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beatmaniaUDX The ANOTHER Story Type.K


Extra STAGE 『ケーとその後』




アゼルガット解放戦争……後にそう呼ばれる長きに渡る戦いが終戦を迎えて早一週間が過ぎようとしていた。



ケー 「……では、略式ながら戴冠式はこれで終とします」

パチパチパチパチ!

アゼルガット首都タッシュの城のフロアを借りて行われた新しい国王を決める戴冠式にはアゼルガットの重要な人や前回の戦いの勝利者であるEDENの者たちの姿もあった。

ケー 「えと……今更言うのもなんですけど、本当に私でいいんですか?」

セリカ 「気にすることないわよケー、あなたは救国の英雄だし、民衆もあなたというヒロインを希望しているわ」

ケー 「どちらかというとセリカさんの方が新しい国王には適任だと思うんですけど……」

セリカ 「う〜ん……ごめんなさい、私にはまだEDENでやることがあるの、そしてそのためには今までのように小回りの利く状態じゃないといけないから」

ケー 「そうですか……あの、セリカさん」

セリカ 「ん? なにケーちゃん?」

ケー 「私たち、これからも友達ですよね?」

私がそう言うとセリカさんはよほど意外だったのだろうか?
目を丸くして口を開けた。
だけど、すぐにニッコリと笑い。

セリカ 「ふふ、もちろんだよ、ケー女王様?」

ケー 「あはは……その呼ばれ方にこれからなれないといけないのか」

私は苦笑する。
そう、私は戦争の終結宣言を行ったが為に、半ば祀られる形で新しい国王になることとなった。
エクレメスさん曰く私は、異世界からきた上、救国の英雄ともてはやされてされて、アイドルとしては十分とのこと。
簡単にいうと私という物珍しい存在が国王になるのならば、この国の人達は納得するということらしい。
単純に人身御供な気もするけど、ルルススちゃんとの約束は一応守れたことになるのかな?

ルルスス 「陛下、お時間です、外へ」

ケー 「あ、もうそんな時間か」

戴冠式が終わるとすぐに私たちは民衆の前に出て女王就任の祝典をあげないといけないらしい。
とりあえずまだ内閣の方もまとまっていないけれど臨時でルルススちゃんには私付きの補佐をしてもらっている。

ケー 「あ、それとルルススちゃん。別に今まで通りケーでいいんだよ?」

ルルスス 「いえ……さすがにそれは……」

ケー 「うーん、ルルススちゃんに畏まられるとお姉ちゃん哀しいなぁ」

ルルスス 「うぅ〜……」

ルルススちゃんが困る。
うーん、ルルススちゃんの困った顔も可愛くて癒されるねぇ〜♪

ルルスス 「ケー……様、行きましょう」

ケー 「うん、いこうか♪」

私はルルススちゃんについていくと、以前演説を行った展望台に入った。
展望台から下を覗くと国中から集まったと思われる国民たちが一斉に私を見ている。

エレキ 「音術通信も完璧だ、全国ネットで女王就任をアピールしやがれ」

ケー 「あはは……ご苦労様ですエレキさん」

例によってマイクやらなんやらの用意はエレキさんがやってくれる。
最新式の小型マイクを私はエレキさんから渡されると首元に装着して、光の元へと向かった。

民衆 『ケー! ケー! ケー!』

ケー 「えと……皆さんこんにちわ。今回改めてアゼルガットの新しい国王になったケーです。あ、本当は小有珠慧っていうんですけど、もう諦めているんでケーでいいです」
ケー 「正直私は今まで庶人としての生活歯科知らない上、何をやってもダメダメのダメ人間だったので、こうやって国王やっていていいのかと本気で思っていますが、この国のことは真剣に思っているつもりです」
ケー 「ですが、私はこの国を私の独りよがりで動かしたくはありません。私自身無知でもありますし、皆さんの協力なすでは正直やっていけません」
ケー 「ですので、いきなり失礼とは思いますが、まずは私にご指導くださいませ! て……なんか違うな」
ケー 「まぁいいや、アバウトだけど。これからは楽しく豊かに一緒に国づくりをしましょう!」

民衆 『おおおおっ!』

うーん、はっちゃけた。
われながらアバウトだ。
見ると笑いをこらえている人もいる……ていうかよく見たらその人エクレメスさんだった。
あの人なんで民衆に紛れ込んでいるんだろう?

