beatmaniaUDX The ANOTHER Story
Final STAGE 『sometime』
ナイア 「本当にいいの? ユーズ艦長は無理に付き合う必要ないと思うけど?」
ユーズ 「何を言っている、お前たちは俺たちの仲間だ。仲間が死地に向かうのを黙ってはみておれん」
俺たちはAVGの駐留地で最後の会議を開いていた。
目標は惑星Pandora。
今回はREINCARNATIONの片道切符ということになる。
ユーズ 「…安心しろ、G2が全面的にバックアップする。REINCARNATIONには一匹たりとも近づけねぇ」
リュウ 「期待している」
俺たちは、最後に全員一致で頷き、最後の出航を進めた。
………。
……。
…。
リュウ (これで、最後か…思えば、記憶を長い間失っていたようだ)
リュウ (エリカとセリカ…そして茶倉か)
リュウ (最後に生き残れるかはわからん…相手はホルスだ、俺もただでは済むまい)
俺は部屋でひとり最後の決戦に向かって気を高めていた。
徐々に近づきある諸悪の根源に俺は目標を定める。
エリカ (…ようやく取り戻した記憶と自分)
エリカ (これで最後かと思うと、心残りがあるかもしれない)
エリカ (でも、後悔はしない…それだけは)
私は部屋の窓から外を見る。
何もない星の海。
もうすぐ、この星の海に投げ出されるのだ…。
セリカ (エリカが私の姉さん…今更だけど、私たちって本来は人を殺すための存在だった)
セリカ (Pandoraに生み出されて、Pandoraを倒そうとしてる)
セリカ (…もう、戻れないんだよね、私たち)
願わくば…平和な日々に生きていたかった。
リリス (…これで何もかもが終わる、もうすぐ…兄さんに会えます)
リリス (皆と一緒だった記憶は…きっと消えません)
私はただ祈った。
せめて、誰も苦しまない結末を迎えられるように。
ダルマ 「本当に…ここまで来たんだよな」
ツガル 「うん…そうだね」
俺はツガルと寄り添っていた。
最終決戦で俺たちが役に立てることはあるのだろうか?
俺は少なくとも自信がなかった。
そんな俺の心を読んだかのようにツガルが微笑む。
ツガル 「大丈夫…きっと、上手く行くから、私…そんな気がするの」
ツガル 「全て終わったら、帰ろう…ね?」
ダルマ 「…ああ」
俺はツガルの手を取って、そう答えた。
ナイア 「正直…よくここまで来れたと思うわ」
FB 「何や、随分弱気そうやないか? 似合わんで」
FBは正直そう言う。
確かに私の柄じゃない。
ナイア 「…とにかく、頼むわよ?」
FB 「せやな…生きるためやからな」
私は前もってFBに頼んでおいたことを確認する。
FBは気が乗らないようだが、仕方ないと言った風に納得したようではあった。
彩葉 (やっぱり、茶倉は感じられない…どうして?)
エレキ 「どうかしたのか彩葉? さっきから何か考えてるようだけど」
俺は落ち込んでいるように見える彩葉に声をかける。
彩葉 「…ううん、何でもないの」
彩葉は気丈にそう振舞った。
何でもないわけがない。
彩葉の心が弱っているのがわかった。
この状況で、戦えるのだろうか?
