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beatmaniaUDX The ANOTHER Story


15th STAGE 『作戦開始』

リュウ 「………」

俺は出撃前に機体の整備を確認しておく。

リュウ 「…機体の出力のスペックに装甲が着いていかないのか」

このままでは、最大出力でのエネルギーが使えない。
実弾重視のコンセプトでアセンブルした方がよさそうだな…。
俺はバズーカを装備しておく。
後はシムテム面を見直しておく。

リュウ 「出力を70%に設定…稼動チェック…OK」

そこで通信が入る、俺は通信モニターを見ると、リリスの顔が映し出される。

リリス 『リュウさん、そろそろ作戦時間らしいです…』

リュウ 「わかった、いつでもいいぞ」

俺は設定を終え、出撃準備を終える。


………。
……。
…。


時が刻一刻と過ぎていく。
やがて、館内放送が流れる。


ユーズ 『いいか、これより作戦を実行する! 後はお前らの判断で動け!!』

ユーズの声が聞こえ、艦のハッチが開く。
そして一番手にデュエルがカタパルトで出撃する。
俺はそれを見て、カタパルトに乗る。

リュウ 「…出撃する」

俺はそう言って、出撃した。


リュウ 「………!」

思った以上にGがかかる、機体の動きが敏感で助かるが、サスペンションが弱くGが多少きつい。


ゴゴゴゴゴゴゴ………!!


そして、レーダーに反応と同時、敵の戦闘機編隊が迫ってくる。


リリス 『リュウさん、敵数約30です…人型は反応無しです』

索敵を終わったのか、リリスが俺に伝えてくる。
そしてリリスはstep換装のeraで、シールドを構え前方に進む。
俺はリリスの索敵を聞くと、最前線に向かって一気に突っ込む。
デュエルはすでに戦闘に突入している。
動きを見ても、問題ない…いいパイロットだ。
後ろからエリカと彩葉がバックアップしてくれる。
俺は周りを把握し、デュエルの後追って行く。

リュウ 「…!」

俺は近づく戦闘機をバズーカで打ち落とす。
誘爆で数機の戦闘機が爆発する。

ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!

俺は敵のミサイルをブレードで切り払い、一気に駆け抜ける。



エリカ 「リュウとデュエルが抜けたわ! 後は私たちで艦を守るわよ!!」

彩葉 『はい!』

リリス 『…了解』

私たちは、各個撃破の態勢で、戦闘機を落としていく。



リュウ 「あれかっ」

デュエル 『ここからは降りてから行くぞ!』

俺たちは入り口の裏側に機体を隠して着陸させると、内部に入る。



………。
……。
…。



内部はそれほど複雑ではなく、デュエルが楽々と駆け抜けていく。
俺はその後を追って行くだけだった。

リュウ (…これ程楽なのか? 何もなければいいんだが)

俺はそんな不安を抱きつつも、走り続けた。



エリカ 「く、まだいるの!?」

彩葉 『増えてますよ〜?』

リリス 『…戦闘機機数、約100機、人型3機です』

エリカ 「100!? まぁ戦闘機はともかく…」

彩葉 『人型もいるんですね…』

リリス 『………』

私たちは各個撃破で、対応しようとするが、そこで通信が入る。

ユーズ 『今からこっちも砲撃に入る! 巻き込まれるなよ!?』

艦長から、そう聞くと、私たちは艦から離れて、撃破に向かう。

ギュゥンッ!! ズドオォ!! ズバアァンッ!!

G2の砲撃で戦闘機が次々と落ちていく。
だが人型はそれを器用にかわしてこっちに向かってくる。

エリカ 「く…これならどうよ!!」

私は3体いる内の一体を見定めて、ショットガンをばら撒く。
3機とも機体は同じように見えたが、カラーリングが違うだけだった。
そして、その内後方に控えている黒い機体には見覚えがあった。

エリカ 「まさか…ホルス!」

私は瞬時にエネルギーライフルを構える。
狙いは全員…放射線状に捕らえれば。
私は3機を一直線上に捕らえると発射する。

エリカ 「ロック! これで終わりよ!!」

ギュアアアアアアアアッ!!

最大出力のエネルギーが3機を捕らえる。

ズドンッ!! バアアアァンッ!!

そして、ホルス機以外が消滅する。
ホルス機はすでにその場にいなかった。

彩葉 『エリカさん、上です!!』

エリカ 「!?」

私はレーダーを見るが反応してない。

エリカ 「嘘!?」

バアンッ!!

