閃光のALICE




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第8話 『黄色の親友』





蛍 「…えと、あの角を曲がってまっすぐ行ったら唐沢君の家…」

私は霧島蛍。
現在時刻7時40分。
ちょっと早く、今日は唐沢君の家に向かっていた。

蛍 (今日は課外授業…今日で私は唐沢君を智樹君と呼んでみせる! そして…!)

《注:ここから下は蛍の想像です》


智樹 「霧島…」

蛍 「蛍って呼んで…智樹君」

智樹 「蛍…好きだよ、大好きだ」

蛍 「私も…智樹君のことが…」

智樹 「蛍…」

蛍 「ん…」



…………。



蛍 「いやーん! はずかしー!!」

つい想像(妄想?)してみるととても恥ずかしい空間が広がっていた。
思わずその場で叫んでしまう。
すると、出勤中のサラリーマンやゴミを捨てて井戸端会議を開いているおばさんたちに奇異の目で見られてしまう。

蛍 「あ、あはは〜…」

思わず苦笑いしてしまう。
せめて唐沢君の前では頬の緩んだ姿は見せられないな…。




…一方その頃、唐沢宅では?


イェス 「智樹さん、智樹さん…朝ですよ」

智樹 「んん…あと、5分…」

イェス 「駄目ですよ、智樹さん」

智樹 「じゃあ360秒〜…」

イェス 「同じ意味ですよ、智樹さん」

ううむ…誰かが俺の体を揺する。
しかし、それがまた心地よい揺すりで眠気が増してくる。
しかも、子守唄のような優しい声が俺の眠気に追い討ちを…。
まずい…余計眠くなる…、てか、寝たい…。
俺は半分意識が覚醒しているにも関わらず眠気に負けようとしていた。

イェス 「しょうがないですね…」

揺れが止まった…。
これで安心して眠りに…。

イェス 「…ん」

チュ…。

頬に何か暖かい物が当たる感覚。
ん…これは…はっ!?

ガバッ!

智樹 「!?」

俺は一気に目が覚醒し、飛び上がる。

イェス 「おはようございます♪ 智樹さん」

智樹 「…おはよう」

イェスだ、イェスが俺の部屋にいる。
そしてイェスは口を左手で押さえて優しい笑みを俺に向けていた。

智樹 「あの…イェスさん、俺に何かしました?」

俺は平静を装いながら聞いた。
本音はとてもあせっている。
なんせ…頬にまだ感覚が…。
お、思い出すと顔が…。

イェス 「ふふ、起こしただけですよ」

智樹 「どうやって…?」

イェス 「ふふ、朝ごはんも出来ていますから早く降りてきてくださいね♪」

智樹 「あ…」

イェスはそう言って部屋を出て行く。
俺の部屋にはすでに俺しかいない。

智樹 「新妻じゃないですから…」

何となく新妻という言葉が頭に浮かんだ。
いやいや、さすがイェスは魅力的すぎるって…。
さすがに本上サーカスのアイドルだからな…。

智樹 「ちなみに時間は?」

俺は枕元にある目覚まし時計を見る。
時刻…7:05分?

智樹 「7時!?」

早!?
てか、早すぎだろ!?

智樹 「おいおい…あと30以上も寝れるじゃないですか…」

とはいえ2度寝するわけにもいかない。
おとなしく着替えて居間に下りるか。



アリス 「おはよう、智樹」

ティアル 「あら? 早いわね?」

智樹 「…おはよう」

居間に下りるとアリスとティアルもいた。
そういやこいつらいつも俺より先に起きていたな。
こいつら朝強いな…。

イェス 「席に座っていてください、コーヒーは砂糖とミルクでいいですか?」

智樹 「あ、砂糖無し、ミルク少しで」

イェス 「はい、わかりました♪」

智樹 「…新妻というより給仕か?」

アリス 「給仕?」

ティアル 「ウェイトレスのことよ、素直にメイドといった方がいいんじゃない?」

智樹 「いや、さすがにメイドはまずいだろ?」

イェス 「?」

俺は居間でそんなことを言っているとキッチンで不思議そうにこっちを見るイェスがいた。

ティアル 「メイド服着たら、まんざらでもないんじゃない?」
ティアル 「ご奉仕させてください、ご主人様って来たらイチコロかしら?」

智樹 「……」

そりゃ、KOだろう…。
てか、イェスにそんなことさせたら変態じゃないか…。

智樹 (でも、イェスは朝俺の頬に…)

アリス 「? 智樹、顔赤い」

ティアル 「あんた、いきなりどうしたの?」

智樹 「え、あ…な、なんでもない…」

想像したら顔が赤くなっていたようだ。
は、恥ずかしい…。
俺はさっさと席に着くのだった。

イェス 「サンドイッチを用意したのですが、和食の方がよかったですか?」

智樹 「いえ、普段トーストなんで」

ティアル 「それさえ食べない時さえあるけどね」

アリス 「…ん」

智樹 「お前ら少し黙れ、あ、いただきます」

俺はそう言ってまず卵サンドを手に取る。
食ってみると…うまい。
どうしたらこんなおいしいサンドイッチが作れるのだろうか?

