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beatmaniaUDX The ANOTHER Story Type.K


1st STAGE 『召喚』




愛とを注がれし者達よ
狂いの世界に 空を見よ
今ここにあるべきは お前の消えない瞳
お前は何も知らない

いつから始まったのだろうか
どこへ行けば終わりは訪れるのだろうか

足元で汚れた 黒き空を
指先でなぞる 白き果てを

星々はお前に宿り やすらぎへと 誘うだろう
だが お前は何も知らないまま
生まれくる憎悪に 食い破られる星々は
お前の毒となり 身を焦がすだろう

朝に罪を 夕へ零し 夜を濁す
空という名の君はどこへ

罪を洗い流す鍵となるは その少女
共に歩み その罪を重きを知れることとなる

刻を知らぬ少女は自ら呪いとなった
強大な力は やがて その心を蝕んでいくだろう

過去の憎悪に焼かれ 火を放った
自身の悲鳴が罪を誘い 嘲笑う
お前をもといた場所へ帰しはしない

君のひかりを掬い取り 曖昧にした
空を彷徨う己の腕に 心はうつろいゆく
踊り続ける 空と空の狭間で
闘い 苦しみ続ける

終りなき空

朝と溶け 夕と語り 夜と愛する
空という君は夜に寄り添い
大きな罪を犯すこととなる
報われぬ 己の存在は 全てを無へと変えて



『西暦20XX年 1月1日 時刻10:15 地球 日本』


? 「ケー! ケーったら!」

少女 「――っ!? あれ……ヤマト先輩?」

突然目の前に心配する女性の顔が写った。
彼女の名前は虎 大和(トラ ヤマト)。
私が通っている高校を今年卒業する先輩。
近々アイドルデビューするらしく、最近では中々会うこともできなくなっていた。

そんな中私はヤマト先輩に誘われて少し離れた街へと来ることになったんだった。
気がつくと私は街中でボーっと立っていたようで、街の人々は私たちの横をただ通り過ぎていく。

ヤマト 「もうケー! ボーとしていたら危ないわよ?」

少女 「す、すいません……」

私の名前は小有珠慧(コウス ケイ)。
親しい皆からはケーと呼ばれている。
来年高校3年生になるが今は冬休みで少し一息。

ヤマト 「んじゃ、参拝も終わったしどうしよっか?」

ケイ 「ヤマト先輩はなにか予定はあるんですか?」

ヤマト 「私? 今日はオフだしねぇ……グラビア撮影もないし」

ケイ (すごいなぁ……もうアイドルって風格がすごい)

今はまだ無名のヤマト先輩。
でもすでに大物プロデューサーに目をつけられたらしく、厳しいレッスンを受けながら遂に来月CDデビューをするらしい。
ヤマト先輩は4人のアイドルユニット、Disっ娘よっつ打ち命のリーダー、名前が長いので以降はDisっ娘。
ヤマト先輩は美人だし、唄も踊りも上手だし、身長も高いし、成績優秀頭脳明快で、私とは大違い。
だからこそ私はすごくヤマト先輩には憧れていた。

元々ヤマト先輩とは中学からの付き合いだった。
中学に入学した時、一際異彩を放ち、自信に満ち溢れた顔……そして女神のように優しい笑顔で私たちを魅了した。(注:多少ケイの拡大解釈が混じっています)
ヤマト先輩はこんな私にも優しく接してくれて、高校も私はヤマト先輩と同じ学校に入学した。
家から遠くて大変だけど……うん、大丈夫!

ヤマト 「ゲーセンでもいこっか?」

ケイ 「げ、ゲームセンターですか? で、でもヤマト先輩はそんな人が集まるところは……」

ヤマト 「ヘーキヘーキ♪ それにどうせ男もいないアイツはあそこにいるだろうしねぇ♪」

アイツ……私と同級生の女の子、一応ヤマト先輩と同じDisっ娘のメンバー……。

ケイ 「……カナちゃんですもんねぇ……」

私は少し納得してヤマト先輩と一緒に近くのゲームセンターに行くのだった。



…………。



ヤマト 「あいつなら多分……いたわ」

カナ 「やったーーーっ! ダンドリ7クリアーーっ!!」

ヤマト 「やっぱりね……ここにいたわ」

街の中に入ればゲームセンターはいっぱいある。
でも、ヤマト先輩は迷わずある一店のゲームセンターに入った。

カナ 「あれ? ヤマトにケー?」

ケイ 「カナちゃんすごいね、私は4もできないのに」

彼女がさっきまでプレイしていたゲームはDDRXと呼ばれるダンスゲーム。
カナちゃんは私たちの中でもすごく運動神経がいい、とくにこのゲームがカナちゃんはお気に入りだ。

