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beatmaniaUDX The ANOTHER Story


17th STAGE 『LOVE SHINE』

西暦2004年2月14日18時00分。地球にて…。



美夏 「はぁ〜、今日は大変だったわねぇ…」

私は仕事が終わり家に戻った所で、そう優里に語りかける。

優里 「そうね…少し疲れたわね」

優里はそう言ってコーヒーメーカーを起動させる。

彩香音 「…何かあったの?」

彩香音はまるで意味がわかってないようにそう言った。
私は少し驚いて、沈黙する。

美夏 「…彩香音、本気で言ってる?」

優里 「美夏…彩香音はそこまで馬鹿じゃないわよ?」

優里がフォローを入れる、でも彩香音は…。

彩香音 「な、何よ〜? 何のこと?」

そう言って、?を浮かべる。

美夏 「ほら…」

私がそれ見たことかという風に優里を見る。

優里 「彩香音…本当に忘れてるの? 今日は何の日か…」

優里はまさかと言う風にそう言う。

彩香音 「…誰かの誕生日?」

案の定ボケてくれる…さすがに笑えなかった。

美夏 「もういいわ…何か、余計疲れる」

私はそう言ってソファーに倒れこむ。

彩香音 「な、何よ〜…気になるなぁ、今日は何日? え〜と………ああ!」

彩香音はカレンダーを見たところでようやく気づいたようだ。

美夏 「馬鹿…」

私は倒れながらそう呟く。

彩香音 「べ、別にいいじゃない!! 誰かにあげるわけでもなし!」

美夏 「まぁ、そうだけどね…仕事中に注目されて困るのよ〜…優里なんか、酷かったんだから…」

優里 「まぁまぁ…モテるのは悪いことじゃないでしょ?」

優里はそう言って口元に手を当てて笑う。
この仕草とかが男には受けが良いのよねぇ…。

彩香音 「どうせ、私はモテないわよ…」

彩香音はすねてしまう。
私はそんな彩香音を見て、つい笑う。
そんな時、ふと…遠い世界の友人を思い出す。

美夏 「…そういえば、セリカたちどうしてるかなぁ? ヴァレンタインのことは教えておいたから、今日あたり凄く騒いでるかも…♪」





そして、ここ反VENOM軍アジト、略してAVG(アヴィゴ)アジト。地球時間にして同日、10時。



セリカ 「ふっふっふ…ついにこの時間が来たわね!」

私は時間を確認して笑う。
地球でこの事を聞いて、はや数百時間…。

セリカ 「今日こそはハート・ブレイクよ!!」←注!:それは失恋です、良い子は真似しないように!

私は心臓を抉るような軌道で拳を振るう。
準備はOK! いざ行かん!!

セリカ 「徒歩で…!」

私は心踊る気持ちを抑えながらもゆっくりと歩く。



彩葉 「リリス〜、今日はまたどうしたの? 急にチョコを作るなんて…」

リリスは大きな壷の中にグツグツとチョコを煮立てている。
リリスは土台の上に乗りながら、大きな棒でかき混ぜている。
私はその手伝いをしていた。

リリス 「…今日はヴァレンタインだから」

リリスがふと呟く。
ヴァレンタイン…? 何か危なそうな響き。
聞きなれない言葉だった。別の銀河の言葉かな?
そんなことを考えていると。

リリス 「…ヴァレンタインは、好きな人にチョコをあげる日」

リリスが小さくそう呟く。
私はそう聞いてはっとなる。

彩葉 「えー!? じゃあリリスって、好きな人がいるの!?」

私は驚きながら、そう聞く。
するとリリスは小さくはにかんで。

リリス 「…秘密です」

頬を紅めながらそう言った。
そうかぁ…何か羨ましいなぁ。



ナイア 「ふぅ〜…や〜っと終わった〜……」

私は雪月花の修理修正とエレキ用の新機体を組み上げてその場で仰向けに倒れる。

ダルマ 「お疲れ様で〜す」

ダルマがお茶を持ってきた。
私は上半身を起こしてそれを受け取る。

ナイア 「本当に疲れたわ…まだAbyssも出来上がってないのに」

ABSOLUTEの改修機Abyss。
基本的なコンセプトは変わらないけど、フレームと装甲に新素材を使ってあるから、ほとんどは作り直し。
まだ組み上げすら終わってないので先が重い。