イェス 「ふふ、あ、お洗濯を干さないと」

イェスはそう言って洗面所に向かう。
洗濯までしてくれるなんて…。

智樹 「なんというか…イェスには頭上がらないな…」

ティアル 「今日は仕事休みらしいし、嬉しそうに家事を始めてたわよ」

アリス 「イェスは家事が好きなのか?」

ティアル 「さぁ? どっちしろこの家には損はないわね」

智樹 「ふぅ、ごちそっさん」

俺はさっさとサンドイッチを食べ終えた。
久しぶりにまともな朝食を食べたな。
俺はすでにコーヒーを啜っていた。

智樹 「うむ、コーヒーもいい味つけだ」

甘くなく、かといって苦くもない。
この味がいい…。

アリス 「? そんなに美味しいのか?」

アリスは不思議そうに俺のコーヒーを見ていた。
このアリス、コーヒーを飲ませたことがあるんだが、ひどく嫌っていた。
さすがにのっけがブラックだったからな。
今はミルク20パーセント以上のコーヒー牛乳を飲んでいる。

ティアル 「飲んでみたら?」

そして、ティアル、こいつもブラックは駄目な口だ。
ただし、こいつは普通に砂糖とミルクを入れる。
俺よりちょっと甘めにしている。
てか、この家ブラック飲めるやついないな…。
俺は飲めないわけじゃないが好んで飲みはしない。

アリス 「智樹…」

智樹 「いいけど…アリスにはまだきついと思うぞ?」

アリスはあまりに欲しそうな目でコッチをみていたので、おとなしく俺が飲んでいたカップを渡す。
あ、これって間接キッス?

アリス 「…苦くない、でも美味しくない…」

智樹 「だから言ったろうが」

俺はそう言ってアリスからカップを返してもらう。
さすがに間接キッスはまずいの左手でカップを持って反対側から飲んだ。

ティアル 「今日は普通の時間に帰ってこれるんでしょうね?」

智樹 「ん? それはどうだろうかね?」

ティアルはイェス騒動の一件以来、帰宅時間をやたらに気にしていた。
俺ってばあの時連絡無しだったからな…。
そして、今日はちょっと帰る時間はわからない。

アリス 「どうしてだ?」

智樹 「今日は課外授業でな、まぁ遠足みたいなものなんだが、ちょっと帰りが遅くなるかもしれない」

今日は課外授業で都外に行くのでいまいちなんとも言えない。

智樹 「7時半か…まだ早いけどもう行くかな?」

俺は掛け時計を見て呟いた。
8時に家を出れば間に合うのに30分近く余裕がある。
まぁ、ゆっくり歩いていけばいいか。

ティアル 「あら? もう行くの?」

智樹 「ああ、行ってくる」

俺はそう言うとカバンを持って家を出る。



ティアル 「課外授業ね…」

アリス 「ん? それがどうした?」

ティアル 「見てみたいと思わない?」

アリス 「? 授業か?」

ティアル 「そうよ、行ってみない?」

アリス 「ん…智樹の授業、見てみたい」

ティアル 「じゃ、決まりね!」



…………。



智樹 「タータラッタタータタッタタ〜♪」

さて、今日も登校だ。
ゆっくり歩いているとはいえやはり時間が余る。
とりあえずウチュウガマルゴトヤッテキタだ。

智樹 「このままじゃマジで時間余るしな…どうするか?」

どっか寄るか?
それとも素直に学校に行って適当に寝るか?

智樹 「どっちにしても…」

俺は携帯の時間を見る。
時刻現在7時40分。
まだ、余裕。
そして、魔の曲がり角に直面。

智樹 「まぁ、さすがに今日はぶつかるまい」

なんせゆっくり歩いているのだ。

そして、曲がり角に…。

蛍 「ああ〜! ま、まって〜!!」

智樹 「へ?」

曲がり角から聞き覚えのある声。
振り向いた刹那には…。

ドン!

