ポケットモンスター サファイア編




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第93話 『予想外、意外、問題外?』






シャベリヤ 『さぁ、先ほどはAブロックではまさに熾烈を極める激戦が繰り広げられた』
シャベリヤ 『激戦の末破れ倒れたレン選手ですが、どうやら無事のようです』
シャベリヤ 『さて……では、いよいよ始めましょう! Bブロック決勝戦です!』

ワァァァァァァァァァァァッ!!!

シャベリヤ 『さて、では先に入場するのはレッドサイドヨー選手!』
シャベリヤ 『大半の予想を覆し決勝までやってきたヨー選手、その悪運の強さは本物だ!』
シャベリヤ 『果たして、今大会最強との声も高いイヴ選手に勝てるのかっ!?』

ワァァァァァァッ!!

ヨー 「たは……なんだかなぁ」

俺はレッドサイドの花道をゆっくり歩いてフィールドに姿を現す。
Aブロックはユウキにレンといずれもその実力に疑う余地の無い二人によるバトルだった。
俺には似合わない舞台……明らかに場違いなレベル。
だが、運か運命か俺はこの決勝の舞台に立っている。

ヨー 「くそったれ! 後は開き直るだけだ!」

シャベリヤ 『そして、ブルーサイドから同じく静かな足音でやってくるのはイヴ選手!』
シャベリヤ 『一切のプロフィールが不明の謎のトレーナー! だがその実力はまさに神がかり!』
シャベリヤ 『あらゆる局面、あらゆる状態に対応するまさに究極のオールラウンダー! イヴ選手入場だーーっ!!』

ワァァァァァァァァッ!!

イヴ 「………」

イヴさんは……無表情でフィールドに入ってくる。
なんだかつまらなさそう。
瞬殺されないようにはしないとな……。(滝汗)

シャベリヤ 『さぁ、それでは両者揃いました! いよいよBブロック決勝戦の始まりです!』




ユウキ 「……さぁてどっちが勝つのかね?」

レン 「う……ううん?」

ユウキ 「おう、目覚めたか」

レン 「ここは……私は? おにいちゃん?」

ユウキ 「おはようさん」

俺はポケモンリーグの医務室で眠っているレンの横に居た。
レンは目を覚ますと不思議そうな顔をしていた。

レン 「どうして私が……消滅したはずじゃ」

ユウキ 「さてなぁ……まぁ、神様でも間違いはあるんだ、よくあることさ」

俺はそう言って医務室にあったテレビを見る。




チカ 「……どっちが勝つと思う?」

リュウト 「賭けるまでもないな……結果が目に見えてつまらん」

チカ 「たしかに賭けにならないわねぇ」

ケン 「いや、大どんでん返しはいつ起こるかわからへんで?」

カラクサ 「つまりケン君はヨーが勝つかもと?」

ケン 「そうは言っらんけど……」

チカ 「まぁ、普通に考えたら勝負にならないわよねぇ〜……こいつに苦戦する程度じゃ」

チカはそう言ってケンを見る。

ケン 「わ、悪かったなぁこいつ程度で」




審判 「使用ポケモンは6匹、ポケモンの交換は両者自由! それでは不正の無いよう両者ポケモンをフィールドへ!」

ヨー 「出て来いゲンガー!」

イヴ 「出ろ、サンダース」

ゲンガー 「ガーッ! シシシ♪」

サンダース 「サーン!」

シャベリヤ 『さぁ最初のポケモンが出揃った! 奇しくも両者最初のポケモンは高速型だ! 目にも留まらぬバトルが始まるのか!?』

ヨー (サンダースか! 何来たってきついのは変わらないけど!)

ヨー 「よし! ゲンガー『ナイトヘッド』!」

イヴ 「サンダース、『でんきショック』!」

サンダース 「サンッ!」

バチィ!

ゲンガー 「!? ゲッ!?」

シャベリヤ 『サンダースの攻撃! しかし効果が薄い! しかしぃ!?』

ゲンガーは『ナイトヘッド』を放とうとするが、『でんきショック』を受けて一瞬動きが止まる。
だがその一瞬が、高速で動くサンダース相手には致命的だった。

イヴ 「『シャドーボール』」

サンダース 「サーン!」

ゲンガー 「ゲ、ゲンガーッ!?」

ヨー 「げ、ゲンガー!?」

『でんきショック』で一瞬、それこそコンマ数秒しか止まっていないはずなのにサンダースは既にゲンガーの真後ろにいた。
しかもイヴの命令をまるですでに理解していたかのように『シャドーボール』を放つ態勢で。
後はイヴの命令で……ドン。

審判 「え……あ、げ、ゲンガー戦闘不能!」

シャベリヤ 『あ……あっという間です! まさにあっという間に終わりました!』
シャベリヤ 『えー、カメラによると『でんきショック』からなんと1.6秒でゲンガーダウン! まさにこれぞ電光石火!』

ヨー 「じょ……冗談だろ?」

リフィーネさんやアンナちゃんはこんなの相手していたのかよ……。
嘘だろ……次元……違いすぎる!?




