイチ思い出せない」

イヴ 「シンオウ地方のポケモンチャンピオンだ、今年でV2をとった」

ヨー 「あ〜、そういえば聞いたことある気がするわ」

ユウキ 「俺ぁ、シバがジョウトの四天王に転向って話題の方が気になるがな」

ケン 「あ〜、あとはセキチクジムがジムリーダーが変わったそうやな、あそこは歴史の長いジムやさかいな」

ユウキ 「元は神社のルネジム、忍者屋敷のセキチク、寺のエンジュは有名だな」

リュウト 「ひとつ…気になったたんだが…」

ヨー 「ん?」

リュウト 「…話題、変わっているぞ?」

ユウキ 「ああ、かったるいから省略、どうせまだ後半戦始まるまで時間あるしな」

リュウト 「かったるいって…」

チカ 「やれやれ…ね」



…………。



シャベリヤ 『さぁ、10分の休憩も終わり、いよいよ後半戦だ!』
シャベリヤ 『時間的にもそろそろお腹がすいた皆も多いだろうが、ここか我慢してくれ!』
シャベリヤ 『さぁ、現在状況は互いに3匹を失い、一進一退の攻防を繰り広げているぞ!』
シャベリヤ 『ところどころ不安定な部分を持つが圧倒的な戦闘力を誇るレン選手、イブ選手はそこを突き崩せるか!?』

レン 「ところどころって…失礼だな〜」

イブ (狙っているのか、天然なのか…?)

まさか、キャラ作りだとは思わないけど…。

審判 「レン選手、ポケモンを」

レン 「はーい! いっきまーす! スカたーん♪」

スカタンク 「スッカー!」

イブ 「Go、ギャラドス!」

ギャラドス 「ギャー!!」

シャベリヤ 『イブ選手、4匹目のポケモンはギャラドス! ギャラドス相手を激しく威嚇しています!!』

レン 「うっひゃ〜、おーおーきーいー」

イブ (もしかして馬鹿にしているのかしら?)

イマイチ天然なんでわからない。
ギャラドスはたしかに大きい。
ちなみに色違いで赤色なんだけど、そこは誰も突っ込みなしなんね。
まぁ、そこはいい。

イブ 「ギャラドス、『りゅうのまい』!」

ギャラドス 「ギャー!」

レン 「うっひゃー、暴れる暴れる! スカたん、『ほえる』!」

スカタンク 「スッカァァァァッ!!」

ギャラドス 「ギャァッ!?」

シュポン! ボフゥン!

ムウマ 「ム〜ゥ〜…」

イブ 「しまった!? 『ほえる』!?」

まさか、『ほえる』が使えるとは。
積まずに先に攻撃するべきだったか。
しかし、こうなっては後の祭り。

イブ (再び交換してもいいけど、それだと相手の攻撃を素でくらうことになる)

しかし、たしか『つじぎり』は悪タイプの技、ギャラドスの威嚇で攻撃も下がっている。
『かえんほうしゃ』のような特殊技も使いこなしていた…この状況…どうする!?

レン 「スカたん! 『つじぎり』!」

スカタンク 「スカッ!」

イブ 「!? ムウマ、『いたみわけ』!」

スカタンク 「スッカー!」

ザシュウウッ!

ムウマ 「ム、ムウー!?」

スカタンク 「スカッ!?」

シャベリヤ 『おおっと、スカタンクの強烈な一撃! ムウマ、なんとか持ちこたえた!』

イブ (助かった! ギャラドスの威嚇がなかったら間違いなくやられていた)
イブ (でも、2度目はない! ムウマ、こうなったらあなたにはアレをやってもらうしかない!)

レン 「むー! だったら! スカタンク、『あくのはどう』!」

イブ 「ムウマ! 『みちづれ』!」

スカタンク 「スッカー!」

ズッドォォン!

ムウマ 「ムー!!」

ムウマはスカタンクの『みちづれ』を受けてしまう。
ムウマはダウン、だけどこれで。

スカタンク 「スッカ〜…」

スカタンクもダウンだ。
相性はどうにも悪そうだった、だけど相打ちなら十分。

審判 「両ポケモン、戦闘不能!」

シャベリヤ 『なんと、レン選手、ムウマの『みちづれ』に引っかかってしまいスカタンクを失ってしまったー! やはりトレーナーの面で不安が残る!』
シャベリヤ 『このままなら、イブ選手も勝てるか!?』