ダルマ 「雪月花は随分と変わりましたね〜、武装面はほとんど見直しましたからね」

ダルマはタオルで顔を拭きながら、雪月花を見つめる。

ナイア 「そうね、接近戦にブレードを廃止してパイルバンカー、ヒートワイヤーを装備」
ナイア 「実弾バズーカをエネルギーランチャーに変更。ジェネレータも見直して、出力は当社費150%」

ダルマ 「その分重くはなりましたね…装甲が軽くて高強度なんでありがたいですけど」

ナイア 「そうね、まぁ軽量級から中量級なったって所ね、その分持続性は大分増したわ」
ナイア 「まだ、試験をしないことには正確な数値がわからないから不安は多いけど」

ダルマ 「全く…戦争って厄介ですよね」

ダルマがそんな風に呟いていると。

ツガル 「ダルマ…これ」

ツガルは綺麗な包装に包まれた細長い板(?)をダルマに渡す。

ダルマ 「うん? 何だこれ…? 基盤か?」

ダルマは意味がわからないように包装を解く。
すると、綺麗な色をしたチョコが顔を出す。

ダルマ 「チョコか…急にどうしたんだ?」

ダルマはそう言ってチョコを口に含む。

ダルマ 「お…美味いぜ♪」

ダルマはそう言ってチョコを食べる。

ツガル 「えっとね…地球では、今の時間はヴァレンタインって言う日らしいの」
ツガル 「その日では、女の子が好きな人にチョコをあげるって言う風習があるんだって」

ナイア 「正確には、地球の日本では、ね…地域によっては日付が違うし、同じ星でもどこでもその風習があるとは限らないから」

ダルマ 「へ〜、地球の風習ね………ん?」

そこで、ダルマは止まる。

ダルマ 「ってことは…これはつまり……?」

ダルマは目を点にしてツガルを見る。
ツガルは頬を紅らめながら。

ツガル 「……やだ、恥ずかしい」

そう言って目を逸らしてしまう。
あらあら…熱いわね〜、って私もうかうかしてられないか…。

ナイア 「それじゃあ、ダルマはツガルとデートでもしてきなさい、私もやることあるし」

私はそう言ってそそくさにその場を離れた。





リュウ 「………」

妙に、悪寒がする。
廊下を歩いている時にふと思った。

リュウ 「…?」

後ろを見るが誰もいない、気配も感じない。
ただ、視線を感じた。

リュウ (まさか、敵のスパイか…!?)

俺は、意識的に気配を消しながら歩く。

………。

リュウ 「……」

やはり視線を感じる。
それも一方ではなく、色んな方向からだ。

リュウ 「……」

気のせいなのか? それともこれも特殊な俺の力なのだろうか?
記憶が戻ることを実感する度にそう言った症状が現れ始めていた。
俺は、普通じゃないのか…。
強化人間…。
人を洗脳し、精神を強化することで戦闘能力を飛躍的に上げる。
理屈ではわかるが、実際に行われたという事実は知らない。
俺は、強化されたのかもしれない…ナイアはそう言っていた。
だが、俺のこの力は人為的な物とは考えにくかった。

リュウ 「俺自身の力か…調べてみるか」

俺はそう思い、研究施設に向かった。


………。
……。
…。


『AVG研究施設』
主には、機械系の研究を進めており、日々新兵器、新素材等を研究している。

リュウ 「ここか…」

研究員 「リュウさん、でしたか?」

近くの研究員が近づいてくる。

リュウ 「少し…聞きたいことがある」

俺はそう言って、自分の体のことを持ちかけた。


………。


リュウ 「………」

俺は様々な検査を一通り受け、研究員の部屋で休憩しているところだった。
やがて、集計を終えた研究員がやってくる。

研究員 「…お待たせしました」

そう言って研究員は自分の椅子に座り、カルテを片手に俺を見る。

リュウ 「………」

俺は黙って言葉を待った。

研究員 「そうですね…とりあえず、普通ではない…とだけ言っておきましょうか」

俺はそれを聞いてやはりか、と思う。
自分の体だけに、ある程度予測できたことだ。

研究員 「…強化の件ですが、とりあえず痕はありました」
研究員 「しかし、それは精神を強化する程のものではなく、ただ洗脳するためだけと分類していいレベルの物ですね」
研究員 「…例として、あなたの反応速度等を計算すると、少なくとも一般のエースパイロットの反応よりも倍以上の速度を持っていますね」
研究員 「これは強化のせいではなく、あなた自身の能力ということはテストの結果を見て明白です」
研究員 「何と言えばいいんでしょうかね…? 人間とは思えない…それが第一印象です」