智樹 「なんでやね…ん…」

蛍 「あうう…すみません…」

智樹 「て、霧島?」

蛍 「え…? あ! か、唐沢君!?」

なんと、今日ぶつかったのは霧島だった。
霧島は激しく驚いていた。
かくいうこっちも驚いている。
なんで学校の反対側に住んでいる霧島がコッチにいるんだよ。

智樹 「とりあえず…立てるか霧島?」

俺はそう言って手を差し出す。

蛍 「あ、ありがとう唐沢君」

智樹 「? あれ…霧島?」

俺はよく見ると霧島の顔が変に見えた。
決して悪く言っているわけじゃないが…。

蛍 「ど、どうしたの?」

智樹 「霧島…左目が…」

蛍 「え? ああ…えと、コンタクトレンズは…」

俺が見た霧島は左目が金色だった。
霧島は気にした様子も無く地面を探す。

智樹 「お前なんで、走ってたんだ?」

蛍 「えと、実は、コンタクトが突然外れて拾おうとしたら今度はメガネが落ちて、慌ててメガネを付けたらコンタクトが風に飛ばされちゃったの」

智樹 「成る程…て、なんでコンタクトの上からメガネかけてるんだよ!?」

そりゃおかしいだろ!
コンタクト付けたらメガネは必要ないだろう!

蛍 「えと、コンタクトはカラーコンタクトだから度が入ってないの」

智樹 「カラーコンタクト?」

蛍 「うん、見たらわかるでしょ? 私の瞳の色…」

霧島はそう言ってメガネをはずして俺の顔を見る。
そうすると嫌でもわかる。
左目の金色が。

蛍 「私の本当のアイカラーは金色なの」
蛍 「変でしょ? …だからコンタクトをつけてたの」

霧島はそう言うと探すのを諦めたのか懐からスペアのカラーコンタクトを取り出した。
知らなかったぞ…霧島って外人だったのか?

智樹 「霧島って外人だったのか?」

蛍 「わからないの、でも、肌は有色人種の肌色なのに私の目と髪は金色…」

智樹 「えっ!? 髪も!?」

更にショックを受ける。

智樹 「てことは染めてるわけ?」

蛍 「うん、黒彩で」

智樹 「ぜんっぜん知らなかった…」

蛍 「隠しているわけじゃなかったけど…ごめんなさい」

智樹 「いや、別にいいんだけどさ…」

しかし、なんでわざわざカラーコンタクトしたり髪染めたりしているんだ?

智樹 「どうしてわざわざそんな隠すような真似を?」

蛍 「肌色…」

智樹 「え?」

蛍 「変だよね、金色の髪や眼なのに肌色の肌じゃ」
蛍 「今でこそ金髪に染めている人もいるけどやっぱり小さい頃それが凄く嫌だった」
蛍 「地毛の金髪ってやっぱり染めているのとは違うんだよね」

智樹 「……」

コンプレックスか。
ちょっと想像してしまうが、たしかに肌色で金髪ってのは変なのかもしれないな。
しかし、金色の目…?
金色の目なんてきいたこと無いよな?

智樹 「まぁいい、ほら霧島、学校行こうぜ?」

蛍 「あ、うん」

とりあえず、時間も程よくなっているので俺たちは話を切って学校に向かうことにする。
霧島も少し嫌がっていたし、触れるのはよそう。

智樹 「そういや、なんで霧島がこっち側にいるんだ?」

蛍 「え?」

智樹 「いや、だって霧島の家は学校の反対側だろ? こっち側にくるはず無いだろう?」

蛍 「あ、え、えと…それは…そのぅ…」

智樹 「?」

霧島はなぜか顔を紅くして口ごもる。
あんだ? なんかいつも赤らめ方と違う気がするが…?

蛍 「あ! もうそろそろ急がないと! ほ、ほら! い、急ご唐沢君!」

智樹 「あ? ああ…?」

霧島は突然慌て始める。
いや、慌てなくても時間はめちゃくちゃ大丈夫ですがね。
霧島の奴…大丈夫か?

蛍 「ほ、ほら! 行こ?」

智樹 「ああ…」

霧島はとにかく焦っている様子で、せかす。
俺は何か釈然としない物があったがここは素直に霧島に従うのだった。
そして俺たちは学校に向かう…。
今日は課外授業…何もおきなければいいのだが…。



…………。



『同時刻:唐沢宅』


アリス 「…で、どうするんだティアル?」

ティアル 「簡単よ♪ 普通課外授業ならバスなり電車なり使って移動するでしょ?」
ティアル 「そこで、智樹の乗る乗り物を付ければ目的地におのずとつけるって寸法よ♪」

アリス 「成る程…でも、どうやって追うんだ?」

ティアル 「そこはあなたの出番よ、あなたなら車だろうが電車だろうが追えるでしょ?」

アリス 「…つまり、私が智樹を追えと?」

ティアル 「そういうことよ、頑張ってよね?」

アリス 「ん、わかった…早速行く」

アリスはそう言うと早速家を出て行った。
さーて、後はアリスが無事智樹を追跡できればいいんだけど…?

イェス 「あら? アリスさんは出かけたのですか?」

ティアル 「え? ああ…ええ、ちょっとね」

そこへ突然イェスが姿を現す。
どうしようかしら…イェスにも教えようかしら?
でも、イェスは真面目だからねぇ…止められるかもしれないし…。

イェス 「ティアルさん…? どうしたんですか?」

ティアル 「え? ああ…ええと…」

あらら、どうやらおかしな顔をしていたらしい。
うーむ、仕方ない、危険な賭けだけどイェスにも一口かませてあげるかしら?

