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beatmaniaUDX The ANOTHER Story Type.K


5th STAGE 『deep in you』




ケイ 「はぁ……はぁ…く……もう……だ……め……」

私はオロロージョさんとエクレメスさんを背負ってできるだけ遠くまで逃げる。
でも街を出た辺りで私の体力では限界に達しそのまま意識を失って倒れてしまう。



? 「報告で言っていたのはこの三人か」

? 「どうする? 俺たちだってアゼルガットの王国軍に追われる立場だ」

? 「あの大将だったら……間違いなく」

? 「ああ……間違いないな……仕方ないアジトまで運ぶぞ」

? 「ああ……て、こいつ肩が貫通しているぞ!? 急げ急げ!」



…………。



ケイ 「ん……んん?」

ふと、意識が覚醒する。
ゆっくりと瞼を開くと天井が見えて、まず最初に感じたのは生きているという実感だった。

ケイ 「……生き残れたんだ。……ここは?」

私は目を覚ますと、周囲を確認する。
ベットに眠る自分、建物の中のようで薄暗い小部屋だった。

ケイ 「……ッ! そうだ! オロロージョさんは!? エクレメスさんはっ!?」

私はハッとオロロージョさんたちのことを思い出す。
あの二人は私なんかよりずっと重症だった。
私はベットから飛び降りると慌てて探す。
小部屋の中にはおらず、慌てて部屋の外に出ようとすると――。

ガチャッ! ゴツン!!

ケイ 「!? 痛〜……」

青年 「あん? あ……大丈夫か?」

部屋を出ようとした瞬間ドアが開いて、おでこをぶつけてしまう。
扉からは色黒の青年が出てくる。
オロロージョさんより年下くらいだろうか、身長も少しオロロージョさんより低そう。
染めているのか、ちょっと変な艶の髪の毛は白く、肌がやたら黒い。
同年代くらいの青年が目の前に立っていた。

ケイ 「だ、誰ですかぁ〜?」

私はおでこをさすりながら涙目になりつつ聞いた。

青年 「ああ、俺はエレキ。君は? それと体は大丈夫?」

ケイ 「私は小有珠慧です、小有珠・慧ですからねっ!? 間違えないでくださいよ!? それと体は大丈夫です」

エレキ 「あ、ああ? コウス・ケイだな? わかったようコースケ」

ケイ 「だからちっがーう!! ハフン……なんでこの世界の人皆間違えるの……私は小有珠慧なのに……」

エレキ 「なにが違うんだ? コースケ?」

ケイ 「はぁ……私のことはケイって呼んでください」

エレキ 「え? ああ……わかったよケイ」

ケイ 「あ! そうだ! お、オロロージョさんとエクレメスさんは!?」

エレキ 「オロロージョ? エクレメス? ああ……一緒に運ばれたのか……まだ眠っているんじゃないか?」

ケイ 「あ、あと……ここはどこなんですか」

エレキ 「ここ? ここは反乱軍」

ケイ 「へ――?」



――第一章第二節 駆け抜けろ――



――ここは異世界アリア・テ・ラリア。
私たちはこの世界にある一国アゼルガットにいる。
この国は現在暴君キラーが支配し、その支配力は恐ろしいまでに強固だった。
それはひとえにキラーの圧倒的な強さ、それはすでに神掛かっており誰もキラーを倒すことはできない。
だけど、そんなキラーの圧政に反抗するものはいる。
それが……反乱軍だ。

セリカ 「……そう、そんな事情が」

私はあの後、一度エレキさんに呼ばれて反乱軍のリーダーの下へと尋ねた。
反乱軍のリーダーのセリカさんはなんと驚きの女性だった。
しかも聞けばまだ18歳とヤマト先輩と同い年。
そんな若さで反乱軍のリーダーだというのだから驚きだ。
エクレメスさんと同じ位の年齢にみえるけど、プロポーションが凄くて羨ましい、特に胸とか。
赤紫っぽい髪の毛をツインテールで括っており、やっぱり反乱軍のリーダーってイメージじゃない。
どちらかっていうとアイドルとかモデルとかやってそう、うん……やっぱりあのプロポーションは反則的だ。

私はセリカさんの下に来ると、まずセリカさんに事情を聞かれた。
予め私たちのことは知っている上で拾ったようだったけど、誰だろうか……私たちが倒れていることをこの人たちに知らせたのは。

