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beatmaniaUDX The ANOTHER Story


Final STAGE 『sometime』

ナイア 「本当にいいの? ユーズ艦長は無理に付き合う必要ないと思うけど?」

ユーズ 「何を言っている、お前たちは俺たちの仲間だ。仲間が死地に向かうのを黙ってはみておれん」

俺たちはAVGの駐留地で最後の会議を開いていた。
目標は惑星Pandora。
今回はREINCARNATIONの片道切符ということになる。

ユーズ 「…安心しろ、G2が全面的にバックアップする。REINCARNATIONには一匹たりとも近づけねぇ」

リュウ 「期待している」

俺たちは、最後に全員一致で頷き、最後の出航を進めた。



………。
……。
…。





リュウ (これで、最後か…思えば、記憶を長い間失っていたようだ)
リュウ (エリカとセリカ…そして茶倉か)
リュウ (最後に生き残れるかはわからん…相手はホルスだ、俺もただでは済むまい)

俺は部屋でひとり最後の決戦に向かって気を高めていた。
徐々に近づきある諸悪の根源に俺は目標を定める。



エリカ (…ようやく取り戻した記憶と自分)
エリカ (これで最後かと思うと、心残りがあるかもしれない)
エリカ (でも、後悔はしない…それだけは)

私は部屋の窓から外を見る。
何もない星の海。
もうすぐ、この星の海に投げ出されるのだ…。



セリカ (エリカが私の姉さん…今更だけど、私たちって本来は人を殺すための存在だった)
セリカ (Pandoraに生み出されて、Pandoraを倒そうとしてる)
セリカ (…もう、戻れないんだよね、私たち)

願わくば…平和な日々に生きていたかった。



リリス (…これで何もかもが終わる、もうすぐ…兄さんに会えます)
リリス (皆と一緒だった記憶は…きっと消えません)

私はただ祈った。
せめて、誰も苦しまない結末を迎えられるように。



ダルマ 「本当に…ここまで来たんだよな」

ツガル 「うん…そうだね」

俺はツガルと寄り添っていた。
最終決戦で俺たちが役に立てることはあるのだろうか?
俺は少なくとも自信がなかった。
そんな俺の心を読んだかのようにツガルが微笑む。


ツガル 「大丈夫…きっと、上手く行くから、私…そんな気がするの」
ツガル 「全て終わったら、帰ろう…ね?」

ダルマ 「…ああ」

俺はツガルの手を取って、そう答えた。



ナイア 「正直…よくここまで来れたと思うわ」

FB 「何や、随分弱気そうやないか? 似合わんで」

FBは正直そう言う。
確かに私の柄じゃない。

ナイア 「…とにかく、頼むわよ?」

FB 「せやな…生きるためやからな」

私は前もってFBに頼んでおいたことを確認する。
FBは気が乗らないようだが、仕方ないと言った風に納得したようではあった。



彩葉 (やっぱり、茶倉は感じられない…どうして?)

エレキ 「どうかしたのか彩葉? さっきから何か考えてるようだけど」

俺は落ち込んでいるように見える彩葉に声をかける。

彩葉 「…ううん、何でもないの」

彩葉は気丈にそう振舞った。
何でもないわけがない。
彩葉の心が弱っているのがわかった。
この状況で、戦えるのだろうか?

エレキ 「大丈夫だ! 何があっても彩葉は俺が守ってやるから!!」

彩葉 「え…? あはっ、ややわぁ…エレキ君ったら、自分の身位は守れるよ」

鉄火 「そうそう! エレキは最前線でしっかり戦って来い! 俺はが後方で彩葉ちゃんを守るから」

鉄火がしゃしゃり出てくる。
だが、俺は大人なので(?)反撃しない。

エレキ 「そうかい、じゃあ任せた。俺も正直誰かを守りながら戦うのは難しいからな、せいぜい彩葉の足手まといにならねぇようにな?」

俺はそれだけ言ってその場を後にした。
D2Rの最終調整をしなければならない。


鉄火 「く…何だこの敗北感は?」

彩葉 「ふふふ…ホンマに面白ろいわぁ、ふたりとも」

鉄火 (す、素直に喜べん…)



士朗 (Pandoraか…思えば、俺も人類を滅ぼそうと思ったことがある)
士朗 (だが、エリカたちを見て、それは間違いだと気づいた…ケイナの言葉が最後のキッカケだった)
士朗 (誰かを守る…それだけでも、人は戦えるのだな)

『大丈夫だよ……士朗ちゃんは、私が守るから』

アクティのその言葉だけが妙に心に残った。

アクティ 「?」

アクティはわかっているのかわかっていないのか、俺と目を合わせて頬を赤らめて笑う。
俺は、少なくともこの笑顔のために戦うことも悪くないと思い始めた。



………。



トラン 「………」

トランスターが滅ぼされて、もう随分経ったように感じる。
死にかけた私をエリカさんとセリカさんが助けてくれた。
そして、今度はエリカさんとセリカさんのために、私が助ける番。
私は最後の希望を込めて、未来を見つめる…その先に幸せがありますように、と…。

