Menu

Back Next

beatmaniaUDX The ANOTHER Story


10th STAGE 『Indigo Vision』

ちゅん…ちゅんっ

リュウ 「………?」

今朝は奇妙な目覚め方をする…。
小鳥の…声か。

リュウ 「…この星は、小動物もいるんだな」

そんなことに妙に関心を持った。
戦争で宇宙を飛び回っているので、そういうことに無関心になりつつあったからだ。

優里 「あら、リュウさん…もうお目覚めですか?」

突然、居間に優里が入ってくる。
右手に大きな皿を持ち、その上には食事が乗っていた。
それを近くのテーブルに置いて、近くの椅子に座る。
通常、この星の人間とは会話が成立しないはずだが、何故か会話が成立している。
ナイアも言っていたが、この星の言葉と俺たちの言葉は同じようだ。
妙な偶然もある。
大抵、銀河が違う場合は、機械を通して翻訳される物だが…。

リュウ 「…もう朝なのか?」

俺は外の景色を見ながらそう言う。

優里 「ええ、と言ってもまだ7時ですけど」

優里はコップに飲み物を注ぎながら、そう答える。
俺は一瞬意味がわからなくなる。
だが、すぐにわかった。

リュウ 「…? ああ…すまない、俺はこちらの太陽暦がわからないんだ」

こちらでは何時間で一日なのか…。

優里 「あら、ごめんなさい…そういえば、そうでしたね」
優里 「こちらでは一日が24時間で、7時の今は朝なんです」

優里は頬に手を当てて、笑顔でそう言う。
本当に、よく笑う人だ。
いい意味で、そう思えた。

ダルマ 「ううん…何かいい匂い」

食事の匂いに気づいたのか、ダルマが目を覚ます。

優里 「あら、ダルマ君もおはよう」

ダルマ 「え? あ、おはようございます!」

ダルマは妙なリアクションでそう挨拶する。

優里 「ふふ…冷めないうちにコーヒーをどうぞ」

そう言って優里は俺たちに飲み物を勧める。

リュウ 「コーヒー…? ああ、豆か」

こっちでは、特に飲み物に呼び方がないので『豆』で通るからな。
コーヒーというのか…。
俺はコップから湯気の出ているそれを手に取り、口に含む。
少し甘い…。
だが、悪くはなかった。