…………。



ユウキ 「状況が変わった」

ケン 「あん? 何が?」

ユウキ 「このバトル…長かったがやっと状況に変化が現われた」

ヨー 「変化って?」

ユウキ 「最初、出てきたのはギャロップとドータクン、ドータクンは眠り、カラカラに仕留められた」
ユウキ 「この時6:5、でカラカラはムクホークややられて5:5」
ユウキ 「つづけざまライチュウがでてきて、マスキッパがでてくる」
ユウキ 「しかし、ライチュウは戻され、ギャロップがマスキッパを倒して5:4」
ユウキ 「だが、ギャロップもパチリスにやられて4:4になり、ライチュウがパチリスを倒して4:3」
ユウキ 「しかし、ライチュウもスカタンクにやられ3:3、ここで休憩」
ユウキ 「そしてギャラドスが出たが、無理矢理戻さされてムウマが登場、相打ちで2:2」

ケン 「変化…いうと」

ヨー 「あ! 押して押されてが、相打ちになっている!」

ユウキ 「そう、とはいえ、手負いのムクホークをつれている時点でレンの方が不利」
ユウキ 「だが、いきなり流れが変わった…もしかしたら、イブの運も流されたかもな…」



…………。



レン 「でてきて、ムッ君!」
イブ 「ギャラドス、Go!」

ムクホーク 「ムックー!」

ギャラドス 「ギャァ!」

シャベリヤ 『仕切り直しで出てきたのはレン選手はムクホーク、イブ選手はギャラドスだ! 両者相手を激しく威嚇しています!』
シャベリヤ 『状況は五分と五分! しかしムクホークはすでに手負い、いったいどうするのか!?』

レン (思ったよりダメージが大きいなぁ…あの技、成功するかな?)

イブ (ムクホーク、とにかく高い攻撃力が目立ったポケモンね…とはいえダメージは大きい)
イブ (攻め落とせる時に攻め落とすわ!)
イブ 「ギャラドス! 『こおりのキバ』!」

ギャラドス 「ギャァァ!」

レン 「わわっ!? ま、待ってよ! ムッ君、『こらえる』!」

ムクホーク 「ムクホー!」

イブ 「『こらえる』!?」

なんと、ムクホークはその場で耐える体制にはいった。
ギャラドスはそのままムクホークに『かみつく』。
冷気を帯びたギャラドスのキバはムクホークには効果抜群だ。
だけど、ムクホークは『こらえる』のせいで倒せない。

レン 「ムッ君、『がむしゃら』!」

ムクホーク 「ムクホー!」

イブ 「くっ! ギャラドス、『たつまき』よ!」

ギャラドス 「ギャラー!」

ドッコォ!

シャベリヤ 『おお!? ムクホークの『がむしゃら』がギャラドスにヒットを! しかし、ギャラドス『たつまき』で反撃だ!』

ゴォォォォ!

ムクホーク 「ムクホー!?」

シャベリヤ 『ムクホーク、『たつまき』に飲まれ、たまらずダウンです!』

レン 「戻ってムクホーク、これが僕の最後のポケモン! でてきてフッ君!」

フローゼル 「フロー!」

シャベリヤ 『レン選手、最後のポケモンはフローゼルです! ギャラドスはもう後がない! このバトルもいよいよ終焉か!?』

イブ (フローゼル、戻ってもこのまま戦っても状況は悪い…でも、諦めるわけにはいかない!)
イブ 「ギャラドス! 『かみなり』!」

レン 「遅いよ!フッ君、『でんこうせっか』!」

フローゼル 「フロー!」

ドッカァ!

ギャラドス 「!? ギャッァァ…」

ズッシィィン!!

シャベリヤ 『決まったー!! ギャラドスの巨体がフィールドに横たわる! ギャラドスもダウン!』

審判 「ギャラドス、戦闘不能!」

イブ 「く…やはり、スピードでは到底勝てない…でも、たとえ状況は悪くても決して諦めない! そして勝つ!」
イブ 「でてきて、チルタリス!」

チルタリス 「チ〜ル〜♪」

シャベリヤ 『いよいよ、最後のポケモンたちが出揃いました! イブ選手の最後のポケモンはチルタリス!』
シャベリヤ 『果たして第3回戦にあがるのはどっちだ!?』

レン 「よーし、絶対勝つよー! フッ君、『れいとうビーム』!」

フローゼル 「フーロー!」

キィン!

イブ 「チルタリス、『りゅうのまい』!」

チルタリス 「チールー♪」

ヒュン!

チルタリスは『れいとうビーム』を回避しつつ、『りゅうのまい』を踊り、能力を上げる。
これでまずスピードの優劣を無くす!