エレキ 「大丈夫だ! 何があっても彩葉は俺が守ってやるから!!」
彩葉 「え…? あはっ、ややわぁ…エレキ君ったら、自分の身位は守れるよ」
鉄火 「そうそう! エレキは最前線でしっかり戦って来い! 俺はが後方で彩葉ちゃんを守るから」
鉄火がしゃしゃり出てくる。
だが、俺は大人なので(?)反撃しない。
エレキ 「そうかい、じゃあ任せた。俺も正直誰かを守りながら戦うのは難しいからな、せいぜい彩葉の足手まといにならねぇようにな?」
俺はそれだけ言ってその場を後にした。
D2Rの最終調整をしなければならない。
鉄火 「く…何だこの敗北感は?」
彩葉 「ふふふ…ホンマに面白ろいわぁ、ふたりとも」
鉄火 (す、素直に喜べん…)
士朗 (Pandoraか…思えば、俺も人類を滅ぼそうと思ったことがある)
士朗 (だが、エリカたちを見て、それは間違いだと気づいた…ケイナの言葉が最後のキッカケだった)
士朗 (誰かを守る…それだけでも、人は戦えるのだな)
『大丈夫だよ……士朗ちゃんは、私が守るから』
アクティのその言葉だけが妙に心に残った。
アクティ 「?」
アクティはわかっているのかわかっていないのか、俺と目を合わせて頬を赤らめて笑う。
俺は、少なくともこの笑顔のために戦うことも悪くないと思い始めた。
………。
トラン 「………」
トランスターが滅ぼされて、もう随分経ったように感じる。
死にかけた私をエリカさんとセリカさんが助けてくれた。
そして、今度はエリカさんとセリカさんのために、私が助ける番。
私は最後の希望を込めて、未来を見つめる…その先に幸せがありますように、と…。
クロロ 「にゃあ〜」
クロロが優しく鳴く。
応援してくれいるように思えた。
………。
……。
…。
Pandora 『我らが産みだした子供が、我らを滅ぼすか…』
ガルマン 「少佐、REINCARNATION、G2を確認! 後数分で接触します!! 相手はすでに人型を出撃させているようです!!」
ホルス 「よし、我々も出るぞ! 指示はない! 好きに行動せよ!!」
ガルマン 「は、はいっ!」
ジェド 「暴れるとするか…!」
リュウ 「いいか! これが最後の戦いだ!! ホルスは俺が引き受ける、REINCARNATIONはエリカとセリカを直接Pandoraに送り込め!!」
全員 「了解!」
リュウ 「これが最後だ…誰一人欠ける事は俺が許さん!」
俺はそう告げ、REINCARNATIONのフルスピードを見送る。
そして目の前に広がる無数の敵を確認した。
エレキ 「ひえ…蟻みたいに集ってるぜ」
鉄火 「こうなりゃやれるだけやってやる!」
リリス 「後方支援します、各機放射線ラインからどいてください!」
まずはリリスがエネルギーキャノンを放つ。
ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!
ズバァンッ! ズボォンッ!! ズギュウウンッ!!
大量の火花が散り、確実に相手を怯ませる。
REINCARNATIONの前方に穴が開き、その穴を縫うようにREINCARNATIONは突っ込む。
リュウ 「…!?」
俺は殺気を感じ、すぐに機体を反転させる。
ギュアアアァッ!!
強力なエネルギーキャノンだった、放射線状にいたら間違いなく消し飛んでいる。
幸い、誰も当たらなかったようだ、多少の怯みが見えるが、この位でへこたれるような仲間ではない。
リュウ 「来たか…!」
俺は雪月花を全力で近くの小惑星の方に向かって行く。
そこにはホルスがいた、黒き機体quasar。
だが、その機体は今まで見た物とは明らかに違った。
雪月花以上の重量を持っていると思える。
そして、考える間もなくquasarからビットが数機放たれる。
AIのようで、複雑な動きではない。
俺は機体を直角にターンさせ、ビットの放射線状から消える。
リュウ 「もらったぞ…!」
俺は実弾バズーカを構え、quasarに向かって放つ。
ホルス 「ふっ…」
だが、バズーカ弾はquasarを逸れる。
瞬間、quasarが突っ込んでくる。
意表を疲れた俺は対応できずに激突する。
ドガァッ!!
リュウ 「ぐうっ!」
リュウ (実弾を無力化するフィールドか!?)
接触した瞬間、とてつもない衝撃を感じた。
恐らく、機体前方に強力な重力力場を形成している。
エレキ 「師匠!」
後ろから俺はquasarを狙う、だが。
ドオンッ!!!
エレキ 「何っ!?」
突然横からライフルを撃ち込まれる。
いつの間に…気配を感じる間もなかった。
ジェド 「お前の相手は俺がしてやる! せいぜい楽しませてくれよ!!」
そう言うと、その機体は凄まじいスピードでD2Rの周りを回る。
スピードが凄まじかった。
はっきり言って、目で追うことは難しい。
エレキ 「だったら…!」
俺は変形する。
戦闘機と同様のフォルムに変形したD2Rで俺は相手の機体を追う。
ジェド 「何! 変形だと!?」
直線ではこちらの方が早い、だが小回りは向こうの方が上だ。
俺は相手の動きを見逃さないように追いつづける。
こう言うのは予測が物を言う! 師匠程じゃないが…俺にだって!!」
ジェド 「ふっ!」
相手の機体は突然方向を転換する。
相手は裏を書いたつもりだろうが、俺の予測通り!