ケイ 「……足将軍かぁ……私まだ戦士なのに」

ヤマト 「ケーとカナじゃやっているレベルが違うでしょ、そんなものよ」

カナ 「むう……足神様は言うことが違うねぇ」

ケイ 「ヤマト先輩はダンドリ10認定ですもんね」

ヤマト先輩は俗に言う完璧超人だ。
DDRではダンドリ10に認定、もう一つ私たちがよくやるゲームがあるんだけれど、それでも免許皆伝の腕前だ。
正直仲間内では別格、さすがヤマト先輩。
ちなみに私はイマイチトロくさくてダンドリ3が限界。

カナ 「しかし、どうしたの二人とも?」

ヤマト 「男がいないあなたなら多分、ここにいるってね」

多分ヤマト先輩の推測はこれだね。
私はそう思ってDDRを見る。
ここのDDRは新筐体だから、画面の大きさが違う。
カードリーダーも磁気の読み取りで済ましているから翳すだけでいいし、とても見栄えがいい。
なによりこのDDR、設置店が凄く少ない。
だから、カナちゃんの目的を考えればなんとなく目当てのゲームセンターもわかる。

カナ 「ぶぅ〜……悪かったわねぇ〜……どうせモテナイも〜ん」

カナちゃんはDDRのバーに持たれるとそう言って頬を膨らませる。

ケイ 「そ、そうかな? カナちゃんは美人だと思うよ?」

私に比べればだけど。
完璧超人のヤマト先輩は非の打ち所が無いから当然だし、Disっ娘のメンバーの一人のラムラさんも物凄い美人。
それらと比べるとさすがにカナちゃんはちょっと目劣りする気はした。
カナちゃんは美人というよりは可愛いという方が似合うし、どっちかっていうと庶民的な感じ、ヤマト先輩みたいにオーラも出ないし。
もちろん私に比べたらずっと可愛いけど……。

カナ 「あはは♪ ケーありがと♪ それにしても遅いなぁ〜……そろそろ来てくれると思うんだけど……」

ケイ 「? 友達なの?」

カナ 「あ、うん……親友!」

ブロロロロロ……ッ!

カナ 「おっ、このエキゾーストは……来たかな?」

突然外で大型のバイクが止まる。
音が大きくてリッターがかなりあると思う。

? 「……ふぅ」

ヘルメットを外して店内に入る一人の女性。
多分私たちと同年代の女の子がゲームセンターに入ってきた。
褐色の肌の女性で革ジャンに皮ズボン、ハンドカバーもつけている。

ケイ (わぁ……この人も凄く美人……それに)

胸……私やカナちゃんよりある。
顔を見ると、少し幼さを残すけど、凄い美人。

ヤマト 「あら? 英田さん?」

英田 「? あ……新年明けましておめでとうございます。虎先輩」

カナ 「やっほ〜トラン! 待ってたよ〜っ!」

英田 「カナ……」

カナちゃんは踊り終わったあと厚着を着込むとゲーム台から降りてトランという女性に抱きつく。
少し恥ずかしそうなトランさん。
ヤマト先輩は英田さんって言ってた……ということは英田トランさん?

