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beatmaniaUDX The ANOTHER Story


14th STAGE 『受け継がれる心』

トラン 「………」

私は用意してもらった部屋で眠っていた。
目を覚ますと、いつもと違う風景。
そっか…EARTH LIGHTはもう。
でも、マザーの基盤はちゃんと回収してる。
私はそれを確認すると、ほっとする。

トラン 「もうすぐ…生まれ変われるから」

私は基盤を抱きしめてそう呟く。

コンコン…

小さく扉が叩かれる。
私は基盤を置いて、扉を開ける。

ウィ…ン。

扉が小さな音を立てて開く。
すると、リリスさんが立っていた。

リリス 「着いたそうですよ…」

私は荷物をまとめて、リリスさんに着いていく。

クロロ 「にゃあ…ふぁ〜……」

後ろからクロロが欠伸をしながら着いてくる。
EARTH LIGHTよりも数段大きな、艦の中を歩く。
途中で、エリカさん、セリカさんも一緒になった。
そして、格納庫に着く。



リュウ 「成る程…なら俺が行こう」

ナイア 「ええ、お願いね」

俺たちは、これからの分担を決めていた。
ナイアは基地に残って、新造戦艦の製造を手伝わなければならない。
俺はユーズ隊に協力して士朗救出に参加することになった。

リリス 「……何の話ですか?」

ナイア 「あら、リリスたちも来たのね…じゃあこの際全員分決めちゃいましょうか」



………。
……。
…。



そして、俺たちは全員揃った所で分担を決めることにした。

茶倉 「絶対、リュウと一緒よ!!」

セリカ 「絶対・ダ・メ!!」

エリカ (…疲れるわ)

リュウ 「………」

他は全部決まっているのに、ここだけが決まらなかった。
製造組はナイア、ダルマ、ツガル、トラン、セリカの5人で決まったが…。
救出組は、俺とエリカ、リリス、更にG2にもパイロットのデュエルがいるので、潜入救出任務には、はっきり言ってそこまで戦力は必要ない。
ましてや、装甲の薄いABSOLUTEと桜ではこの任務には向かないのが現状…。
要するに茶倉がこっち側に来るのが、セリカには納得できないようなのだ…。