ティアル 「実は…」

私はイェスに私たちの計画を教える。
すると、イェスは…。

イェス 「まぁ、智樹さんの授業を?」

ティアル 「ええ、まぁ、邪魔せず草葉の陰から見るだけだけどね」

イェス 「それは大変面白そうですね、私も今日はフリーですし、一緒に行かせて貰ってもいいでしょうか?」

ティアル 「え? ああ…ええ、いいけど」

以外…よもや、イェスも噛んでくるとは。
てっきり反対、もしくは来ないとばかり思っていたのに。
結構イェスも軽いのね…。

イェス 「あら? でもアリスさんはともかく私たちはどうやって追えばいいのですか?」

ティアル 「え? あ…」

しまった…。
私たちのことは考えていなかった…。
アリスは追えてもそのアリスを私たち追えないじゃん…。
おまけにあの娘、携帯電話も持っていないし。(持っていても使えないでしょうけど)

イェス 「しょうがないですね…ちょっと待っていてください」



…………。



『同日:同時刻:学校校門前』


智樹 「よ、おはよう」

男友達 「よう、おはよう、唐沢!」

蛍 「おはよう」

女友達 「おはよう、霧島さん!」

成明 「ふ、お前ら二人並んで登校とは珍しいな…」

智樹 「成明か、そういうこともある」

蛍 「あ、神宮寺君、おはよう」

成明 「うむ、良きお日柄で」
成明 「しかし、ついにお前たちもアベック登校を…」

智樹 「まてぇい…、いきなりアベック登校になるか! 仲がいい友達なら道で会ったら一緒に行くのが道理だろうが!」

蛍 (…仲のいい『友達』、はぁ…)

成明 (相変わらず鈍い男だな…反対側に家がある時点で普通は途中で一緒に登校はありえん)
成明 (と、すると恐らく霧島嬢が智樹の家に向かったのが道理、しかし智樹のやつ、これでも気づかないとはな…)

智樹 「それにしても…まさか課外授業でもお前と同じグループになるとはな…」

成明 「ふ、それが運命という奴だ」

智樹 「俺には腐れ縁としか思えんが…」

さて、今日は朝から言っているから首都圏外への課外授業だ。
まぁ、授業と言うには程遠く、実際には単なるキャンプだ。
なんせ、埼玉の方の山奥に行って、キャンプ施設でバーベキューするだけだからな。
決して正丸峠を攻めようというわけではない。
第一、車持ってないしな…。
85でも学生には高いっての…。

そして、当然ながらこういった授業では集団行動が要求される。
この場合大抵は好きな者同士組める者なのだが、担任の熊谷の意図でくじ引きで決めさせられたのだ。
しかも、男女親睦を深めるためと、ちゃんと別々に引かせて。 その結果不幸にもこの成明と同じ班になってしまったのだ。
ちなみに霧島も同じ班だ。
あとはもう4名ほどいるのだが、ここでは説明しない。
所詮はエクストラだ。

成明 「おっと、そろそろバスが出る時間になるな…乗り込むか」

智樹 「む、そんな時間か」

どうやら、時間は頃合のようであと、5分ほどで出発の時間だった。
成明はさっさと指定の3号バス(俺たち3組だから)に乗り込む。
俺と蛍もそのまま一緒に乗り込むのだった。

成明 「む…」

智樹 「? どうした成明?」

バスに乗り込み、奥へと進む成明だが途中で立ち止まる。
バスの通路は当然ながら狭いので、止まられると進めないのだが…?

成明 「智樹、ここに座れ」

智樹 「はぁ、なんで?」

成明はバスの最後部ひとつ手前の窓側を指す。
一体、なんで?
ちなみに通常なら最高の席の一番後ろは当然ながら満席。
つまりそのひとつ前は次にいい席だ。
しかも、窓側だぞ?

成明 「いいから座るがいい、俺はその前に座る」

智樹 「はぁ? まぁいいけど…」

ちなみにバスの席は自由だ。
誰がどこに座ってもいい。
俺は成明の行動に疑問を持ちながらも成明の言われたとおりに座った。

蛍 「……」

智樹 「霧島?」

すると、霧島が俺の隣に座った。
まぁ、いいんだがな…。
しかし、従来の成明の性格を考えたらそこには奴が座りそうなものなのだが?
何か、裏がないだろうな?
などと、考えてしまうがさすがにそれはないだろうとけりをつけて、窓の外を見るのだった。

アリス 「……」

智樹 「!? アリス!?」

霧島 「え? ど、どうしたの?」

成明 「いきなりなんだ、智樹よ」

智樹 「あ、いや、なんでもない…」

窓の外を見たとき、俺はアリスを見たような気がした。
しかし、次外を見たときにはアリスの姿はなかった。
見間違いか?

