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ポケットモンスター 水の街外伝



第4話 『ダークルギア』




セイル 「すいませ〜ん…」

僕はアクアレイクに着くと宛てを頼って、親戚の家の前まで来ていた。
僕は家の前に立つとドアを叩く。

女性 「はーい、ただいまー!」

中からは女性の声が聞こえる。
そして。

ガチャ。

女性 「どなたー? て、セイル!?」

セイル 「よかった〜、セニアさん、おひさしぶりです〜」

中から出てきたのは僕の親戚でヌマクロー種のセニアさん。
従姉弟でぼくより4つ年上のお姉さんだ。

セニア 「もうちょい早く着くと思っていたらこんな夕暮れに来るなんてね」

セイル 「すみません…」

そう、時刻はすでに5時を過ぎている。

セニア 「まぁ、入ってよ…て、誰? その背負ってるの?」

セイル 「あ、えと、その…名前はわからないんだけど…」

セニア 「? まぁ、とにかく入りなさい」

僕はセニアさんに連れられて、家の中に入る。


セニア 「そこに寝かしてあげなさい」

セイル 「うん」

僕たちは家に入ると居間に来て、そこにあった赤いソファーに女性を寝かせる。

セニア 「まぁ、何はともあれ、お疲れさま」
セニア 「今日からここが下宿先になるわけだけど、まぁよろしくね」

セイル 「はい、セイルさん」

セニア 「それで、この女性は何なのかしら?」

セイル 「それが僕にもさっぱり…」

正直、意味不明だった。
一体どうして、目を覚ましたというんだろうか?
ミィースさんは人形だって言っていた。
ところが、実際はしっかり生きていた。
今はぐっすり眠っている。
ちなみに突然襲ってきた少女(自称ミルン)は今は町長の家に居る。
あの小夜って人は町長の家のメイドで、隣町まで出かけていたところだったらしい。
いきなり襲ってきたけど、あの少女何者なんだろう…?

セニア 「じゃあ、何で連れてきたの?」

セイル 「それが色々とあって…」

セニア 「…それじゃ良くわからないんだけど」
セニア 「…まぁ、いいわ、目覚めたら事情でも聞かせてもらいましょうか」

セイル 「……」

僕は今は眠っている女性の方を見る。
今はまるで普通に見える。
セイル (でも、あの時はまるで化け物のように黒い気を出していた)

あれは一体なんだったんだろうか。
そもそもこの人は何者なんだ?
どうしてミィースさんは僕に…?

セニア 「セイルは何か食べたいものある? 折角来たんだから好きなの作るわよ?」

セイル 「あ、セニアさんのならなんでもいいよ」

セニア 「そう? なら、こっちで適当に作るけど」

セイル 「うん」

セニアさんはそういうと厨房の方へと向かう。
僕は一人になるとその場で横になる。
正直このまま眠ってもいい感じだ。

セイル 「でも、ちょっと我慢しようかな…」

僕は横になりながら待つのだった。
今日は大変だったな…。



…………



ミルン 「…う、んん…」
ミルン 「ここは…?」

ミルンは目覚める。
目を開けたら天井があった。
なんだかベットで寝かされているみたい。
どうやら生きてるみたいだね。

小夜 「目覚めたのね…」

ミルン 「?」

突然横から声が聞こえる。
ミルンは首だけ回してそっちを見ると知らない女性がいた。

ミルン (…メイド服?)

見ると、どっからどう見てもメイド服だった。
メイドさんなの?

ミルン 「おねえちゃんは?」

小夜 「私は小夜よ、それよりあなたは?」

ミルン 「ミルンはミルンっていうの…」

小夜 「そう、ミルンちゃんっていうの、体は大丈夫?」

ミルン 「うん、大丈夫」

首が少し痛い気もするけど大丈夫。
今からでも動けると思う。

小夜 「そう、よかったわ」

小夜っていうおねえちゃんはそういうと優しい笑みを見せてくれる。
このおねえちゃん、変わってる…他人の安否に喜べるなんて…。
ミルンにはわからない…。
ミルンはコロシヤだから…。

小夜 「ところで、これはあなたの?」

ミルン 「! それ、ミルンの!」

小夜おねえちゃんはそう言うとミルンの針を取り出す。
気がついたら、ミルンの針、全部ない!?

小夜 「何本かは毒も塗られていたわ、こんな凶器を持つなんて何者?」

ミルン 「返して!」

ミルンはベットから立ち上がってそう詰め寄る。

小夜 「答えなさい、これで何をするつもりなの?」

しかし、小夜おねえちゃんは返してくれそうにない。
しょうがないね、死んでもらうしかないね。

ミルン 「ミルンは容赦しないよ〜!」

ミルンは手に炎を集める。
ミルンの炎の渦はとっても凄いんだから!