リフィーネ 「oh〜no……」

リュウト 「トレーナーもポケモンも次元が違うな……あの境地に立てるのだな人間は」

ケン 「ホンマに今まであの人手加減しとってんな……速過ぎやで」

チカ 「計測上本大会2位ね……1位はレンのフローゼル……といっても次元が違いすぎて私たちには大差がないけど」




ヨー (俺の命令が完全に出た後からの行動だったのに先手を取られ……呆気にとられる間もなく……ドン、か)

後の先を取れる自信があったからやった後だし戦法。
多分『でんきショック』を放つくらい呼吸する程度の動作でしかないだろう……だからこそ出せる最速攻撃タイミング。
回避できれば別だが……サンダースより早く動けなければ破りようがない。

イヴ (いいぞサンダース、ナチュラルだ。動きもスムーズでいい)
イヴ (俺の命令についていっている。何をすればいいかをよく理解している)

シャベリヤ 『動きを止める時間はほんの瞬き程度でいい、それをまさにサンダースが実現! 閃光が走れば試合が終わる!』

審判 「ヨー選手、2匹目のポケモンを!」

ヨー 「あ、くそ! でてこいヘラクロス!」

ヘラクロス 「ヘラッ!」

俺は2匹目をバトル場に出す。

イヴ (ヘラクロスか……続行しても勝てなくはないだろうが、手傷を負うリスクを背負う必要は無いな)
イヴ 「戻れサンダース!」

シャベリヤ 『ここでイヴ選手ポケモンを戻した!』

ヨー 「戻した!? だったらだったで! 『メガホーン』だ!」

ヘラクロス 「ヘラッ!」

イヴ 「でてこい、シャワーズ」

シャワーズ 「シャワ〜♪」

ヘラクロス 「ヘーッ!!」

シャワーズは優雅にバトルフィールドに姿を現す。
素直にコンテストに出たらポイント高いだろうなぁ〜。
て、そんなことに感心してないで!

ズッガァァァァァ!!!

シャワーズ 「シャッワーーッ!?」

ズッガァァァン!!!

シャワーズは出てきた所、いきなりヘラクロスの『メガホーン』を受けて場外のフェンスにぶち当たる。

シャベリヤ 『強烈な一撃! シャワーズ大丈夫か!?』

シャワーズ 「シャ、シャワシャワ! ペッペッ!」

シャワーズは砂埃の中から姿を現す。
咽(む)たのか堰(せき)をして、フィールドにとことこ戻ってくる。

イヴ 「大丈夫かシャワーズ?」

シャワーズ 「シャワ〜♪」

ヨー 「タフだなぁ……」

シャベリヤ 『なんとシャワーズ! 強烈な一撃を受けてもまるで平然としている!』

ヨー 「本当に効いてないのか?」

イヴ 「俺のシャワーズの物理耐久力を甘く見ないことだな」

ヨー 「ちっ! ヘラクロス、もう一度『メガホーン』!」

イヴ (ヨーはともかくあのヘラクロスは優秀だ、回避しようと思ってすることはできまい)
イヴ 「シャワーズ、『アクアリング』!」

シャワーズ 「シャワー♪」

ヘラクロス 「ヘーラー!!」

シャワーズが口から水を出すと、不思議な水のリングシャワーズの周りに発生する。
そして直後ヘラクロスの『メガホーン』が来る。

ドッカァァァァ!!!

シャワーズ 「シャワーッ!?」

ズサササァァァァ!!!

シャワーズは5メートルほど吹っ飛ばされるが踏ん張っている。
強烈な一撃で、少しシャワーズの顔に苦しさが表れた。

イヴ 「シャワーズ、真上に『みずでっぽう』」

シャワーズ 「シャワ〜♪」

シャワーズはピューと真上に水を噴出し、その水のシャワーを全身に浴びる。
一見優雅で場違いな行為に見えるだろうが、その実ちゃんと意味がある。

シャワーズ 「シャワ〜♪」

シャワーズの体力がみるみるうちに回復する。
『アクアリング』の効果に上乗せして、シャワーズの特性『ちょすい』の特性を生かして、かすか程度ではあるが『みずでっぽう』でそれを刺激する。




ケン 「100点満点」

チカ 「うん100点ね」

リュウト 「いつからポケモンコンテストになった?」

イブ 「は!? いつのまに!?」

サティ 「う〜ん、でもあのシャワーズ絶対コンテストも出られるかしら〜?」




イヴ 「さて、回復よりダメージ多いわけだ、次は『とける』」

シャワーズ 「シャワ〜」

シャワーズは液状になり防御力を高める。
相手が防御を上げるなら俺は攻撃を上げるだけだ!

ヨー 「ヘラクロス、『つるぎのまい』!」

ヘラクロス 「ヘラッ!」

シャベリヤ 『互い能力を上げます! しかしこの時間の間にもシャワーズ着実に体力を回復!』

ヨー (と、やべ! 『アクアリング』があったな!)
ヨー 「一気に行くぞ、『インファイト』!」

ヘラクロス 「ヘラーッ!!」

イヴ 「シャワーズ、『すなかけ』」

シャワーズ 「シャワッ!」

シャワーズは地面を蹴って、砂埃をヘラクロスの顔面に浴びせる。
しかし、ヘラクロスかまわず突っ込んでくる。

ドッカァァァァッ!!

シャベリヤ 『ヘラクロスの強烈な一撃がシャワーズに直撃! しかし当たりが浅いかぁ!?』

ヨー 「しまった、クリーンヒットとはいかなかったか!?」

攻撃する瞬間に目に砂が入って、視界が遮られた故にシャワーズの急所を確実に捉えられなかったわけか。

イヴ 「そろそろ反撃に移らせてもらうか、シャワーズ『ハイドロポンプ』!」

シャワーズ 「シャワーッ!!!」

ヨー 「やべっ! よけろヘラクロス!」

ヘラクロス 「ヘッヘラ!?」

バッシャァァァァァッ!!!

ヘラクロスは避けようとするが、目が封じられてシャワーズの攻撃を回避できずに直撃を受けてしまった。
『インファイト』の効果により特殊防御力が下がっている今の状態じゃ危ない!