ダルマ 「ふぅ…何か温まるなぁ」

確かに、今朝の気温はかなり低いようだ。
空は晴天だが、雪がしきりに積もっており、霜が降りている。

優里 「今日も、寒いわね」


………。


美夏 「おはよう、優里」

セリカ 「おはようございます」

リリス 「…おはようございます」

しばらくすると、その3人が部屋にやってくる。
それぞれが椅子に座ると、朝食を食べ始める。

リュウ 「…そういえば、トランとツガルは?」

俺は少し気になって、二人のことを聞いた。

優里 「まだ、寝てると思うけど…? 起こしてきましょうか?」

リュウ 「いや、寝てるならいいんだ…気になっただけだ」

優里 「そうですか…」

優里は特に何も思ってないようで、それ以上何も聞かなかった。

セリカ 「この食べ物、美味しいですね…穀物ですよね?」

美夏 「あはっ、何かおかしな言い方に聞こえる〜」

美夏はセリカの台詞に笑いながら、そう答えた。

優里 「それはパンと言うんですよ」

優里も笑顔でそう答える。

セリカ 「パンですか…成る程」

リリス 「………」

リリスは黙々と食べていた。



………。
……。
…。



やがて、9時になると、全員が居間に集まっていた。


トラン 「…おはようございます」

最後に来たのはトランだった。
いつも、艦を動かしていたりと、休む暇がなかったせいか、疲れていたんだろうな…。

ナイア 「おはよう、もう皆いるわよ」

トランは周りを見渡す。

トラン 「…そうですか」

トランは何か、そわそわしてるように見えた。

リュウ 「……?」

何か不安そうにも見える。
艦のことだろうか? だが、大丈夫といったのはトラン自身だ。

トラン 「すみません、私…少し艦に戻ります」

トランは意を決したように、唐突にそう言いだした。

リュウ 「俺も行こう…何かあるとまずい」

俺はそう言って、トランに着いて行くことにした。

エリカ 「え、えらく急ね…」

セリカ 「う、うん…私たちも行こうか?」

エリカ 「そうね…そうしようか」

彩香音 「待ちなよ、私が車出してあげる!」

彩香音はそう言って俺たちを呼び止める。

リュウ 「そうか、なら…そうしてもらおう、いいなトラン?」

俺がそう聞くと。

トラン 「はい…もちろんです」

トランは静かにそう答えた。

エリカ 「じゃあ、私とセリカも行くね〜」

エリカたちも参戦する。
しかしそれだと、座席が…。

美夏 「彩香音の車だけじゃ5人は無理でしょ? 私の車もだすわ」

リリス 「だったら、私も行きます…」

突然リリスもそう言う。

エリカ 「リリスまで…何で?」

さすがにエリカがそう聞く。

リリス 「…気になるからです」

エリカ 「な、何が?」

リリス 「…色々です」

リリスは何か含みのある言い方でそれだけを言う。

リュウ 「…まぁいい、じゃあ来るのはこれだけか?」

俺は全員に向かってそう言う。

ナイア 「私は、こっちで燃料と食料の確保をするわ…」

ナイアは椅子座ったまま、コーヒーを片手にそう言う。

ダルマ 「俺も残るよ、ナイアさんの手伝いあるし…」

ツガル 「私もこっちを手伝います」

リュウ 「そうか、わかった」

彩香音 「んじゃ、ちょっと待ってて、用意するから」

美夏 「私も…」

ふたりは、それぞれの部屋に戻る。


優里 「あら…これは?」

優里のその一言で、その場の全員が優里の視線を見る。
電子放送…こちらではTVと言うらしい。
何やら、ニュースを伝えているようだ。

TV 「先日、未確認飛行物体と思われる物がこの町の上空に現れたと言う情報が入りました!」

全員 「!?」

その場にいる全員が驚愕する。
間違いなくEARTH LIGHTのことだ…。

TV 「現在、山の中を捜索していますが、以前見つかる気配はありません…」

どうやら大丈夫のようだ。

ナイア 「EARTH LIGHTのフィールドは、空気から作り出してる物だから、消える心配は多分ないわよ」

ナイアだけが、ただ冷静にそう言った。

セリカ 「じゃあ、見つかることないですよね?」

ナイア 「当然…ここの文明じゃまず無理ね、金属探知機でも使わない限り」

その場にいるほぼ全員が胸を撫で下ろす。

TV 「現在、金属探知機を持った数人の探索員が調査に向かっている模様です!」

ナイア 「………」

全員が、沈黙する…。

ダルマ 「やばそうだなぁ…」

ナイア 「一応聞くけど…ここの金属探知機って、射程は?」

優里 「さぁ…? でも結構近づかないとわからないと思いますけど」

ナイア 「…まぁ、見つかっても肉眼では見えないし、近づくことも触ることも出来ないんだから」

エリカ 「そうよね、反応あっても見えなかったら意味ないし」

セリカ 「石を投げても当たらないもんね…」

とりあえず、開き直りのようにも思えた。



………。



俺たちはそれぞれ彩香音と美夏の車に乗り込みEARTH LIGHTを目指す。

彩香音 「そうれじゃ行くけど、どの辺りなの?」

トラン 「えっと…ここから南に32といった所、近くですね」

彩香音 「…ごめん、32って何?」

リュウ 「距離の感覚が違うからな、とにかく南に直進すればわかる」

彩香音 「直進って…?」

見ると間違いなく崖。
家は頂上に立っているので、下がほとんど一望できる。
EARTH LIGHTは木々がないところに着陸してるので、ほぼ頂上にあるはずだが…。

リュウ 「ちょっと待て、もしかしたら…」

俺はトランを連れて、その崖の下を見る。

リュウ 「………」

トラン 「………」

彩香音 「どうしたの?」

一瞬力が抜けた。
崖の下(そんなに高くはない)は、EARTH LIGHTの着陸点だった。

リュウ 「あそこだ…」

彩香音 「…そうなの?」

トラン 「………」

トランはこくりと頷く。


………。
……。
…。


エリカ 「何よ…こんなに近くなんじゃない」

セリカ 「灯台元暮らし…」

美夏 「でもどうやって降りるの?」

トラン 「………」

ばっ

セリカ 「嘘っ!?」

突然トランが飛び降りる。
俺たちは驚愕してその姿を眺める。

ひゅ〜…すとっ

トラン 「………」

トランはまるで何事もなかったかのように着地する。

リュウ (トランは宙に浮けるのか?)

