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ポケットモンスター 水の街外伝



序章第6話 『呑気屋の日々』





カランカラン…。


来客を知らせる鐘の音。
ここは呑気屋、アクアレイク西部にある宿屋のひとつ。
今はまだ日も昇りきっておらず朝の日差しが残っていた。
時刻はまだ8時30分。

若菜 「もしもーし…?」

中に入ってきたのはマンタイン種の女性、若菜だった。
若菜はこの店で踊り子をしていた。
本来仕事は午後からで午前中来る必要はないのだが、時々今回のように午前中に来て、呑気屋のウェイトレスの仕事を手伝ってくれるのだ。
さて、そんな彼女が入った中では…。

ガジ 「だめだ! こんな料理人前に出せるか!」

シルク 「うう〜…、なんでさ!」

ガジ 「バカヤロウ! 塩と砂糖間違える奴があるか!」

シルク 「へ…?」

シルクと呼ばれる女性はそれを聞いてスプーンを手に取る。
そして、机の上においてあった黄色いスープを掬い口に含む。

シルク 「甘い…間違えた…」

ガジ 「お前何年料理学んでいるんだ! どうやったら間違えた!?」

シルク 「だって! これに入っていたんだよ!?」

シルクはそう言って調味料の入ったビンを取り出す。
それには『塩』と書かれていた。

ガジ 「…こりゃ、砂糖だな…」

ちょっと知識のあるものならビンの外からでもわかる。
目の粗さが違うからだ。

ガジ 「ちょっと待て…なんで塩のビンに砂糖が入ってる…?」

シルク 「知らないよ〜…」

二人はそう言って一気に暗くなる。
さて、この二人、まずはシルクを紹介しよう。

この呑気屋で働く中学生、チョンチー種のシルク。
彼女は8歳の頃からこの呑気屋で働いていた。
彼女は当時からここでウェイトレスをしていたが彼女の志望はコックだった。
しかし、コックになるのは厳しく今のようにガジに味を見てもらっている。
しかし、すでに料理の腕は店を開けるくらいの腕はあったのだがガジはコックとしてシルクを認めていなかった。

そしてガジ。
ガジはすでに34歳でヌオーのコックだった。
彼はこの店でもう10年以上働いている。
彼の身長は160センチ程度、体重は72キロあった。
これは太っているのではなく種族的特徴だった。
体格は良く、一見したら格闘家のようないい体格をしていた。
しかし当然格闘技をやっていたわけではなくそれは生まれつきだった。
頭は青い髪の毛を角刈りにいしてさっぱりしていた。

ヤ 「それ〜、ヤ〜、いれたよ〜」

シルク 「ヤさんですか!?」
ガジ 「ヤさんかよ!?」

そこに出てきたのは背中に巻貝のような貝を背負った特徴的な男、ヤドラン種のヤだった。
ヤはあまりに特徴的だ。
まず、その髪の毛、ピンク色という特徴的な色にも加え、そのぼさぼさの髪の毛は腰の辺りまで伸びていた。
更に見は茶色のロープにつつんでおり、一見浮浪者のような姿だ。
また、その間延びした口調も特徴的だ。

ヤ 「ヤ〜、間違えた〜?」

シルク 「おもいっきり間違えてるよ!」
ガジ 「おもいっきり間違ってる!」

シルクとガジは同時にそう言った。
さすがにこれにはガジも苦笑するしかなかった。

そして、若菜は…。

若菜 「あ、ははははっ!」

思わず大爆笑。
そうれもそうだろう…あの光景ははたから見たらまるでコントのようだったのだから。

シルク 「あ、若菜さん来てたんだ」

ガジ 「早いな…」

その笑い声に三人は気付き、振り向く。
若菜はまだ笑いをこらえられないようだった。

若菜 「あ、はは、はは…ヤ、ヤさん…ナイス大ボケ…あはは!」

ヤ 「〜?」

シルク 「もう、若菜さん笑いすぎだよ〜、ていうかヤさんも勝手に厨房のものいじっちゃ駄目じゃないですか!」

ヤ 「ごめんね〜、気をつけるよ〜」

ガジ 「たく…やれやれ」

ガジは興が削がれたような顔をして頭を掻いた。
シルクはほとほと困った顔で、ヤさんは反省しているのかどうかわからない微妙な顔。
そして若菜は大爆笑だった。

シルク 「若菜さん、笑いすぎ!」

若菜 「あはは…ごめんごめん…でも、あんまりにも面白いもんだから」

シルク 「もう〜…、最悪だよぉ〜」

シルクはそう言って机にうな垂れた。
今回の話のこの少女シルクのお話。
シルクの日常のお話。










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