そして上空からダメージを受ける。
衝撃は大きく、DXYが吹っ飛ぶほどだった。

エリカ 「いたた…どうなってるのよ!?」

リリス 『気をつけてください…あの機体、ステルス機能を持ってます』

私はそれを聞くと、レーダーを見る。
すると、今度は写っていた。

リリス 『恐らく、一時的に発生する物のようです、多分使った瞬間は隙ができるはずです』

リリスが冷静にそう答える。
よくわかるわね…私にはさっぱりだわ。



兵士 『少佐! すでに兵力はほぼ全滅状態にあります!』

兵士からそう通信が入り、私はこう答える。

ホルス 「お前たちは退却しろ、例の作戦を実行する」

兵士 『しょ、少佐はどうなされるので!?』

ホルス 「私は、もう少し楽しむことにしよう…」

私がそう言うと、残った兵士たちは急いで退却を始める。



リュウ 「…おかしい、ここには兵を回してないのか?」

さすがに俺は気になって口に出す。
それを聞いたデュエルは。

デュエル 「…ひょっとしたら、放棄した可能性があるな」

リュウ 「放棄…まさか」

俺たちは互いに頷き合うと、士朗のいる独房を探した。



………。



リュウ 「見つけたぞ!!」

俺がそう叫ぶとデュエルはすぐに駆けつけた。

士朗 「うん? 何だ…?」

士朗は寝ていたのか、体をゆっくりと起こす。

デュエル 「相変わらずだな…さっさとここから出るぞ」

デュエルはそう言って、火薬で牢の鍵を壊す。

ドンッ!!

士朗 「やれやれ…何やらドンパチやってるようだが?」

リュウ 「話は後だ…ここは爆発するぞ」

士朗 「爆発…? それは急だな」

士朗は冷静に答え、俺たちは急いでここを後にした。



………。



リュウ 「よし、急いで合流するぞ!」

デュエル 「多少窮屈だが、俺の機体に乗れ」

士朗 「うむ」

俺たちはすぐに機体に乗り、その場から離れた。


リュウ 「…センサーに熱源反応。やはりか」

俺たちの予想通りだった。
そして、収容所が一瞬光ったかと思うと…。



カッ! ズドオオオオオオオオオオオォンッ!!!!



爆発。
衝撃で機体が多少吹っ飛んだが、問題はなかった。

リュウ 「………」

どうやら、そこまでの爆発ではないようで周りへの被害はそこまででもなかった。
ともかくこれで任務は完了だ。
だが、そこで俺はホルスの機体を見る。

リュウ 「何だと…!?」

俺はホルスひとりに翻弄されている3人を助けるため、全速力で向かう。



エリカ 「くっそ〜…何でこんなに強いのよ!?」

すでにDXYの武装は弾切れを起こし始めている…これ以上は。

リリス 『リュウさんの機体が近づいてきてます…』

彩葉 『リュウさんが!?』



リュウ 「ホルス…!」

ホルス 「ほう…生きていたか、勘のいいやつだ」

俺はブレードを構え、ホルス機に切りつける。

ガキッ!

ホルスは左腕のシールドで止める。
瞬間、俺は機体を後ろに下げる。

ホルス 「ほう…少しは上達したか?」

リュウ 「俺には同じ手は通じん…」

隠し腕を警戒した俺は中距離からバズーカを打つ。

ヒュンッ!

だが、ホルスはそれを器用にかわしてみせる。
ホルスが距離を取ったのだ。
このバズーカでは射程が足りない…。

リュウ (あの機体であそこまで動くとはな…)

俺は雪月花の出力を限界まで上げる。
リミッターを解除すれば、一時的に追いつけるだろう。
ただ、持って1分か。

リュウ 「おおおっ!!」

俺は機体を全力で動かす。
予想以上に体に負担がかかる。

ホルス 「む…!?」

ホルスの機体をモニターで確認してブレードを振り下ろす。

ガキャアッ!!

ホルス機の左足を切り裂く。
そしてホルスは距離を取ろうとする。

リュウ 「逃がすか!!」

俺は軋む体を突き動かして、追う。

ホルス 「ちぃ!」

ホルスは急ブレーキして、こっちに向かってくる。

ドガァッ!

互いの機体がぶつかる衝撃、そしてホルス機が雪月花の懐に入る。

リュウ 「くっ!」

瞬間、ホルス機は雪月花を捕まえ、隠し腕が姿を現す。

ズバアンッ!!