セリカ 「大変でしたね、ケイさん、私たちも志を共にするもの……そちらさえよろしければここにいてもらって構いませんから」

ケイ 「あ、ところで私の連れは?」

エクレメス 「……私ならここよ」

突然、後ろから聞きなれた声が聞こえてくる。
後ろを振り向くと元気そうなエクレメスさんの姿が。

ケイ 「エクレメスさん! 無事だったんですね」

エクレメス 「ええ……私はね、幸い音術一発でやられただけだし」

ケイ 「オロロージョさんは?」

エクレメス 「とりあえず治療のおかげで痕は残らないってさ、だけどまだ眠っているわ……無理も無いけどね」

ケイ 「そ、そうですか……よかったぁ……」

セリカ 「エクレメスさん、体の方は大丈夫ですか?」

エクレメス 「ええ、ここの専属医は優秀ね。後遺症もないわ……それと、オロロージョの件ありがとう」

セリカ 「いいえ、構いませんよ♪」

エレキ 「ちょっといいか?」

私たちがここで会話していると、突然エレキさんが入ってくる。

セリカ 「あ、二人とも……もういいですよ、オロロージョさんのところに行ってあげてください」

ケイ 「あ、はい」

エクレメス 「そうさせてもらうわ」

私たちは話も終わったところで部屋を出て行く。



セリカ 「ぷっはぁぁ〜っ! ああ〜……疲れた〜! で、なに、エレキ?」

エレキ 「無理してリーダーっぽく見せなくてもいいだろうに……」(汗)

セリカ 「だめだめ! リーダーは舐められたらダメなんだから!」

エレキ 「無理しなくてもいいだろうになぁ……で、偵察の件だけどな……とりあえずキラーの方は動きが無い」
エレキ 「エリカの方は……音沙汰無しだな」

セリカ 「……そう。……姉さん」

エレキ 「くそっ! アニキの奴……」



…………。



ケイ 「……オロロージョさん」

オロロージョ 「……」

オロロージョさんは包帯でグルグル巻きにされたままベットで眠っていた。
あの元気な姿が今は嘘のようだった。

エクレメス 「私のせいだわ……オロロージョの力を過信しすぎた……いえ、キラーが……強すぎた」

ケイ 「……」

私はあの戦いを思い出す。
キラーさんの強さ、あれが理不尽っていうんだろうか……。
私にとってヤマト先輩やオロロージョさんはある意味理不尽な存在だった。
どんなに努力しても届かない雲の上の人……だからこそ、心強くもあった。
だけど、キラーさんはそんなオロロージョさんから見ても理不尽な強さの相手だった。
何が、どうすればあんなのに勝てるの?
しかも相手はゼクトバッハ持ち……絶望しか見えてこない。

ケイ 「これから私たちはどうなるんでしょうか……」

エクレメス 「オロロージョ次第……と、言いたいところだけど、今は目覚めるかどうかも分からないし」

ケイ 「……」

オロロージョさんはずっと眠っている。
当然かもしれないが、それだけオロロージョさんのダメージは大きい。
左肩貫通、その他全身に打撲、擦り傷切り傷……思い出すだけで吐き気がするほどの無残さ。

エクレメス 「正直……あんなのがこの世に存在するなんて……ね」

ケイ 「……オロロージョさん……」

オロロージョ 「――……ん?」

エクレメス 「!? お、オロロージョ!?」

突然、オロロージョさんの瞼が開く。
オロロージョさんが目を覚ました。

オロロージョ 「エクレメス……? ケ、ケー?」

ケイ 「だ、大丈夫!? オロロージョさん、体は痛くない!?」

オロロージョ 「……ああ、大丈夫。ここは?」

エクレメス 「ここはアゼルガット王国反乱軍EDENの本拠地よ」

オロロージョ 「EDEN……? あの、有名な?」

エクレメス 「ええ」

オロロージョ 「ということは無事逃げ出せたのか……」

エクレメス 「ケーのおかげでね」

オロロージョ 「そうか、ありがとうケー」

ケイ 「わ、私なんてなにも出来なくて……皆を背負って逃げるのも、街の外で倒れて……」

エクレメス 「それは違うわケー」

オロロージョ 「そうだよケー、もしあそこでケーが勇気を奮ってくれなければ、俺たち全員死んでいただろうし、ケーが運んでくれたおかげで今の俺たちがある」
オロロージョ 「ケーは役立たずなんかじゃない……やっぱりケーは俺たちの英雄だ」