あの高さとはいえ、普通は大怪我だ。
だが、トランはまるで衝撃を受けないまま着陸した。

エリカ 「トランって、空も飛べるの?」

トラン 「飛べませんよ…少しなら宙に浮けるだけです」

彩香音 「うわ…本物だ」

彩香音が妙な言い方をする。
確かに、俺たちでもこんな状況は初めてだ。
改めて、トランが特殊だとわかった。

リュウ 「…ここなら、大丈夫か」

俺はそう結論付ける。
ここなら、何かあってもすぐに対処できる。

エリカ 「そうね、戻りましょうか」

セリカ 「うん、その方がいいかも…」

彩香音 「だったら、ドライブでもしない?」

エリカ 「ドライブって、今?」

彩香音 「そ、横に乗せたげるわよ〜」

彩香音は妙な言い方でそう言う。

エリカ 「…まぁ、暇だからいいか」

エリカはそう言って彩香音の車に乗り込む。

彩香音 「そう来なくっちゃ…美夏、いいわよね?」

美夏 「…そうね、勝負なら受けてたつわよ」

セリカ 「勝負…?」

美夏 「もちろん、セリカはこっち…」

セリカは美夏の車に乗せられる。

美夏 「リリスちゃんとリュウ君はどうするの?」

リュウ 「俺はいい、こっちに残る」

リリス 「では、私も…」

美夏 「そう、じゃあ行ってくるわね」

彩香音 「優里によろしく言っといてね〜」

ブォンッ…ドドドドド!
ギュアアアアァァァッ!!!

凄まじい音を立てながら、2台の車が走り去った。
勝負か…成る程。

リリス 「レーサー…です」

リュウ 「………」

俺たちはトランを気にしながらも、家に戻った。



………。
……。
…。



トラン 「………」

私は操縦席に座っていた。
そして、スコープを付け、ヴィジョンを見る。
黒いインディゴの色の中…私はまどろみに落ちていく。


………。


にゃあ…

み〜…

トラン (ダメ!)


トラン 「…ダメェ!!」

私は涙目でスコープを取り外すと、艦の中にあるスクーターに乗り込む。
元々ナイアさんが私のために作ってくれた物だから、私でも使える。
私は、ハッチを空けて、スクーターを飛ばす。

キィィィィ…ギュンッ!!