ヘラクロス 「ヘ……ヘラ……!」

シャベリヤ 『ああっと、ヘラクロス立っている! お返しと言わんばかりに受けた強烈な『ハイドロポンプ』を受けて吹き飛ばされたがまだ倒れない!』

ヨー (『こらえる』か! 自分でやったのか!?)
ヨー 「よし! ヘラクロス『きしかいせい』!」

イヴ 「ち……」

ヘラクロス 「ヘーラーッ!!」

ドッカァァァァァ!!!

シャワーズ 「シャッワーッ!?!?」

ズッシャァァァッ!!!

ヘラクロスの『きしかいせい』を受けてシャワーズが吹っ飛ぶ。
シャワーズはそのまま立ち上がる様子は無い。

審判 「シャワーズ戦闘不能!」

ヨー 「おっし!」

思わずガッツポーズをとってしまう。
だが、大半の予想を覆し一勝をもぎ取ったぞ!
ヘラクロス様々だけど勝ちは勝ちだ!

イヴ 「戻れシャワーズ……詰めを誤ったか」

イヴさんは少々計算違いという顔をしてシャワーズをボールに戻す。
とはいえ、顔から苦しさは全く感じない。
というか余裕バリバリだな……。

イヴ 「行くぞ、グレイシア」

グレイシア 「シア」

続いて出てきたのはグレイシアだった。
シャワーズと同じくゆったりとした登場。
だがこちらは向こうと違い、クールな感じの登場だ。
てか……格闘タイプに不利なグレイシアァ!?

ヨー 「どういう魂胆かわかんねぇけどヘラクロス、『かわらわり』!」

イヴ 「なにをしようと変わらんが単純だな……『こおりのつぶて』」

グレイシア 「シッ!」

ビュンッ! パキィッ!

ヘラクロス 「!? ヘラァッ!?」

ズササァァッ!!

グレイシアは的確に必要量だけ礫をヘラクロスに打ち込む。
ヘラクロスは額に礫がぶつかると、突っ込んでくる勢いのままグレイシアの目の前まで滑り込んできた。

ヘラクロス 「ヘラ〜……」

審判 「ヘラクロス、戦闘不能!」

ヨー 「やってもうた……戻れ、ヘラクロス!」

ヘラクロスの残り体力はもうほとんど残っていなかった。
後は先制技で、十分倒せる体力、そこを見切れなかった俺が一番悪いな……。

ヨー 「氷には炎! でてこいウインディ!」

俺は続いてウインディを出す。

ウインディ 「ウィン!」

ヨー 「ウインディ、『かえんほうしゃ』!」

ウインディ 「ウォーンッ!!」

イヴ 「グレイシア、『こおりのつぶて』!」

グレイシア 「シアッ!!」

ヒュヒュッ! パキパキッ!

グレイシアの氷の礫が、ウインディの目元に的確に2発当たる。
かなりの高速弾で、威力こそ薄いがウインディは目暗ましを暗い、『かえんほうしゃ』が失敗する。
このパターンは……!

イヴ 「『みずのはどう』!」

ヨー 「二度も同じ手にはまるかぁ!! 『オーバーヒート』!」

ウインディ 「!! ウォーーンッ!!」

グレイシアはサンダースの時同様に後ろに回りこむ。
サンダースに比べればはるかに遅いが、目を潰された直後なら十分脅威だ。
だが、くるとわかっていればトレーナーが反応する!
ウィンディはその場で急激な熱量を発し、ドーム上に熱爆発を起こす。
さっきの試合でユウキがやってた『オーバーヒート』と同じバーストタイプの『オーバーヒート』だ。

ズガァァァンッッ!!!

グレイシア 「!!?」

体重の軽いグレイシアは爆発に巻き込まれて吹っ飛ぶ。
『みずのはどう』は不成立で失敗した。

シャベリヤ 『決まったー!! 大技『オーバーヒート』! グレイシア吹き飛ばされて場外だ!!』

グレイシア 「……シア」

グレイシアは立ち上がると、何事も無かったかのようにフィールドに戻ってきた。
馬鹿な……ダメージなしだと?

ヨー (いや……いくらなんでもダメージなしおかしいだろ? 何しやがった!?)

イヴ (……狐に摘まれたか。グレイシアはポーカーフェイスだからな、絶対に辛いなんて顔に出さない)
イヴ (正直ダメージは小さくない、『特殊タイプ』の『オーバーヒート』で助かったが、あれが物理タイプの方だったらおしまいだったな)

ヨー 「これでウインディの特殊攻撃は役に立たない! ウインディ、『しんそく』だ!」

ウインディ 「ウォン!」

ウインディは高速でグレイシアに突っ込む。

イヴ (くらうとさすがにまずいな)
イヴ 「グレイシア、『でんこうせっか』」

グレイシア 「シアッ!」

グレイシアも同様、高速でウインディに突っ込む。
単純なぶつかり合いでは技の威力でもパワーでもウインディが上だ!
どうにかなると思うなよ!

ウインディ 「ウォンッ!」
グレイシア 「シアッ」

バトルフィールド中央でウインディとグレイシアが急速接近する。
ウインディはグレイシアに当たりにいくが、グレイシアはウインディの頭を足場にして上に飛び上がる。

ヨー 「! 追いつけ!」

ウインディはすぐに反応して真後ろ上に飛び上がる。
よし! 反応がいい、これなら!