研究員はそう言ってふう、と椅子に持たれかかる。

リュウ 「…何故、俺がそんな力を?」

ふと疑問に思う。
俺にはそんな能力が最初からあったんだろうか?
俺の記憶は答えてくれなかった…。

研究員 「…過去に、一例だけありました…もっとも聞いた話ですので、証拠はありません」

そう言って、研究員は静かに語りだす。

研究員 「かつて、この銀河に大戦争が起こりました…。開戦からかなりの時間が経ち、膠着状態に陥った中、ひとりのパイロットが片方の軍に現れたそうです」
研究員 「そのパイロットは、人間離れした能力で、圧倒的な力を見せ、戦争を終結させました」
研究員 「…その時のパイロットの反応速度は、リュウさんとほぼ同じ数値…」

リュウ 「…俺と、同じ?」

研究員 「証拠はありませんが、ね…それに話自体も恐らくかなり誇張されていると思います…相当古い話ですから」

リュウ 「…そうか」

研究員 「…気休めかもしれませんが、あなたは普通の人間ですよ」
研究員 「生活のリズム、生理現象…全く普通です、気に病むことはないと思います」
研究員 「あなたのその力は…生き残るための力と思ってください。皆を守るための力だと…」

リュウ 「……感謝する」

俺は立ち上がって、研究室を出た。



………。



リュウ 「生き残るため…皆を守るため…か」

俺はそんなことを呟く。
そして、ふと目の前に人影を見つける。

トラン 「……リュウさん」

トランだった。
思えば、俺以上に不思議な能力を持った人間がここにいたな…。

リュウ 「…何か用があるのか?」

トラン 「……用がなかったら、迷惑ですか?」

トランは少し悲しそうにそう言う。

リュウ 「…いや、構わない」

俺がそう言うと、トランは安心したように。

トラン 「…これ、どうぞ」

トランは何やら、薄い板のような物を差し出す。包装されているので中身はわからない。

リュウ 「…基盤か?」

俺は包装を空けてみてみる。
すると、中から現れたのは…。

リュウ 「…黒い板?」

それが第一印象だった…。

トラン 「…チョコです」

そう聞いて俺は、ああと思う。
普段から、こう言った物を食べる機会がないので、実際食うのは記憶のない状態では初めてだ。

リュウ 「………」

俺は一口食べてみる。

リュウ 「……甘い」

当然だが。

トラン 「……甘い分だけ、気持ちがこもってますから」

トランはそれだけを言って、小走りに去っていった。

リュウ 「……?」

俺は少々疑問を持ちながらも、残りのチョコを平らげた。
悪くない味だった…。


………。


セリカ (ま、まさかトランに出し抜かれるなんて…! 完全に出るタイミングを逃したわ…侮るべからず)

私は作戦を変更することにした。



リュウ 「………」

ここでまた視線を感じる。
今度は近いことが確認できた、この気配は間違いなく。

茶倉 「リュウーーー!!!」

廊下の向こうから、走って来る茶倉が見えた。
俺はその場で立ち尽くす。
やがて俺の前で立ち止まり、茶倉は黒い物体を俺に差し出す。

リュウ 「……爆弾か?」

だが導火線は付いていなかった…。
違うようだ。

茶倉 「チョコよ!! チョコ!!」

俺は直径10cmはある黒い球体を受け取る。
一応、透明の袋に包んであるようだった。

リュウ 「……」

茶倉 「言っとくけど…本命だからね!?」

そう言って茶倉は珍しく、すぐにその場を走り去った。

リュウ 「………何かあったのか?」

俺は視線の意味がわかったような気がした。



リュウ 「…そうか、何か特別な風習があるようだな」

歩きながら考えていると、そんな結論に行き渡った。
すると、今度は後ろから妙な気配が…?

リュウ 「!?」

ヒュンッ!! パシッ!