周りは木々が多いけど、道があった。
雪の積もった白い道を私は全力で飛ばす。

トラン 「もう少し…!!」

私は道がそこで途切れていることを知り、そこまで走る。

トラン 「…いた!」

? 「にゃあ〜…」

か細い声をあげながら、崖から今にも転落しそうな動物を私は見つける。
必死にもがいているが、雪のせいで今にも落ちようとしている。

動物 「み〜…」

そして、動物は力尽き、崖から転落する。

トラン 「ダメェ!!」

私はそう叫んで、飛んだ。
崖から飛び降りて、手を伸ばし、動物を捕まえる。
奇跡だったかもしれない…。
手が届いた…私はその動物を抱きしめ、ゆっくりと下に降りる。


トラン 「はぁ…はぁっ!」

途端に冷や汗が全身からあふれ出る。

トラン 「……」

私は腕の中の動物を見る。
まだ子供のようで、暴れることもなく、私の腕で鳴いていた。

動物 「にゃぁ…」

トラン 「よかった…本当に」

私は優しく抱きしめる。
あのままだったら、この子は…。

トラン 「……?」

私は周りを見渡す…。
どうしよう? そういえば、戻ることを考えてなかった。
見ると、どうやら大きな山道があって、下に続いているようだった。

トラン 「…行くしか、ないよね」

動物 「にゃぁ…」

私はその子を下に降ろす。
このまま連れて行くのもどうかと思ったからだ。

トラン 「……さようなら」

私はそれだけを言って、その場を離れた。

動物 「みぃ…」

トコトコ…

トラン 「……」

トコトコ…

トラン 「………」

動物 「みぃ…」

トラン 「……」

その子は私の後を着いてきた。
私が止まると、その子は私の足に頬を摺り寄せてくる。
私が歩きだすと、その子も歩き出した。

トラン 「……」

私は諦めて、歩きだす。
その子が着いて来たいなら、止めることもないと思った。


………。
……。
…。


トラン 「……」

あれから何時間経っただろうか?
道は未だ森の中で、道路にすら出る様子がなかった。

トラン 「……」

動物 「にゃぁ…」

その子は、『諦めるな』と言っている気がした。

トラン 「…うん」

私は疲れた足を動かして、山を降った。



………。

一方その頃。



リュウ 「…トランは?」

リリス 「…いません、艦の中には」

俺たちはあまりにも帰りが遅いトランを探しに艦に戻っていた。
だが、艦の中にトランの姿はなく、俺たちは捜索していた。

リュウ 「一体どこに…?」

ダルマ 「おーい! トランのスクーターがなくなってるぜ!」

ダルマの声を聞き、俺とリリスはそこに向かう。


ダルマ 「…外に出たみたいだ」

リリス 「…多分、近くにはいません」

リュウ 「…遭難の危険があるな」

俺はそう呟く。

ダルマ 「だったら探さないと!」

リュウ 「落ち着け、この広い森の中でトランひとりを見つけるのは困難だ…」

ダルマ 「そうだな…ミイラ取りがミイラじゃ意味ないもんな」

リュウ 「EARTH LIGHTに探査してもらうか…」

リリス 「ダメです…EARTH LIGHTはエネルギー切れで動けません」

そうだった、つまり現状では探す術がなかった。

リュウ 「止むをえん、一度戻ろう…」

ダルマ 「…しかたねぇな」

リリス 「………」こくり



………。
……。
…。



トラン 「あ…」

動物 「にゃあ…」

私は目の前の光景に足を止める。

ドドドド…ブォンッ!
ワイワイ…ガヤガヤ…

トラン 「人が…たくさん」

どうやら、街まで降りてきてしまったようだった。
まるで見たことのない街並みに私は戸惑う。

トラン 「………」

それでもその場に立ち尽くしてもしょうがないので、歩き始める。

動物 「みぃ…」

トラン 「……」

私はその子を優しく抱き上げた。
この人ごみじゃ、この子は危ない。
車も走ってるから、うかつには歩けない。
私は山を離れずにその周りを回る事にした。
もう空は暮れ始め、夜になろうとしていた。
私は寒さに少し凍え始めていた。
元々防寒具ではなかったので、この寒さは辛かった。
この子も、少し凍えていた。

トラン 「はぁ…」

息を吐くと白い息が出た。
かなり気温が下がっている。
私は山の頂上に向かう『道路らしき』場所の近くにあったベンチに座り込んだ。

トラン 「…誰か、助けてくれるのかな?」

エリカさんや、セリカさんのように…。
私はそんなことを考えると、いつのまにか…眠く。


………。
……。
…。



ザワザワ…

エリカ 「何か、えらく騒がしいわね…?」

彩香音 「本当…何かあったのかな?」

私とセリカは、彩香音と美夏の勝負が終わった後(ちなみに鼻差で美夏の勝ち:彩香音談)、私たちは下の街で買い物をしていた。
ちょうど日が沈み始め、ちらちらと雪が降り始めていた。

美夏 「ちょっと! 皆あれ!!」

彩香音 「?」

突然血相を変えて、美夏が私たちを呼ぶ。
私たちは現場に向かった。

通行人A 「おい、子供だぜ…?」

通行人B 「ああ、親に捨てられたのかな?」


通行人の言葉を耳に受け、私たちは現場を見た。

エリカ 「ああ!?」
セリカ 「あれは!!」
美夏 「もしかして!?」
彩香音 「トラン〜!?」

私たちは同時に叫ぶ。
見ると、ベンチの上に横たわっているトランがいた。
トランの上には雪が少々降り積もっており、まるで…。

エリカ 「ちょっ、冗談じゃないわよ!?」

私は野次馬の中に突っ込む。

野次馬A 「おい、邪魔だよ!」

野次馬B 「押すんじゃねぇよ!!」

私はそこでキレた…。

エリカ 「うるさいわねっ!! 邪魔なのはあんたらよ!!!」

野次馬A 「ぎゃあ!」

野次馬B 「お助け〜!!」

私は目の前の男ふたりを両手で投げ飛ばす。
その姿を見たのか、周りの人間が道を開ける。

彩香音 「十戒ね…」

美夏 「すごい…」

セリカ 「馬鹿力…」


エリカ 「トラン!! 生きてる!?」

警察官 「失礼ですが、あなたの子供ですか?」

エリカ 「んなに年取ってないわよ!!」

私は逆ギレして、その人間を睨みつける。

セリカ 「そんなことよりも早く連れて帰らないと!!」

彩香音 「そうね、私の車に乗せて!!」

美夏 「私は回りに事情を話しておくから、先に行ってて」

彩香音 「ごめん…お願いね」

その場を美夏に任せて、私たちは彩香音の車に乗り込む。

彩香音 「よっしゃあ! 飛ばすわよ!!」

エリカ 「って、ちょっとドリフトは…!?」

セリカ 「まだベルトも締めて…きゃああ!!」

ギャギャギャギャギャ!!!