イヴ (『みずのはどう』では止まらんな、仕方あるまい)
イヴ 「苦手な接近戦だ! 『アイアンテール』!」

グレイシア 「シアッ」

グレイシアは空中で姿勢を整え迫り来るウインディの横っ面を『アイアンテール』で叩く。
しかし効果も今ひとつで物理攻撃力は低いのかたいしたダメージではなくウインディは止まらなかった。
だが、ウインディが止まらなかったためかグレイシアは横に体が流れてしまい、攻撃は失敗してしまった。

シャベリヤ 『グレイシア地面に無事着地! そのまま距離を離します!』
シャベリヤ 『ウインディは追い打ちならずだ!』

ヨー 「くっそぉ……逃げるのが上手いなぁ」

イヴ (なんとかなったか……こっちグレイシアは接近戦はすこぶる苦手だからな)

結局こちらの攻めは成立しないまま、距離を10メートルほど離して仕切り直しになる。
距離が遠いな……ウインディの距離じゃない。
逆にこれは多分グレイシアの距離だと思う。

ヨー (これは予想だがガチのぶつかり合いなら多分ウインディの方に分がある!)

だが問題はグレイシアを捉えられるかどうか……。
接近戦は多分相当苦手だからあんないなし方したんだと思う。

ヨー 「ウインディ、もう一度『しんそく』だ!」

ウインディ 「ウォウ!」

俺はウインディに『しんそく』を命令する。
グレイシアと距離を詰めるには多分これしかない。
攻撃を撃たせたらこちらはなす術が無いだろう。
土台こっちと相手じゃ同じ経験値じゃない。
明らかに戦闘慣れしているのは向うだ。

イヴ 「『こおりのつぶて』」

グレイシア 「シアッ!」

グレイシアはウインディに『こおりのつぶて』を打ち込む。
威力は無いが、その分グレイシアの命中精度はすこぶる良い。

ウインディ 「!? ウオォウ!!」

シャベリヤ 『グレイシアの『こおりのつぶて』が的確にウインディの顔面に直撃! しかしウインディ止まらない!』

ヨー 「いっけぇぇぇっ!!」

イヴ 「グレイシア、『でんこうせっか』で逃げろ」

グレイシア 「!!」

グレイシアはウインディに襲われる瞬間ウインディの体をかわし、10メートルほど再び距離を離す。

ヨー 「くっそっ! ちまちまっと! ウインディ!」

イヴ 「2回やれば十分だ、スピードもパワーも理解した」

ヨー 「!?」

ウインディは反転してグレイシアを追いかける。

イヴ 「グレイシア、『みずのはどう』」

グレイシア 「シアッ!」

グレイシアは口元に水の球体を作り出す。
超振動を起こし波紋を起こすその球体はウインディに放たれた。

ヨー 「くらう!? かわせない!? くっ! 『かえんぐるま』!」

ウインディ 「ウォーンッ!」

ウインディは咄嗟に『しんそく』から『かえんぐるま』に切り替える。
技を切り替える直前にグレイシアに飛び掛っており、速度が維持されたままグレイシアに突っ込んだ。
しかし、その前にグレイシアの『みずのはどう』がウインディに直撃する。

ジュワァァァァァァッ!!!

辛うじてダメージを軽減し、ウインディはグレイシアに突っ込んだ。

ウインディ 「ウォーン!!」

グレイシア 「シアーッ!?」

グレイシアは炎に包まれたウインディの一撃を受けて吹っ飛ぶ。

シャベリヤ 『グレイシアここでついに物理攻撃でのクリーンヒットォッ! 効果は抜群だぁぁっ!!』

ヨー 「おっしゃ!」

俺はガッツポーズをとる。
立てるわけがねぇ、これが勝利だ!

審判 「グレイシア戦闘ふ……!」

パキィ……パキィ!

ヨー 「!?」

シャベリヤ 『!? な、なんだなんだぁ!? 突然霰が降り始めた!』

グレイシア 「……シィィ!」

シャベリヤ 『ああっとぐ、グレイシア立ち上がったぞぉっ!? この勝負まだ続くのか!?』

イヴ 「やるな、ヨー君中々良い才能を持っている、だがまだまだだな」
イヴ 「グレイシアは普段は氷のようにクールだ、だが……遂に切れたな」

ヨー 「き、切れたぁ!?」

グレイシア 「シィィィッ!」

グレイシアが毛を逆立てて激しくこちらを威嚇する。
先ほどまでのクール&ビューティな様子がまるで嘘のようだ。

グレイシア 「シアッ!!」

ヒュンッ!!

ヨー 「消えたっ!?」

グレイシアは突然視界から消えてしまう。
透明になったんじゃない、霰の性でその体が迷彩の役割を果たしているんだ!

ビュオオオオオオオッ!!

ウインディ 「ウォッ!?」

突然、激しい吹雪が舞い起こる。
間違いなくグレイシアの『ふぶき』だ!
だけど、乱気流に入ったかのように風が巡り巡ってどこから放たれているのかわからねぇ!?

カキィン!!

シャベリヤ 『ああっとウインディが凍ってしまった!! 美しい氷像が完成したぁっ!!』

ヨー 「しまった!?」

イヴ 「皮肉だな、グレイシアを追い詰める良いセンスを持っているが……その才能が中途半端にグレイシアを追い詰めた」
イヴ 「こうなっては、グレイシアは俺の命令を聞かない」

グレイシア 「シアッ!!」

グレイシアはウインディの目の前に突然現れたかと思うと、『シャドーボール』をウインディに放ってくる。

ズガァンッ!!

氷は砕け散り、ウインディはそのまま地面にひれ伏した。

審判 「ウインディ、戦闘不能!」

シャベリヤ 『決まったー!! ウインディ戦闘不能! グレイシアここで逆転!』

ヨー 「う……嘘だろ」

俺は唖然としたままウインディをボールに戻す。
ここまでの攻勢はなんだったんだ……。

ヨー (やべぇ……! 誰出す!? どうする!?)

