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beatmaniaUDX The ANOTHER Story


24th STAGE 『Dreamin' Sun』

リュウ 「………」

ザザァ…ザザンッ……

『波』の音。
時刻10:30…『沖縄』のとある海岸。
美夏、優里、彩香音の3人の車でしばらく必要な物を店に買出しに行ってから艦を停泊させている海岸に戻ってきた。
その後、女性人は艦の部屋で買ったばかりの水着に着替えをしている最中だ。
俺は着替える手間がかからないので、すぐに外に出た。
『海』を見た第一印象は…。

リュウ 「水平線が見えるぞ…」

それほど広かった。
宇宙から見てもそうだったが、地球は水が陸地よりも多い。
海というのは、その少ない陸地を繋げているのだから、広くて当然か…というよりも湖とかそういうLVではないぞこれは。

美夏 「わぁ…誰もいないよ〜?」

すでに女性陣は水着に着替えているようで、艦から次々と降りてくる。

優里 「本当ね…プライベートビーチのようね」

彩香音 「わぁ〜、久し振りに泳ぐな〜」

美夏はしばらく海岸を見渡していく。
優里は、場所を見繕ってパラソルを立て、その下にビニールシートを敷いた。
彩香音はすぐにでも泳ぎたいのか、体操をしている。

セリカ 「うわ…本当に広いね。これ全部、水…」

着替えて終わって出てきたセリカは、海を見てそのまま固まる。
他の星ではここまで水があるのは珍しすぎるからな。
文明的にはあまり進んでいないかもしれないが、緑や水がここまであるというのは、宇宙でもここだけかもしれない。

彩葉 「うう…気のせいか、首が痛い」

彩葉は首を抑えながら艦から出てくる。
セリカのせいだな…。
彩葉は海岸に出ると、サングラスをかけた。

エレキ 「彩葉…サングラス使うのか?」

気になったのかエレキがそう聞く。
艦の治療室で、ずっと治療受けていたので、どうにか動く程度には骨は繋がったようだ、割と普通に動いていた。

彩葉 「う〜ん、何となくだけどね…紫外線に気をつけたいから」

そう言って彩葉は、パラソルの下で折畳式の椅子をセットして寝転ぶ。

エレキ 「って、泳がないのか彩葉!?」

彩葉 「首が痛いから、しばらく休ませて…」

エレキ (セリカさんが与えた手傷か…)

エレキは何かを考えて、とりあえずこっちに来た。

エレキ 「師匠、師匠…これってどうやって使うんですか?」

エレキは何やら、四角い長方形で、レンズのついた物体を差し出す。

リュウ 「…レンズ? スイッチ…?」

俺はそれを見て、商品名を読んで、ああとなった。

リュウ 「カメラか…しかし大きいな」

この商品自体は、『コンパクトサイズ』だと書いてあるが。
どう見ても、不必要に大きい気がする。
後80%は小さくできると思うが…。
しかし見ると、どうもフラッシュする機能がついているようだ。

リュウ (フラッシュ…? 何の意味がある? ああ、夜間で鮮明に見るためか…しかしそれでは盗撮の意味はないのでは?)

そもそもエレキが何のために?

エレキ 「どうですか? 使い方とかわかります?」

黙考している俺を見てエレキが尋ねる。

リュウ 「…このレンズを見れば、写す先が見える」
リュウ 「それで、今度は写したいものをロックして、このボタンでシャッターだ。フラッシュの機能がついているから、このロックを解除することで使用可能だ」