クロロ 「にゃあ〜」

クロロが優しく鳴く。
応援してくれいるように思えた。



………。
……。
…。





Pandora 『我らが産みだした子供が、我らを滅ぼすか…』





ガルマン 「少佐、REINCARNATION、G2を確認! 後数分で接触します!! 相手はすでに人型を出撃させているようです!!」

ホルス 「よし、我々も出るぞ! 指示はない! 好きに行動せよ!!」

ガルマン 「は、はいっ!」

ジェド 「暴れるとするか…!」





リュウ 「いいか! これが最後の戦いだ!! ホルスは俺が引き受ける、REINCARNATIONはエリカとセリカを直接Pandoraに送り込め!!」

全員 「了解!」

リュウ 「これが最後だ…誰一人欠ける事は俺が許さん!」

俺はそう告げ、REINCARNATIONのフルスピードを見送る。
そして目の前に広がる無数の敵を確認した。

エレキ 「ひえ…蟻みたいに集ってるぜ」

鉄火 「こうなりゃやれるだけやってやる!」

リリス 「後方支援します、各機放射線ラインからどいてください!」



まずはリリスがエネルギーキャノンを放つ。


ギュアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!!


ズバァンッ! ズボォンッ!! ズギュウウンッ!!

大量の火花が散り、確実に相手を怯ませる。
REINCARNATIONの前方に穴が開き、その穴を縫うようにREINCARNATIONは突っ込む。


リュウ 「…!?」

俺は殺気を感じ、すぐに機体を反転させる。

ギュアアアァッ!!

強力なエネルギーキャノンだった、放射線状にいたら間違いなく消し飛んでいる。
幸い、誰も当たらなかったようだ、多少の怯みが見えるが、この位でへこたれるような仲間ではない。


リュウ 「来たか…!」

俺は雪月花を全力で近くの小惑星の方に向かって行く。
そこにはホルスがいた、黒き機体quasar。

だが、その機体は今まで見た物とは明らかに違った。
雪月花以上の重量を持っていると思える。
そして、考える間もなくquasarからビットが数機放たれる。
AIのようで、複雑な動きではない。
俺は機体を直角にターンさせ、ビットの放射線状から消える。

リュウ 「もらったぞ…!」

俺は実弾バズーカを構え、quasarに向かって放つ。

ホルス 「ふっ…」

だが、バズーカ弾はquasarを逸れる。
瞬間、quasarが突っ込んでくる。
意表を疲れた俺は対応できずに激突する。

ドガァッ!!

リュウ 「ぐうっ!」
リュウ (実弾を無力化するフィールドか!?)

接触した瞬間、とてつもない衝撃を感じた。
恐らく、機体前方に強力な重力力場を形成している。


エレキ 「師匠!」

後ろから俺はquasarを狙う、だが。

ドオンッ!!!

エレキ 「何っ!?」

突然横からライフルを撃ち込まれる。
いつの間に…気配を感じる間もなかった。

ジェド 「お前の相手は俺がしてやる! せいぜい楽しませてくれよ!!」

そう言うと、その機体は凄まじいスピードでD2Rの周りを回る。
スピードが凄まじかった。
はっきり言って、目で追うことは難しい。

エレキ 「だったら…!」

俺は変形する。
戦闘機と同様のフォルムに変形したD2Rで俺は相手の機体を追う。

ジェド 「何! 変形だと!?」

直線ではこちらの方が早い、だが小回りは向こうの方が上だ。
俺は相手の動きを見逃さないように追いつづける。
こう言うのは予測が物を言う! 師匠程じゃないが…俺にだって!!」

ジェド 「ふっ!」

相手の機体は突然方向を転換する。
相手は裏を書いたつもりだろうが、俺の予測通り!
俺は瞬時に変形を解いて、ブレードを振るう。

ジェド 「何だと!?」

ズバァンッ!!

相手の機体の左腕が吹っ飛ぶ。
浅かった…あのタイミングでは俺の反応が遅かった。

ジェド 「面白ぇ…! こうなったら格闘戦でケリをつけようじゃねぇか!!」

相手はブレードを構えて突っ込んでくる。
俺はブレードとシールドを構える。
無論迎え撃つ!!



鉄火 「畜生…敵が多すぎるぜ!!」

彩葉 「鉄火は下がってて、無理に前に出ることはないわ!! はぁっ!!」

私はブレードで敵機を切り続ける。
だが、再生する相手にいくら攻撃しても無駄。
次第に私は疲れ始める。


ドオンッ!!

彩葉 「リリス!?」

気を抜いた隙に敵機の攻撃を受けそうになった所、リリスが機体を庇う。
衝撃でeraが吹っ飛ぶが私がフォローする。

彩葉 「このぉ…!」



士朗 「ちぃ…! この数では…」

アクティ 「士朗ちゃん! 後ろ!!」

士朗 「!?」

俺はアクティの言葉を聞いてすぐに背後を撃つ。
ステルスも長くは持たない…急げREINCARNATION!





