ポケットモンスター パール編




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おまけ





『怖かった…』

『彼は誰…?』

『あたしの目の前にいるのはダレ?』

『コワイ…ココロのソコからコワイとオモった』


−ヒカリの心境より−





――僕は違和感を感じた。

敵として対峙するマーズさん。

不思議な優しさと不思議な恐ろしさを持つ女性。

僕は違和感を感じた…。

恐怖と…快感。

それは…自分自身が抱いている…謎の感情。

『キモチワルイ…』







第6話 『あなたは誰?』




ブイゼル 「ブイブイー!」

マーズ 「ふふ、さてどう戦うのかしら?」

コウキ 「…う」

少し、気分が悪い。
こんな状態で戦えるのかは疑問だ。
でも、やらないといけない。
僕はハヤシガメのボールを取り出す。

マーズ 「…やめておきなさい、今のあなたの状態では2匹同時に扱うことはできないわ」
マーズ 「戻りなさい、ズバット」

ヒカリ 「ズバットを戻すの…?」

コウキ 「…何のつもりなんですか」

マーズ 「これでフェアね、さぁて見せてもらおうかしら!」

コウキ (…くる! ヒカリちゃんはこのギャップから来る威圧に圧された!)

マーズさんが戦おうとするといきなり雰囲気が変わる。
さっきまでの優しい雰囲気はもうまるでない。

コウキ (えと、ブイゼルさんがこれまで使っていた技は『ソニックブーム』、『でんこうせっか』、『みずでっぽう』…)

ゲットしていない自分にはブイゼルさんがどんな技を使えるのかは参照できない。
けれど、ブイゼルさんを信じれば戦える!

コウキ 「ブイゼルさん! まずはスピードで翻弄するんだ!」

ブイゼル 「ブイー!」

ブイゼルさんはブニャットの周りを走り回る。
そのスピードはズバット戦で証明してくれた。
ブニャットは冷静に目でブイゼルのスピードを追った。

コウキ (この隙にブニャットの参照を…)

僕はブニャットをポケモン図鑑で参照する。

『ブニャット 虎猫ポケモン』
『高さ 1,0m 重さ 43,8kg』
『体を大きく見せて相手を威圧するため二股の尻尾でウエストをぎゅっと絞っている』

マーズ 「参照は終わったかしら?」

コウキ 「…!?」

マーズ 「終わったみたいね、ブニャット『だましうち』!」

ブニャット 「ブニャー!」

ブニャットは重い体を素早く動かしてブイゼルに接近する。
スピードで負けている!?

コウキ 「ブイゼル! よけて!」

ブニャット 「ニャー!」

ブニャットはブイゼルさんの目の前で前足を大きく上げる。
隙は大きい、これならブイゼルさんは回避できる!

ヒカリ 「だめ! その技は…!?」

コウキ 「え…!?」

ヒカリちゃんが叫ぶ。
僕が咄嗟に振り返った瞬間。

ブニャット 「ニャー!」

バシィン!

ブイゼル 「ブイー!?」

コウキ 「ブイゼルさん!?」

突然、ブニャットは爪で引っ掻くかと見せかけてその後ろの尻尾でブイゼルさんの顔を叩いた。
体重の軽いブイゼルさんは3メートルほど吹っ飛ばされた。

ブイゼル 「ブイ、ブイブイ!」

ブイゼルさんは目をやられたのか首を横に振った。

ヒカリ 「『だましうち』はそうやって翻弄する相手を確実に捕らえる悪タイプの必中技よ! 逃げてはだめ!」

コウキ 「…! そんな…」

マーズ 「どこまでやれるのかしら? 『ひっかく』よ!」

コウキ 「…く、ブイゼルさん『ソニックブーム』!」

ブイゼル 「ブイー!」

ビュオウ!

ブイゼルは口から衝撃波を放つ。
そしてそれはブニャットにまっすぐ飛ぶが…。

バシィ!