小夜 「止めときなさい…あなたが怪我するだけよ」

ミルン 「そんな余裕すぐに消えるんだから!」

小夜 「はぁ、しょうがないわね」

ミルン 「う、ええっ!?」

小夜 「あなたがハイドロポンプなんて受けたら怪我じゃすまないんじゃない?」

小夜おねえちゃんは凄い量の水を手に集めている。
あんなの喰らったらミルン一撃で昇天だよっ!?

小夜 「ねぇ? 止めとかない? こんな勝負の見えた戦い」

ミルン 「う、うん…ミルン的にはできれば止めたいよ…」

いくらなんでもあんなの受けたくないもん…。
炎じゃ水には相性悪いし…。

ミルン 「でも、それミルンのだから返して!」

小夜 「駄目よ。こんな危ない物子供に持たせることなんてできないわ」

ミルン 「ミルンを子供っていうな!」

小夜 「子供は子供でしょ、あなた何歳?」

ミルン 「う、10、10歳…」

小夜 「じゃあ、子供でしょ? やっぱり駄目よ」

ミルン 「うう…でも! でもでも!」

小夜 「じゃあ、あなたこれで何するつもりなの?」

ミルン 「うう〜、それはショウバイドウグなんだから…返してもらわないと駄目なの…」

小夜 「商売道具ね…とんだ子供のヒットマンもいたものね…」

ミルン 「もう! 返してよ!」

小夜 「駄目よ、やっぱりあなたには返せないわ」

ミルン 「うう〜、なんでよ〜」

小夜 「いい? この世に殺していいものなんてないのよ?」
小夜 「これは命を奪う道具だわ、そんなものあなたが持っては駄目なのよ?」

ミルン 「そんなの、奪われる方が悪いんじゃん…関係ないよ…」

小夜 「それじゃあ、あなたはここで死んでもいいの? ここで私があなたをこれで殺したらそれはあなたが悪いの?」

小夜おねえちゃんはそう言ってミルンの針を突きつけてくる。

ミルン 「死ぬのはいや…」

小夜 「そうでしょうね、誰だって死にたくはないわ」

小夜おねえちゃんはそう言って針を仕舞う。
それ、ミルンのなのに…。

小夜 「だからこそ、あなたは奪っちゃ駄目なの…」

ミルン 「…うう…どうして小夜おねえちゃんが泣くのよ〜」

小夜おねえちゃんは確かに泣いている。
怖くもないのに泣いたら駄目なんだから〜。
けど、さよおねえちゃんはそのまま。

小夜 「それはあなたがこんなに不幸だから泣いているの…」

そう言って小夜おねえちゃんは私を抱きしめる。
ミルンが不幸?
どうして…?

ミルン 「ミルン、不幸なの…? どうして…?」

小夜 「ミルン…死ぬってことを知って、命を知って…あなたはきっとわかるわ…」

ミルン 「わかんないよ…ミルン…そんなの…」

小夜 「今はいいの…少しづつわかって…」

ミルン 「……」
ミルン 「…針、おねえちゃんに貸すけど、いつか返してもらうんだから…」

仕方ないから、ミルンの針は小夜おねえちゃんに貸すことにした。
なんだかよくわかんないよ…。
ミルンはどうしたらいいの…?

小夜 「ミルン…命はとっても暖かいのよ…今、あなたが感じている温もりのように…」

ミルン 「……」

確かに、今はおねえちゃんから確かなあったたかさを感じている。
とっても暖かい。
でも、命の暖かさなんてわかんないよ…。

ミルン 「わかんない…」

小夜 「ふふ、すぐには無理よ…今はそれを覚えて」

ミルン 「…うん」

なんだかよくわからないけど頷く。
ほんとによくわかんない…。



………



? 「う…」

セイル 「あ、目覚めた!」

セニア 「何よ、やっと晩御飯の用意が出来た時に目覚めるなんて」

? 「ここは…?」

セニア 「私の家よ」

? 「家…?」

女性はそう言うと周りを見渡す。
やがて納得したように顔を俯かせた。

セニア 「とりあえず、名前教えてくれない?」

? 「…ルミラ…」

女性はボソッとそうつぶやく。
ルミラっていうのか。

セニア 「ルミラね、種族は?」

ルミラ 「…一応、『ルギア』だ」

セイル 「ルギア!?」

セニア 「それは何の冗談かしら?」

ルミラ 「信じる信じないは自由だ」

セイル 「でも、ルギアだ何て…」

ルミラさんはどう見てもルギアという存在からかけ離れている気がする。
まるで全身が黒く、ルギアのイメージとは対極の位置にいるようにも思われる。

ルミラ 「証明できるものはいないのだから、信じられないのも仕方ないだろうが…」

セニア 「…まぁ、種族は何でもいいわ。あんたがルギアだろうと何だろうと」

セイル 「な、なんでもって…」

セニアさんは切るところはきっぱり切る性格だ。
ただ、ルギアって…伝説のポケモンの一匹だよ…?