レン 「そんな! あんな回避を!? かっこいい!」

フローゼル 「(ここで天然ボケしている暇はないって…)」

イブ (? フローゼルの言葉?)

私はポケモンの喋っていることがわかる。
普段バトル中は聞き取るような余裕はないのだけど、今回はあんまりにものんびりフローゼルの言葉が聞こえた。
レン君に突っ込みを入れているフローゼル自身も少しのんびりさんのようだ。
ポケモンはトレーナーに似るか。

レン 「だったらフローゼル、『アクアジェット』!」

イブ 「チルタリス、『じしん』よ!」

フローゼル 「フロー!」

チルタリス 「チッルー!」

ズドォン!

チルタリスの動きが早い。
攻撃に入ってからの動きはフローゼルの方が早いけど、『りゅうのまい』を積んだおかげでなんとか先に攻撃できる。
攻撃も少し上がっている、ダメージは低くは無い!

レン 「! フッ君、『がんせきふうじ』!」

フローゼル 「フーロー!」

ズッガァァン!

イブ 「!? What!?」

なんと、フローゼルはいきなり岩タイプの技を使い始めた。
『じしん』のため地面に足をつけているその隙を突かれ、チルタリスの体に岩が絡まりつく。

レン 「動けなければ回避できないよね!? フッ君、『こおりのキバ』!」

フローゼル 「フーロー!」

キィン!

チルタリス 「チルーッ!?」

イブ 「チルタリスーッ!?」

審判 「チルタリス、戦闘不能!」

シャベリヤ 『決まったー! チルタリス、まさかの岩技に反応できず『がんせきふうじ』をくらってしまった!』
シャベリヤ 『そのままフローゼルのキバがチルタリスの喉元に突き刺さる! これでゲームセットだ! 戦いに勝利したのはレン選手!』

ワァァァァァァ!!

イブ 「…あ」

負け…ちゃった。
あまりにいきなりだった。
勝利を確信していた…その時に逆転の隙が生まれた。
最後は…何もできなかった。

イブ 「負け…か」

レン 「よかったね、フッ君♪ 僕たち勝てたよ♪」

フローゼル 「フロー♪」

レン君はフローゼルと抱き合っている。
両方ともとても嬉しそうだ。

イブ 「戻ってチルタリス…」

私はチルタリスをボールに戻す。
敗者は…去るのみね。



…………。



ケン 「おっしいな〜、あともうちょっとやったやん」

ヨー 「ああ、だが、最後のレン君の動きは冴えたな」

リュウト 「あそこで『がんせきふうじ』に切り替えるのは予測できなかった」

チカ 「というか、フローゼルが『がんせきふうじ』を覚えているなんてねぇ」

ユウキ (あの一瞬だけ、レンはレンじゃなかった…無知で天然なレンじゃなく、バトルの鬼才といえた…突発的に力を引き出したという感じか?)

俺は今だフィールドでフローゼルと喜びを分かち合うレンを見る。
今のレンはいつものレンだ。
多分、これからもレンはあのままだろう…だが、もしかしたら。

ユウキ 「俺と同じく、無意識のうちに力をロックしているタイプか?」

俺はミツル君の言葉を思い出す。
俺の中の隠された力…封印されているようにさえ感じる…そう彼は言った。
生憎俺にはその力の片鱗さえ感じることはできない。
本当に存在するのか? しかし…さっきのレンを見ると…それが、存在しているようにも思えた。
まるで一瞬、封印された何かが固体化し、実像を見せた気がした。




ポケットモンスター第79話 『届かない』 完






今回のレポート


移動


サイユウシティ


3月5日(ポケモンリーグ本戦2日目)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

チルタリス

ユレイドル

ボスゴドラ

コータス


見つけたポケモン 66匹






おまけ



その79 「さーて、次回のポケモンファイトは!?」





あ、さてさてやっぱり今回もおまけは次回予告だけです。
最近おまけの突発差がないのがつまらない皆さんもいるかもしれませんがここは我慢してください。
それでは次回予告!

次のカードはリュウト選手VSチカ選手!
成長力と逆転が売りのリュウト選手、対するは頭脳バトルを展開するチカ選手だ!
はたしは勝利はどちらの手に!

それでは、また次回のポケモンファイトでお会いしましょう!

ユウキ(G○ンダム風かよ…○トーカーね…)



おまけその79 「さーて、次回のポケモンファイトは!?」 完



ルビーにBack ルビーにNext

Back Next

Menu

inserted by FC2 system