ブニャット 「ニャー!」

ブニャットはソニックブームを受けるが止まらない。
そのままブイゼルさんに飛び掛った。

マーズ 「『ソニックブーム』はどんなに固い相手にもダメージを与える技だけど、そのダメージは固定よ」
マーズ 「そんな技は牽制にしかならないわ!」

ブニャット 「ニャーッ!」

ブイゼル 「ブイィー!?」

ブイゼルさんはブニャットの『ひっかく』攻撃を受けて僕の目の前で押されてしまう。
まずい…何をやっても…勝てない。

コウキ (!? う…また…?)

そこで僕はまた気分が悪くなる。
まずい…ここでしっかりしないと…いけないのに…。

マーズ 「とどめよ! ブニャット『ひっかく』!」

ブニャット 「ニャー!!」

ブイゼル 「ブ、ブイ!?」

ブイゼルさんがまだ体勢を整えれていないところにブニャットが再び襲い掛かる。

コウキ (回避…いや無理だ! こうなったら!)

僕はブイゼルさんをかばう。
ブニャットの攻撃はすでに止まらない。
僕自身が…体で受ける!

マーズ 「!?」

ヒカリ 「コウキ君! 危険よ!!」

ブニャット 「ニャー!」

ザシュウ!

コウキ 「う…」

僕は頭を引っかかれる。
力が強く、人間である僕が受ければそのまま首を持っていかれそうな衝撃を受けた。

コウキ (まずい…意識が持たない…このままじゃ…うぅ…)

僕は床に突っ伏したまま既に立つことができなかった。
そのまま僕の意識は全て闇に沈んでいく。



ブイゼル 「ブイ!? ブイ! ブイブイ!」

ヒカリ 「コ、コウキ君…」

マーズ 「…やってしまったわね、愚かね、ポケモンの力を甘くみたわね…」

コウキ君はブニャットの攻撃をじかに受けてしまい、横に倒れそのままピクリとも動かない。
あたしの脳裏に最悪の事態が浮かぶ。

コウキ 「――ふ…ふふ…」

ヒカリ 「!?」

マーズ 「な、なに…?」

ブイゼル 「ブ、ブイ!?」

ブニャット 「ブ、ブニャーッ!!」

突然、コウキ君が起きる。
ゆっくりと笑みを浮かべながら…。

コウキ 「なかなか…悪くないな…はっ…」

コウキ君は時間をかけて、まっすぐ立ち上がると天井を見上げた。
この人…誰?

ヒカリ 「あなた…誰なの…?」

あたしは明らかにコウキ君のはずの人物に問うた。
見た目はコウキ君だけど、中身がそうではないように感じた。

コウキ 「俺がだって? お前はよく知っているはずだぜ」

ヒカリ 「…!?」

コウキ君は天井からあたしに目線を移す。
目が合った瞬間、あたしは怖かった。
見た目が同じなのにどうしてこんなに怖いのか…。

コウキ 「さて…やってくれるじゃないか」

マーズ 「…雰囲気が変わった?」

コウキ 「雰囲気か…はっ! それはあんたじゃないのか?」

コウキ君はマーズさんの方を向くとあざ笑うようにうすら笑っていた。
コウキ君が相手を挑発するなんて…。

コウキ 「おい、ブイゼル、もう少し働いてもらうぜ」

ブイゼル 「ブ、ブイ…」

ブイゼルは怯えた目でコウキ君を見る。
ブニャットは毛を逆立ててコウキ君を威嚇していた。

ヒカリ (ポケモンは敏感に何かに反応している…反応の元はコウキ君だけど…)

コウキ 「さてと、それじゃ続けようか、楽しませてくれよ?」

マーズ 「! ブニャット『さいみんじゅつ』!」

ブニャット 「ニャー!」

コウキ 「ブイゼル、『ソニックブーム』を放ったまま前進だ!」

ブイゼル 「ブ、ブイー!」

ビュオウ!