セニア 「そろそろ、本題に入るけど、あなたどうしてセイルに拾われたの?」

ルミラ 「拾われた…?」

ルミラさんは不思議な顔で僕を見る。
そうか、目覚めた時何が何だかわからなかったのか。

ルミラ 「…わからない、気がついたら目覚めて…ここにいた」

セニア 「セイル?」

セイル 「あ、えーと…、僕もあの時は突然すぎたし〜」

本当に突然だったんだから。
いきなり襲われるわ、人形と思っていたルミラさんは目覚めるわ…とんでもないことだらけだった。

セイル (これを知っててミィースさんは僕にルミラさんを渡したのか?)

だとしたら、ミィースさん危険なんじゃ…。
僕はルミラさんのせいで襲われた。
あの少女はルミラさんが狙いなんだ。
多分、彼女だけじゃなくもっと他にもルミラさんを狙っている人はいるんじゃないだろうか…。
と、すると必然的にミィースさんは狙われるはず。

セニア 「どうしたの?」

セイル 「あ、いえ、考え事を」

セニア 「考え事? 何をよ?」

セイル 「な、なんでもないですよ」

しかし、セニアさんはしつこく聞いてくる。
こういうところもきっぱり切ってほしいものだ。

ルミラ 「ところで、気になっているんだが…」

セイル 「え?」

セニア 「何が?」

ルミラ 「この焦げたような匂いは…?」

セイル 「え…?」

そう言えば心なしか焦げたような匂いが台所からする気が…。

セニア 「あ! いっけない! 魚焼いていたの忘れてたーっ!?」

セニアさんはそう言うと大慌てで台所に向かった。
すっかり忘れてたな…晩御飯。



…………
………
……



ルミラ 「……」

セニア 「どうしたのルミラ?」

セイル 「…?」

晩御飯時、僕たちは3人で食卓を囲んでいたらルミラさんは食事を前に固まっていた。
お箸さえ取ろうとしない。

セニア 「私の料理に何か不都合でも?」

たしかに魚は焦げて駄目といえば駄目になったがそのほかの料理は大丈夫だ。
プロ級とまではいかないにしろ、かなりいいレベルだと思うけど。

ルミラ 「セニア殿の料理に文句の付けようはありません…しかし、この棒は?」

セニア 「も、もしかして箸のこと?」

ルミラ 「箸…ですか?」

セイル (ルミラさん…お箸知らないんだ)

驚いてしまう。
この国に住んでいるとお箸は当たり前に使うものだから気がつかなかった。
他の国だと別だもんな。
でも、そうするとルミラさんって外ポケ(?)さん?

セニア 「待ってなさい、フォーク持ってくるわ」

ルミラ 「あ、セニア殿…」

セイル 「ルミラさんお箸の使い方知らないんですね」

ルミラ 「セイル殿…すみません、このような道具使ったことがありませぬゆえ」


ルミラさんは行く場所がなく、どうすればいいかもわからない状態だった。
目覚めていきなり追い出すのは可哀相なのでしばらくはこの家に置いておく事になった。
その結果、家主であるセニアさんをセニア殿と呼んで敬意をはらっている。
でも、僕にまで付ける必要性はないと思うんだけど…。
かなり律儀なポケモンのようだった。

ルミラ 「どうしました、セイル殿?」

セイル 「あ、いえ何でもないです」

僕が考え事をしているとルミラさんは下から覗き込むような目でこちらを見ていた。
僕はあわてて手を横に振る。

セニア 「ほら、ルミラこれなら知らなくても使えるでしょ?」

セニアさんはそう言うと台所からスプーンとフォークを持ってくる。
たしかにこれなら誰でも扱えるだろう。
よくできた物だ。

ルミラ 「申し訳ありません…セニア殿」

セニア 「いいのよ、その内適当にお箸の使い方は覚えるといいわ」

ルミラ 「最善の努力はします…」

セイル (どうも硬いなぁ〜)

どうにもルミラさんの口調は固い。
まるで一昔前のポケモンのようだった。
もうちょっと軽くなってもいいと思うんだけど…。
セニアさんはまるで気にしていないけど。

セニア 「そうそう、ルミラはここに住むんだったら明日住民票を取ってきなさいよ」

ルミラ 「わかりました」

セイル 「僕が案内しますね」

ルミラ 「何から何までかたじけない…このご恩は必ずお返しします」

セニア 「いいって別に」
セイル 「いいんですよ別に」

ルミラ 「…御二人方」

セニア 「あ…」

セイル 「…はは」

同じこと同時に言っちゃった。
ルミラさんは嬉しそうだ。
どうやら本当に良い家族が増えたようだった。



……………
…………
………



『翌日午前10時 町長宅』


小夜 「だから、ここはこうよ」

ミルン 「にゅぅ〜…メイドってたいへんだよ〜…」

小夜 「初めは私だって辛いと思ったわ、でも慣れれば大丈夫よ」

ミルン 「アンサツシャの仕事の方が楽だよ〜」

小夜 「だめよ、そんなこと言ったら、ほら、こう…ね?」

ミルンは今、小夜おねえちゃんにメイドの仕事のお手伝いをさせてもらっていた。
このメイド服っていうのはフリフリしていて可愛いんだけど、お仕事は大変だよ。

ミルン 「てか、広すぎ! どうして町長さんの家ってこんなに広いのー!?」

まさしく驚きだった。
これはミルンじゃなくてもカルチャーショックだよ!