俺は目の前に飛んできた『矢』を止めて見せた。
何で矢が…?
すると、何やら人影が去っていくのが見えた。
誰かは確認できないが、予想は出来た。
そして、俺はその矢を見ると、鏃が黒い物体で出来ていることに気づいた。

リュウ 「まさか…これもチョコ…か?」

矢には可愛いリボンがついており、鏃はハート型だった。
一応、鏃を袋に包んでいたので、すぐに食べなくても良さそうだ…。

リュウ (というよりも、俺に向けて放つ意味があったのか?)

変なことに疑問を持ちながら俺は廊下を進む。
すると、ナイアが歩いてきた。

ナイア 「あら、リュウ君、こんな所にいたの? 探したわ〜」

リュウ 「……お前もチョコか?」

ナイア 「…お前もって事は、他にも貰ったのね…まぁいいけど」

リュウ 「………」

俺は半分諦めたように、無言で立ち尽くした。

ナイア 「はい、ヴァレンタイン・チョコ。まぁ一応義理ということにしておくわ」

そう言って、ナイアは包装に包まれた板チョコを差し出す。

リュウ 「ヴァレンタイン? どこの言葉だ?」

俺は聞きなれない言葉に疑問を持つ。
するとナイアは笑いながら。

ナイア 「好きな人に、チョコをあげる風習だそうよ? まぁ、私は義理だけど」

そう言って、ナイアは去っていった。
俺はさらに増えたチョコを持って、立ち尽くした。

リュウ 「…これだけの量どうしろと?」

俺はここでふとした事に気づいた。

リュウ 「好きな人に…か」

俺は思うといつのまにか、売店に向かっていた。



………。



ジルチ 「…ふむ、聞いた話だとどうもチョコを渡す習性があるらしいぞ?」

俺はふとそんな情報を入手して、孔雀に話し掛ける。

孔雀 「ふむ、俺も聞いて用意しておいたぞ!」

孔雀はそう言って、板チョコを見せる。

ジルチ 「おお、準備がいいな、よし俺も!!」

そう思い立って、俺も売店に向かった。



ナイア 「………」

ジルチ 「ナイア、受け取ってくれ!!」

孔雀 「遠慮はいらないぜ!」

私はふたりからチョコを差し出されて、呆然とする。

ナイア 「………」

ジルチ 「何だ、どうしたんだ?」

孔雀 「…気にしなくてもいいぞ? 遠慮なく…」

ナイア 「…いや、あのね…ヴァレンタインは『男が』じゃなくて『女が』チョコをあげる物なのよ?」

ジルチ&孔雀 「!?」

ふたりは唖然とした表情で立ち尽くす。

ナイア 「ちなみに、私はあげるつもりはないから、忙しいから近づかないでね?」

そう言って私は、作業を続ける。



セリカ 「まずいわ…いつのまにか、随分と遅れてるわ」

私は作戦をどうしようかと考えていた。
すると、ふとしたころから、ユーズ艦長に会う。

ユーズ 「…ああ、セリカ、その〜…まぁ何だ、奇遇だな」

艦長は何故か、落ち着かないようにそう言ってきた。

セリカ 「あの…何か?」

ユーズ 「いやぁ…その何だ、今日はいい天気だなぁ…小鳥も囀っているなぁ」

艦長はわけのわからないことを言い出す。
ちなみに、室内でその会話はおかしい。

セリカ 「あの…私急ぎますんで」

私はそう言ってその場を後にする。

ユーズ 「あ…!」

エレキ 「艦長、フラれたんすか?」

ユーズ 「やかましいっ!!」



………。



リュウ 「………」

俺はエリカを探す。
部屋にいないようなので、少し困っていた。
だが、こう言う時は俺の勘が役に立つようだ。
俺は訓練施設に辿り着いた。
すると、案の定いた。

エリカ 「あら、リュウじゃない…どうかしたの?」

エリカは運動用の服で、汗をかいていた、タオルで汗を拭く姿が妙に気になった。

リュウ 「…いや、これをな」

俺はチョコをエリカに渡す、売店で買ったものなので、特に凄いものでもないが。

エリカ 「あら、チョコ? お腹空いてたから助かるわぁ〜」

エリカはそう言ってチョコを食べ始める。

? 「あーーーー!?」

突然、叫び声が聞こえる。
俺とエリカが驚いて、そっちを向く。

セリカ 「や、や、や…」

エリカ 「セリカ…?」

セリカはその場で俯きながら震えていた。
そして。

セリカ 「やっぱり、リュウはエリカが好きなんだーーーーー!!!」

そう言って走り去ってしまった。
その場に、チョコを残して。
女の子らしい包装に包まれたハート型の板チョコだった。
俺はそれを拾い上げる、落ちた衝撃で割れてしまったようだ。←これぞハートブレイク。良い子は絶対真似すんな?