俺は冷静になってこの後出すポケモンを考える。
グレイシアはもうダウンしかけだ、後一撃当てればきっと勝てる。
だけど、その一撃がどうやったら当たるか?
くそ……俺のポケモンは……そうだ!

ヨー 「出番だ、エアームド!」

エアームド 「エアーッ!!」

俺は次のポケモンにエアームドを繰り出す。
エアームドを出した理由は二つ。
ひとつはエアームドの特性『するどいめ』を利用するため。
もうひとつはエアームドの技だ。

グレイシア 「シアーーッ!!」

グレイシアはどこからか鳴き声が聞こえてくると、再び吹雪が巻き起こる。
エアームドを凍らせて美味しく頂く気か!

ヨー 「やらせねぇぜ! エアームド『スピードスター』!」

エアームド 「! エアーッ!!」

エアームドの鋭い目はこの霰の状態でも的確にグレイシアを見抜く。
エアームドはグレイシアに『スピードスター』を放った。

ビビビビビビビッ!!

グレイシア 「シアーッ!?」

霰の中で迷彩し隠れていても的確にエアームドはグレイシアを攻撃する。
やはりグレイシアには残り体力はもうほとんど残っていなかったらしく悲鳴を上げて、グレイシアは地面に転がった。

審判 「グレイシア、戦闘不能!」

イヴ 「……もどれグレイシア」

シャベリヤ 『暴走したグレイシアここでようやくダウン! これでイヴ選手残り4匹、一体なにがでる!?』

イヴ 「でろ、サンダース」

サンダース 「サーンッ!」

続いて登場したのは再びサンダースだった。
イヴさんのサンダースはとにかく素早い、加えて高い特殊攻撃力を誇る。
ゲンガーは2秒かからずやられたし、とにかく相手したくないタイプだな。
こういう素早いのを相手するのは苦手だ。

ヨー 「戻れエアームド!」

俺はエアームドをボールに戻す。
エアームドでサンダースを相手にするのははっきりいって無理がある。
だから俺は主力であるエアームドを無理に失いたくないのでボールに戻した。
対策次第ではイヴさんのポケモンにも俺のポケモンは戦える!

ヨー 「でてこい、マルノーム!」

マルノーム 「マルノ〜」

俺は続いてマルノームを繰り出す。
耐久力においてはすこぶる自信がある。
とはいえ、どこまでサンダース相手に持つか……やってみないことにはわからねぇな!

イヴ 「サンダース、『かみなり』!」

サンダース 「サンダーッ!!」

ヨー 「耐え抜けマルノーム! 『どくどく』!」

ピッシャァァァァン!! ガガァァァン!!

マルノーム 「マ、マルノーッ!!」

シャベリヤ 『サンダースこの悪天候の中、強烈な『かみなり』を的確にマルノームに落とした!』
シャベリヤ 『マルノーム苦しむ! しかしぃ!?』

バシャァッ!!

サンダース 「! サン……!」

サンダースは『どくどく』を浴び、猛毒状態にかかってしまう。
スピードで攻撃を当てるなんて不可能だからな相打ち覚悟で決めにかかったがなんとかなった!
だが、マルノームもピンチか!

イヴ 「……サンダース、続いて『10まんボルト』」

イヴさんが珍しく苦い顔をした。
どうやら、『どくどく』をくらったのがよっぽどまずかったらしい。

ヨー 「マルノーム、『まもる』!」

マルノーム 「マ、マルノ〜!」

マルノームは依然苦しいままだが、なんとか耐え凌ぐ。
そして、ここでようやく霰が消え、天候が元に戻るのだった。

シャベリヤ 『マルノーム耐えます! しかしこの状態が続いては危険だ! この窮地をどう脱するのか!?』

イヴ 「サンダース、もう一度『10まんボルト』!」

サンダース 「サーンッ!!」

ヨー 「耐え切れぇ! 『ドわすれ』!」

マルノーム 「ムムム〜!?」

マルノームは『ドわすれ』を使い特殊防御力を上げる。
そして直後サンダースの電撃がマルノームを襲った。
耐え切れ! 耐え切ってくれ!!

マルノーム 「マ……マルノ…ォ!」

シャベリヤ 『た、耐えたー!! ど根性でマルノーム耐え切った!!』

イヴ 「選択を誤ったか……まさか耐え切られるとはな。どうやら君への評価を改める必要があるらしいな」
イヴ 「…サンダース、『でんきショック』!」

ヨー 「マルノーム、『まもる』!」

マルノーム 「マ…マルノ!」

俺は当然マルノームにもう一度『まもる』を命令する。
それを見越してかイヴさんは簡単な基本技の『でんきショック』を命令してきた。

イヴ 「サンダース『でんこうせっか』だ! 『まもる』のフィールドが消えると同時を狙え!」

サンダース 「サンッ!」

サンダースは瞬時に動きだす。
そういや『でんきショック』後のサンダースは極端に動きが早かったな。
この速度はあまりに異常で俺は命令する間もなく(したとしてもマルノームが行動できないだろうが)サンダースが襲い掛かる。

ドカァッ!!

マルノーム 「マルノッ!? マルノ〜……」

マルノームはついにぐったりとダウンしてしまう。

シャベリヤ 『マルノーム、耐えに耐えましたがついにダウンです!!』

サンダース 「……サァン」

ドサァッ!!

