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第7話 「怒りのウンディーネ」




新たな仲間を探すため、悠たちと別れて行動することにしたウチとノーム。
あれから10日が過ぎ、ウチらはデリトールの首都、ガストレイス王国に着いとった。

ウンディーネ 「ようやっと着いたな…」

大陸の80%が砂漠に覆われたデリトール大陸。
その首都ガストレイスは水の王国としても名をはせとる。
理由は、この国が水の神ポセイドン、ネプチューンの力のおかげで水には苦労せんからや。
もっとも、国の中だけやから外は水のない広大な砂漠や…。
迷うたら、干からびてミイラにでもなるやろ…。
ウチらのように精霊と仲がええんやったら迷うこともあれへんのやが…。

ノーム 「早く、孤児院に行こう」

立ち止まってるウチに向かって、ノームがそう言う。

ウンディーネ 「そやな…はよ行こか」

ウチらは懐かしい街並みを歩きながら、孤児院を目指した。



………。
……。
…。



4時間ほど歩いた所で、ようやくウチらは孤児院に着いた。
時間も夜遅うなって、暗なっとる。
ちなみに、孤児院は王国のはるか東、まぁ一応国内や。
大オアシスのすぐ近くにあるさかい、まぁ水には困らへん。

ウンディーネ 「すんまへ〜ん!」

ドンドン!

ウチはちょっと荒めにドアをノックする。
すると、すぐにひとりの男が出てきよった。

男 「こんな夜更けに誰だ…?」

男はウチよりも背が高く、180cmぐらい。
髪はバサバサで、何となくだらしなさそうな男。
せやけど、知人なんやなこれが。

ノーム 「サラマ兄ちゃん!」

ノームがその男を見るなりそう叫ぶ。
そう、この男がウチらの親しい友人のひとり、サラマンダー・ネオン・レオーネ・ルビーや。
ちなみにウチらは呼びにくいからサラマと略しとる。

サラマ 「ん? おおっ! お前等、どうしたんだ? 急に帰ってくるとは」

サラマはウチらと気づくなり笑って驚く。

ウンディーネ 「ちょっと、訳ありでな…中に入れてくれへん?」

サラマ 「ああ、入れよ」

サラマはそういって中に入っていく。

少年 「あっ! ウンディーネお姉ちゃん! 帰ってきたんだ」

ウチらが入ると、まだ5、6歳の子供たちがウチの所に集まって来る。
皆、この孤児院の子供たちや。
前に会うた時よりも大きなっとる…。

ウンディーネ 「皆久しぶりやなぁ…元気にしてたかぁ?」

ウチは屈んで子供たちの頭を優しく撫でてやる。

少女 「うんっ、元気だよ!」

少年 「色々旅の話を聞かせてよ!」

ノーム 「あれ? 他の皆は? 子供たちだけ?」

ノームが、周りを見渡してサラマにそう訊ねる。

サラマ 「ああ、今は俺だけだ」

ウンディーネ 「あれ? シェイドは…」

サラマ 「ああ…あいつ、さっきひとりで遺跡の方に向かっちまってな…」

ノーム 「遺跡って、南のドルバドル遺跡?」

特に何でもない遺跡のはずやけど…そう言えば立ち入り禁止やなかったかな?

サラマ 「ああ、何でも…やばいのが目覚めるとかどうとか」
サラマ 「何か、物騒なこと言ってた気もする」

サラマは何かうろ覚えにそう言う。
相変わらず微妙な答え方や…。

ウンディーネ 「やばいの? もしかして、邪神とか?」

ウチはもしかしたらと思いそう訊ねる。

サラマ 「さぁ、そこまでは聞いてないけど…お前らの事と関係があるのか?」

ウンディーネ 「しゃあないなぁ…」

ウチは不安な気持ちになって、遺跡に行くことにした。

サラマ 「お、おい! まさか行くのか!?」

ウンディーネ 「当たり前や! 親友をほっとけるかいな!!」

ノーム 「俺も行くよ!」

サラマ 「おいおい…シェイドに限って、そんな危険なことがあるのか?」

確かにシェイドの強さやったら、十騎士ぐらいあしらうやろ…。
シェイドはそれだけ強い。
ウチなんかやったら足下にも及ばへん…。
女だてらにこの孤児院をひとりで守ってきたんやしなぁ…。
でも、そのシェイドがやばい奴や言うてんのやから、ホンマに危ないわ!