エクレメス 「抱負を一発ーーっ!」

ケー 「え? 抱負? あ〜……そうだな、富国強兵……て、なんかダメだな」
ケー 「我は闘争を支配し現人神にならん? なんか悪っぽいな? ああもう、なんでもいいや! とりあえず皆さんの幸せは絶対に守ってみせます!」



…………。



エレキ 「調子に乗ったの絶対エクレメスだったよなぁ」

ケー 「うん……間違いなくエクレメスさんだった」

あの後更にあの人調子にのって、一曲なにかなんていうから、思わずアカペラでアニソン絶唱してしまったよ。
うぅ……恥ずかしいな、ていうかなんであの人民衆側に紛れ込んでいたんだろ。

ケー 「そう言えば、エレキさんはこれからどうするんですか?」

エレキ 「とりあえず、EDENでセリカに従うわな……まぁ、俺たちは本来の目的にもどるだけか」

ケー 「本来の目的?」

エレキ 「ああ、言ってなかった。実はEDENは反アゼルガット団体となっているが、それは大衆を味方につけるためのプロパガンダにすぎないんだ」
エレキ 「実体は秘密組織DoLLを追う、組織EDEN。これからはDoLLの行方を追う事になるな」

DoLL……前にも話に出ていたわね。
たしかEDENとは敵対していて、同じ反アゼルガット組織だと聞いていた。
でも、本当はEDENは反アゼルガットじゃなかった?
だとすると、ほとんど行動を聞かないDoLLも反アゼルガットではないということだろうか?
うぅむ……一体何が目的なんだろう?

エレキ 「新政府への就職希望者の件、よろしくな!」

ケー 「あ、はい。それと正式な決定ではないですが、国王の名において王国内でEDENの行動は王国が支援します」

エレキ 「おう、サンキュー」

セリカ 「エレキ、そろそろ行くわよ!」

エレキ 「ああ、わかってるよセリカ!」

城へともどると、何やら荷支度を済ませているセリカさんの姿があった。

ケー 「セリカさん、この後のパーティには参加しないんですか?」

セリカ 「うん、私たちは本来のEDENの行動に戻らないといけないから」

ケー 「そうですか……あの、困ったときはいつでも頼ってくださいね?」

セリカ 「あはは、うん!」

私にとってセリカさんは歳の近い非常に親しい友人だった。
ずっと一緒に要られるなんて思ってはいなかった……だけど早過ぎる別れにも思える。
セリカさんにエレキさん、二度と会えないということはないと思うけれど、やっぱりいなくなると寂しいな。

鉄火 「あ、陛下!」

ケー 「ん? あ……鉄火さん、そうか……宮廷料理人になったんだっけ」

鉄火 「宮廷料理人っていっても……下積みですけど」

鉄火君さんは戦後、EDENを退団して新王国の料理人を希望した。
宮廷で料理を振るいたいという料理人は思いのほか多く、鉄火さんを含め、十数人が宮廷料理人として就職していた。
とはいえ、国力的にそこまで余裕のある国ではないので、宮廷とはいえ料理は節約しないといけない。
とりあえず、しばらくはまかない料理でいいと言っている。

ケー 「鉄火さんの料理美味しいもんねぇ、私料理下手だから鉄火さん弟子入りしようかなぁ?」

鉄火 「そ、そんな陛下、困ります!」

私が軽く冗談を言うと鉄火さんは耳を真っ赤にして本当に困った顔で首を振った。
さすがに冗談だったんだけど鉄火さんは真に受け過ぎだなぁ。

ケー 「ふふ、冗談だよ。それと陛下なんて堅苦しくしなくてもいいですよ?」

鉄火 「出世して性格変わった?」

ケー 「こうでもしないと、ストレスたまって仕方がないの」

ここ最近知らない人と顔合わせっぱなしでストレスは溜まっていく一方だった。
私が国王になるということで、アゼルガットの各地から集まった領主やらなんやらと面会して、この国の王になるのを認めてもらったりと本当に大変だった。
私はそもそも元は一般庶民であり、こういった仕事は絶対に向いていないと自負している。
だからこそ、気が許せる人と一緒の時は、普通の女の子でいたい。
じゃないと私、ノイローゼで倒れると思うから。(苦笑)

鉄火 「とにかく、ケーさんはもう女王なんだからなるべく女王らしくね」

ケー 「アイアイサーです、鉄火さん!」

鉄火 「あいあい? よくわからないけどまぁいいや……じゃあ今日のパーティの下準備もあるから俺はもう行きますよ?」

ケー 「どうぞどうぞ」

私はそう言って鉄火さんに道を譲る。
結果的私の知っている人で私のもとにきたEDENの人は鉄火さんだけだった。
そう言えばナイアさんとエイリさんに挨拶できなかったなぁ……元気にしているといいけど。