雪月花の両腕が落とされる。
俺は目の前にある、ホルス機の頭部に向けてバルカンを発射する。

ズドドドドドドドッ!!

ホルス 「くぅっ!」

ホルス機の頭部が爆発し距離が離れる。

リュウ 「茶倉!」

俺はそう呼びかけると同時に、ホルス機を蹴り飛ばす。

ドガッ!!

ホルス 「!?」

そして吹っ飛んだホルス機の背後から、桜が高速で近づく。

茶倉 「これまでよ!!」

茶倉がブレードでホルス機の背中を切り落とす。

ズバァンッ!!

ホルス機は、機体制御を失ったのか、そのまま地上に向かって落ちていった。

リュウ 「……よし、任務は完了だ、撤退するぞ!」

俺がそう言うと、全員G2に帰還した…。

リュウ 「……」

俺はホルス機を見るが、動く気配はなかった。

リュウ (…また会うだろうな)

俺はそう思うと、ボロボロの雪月花で戻った。



………。
……。
…。



ユーズ 「よくやった、皆」

俺たちが無事に帰ってくると、ユーズがねぎらいの言葉をかけてくれる。

士朗 「わざわざすまんな」

士朗がユーズの前に出て、そう言う。
するとユーズは微笑し。

ユーズ 「へっ、お前がドジ踏んだっていうからわざわざ来てやったんだ、感謝しろよ?」

士朗 「ふっ、そうだな」

士朗も微笑して、互いに向き合う。
どうやら、このふたりは以外に長い仲なのかもしれない。

ユーズ 「ともかく、これからはお前もこっちで働いてもらうぞ?」

士朗 「ああ、ところで愚弟はどうしてる? こっちにいるはずだが…」

士朗がそう言うと、ユーズは『ああ』と手を打ち。

ユーズ 「部屋ですねてるぞ、折角副砲撃たせてやるといったんだが…」

士朗 「…あいつはパイロット志願のはずだが?」

ユーズ 「機体がないんだよ…」


………。


その場の全員が凍りつく。

士朗 「…まぁいい、とりあえず基地に戻れ」

ユーズ 「そうだな…ようし、アジトに戻るぞ!!」

こうして、俺たちはホルスを退け、無事に戻るのだった。





兵士 「ホルス様! ご無事ですか!?」

機体が機能停止している所に兵士が迎えにくる。

ホルス 「…機体がやられただけだ、心配はいらん」

俺はそう言うと、処置を兵士に任せて、迎えの輸送機に乗る。

ホルス (くくく…面白いな、やはりゲームはこうでなくては)





リュウ 「………」

俺は部屋で少し休んでいた。
さすがに無理をしたのか、体も軋みきっている。
あれから機体を改めて見たが、両腕を失ったことで、武装を失い、リミッター解除の影響でサスペンション、ジェネレータが音を上げていた。

リュウ 「また、ナイアにどやされるな」

ふとそんなことが頭に浮かび、頬が緩む。
心に余裕が出来始めているのがわかる。
記憶が徐々に戻り始めているのだろう。
そして、俺の部屋に誰かが来る。

エリカ 「エリカだけど、ちょっといい?」

俺はその声を聞くと、ドアを開ける。

リュウ 「珍しいな…何の用だ?」

俺は入り口に立ってそう聞く。

エリカ 「リュウ…あなた本当に記憶がないのよね?」

突然そんなことを言われる。
今更何だ?

リュウ 「…まだ、な」

俺はただそう答えた。

エリカ 「…私は未だに記憶のかけらも戻らないわ」
エリカ 「あなたのことすら曖昧なまま…リュウは思い出せない? 私との出会い初めとか…」

俺は少し考えるが、思い当たる物はなかった。

リュウ 「…すまんな」

俺がそう言うと、エリカは少し残念そうに。

エリカ 「そう…ごめんなさいね、疲れてるところ」

エリカはそう言って去っていった。

リュウ (記憶…か)

前までそれほど気にはならなかったが、俺とエリカとセリカ…。
この3人が記憶を失っている、または曖昧になっている。
俺はそのことに少し、疑問が生まれ始めた。
もしかしたら、今の俺たちの記憶は、誰かの意図で勝手に植え付けられたのではないだろうか?
元の記憶を戻したら問題がある…?
もしそうだったら、何故?
俺たちの記憶に何があると言うのだ…?
考えれば考える程疑問が生まれる。
だが、全ては推測に過ぎなかった…。
少なくとも、俺の記憶は徐々に戻り始めていることを、実感できた…。

…To be continued

ANOTHER


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