ウンディーネ 「どっちにしても、行かなあかんねん!」

ウチは全速力で遺跡に向かうことにした。
距離はそんなに離れてはいなく、数10分もあれば着く。



………。
……。
…。



そして、ウチはドルバドル遺跡に辿り着いた。
すでに日は沈み、月の明りだけが砂漠を照らしとる。
遺跡は、入り口だけが外に出てて、内部は地上に埋もれとる。
石造りの遺跡やから、それなりには頑丈や。
遺跡内はシェイドがつけたのか、火が灯ってた。
ウチはその中にゆっくりと入っていく。
そう言えば、ノームを置いて来てもうたなぁ…まぁ迷うことはないやろうけど。

カツーン…カツーン……

静かな遺跡内にウチの足音だけが響く。
基本的に下がるだけの階段で、人ふたり分位の幅や。
そして、階段を降り切ると、今度は真っ直ぐしかない道がある。
それをしばらく進んでると、広場に出た。

ウンディーネ 「…あれは?」

広場の中央付近に見なれた女の姿があった。
ウチと同じ位の身長。長いすらっとした髪。
黒い上着に白い肌着、黒のズボンを身につけている、まさに美人さん! でも美人度やったらウチも負けへんで!
ちなみに、大剣を片手にぶら下げとる…臨戦体制かいな。
とりあえず声をかける。

ウンディーネ 「シェイド! 無事やってんな!?」

シェイド 「ウンディーネ。お前だったのか…」

シェイドはウチを見るなり少し驚いた様子で、そう言った。
細い釣り目が私を捕らえる。
そして、冷静に言葉を放つ。
変わっとらんなぁ…。

ウンディーネ 「サラマから聞いて飛んできたんや! やばいのが復活するんやて?」

ウチがそう聞くと、シェイドは中央にある石の棺桶を見つめ。

シェイド 「ああ、邪神軍十騎士のひとり。常闇のネイ・エルクが、目覚めるぞ」

ウチはそれを聞いてはっとなって棺桶を見る。

ウンディーネ 「十騎士やて…?」

確か、先生の話やと、四天王クラスの力を持つって言う…。
すると、棺桶の蓋が、目の前でゆっくりと開く。

ゴゴゴゴゴ…!
ズドォンッ!!!

大きな音と砂煙を上げて棺桶の蓋が地面に落ちる。

シェイド 「……」
ウンディーネ 「……」

シェイドは冷静にその棺桶を真っ直ぐ見つめる。
ウチも同じように注目した。
やがて、中からひとりの少女が現れた。
髪は長く、シェイドと同じ位。
首の所で髪をバンドで止めとる…お下げやな。
背はウチよりも小さく、150後半といったところ。
服装は黒い服に黒いズボン? 何か真っ黒な服装や。

ネイ 「ふわあぁぁぁ…眠い」

その少女は起き上がるなり、大きなあくびをした。

ウンディーネ 「なんや…あいつが十騎士かいな」

シェイド 「気をつけろ…恐らく並の力じゃないぞ」

あの『シェイド』がここまで言うのだから相当の力なんやろう…。
ウチは警戒しながら、ネイを睨みつけた。

ネイ 「あら…なんだか、殺気立ってるわねぇ…」

ネイは首だけを動かし、私たちを見て笑う。
少女の笑みだが、無邪気すぎるのが返って怖い。

シェイド 「目覚めたばかりで悪いが、また眠ってもらおうか…」

シェイドが剣を鞘から抜き、構える。
相変わらず衰えてへんようやね…威圧感あるわぁ。

ネイ 「へぇ…あなた、相当強いわね。でも、私とやるつもり?」

ウンディーネ 「待ちや! ウチも戦うで!」

ネイ 「そっちはたいしたことないわね…止めた方がいいんじゃない?」

ネイはウチを見て笑いとばす。
さすがにカチンと来るわぁ…!