智樹 (まぁ、さすがに学校にアリスが出てくるわけないわな…あいつならまだ家にいるはずだ)

アリスは普段あまり外には出ない。
もともと常識の少ない奴だから俺かティアル、イェスが同伴して出かけるときはある。
しかしアリス一人はさすがに不安なので禁止していた。

ブロロロロロロ…。

智樹 「お、出発か」

バスのエンジン音が大きくなるのが聞こえる。
前を見ると前方の2号車が動いていることに気づいた。
3組の乗る3号車もすぐに動き出すのだった。



一方、その頃イェスたちは…。

ティアル 「あ、あのバス! あれ、智樹の学校のじゃない!?」

イェス 「そのようですね、追いましょう!」

私はそう言ってアクセルのペダルを強く踏む。

ティアル 「それにしても、どこからこんな自動車を見つけてきたわけ?」

イェス 「本上サーカスのご友人にお借りしたんです!」

ティアル 「だからってこれ…シルヴィアじゃない…なんてマニアックな…」

イェス 「? シルヴィア? 申し訳ありません、私、車のことはあまり詳しくないもので…」

ティアル 「いえ…むしろわかる方が普通じゃないから…」

イェス 「はぁ…?」

私は頭に?を浮かべながらも後ろからバスの後を追った。
ちなみに私はDOLLではあるけど、運転免許を持っている。
さすがに車を買うのは高いので持っていないけど。

イェス (それにしてもアリスさんはどこにいるのでしょうか…?)

どこにもアリスさんの姿は見当たらない。
私たちは最後尾を追っているわけだけど、アリスさんはもっと前にいるのかしら?



…………。



『同日:11時45分 埼玉県某所』


智樹 「さーて、ついたついた」

成明 「ふむ、まぁ山奥だな…」

蛍 「これから、バーベキューの準備なんだよね?」

俺たちは定刻どおり目的地に着くのだった。
そこは都会からある程度離れた山の中だった。
とはいえ、ちゃんとしたレジャー施設なのでそう危険な場所でもない。
屋外にところどころバーベキュー用のセットが置いてあるだけだった。

智樹 「えと、俺たちの班は…?」

成明 「あそこだ」

そう言って成明は俺たちのバーベキューをする場所を指す。
そこは山の上の方で、ちょっと面倒な位置にあった。

智樹 「うへぇ、こりゃ大変だ」

成明 「うむ、それより誰か2里程食料の調達員が必要なのだが…?」
成明 「智樹、霧島嬢、行ってくれまいか?」

蛍 「私と、唐沢君が?」

成明 「うむ、こちらはこちらで用意をしておくから頼めないか?」

智樹 「…俺は別にいいけど」

蛍 「う、うん、じゃあ行ってくるよ」

そういうことで俺たちはバーベキューで使う食材を調達に山を降りるのだった。
ちなみに食材は山の一番下にある。
大変なわけだよ…。



蛍 (唐沢君と二人っきり…唐沢君と二人っきり…)

智樹 「?」

俺は霧島と横一列に並び、山を下る。
途中、霧島の顔をのぞくと顔を真っ赤にしながら何か思いふけっていた。
今日の霧島…絶対変だ。
一体何があったんだ?

蛍 「ね、ねぇ、唐沢君!」

智樹 「ん!? ど、どうした?」

蛍は裏返った声で何か言い出す。
俺も思わず甲高い声を上げてしまった。

蛍 「え、えと…その…」

智樹 「う、うん?」

蛍 「か、唐沢君、何か食べたい物ある?」

智樹 「え? あ、ああ…まぁ、特にないけど」

蛍 「そう…」

智樹 「ああ…?」

なんだったんだ?
いきなりにしては中々どうでもいい質問だった。
しかし、それにしては霧島はえらく落ち込んでしまったが…?

蛍 (はぁ…何やっているんだろ私…こんなんじゃ告白なんて出来ないよ…はぁ)

智樹 (霧島の奴、なんか悪い物でも食ったのか?)

結局、なんだか気まずい空気のまま俺たちは食材を受け取ると、成明たちの下に向かうのだった。



…………。



蛍 「……」

智樹 「……」

あれからバーベキューを楽しんだのだが、どうにも様子がおかしい。
それは霧島の性だ。
どうも、今日の霧島は変だった。
その性でどうも場の空気がおかしかったのだ。
どうも会話が弾まない。

成明 (…どうにも、進展がないようだな、しょうがないもう一度お膳立てしてやるか…)
成明 「おい、智樹、霧島嬢が用足しに行きたいそうだぞ?」

蛍 「え!? 私!?」

智樹 「…なんで俺に振る?」

成明 「まぁ、気にするな、トイレの場所がわからないそうだから」

智樹 「はぁ、トイレ?」

うんなもん下にあるだろうに。
ちなみにここでのしたとは山の麓のことだ。
ちょっと遠く、人気のないところに行かないといけないのが難点だがな。

成明 「うむ、な、トイレに行きたいんだよな、霧島嬢?」

蛍 「え? え?」

成明 「そうだな?」

蛍 「う、うん…、か、唐沢君…」

智樹 「はぁ…わかりゃーしたよ」

仕方ないので俺は立ち上がる。
トイレくらいひとりでいけるだろうに。

蛍 (もしかして神宮寺君、気を利かせてくれたのかな?)