トラン 「Pandora接触まで後10秒! エリカさん、セリカさん、カタパルト準備を!」

エリカ 「OKよ」

セリカ 「こっちも!!」

ユーズ 「いいか、Pandoraにはふたつの進入ルートがある、侵入はそっちに任せるから後ろは気にするな!!」



そして、REINCARNATIONはPandoraの地表に激突する。


ズドオオオオオオオオオンッ!!!!

トラン 「きゃああああっ!!!」
クロロ 「ふにゃ!」

衝撃で、私とクロロは操縦席から落ちる。
床との激突で体中が痛い…でも、皆だって頑張ってる。

クロロ 「にゃ〜」

クロロが心配そうに私に寄り添う。

ダルマ 「やっぱり! 大丈夫かよトラン!!」

ツガル 「トランちゃん!! 怪我してるじゃない!?」

ダルマさんとツガルさんが駆けつけてくれる。
ふたりは無事だったようだ。


トラン 「大丈夫です…ただ、私をマザーのところに…お願いします」

ダルマ 「わ、わかった…!」

ツガル 「大丈夫トランちゃん?」

トラン 「大丈夫です…戦っている皆さんはもっと痛い思いをしているはずです」

私たちはマザーの元に向かった。



………。
……。
…。





エリカ 「………」

私は右、セリカは左の道を選んだ。
全く迷うことはなかった。
初めから知っている道だから…。
私たちの行く先はもう見えてる。





………。





リュウ 「はぁぁっ!!」

ホルス 「ぐうぅ!!」

ズバァンッ!!

俺のパイルバンカーがquasarの肩を貫く。
爆発でquasarが吹っ飛ぶが、quasarは構わずブレードを振ってきた。

ドオンッ!!

リュウ 「ぐぅ…!」

雪月花の左足が切り落とされる。
互いに五分のようにも見えた。



ガルマン (これが少佐の望んだ戦い)

俺は少佐の姿が今まで見た中で最も輝いているように見えた。
俺の知らない少佐の戦いだった。
そして、リュウもそれに答えるように、互いの傷など何の意味もないようだった。

ガルマン (少佐…今なら少佐の言った言葉がわかる気がします)



エレキ 「畜生…いい加減観念しやがれ!!」

ジェド 「喰らえぇ!!」

互いのブレードがこすれあう。
衝撃でブレードが悲鳴をあげる。
そろそろ互いの決着は見えてきたように思える。
俺は、最後の手段に出た。


ジェド 「構えを解くとは…諦めたかぁ!?」

ズドンッ!!

俺はブレードをシールドでギリギリの所で受ける。
当然、タイミングが遅いためシールドは弾かれる。
だが、その先には絶好の的がある。

ジェド 「!?」

エレキ 「でやああああああああっ!!」


ズバァンッ!!!

ジェド 「…!!」

相手の機体が左肩から両断される。
そして…。

ジェド 「…へ、楽しかったぜ」

エレキ 「!?」



ズバアアアアアアアアアアアアァァァンッ!!!!



ガルマン 「ジェド大尉ーーーー!!」



エレキ 「…楽しかった、か」

俺は師匠の方を見る。



リュウ 「うおおっ!!」

ホルス 「そこかっ!!」



互いに全力で撃ちあい、切り合う、俺が入り込む余地はなかった。
相手のもう一機もそうなのだろう…俺は師匠に背を向け、兄貴の方に向かった。





ドオンッ!!

士朗 「ちぃ」

幾度かの被弾を受け、xenonが動きを鈍らせる。
さすがに限界が近いようだな…。



エレキ 「畜生…兄貴ーーー!!」

敵が邪魔で近づけない。
xenonとACTが敵に囲まれている…敵は一斉に射撃を。



士朗 (ここまでか…!)

アクティ 「士朗ちゃん!!」

ドオンッ、ズバァンッ、ズギャアンッ!! ズバババァンッ!!



士朗 「……?」

見ると、xenonの前にACTが立っていた。
そして、機体には損傷がなかった。
馬鹿な…確実に直撃のはずだ。
そして、俺はACTの機体から放たれる光に気づいた。
薄い光だが、その光は確かにxenonと繋がっていた。
そして気づいた。

士朗 (Innocent Wallsだと!?)

確かに敵の攻撃が直撃しているのにxenonとACTは傷ひとつ着かない。
紛れもなくxenonの機能だった。
だが、それは俺では使えない機能のはず…まさかアクティが…!?