ケイ 「ふ、二人とも……」

私は言われてなんだか恥ずかしくなる。
私が二人の役に立った……それが凄く嬉しい。

オロロージョ 「……それで、俺たちはどうするんだ?」

エクレメス 「それはあなた無しでは決められないわ」
エクレメス 「あなた無しではキラーに勝てるはずもないし……」

オロロージョ 「キラー……」

ケイ 「ねぇ……オロロージョさん、私たちどうするべきなんだろう」

オロロージョ 「……正直俺にもわからない。キラーは強すぎる……でも、だからってキラーの横暴を許すわけにはいかない」

エクレメス 「だからって戦いを挑んでも、無残に殺されるに決まっている……」

オロロージョ 「……だから、ケー……君が決めてくれないか?」

ケイ 「え? ええええっ!? わ、私がですかーっ!?」

私は盛大に驚く。
だって、私何にも出来ない役立たずだし、これは一生を左右するかもしれない問題なのに。

オロロージョ 「俺思ったんだ。ケーは人を惹きつける魅力と、そして他者を労わる優しさを持った素敵な女性だって」
オロロージョ 「だけどケーには力が無い、戦う力が……だから、俺はケーを護る剣であり、盾になる……ケーに仕える騎士になる!」

ケイ 「ええっ!? き、きききき……き、騎士って!? わ、わわわわわ……私がぁっ!?」

オロロージョさんは真顔でそんなことを言ってくる。
私はそれにどう対応して良いか分からず慌てふためいてしまう。

エクレメス 「そうね……キラーを倒すなら倒した後国を治める人がいる……そうなった時にケーは案外必要ね」
エクレメス 「オロロージョがあなたに仕えるなら、私もあなたに仕えないといけないわね……ケー」

ケイ 「え、エクレメスさんまで……」

オロロージョ 「ケー、俺たちの道を示してくれ……どんな選択をしても俺は絶対恨まない」

エクレメス 「……私もあなたの意見に従うわ」

ケイ 「そんな……えと」

私は戸惑ってしまうが、二人の真剣な顔を見ると……嫌とは言えなかった。
オロロージョさんはともかく、エクレメスさんまで真面目な顔でこんなことを言っている。
つまり二人とも冗談抜きにテンパっている状態。

ケイ 「……じゃ、じゃあ私たちの方針を決めます!」
ケイ 「わ、私たちは今はEDENと一緒に行動し、キラーと戦うための力を蓄えたいと思います」

エクレメス 「強くなるための修行?」

ケイ 「そ、それもありますけど……あの強さは理不尽です。いくら努力しても追いつくのは難しい……いや、あるいはオロロージョさんなら追いつけるかも」

オロロージョ 「俺なら?」

私はあの時キラーさんが言っていた言葉を思い出す。
かなり大部分が意味不明な言葉だったけど、全て肯定して言葉をつなげれば。

ケイ 「キラーさんはオロロージョさんはいつも彼を苦しめた、もっと強かったと言っていた。この言葉の意味は分かりませんが……推測するに」
ケイ 「オロロージョさんにはまだ強くなる余地がある……!」