セリカ 「じゃあ、私は残るの〜?」

ナイア 「ABSOLUTEじゃ、この任務はねぇ…そんなに大きな収容所じゃないから、戦力も少ないし」

私はそれを聞いて少しがっくりする。
リュウと一緒じゃないのか…。

彩葉 「じゃあ、私は…?」

ナイア 「そうねぇ…あなたの機体も持続性と装甲がないから向かないわね」

彩葉 「じゃあ…こっ」
茶倉 「あっちよね!!」

全員 「!?」

急に茶倉に切り替わる。
さすがに全員が目を丸くする。

セリカ 「ちょっと、だから向かないって…」
茶倉 「おだまり、小娘! 私の腕を信じなさい!!」

ナイア 「いや、だからこの任務は…」
茶倉 「リュウ〜☆ 私たちはいつも一緒よね〜♪」

リュウ 「…いや、だから」

畳み掛けるように茶倉が言葉を繋げる。
そしてそれを見たセリカが…。

セリカ 「だ・か・ら! 離れなさいよーーー!!!」



というわけだ。
彩葉の時はまとまりかけてたんだが…彩葉(茶倉)が残り組に決まろうとした瞬間に…。

ユーズ 「おい…そろそろ出発するから、さっさと決めてくれよ?」

さすがに、時間がかかりすぎてユーズがそう言いに来た。

ナイア 「あー! もういいわ!! この際リュウ君、あなたが決めて!!」

ここで俺に鉢が回ってくる。

リュウ 「…茶倉、来い」

俺はさほど迷うことなくそう言う。

セリカ 「ええーーーー!?」

セリカが泣きそうな顔でそう叫ぶ。
そして、勝ち誇ったように茶倉が。

茶倉 「さすがリュウ!! 見る目があるわ〜!!」

茶倉が俺の首に腕を回して抱きつく。

ひょい。

そしてすかさずエリカが茶倉の首根っこを掴んで仲裁する。

エリカ 「ったく…時間ないんだからさっさと行くわよ」

茶倉 「こら〜! 離しさいよ、エリカ!!」

エリカは茶倉を掴んだままG2に乗り込んだ。

セリカ 「うう…リュウは茶倉の方が好みなの〜?」

セリカが涙目に情けなくそう聞く。

リュウ 「…セリカはこっちで手伝ってやってくれ。それに、万が一こっちが襲われても対処できるようにだ」

セリカ 「えっと…それって…?」

リュウ 「頼りにしているぞ、セリカ」

俺がそう言うと、セリカはぱっと明るくなった。

セリカ 「う、うん! こっちの守りは任せてね!!」

俺はそのセリカの姿を見て、G2に乗り込んだ。

ナイア 「…コントロールが上手いわね」

トラン 「………」

クロロ 「にゃあ…」

セリカ 「リュウ〜、頑張ってね!!」


リリス 「では、私も行きます」

トラン 「頑張ってください」

リリス 「……はい」

何を頑張るのかがいまいち、よくわからないけど…。
とりあえず…。
私もリュウさんの後を追って行く。



ナイア 「さ〜て、じゃあこっちも行きましょうか」

ダルマ 「ウィッス!」

ツガル 「お役に立てればいいのですが…」

セリカ 「頑張ろう♪」

トラン 「……」

皆と一緒に新造戦艦の元に向かっている中、私は基盤を抱きしめる。

クロロ 「にゃあ」

不安そうな私の顔を見たのか、クロロが笑顔で元気付けてくれる。
…ような気がする。



ナイア 「へぇ…これが新造戦艦」

担当 「はい、大方の形は出来上がっています。ただ、メインCPUが」

ナイア 「CPUをまだ搭載してないの?」

担当 「いえ、搭載はしているのですが…予定通りのスペックを出さないんですよ」
担当 「ゆえに、この戦艦の製造は見送る予定だったんです」

ナイア 「もったいない話ね…よっし、私に任せて!!」

私はそう言って、担当にウインクをし、トランを見る。

ナイア 「とりあえず、マザーを積んじゃいましょう♪」

トラン 「はい」

トランは基盤を私に渡してくれる。
私はそれを持って、メインCPUルームに向かうことにした。
後から残りのメンバーも着いてくる。


………。


ナイア 「ここね…」

トラン 「大きいですね…」

そこはさすがに戦艦の室内だけあって、EARTH LIGHTとは比較にならなかった。

ダルマ 「どっすか?」

私が接続等を見ていると、ダルマがそう聞いてくる。

ナイア 「…ダメね、このままじゃ規格が合わないわ」

トラン 「………」

セリカ 「どうにかするんでしょう?」

セリカがそう聞くと。

ナイア 「当然! こんなの簡単よ♪ ダルマ、ツガル、今から言うもの貰ってきて」
ナイア 「SA接続パーツ2つ、EGコネクタを3つ、Cカバーを1つ貰ってきて」
ナイア 「後、PW素材もいくらか持ってきて!」