アクティ 「言ったでしょ…士朗ちゃんは、私が守るって…!」

だが、アクティの声からは苦しみが感じられた。
辛いのだ、アクティも!!
俺はすぐにxenonを動かし、周りの敵をなぎ払った。

士朗 「後少しだ…生きて帰るぞアクティ!!」

アクティ 「うんっ!」



………。
……。
…。



リュウ 「はぁ…はぁ…!」

ホルス 「ふふふ…さすがだな」

互いの武器はもはや右腕のみだった。
残った武器で一撃を撃ちこむのみ…。

リュウ (ホルス…俺は)

ホルス (何も言わずともわかる…お前の気持ちなどな)

リュウ (俺は、あなたを超えたかった…記憶を失いながらも、その気持ちだけは残っていた)

ホルス (エリカとセリカ…ふたりを救うため、か)

俺たちは互いに加速を始める。
もはや難しいことを考えるほど余裕はない。
互いに残った武器で、相手を貫くのみ!

リュウ (俺は…!)
ホルス (リュウよ…!)

俺とホルスは同時に構える、そして。

ズバァンッ!

リュウ 「!!」

雪月花は左肩から下半身までを真っ二つに切り落とされる。
だが、加速は消えてはいない…俺は右腕を動かし、quasarのコクピットにバンカーを撃ちこんだ。



リュウ (俺は…生きてみせる!!)
ホルス (悔いはない…これこそ私が望んだ戦いであったのだから)



ズバァアアアアアアアアンッ!!!!



互いの機体がほぼ同時に爆発する。
その瞬間から先は、あまりよく覚えていない。





ガルマン 「少佐ーーーーーーー!!!」

ふたりの機体はバラバラに砕け散る。
quasarはコクピットを爆破され、確実に少佐は…。
雪月花もまた、五体が飛び散り、原型をすでに留めていなかった。





………。



エリカ (リュウ!?)

一瞬、躊躇した…。
リュウの身に何かが起きた。
だけど、私は止まれなかった。
大丈夫…きっと、私もすぐに行くから。



ブゥゥゥゥゥン…。



奇怪な駆動音を上げる部屋に辿り着く。
DoLLのサイズでも十分に入れるその空間に全ての元凶が存在した。



セリカ 「…お母さん」

Pandora 『待っていましたよ、セリカ』



エリカ 「……」

Pandora 『よく戻ってきた、エリカよ』

Pandoraはそう言葉を放つ、だが私は。

エリカ 「戻ってきたと言うのは適切じゃないわ、ここは私の居場所じゃないもの」


Pandora 『思えば、全ては我々の起こした悲劇でした』
Pandora 『不必要な生命を駆除するためのエリカ…それを駆除するセリカ』


エリカ 「でもね、私は感謝しているわ…あなたたちのおかげで、リュウに会えたもの」


セリカ 「リュウは私たちを受け入れてくれた、だから私はリュウが好き!」


Pandora 『…我々を滅ぼせばどうなるかは知っていよう』


エリカ 「わかっているわ…私たち自身の存在も消えてしまう」


セリカ 「それでも…私は、討ちます」

Pandora 『…行きなさいセリカ、もう止めはしません』


Pandora 『それが己の意志で決めた道か…エリカ』

エリカ 「そうよ、私は…私であるために」


Pandora 『あなた方に幸せが訪れますように…私たちは、永久の眠りにつきましょう』
Pandora 『さようなら…私たちの娘たち』


エリカ 「…!!」
セリカ 「…!!」


恐らく同時だった。
私たちのブレードはPandoraの中枢を斜めに両断する。

ズバァンッ!! ドドドドドドド…!!!

瞬時に爆発。
そして、地表が激しく揺れる。



………。



彩葉 「!? 敵が」

リリス 「止まりました…」

鉄火 「やったのか!?」

敵機は全て、糸の切れた人形のように動きを止めた。
まるで、そこだけ時が止まったかのように。


エレキ 「終わった…のか?」

士朗 「……そのようだな」

アクティ 「やった…」

俺たちは、しばしの余韻に浸った…これで、終わった。という感情が全身を突き抜けるのはそのすぐ後だった。



トラン 「…マザー」

ゴゴゴゴゴ…!

艦内まで地震が響く。
恐らくPandoraが爆発する…それが如実に伝わってきた。
だけど、私はマザーを…。

マザー 『…お別れの時が来ました』

マザーはそう答える。

トラン 「マザー…!」

私は呼びかける、しかしマザーは。

マザー 「行って下さい、トランさん…もう時間がないんです」
マザー 「爆発まで、後3分程しかないでしょう」
マザー 「ここから格納庫までの時間を合わせると、一刻を争います」
マザー 「ダルマさん、ツガルさん…お願いします」

ダルマ 「…トラン、行こう!」

ツガル 「トランちゃん!! 危険なの!!」

トラン 「ダメェッ!! マザーを置いてなんて…!!」

私は納得できなかった…。
両親が残してくれたマザーは、私にとって母親のような物だから。
私には、マザーが必要なの…。

マザー 「トランさん…行って下さい」

マザーは同じことを繰り返す。
だけど私は動かない。


ダルマ 「どうすりゃ…!」

ツガル 「………」

この時、私はやっと意味がわかった。
茶倉さんが何故私を選んだのか。
私が助けるしかないから…!

ツガル 「ごめん…トラン!」

私は茶倉さんから受け取った一部の力を使って、テレポートする。
場所は…格納庫。

トラン 「!? マ…!」
クロロ 「ふにゃ!」

ヒュン!