俺は瞬時に変形を解いて、ブレードを振るう。
ジェド 「何だと!?」
ズバァンッ!!
相手の機体の左腕が吹っ飛ぶ。
浅かった…あのタイミングでは俺の反応が遅かった。
ジェド 「面白ぇ…! こうなったら格闘戦でケリをつけようじゃねぇか!!」
相手はブレードを構えて突っ込んでくる。
俺はブレードとシールドを構える。
無論迎え撃つ!!
鉄火 「畜生…敵が多すぎるぜ!!」
彩葉 「鉄火は下がってて、無理に前に出ることはないわ!! はぁっ!!」
私はブレードで敵機を切り続ける。
だが、再生する相手にいくら攻撃しても無駄。
次第に私は疲れ始める。
ドオンッ!!
彩葉 「リリス!?」
気を抜いた隙に敵機の攻撃を受けそうになった所、リリスが機体を庇う。
衝撃でeraが吹っ飛ぶが私がフォローする。
彩葉 「このぉ…!」
士朗 「ちぃ…! この数では…」
アクティ 「士朗ちゃん! 後ろ!!」
士朗 「!?」
俺はアクティの言葉を聞いてすぐに背後を撃つ。
ステルスも長くは持たない…急げREINCARNATION!
トラン 「Pandora接触まで後10秒! エリカさん、セリカさん、カタパルト準備を!」
エリカ 「OKよ」
セリカ 「こっちも!!」
ユーズ 「いいか、Pandoraにはふたつの進入ルートがある、侵入はそっちに任せるから後ろは気にするな!!」
そして、REINCARNATIONはPandoraの地表に激突する。
ズドオオオオオオオオオンッ!!!!
トラン 「きゃああああっ!!!」
クロロ 「ふにゃ!」
衝撃で、私とクロロは操縦席から落ちる。
床との激突で体中が痛い…でも、皆だって頑張ってる。
クロロ 「にゃ〜」
クロロが心配そうに私に寄り添う。
ダルマ 「やっぱり! 大丈夫かよトラン!!」
ツガル 「トランちゃん!! 怪我してるじゃない!?」
ダルマさんとツガルさんが駆けつけてくれる。
ふたりは無事だったようだ。
トラン 「大丈夫です…ただ、私をマザーのところに…お願いします」
ダルマ 「わ、わかった…!」
ツガル 「大丈夫トランちゃん?」
トラン 「大丈夫です…戦っている皆さんはもっと痛い思いをしているはずです」
私たちはマザーの元に向かった。
………。
……。
…。
エリカ 「………」
私は右、セリカは左の道を選んだ。
全く迷うことはなかった。
初めから知っている道だから…。
私たちの行く先はもう見えてる。
………。
リュウ 「はぁぁっ!!」
ホルス 「ぐうぅ!!」
ズバァンッ!!
俺のパイルバンカーがquasarの肩を貫く。
爆発でquasarが吹っ飛ぶが、quasarは構わずブレードを振ってきた。
ドオンッ!!
リュウ 「ぐぅ…!」
雪月花の左足が切り落とされる。
互いに五分のようにも見えた。
ガルマン (これが少佐の望んだ戦い)
俺は少佐の姿が今まで見た中で最も輝いているように見えた。
俺の知らない少佐の戦いだった。
そして、リュウもそれに答えるように、互いの傷など何の意味もないようだった。
ガルマン (少佐…今なら少佐の言った言葉がわかる気がします)
エレキ 「畜生…いい加減観念しやがれ!!」
ジェド 「喰らえぇ!!」
互いのブレードがこすれあう。
衝撃でブレードが悲鳴をあげる。
そろそろ互いの決着は見えてきたように思える。
俺は、最後の手段に出た。
ジェド 「構えを解くとは…諦めたかぁ!?」
ズドンッ!!
俺はブレードをシールドでギリギリの所で受ける。
当然、タイミングが遅いためシールドは弾かれる。
だが、その先には絶好の的がある。
ジェド 「!?」
エレキ 「でやああああああああっ!!」
ズバァンッ!!!
ジェド 「…!!」
相手の機体が左肩から両断される。
そして…。
ジェド 「…へ、楽しかったぜ」
エレキ 「!?」
ズバアアアアアアアアアアアアァァァンッ!!!!