ダルマ 「はいな! すぐに行ってきます!!」

ツガル 「あ、待ってよ〜!」

ふたりは、急ぎ足で行った。

トラン 「……」

セリカ 「大丈夫よトラン…」

トラン 「あ…はい」



………。



やがて、材料を持ってきたダルマとツガルが帰ってくる。
私はそのパーツを組み合わせて、ちゃっちゃと基盤を繋げる。

ナイア 「ハイ終わり」

セリカ 「ええ、もうですか!?」

ナイア 「まっ、ざっとこんなものね♪」

私はものの見事に10分で繋げて見せた。

トラン 「凄いです…」

ナイア 「さてと、トラン…後はマザーと交信して」

私は後をトランに任せた。

トラン 「…は、はい」

私は恐る恐る、タッチパネルを触って、CPUを起動させる。

マザー 『………COMPLETE………』
マザー 『…艦内登録、照合中………OK』
マザー 『…指紋より検証…トランさん、おはようございます…ご用件をどうぞ』

見事にマザーが答えてくれる。

トラン 「おはよう…マザー」


担当 「おお、動いたんですね…! これで大丈夫ですね!!」

ナイア 「あ、そういえば…この戦艦、本当に貰っていいのよね?」

今更ながら、ナイアさんがそう聞く。
さすがに私も注目してしまう。

担当 「ええ、勿論ですよ! 元々、製造を中止するはずだったものですから、あなたたちで好きに使ってください!」

担当さんは、快くそう答えてくれた。

ナイア 「だってさ、トラン」

トラン 「あ、ありがとうございます…!」

担当 「いえいえ、この艦に命を与えたのはあなたたちですから…」

そう言って、担当さんは去っていった。

マザー 『トランさん…ご用件を』

マザーがそう言って用件を聞いてくる。

トラン 「えっと…登録変更を」

マザー 『了解…どの内容を変更しますか?』

トラン 「艦名変更…名前は、REINCARNATION」

ナイア 「REINCARNATION…輪廻ね」

ダルマ 「まさに生まれ変わったってやつですもんね!」

ツガル 「よかったです…」

セリカ 「REINCARNATIONか…これからこの艦で動くんだね」

ナイア 「よっし、じゃあセリカの機体を先に乗せようか。ここの素材でグレードアップしておくわ」

セリカ 「本当!? やったぁ…これで茶倉に差を」

ナイア 「まぁ、機体自体のスペックをあげるから、基本ベースだけで別の機体になるけどね」

セリカ 「任せますよ、私はわからないんで」


こうして、今度はセリカのABSOLUTEを、改造することになった。
その際、担当に頼んで、ブリッジの模様替えを頼んでおく。
できるだけ、EARTH LIGHTと同じようなブリッジに設計しなおした。



………。
……。
…。



ナイア 「しっかし、さすがにこれだけの資材があれば、好きにスペックが上げれるわね」

担当 「識様のおかげですよ、ここの資材などは全て識様のご好意で送られているんです」

ナイア 「へぇ…奇特な人間ね」

担当 「ええ、だからナイアさんたちも遠慮なく使ってください」

そう言って担当はブリッジの方に向かった。

セリカ 「で、どう改造するの?」

ナイア 「接近戦使用は同じだけど、装甲とブースターに余裕ができるから、そこの強化ね」
ナイア 「後は武装追加、二刀流にするわ。銃も内臓式にするから」

私はそう言って、作業を始める。

セリカ 「…どの位かかるの?」

ナイア 「ほぼ全部作り直すから、結構かかるわね…まあ20〜30時間じゃない?」

セリカ 「そ、そんなにかかるの!?」

ナイア 「何言ってるのよ…ここはメカニックも結構いるから手伝ってもらえるのよ? 早いくらいよ…」

セリカ 「でも、リュウの機体とかは結構早かったじゃないですか」

ナイア 「あれは、元々出来上がりを弄くっただけだからね…結果的に装甲を削ってから武装に回して、エネルギータンクを増やした位ね」

セリカ 「…と、とりあえず、何か手伝おうか?」

ナイア 「いいわよ、こっちは…メカニックも結構待機してるから、人手には苦労しないわね」

ダルマ 「確かに…俺も休んでいいですか?」

ナイア 「ええ、休んでおきなさい…ここ出たら、また忙しくなるでしょうから」
ナイア 「たまには、ツガルとデートでもしてきなさい♪」

私はそう言って、ダルマを焚きつける。

ダルマ 「ナ、ナイアさん…(照)」

セリカ 「はぁ…私もリュウとデートしたい」

ツガル 「………」(照)