俺は、わかる限りで説明する。

エレキ 「…了解です師匠!」

エレキはそれを持って何故かすぐ近くの林の中に入っていった。

リュウ 「………?」

謎は深まるばかりだ…。

ナイア 「…エレキは元気ねぇ、私はまだ体が痛いわ…」

ナイアは節々を抑えながら、そう呟く。

リュウ 「ゆっくり休んでいろ、無理に運動する必要はなかろう」

俺がそう言うと、ナイアはパラソルの下でシートに寝転がる。

彩葉 「ナイアさん、椅子まだありますよ〜」

彩葉がそう言って、折りたたまれた椅子を指差す。

ナイア 「別にこのままでいい〜…もう痛くて痛くて」

ナイアは動くのも辛いのかぐったりしていた。

優里 「ふふ…さすがのナイアも怪我には形無しね」

優里がナイアの枕元で座ってそう笑う。

リュウ 「……」

俺は艦の方に目を戻す。
すると、リリス、エリカ、ダルマ、ツガル、トラン、クロロの順で降りてきた。

リリス 「………」

トラン 「…広いですねやっぱり」

ツガル 「トランちゃんって、海見たことあるの?」

トラン 「故郷にありましたから…」

トランはそう呟く、そうなのか…。

クロロ 「にゃあ〜」

クロロはあくびをして、体を伸ばす。
そのままクロロはパラソルの方に走っていった。

エリカ 「………」

何故かエリカも後を追う。

リュウ 「……?」

特に気にしなかったが、クロロはセリカに近づいていっているようにも見えた。
珍しいからな…クロロとセリカが出会うのは。
いつもセリカが避けているからな。

リュウ 「………」


セリカ 「いやあああああああ!!」

予想通りというか何と言うか、セリカが悲鳴をあげて逃げる。
クロロがそれを追う。
その後を何故かエリカが追う。
意味深な光景だ。

トラン 「…クロロ、セリカさんが好きなのかな?」

リリス 「……」

リリスは答えなかった。

ダルマ 「てか…暑い……」

ダルマは頭にフードを被ったままなので当然だと思うが。

ツガル 「脱いだらいいのに…フード」

ダルマ 「トレードマークだからな…」

しかし、そのままでは泳げないだろう。
ダルマは汗を拭って、その場でツガルと談話していた。

リュウ 「…ふぅ」

しかし確かに暑い。
ついさっきまでは寒いくらいだったのだが。
地域によって気候がここまで違うのも地球の謎だな。
環境を自然に任せているから、当然と言えば当然だが、それだけで人間が反映していると言うのは魅力だろう。

セリカ 「いやあああああああ!」

クロロ 「にゃ〜」

エリカ 「………」

まだ追い掛け回していた。

ナイア 「元気ね…」

彩葉 「元気がないよりいいですよ、エリカさんも、段々馴染んできてますし」

ナイア 「馴染むって言うのは…適切じゃないんだけどね」

彩葉 「…そうでしたね、ごめんなさい」

そう、エリカは馴染んでいた。
まるで別人のように、それが逆に辛いことでもあった。



………。
……。
…。



セリカ 「きゃあ冷たいっ」

美夏 「あははっ、ほらほらっ」

美夏が海水をセリカにかける。
これだけ暑ければ、水浴びもちょうどいいだろう…。

リュウ 「………」

彩香音 「リュウさん、泳いでる〜!?」

彩香音は一体どこまで泳いでいたのか、息を切らしながら泳いで戻ってきた。

リュウ 「……ああ」

俺はとりあえず頷いておく。
波のせいだろうか、あまり泳げる気がしなかったが…。
プールでしか泳いだことがないからな。



ナイア 「はぁ〜、いい気分ね…」

私はうつ伏せに寝転がってぼ〜っとしているのが何気に気持ちよかった。

優里 「ふふ、折角だから体でも焼いたらいいのに」

ナイア 「焼く!? 何で!?」

突然の優里の発言に私は驚く。

優里 「体を焼くのは、健康の証みたいなものよ? まぁ、肌を気にする人はあまり焼かないけど、彩葉みたいに」

彩葉 「………」

見ると、彩葉はサングラスにパラソルと完全装備で紫外線をシャットアウトしていた。


パシャッ!!


彩葉 「!?」

突然、閃光。
何かが光ったのか、それに驚いて彩葉が起き上がる。

彩葉 「??」

周りを見るが、特に異常はなかった。
でも…林の方からフラッシュ……?

優里 「カメラのフラッシュかしら…?」

ナイア 「カメラにフラッシュ…? 何か機能美を無視した設計ね」

優里 「こっちでは、撮影は記念がほとんどだから」

ナイア 「ああ、成る程…それなら、別にそれでもいいか」

というよりも、すでにフラッシュの元は話から外れていた。



エリカ 「………」

クロロ 「ふぁ〜」

トラン 「………」

見ると、エリカさんは正座でビニールシートに座って膝にクロロを乗せて撫ででいる。
はたから見ると…お婆ちゃん?
失礼なので、さすがに訂正する。

ダルマ 「…でも、こう言うのもエリカさんって意外に似合うよな」

ツガル 「確かにそうよね…前のエリカさんからは想像できないけど」

トラン 「…クロロも嬉しそうです、エリカさん…猫が好きみたいでしたから」

エリカさんは海にいるリュウさんをずっと見ていた。

トラン 「………」

セリカさんは猫が嫌い…まるでエリカさんの逆。
そう考えると、エリカさんとセリカさんは反する部分が多いように見えた。
存在そのもの…身体能力…好物(?)。

トラン (…でも、大丈夫だよね)

確信は確かにあるような気がした、エリカさんは自分を取り戻そうとしている。
正しいかどうかは、本人にしかわからない。
今は信じるしかなかった。



………。
……。
…。



ユーズ 「…おい、セリカたちはどこにいるんだ?」

俺たちはG2をREINCARNATIONの近くに着陸させたが、誰も見当たらなかった。

孔雀 「…場所間違ってるんじゃないのか?」

ジルチ 「少なくとも、人はいないぞ」

デュエル 「……本当に場所を確認したのか?」

俺たちは手分けして探す。
そして、REINCARNATIONはそこから10キロ程先立ったと気づいたのは数時間後だった。
ステルスを使ってるからレーダーにも反応しないしな…。