ケイ 「カナちゃん、その人が親友さん?」

カナ 「あれ? ケー知らない? トランのこと?」

ケイ 「ううん」

私はそう言って首を振る。
少なくともこんな褐色の美人女性は見た覚えがない。

カナ 「おかしいなぁ……トランは結構学校でも話題なのに」

ヤマト 「そうね、3年でも話題になっているわ」

ケイ 「ええ〜……そんなに〜……て、同じ学校?」

カナ 「そうだよ♪ ついでに言うと私たちと同じ二年、まぁ……ケーはヤマト大好きっ娘だからしょうがないか」

カナちゃんはそう言うと苦笑いをする。

ケイ 「ちょ、ちょっとカナちゃん! わ、私はヤマト先輩のことは尊敬しているけど……そんな……感情……は……」

私は言いながら茹蛸のように赤くなってしまう。
ヤマト先輩とのイケナイ想像をしてしまうと止まらなくなってしまい、暴走してしまいそうになる。

ヤマト 「えいっ!」

ポコン!

ケイ 「うひゃ!?」

突然後頭部を軽く叩かれる。
ビックリして振り向くとヤマト先輩がニッコリしていた。

ヤマト 「落ち着いた?」

ケイ 「あ、は、はい」
ケイ 「あ、英田さん、私は小有珠慧っていいます」

英田 「私は英田都爛……トランで良いです」

ケイ 「あ、じゃあ私のこともケーって呼んでください!」

トラン 「わかったわケー」
トラン 「それはそうとカナ、急ご」

カナ 「オッケ〜♪ じゃ、みんな、今年もよろしくぅ〜♪」

ビッ! と人差し指を立ててニッコリ笑顔でゲームセンターを出て行くカナちゃん。
私たちは笑顔でその姿を見送る。

カナ 『ト、トラン……あ、あんまりスピードは出さないでよ?』

トラン 『……わかっているわ、80キロくらいで押さえる』

カナ 『ちょ、それは押さえているとは……っ!?』

トラン 『大丈夫、このバイクは250キロまでならでる』

カナ 『そう言う問題じゃ……て、キャアアアアッ〜〜〜〜……ッ!?』

ブォォォォォォン……ッ!

……カナちゃんは悲鳴と共に姿を消した。
バイクって車より怖いなぁ……。

ケイ 「えと、どうします?」

ヤマト 「……カナで遊ぼうと思ったけどいなくなっちゃったわね……」

女性 「あら? ケイにヤマトじゃない? 新年だっていうのにアナタたちまで男無し? 泣かせるわねぇ……」

カナちゃんたちを遠い目で見送ると、幸か不幸かとある知り合いの女性を発見する。

ケイ 「あ、茂木さん」

ヤマト 「茂木さんこそ、どうしたのですか?」

私たちの目の前に現れたのは年齢26歳の大人の女性、茂木英魅(モテギ エミ)さんだった。
プロのレーサーで、三重、栃木のサーキットを中心に活動している、日本屈指の女性プロレーサー。
昔は峠で慣らしていたみたいだけど、最近は話も聞かない。
時々走ってそうだけど。

英魅 「正月じゃどこのサーキットも休みだし、適当にゲーセンで遊んでいたところ」
英魅 「まぁ、久しぶりだから彩香音と走る約束はしているけど」

茂木さんはそう言うと頭をポリポリと掻いてちょっと面倒くさそうだった。

ヤマト 「何かあったんですか?」

英魅 「ん? いや……別に私も走るのは好きなんだけどねぇ、彩香音の奴、私と同等のクラスの実力があるのに未だに峠に拘っているから困ったなぁって」

ケイ 「茂木さん、その彩香音さんってすごいんですか?」

私は車には興味は無かったけど、茂木さんが凄いドライバーだっていうのは知っている。
それだけにそれと同等クラスの実力のドライバーっていうのは少し気になる。

英魅 「ん? ふふ……すごいわよぉ、スクール時代なんか、男たちをメロメロにしてまさにレースクイーン、胸もバインバインよ♪」

そう言って茂木さんは自身の豊満な胸を上下に手で揺さぶる。
私は赤面しながら俯きつつ。

ケイ 「あ、あの……よ、容姿とかそういうのではなく……そ、その……」

ヤマト 「茂木さん、ケイにはその仕草は凶器ですわ」

英魅 「あら? こんなおばさんにいけない妄想をしてしまったの?」

ケイ 「26歳はおばさんとは言いませんよぉ……」

茂木さんも相当の美人だ。
そう、この人こそ美人という言葉が良く似合う女性だと思う。
ヤマトさんに負けず劣らずの長身であり、そしてその身長に見劣りしないきょ……巨乳……。
自分のことをおばさんなんて言って卑下しているけど、こんな美人そうそういない。
その……色んな意味で。