小夜 「ま、まぁ…町長のサイズがあれだから、ね?」

ミルン 「定形外サイズだよぉ〜、あんなのはんそくだよぉ〜…」(泣)

そう、ここの町長さん、グアリクスっていうんだけど大きさがおかしいの。
何がどうおかしいって、まずは身長!
恐るべきことに身長は6メートルもある。
そして、それに伴っての家の大きさ、これに至っては天井まで30メートルはある。
敷地面積は考えたくもない…。

ミルン 「ねぇ、小夜おねえちゃん…どうしてここのメイドってこんなに少ないの?」

そう、ここ実はメイドの数が少ない。
なんと3人。
こんな人数だったら足りないよぉ〜。
ちなみに、メンバーはミルン(サイアクダヨ…)と小夜おねえちゃんと沙耶って女の人。
沙耶っていう人とはまだあっていないけど、小夜おねえちゃんの妹さんらしい。
ミルンより年上かな?

グアリクス 「おや、御二人方、朝からご苦労様です」

小夜 「あ、町長」

ミルン 「うう…おじちゃん、どうなってんのよこれ〜」

そこに突然町長ことグアリクスのおじちゃんが現れる。
もちろんズシーンズシーンという、重低音を聞かせて。

グアリクス 「ははは、ミルンちゃんは小さいのに頑張るね」

ミルン 「おじちゃんがおっきすぎるのーッ! ミルンは普通!」

小夜 「そういう意味じゃなくて…」

グアリクス 「ははは、申し訳ありませんねぇ、何分このような体格ですから」

ミルン 「うう…」

おじちゃんはとてもおおらかだ。
どんな時でもこうやって受け流される。
ミルン嫌いじゃないけど、もっと普通のサイズだったらなぁ〜。

小夜 「すいません、町長、ミルンを直接住まわせてもらって…」

グアリクス 「ははは、いいのですよ、このような大きい家ですから」

ミルン (ミルンおっきいのはいいけど、大きすぎると台無しだと思うな…)

それ以前、ミルン住みたくてここに住んでいるんじゃないんだけど…。
小夜おねえちゃんにも勝てないんだよぉ〜。

ミルン 「ミルン、庭のお掃除する」

ミルンはそう言うと、勝手口に向かう。
ここの玄関大きすぎてミルンには使えないから、普通のサイズの勝手口もある。
正直外の方がいい気がするよぉ〜。



…………



ミルン 「…考え甘かったかも…」

ミルンは庭に出て少し後悔する。
外の広さも並じゃない。
中のほうが狭く感じるよ。
こっちは開放的すぎて。

なにが開放的ってまずは正門。
サイズが町長のサイズだからミルンは門を開けずに下を潜って出入りができるよ。
まるでネズミの気分が味わえるね。
そして、そこから玄関まで距離20メートルくらい。
道幅は5メートルくらいかな?
さらに玄関から左に出ると庭がある。
庭はサッカーやラグビーができそうな広さだ。
丁度地面は芝生だし…。

ミルン 「無駄に掃除する所がないのもアレだねぇ〜」

実は外はそんなに掃除する所はない。
屋内と違ってゴミが出たり埃が溜まったりするわけじゃないから。
落ち葉とかなら溜まっちゃうかもね。

小夜 「どう、外は?」

ミルン 「あ、小夜おねえちゃん」

気がつくと後ろに小夜おねえちゃんがいた。

小夜 「はい、これでも飲みなさいな」

ミルン 「わぁ〜、ありがとう♪」

小夜おねえちゃんはミックスオレを持ってきてくれる。
ミルンはそれを一気に飲み干す。

ミルン 「プハァ〜♪ おいしい〜♪」

小夜 「ふふふ」

ミルン 「むぅ〜、なにがおかしいのよ〜」

小夜おねえちゃんはミルンを見て笑う。
笑われるのは嫌だよ。

小夜 「ふふ、ごめんなさい、ミルンがあまりに可愛らしく見えてね」

ミルン 「むぅ〜、子供扱い」

小夜 「ごめんなさい、でも、まだ10歳でしょ? それくらいの方がいいのかもね♪」

ミルン 「むぅ〜」

なーんか、やな感じだよ。
やっぱり、子供扱いされたくないよ。

? 「あのー、すみませーん!」

ミルン 「にゃ?」

小夜 「あら、なんでしょうか」

突然ミルンの後ろから声が聞こえる。
こっちに声をかけてるみたい。

ルミラ 「……」

セイル 「町長さんいますか?」

小夜 「ええ、中にいますよ」

ミルン 「て、ああーっ!?」

セイル 「あっ!?」

ルミラ 「…?」

飛んで火に入る夏の虫!
まさか、ターゲットからこっちに来てくれるなんて!
ミルン、千歳一遇のチャンスだよ!