シャベリヤ 『ああっと、しかし毒のダメージでサンダースもダウンだ!!』

審判 「両ポケモン戦闘不能!」

シャベリヤ 『さぁ、ここで全体の半分のポケモンが倒れ、前半を終了します!』
シャベリヤ 『ヨー選手の予想以上の大健闘にフィールドが揺れます! この勢い後半戦で落とすなよぉ!?』
シャベリヤ 『さぁ、それでは休憩だ!』




チカ 「この時点での掛け率は?」

リュウト 「変わらずイヴさんに」

サティ 「サティはヨーを押すかしら!?」

タクマル 「僕もヨーおねえちゃんを!」

ケン 「まぁ、ヨーに票入れんわけにはいかんな」

チカ 「随分、ヨーが大盛況ね。まぁ私はイヴにだけど」

イブ 「チカさんとリュウトさんはどうしてイヴさんなんですか?」

チカ 「別に、ただ現実を語っているだけよ、夢見るほどこの賭け美味しくないしね」




レン 「ねぇ? この試合どっちが勝つの?」

ユウキ 「知りたいか?」

レン 「うん」

俺はレンと一緒に医務室からテレビを見ている。
予想を大きく覆しヨーが大健闘をしている。
ヨーの底なしのど根性で追いつけるとは思えないが、イヴさんが意外にも苦戦しているのは確かだ。
ヨーのトレーナーレベルが追いついたわけでも、ましてポケモンのレベルがそれを超えたわけでもない。
だが、不思議と何故かヨーがイヴさんにくらいついている。

ユウキ 「勝つのは……」

レン 「どきどき」

いつの間にか表に戻っているレン。
俺は特に気にすることなくレンと一緒にテレビを見ていた。
そしてレンは今、俺に難しい質問をしている。

ユウキ 「それは、強い方だ」

レン 「ええっ? それってどっちなの〜?」

ユウキ (それがわかるなら苦労しないっつーの)
ユウキ 「勝負なんて実際にやって、終わってみないとわからないものさ、わかっているならこんな場所にいる必要もない」

試合開始前だったら、俺の予想も事前評価と同様イヴの圧勝だった。
ていうか、この展開を予想していた観客(読者)がどこにいるよ?
なんせ神(作者)だって驚いているからな……。
ポケモンのレベルは……まぁ一部のポケモンだけはイヴさんのポケモンと同レベルだ。
だが、それはあくまで一部で、現実にはゲンガーがサンダースに瞬殺されたようにそんなレベルだ。
マルノームも奇跡の耐久力で耐え抜いたが、乱数(?)次第では絶対終わってた。
色んな偶然があったが、まあ奇跡的なものでこうまで互角にもっていったわけだ。
しかし、やっぱりトレーナーレベルでまだまだ差が大きい。
前半戦はヨーが乗りに乗って勢い勝ちしちまったが、後半戦はそれも冷めるだろう。
そうなるとトレーナーレベルの差が大きな差になると思う。

ユウキ (ま、結局はやってみないことにはわからないだろうがな……)




…………。




シャベリヤ 「ふぅ……さすがに暑くなってきたねぇ」

役員 「シャベリヤさん、RMUから連絡です」

シャベリヤ 「RMUから? 一体どんな?」

役員 「こちらを」

私は役員が渡してきた一枚のプリントに目を通す。

シャベリヤ 「!? おいおい……観客は喜ぶかもしれないがなぁ……まぁ、フリーの実況の私には関係ないか」

私はプリント用紙を手元に置いて、時計見て時刻を確認する。
私は呼吸をひとつおき、マイクの電源を入れる。




シャベリヤ 『さぁ! いよいよBブロック決勝戦も後半戦だ!』
シャベリヤ 『前半戦はヨー選手が大健闘のバトルでイヴ選手残り3匹!』
シャベリヤ 『しかし、ヨー選手も大きな代価を払い、残り2匹だ! このバトルを制するのはどっちか!?』

ヨー 「もっちろん俺だぜ!」

イヴ 「………」

俺は意気揚々とバトルフィールドに姿を現す。
イヴさんは相変わらず、冷静に向かい側に佇んでいる。
この勝負、相性さえ上手く突けば勝てなくは無い!

審判 「では、両者同時にポケモンをフィールドへ!」

イヴ 「でてこい、ブースター!」
ヨー 「出番だ、スターミー!」

ブースター 「ブゥッ!」

スターミー 「スタッ!」

シャベリヤ 『ヨー選手はスターミー、イヴ選手はブースター! ここで奇しくも水対炎! イヴ選手この窮地をどう潜り抜ける!?』

ヨー 「おっしゃ! もらったぜ! スターミー、『ハイドロポンプ』!」

スターミー 「スタァッ!!」

スターミーはブースターに噴出孔を向けて、『ハイドロポンプ』を打ち出す。
サンダースとブースターさえいなくなれば、後はスターミーとエアームドで完勝だ!

イヴ 「ブースター、『いばる』!」

ブースター 「ブゥゥウッ!」

ヨー 「えっ!?」

イヴさんはなにをするのかと思いきや、いきなり『いばる』を使用してくる。
しかし、そんなことをしていると……。

バッシャァァァァァッ!!!