オロロージョ 「……俺に」

エクレメス 「た、確かにアレも人、これも人と考えれば同じ境地に立てる可能性があるのはオロロージョだけど……」

オロロージョ 「ケーがキラーより強くなれって言うのなら、俺は強くなる! 絶対に!」

オロロージョさんはそう言ってガッツポーズをとる。
今はその気迫が格好よくてありがたい。

ケイ 「……でも、正直キラーが強すぎて1対1で勝てるなんて思えない……だから、仲間ももっと欲しい」

エクレメス 「……確かにね、とはいって、キラーと戦う気だったら最低私クラスの強さの奴が必要よ」

ケイ 「そ、そこはEDENと一緒に行動していれば、いつか……」

言ってて段々自信をなくしていく。
自分が言っていることって行き当たりばったりなことばかりだし。
不確かな事項が多すぎる。
それだけ、キラーが恐ろしい……。

ケイ 「と、とにかく今はEDENと一緒に戦いましょう! わ、私たち3人ではやれることが少なすぎる……これまでの旅でそれが良く分かりました!」

エクレメス 「そうね……ケーの言うとおりだわ」

オロロージョ 「うん。ケーの言うことに従うよ」

とりあえず私たちの指針は決まった。
まずは強くなりつつ、仲間を探そう。

エレキ 「おーい、話があるんだが……と、お! 目覚めたのか!?」

オロロージョ 「え? あ、ああ……おかげさまで……えと」

エレキ 「エレキだ」

オロロージョ 「あ、俺はオロロージョ。よろしくお願いします」

突然、私たちに用があったのかエレキさんが部屋に入ってくる。
私は何かあったのか切り出す。

ケイ 「あの、何か用ですか?」

エレキ 「ああ、えと……それじゃ全員セリカのところにきてくれるか?」

オロロージョ 「セリカって?」

エクレメス 「反乱軍EDENのリーダーよ」

ケイ 「わかりました、すぐ行きます。オロロージョさんは大丈夫ですか?」

オロロージョ 「大丈夫、もう全快だ」

エレキ 「え? 全快ってナイアの話では全治2ヶ月って聞いてたけど?」

エクレメス 「相変わらずあなたの再生速度はトチ狂っているわねぇ〜……」

ぜ、全治2ヶ月を2日で治したんですか……ど、どんだけぇ〜……。
オロロージョさんもやっぱり、どこかおかしい。

オロロージョ 「さ、行こうぜ」

ケイ 「ほ、本当に大丈夫なんですか〜?」

私は心配になって、言うがオロロージョさんは本当に大丈夫みたいで、軽快にベットから降りて歩き出してしまう。
私は額に汗を流しながら、オロロージョさんの後を追って部屋を出た。



…………。



セリカ 「あ、きてくれた……て、あなた……!? えと……お、オロロージョさん……でしたっけ!?」

オロロージョ 「はい」

セリカ 「あ、あの……か、体大丈夫なんですか!?」

エクレメス 「大丈夫よ、こいつは人一倍頑丈ですから」

オロロージョ 「おう! ここの医者も優秀みたいだし! 後遺症も感じない!」

セリカ 「ぜ、全治2ヶ月って聞いたけど……」

ケイ (やっぱりオロロージョさんって、この世界でも変なんだ……)(汗)

改めて色んな人と出会うと、それだけオロロージョさんが異質ということが浮き彫りになっていく。
でも、これだけ凄い人でも……オロロージョさんでもキラーには勝てない……。

セリカ 「じゃ、じゃあ……えと、あなた方にはリーダーはいるのかしら?」

オロロージョ 「あ、リーダーっていうか、ケーは俺たちのご主人様だ」

エクレメス 「そうね、ケーはご主人様ね」

セリカ 「ご、ごしゅ……ッ!?」(赤面)

ケイ 「ふ、二人ともそれってどういうっ!?」(赤面)

オロロージョ 「俺たちはケーに仕えているんだから、ケーは俺たちのご主人様だろ?」

ケイ 「で、でも……私にはあなたたちの生活の保障も、官位もあげられないよ?」

オロロージョ 「いらないよ、そんな物」

エクレメス 「まぁ、私は出世払いと言うことにしてもらいますが」

オロロージョさんは真顔で、エクレメスは冗談まじりにそんなことを言ってくる。
なにかいけない想像でもしたのか、セリカさんは耳まで真っ赤だ。

セリカ 「そ、それじゃあケイさんが代表ですね……」

ケイ 「は、はい……一応そうなります」

セリカ 「じゃあケイさん、これからあなた方がどうするのか聞きたいのですけど」

ケイ 「あ、それならさっき皆で話し合って決めました」
ケイ 「私たちはしばらくEDENに協力していこうと思います」

セリカ 「それは……EDENに入ると言うわけではなく、あくまで協力ですか?」

ケイ 「は、はい。あ……EDENの皆さんの指示にはなるべく従いますから! ただ、私たちもキラーを倒すという目的がありますし」

セリカ 「分かっています……では、ケイさんたちのお力ありがたく受け取ります」

ケイ 「は……はい!」

こうして私は反アゼルガット組織EDENと協力関係を結ぶことに成功する。
これからまた一から打倒キラーの始まりだ。
キラーは強い……強すぎる。
でも、私たちはくじけるわけには行かない。