こうして、俺は麓のトイレに霧島と一緒に向かうのだった。



…………。



蛍 (はぁ、神宮寺君のお陰でまた二人っきりになれたけど…)

私は別に尿意に襲われたわけではないけど女子トイレに入っていた。
とりあえずこれからのことを考えないといけない。
まずは何とか私の思いを唐沢君…ううん、智樹君に伝えないと!
まずは友達卒業よ! 蛍!

蛍 「そうと決まれば早速行動よ!」





智樹 「ほんと、人気のねぇトイレ…」

まぁ、山奥のトイレなんてそんなものなのかもしれないがな。
トイレの周りは無駄に広場になっており、平地が広い。
しかしその広場は森に囲まれており、さらにキャンプスペースから結構離れている。
どこか、いつものあの児童公園に雰囲気が似ているな。

ガサ…。

智樹 「ん? て…はい!?」

アリス 「…ん」

智樹 「アリス!?」

突然、森の中からアリスが姿を現す。
て、なんでアリスがここにいるんだよ!?

智樹 「おい、アリス! お前なんでここにいるんだ!?」

俺は森から出てきて、俺に近づいてきたアリスに聞いた。

アリス 「智樹を追ってきた」

智樹 「追ってきたって…アリスひとりでか?」

アリス 「ん…」

アリスはそう言って頷く。
なんでまた着いてくるかな…。

智樹 「と、アリス! お前がいると誤解を招きかねないから今はどっかに隠れてろよ!」

アリス 「ん、わかってる」

アリスはそう言うとまた、森の方へと姿を消した。
そして、それと同時に霧島がトイレから出てくる。

蛍 「お待たせ、唐沢君」

智樹 「ああ、それじゃ戻ろうか?」

蛍 「う、うん…でも、ちょっとその辺りを散歩しない?」

智樹 「あ? 別にいいけど…大丈夫なのか?」

蛍 「ふふ、ほら行こうよ、唐沢君!」

智樹 「あ、ああ…」

なんだかトイレから出てきた蛍はさっきとは打って変わり明るく活発になっていた。
どうなっているんだ?

蛍 「ねぇ、唐沢君…唐沢君って、好きな娘っているの?」

智樹 「はぁ!? い、いきなりなんだよ!?」

俺は思わず素っ頓狂な声を上げてしまった。
霧島ったらなんつーこと聞くんだよ…。

蛍 「私はね…いるんだ」

智樹 「へ、へぇ…」

な、なんか霧島からものすごいプレッシャーを感じる。
まるで○ムロ・レイと対峙したかのようだった。
またはビー○インと戦っている心境?

蛍 「私は…からさ…」

?『目標…補足』

智樹 「!?」

蛍 「わ…きゃあ!?」

バシャァン!!

突然、水柱が地面から無数に立つ。
一瞬何が起こったかわからなかった。
しかし、すぐに水の柱は消え、変わりに水の膜がドーム状になって俺たち周囲20メートルほどを覆っていた。
ドームの中には俺と蛍…あと、一人の少女がいた。

蛍 「な、なに? 何がおきているの…? 唐沢君…?」

智樹 (まさか、こんな時にDOLLの刺客が現れたのか?)

正面には剣を持った青色の少女がいた。
十中八九、青DOLLだろう。
この水のドームもイェスと一緒にいた黄DOLLのドームそっくりだ。

青DOLL 「唐沢智樹、目標確認…排除開始」

智樹 「くっ!」

アリス 「智樹っ!!」

智樹 「アリス!?」

突然、慌ててアリスが駆けつける。
しかし、惜しむらくはドームの外だった。
しかも今のアリスは丸腰だった。

アリス 「くっ! 智樹!」

蛍 「唐沢君…どうなっているの?」

智樹 「蛍…すまない、俺たちは命を狙われている…絶体絶命だ」

折角アリスが来ても丸腰では勝ち目がない。
だからといって俺にあのDOLLに勝てるとも思えない。
まさか、蛍まで巻き込んで襲ってくるとは思わなかった…。
迂闊だったな…。

蛍 「そんな…どうして…」

智樹 「……」
俺は何も言わなかった。
言ってもわからないだろう。

青DOLL 「覚悟!」

ガキィン!