ウンディーネ 「何やて? なら試してみるか?」

シェイド 「ウンディーネ! これぐらいの挑発に乗るな…。お前は退がっていろ」

シェイドはウチを止めて、ネイの前に歩み寄る。
すると、ネイはシェイドの前に棺桶から飛び降りた。

ウンディーネ 「…シェイド」

ウチは悔しかった。
ウチにもっと力があれば…。
シェイド、ひとりで勝てるんかいな…。
その時、後の道から足音が聞こえてきた。

ウンディーネ 「しまった! まさか!?」

ノーム 「ウンディーネ!!」

ノームが追いついてきてしまった。
今はタイミングが悪い。

シェイド 「…ノーム?」

シェイドがノームに気を取られる。
ネイはそれを見逃さなかった。

ネイ 「うふふ…どこ見てるの?」

ネイはシェイドに向かって魔法を放った。
ネイの両手から闇の球が放たれる。

シェイド 「!?」

シェイドは咄嗟に身を捻り、直撃をかわした。
だが、衝撃で横腹をやられる。
シェイドはそのまま、ウチの後まで吹っ飛んだ。

ウンディーネ 「シェイド!!」

ネイ 「人の心配してる暇あるの?」

ウンディーネ 「しまっ…」

ノーム 「ウンディーネ!!」

ネイが魔法剣をウチに向かって突いてきた時、ノームはウチを庇った。

ドスッ…

ウチはノームに突き飛ばされて無傷。
でもノームはネイの剣によって、腹部を貫かれた。

ウンディーネ 「ノ、ノームー!!」

ノーム 「…げほっ!」

ノームは血を吐き、その場に倒れる。
ネイはノームの体から剣を抜き、ウチに向かって突っ込む。

ガキィ!

ウチの目の前でシェイドがネイを止める。

シェイド 「ちぃ! ウンディーネ、ノームを!」

ウチはそれを聞いて、ノームに駆け寄る。

ノーム 「…ウン…ディーネ……」

ウンディーネ 「ノーム! しっかりせぇ!! アクア・ヒール!!」

ウチは全力で回復魔法を唱える。
水がノームの傷を覆って治癒する。

ノーム 「がはっ! …だ、だめだ…俺よりも、あいつを…」

ウンディーネ 「喋ったらあかん!!」

傷が予想以上に深い!
闇の魔力の影響で、傷がすぐに塞がらへん。

ノーム 「…もう、助からないよ……だから」

ネイ 「ふふふ、友情ってやつ? お笑いね…」

シェイド 「貴様…!」

ネイとシェイドはほぼ互角の戦いを繰り広げていた。
いや、シェイドの方が若干押しとる…。

ネイ 「所詮、友情なんて戦場では必要ないわ。他人のために死ぬなんて馬鹿げてるわ」

ウチは気にせずに回復に努めた。
でも…ウチの力やと傷を塞ぐのが限界やった。
すでにノームの体力は…。

ノーム 「……」

ウンディーネ 「ノーム…嘘やろ……」

ウチはがっくりと肩を落とした。
涙が頬を伝って、ノームの顔に落ちる…。
下手なお話のパターンやとここで死人の目が覚めるってのもあるけど、現実はそんなに甘くなかった。

ネイ 「あははっ! 死んだの? あっけないわねぇ…」

ネイはそれを見てへらへらと笑う。
そして、ウチの中で何かが弾けた!

シェイド 「!? ウンディーネ?」

ウンディーネ 「シェイド…あんたは退がり……!」

シェイド 「…ウ、ウンディーネ」

私は半ば無理やりシェイドを後ろに退げる。
そして、ネイがウチを見る。

ネイ 「何? ひとり死んだぐらいで怒ったの?」

ウンディーネ 「黙りぃや…あんたは、ウチがぶちのめしたる!!」

ウチは正面から突っ込んだ。
そして、顔面に向かって右回し蹴りを放つ。

ビュッ!

ネイは見を捻ってかわそうとするが、ウチの蹴りはネイの頬をかすめる。

ネイ 「このっ!」

ネイは一歩退がり、ウチに向かって魔法を放つ。
闇の弾が2、3個ウチに向かって飛んでくる。

ズガーン! ドゴーーーン!!

ウチは水の盾を正面に出してそのまま突っ込む。

ネイ 「あははっ、耐えられるかしら?」

ネイは尚も連続で繰り出す。
魔力の集中が早い、ウチとは桁違いや。

ドガンッ! ズドーーーンッ!!

せやけど、ウチは耐え切る。
そして、ネイの懐に飛びこみ腹を右手で殴る。

ドスッ!

ウチは更に腹に右足で前蹴りをくらわしてネイを吹き飛ばす。

ズザアッ!

ネイは吹っ飛びながらもすぐに体勢を立て直す。

ネイ 「くうぅぅ!」

ウチは更に突っ込む。

シェイド 「まずい、ウンディーネ退がれっ!!」

ネイ 「調子に乗るんじゃないわよっ!」

ウンディーネ 「!?」

ウチの足下から闇の力が現れ、ウチを包みこむ。

ネイ 「終わりよ…ダークネス・デッド!!」

ウンディーネ 「あああっ!!」

闇の結界がウチの体力を奪う。
ごっつい魔力や…。
ウチはダメージをくらいながらも魔力を集中する。

ネイ 「!? 何、こいつ…!」

ウンディーネ 「……!」

ウチは闇の波動の中で、自分の周りを水の魔法で包みこむ。
そして、次の魔法を溜める。

ウンディーネ 「アクア・ランサー!!」

ウチの両手から放たれた水の槍は、闇の波動を破ってネイを襲う。

ネイ 「きゃあ!」

ザシュッ!