ガルマン 「ジェド大尉ーーーー!!」
エレキ 「…楽しかった、か」
俺は師匠の方を見る。
リュウ 「うおおっ!!」
ホルス 「そこかっ!!」
互いに全力で撃ちあい、切り合う、俺が入り込む余地はなかった。
相手のもう一機もそうなのだろう…俺は師匠に背を向け、兄貴の方に向かった。
ドオンッ!!
士朗 「ちぃ」
幾度かの被弾を受け、xenonが動きを鈍らせる。
さすがに限界が近いようだな…。
エレキ 「畜生…兄貴ーーー!!」
敵が邪魔で近づけない。
xenonとACTが敵に囲まれている…敵は一斉に射撃を。
士朗 (ここまでか…!)
アクティ 「士朗ちゃん!!」
ドオンッ、ズバァンッ、ズギャアンッ!! ズバババァンッ!!
士朗 「……?」
見ると、xenonの前にACTが立っていた。
そして、機体には損傷がなかった。
馬鹿な…確実に直撃のはずだ。
そして、俺はACTの機体から放たれる光に気づいた。
薄い光だが、その光は確かにxenonと繋がっていた。
そして気づいた。
士朗 (Innocent Wallsだと!?)
確かに敵の攻撃が直撃しているのにxenonとACTは傷ひとつ着かない。
紛れもなくxenonの機能だった。
だが、それは俺では使えない機能のはず…まさかアクティが…!?
アクティ 「言ったでしょ…士朗ちゃんは、私が守るって…!」
だが、アクティの声からは苦しみが感じられた。
辛いのだ、アクティも!!
俺はすぐにxenonを動かし、周りの敵をなぎ払った。
士朗 「後少しだ…生きて帰るぞアクティ!!」
アクティ 「うんっ!」
………。
……。
…。
リュウ 「はぁ…はぁ…!」
ホルス 「ふふふ…さすがだな」
互いの武器はもはや右腕のみだった。
残った武器で一撃を撃ちこむのみ…。
リュウ (ホルス…俺は)
ホルス (何も言わずともわかる…お前の気持ちなどな)
リュウ (俺は、あなたを超えたかった…記憶を失いながらも、その気持ちだけは残っていた)
ホルス (エリカとセリカ…ふたりを救うため、か)
俺たちは互いに加速を始める。
もはや難しいことを考えるほど余裕はない。
互いに残った武器で、相手を貫くのみ!
リュウ (俺は…!)
ホルス (リュウよ…!)
俺とホルスは同時に構える、そして。
ズバァンッ!
リュウ 「!!」
雪月花は左肩から下半身までを真っ二つに切り落とされる。
だが、加速は消えてはいない…俺は右腕を動かし、quasarのコクピットにバンカーを撃ちこんだ。
リュウ (俺は…生きてみせる!!)
ホルス (悔いはない…これこそ私が望んだ戦いであったのだから)
ズバァアアアアアアアアンッ!!!!
互いの機体がほぼ同時に爆発する。
その瞬間から先は、あまりよく覚えていない。
ガルマン 「少佐ーーーーーーー!!!」
ふたりの機体はバラバラに砕け散る。
quasarはコクピットを爆破され、確実に少佐は…。
雪月花もまた、五体が飛び散り、原型をすでに留めていなかった。
………。
エリカ (リュウ!?)
一瞬、躊躇した…。
リュウの身に何かが起きた。
だけど、私は止まれなかった。
大丈夫…きっと、私もすぐに行くから。
ブゥゥゥゥゥン…。
奇怪な駆動音を上げる部屋に辿り着く。
DoLLのサイズでも十分に入れるその空間に全ての元凶が存在した。
セリカ 「…お母さん」
Pandora 『待っていましたよ、セリカ』
エリカ 「……」
Pandora 『よく戻ってきた、エリカよ』
Pandoraはそう言葉を放つ、だが私は。
エリカ 「戻ってきたと言うのは適切じゃないわ、ここは私の居場所じゃないもの」
Pandora 『思えば、全ては我々の起こした悲劇でした』
Pandora 『不必要な生命を駆除するためのエリカ…それを駆除するセリカ』
エリカ 「でもね、私は感謝しているわ…あなたたちのおかげで、リュウに会えたもの」
セリカ 「リュウは私たちを受け入れてくれた、だから私はリュウが好き!」
Pandora 『…我々を滅ぼせばどうなるかは知っていよう』
エリカ 「わかっているわ…私たち自身の存在も消えてしまう」
セリカ 「それでも…私は、討ちます」
Pandora 『…行きなさいセリカ、もう止めはしません』
Pandora 『それが己の意志で決めた道か…エリカ』
エリカ 「そうよ、私は…私であるために」
Pandora 『あなた方に幸せが訪れますように…私たちは、永久の眠りにつきましょう』
Pandora 『さようなら…私たちの娘たち』
エリカ 「…!!」
セリカ 「…!!」
恐らく同時だった。
私たちのブレードはPandoraの中枢を斜めに両断する。
ズバァンッ!! ドドドドドドド…!!!