英魅 「ふふふ、ごめんなさいねケイ? さて……じゃそろそろ亞瑞紗と合流して、彩香音のところに行くかねぇ……英田の妹もついでにプロに引きずりこんでやろうかしら?」

茂木さんはそう言いつつニヤリと笑い何かを画策している。
この人は普段は大人しいイメージを受けるけど、実際は全然そんなこと無い。
かなりの悪戯好きで、普段は鈴鹿亞瑞紗(スズカ アスカ)さんと一緒にいるけど、いつも鈴鹿さんは涙目になっている。
男を誘惑したりすることもよくあり、時には女の子まで誘惑する。
けれど不思議なほど男縁はなく、密かに気にしているみたいだった。
基本的にはやっぱりレーサーらしく、車が恋人みたいだった。

英魅 「あ、そうだ。アンタたちよかった車乗ってく? 家の近くまで送ってやるよ?」

ヤマト 「そうですね……ここに居てもなんですし、ご一緒させてもらいましょうか」

ケイ 「わ、私はちょっと……」

英魅 「ケイは相変わらず乗り物酔い?」
英魅 「私はプロだし、彩香音たちと違って安全よ?」

彩香音っていう人は良く知らないけど、そんなに危険な運転をするの?
茂木さんはたしかに丁寧な運転でほとんど揺れを感じさせない優しいハンドリングをしてくれる。
た・だ! 私は極度の乗り物酔いであり、それでも酔うのだ。
時には電車でも酔うのに車なんてもってのほか!

ケイ 「す、すいません茂木さん……」

英魅 「あ〜、いいわよ別に、じゃあどうするヤマト?」

ヤマト 「ケイ、どうする? 私に居てほしい?」

ケイ 「あ、せ、先輩にご迷惑はかけられません〜〜っ! 失礼しま〜〜〜っす!」

私は急ぎ足でその場から逃げ出す。
きっとヤマト先輩は私なんかといても面白くないし、私はこの場にいない方がいいと判断した。



…………。



ケイ 「はぁ……逃げ出したのはいいけど、どうしよう?」

私は人ごみも疎らな街中を歩いていた。
特に用事がない、私は正直暇人。
このままいくと間違いなく家でテレビを見ながらコタツでニャ〜確定。

ケイ 「う〜ん……いっそその方がいいかな……特に用事もないし」

? 「――ならば、世界を救ってみませんか?」

ケイ 「は?」

突然後ろから声をかけられる。
後ろを振り向くと、白い犬のような仮面を被った男性に声をかけられた。
街中で凄く怪しい格好……だけど、誰もそれを気にかけない。
まるで見えてないみたいに。

ケイ 「あ、あの……あなた誰ですか?」

? 「私はただの戌です……しかし、それに定義はない……戌はいくつもの姿があり、そしていくつもの存在がある……そんな中のひとつに私は過ぎない」

ケイ 「???」

チンプンカンプンだった。
この人頭がおかしいんだろうか?
多分名前は戌……ってすごく偽名っぽいんですけど!?

戌 「再び問いましょう。世界を救ってみませんか・」

ケイ 「あの……なんの冗談ですか? 私が世界を救う? ゲームみたいに?」

戌 「……そう、ゲームみたいに……ね。ふふふ……運命はアナタを選ぶ。誰かがあなたを望む限りね……」

ケイ 「え? て……きゃあっ!?」

突然足元に黒い渦が出現する。
私は咄嗟に離れようとするが、粘着性のあるその渦に私は身動きが取れないまま、食べられるように渦の中に飲み込まれていく。
渦に飲み込まれ、光さえ失う刹那……。

戌 「――愛とを注がれし者達よ」

ケイ (あ……れ……? この詩……どこかで……?)