………。
……。
…。



ユーズ 「細かい作戦内容はこれだ」

俺たちは、ブリッジで作戦内容を教えられた。
ユーズが広げた紙には、敵地のマップが載っていた。

リュウ 「…成る程、要はこの収容所さえ侵入にできればいいんだな?」

ユーズ 「そうだ、中に入るメンバーは機体から降りなければならない、ゆえにここは、格闘戦もできるデュエルとリュウに侵入してもらう」

デュエル 「わかった」

エリカ 「じゃあ、私たちは陽動の方ね…」

彩葉 「そうですね…できるだけ、引き付けないと」

ユーズ 「とりあえず、侵入はデュエル、リュウ。陽動は女3人に頼む…それで大丈夫か?」

エリカ 「まぁ、大丈夫だと思いたいわね…」

リリス 「………」こくり

彩葉 「が、頑張ります!」

エレキ 「…俺は無視?」

突然、エレキがそう言い出す。
すると、ユーズは思い出したように。

ユーズ 「何だ、お前はパイロットだったのか?」

エレキ 「当たり前っすよ!! だからいるんでしょうが!」

ユーズ 「じゃあお前は艦で待機だ、何なら副砲位撃たせてやるぞ」

エレキ 「……そんなにアテになりませんか?」

ユーズ 「余分な機体がないんだよ…」

全員 「………」

満場一致で、そう決定した。

エレキ 「………」

彩葉 「ま、まぁ気を落とさないで…」

項垂れるエレキを彩葉が慰める。

ユーズ 「さて、作戦時間までまだあるからな…ゆっくり休んでくれ」

そう言ってユーズは自室に戻った。
俺たちも、それぞれ用意された部屋に向かう。


リュウ 「………」

エリカ 「どうしたの?」

俺がふと通路で立ち止まると、エリカが心配してくれる。

リュウ 「わからない…ただ、エリカとこうして歩いていると、何か落ち着く…それが不思議でな」

リリス 「愛です…」

彩葉 「リュウさんって、エリカさんが好きなんですか?」

エレキ 「そうなのか…成る程」

エリカ 「あのねぇ…そんなわけないでしょ? リュウがいつ私を好きだって言ったのよ?」

エリカが冷静にそう答える。

リュウ 「…確か、エリカと最後に作戦を行った際だな」

エリカ 「って、何それ!? 知らないわよ…」

リリス 「記憶がないから当然です」

彩葉 「ええ? エリカさんもないの?」

エレキ 「何か訳ありだな…」

リュウ 「ダメだ…思い出せない」

俺は考えてみるが、当てはまる項目が思いつかなかった。

リリス 「…リュウさんは、今でもエリカさんが好きですか?」

突然リリスがそう聞いてくる。

リュウ 「…わからない、ただエリカの側いると、落ち着く、自然にそう思う」

俺はそう答える。

リリス 「…そうですか」

リリスはそれ以上は何も言わずに先に歩き出した。
笑った? 一瞬だったが、そう見えた気がした。

彩葉 「茶倉はどうしてリュウが好きなんでしょうね?」

リュウ 「…確か、俺の幼馴染だ」

エリカ 「思い出したの?」

リュウ 「何となくな…それだけだが」

彩葉 「そうなんですか…幼馴染、だったら…そうですよね」

彩葉は突然、悲しそうな顔をして俯く。

エレキ 「ど、どうしたんだよ?」

エレキが心配そうに彩葉に話し掛ける。

彩葉 「ううん…茶倉がどうして、あんなにリュウさんを大事にしたいのかがわかったから」
彩葉 「茶倉はいつも、リュウさんのことを想っていました」
彩葉 「Vに捕まって、リュウさんが死んだと言うことを耳にしてから、茶倉はずっと泣いていました」

エリカ 「あれが泣いてるなんて、想像できないわ…」

彩葉 「…そ、それで…う…」

エレキ 「い、彩葉!?」

茶倉 「余計なこと言うな!! ったく…」

エレキ 「でぇ!!」

途端に茶倉に変わる。
エレキが驚いたように後ろにこける。

茶倉 「全く…」

リュウ 「…俺はよく覚えていない、茶倉は俺の忘れている過去を知っているのか?」

茶倉 「覚えてるわよ…今でも鮮明に思い出せるわ」

リュウ 「教えてくれ…俺は何故?」

茶倉 「…止めた方がいいわね、お互いにいい事がないわ」
茶倉 「私は今でもあなたが好きだし…あなたも私を愛してくれたらいいの」

エレキ 「…ギャ、ギャップが…彩葉のイメージが」

エレキが頭を抱えて怯む。

エリカ 「あなた、彩葉に気があるのね…」

エレキ 「でぇ!? 何故!?」

エリカ 「正直ね…まぁ、頑張りなさい…」

そう言って、エリカも先に行ってしまった。

リュウ 「…何故だ? 俺は記憶を思い出さないほうがいいのか?」

茶倉 「それはあなたが決めることだけど…私は言う気はないってこと」
茶倉 「今の方が、私に有利だしね…」

リュウ 「そうか…」

俺はそれ以上は何も聞かずに歩き出した。

茶倉 「あん♪ 待ってよ〜」

茶倉が腕を絡めてくる、俺はそのまま茶倉に引きずられる。

茶倉 「さぁ、今日が記念日よ♪」

エリカ 「はいはい…危険日の間違いね」

そう言っていつのまにか戻ってきたエリカが茶倉を引き剥がす。

茶倉 「こら! 邪魔するなエリカ!!」

エリカ 「あなたを放っておいたら、とんでもない所になってたわ…リュウもちゃんと振り払いなさいよ!」

リュウ 「………」

茶倉 「こら、余計なこと言うな! 今日を記念日に〜……(ドップラー効果)」

茶倉の声がそう木霊しながら、通路の奥に消えていった。

エレキ 「彩葉のイメージが…」

リュウ 「………」

これから大丈夫だろうか? 俺は少しだけ身の危険を感じながら、休むことにした…。

…To be continued

ANOTHER


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