ブースター 「ブゥゥゥッ!?」

ブースターはスターミーの『ハイドロポンプ』の直撃を受けて、吹き飛ばされる。

シャベリヤ 『ブースター大ダメージ! 耐えられるのか!?』

ブースター 「ブ……ブゥ」

ブースターはよろよろと立ち上がる。
畜生、一発で倒せないのか……。

スターミー 「スタァア?」

そして、スターミーは『いばる』の効果で攻撃がアップするも混乱状態になってしまう。
やっばい……とはいえ、ブースターに遅れをとるなんてことはないと思うけど。

シャベリヤ 「ええい! 聞こえてくれよ!? 『スピードスター』だスターミー!」

スターミー 「スタァ? スタァッ!?」

しかし、スターミー混乱していうことを聞かない。
訳もわからず自分を攻撃し始めた。

イヴ 「戻れブースター、でてこいエーフィ!」

エーフィ 「フィ」

続いて出てきたのはエーフィだった。
スターミーが混乱でろくに動けない。
どうしたものか。

ヨー (ここで、スターミーがやられるのは危険な気がするな……とはいえ交換するのも怖いが)
ヨー 「ええい! ままよ交換だ戻れスターミー!」

俺はスターミーをボールに戻す。
相手はなんせイヴさん、ブースターが生きているだけに、エアームドでは万が一がある。
となると、スターミーがやられるのは得策じゃない!

ヨー 「いっけぇエアームド!」

イヴ 「先に全てポケモンを見せたのは間違いだったな、『めざめるパワー』!」

エーフィ 「エーー……フィッ!」

ヨー 「嘘ぉっ!?」

エーフィの周りに謎の球体が回ると、それが瞬時に出てきたエアームドに襲い掛かった。

バッチィィン!!

エアームド 「エアーーッ!?」

電気が弾ける音がしたと思うとエアームドがまっ逆さまに地上に落ちた。

エアームド 「エ……エアァ……!」

エアームドはなんとか、ふんばり倒れるのを免れる。
とはいえ、予想以上の大ダメージに追い詰められる。
やられた……エーフィの『めざめるパワー』は間違いなく電気タイプ。
エアームド相手にはピンポイント過ぎるぜ旦那……。

イヴ 「エーフィ、もう一度だ」

エーフィ 「フィ……」

エーフィはゆっくり目を瞑り再び『めざめるパワー』を使い始める。

ヨー 「くっ! エアームド、『すなあらし』から上昇!」

エアームド 「エ、エアッ!」

ビュオゥッ!! ビョォオオオオオッ!!

会場は急激に砂嵐に見舞われる。
砂嵐は視界を急激に劣悪に変え、その中で上昇するエアームドはエーフィの攻撃を回避する。
対するエーフィは砂嵐に見舞われ、正確にエアームドに照準が合っていない。

イヴ 「エーフィ、『サイケこうせん』!」

エーフィ 「エッフィ!」

エーフィはエアームドに『サイケこうせん』を放ってくる。
もはやイヴさんお得の中級技。
一見意味無さそうだが、その裏になにが仕込んであるかさっぱりわからないから怖い。

ヨー 「エアームド、『こうそくいどう』!」

エアームド 「エアッ!」

エアームドは砂嵐の中素早さを上昇させる。
『サイケこうせん』は回避したが、まだ油断できない。
『はねやすめ』したいが、攻撃を一発でも貰うのはいただけない。
イヴさんのポケモンは一見やんわりといているけどとんでもない猛毒をもったポケモンたちだ。
ちょっとでも隙を見せたら、美味しく頂かれるに決まってる!

ヨー 「エアームド、『つばめがえし』!」

エアームド 「エアーーッ!!」

エアームドはエーフィに急降下する。
エーフィはそれを見て態勢を屈めて迎え撃つ。
飛行タイプは地面に激突する危険もある、そのためできる限り地面に身を近づけるわけか。

ヨー (だが! このエアームドを舐めるなよっ!?)

エアームド 「エアーッ!!」

イヴ 「『くさむすび』」

エーフィ 「フィ」

エーフィは身を屈んだまま目を閉じた。
そして直後、エアームドが襲い掛かる。
エーフィはまるで巨大なダンプに跳ねられたように宙を舞うが、しかし鳴き声ひとつ上げない。

シュルル……!

エアームド 「!? エアッ!?」

エアームドは地表スレスレのところでエーフィの放った『くさむすび』にかかってしまう。

ヨー 「そんな草引きちぎれエアームド!」

イヴ 「動きを止めるのは一瞬で十分だ! 『めざめるパワー』!」

エーフィ 「フィ……フィッ!」

バッチィィン!!

勝敗は一瞬だった……。
どれだけ注意しても、どれだけ警戒してもそれはイヴさんにとっては容易く突破されるものなのか。
砂嵐を起こし、敵の視界を遮り、『こうそくいどう』で更に安全性を上げたはずだった。
だけど、こちらの攻撃の瞬間だけにイヴさんは絞り、そして……やられた。
ほんの一瞬動きが止まっただけで、イヴさんにとっては十分な時間。

審判 「エアームド、戦闘不能!」

シャベリヤ 『決まったーっ!! エアームドダウン! ついにヨー選手リーチだ!』

ヨー 「……くそ! 戻れエアームド、出番だスターミー!」

スターミー 「スタッ!」

いよいよこっちはラストか。
幸いダメージはほとんど無い、混乱も治っている。

イヴ 「……」

イヴさんはスターミーを見ると、冷静に命令無くこちらを見ている。
くそ……先に攻撃はしませんってか。

ヨー 「やってやろうじゃねぇか! スターミー、『ハイドロポンプ』!」

俺はスターミーを信じるぜ!
たしかに俺はイヴさんに比べたら戦略も知識も何もかも負けてるだろうよ!
だけど、ポケモンは別だ!
こいつは……スターミーはイヴさんのポケモンには決して劣ってない!