突然、はじける音。
何が起こったかわからない。
ただ、その音に反応して、DOLLの少女は俺に向かっては来なかった。
音のほうには…。

ティアル 「くっ! ただの水の膜じゃないってわけ!?」

イェス 「強力な水の障壁です! ティアルさんでは相性上考えても突破は不可能です!」

蛍 「あ、あの人たち…」

智樹 「ティアル…イェスまで…なんで!?」

今度は別の方からティアルとイェスが現れた。
しかし、惜しむらくはイェスも丸腰、ティアルのみ武器を持っているようだが、この青の障壁は突破できないらしい。
全然事態は好転しねぇ…。

青DOLL 「どうやら、ほとんどの者は丸腰のようね…これは楽な仕事ね」

智樹 「ちぃ…」

そして、俺が一番絶体絶命と…。
どうする!?
やばい、やばすぎるぞ!?

青DOLL 「まずは…あなたよ! 人間!」

智樹 「うおおおっ!?」

ドカァ!!

俺は猛スピードで襲い掛かる青DOLLに向かって思いっきり体からぶつかるように前に出た。
その結果、刃で切られることはなく、手の方で頭からぶったたかれた。
し、死にはしないが…一撃で…やばい。

アリス 「智樹! 逃げて!」

イェス 「智樹さん!」
ティアル 「智樹!」

智樹 (逃げろったって…逃げられるわけもないだろうに…すでに絶望じゃないか)

すでに俺の体はたった一撃の打撃で動くこともままならなかった。
痛みはない…痛みなんて通り過ぎている。
今まで運が良かった方か…本来ならとっくに死んでいるよな。
こんなの…。

青DOLL 「これで、最後よ…覚悟!」

智樹 (くる…これで、終わりか)

青DOLLの少女が襲い掛かってくる。
俺にはすでに…なす術はない。
ただ、死を待つのみ…。

蛍 「智樹君!!」

智樹 「!?」

キィィン!

霧島の声が頭に響いた時、突然、光が俺を包む。
これは…まさか!?

蛍 『あれ? これって…一体? か、唐沢君…?』

霧島の声がなおも頭の中で響く。
そして、霧島の姿がどこにも見えない。
これはつまり…。

智樹 「『融合』!? なんで、霧島と!?」

全く持って謎だった。
ゆ、融合ってDOLLとしかできないんじゃないのか!?

智樹 (つまるところ…霧島はDOLLなのか?)

蛍 『DOLL? それは…?』

俺の考えていることは霧島にも聞こえる。
同じ体を共有しているため、考えていることもリンクしてしまうのだ。

智樹 「詳しいことはあんまりわからないが、何となくわかった気もする」

蛍 『え?』

俺の体は黄色を基調とした服へと変化していた。
恐らくこれは黄DOLLとの融合だろう。
霧島の黄色の目と髪の理由はDOLLという事項で一発で説明できてしまう。
問題は何故、霧島がDOLLなのか?
ティアルやイェスの話によるとほとんどのDOLLは冬眠状態らしい。
ごく一部のDOLLのみが常に活動状態にあり、それ以外は眠っている。
他には例のDOLL開発研究施設に管轄されていないDOLL(アリスやイェスなど)が例外だが。
まさか、霧島も?
しかし、霧島はずっと人間として育ってきたはず。
それにDOLLのことをまったく知らないようだし、いったいどういうことだ?

アリス 「融合…?」

イェス 「そんな…なぜ?」

ティアル 「まさか…いえ、やっぱりDOLLだったのねあの娘…」

青DOLL 「まさか、またDOLLと融合するとは…」

蛍 『もしかして…私、唐沢君の中に?』

智樹 「ああ、融合したんだ」

蛍 『融合…そんな非常識的な』

智樹 「たしかに、非常識だが、これが現実だ…そして!」

ヒュン!

俺はその場から動き出す。
最速の黄DOLLのスピードは圧巻で、アリスと融合したとき以上のスピードを感じた。

青DOLL 「速い!?」

ティアル 「あれが融合したときの力…」

蛍 『すごい…これが本当に私たち?』

智樹 「ああ…そして、これもな!」

俺は気がつくと右手に持たれていた、黄色い鞭を振るう。

青DOLL 「くっ!?」

ビシィン!!

蛍 『それは…たしか、私の家においてあったはずの鞭…』

置いてあった…?
てことは持っているのかよ…ますますDOLLっぽいな。
しかし、なんで今俺が持っているんだ?
もしかして融合すると武器は手元に転送されるのか?
何にせよ、これで勝てる!

黄は青に有利だからな!

智樹 「いきなりで悪いが終わりだ! ライトニングバスター!!」

バチチィン! ビシィン!!