リュウ 「………」

エレキ 「いいっすね、こう言うのも」

セリカ 「遊んだね〜」

美夏 「あははっ、楽しかった〜!」

ダルマ 「結構難しかったな…」

ツガル 「でも楽しかったね」

俺たちは浅い所でビーチバレーに講じていた。
男3人と女3人でチームを組んで戦ったが、こう言うのは女の方が得意なのか、結果は惨敗だった。



彩香音 「はぁ…はぁ…やるわね」

茶倉 「あなたこそ…やるじゃない……」

トラン 「お疲れ様です」

彩香音さんと茶倉さんは、突然遠泳で勝負しだした。
どこまで行っていたのか、1時間は帰ってきてなかった気が…?
その間、私はリリスさんと砂遊びをしていた。

彩香音 「今日は引き分けね…!」

茶倉 「私の方が、胸の差で勝っているはずよ!」

彩香音 「…それは判定に関係ないんじゃ?」

もっともな反論だった。

リリス 「…それでも彩香音さんの勝ちですけど」

茶倉 「ぐはっ…墓穴」

体は彩葉さんということを忘れているようだった。



ナイア 「…さて、そろそろ帰ろうか?」

俺たちは集まって帰る相談をしていた。

優里 「そうね…じゃあホテルまで行きましょうか?」

ナイア 「別に艦で寝てもいいと思うけど…?」

優里 「う〜ん、そうねぇ…じゃあお願いしましょうか♪」

ナイア 「別にいいわよ、そっちが気にしないんならね」

セリカ 「でも、何日ぐらいここにいるの?」

美夏 「そうねぇ、2泊位と思ってるけど…」

リュウ 「俺たちはそこまで問題あるまい…?」

セリカ 「うん…でも、いつまでもここにいるわけは」

エリカ 「………」

クロロ 「……」

エリカを見てそう言う。
クロロはエリカの膝の上で気持ちよく寝ていた。
心なしかセリカが怯えているようにも見える。

ナイア 「少なくとも私が回復するまでは、ね」

エレキ 「俺はほとんど大丈夫ですけどね…」

エレキは言葉どおり、完治しているように見える。

ナイア 「若いっていいわね…」

リリス 「…オバサン臭いですよ?」

ナイア 「…はっきり言うわね」

リリス 「…若いですから」

ナイア 「………」



………。



しばらくの沈黙、とりあえず俺たちはすぐそこに停めてある艦に戻った。



………。
……。
…。



ユーズ 「………」

孔雀 「やっぱり…」

ジルチ 「誰もいねぇ!!」

すでに夕日が沈んでいくんだから当たり前と言えばそうだ。

ユーズ 「ちぃ…だが明日があるだろ」

俺は舌打ちをしながら、明日に期待を残した。

孔雀 「結局何しに来たんだ俺たちは?」

ジルチ 「折角の水着が意味ないしな」

俺たちはREINCARNATIONの近くに艦を停め直して、今日はそれで休むことになった。





トラン 「……綺麗」

セリカ 「…本当、神秘的ね」

美夏 「やっぱり、海に来たらこれをやらないと」

線香花火が、ぱちぱちと燃える。

リュウ 「………」

美夏が朝の買出しで買ってきていた花火である。
夜の海岸で、俺たちはそれに見入っていた。


ドォンッ、ドンッ!

打ち上げ花火が上げられる。

ナイア 「派手なのもあるわね…敵に見つかりそう」

優里 「ふふ、大丈夫よ…こう言うものだから」


ダルマ 「おっ、これ面白いぜ!」

シュ〜!! バババババッ!!!

エレキ 「おお…おおおっ!」

ツガル 「きゃ、危ないよ」

ダルマとツガルとエレキはねずみ花火で遊んでいた。


シュ〜…!

彩葉 「色んな色があるね…」

リリス 「………」

彩葉とリリスはスタンダードなタイプで、色々な色を楽しんでいた。


エリカ 「……?」

クロロ 「……」

彩香音 「えっとね、これは…火をつけて…後は」

ヒュンッ! バァンッ!!

セットしたロケット花火を見て、エリカは呆然とする。
というよりも、最近はいつも呆然としているか…。

エリカ 「………」

クロロ 「……」

エリカはロケットに火をつける。

シュ〜…! ヒュンッ! バァンッ!!

見事打ち上げ成功。
エリカはしばらく空を見ていた。

彩香音 「ははっ、やっぱり、これが一番よねっ」



………。
……。
…。



トラン 「…あ」

美夏 「…終わっちゃったね」

トランの線香花火を最後に、全てが消化したようだ。

トラン 「……」

トランは落ちた光の跡をまだ見ていた。
心なしか、涙ぐんでいるようにも見える。

トラン 「…いつか」

リュウ 「?」

トラン 「いつか…終わりますよね? この戦いも…」

トランは小さくそう言った。
俺は屈んでいるトランの頭を撫でて。

リュウ 「ああ…きっと、な」

セリカ 「…うん」

美夏 「私たちも、ずっと応援してるからっ…だから、またここに来てね?」

リュウ 「ああ…」

今はただ…そう答えた。
終わらせなければならない。
そして、またここに来よう。
今度は…戦いの終わりに。

…To be continued

ANOTHER


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