イヴ 「軽率だな、エーフィ、『くさむすび』」

エーフィ 「フィッ」

エーフィはこちらのハイドロポンプはゆうゆうと回避するとそのままスターミーに『くさむすび』を使ってくる。

ヨー 「スターミー、『こうそくスピン』!」

スターミー 「スタッ!」

スターミーはその場で高速回転をしてスターミーに絡みつく草を引き千切りそのまま空に浮かぶ。

イヴ 「エーフィ、シャドー……いや、『ねんりき』でいい」

エーフィ 「フィィィ…!」

エーフィは口元に何か力を集め、何かを発射するポーズをしていたが、イヴさんの命令を聞いて突然ポーズを戻し『ねんりき』を放ってきた。
多分『シャドーボール』を放つ気だったんだろうけど、『ねんりき』に変えてきたのか。 スターミーは『ねんりき』を回避できず、ダメージを受けるが所詮『ねんりき』でたいしたダメージは被っていなかった。

イヴ 「エーフィ、『フラッシュ』」

エーフィ 「フィッ!」

ピカァッ!!

ヨー 「うわっ!?」

スターミー 「スタッ!?」

俺はいきなり光るまぶしいエーフィに思わず目を瞑ってしまった。
咄嗟のことに反応できず俺まで目を瞑ってしまい、視界が遮られる。

ズドォン!!

ヨー 「!?」

目が閉じられた瞬間だった、何か爆発が起きたようだった。
嫌な予感がして、恐る恐る目を開けた時には……。

審判 「スターミー、戦闘不能! よって勝者イヴ選手!」

シャベリヤ 『決まったー!! 『フラッシュ』の後の『シャドーボール』がスターミーに直撃! トレーナーもポケモンも面食らったぞ!』

ヨー 「あ……」

俺が目を開けた時にはスターミーは倒れていた。
ほんの一瞬……ほんの一瞬なんだ。
イヴさんにとってバトルは、相手の動きを一瞬止めるだけで全てを止めてしまう。
『フラッシュ』で俺は一瞬止まってしまった。
何も命令することが出来なかった。

ヨー 「くっそ……負けは負けだ」

俺は開き直り、首を横に振った。
スターミーをボールに戻すと俺はイヴさんに近寄る。

ヨー 「完敗です、参りました」

イヴ 「ああ、君はいいセンスを持っている。トレーナーとして知識を高めていけばいいトレーナーになれるよ」

ヨー 「は、はい! ありがとうございます!」

俺はイヴさんに手を差し伸べられ、俺も手を握り握手を交わす。
イヴさんに認められるなんてなんだか照れるな…あはは。

シャベリヤ 『バトル場ではイヴ選手とヨー選手が熱く手を握り合っている!』
シャベリヤ 『さぁ、感動もまだ一入ではあるが、ここでRMUから報告だ!』

ヨー 「え?」

シャベリヤ 『皆さんに配られたパンフレットにはこれよりAブロック優勝者とBブロック優勝者のポケモンリーグ1決定戦を行う予定が記るされていると思う!』
シャベリヤ 『だが、ここで急遽ルールが変更!』
シャベリヤ 『なんと本来ならばポケモンリーグ優勝者だけが入れるはずだった四天王チャンピオンを含んだ総当り戦でしたがルールの変更によりユウキ選手とイヴ選手の両選手が総当たり戦のチャンピオンカーニバルに進出!』

イヴ 「!」



ユウキ 「あら……なんと、まぁ」



シャベリヤ 『というわけで大変申し訳ないがこの後予定されていたAブロック優勝者VSBブロック優勝者はなくなってしまった!』
シャベリヤ 『まぁ、変わり言ってはなんだが明後日から始まるチャンピオンカーニバルをじっくり楽しんでくれよ!』

イヴ 「……そういうことか」

ヨー 「てぇと、ひとり分増えるわけだから6試合分増えるわけ?」

俺は単純にスケジュール上の試合回数を考えてみる。
6試合も増えるのか……でも7人での総当りってなにかおかしくないか?




ユウキ 「あんの狸親父め」

ペルが消えたから時間を引き延ばしやがったな。
単純に試合が6試合も増える、これは実質1日分くらいは日数増えるな。

ユウキ 「かったるいなぁ……かったるい」

まぁ、やばくなったらトンズラするか。
俺はそう決め込んでぐったりする。

レン 「大丈夫おにいちゃん?」

ユウキ 「大丈夫大丈夫〜」




ポケットモンスター第93話 『予想外、意外、問題外?』 完






今回のレポート


移動


サイユウシティ


3月6日(ポケモンリーグ本戦4日目)


現在パーティ


ラグラージ

サーナイト

チルタリス

ユレイドル

ボスゴドラ

コータス


見つけたポケモン 66匹






おまけ



その93 「試合終了に伴い……」





ユウキ 「かったるいなぁ……」

アカネ 「なんやなんや〜、随分退屈そうやなぁ」

ユウキ 「うわぁ……やなやつ来たよ」

俺は医務室を出て、レンと別れるとホテルに向かっていた。
するといきなりアカネとハルカが現れた。

ハルカ 「チャンピオンカーニバル出場おめでとう♪」

ユウキ 「あんまり嬉しくないねぇ」

ハルカ 「? どうしてなのユウキ君?」

ユウキ 「はいでは、ここでおにーさんのためになるこーざ」

アカネ 「?」

ユウキ 「今回ポケモンリーグ優勝がかかっていました」
ユウキ 「ですが、今回のルール変更により、このリーグ優勝者は事実上消滅です」
ユウキ 「代わりと言ってはなんですがポケモンチャンピオンになる権利は一人増えました」
ユウキ 「これは正直いって、参加者にとってもむしろどうでもいい結果です」
ユウキ 「まぁ、平たく言うと」

アカネ&ハルカ 「かったるいと」

ユウキ 「……その通りで」





おまけその93 「試合終了に伴い……」 完


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