エリカ 「えっと…どういうこと?」

リュウ 「いや…気にするな、すまない俺は」

俺が言おうとすると。

エリカ 「わかってる、行って来て…どうせ変な誤解したんでしょ?」

そう言ってくれた。
俺はすぐにセリカを追った。



………。



リュウ 「セリカ!」

俺は廊下で泣いているセリカを見つけ、呼びかけた。
すると、セリカは俺の顔を見て、逃げ出そうとする。

リュウ 「!」

俺はセリカの腕を掴んで、止める。

セリカ 「ううっ、何よぉ…! 私なんて…!」

リュウ 「いいから聞け、勘違いするな」

俺はあえて、嘘をつくことにした。
俺がそもそもの原因だが、セリカをこのままにはしておくのは俺に出来なかった。

セリカ 「え…?」

リュウ 「俺はエリカに差し入れをしただけだ…それがただ単にチョコだっただけだ」

セリカ 「…嘘っ! どうしてそんな嘘をつくの!?」

ばれている…さすがに、俺も迷った。
どうするべきなのか。
そもそも、俺がこのような行動に出たこと自体が不思議だった。
ただ、好きな人と聞いてエリカが浮かんだ…それは事実だった。

リュウ 「すまない…記憶が混乱してるかもしれない」

俺は記憶のせいにした。
行き当たりばったりだが、それしか言えなかった。
すると、セリカは何かを悟ったのか。

セリカ 「…ごめん。私が悪いのに……」
セリカ 「私って…自分勝手だよね。自分の思い通りにならないと気がすまない…わがままな性格」

セリカはそう言って泣きじゃくる。
俺は何も言えなかった。
だが、次の瞬間。

茶倉 「リュウーーー!!」

俺は茶倉に懐を取られる。
そのまま押し倒されそうになったが、俺は何とか堪える。

茶倉 「私のチョコ美味しかった? 『一応』手作りだから!」

そう言って茶倉は顔を俺の胸に摺り寄せる。

リュウ 「さ、茶倉…!」

俺が引き剥がそうと思うと。

ぶちっ

何かキレる音がした。

セリカ 「このぉ…人が悲しんでる時に、乱入してくるんじゃないわよ!!!!」

セリカは瞬間茶倉を後ろから片手で引き剥がし、そのまま首をロックする。
見事なドラゴンスリーパーだ…。
さしもの茶倉も悶絶の表情だ。
彩葉も大変だな…。

茶倉 「ぐががが!!」

茶倉は根性で耐えるが、セリカは離さない。
こう言う時のセリカの力はエリカを超えているかもしれない。
茶倉がオチるのも時間の問題かもしれない。

セリカ 「大体、あんたわねぇ!? 節操ってものがないの!?」

セリカいつのまにか説教モードに入っていた。
茶倉に聞こえているかは微妙だが。

セリカ 「いっつもいっつも、横から入ってきて、ちょっとは空気を読みなさいよこの馬鹿!!」

茶倉 「ぶぶぶ、ぶるざい、ごぶずべ!!」

もはや声になってない…ある意味断末魔だ。

セリカ 「聞・い・て・る・の!?」



………。
……。
…。



その日…AVG全域に渡って、魔人が降臨したと後に語られることになったという…。





彩葉 「………」

リリス 「……グロッキーですね」

ナイア 「暴れたわねぇ…」

セリカ 「だって〜…茶倉が」

トラン 「……はぁ」
クロロ 「にゃ〜…」

トランのため息ははじめて聞いた気がした。

リュウ 「………」

俺は、この時、セリカを怒らせるのは止めようと、本能に覚えさせた…。

エリカ 「…何でこうなるの?」

…To be continued

ANOTHER


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