セイル 「き、君あの時の!」

ミルン 「ここであったが100年目! 覚悟! …て、あ!」

ミルンは背中に手を伸ばすが背中には何もない。
そうだ、ミルンの武器、小夜おねえちゃんに貸したんだった。
しかも、メイド服だから背中にしまえないし。

ミルン 「う、うう〜…」

セイル 「?」

ルミラ 「……」

小夜 「え、えーと…?」

ど、どうしようもできない。
手荒なまねはしたくないけど、ターゲットはここにいる…。
でも、なんにもできないなんて〜。(泣)

小夜 「あ、あの…どういったご用件で?」

セイル 「あ、えと…住民登録に…」

小夜 「あ、はい…少々お待ちください」

小夜おねえちゃんはそう言うと勝手口の方に向かう。
この場にはミルンとターゲットと邪魔者がいるだけだよ…。

セイル 「えと…ミルンちゃんだよね?」

ミルン 「!? ど、どうしてミルンの名前知っているの!?」

そんな馬鹿な!?
ミルン、一度も名乗っていないのに!
は!? まさか読心術!?

ミルン 「くっ…やるね、おにいちゃん」

セイル 「え…?」

ルミラ 「……」

ターゲットは微動だにしない。
どこか風貌が漆○の騎士に似ている気がするよぉ〜。

ミルン 「ねぇ、ターゲット、なんでここにいるの?」

ルミラ 「……」

ミルン 「ちょっと! 答えてよ!」

ルミラ 「私の名はルミラ…ターゲットという名前ではない…」

ミルン 「う…じゃあ、ルミラどうしてここにいるの?」

どうも、やりにくい…。
武人だよ…この人武人だよ…。
○ーギ○スの黒○ピリットだよ…絶対ぃ〜。(泣)

ルミラ 「住民票を取りに来た…」

ミルン 「じゅ、住民票…住む気?」

そういや、そんなこと言ってたね…。
でも、なんで!?

ミルン 「なんで住民票を!?」

ルミラ 「この街に住むには必要とのこと…そのため…」

ミルン 「う…うん?」

なんかおかしい気が…。
なんで、住む必要があるんだろ?
て、それはミルンも一緒か…。

ルミラ 「私も聞こう…なぜ、狙う?」

ミルン 「え…?」

ルミラ 「何故狙う?」

ルミラはそう聞いてくる。
何故って、ミルン知らないよ〜。
荒罪兄ちゃんが必要だって言っていたけど。
実際組織のことはミルンもよく知らないし。

ルミラ 「何故だ?」

ミルン 「ルミラが必要なんだよ…」

ルミラ 「必要…?」

ミルン 「ミルンだってよく知らないんだもん! とにかく必要なの!」

セイル 「ルミラさん…?」

ルミラ 「『神使』、か…」

ミルン 「!? なんでその名前を!?」

神使…それはミルンが所属している組織の名前だった。
組織のことはよくわからないけど。
第三の黙示録とかいうわけのわからない計画があるらしい。

ルミラ 「ミルン殿のような小さき者は知らぬも当然…」
ルミラ 「悪いことは言いませぬ…今すぐ神使から手を引くことをすすめます」

ミルン 「ど、どういうことよ〜、せ、説明してよ」

ルミラ 「それは…」
小夜 「どうぞー! お入りください!」

セイル 「呼んでる」

ミルン 「うう…、こんな時に」

突然小夜が遠くから呼んでくる。
肝心な時に〜。

ルミラ 「続きはあとで話しましょう…今は待っている人がいるゆえ…」

セイル 「どうも…」

ミルン 「うぅ…」

二人はそう言って屋敷へ向かう。
どういうことなの?
神使って何なの?

? 「やれやれ、てこずっているようですね」

ミルン 「!? 荒罪兄ちゃん!?」

突然現れたのは荒罪兄ちゃんだった。
て、どうしてここに!?

荒罪 「ふむ、メイド服ですか…萌ですかな?」

ミルン 「ふぇ?」

荒罪 「あ、いえ。そんなことよりターゲットは目の前だというのにどうしたんです?」

ミルン 「う…あれ、強いんだよ…? 真正面から立ち向かってもそう簡単には勝てないよ…」

荒罪 「やれやれ、泣き言ですか…まぁ、目覚めてしまったのなら仕方ありませんね…」

ミルン 「ねぇ、荒罪兄ちゃん…」

荒罪 「なんですか?」

ミルン 「神使ってなんなの…どうしてルミラが必要なの…?」

荒罪 「…それはあなたの知る所ではないのですよ」
荒罪 「あなたは一介の暗殺者です。暗殺者に神使の計画を知る必要はありません…」

ミルン (…やっぱり、何かあるんだ)

神使ってなんなんだろう。
ミルンはどうしたらいいの?