一瞬にして私たちの体は粒子となり、その場から消え去った。



マザー 「ありがとうございました…ツガルさん」
マザー 「ありがとう、皆さん」
マザー 「最後まで皆さんと戦えたこと、この翼を最後まで広げていられたこと…誇りに思います」
マザー 「さようなら…子供たち」
マザー 「……さようなら、トラン」



………。



ヒュン!

ナイア 「!? 3人とも…いつのまに!?」

テレポートが終わると、すぐにナイアさんが見つけてくれる。

ツガル 「…っはぁ…はぁっ…!!」

私は一気に消耗して力なく膝を突く。
それをダルマが支えてくれる。

ダルマ 「だ、大丈夫かよ!?」

トラン 「マザー…!!」

クロロ 「みぃ〜…」

トランちゃんは心悔しそうに拳を握り締めていた。
もう間に合わないと、トランちゃんもわかってる。

ナイア 「時間がないわ! 他のクルーは全てG2に乗り込んで脱出しているわよ」
ナイア 「あなたたちも急いで!! 早くこれに乗るのよ!!」

ナイアさんはそう言ってone or eightを指差す。

FB 「早よせぇ!! 爆発するぞ!!」

FBさんが強くそう言う、全員がすぐに乗り込んだ。



ナイア 「頼むわよ、FB!」

FB 「任しとけ! 全力で逃げるんや!!」

FBさんが何やら力を使い始める。
すると、若干体が軽く感じ、浮いたような感覚に捕らわれる。
そして、次の瞬間。

ナイア 「行けぇ!!」

ギュワァンンッ!!!

最大加速でone or eightは宇宙に出た。



ゴゴゴゴゴ………カッ!!

激しい鼓動の後、惑星『Pandora』は大爆発を起こす。
そして、何も残らない静かな宇宙の海で、私たちは終わりを実感した。










『そっか…終わったんだ』

私は綺麗な星の海を泳いでいた。
肉体があるという感覚はなく、ただ浮かんでいる。そんな感覚。
果てしなく広く、どこまでも続くその海は、永遠の輝き。
そして、それは私たちの消失も意味する。


『姉さん…』

私は姉さんの存在を感じてそう投げかける。
まだ感じることは出来る、でももう長くはない。


『これで、お別れか…』

私は名残を惜しんだ。
今まで、一緒に戦い、生きてきた仲間たち。
そして…愛する人。
私は…結局、一度も答えてあげることが出来なかった。


『しょうが…ないよね』

私は悲しくも、そう納得した。
これが私たちの運命、辿るべき道なのだから。
最後のお別れも言えなかったから、皆…怒ってるだろうな。


『ああ…光が見える……』

『本当…優しい光……』

その光は、私たちを照らし、これから先の運命を告げるのだろう。














『って! 勝手に締めくくってるんじゃないわよ!!』


茶倉 『さっさと、目を覚ませこの大馬鹿姉妹!!!』

突然の罵声に一気に感覚が戻る。
意識が現実に近く引き寄せられ、目の前に見知らぬ女性の姿が見えた。
その女性は綺麗な顔立ちと、長い髪を靡かせ、見ている者を魅了する物があった。
でも、私はその女性を知っていることに気づいた。