…………。



オロロージョ 「――あ、ケー」

ケー 「あ、オロロージョさん、お久しぶり……て、なんかこう言うの嫌だな」

オロロージョ 「そうだな、最近顔を合わせることがなかったからな」

あれからオロロージョさんは、私についていくと言ってくれて新王国に残ってくれた。
今では国王になり本当にオロロージョさんの主人となり、オロロージョさんは新アゼルガット王国の騎士団長になった。
今は騎士団長としての厳しい訓練に努め、一刻も早く騎士団長としてふさわしい人物になるよう努力しているらしい。
私は私で政務関係に忙しく最近はもっぱらすれ違い人生だ。
勿論、エクレメスさんとも最近ではほとんど顔を合わせていない。

そういえば、エクレメスさんはどうする気だろう?

ルルススちゃんは私の補佐官として奮闘してくれると言ってくれた。
嬉しい申し出だったけど、子供のルルススちゃんには子供らしく生きて欲しかった。
だけど、ルルススちゃんは私の側が一番いいと言ってくれる。
とても嬉しかった。
他の皆もそれぞれ行動が決まった。
今まで通りの人、新しい道を行く人。
だけど……エクレメスさんだけ、まだ何も言っていない。

ケー 「パーティまで少し時間あるし、一緒に散歩しませんか?」

オロロージョ 「ああ、そうだな」

そういえば……今まで通り接してくれるのってオロロージョさんだけなのかなぁ。
皆私の扱い方が変わっちゃった……仕方が無いとは思うけど、それが妙に哀しい。
だから普段どおり扱ってくれるオロロージョさんが少し嬉しかった。



ケー 「夕焼け……綺麗」

戦争が終わったことで、人々に活気が戻り、精霊たちが喜んでいる。
痩せていた土地に活力が戻り、空が明るく晴れるようになったことで、この世界に来てようやく夕日というものを見ることができるようなった。
これから国力はどんどん回復していくだろう、だけどまだまだ始まり……不安だらけだ。

エクレメス 「これでよし……と、あ」

オロロージョ 「エクレメス? その格好」

ケー 「エクレメス……もしかして」

私たちは中庭から外に出ると、旅支度をしているエクレメスさんんと遭遇してしまう。
大きなバッグを抱えた姿……それはやっぱり。

ケー 「……行っちゃうんですか?」

エクレメス 「……ここに儲け話はなさそうだし、報酬貰おうにもそんな雰囲気じゃないしねぇ」

オロロージョ 「……そうか、寂しくなるな」

ケー 「……うん」

でも、エクレメスさんは仕方が無いのかも知れない。
たしかにエクレメスさんの言うとおり私たちじゃまだエクレメスさんに恩賞を出すこともできない。
エクレメスさんは新しい儲け話を見つけに行っちゃうんだろう。

エクレメス 「はぁ……なんでこんな時に顔合わせるのかなぁ」

オロロージョ 「気まずくなるだろ? 俺たちが去ろうか?」

ケー 「うん、そうだね」

名残惜しいけど、これ以上は気まずくなる。
私たちはそれを感じてその場からさることにする。

エクレメス 「――待ちなさいな」

ケー 「え?」

突然エクレメスさんが止めてくる。
私たちは驚いて振り返ると、腕を組んで何かを考えるエクレメスさんがいた。
こういう時のエクレメスさんって何かあくどいこと考えている時なんだよねぇ……何考えているんだろう。

エクレメス 「ケー、あなた優秀な音術士でありながら更に優秀な軍師は必要ないかしら?」

ケー 「え? それって……」

エクレメス 「しかも今なら格安で雇えるわよ?」

ケー 「……エクレメス、私を補佐してくれるんですか?」

エクレメス 「お望みであらば、女王陛下」

ケー 「ふふ、エクレメスさん、よろしくお願いします♪」

エクレメス 「あーあ、アンタらが現れなかったら億万長者への旅に出るはずだったのに……なんの因果でこうなったのやら」

ケー 「ふふ、でも私は嬉しいです。エクレメスさんとオロロージョさんと三人でいると……いつまでも一緒でいられる気がして」

オロロージョ 「ふふ、そうだな」

エクレメス 「まぁ腐れ縁で行くとしますか」





こうして……私たちの戦いは終わり、そして新たな物語が始まった。
これから何が起こるのか私には分からない。
そして……私は元の世界に戻る事ができるのだろうか?
少なくとも私にはあの戌という人が言っていたゲームは……まだ終わっていないのではないかと実感しつつあった。





戌 「第一章はこれで完結……ふふふ、見事ですよケーさん。では新たなるStageへの準備に入るとしましょう」




…Stage CLEAR!!




 
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