ブイゼルはブニャットに『ソニックブーム』を放つと同時にブニャットに正面から近づく。

バシィン!

突然、何かが弾ける音。
互いにダメージは無く、ただ『さいみんじゅつ』が『ソニックブーム』に打ち消されたみたいだった。

マーズ 「く! ブニャット『ひっかく』攻撃よ!」

ブニャット 「ブニャー!」

コウキ 「そのまま『みずでっぽう』! そしてそれに合わせて『ソニックブーム』だ!」

ブイゼル 「ブイー!」

ブイゼルは接近してくるブニャットの顔面に『みずでっぽう』を放つが、それは当たる前にブニャットの目の前で『ソニックブーム』により弾ける。
ブニャットは一瞬にして視界を奪われた。
しかし、コウキ君は既に次の攻撃をしようとしていた。

コウキ 「ブニャットに掠るように『でんこうせっか』だ!」

ブイゼル 「ブイブイー!」

ビュオウ!

ヒカリ 「! これって…!?」

風を切る音。
ブニャットが視界を奪われ何も出来ない刹那、ブイゼルの毛とブニャットの毛が掠れる。
その瞬間…。

ザシュゥゥ!!

ブニャット 「!?」

ヒカリ 「きゃあっ!?」

マーズ 「ブ、ブニャット!?」

突然、ブニャットはブイゼルの通った左側の体を切り裂かれて血を噴出す。
目の前が真っ白になるようだった。
怖くて…怖くて、気絶してしまいそう。

ブイゼル 「ブ…ブイ!?」

コウキ 「はっ! 皮一枚切られただけだ、死ぬほどのダメージじゃない」
コウキ 「さてと…やられた分はやりかえさせてもらおうか!」

マーズ 「!?」

ヒカリ 「コウキ君なにを!?」

突然コウキ君がマーズさんの首を掴む。
そのまま首を絞める気!?

マーズ 「あ…ぐ…」

ヒカリ 「やめてコウキ君! 死んじゃうわ!」

コウキ 「ふ、甘いな…殺すか殺されるかが世界の真実だ」
コウキ 「ポケモンバトルとて相手を仕留めるのが本来の道理だろう?」

そう言ってコウキ君は更にマーズさんの首を絞める。

コウキ 「…! ち…もう…限界か…」

ヒカリ 「え…?」

マーズ 「!?」

突然、コウキ君の首を絞める手が緩まる。
そのままマーズさんを離して頭を抱えた。

コウキ 「ち…仕方ない…あばよ敗北者」

ドサァ!

ヒカリ 「コウキ君!?」

突然、コウキ君は糸の切れた人形のように倒れてしまった。
あたしはとっさにコウキ君に駆け寄る。

マーズ 「けほ…けほけほっ! な、なんなの…?」

ヒカリ 「…もう去りなさい…あなたの負けよ…」

マーズ 「…そうね、そうさせてもらうわ…戻ってブニャット…」

ブニャット 「……」

マーズさんはブニャットをボールに戻すとまだ酸欠状態なのかふらふらと建物を出て行った。

ブイゼル 「ブイ…」

ヒカリ 「もう…どうなっちゃっているのよ…コウキ君…」



…………。



マーズ 「う…く…だめ…倒れる」

あたしはなんとか建物の外に出たがそこが限界だった。
酸欠…もあるけど、もうひとつの問題が起きている。

マーズ 「苦しい…胸が…」

あたしは胸を押さえながら膝を突いてしまう。
あたしは胸が悪い。
少し無茶をしてしまった…まさか殺されかけるとは…。

? 「大丈夫?」

マーズ 「…? 誰?」

突然、すみれ色のロープに全身を包んだ女性の声の誰かに声をかけられる。
あまり身長は高くなく、150センチ程度。
紫色の目を持っており、唯一外気にさらされている顔から女性とわかった。