鞭は帯電し、電光石火で青DOLLを攻撃する。
少女は持っていた武器で防ごうとするが、ものすごいスピードの性か紙を切るかのごとく剣は真っ二つになり、少女は光りとなった。

智樹 「効果は抜群だ…てか?」

ちょっと、予想以上にあっけなく終わったのでボケてみる。

蛍 『ポケモンだね』

融合時でも見事に突っ込んでくれる。
グッジョブ霧島…新感覚の融合だな…。

キィィィィン。

とりあえず、俺は融合を解除する。
どうも融合は俺の方に全権力が渡されるらしく、解除も俺からしか出来ないようなのだ。
しかし、まぁ元々この理解不能の融合だからな…なんで合体できるのやら?
原理も理屈もさっぱりわからん。

智樹 「と、霧島大丈…て、あら〜?」

蛍 「か、唐沢君!?」

突然、体が傾く。
霧島の顔が横を向いた。
あ、れ〜…俺、倒れてる〜?

ドサァ!

蛍 「唐沢君! 大丈夫!? しっかりして!」

アリス 「智樹…?」

ティアル 「どうやら融合前受けた一発のダメージがあるらしいわね」

智樹 (頭食らったからな〜…軽く脳震盪起こしたか?)

気がつくと敵DOLLも消えたのであの障壁はなくなってアリスたちも寄ってきていた。
俺はというとぶっ倒れたところを霧島に支えられている。

イェス 「大丈夫ですか、智樹さん?」

智樹 「一応…大丈夫です」

俺はそう言って上半身を起き上がらせる。
もう、なんとか歩けそうだ。

智樹 「…こら、霧島葬式に出席したような顔で泣くな、ほら…」

蛍 「あ…」

蛍は大げさにも大粒の涙を流していた。
さすがに見かねて俺はズボンのポケットからハンカチを取り出し、霧島の涙の後を拭った。

蛍 「……」(赤面)

ティアル 「いや、何はともあれなんともなくてよかったわね!」

智樹 「あのな…それよりお前らどうしてここにいるんだ!?」

アリス 「?」

ティアル 「あ、それはえと〜」

智樹 「しかも、イェスまで…」

イェス 「あはは…」

イェスが苦笑いをする…ということはこいつらなにか不埒なことを?

智樹 「お前ら…」

ティアル 「えっと…逃げる!」

そう言うとティアルたちは一目散にその場から立ち去った。
帰ったら覚えとけよ…。

蛍 「唐沢君、私たちも戻ろうよ?」

智樹 「ん、ああ、そうだな」

いい加減戻らないとさすがに不信に思われるからな。



智樹 「なぁ、霧島…」

蛍 「なに?」

智樹 「……」

蛍 「ど、どうしたの?」

俺は続く言葉がどうしてもいえなかった。
DOLLなのかと…。
なぜ、融合できたのか、蛍の髪の毛や目の色…蛍はDOLLなのではないか…?
しかし、これまでの生活もあって、どうしてもDOLLとして認識しきれない。

智樹 (人間とDOLLは違うと言う…差別意識を俺は持っているのか?)

もしかして、俺は霧島をDOLLとして思いたくないのか?
しかし、なんでだろうか?

智樹 「好きな奴がいるとか言ってたよな…それってどんな奴なんだ?」

俺はかなりどうでもいいことを聞いてしまった。
というか、会話がないので何も考えていなかったらこんな言葉が出てしまった。
てか、普通聞かないよな…こんなこと、俺って馬鹿…。

蛍 「あ、えへへ…その」

智樹 「霧島?」

突然霧島は顔を赤らめて、にやけ笑いをした。

蛍 「私の好きな人は、唐沢智樹…この人です」

智樹 「ふ〜ん、唐沢智樹ねぇ〜…ん?」
智樹 「からさわ…ともき…? 俺!?」

俺は思わずオーバーリアクションで驚いてしまう。
霧島は今は優しい笑みを浮かべて笑いかけていた。
いや、顔は赤面しているけど…俺もか。

蛍 「智樹…君、私は智樹君が好きだよ?」
智樹 「あ、いや、えと…」

ここで告白すか…。
やべぇ…どうしよう…まだ出会って2ヶ月しか経っていないのに…。
しかも、いきなり名前呼びだし…。

智樹 「霧島俺は…」
蛍 「蛍って呼んで…」

智樹 「…えと、蛍? その…いきなりすぎてその…」

蛍 「まだ、今は仕方ないよね…でも、想いは伝えたよ! お返事待っているから!」

蛍はそう言うと走って待っている成明たちの元に向かう。
そのスピードは山道だというのに人間離れした脚力だった。
男の俺でも蛍には絶対追いつけそうにない・

智樹 「告白されちゃったよ…早めに答えないといけないかな?」

でも、DOLLなんだよな。
DOLLを好きになるってどういうことなんだろう…。



結局、今日はどうも本調子に入れず、空回りする一日だった。
しかも、蛍は俺のこと唐沢君が智樹君に変わってるし。
俺も蛍って呼んでるけど…。




第8話 「黄色の親友」 完


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