瞬時に爆発。
そして、地表が激しく揺れる。
………。
彩葉 「!? 敵が」
リリス 「止まりました…」
鉄火 「やったのか!?」
敵機は全て、糸の切れた人形のように動きを止めた。
まるで、そこだけ時が止まったかのように。
エレキ 「終わった…のか?」
士朗 「……そのようだな」
アクティ 「やった…」
俺たちは、しばしの余韻に浸った…これで、終わった。という感情が全身を突き抜けるのはそのすぐ後だった。
トラン 「…マザー」
ゴゴゴゴゴ…!
艦内まで地震が響く。
恐らくPandoraが爆発する…それが如実に伝わってきた。
だけど、私はマザーを…。
マザー 『…お別れの時が来ました』
マザーはそう答える。
トラン 「マザー…!」
私は呼びかける、しかしマザーは。
マザー 「行って下さい、トランさん…もう時間がないんです」
マザー 「爆発まで、後3分程しかないでしょう」
マザー 「ここから格納庫までの時間を合わせると、一刻を争います」
マザー 「ダルマさん、ツガルさん…お願いします」
ダルマ 「…トラン、行こう!」
ツガル 「トランちゃん!! 危険なの!!」
トラン 「ダメェッ!! マザーを置いてなんて…!!」
私は納得できなかった…。
両親が残してくれたマザーは、私にとって母親のような物だから。
私には、マザーが必要なの…。
マザー 「トランさん…行って下さい」
マザーは同じことを繰り返す。
だけど私は動かない。
ダルマ 「どうすりゃ…!」
ツガル 「………」
この時、私はやっと意味がわかった。
茶倉さんが何故私を選んだのか。
私が助けるしかないから…!
ツガル 「ごめん…トラン!」
私は茶倉さんから受け取った一部の力を使って、テレポートする。
場所は…格納庫。
トラン 「!? マ…!」
クロロ 「ふにゃ!」
ヒュン!
一瞬にして私たちの体は粒子となり、その場から消え去った。
マザー 「ありがとうございました…ツガルさん」
マザー 「ありがとう、皆さん」
マザー 「最後まで皆さんと戦えたこと、この翼を最後まで広げていられたこと…誇りに思います」
マザー 「さようなら…子供たち」
マザー 「……さようなら、トラン」
………。
ヒュン!
ナイア 「!? 3人とも…いつのまに!?」
テレポートが終わると、すぐにナイアさんが見つけてくれる。
ツガル 「…っはぁ…はぁっ…!!」
私は一気に消耗して力なく膝を突く。
それをダルマが支えてくれる。
ダルマ 「だ、大丈夫かよ!?」
トラン 「マザー…!!」
クロロ 「みぃ〜…」
トランちゃんは心悔しそうに拳を握り締めていた。
もう間に合わないと、トランちゃんもわかってる。
ナイア 「時間がないわ! 他のクルーは全てG2に乗り込んで脱出しているわよ」
ナイア 「あなたたちも急いで!! 早くこれに乗るのよ!!」
ナイアさんはそう言ってone or eightを指差す。
FB 「早よせぇ!! 爆発するぞ!!」
FBさんが強くそう言う、全員がすぐに乗り込んだ。
ナイア 「頼むわよ、FB!」
FB 「任しとけ! 全力で逃げるんや!!」
FBさんが何やら力を使い始める。
すると、若干体が軽く感じ、浮いたような感覚に捕らわれる。
そして、次の瞬間。
ナイア 「行けぇ!!」
ギュワァンンッ!!!
最大加速でone or eightは宇宙に出た。
ゴゴゴゴゴ………カッ!!
激しい鼓動の後、惑星『Pandora』は大爆発を起こす。
そして、何も残らない静かな宇宙の海で、私たちは終わりを実感した。
… The End …