ミルン 「…第3の黙示録…」

荒罪 「! どうしたのですいきなり?」

ミルン 「これってなんなの? 黙示録って?」

荒罪 「ふぅ…困りましたね、あなたは知ろうとしすぎている…」
荒罪 「どうやら、あなたは危険ですね…」

ミルン 「え…あ、荒罪兄ちゃん…?」

荒罪兄ちゃんはそう言うと手に炎を集める。
荒罪兄ちゃんはキュウコン種だからミルンの炎とはレベルが違う。

ミルン 「な、何するの?」

荒罪 「なぁに、死んでもらうだけですよ…」

ミルン 「だ、誰に…?」

荒罪 「あなた…ですよ」

ミルン 「!?」



…………



グアリクス 「では、これを…」

ルミラ 「ありがとうございます。グアリクス殿」

私はグアリクス殿から住民証明書を受け取る。
これで私はここの住民となった。
私には…違った生き方が存在する…そう、証明して欲しい。

ルミラ 「行きましょう…セイル殿」

セイル 「う、うん」

ルミラ 「セイル殿?」

見るとセイル殿は顔を赤くしていた。

セイル 「な、なんでもないですよ! さ、さぁ行きましょうルミラさん!」

そう言ってセイル殿はぎこちなく歩き出す。
一体どうしたというのか?

ルミラ 「!?」

セイル 「あれ? ルミラさん…?」

なんだ…今の違和感は?
私の暴走じゃない…これは…まさか!?

ルミラ 「セイル殿! そこをどいて!」

セイル 「え!?」

私は玄関のドアの対放射線状にいるセイル殿に離れてくれと言う。
そして私は両手に気を溜め、後ろの腰辺りの空気孔を開け、力を解放する。

ルミラ 「ダークブラスト!!」

ギュオオオオ! ドガァン!!

私の黒き閃光は扉を突き破り、その奥へと放たれる。
そして、奥、つまり玄関の方にいるミルン殿の方で爆発する。
爆発は黒い煙を伴い、しばらく遠くからは視界が利かなかった。

小夜 「いきなり何を!?」

ルミラ 「ち…この程度ではやられないか」

セイル 「…え?」

煙の中からは二人の影が見て取れた。
ひとりは間違いなくミルン殿…もう一人は…!

ルミラ 「セイル殿…ここにいてください」

セイル 「あ、危ないことがおこっているんだ…」

ルミラ 「はい…」

セイル 「無茶はしないでね…」

ルミラ 「確約はしかねます…しかし、最善の努力はしましょう」

私はそう言うと煙の先に向かう。

セイル 「ルミラさん! 死なないで!」

ルミラ 「! 了解です…」

死なないで、か…。
初めてだな…私に生を望まれたのは。
私が生まれたのは300年ほど前。
あの時は、私は兵器として戦うことのみを望まれた…。
生などあってもなくても意味などないのだから…。

私はそう思いながら外に出る。
外には私が知っている男がいた。

荒罪 「いやぁ、いきなりですね、ルミラ…」

ルミラ 「荒罪殿やはりあなたでしたか…」

そう、そこにいたのは荒罪と呼ばれるキュウコン種の男だった。
荒罪は体を金色のコートで覆い、腰から9本の金色の美しい尻尾を生やしていた。
髪も金髪で腰の辺りまですらっと伸びている。
目は細めの笑い目でその奥には紅く光る瞳を持っている。

ルミラ 「選ばれし17使徒の一人…」
ルミラ 「紅き月夜に染まる、金色の天狐…『荒罪』」

ミルン 「ル、ルミラ…」

ルミラ 「ミルン殿…大丈夫ですか?」

ミルン 「う、うん…」

ルミラ 「では、退くがよいでしょう、危険です」

ミルン 「う、うん…!」

ミルン殿はそう言って、その場から離れる。
私はそれを見届けると荒罪殿と対峙する。

荒罪 「やれやれ…もうあれではミルンは役には立ちませんね…」

ルミラ 「……」

私は何も言わない。
変わらないな…あの頃と何も。

荒罪 「ですが、あなたは違いますよね? 300年経ちましたがようやく回収に参れました」
荒罪 「さぁ、再びこの世界に報復する時が来ましたよ、共に参りしましょう」

ルミラ 「…あなたは本当に変わらないな…」

荒罪 「なに…?」

ルミラ 「他人を利用することしか考えず、いつまでも変わらないと思っている…」

荒罪 「何が言いたいのです?」

ルミラ 「…私の答えは初めからこうだ!!」

私はそう答えると同時に荒罪殿にダークストームを放つ。
荒罪殿は瞬時にそれを読み、熱風で対抗してくる。

荒罪 「そういうことですか…!」

ルミラ 「ちぃ!」

力は五分…相変わらず化け物のような力だ!
力だけならあの九怨に匹敵するかもしれない!