槍がネイの肩をかすめ、ネイの魔法が解ける。

ウンディーネ 「くっ…」

ネイ 「いい加減くたばりなさい!! ダーク・ブリット!!」

再び闇の弾がウチに襲いかかる。
ウチはそれを食らう覚悟で最大の魔力を集中する。

ズドォンッ!! ズバァンッ!!

ネイ 「あははっ! 無様ね!!」
ネイ 「!?」

ウンディーネ 「ぬるいわ!! ウェーブ・ソウル!!」

ネイの魔法を耐え、ウチが魔法を放つ、ウチの周りから大量の水が噴き出し、大波となる。
そして、ネイの体をいともたやすく飲み込む。

ザアァァァァッ!!

ネイ 「くっ!?」

ザッパーーーンッ!!

波に飲みこまれ、ネイは壁に叩きつけられる。
ウチの最大魔法や、直撃やで…。

ウンディーネ 「どうや…?」

シェイド 「いや、まだだ!!」

シェイドがそう言うと、ネイはゆっくりと起きあがる。

ネイ 「くっ…やるわね、私がここまで追い詰められるとは思わなかったわ…」

ウンディーネ 「このぉ…!」

シェイド 「止めろ! ウンディーネ、今回はお前の勝ちだ」

ウチはシェイドに止められて、その場に止まる。

ネイ 「今回は退くわ。まだ、こっちは完全じゃないから…」

ウンディーネ 「完全やない…?」

ネイ 「あれが、本気だとでも思ったの? お笑いね…私は目覚めたばかりであいにく力がコントロールできないの…。しばらくはリハビリね」

シェイド 「もう、行け。今回は見逃しておこう…」

ネイ 「そうさせてもらうわ。じゃあ、さようなら…」

ネイは言うだけ言って闇の中に消えていった。
負け惜しみやない…ホンマのことやろ。
正直…勝てたのが不思議や。

ウンディーネ 「…ノーム」

ウチはノームの所に歩み寄る。
そして、その場で膝を突いて、ノームの身体を抱き上げる。

シェイド 「…ダメか?」

ウンディーネ 「ウチにはどうもできへん…傷は治せても、闇の魔力の影響は消せへんかった」

シェイド 「死んだ…のか?」

ウンディーネ 「…わからへん、心臓は止まっとる」

ノームの胸に手を当てるが、鼓動は聞こえへんかった。

シェイド 「脳はまだ生きているということか…」

ウンディーネ 「でも、もう後数分ももたへん…」
ウンディーネ 「良くても…植物人間やろ」

時間の問題やった。
せめて、こうやって側にいたるぐらいしかしてやれへん…。
ウチは無力さを呪った。



………。



カツーン…カツーン……

足音。ウチらは足音に気づき後ろを振り向く。
女性がおった…。
首の下ぐらいまで伸びたセミロングの髪に、額に巻かれた白いバンド。身体には黒いローブに身を包み、どことなく憂いのある表情をした大人を感じさせる女性やった。
その女性はこちらに近づき、身を屈めノームの体に触れる。

ウンディーネ 「な、何やねん! あんた!!」

ウチがそういうと、女性は身を屈めたままこちらを見て。

女性 「大丈夫、この子は助かるわ…」

シェイド 「何? 本当か!?」

女性 「ええ、大丈夫。私が助けるわ」

ウンディーネ 「どうやって…?」

ウチがそう訊くと、女性は魔法を使い始めた。
ウチの知らん魔法や…。

シェイド 「光の魔法…。それも強力な」

女性の手から光が満ち溢れ、ノームを包みこむ。

ウンディーネ 「ノ、ノーム…?」

女性 「…もう大丈夫よ」

シェイド 「あなたは一体?」

シェイドがそう訊くと、女性は立ちあがり。

女性 「私はアリア・ヘルミネス。今はそれだけを教えておくわ…」

アリアと名乗った女性は、それだけを言って去っていった。

ウンディーネ 「今は…?」

シェイド 「つまり、また会うというわけだろう…」

ウチらは女性の去った後をしばし見つめた。
また会う…か。

ノーム 「う…ウンディーネ……」

ウンディーネ 「ノーム!? 大丈夫か?」

ノームは目をあけてゆっくりと起き上がる。

ノーム 「俺は…生きてるのか?」

ウンディーネ 「ああ! アリアちゅう人が助けてくれはったんや」

シェイド 「まったく…心配をかけさせて」

ノーム 「…ごめん、シェイド姉ちゃん」

ウンディーネ 「…ノーム、ウチのこと慕ってくれんのは嬉しいけど、あんたには本当に見てくれる人がおるんやで?」

ノーム 「えっ…?」

ウンディーネ 「あんたが死んだら…ウチらよりももっともっと悲しむ人がおるんやで!?」

ウチはそう言いながら涙をこぼした。
ノームは鈍感やから気付いてへん…。
実は、ノームのことをずっと前から好きな女の子がおる。
せやけど、内気な女の子やから、自分からは言い出せへん。
ウチはその娘からノームを任されとる、せやから死なすわけにはいかへん…約束やから。
ノームはそんなウチを見て、俯き。