美夏 「えっと、あのですね…」

警察官 「は、はぁ…」



………。
……。
…。



エリカ 「はぁ…はぁ…飛ばしすぎよ」

セリカ 「こ、怖かった〜」

彩香音 「ごめんごめん…ついいつもの癖で」

エリカ 「ト、トランは無事…?」

セリカ 「どうにか…」

私たちはトランの胸に絶句した。

彩香音 「…大きいわね」

エリカ 「も、もしかして私負けてる?」

私は胸を抑えて、そう呟く。

セリカ 「いくらなんでも、これは…」

セリカがトランの胸を触ると…。

動物 「みゃあ!」

セリカ 「ひぃっ!!」

セリカは驚いてひっくり返る。
そして、トランの胸から黒い動物が顔を出した。

彩香音 「ああ、黒猫だ〜♪」

エリカ 「ね、猫…?」

セリカ 「い、い、い…」

エリカ 「猫ーーーー!!」

セリカ 「いやああああああああああああぁぁぁぁっ!! 猫はイヤァ!!!!」

エリカ 「わあ〜可愛い!! 猫猫〜♪」

彩香音 「………」

セリカ 「エリカ、早く捨ててよ!!!」

エリカ 「何言ってるのよ? こんなに可愛いのよ!?」

セリカ 「とにかく猫はイヤァ!!」

彩香音 「………」



………。



優里 「そう、そんなことが…」

セリカ 「………」

リュウ 「セ、セリカ…?」

見ると、セリカは窓の側のカーテンの後ろに隠れて怯えていた。

ナイア 「セリカって、猫ダメなんだ?」

椅子に座ってコーヒーを啜っているナイアがエリカにそう聞く。

エリカ 「う〜ん、そういえばそんな記憶もあったような…」

リュウ 「確か、小さい頃に頭を引っかかれて血だらけの大惨事になったとかで」

俺はセリカから聞いた言葉を思い出す。

エリカ 「そうそう、そういえば…ってリュウ記憶が?」

リュウ 「いや、今のことだけだ…」

エリカ 「そ、そう…」

トラン 「可愛いです…」

美夏 「本当、可愛いわね…人間を怖がらないね」

彩香音 「名前は?」

トラン 「……」

トランは困っているようだ。

リュウ 「まだ決めてないのか?」

トラン 「でも、勝手に飼うわけには…」

優里 「私は構わないわよ?」

トラン 「いえ、そうではなく…私たちの戦いに連れて行っていいのか」

トランは悲しそうにそう言う。

エリカ 「私は大賛成!!」

セリカ 「大反対〜…」

セリカは涙目でカーテンを握り締めた。

エリカ 「こんなに可愛いのに…ほれほれ」

私は黒猫を抱いて、セリカの前に出してやる。

セリカ 「嫌ぁ!」

セリカはうずくまって震える。

ナイア 「そんな、イジメなさんな…」

ナイアがやたらくつろいだ言い回しでそう言う。

ダルマ 「どこの方便ですか!?」

優里 「九州弁ですか…器用ですね」

ナイア 「…TVのを真似しただけよ」

リリス 「…では、クロロでどうでしょう?」

全員 「…は?」

リリス 「ですから…クロロです」

トラン 「…由来は?」

ただトランだけが冷静に突っ込む。

リリス 「黒魔術と言えば、クロロです…」

全員 「………」

トラン 「では、それにしましょう…」

全員 「!?」

気が付くと、クロロは俺たちの仲間になっていた…。

トラン 「よかったね、クロロ…」

クロロ 「にゃあ〜♪」

セリカ 「ちっともよくな〜い…!! ぅぅ…」

…To be continued

ANOTHER


Back Next

Menu

inserted by FC2 system