――狂いの世界に 空を見よ
今ここにあるべきは お前の消えない瞳
お前は何も知らない

いつから始まったのだろうか
どこへ行けば終わりは訪れるのだろうか

足元で汚れた 黒き空を
指先でなぞる 白き果てを

星々はお前に宿り やすらぎへと 誘うだろう
だが お前は何も知らないまま
生まれくる憎悪に 食い破られる星々は
お前の毒となり 身を焦がすだろう

朝に罪を 夕へ零し 夜を濁す
空という名の君はどこへ

罪を洗い流す鍵となるは その少女
共に歩み その罪を重きを知れることとなる

刻を知らぬ少女は自ら呪いとなった
強大な力は やがて その心を蝕んでいくだろう

過去の憎悪に焼かれ 火を放った
自身の悲鳴が罪を誘い 嘲笑う
お前をもといた場所へ帰しはしない

君のひかりを掬い取り 曖昧にした
空を彷徨う己の腕に 心はうつろいゆく
踊り続ける 空と空の狭間で
闘い 苦しみ続ける

終りなき空

朝と溶け 夕と語り 夜と愛する
空という君は夜に寄り添い
大きな罪を犯すこととなる
報われぬ 己の存在は 全てを無へと変えて――

ケイ (夢で聴いた……詩……?)

渦の中で朦朧とする意識の中、鮮明に聞こえる不思議な詩。
戌さんが歌っているみたい……どこか懐かしくて、怖くて、切なくて……そして、いとおしい。



…………。
………。
……。



? 「星が出ている……」

一人の青年がそう言う。
女性的な容姿だが、列記とした男性。
中世風の服に身を纏い、夜空を眺めている。

? 「さぁてぇ……ふふふ……ホイール・オブ・フォーチューン……どちらに転ぶ?」



少女 「――待って! オロロージョ!」

一人の青年が駆ける。
その後ろを追う少女。

オロロージョ 「光の玉が落ちてきたのはこの辺り……エクレメス、こっちだ!」

青年は後ろを必死で追う少女を呼ぶ。
少女は追いつくと息を切らしているようでハァハァと肩で息をしていた。

エクレメス 「も、もう……そんなに急がなくても」

オロロージョ 「リヒトが言っていた……光の玉が降りる時、この混沌の世界を救国するって!」

エクレメス 「あんな奴のこと、本当に信じるの? 第一そんな簡単に今の世の中なんて……て、待ってよオロロージョ!」

少女が話しているのも束の間、オロロージョはまた走り出した。
まだ息も整わないうちに走らされるエクレメス。
だが、それほど離れないところでオロロージョが立ち止まった。

エクレメス 「……ハァ……ハァ……ど、どうしたの突然立ち止まって」

オロロージョは立ち止まると、暗闇の中屈み込む。
何かと思ってオロロージョの背中から地面を覗き込むとそこには……。

エクレメス 「女の子……どうしてこんなところに?」

オロロージョ 「救国の英雄だ……」

エクレメス 「はぁ? それはリヒトの戯言であってねぇ」

オロロージョ 「そんなことあるものか! 見ろよこの娘の服! 見たことも無い! 月の光を浴びてわずかに反射しているしどんな材質だ?」

エクレメス 「……確かにこんな服見たこと無いわね……モンスター……には見えないけど」

地面に倒れていたのはまだ幼さの残る少女。
銀色のコートを着込んで、よく洗われた綺麗な茶色い髪の毛は光沢を放っている。
お世辞に美人ではないが、それなりの可愛さを残す少女……ケイだ。

オロロージョ 「……よっと」

エクレメス 「! オロロージョ! その娘をどうする気!?」

オロロージョ 「決まっている、助けるさ」

エクレメス 「……私たちを倒そうする敵の罠かもしれないわよ?」

オロロージョ 「その時はその敵ごとぶっ飛ばす!」

それを聞くとエクレメスはため息しか出なかった。
オロロージョはケイを背負うとそのまま来た道を戻る。
エクレメスは仕方なくその後姿を眺めながら道を戻るのだった。






戌 「さぁ……運命はまたも動き出した……終わらない闘争、あなたは英雄になれるか、それとも愚者なのか?」
戌 「ふふふ……さぁ、ケイ。魅せてみなさい……あなたの踊りを」



…To be continued




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