ノーム 「ごめん……」

シェイド 「……」

シェイドはウチの肩をぽんと叩き。

シェイド 「行こう…子供たちが心配するかもしれん」

ウチらは頷きあい、孤児院へと退き返す。



………。
……。
…。



サラマ 「そうか…そんなことがあったのか」

ウチはゾルフ先生や、ユミリア先生から聞いた事をサラマやシェイドに話した。

シェイド 「つまり、邪神はもうすぐ甦ると…」

ノーム 「うん、それで俺たちが倒さなきゃならないんだ…」

ウンディーネ 「できれば力を貸してほしいんやけど」

サラマ 「俺は行くぞ。妹が関わってるんならほっとけないからな」

ウンディーネ 「へっ? 妹…?」

サラマ 「ああ…そういえば言っていなかったな。ナルは俺の妹だよ」

ノーム 「そ、そうだったの!?」

サラマ 「名字が同じだろうが」

言われてみれば…。

ウンディーネ 「そう言えば…そやな。何で名前聞いた時に気づかんかったんやろ?」

ノーム 「ほんとに…」

サラマ 「まぁいいだろう…とにかく俺は行くぞ。シェイドはどうする?」

シェイド 「私も手伝おう。その方が戦力的に楽になるだろう…」

ウンディーネ 「おおきに! 助かるわ〜」

これで鬼に金棒…いや一騎当千や!

ノーム 「ところで、ジンやウィルたちは?」

サラマ 「さぁな…ジンは北に行くとは言ってたが…」

シェイド 「少なくともアストラではないだろう…」

ウンディーネ 「ほな、ソルジネスか…悠たちが会うとるかもしれんな」

サラマ 「ドリアードもここを出たっきり、連絡がない」

ウンディーネ 「何やて!? ドリアードが出ていったん? 何で?」

シェイド 「お前たちを追いかけて行ったきりだ」

ノーム 「へ? 俺たちを…?」

ウンディーネ 「嘘やろ…? あの娘がひとりで? ドリアードって、まだ12やろ?」

シェイド 「私は止めたんだが…目を盗んで行ってしまったようだ。まぁ、ゾルフ先生が大丈夫と言っていたから、誰か着いて行ってるんだろう…」

待っとく約束ちゃうんかい…何か不安やなぁ。
ちなみに勘のええ人は気づいとるやろうけど、ドリアードの想い人がノームや。
ノームはホンッマに鈍感やから絶対気付いてへん!
それに比べて悠の敏感なこと〜う〜ん♪(悦)

サラマ 「まさか、ウィルたちじゃないだろうな? いつの間にかいなくなってたし…」

ウンディーネ 「あいつ等まで、何考えとんねん…」

ウィル言うのは…まぁ後々出てくるやろ。
期待しとき、インパクトあると思うから!

ノーム 「とりあえず、はっきりしてるジンを探しに行こうよ?」

ウンディーネ 「そやな…その方が確実そうや」

シェイド 「とりあえず、出発は明日だ。今日もう遅い…ウンディーネも戦闘の後で疲労してるだろう」

サラマ 「俺はちっと、出かけるわ。代わりの人に孤児院任せてくるから」

シェイド 「ああ、頼む…」

ウンディーネ 「久し振りにここで寝るな…」

ノーム 「本当…」

ウチらは、自分たちの部屋に戻り、そこで睡眠を取った。出発は明日の朝や。
それまで、体を休めなな…。



…To be continued




次回予告

レイナ:船の上で突如襲われ、戦闘に勝利した私たち。
新たに行動を共にするようになった私の妹シーナ。
私たちは、ついに最初の目的地であるヴェルダンドに辿り着いた。
シーナ、ナルさんと一時的に別れ、私と悠はヴェルダンに入る。
だけど、私の黒い翼がまた何かを引き寄せる…。
そして、再び戦いが始まる…。

次回 Eternal Fantasia

第8話 「バルバロイの真意」

レイナ 「…生きて、いたの…?」




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