エレキ 「あ、そうだ……そう言えばあの召喚機ってお前等のだよな?」

エクレメス 「召喚機って……Xepherのことね」

オロロージョ 「Xepherなら俺のだ」

エレキ 「やっぱり……こいつはありがたい。今本部にはゼクトバッハ乗りが不足していたからな」

エクレメス 「あら? ということはEDENにはゼクトバッハがあるの?」

セリカ 「ええ……そうでなければ、あの王国と渡り合うことはできません」

エレキ 「俺が今本部にいる唯一のゼクトバッハ乗り、『NEMESIS』の契約者エレキだ」

ケイ 「え、エレキさんが!」

エレキ 「意外か?」

ケイ 「あ、いえ……」

意外と身近にいるんだなぁと感じてしまう。
とはいえ、こちらと違ってエレキさんはゼクトバッハを扱えるだろうなぁ。
うーんということは。

ケイ 「あの、エレキさんはもしかしてゼクトバッハのことに詳しいんですか?」

私は恥を忍んで、ゼクトバッハのことを聞いてみることにする。
EDENの皆さんには悪いけど、こちらは持っているだけで扱えない。
これでは正直拍子抜けにも程がある。

エレキ 「……一応、最低限の知識は持っているけど?」

ケイ 「あの……実はオロロージョさんのゼクトバッハ『Xepher』は召喚が出来るのに動かないんです……」

エレキ 「はぁ? 召喚できるのに動かないって……そんな馬鹿な?」

オロロージョ 「……本当なんだ。俺はXepherに選ばれたはずなのに、俺の言うことを聞いてくれない……」

エレキ 「……ふむ、一度見せてくれるか?」

オロロージョ 「わかった」

エクレメス 「……じゃ、一度外に出ようか」

私たちは全員頷いて本拠地の外に出る。




オロロージョ 「……」

エレキ 「じゃ、召喚してくれ」

オロロージョ 「……顕現せよ、Xepher!!」

オロロージョさんが召喚機を掲げて、叫ぶと召喚機は光を放って変形する。
そしてオロロージョさんの真下には魔方陣が現れ、そこから本来あるはずの無い質量の物質が現実世界に顕現する。

ズドォォォン!!

突然この世界にありえない質量の物質が出現したことで、空気が押し出されて爆発に似た現象が起きる。
さすがに2回目なので私は身構えて堪えた。

エレキ 「……見た目からは、特に異常はないんじゃないか?」

エクレメス 「当たり前よ! 魔術紋様も正常に描かれているし問題があるはずが無いわ」

エレキ 「……おし、オロロージョ! ハッチを開けろ!」

オロロージョ 『ハッチって……どうやって?』

エレキ 「コクピット内のどこかにボタンかレバーかあるだろ? とにかく押せ!」

オロロージョ 『えーと、あ……これか?』

バシュウッ!

突然、Xepherの胸部装甲がスライドして開く。
なるほど、アレがハッチなんだ。

エクレメス 「……ここからじゃ、内部構造が分からないわね」

エレキ 「せぇのっと!」

エレキさんは投げ縄を投げると、コクピットに引っ掛け、ロッククライミングのように上っていく。




エレキ 「ふむ……ほう、Xepherのコクピットの方が広いな」

オロロージョ 「俺、ゼクトバッハのことはよくわからないんですけど……わかります?」

エレキ 「ふむ……一見しておかしなところは……て、あれ?」

オロロージョ 「? どうしたんですか?」

エレキ 「……っは! はは……こ、こりゃ動かないわけだ」

オロロージョ 「えっ!? わかったんですか!?」

エレキ 「……ああ、わかったよ」
エレキ 「ま、一旦降りようか」

オロロージョ 「あ、はい」




エクレメス 「……で、どうだったの?」

エクレメスさんはゼクトバッハの中なんて見たことがないせいか、マニアであるエクレメスさんは凄く興味心身だった。
ゼクトバッハには選ばれた人間しか乗れないから、中を見るだけでも滅多にないらしいし、あれは生唾ものなんだろうなぁ。

エレキ 「ああ……あまりに馬鹿らしくて、笑うしかなかった」

ケイ 「どういうことなんですか?」

エレキ 「コントロールパネルが無かった……あれじゃ動く道理は無い」

エクレメス 「は? コントロールパネル?」

エレキ 「起動しても、それを扱うコントローラーが無かったら何の意味もない……これはある意味宝の持ち腐れだな」

エクレメス 「き、気づかなかったわ……おかしいはずよ、それじゃ動くわけが無い」

ケイ 「あの……てことはコントローラーをつければ動かすことは出来るんですか?」

エレキ 「そりゃ動くけど……コントローラーは製作者ごとに違うし……」

エクレメス 「マヤ系のゼクトバッハはかなり特殊よ、中を広くとってより操縦者の動きをダイレクトに現すから」

エレキ 「そんな都合よく、そのゼクトバッハにあったコントローラーなんて見つからないしなぁ」

ケイ (うーん、結局そんなに巧くはいかないのかぁ)

動かし方は分かったけど、分かったことで余計厄介になった気がした。
ゼクトバッハを動かすにはコントローラーがいるのか、ゲームとかと一緒だね。
本体は起動できてもコントローラーが無かったらゲームはプレイできないもん。

エクレメス 「……創るか、奪うか」

ケイ 「……」

……とりあえず、なんとかXepherを動かす必要がありそうです。



…To be continued




 
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