エリカ 『茶倉!?』
セリカ 『さ、茶倉!?』

私たちは同時に叫ぶ。
この言動、声と肉体は違うがまさしく茶倉だったことを確信した。
その時、私たちは自分の体がまだあるということを感じた。

セリカ 『ど、どうしてここに茶倉が…?』

茶倉 『あ〜! もうぐだぐだうるさい小娘!! いつまで呆けてる、さっさと帰れ!!』

茶倉はいつもよりも更に毒舌でそう捲くし立てる。
当然セリカは。

セリカ 『な、何よ何よ何よ!! 茶倉に言われなくたって帰るわよ!!』

いつものように反撃する。
そんな光景を見て、私は思わず微笑む。
そして、そんな私が眼に入らないようで。

茶倉 『どうだか? 私が声かけなきゃ今ごろあんたたちは地獄行きだったわね』

茶倉は両手を左右に広げ、掌を上に上げてやれやれといった素振りをする。
図星を指されて、反撃できないのか、セリカは顔を赤くして口篭もる。

茶倉 『とにかく! さっさと帰りなさい、あの光の先から帰れるわ』

茶倉は私たちの後ろの光とは逆の方向の小さな光を示す。
小さな煌きのそれは、まるでもうすぐ消えてしまいそうな光だった。

エリカ 『行きましょう、セリカ。皆が待ってるから!』

セリカ 『あ、う、うん…ほら、行くわよ茶倉!?』

複雑そうにセリカがそう言う。
だが、茶倉は動かなかった。

セリカ 『ど、どうしたのよ…?』

セリカが、珍しく心配そうに茶倉を呼ぶ。
そして、茶倉は私たちに背を向け。

茶倉 『生憎様…私はこっちなの』

セリカ 『あっそう……って、ええ!?』

さすがのセリカも叫ぶ。
あまりにも意外に思えたのだろう、だけど、私は不思議じゃなかった。
予想していたから、その結末を。

茶倉 『私は元々死んだ人間なの…今までは、彩葉に取り憑いていただけ』
茶倉 『この姿が私の本当の姿、どう? あなたよりもよっぽど魅力的でしょ?』

茶倉は後姿のまま、そうジェスチャーしてセリカを煽る。
だが、セリカは。

セリカ 『…何で、行っちゃうのよ?』

セリカは顔を背けてそう言う。

茶倉 『…理由なんていらないわ、どっかの馬鹿な女のおかげで結局リュウを私の物に出来なかった』
茶倉 『だからあっちの世界に興味がなくなっただけ』

茶倉は肩を落としてそう言う、嘘だということは容易に気づいた。
セリカもそれがわかっている、だからセリカは体を震わせて。

セリカ 『馬鹿ぁ! 何でそんなこと言うのよ!? 一緒にいればいいじゃない!! 茶倉だってリュウのこと好きなら…!!』

そして、セリカが言い終わる前に茶倉はこちらを振り向き、最後に優しい微笑を見せて。

茶倉 『バ〜カ、これからよ…』

そう言った。
そして、その瞬間茶倉の瞳から涙が零れた。
大きな光が包み、茶倉を飲み込む。
別れの時が来たのだ、私はセリカの手を引っ張って、その光に飲み込まれないよう走る。

セリカ 『茶倉…馬鹿ぁ!! 茶倉の…大馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! あんたなんか…あんたなんか、大っ嫌いなんだからーーーーーーーーーー!!!」

セリカは最後に大泣きして、光に向かってそう叫ぶ。
そして、私たちは…光を抜けた。










………………………。










彩葉 「!? 茶倉……?」

私はコクピットの中で、確かな茶倉の声を聞く。
そして、私は叫ぶ。

彩葉 「茶倉なんでしょ!? 返事をして!!」

茶倉 『…楽しかったよ、ありがとう……』

それが最後の言葉だった。
私は、次の言葉が浮かばずに、涙した。
泣いて、涙が零れ、膝が湿る。
私は両手で顔を隠して泣いた。
そして、もうひとりの自分は、もういないのだと実感した。



………。
……。
…。



そして、戦いから幾日が過ぎる。



『元・AVG本部 中央広場』



士朗 「さらばだ…」

アクティ 「皆、さよなら〜!」

ナイア 「元気でねふたりとも!」

ユーズ 「達者でな…」

エレキ 「兄貴…」

俺たちはふたりに別れを告げる。
兄貴とアクティは、安住の地を求めて流離うらしい。
アクティにとって、幸せになれる土地を探す旅。
でも、アクティにとっては、兄貴と一緒なだけでも、幸せなのかもしれない…。
兄貴が、それに気づくのは…まだ先だろう。



