K-O パニック +AM♪ 第2話
浩平 「やれやれ…今日は何だかいつになく暇だったな」
北川 「お前はいつも暇そうだろうが」
浩平 「大体、授業なんて聞いてても眠いだけだ」
北川 「お前は授業じゃなくても寝てそうだがな…」
北川は呆れた風にそう言い放つ。
浩平 「あ〜あ、何かこう、刺激のあるような体験はないものか…」
俺はそんなことを考えながら、北川と一緒に商店街を歩いていた。
と、その時。
声 「そこの人!」
後から声。
見ると、後から俺に向かって走ってくる少女がいる。
声 「うぐぅ〜! ど、どいてっ!」
俺はとりあえずどいてみる。
すると、少女は俺の横を過ぎていき、そのまま前の人に向かって突撃する。
どがっ!
鈍い音。
かなり痛そうだ。
声 「う、うぐぅ…」
ふたりとも派手に激突して地面に座りこんでいる。
北川 「あれは確か…」
北川が突っ込んでいった少女を見て、そういった。
北川 「月宮…?」
少女 「えっ? どうしてボクの名前を?」
北川 「………」
何故か悲しそうだった。
どうやら名前を覚えてもらってないらしい。
俺はそれよりも、少女の殺人的なタックルによって、吹き飛ばされた人のほうに歩み寄った。
月宮 「うぐぅ…殺してないよ〜」
どうやら、吹き飛ばされた方も少女らしい。
何が起こったのかわからないといった風に、辺りを見まわしている。
浩平 「大丈夫か?」
少女 「……?」
少女は俺の顔をしばし見て。
少女 「………」
無言のままに立ちあがる。
意外と身長は高い。
170近くあるだろうか?
少女はしばらく俺を見て、頭を下げた。
少女 「……どうも」
無表情…。
先輩にこんな風な人がいたような…。
月宮 「あ、あのっ、ごめんなさい! ボクの不注意で!」
月宮は慌てて、その少女に頭を下げる。
少女 「………」
沈黙。
月宮 「えっと…。もしかして怒ってます?」
少女 「………」
やはり沈黙。
やがて、少女が口を開き。
少女 「…怒ってません」
月宮 「うぐぅ…その割には、反応が遅いよ〜」
浩平 「実は内心、どうやって料理しようか迷っているのかもな」
月宮 「ええっ!? そうなの!?」
少女 「…そんなことしません」
今度は早かった。
北川 「どうでもいいが、エプロン姿のオヤジが追いかけてくるぞ?」
それを聞いて、月宮は後ろを振り返り。
月宮 「あっ」
一声上げて、走り出す。
俺の服を掴んで。
浩平 「いきなりなんだ!?」
月宮 「説明は後〜! とにかく走って!」
前方にいるいくつもの人とぶつかったりしながら、俺は走りつづけた。
………。
……。
…。
浩平 「………」
どこまで走ったのだろう?
すでに見た事のないような場所に来ていた。
ちなみに、一緒に走っていたはずの月宮の姿も見えない。
浩平 「…ひとりか?」
なんだか、虚しかった。
どうやら、これがオチらしい…。
寒いな…。
月宮 「うぐぅ…疲れた」
浩平 「うおっ! いつのまに…」
気がついたら背後にいた。
気配に気がつかなかった。
月宮 「うぐぅ、キミ足速いよ〜」
浩平 「そりゃ、毎朝走りこんでるからな」
そうしなきゃ遅刻だ。
月宮 「そういえば、祐一君もそんなこといってた」
浩平 「なんだ、祐一の知り合いか?」
それを聞くと、月宮は驚いた顔で。
月宮 「祐一君の知り合いなの?」
浩平 「ああ、同じ学校だ」
月宮 「そうだったんだ…」
浩平 「ところで、ここはどこだ?」
月宮 「……」
月宮は辺りを見まわして。
月宮 「どこだろう…?」
浩平 「もしかして迷ったのか?」
月宮 「…キミが知ってるんじゃないの?」
浩平 「恐らく知らないな」
月宮 「うぐぅ…どっちなの?」
浩平 「少なくとも、知らない方の確率の方が高い」
月宮 「どうしよう…。前みたいに栞ちゃん、来てくれるかなぁ…」
浩平 「あいつはまだ学校じゃないか?」
月宮 「どうしてわかるの?」
浩平 「香里と一緒にいて、部活に付き合うとかいってたからな」
月宮 「うぐぅ…」
浩平 「変わった泣き声だな」
月宮 「うぐぅ、ボク人間だよ〜」
浩平 「そうだったのか? 俺はてっきり新種の宇宙人かと」
月宮 「酷いことをさらりと言うね」
浩平 「どうでもいいが、帰り道はどこだ?」
月宮 「どうでもよくないよ〜」
浩平 「もしや、このまま行き倒れに…」
月宮 「うぐぅ…それはいやだよ〜」
俺たちはこのまま行き倒れになってしまうのだろうか?
その答えは、神のみぞ知る…。
…To be continued