ルミラ (私ひとりでは倒せないか…?)

荒罪 「ふう…しょうがないですね…手荒なまねはしたくないんですがね…」

荒罪殿は互いの攻撃が止むとパッと手でコートの埃を払う。
はたして、勝てるか?
荒罪殿は並じゃない。
ただ、歪まなければ…。

荒罪 「いきますよ! はぁ!」

荒罪殿は手から火炎放射を放つ。
私はそれを左手で受け止める。
私の体そのものは大丈夫だが、服はまずいな。

荒罪 「さすがですね! ですが!」

ルミラ 「!?」

荒罪殿はさっきの火炎放射を放つと同時に接近し、背中を向ける。
いや、これは…!

ドガァン!!

ルミラ 「く…」

荒罪 「油断しましたね…私のアイアンテールを直撃してしまった」

ダメージはあった。
受け続けると危ない。
何とか攻略の手口を見つけないことには…。

ルミラ 「く…危険だが…」

私はほんの少し気を昂ぶらせる。
少しでいい…暴走に飲まれない程度にダーク化を進めるんだ…。
力の源を増やし、負の力を増幅すれば…。


セイル 「! あの気! 暴走の時のような…!」

グアリクス 「どうしたんです? セイルさん」

小夜 「何か異変でも…?」

セイル 「異変って…わからないんですか!?」

グアリクス 「私にはさっぱり…」

小夜 「私にも…」

セイル (おかしい…どうして、みんな見えないんだあのルミラさんから出る黒い気が)


荒罪 「やれやれ、諦めない人ですね」

ルミラ 「ぐぅ…あ、諦めるわけにはいかないんですよ」
ルミラ 「わ、私は…、もう、き、傷つける…だけの存在であるのは…いや…だ…!」

荒罪 「愚かな…あなたはダークポケモンなのですよ? その力は破壊するための力なのですから」

ルミラ 「だ、まれ…!」

私は身をかがめる。
いつでも接近できるように。

ルミラ 「はあ…!」

私はダークストームを荒罪殿に放つ。

荒罪 「そんな子供だまし効くと思っているのですか?」

当然のように荒罪殿は熱風で防いでくる。
だが、止められることなど百も承知だ。
私は放った瞬間、一気に荒罪殿に接近する。

荒罪 「私と同じ手? 甘いですよ!」

しかし荒罪殿の反応は少し速く、私の動きを察知してすぐに火炎放射を放つ。
しかし、私はそれでは止まらない。
かまわず突っ込む。

荒罪 「何!? ちぃ!」

ドカァ!!

今度はアイアンテール。
しかし、この技は見た。
渡しは左手でそれを防御する。

ルミラ 「あああああああああ!!!」

ドカァァァァ!!

荒罪 「く、うう…!?」

私のダークラッシュが確実に荒罪殿に決まる。
荒罪殿は地面に叩きつけられ、顔を歪めた。

ルミラ 「取った! 覚悟! …う、あ…?!」

私はトドメの一撃を放とうとした瞬間体の異変に気付く。
体が…言うことを聞かない…!?

荒罪 「う、ふふ…いやぁ、危ない危ない…」

ルミラ 「し、ま…あ、あああ…!?」

荒罪 「もう少し遅かったら確実にあの世行きでしたねぇ〜」

ルミラ 「な、にを…!?」

荒罪 「ふふ、何、ちょっと暴走状態になってもらっただけですよ?」

ルミラ 「暴…走…!?」

体の自由が利かない。
理性が失せていく…!?
私が…私が…私が…消えていく…!?

セイル 「ルミラさんー! 駄目だー! 黒い気を乗り越えて! 越えるんだー!」

ルミラ 「セ、イル…殿…?」

セイル殿の声が響く。
頭の中で直接響く。
私を暗闇から引き戻してくれる声…でも、まだ…届かないのか…。

荒罪 「あの少年…もしかして『無邪気な眼』の持ち主…?」

無邪気な眼…別名神眼とも呼ばれている。
たしか…ダークポケモンの放つ暗黒面を見ることができるとか…。
そうか…セイル殿は…私がセイル殿と出会ったのは…運命…。

荒罪 「危険すぎますね…あれは、消えていただきましょう」

セイル 「え!? や、やばっ!?」

荒罪殿はセイル殿に照準を合わせている。
まずい、火炎放射を放つ気だ。
しかし、私の体はもはや自由が利かない。

荒罪 「死になさい」

ゴォォォォォ!

セイル 「うわわっ!?」

グアリクス 「フン!」

ゴォ!!

荒罪 「!?」

セイル 「ちょ、町長さん!?」

グアリクス 「大丈夫ですか、セイルさん?」

なんと、グアリクス殿が手のひらでセイル殿をかばう。
大丈夫なのか?