デュエル 「じゃあな、俺も行く…」

ユーズ 「また、傭兵でもやるのか?」

デュエル 「そうだな…戦場があるなら」

そう言って、デュエルは荷物を背負って歩いていった。
渋い背中だな。

サイレン 「じゃあ、俺もこれで…」

エイリ 「みんな解散ですね」

ニクス 「じゃあな! また集まることがあったら!!」

ユーズ 「おう! 元気でな!!」

それぞれが、それぞれの道を歩み始める。
戦いの終わりは、別れの時でもあるのだな…。
少し寂しくなる。


ナイア 「艦長は、これからどうするつもりなの?」

私がそう聞くと、ユーズは頭を捻りながら。

ユーズ 「まぁ、気楽にここで過ごすさ…客商売でも始めるかな」

そう言って、取り壊しが進んでいる本部跡地を見つめる。
私は軽く微笑んで。

ナイア 「じゃあ、彩葉たちはどうするの?」

今度は彩葉に聞く、すると彩葉は。

彩葉 「私は…茶倉を探します」

セリカ 「ええ!?」

セリカが、意外そうにそう叫ぶ。
それもそのはず、茶倉はもう死んでいる人間なのだから。
だが、彩葉の眼は疑うことなく。

彩葉 「茶倉は…きっと生きていると思うんです、今度は生まれ変わって」
彩葉 「だから、私はもうひとりの自分を探しに行きます…茶倉は家族ですから」

エレキ 「俺も彩葉に着いて行きます…ひとりじゃ心配ですし、それに…」

鉄火 「俺もいるからな!? 彩葉ちゃんは俺が守る!!」

FB 「はぁ〜…しゃあないなぁ、ワイも付き合うわ…」
FB 「ホンマ短い間やったけど、楽しかったで! 皆気のええ人ばっかやったし」

ナイア 「そうね、今度会う時は積もる話をゆっくりしたいものね」

FB 「ほな、さいなら!」

鉄火 「てめぇ、彩葉ちゃんにあんまり近づくな!!」

エレキ 「はいはい…そういきりたつなって」

彩葉 「皆さん、さようなら〜!!」

4人はその場を後にする。
彼女たちならきっと大丈夫だろうと確信できた。

ナイア 「じゃあ、私たちも行こうか? あなたたちは…?」

私はまずトランとリリス、ダルマ、ツガルを見てそう言い、そしてエリカとセリカに振る。


エリカ 「…私は、わからない」

セリカ 「姉さん…」

エリカ 「リュウはきっと生きている…私はそう信じるしか今はできないから」

私は蒼天の空を見上げて、そう想う。
まだ伝えていない言葉。
リュウは、あの戦いの後から帰ってこない。
ホルスとの戦いで死んだ、というのが普通だろうけど、私は信じている。
私が生きているなら、リュウも生きていて…きっと私に会いに来てくれる…と。

ナイア 「そう…まぁいいわ、だったら後ろに見える人影に挨拶くらいしたら?」

セリカ 「?」

エリカ 「え…?」

私とセリカは後ろを見る。
すると、遠くの丘に確かな人影が見える。
そして、その人影は私たちのよく知っている人の姿だった。



リュウ 「…どうにか、たどり着いたようだな」

ガルマン 「ここで、いいのですね?」

リュウ 「ああ、すまなかった…この恩は一生忘れん」

俺はGravityを降り、命の恩人のガルマンにそう言う。
あの時、爆発の後俺はガルマンのGravityに回収された。
そして、時間がかかったが、どうにかここまで来れたのだ。
俺の言葉を聞いて、ガルマンは小さく笑い。

ガルマン 「いえ…もし邪魔にならないのでしたら、これからも同行させてもらえないでしょうか?」
ガルマン 「少佐の探し求めた男である、あなたの戦いを見届けたいのです」

リュウ 「…いや、俺は多分もう戦わん。できれば戦いのない世界に行きたいと思っている」

俺がそう言うと、ガルマンはすまなさそうに。

ガルマン 「そうですか、失礼しました…出過ぎたことを言ったようで」

リュウ 「いや、いい…俺はもう行く、どうやら迎えが来てるようだからな」

ガルマン 「では、自分も失礼します! どうか御達者で!」

ガルマンはそう言うと、Gravityを動かして飛び去る。
俺は、しばしその去った後の空を見ていた。
そして、賭けて来るふたりの姿を見据える。

エリカ 「…リュウ!!」
セリカ 「リュウー!!」

ふたり同時に飛び込んでくる。
俺はさすがによろめいて、倒れる。



ナイア 「あらあら…お熱いことで」

ジルチ 「なぁ、ナイア…」

ナイア 「あら、どうしたの? あんたたちはここに残るんでしょ?」

私はそっけなくそう言う、だが。

ジルチ 「頼む! お前の工房で働かせてくれ!! 仕事がなくなってやばいんだ…」

孔雀 「俺も頼む!」

私はため息をつき、苦笑する。

ナイア 「あんたたちねぇ……はぁ、まぁいいわ…その代わりコキ使うわよ?」

私が呆れてそう言うと、ふたりは手放しで喜ぶ。

ジルチ 「よっしゃーー!!」

孔雀 「一歩前進!!」

私は少し後悔したが、まぁ何とかなるだろうと決め付けることにした。



ナイア 「じゃあ、これで」

ダルマ 「さようなら!」

ツガル 「お元気で!」

ジルチ 「体に気をつけてくださいね〜」

孔雀 「さよ〜なら〜」

エリカ 「じゃあね」

リュウ 「さらばだ元艦長」

トラン 「………」ぺこり
リリス 「………」ぺこり

ユーズ 「おう! 達者でな!! またいつか会おう!!」



そして、俺たちを乗せた輸送船『starmine』は出航した。
必要なくなったG2を解体し、ナイアとFBが独自のシステムで組み上げた、EARTH LIGHTに近い作りの船だ。
マザーはいなくなったが、新しい人工知能を搭載している。
俺たちはこの船で、それぞれの行く場所に帰ることにした。



ユーズ 「……達者でな」

俺はもう一度、空に向かってそう言った。



………。
……。
…。





店長 「おお、ダルマ!! 戻ったか!!」

ダルマ 「ただいまじっちゃん!! 今戻ったぜ!!」

ダルマは家に辿り着くと、すぐに店長の元に走る。
そして、誇らしそうに笑った。

店長 「よく帰ってきた…その顔は見事にやり遂げた顔じゃ」

執事 「お嬢様!! ようやく見つけましたぞ!!」

ツガル 「じ、爺!?」

ツガルはびっくりしたように驚く。
予想していなかったのか、ひっくり返りそうになっていた。

執事 「さぁ、旦那様と奥様が待ちかねております!!」

そう言って、執事はツガルを引っ張って車に乗り込ませた。

ダルマ 「あっ、ツガル!!」

ツガル 「ダルマー! また学校でねーーー!!」

ツガルはそう言って、ダルマに微笑みかけた。
ダルマは照れくさそうに鼻を掻いていた。

ナイア 「じゃあ、元気でね? 恋人と仲良くするのよ♪」

ダルマ 「…皆も、元気でね。また遊びに来てくれよ!?」

店長 「お元気で…」


俺たちは別れを告げ、次の目的地に向かう。



………。
……。
…。



カランカラン…

店独特の鐘が鳴り響き、従業員の男が出迎える。

セム 「いらっしゃい……何だ、ナイアか」

セムは私を見ると、そっけなくそう言う。

ナイア 「あんた、ホントに変わらないわね…久し振りに再会したってのに」

セム 「用件は何だ?」

セムは無感情にそういい放つ。
この兄あってのリリスだと今実感できた気がする。

リリス 「…ただいま」

セム 「む…おかえり」

さすがのセムもリリスの前では素直だった。
凄い差ね。

ナイア 「はぁ、まぁいいわ…eraも置いておくから、じゃあね」

私が立ち去ろうとすると、セムが引き止める。

セム 「…たまには、コーヒーでも飲みに来い、客としてな」

そう聞くと、私は微笑して。

ナイア 「そうね、その内にね」



………。
……。
…。



ナイア 「さてと…じゃあ、私はここまでね」

トラン 「ナイアさん…」

ナイアさんはジルチさん、孔雀さんと一緒に船を降りた。

エリカ 「ナイア!」

ナイア 「…? 何?」

何も言わないナイアさんの背中にエリカさんが声をかける。

エリカ 「…あのさ、私たち…本当に親友だよね?」

エリカさんが不安そうにそう言うと。
ナイアさんは微笑んで。

ナイア 「あったりまえでしょ! その内遊びに行くから覚悟しなさいよ!?」

そう言って、手を振りながらナイアさんたちは去っていった。



………。



リュウ 「…さて、トランはどうするんだ?」

俺とエリカ、セリカは一緒だとしても…トランは。

トラン 「…私、クロロと一緒に優里さんのところに行きます」

クロロ 「にゃ〜」

エリカ 「優里の所?」

セリカ 「地球に行くの?」

トランはこくりと頷き。

トラン 「マザーがいなくなって、私は行く所をなくしましたから…ですから、受け入れてくれる所に行こうと思います」
トラン 「前に、優里さんがそう言ってくれたので」
トラン 「…信じてみます」

リュウ 「そうか…じゃあ地球まで向かおう、少し遠いが」

セリカ 「ちょっと待って! その前に、私をすぐそこの星に降ろして」

エリカ 「セリカ!? どうして…?」

俺たちは驚いてセリカを見る。
するとセリカは悲しそうに笑い。

セリカ 「リュウは…姉さんと一緒にいてあげて」
セリカ 「私はこの方がいいって思ったの」

エリカ 「何でよ!? やっと…やっと姉妹一緒にいられると思ったのに…!」

エリカは信じられないといったようにセリカを見る。
しかし、セリカは首を振り。

セリカ 「ダメッ! リュウと一緒にいたら…私、きっとリュウのこと忘れられないから」
セリカ 「お願い! 時間をちょうだい姉さん? 気持ちの整理がついたら、きっと会いに行くから…」

エリカ 「セリカ…」

リュウ 「わかった…着陸するぞ」

俺は近くの、別に変哲もない小さな惑星のドックに入港し、セリカをAbyssと共に降ろした。
そして、俺たち地球へと向かう。





………………。





美夏 「はぁ〜! やっと休みだ!!」

美夏は嬉しそうに体をリビングで伸ばす。
彩香音は、TVを見ながら、呆けていた。
皆仕事で疲れているようね。

優里 「…あら?」

私は、その時たまたま空を見た。
すると、前にも見たような煌きを見つける。
そして…私はふたりを連れて、外に走り出た。



ゴゴゴゴゴゴ!

starmineが着陸し、私はふたりに別れを告げる。



トラン 「…リュウさん、エリカさん。さようなら」
トラン 「私…エリカさんとセリカさんに救ってもらった恩は…絶対に忘れません」
トラン 「きっとまた…会えると、信じていますから」

リュウ 「さらばだ…」

エリカ 「元気でね! 今度は皆を連れて遊びに来るから!!」

トラン 「はいっ」
クロロ 「にゃ〜ん♪」

そして、starmineは再び空を飛ぶ。
私は優里さんたちの方を向き。

トラン 「…これから、お世話になってよろしいでしょうか?」

私がそう言うと、優里さんは丁寧にこう言ってくれる。

優里 「ええ…いつまででも」










風が吹いた…

その風は頬をそっと撫で、今までの戦いの記憶を和らげてくれる


風は一体どこから吹き、そしてどこへ行くのだろう?


私はそんな疑問が残った

でも、それはひとつの言葉で片付けた


それは…風だから


だから、私は…歩きます


この果てしない優しい風が吹くこの地で


家族と呼べる人と永遠に笑いあえるように…


そして…



共に翼を広げた、絆という確かな家族と再会するために…











… The End …
















ANOTHER


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