小夜 「大丈夫ですか、町長」

グアリクス 「私、火傷しませんし、あの程度の炎なら」

荒罪 「水のベールですか」

水のベール…確か火傷を防いでくれるんだったな…。

グアリクス 「しょうがないですね…私が相手をします!」

セイル 「ちょ、町長さん!?」

小夜 「町長だけでは心配です、私もお供しましょう」

セイル 「ぼ、僕も!」

グアリクス 「セイルさんはルミラさんをお願いします」

小夜 「彼女が危険だわ…そう言うことだから、お願いしますね」

セイル 「は、はい!」

荒罪 「やれやれ、おろかですねぇ…その程度の戦力で私と戦おうなどとは…」

グアリクス 「行きますよ!」
小夜 「はぁ!」

小夜殿とグアリクス殿はその両手からハイドロポンプを放つ。
セイル殿はその隙にこっちに近づいてきている。
私はどうだ?
何か出来るか…?
体に応答を願うが、しかし体は反応しない。
眠ったように動かないだけマシか。

荒罪 「女の方はともかく、ホエルオーの方は厄介ですね!」

グアリクス殿のハイドロポンプは通常のそれとは効果範囲が違いすぎる。
体のサイズもあって非常に大きなハイドロポンプだ。
それにもまして、レベルも高いのだろう。

セイル 「ルミラさん!」

ルミラ 「……」

セイル殿だ。
セイル殿…何故…。

荒罪 「させませんよ!」

セイル 「!?」

ドガァ!

荒罪殿のアイアンテールがセイル殿に当たる。
セイル殿はそのまま横に2メートルほど吹っ飛び倒れる。

セイル 「ル、ルミラさん…」

荒罪 「しぶといですね…ならばこれで終わりです」

荒罪殿は炎を手に集める。
火炎放射…いや、大文字!?

グアリクス 「まずい!」
小夜 「くっ!?」

ゴォォォォォ!

火炎放射。
荒罪殿のではない。
これは…。

荒罪 「まさか、あなたが私にたてつくとはね」

ミルン 「荒罪兄ちゃん…ミルンわからないよ…ミルンにはどうすればいいのか」
ミルン 「ミルン、大切な人を失いたくないよ…」

荒罪 「甘いものですね…暗殺者ともあろうものが…」

ミルン 「ミルン…荒罪兄ちゃんのこと好き…だけど、もう、嫌だよ…これ以上だれか傷つけないでよ…」

ルミラ (ミルン殿…)

ミルン殿は涙を流しながら懇願するように言った。
情けない…なぜ、私は動けない。
これでは、私は何のためにいるのか。

ガシ…。

ルミラ (セイル殿…)

気がつくと、セイル殿がすぐの傍まで来ていた。
しかし、もう瀕死に近い。

セイル 「ルミラさん…正気を保って…ルミラさんは、大丈夫だ」
セイル 「ルミラさん…」

荒罪 「おや? 元気なものですね、ここまで這いつくばってくるとは」
荒罪 「ですが…」

ミルン 「やめて! 荒罪兄ちゃん!」

荒罪殿はトドメを刺すつもりだ。
私は何もできないのか…!

セイル 「ルミラ…さん…!」

ルミラ 「…!」

荒罪 「終わりです!」

荒罪殿は爪を立ててセイル殿ののど元を狙う。
しかし…。

ガシィ!

グアリクス 「ルミラさん!」

荒罪 「馬鹿な…こんなに早く暴走状態を脱した…?」

ルミラ 「私は…ルミラ…ダークルギアの『ルミラ』!」
ルミラ 「私は…護る者!!」

私の体は言うことをきく。
体が軽い。
今までのダメージが嘘のようだ。
体中に今まで感じてきたものとは違う力を感じる。
これは…何…?
傷つける力…いえ、守る力…。

ルミラ 「…はぁ!!」

私は両手を前に出す。
翼は大きく開き、背中の腰辺りにある5対の通気孔が開く。
気があふれる。
暖かい気が。

ルミラ 「くらえー!」

荒罪 「これはダークブラストではない!?」
荒罪 「これはエアロ…!?」

ドカァン!!

白い閃光。
私の両手からは白い閃光が放たれる。
ダークブラストじゃない。
何だったのだろうか。
ただ、その光の先には荒罪殿の姿はなかった。

ミルン 「荒罪兄ちゃん死んじゃったの?」

ルミラ 「いや、荒罪殿の事だ…逃げたのであろう」

あれで死ぬとは思えない。
しかし、確実に致命傷に近いダメージは与えたはず。

小夜 「あなたたち大丈夫!?」

ミルン 「ミルンは大丈夫だよ♪」

セイル 「何とか…」

セイル 「……」

セイル殿は気絶していた。
神使は確実に動き出している。
第三の黙示録…確実に起こしに来るはずだ。
私も話でしか聞いたことはない。
かつて全世界を巻き込んだ第二の黙示録。

ルミラ 「三度目は…起こさせるわけにはいかない」

しかし…私ひとりにどうこうできることではない。
私は、この場で時を待つしかない。
ただ、今はこの街で微かな平和を享受しよう…。










To be continued















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