? 「大丈夫、あなたは助かるわ」

女性はそう言うとあたしに手を触れる出なく、触れそうな近さにまで手を出して目を瞑りだした。

マーズ 「!?…これは…?」

突然、女性の手が光った気がした。
次の瞬間、突然体が軽くなる。

? 「もう大丈夫」

そう言うと女性はそのまま立ち上がってどこかへ向かおうとする。

マーズ 「待って! あなたは一体?」

? 「私ですか? 私は…魔法使い」

マーズ 「魔法使い?」

魔法使い 「ふふ、それじゃあお体には気をつけて」

マーズ 「…魔法使い…一体」



…………。



『次の日 時刻10:15 ソノオタウン』


ヒカリ 「はぁ〜どうしよう〜」

『たにまのはつでんしょ』での事件の次の日、あたしはひとりでソノオタウンにいた。
あれからコウキ君は夜になって目を覚ましたのだけど、頭が痛いと言ってポケモンセンターで休んでいる。
ブイゼルはずっとコウキ君の側にいるようで、あたしは外に出ていた。

ヒカリ 「…『たにまのはつでんしょ』にでも向かおうかしら」

あたしは気分転換にポケモン調査に出かけるのだった。
正直…まだ心が定まらない。
目を瞑ると昨日のコウキ君の顔が浮かぶ。
あれはなんだったんだろう…ふたたび目覚めるとコウキ君は元に戻っていたけど。

ヒカリ 「はぁ…とりあえず『あまいミツ』を好むポケモンの調査を始めよう…」

少々気は乗らないけど、これが仕事だから仕方がない。

ヒカリ 「空はこんなに晴れているのに…――て、ええっ!?」

あたしは快晴の空を見上げた。
快晴…そう、確かに快晴なのだけど…。

ヒカリ 「な、何よあれ!?」

空には黒い何かが大量に浮遊していた。
風船みたいなポケモンが空を覆っちゃってるよ…。

ヒカリ 「『たにまのはつでんしょ』の方に向かっているみたいだけど…」

あたしはそれを慌てて追うのだった。
もしかしたらあれが珍しいポケモン!?



…………。



ヒカリ 「はぁ…はぁ…い、一体何なの!?」

フワンテA 「フワ〜」

フワンテB 「フワワ〜…」

ヒカリ 「これって…?」

あたしは懐からポケモン図鑑を取り出し、風船の大群にセンサーを向ける。


『フワンテ 風船ポケモン』
『高さ 0,4m 重さ 1,2kg』
『あの世へ連れて行こうとして子供の手を引っ張ろうとするが反対に振り回されてしまう』


ヒカリ 「この身なりで?」

空中に大量に浮遊する風船ポケモンを見て、?マークを浮かべるあたし。
これでねぇ…。

ヒカリ 「それにしてもフワンテって…」

初めて見るポケモンだけど見た目的には飛行タイプ。
ただし、説明を見るとゴーストタイプでもありそうね。

ヒカリ 「ゲットしたいけど…」

なんせ初めて見るポケモン…どう対応したらいいのかな?

ヒカリ 「コリンクは電気タイプだから迂闊なことできないし、そうなったら…いくのよポッチャマ!」

ポッチャマ 「ポッチャマー!」

あたしは大量のフワンテに対してポッチャマを繰り出す。
しかし…。

ポッチャマ 「チャ、チャマ〜?」

ヒカリ 「ちょっと多すぎるわよねぇ〜…」

今のところの自分の周りに少なくとも100匹以上のフワンテがいるように思えた。
この中から目当ての一匹をゲットするのはかなり難しそうだ。

ヒカリ 「とりあえず適当にあの子を狙うわよ! ポッチャマ『あわ』攻撃!」

ポッチャマ 「チャマー!」

あたしは地表2メートルほどを浮かぶ前方のフワンテに狙いを定め、攻撃を開始する。
ポッチャマの『あわ』攻撃は見事にヒットする。
さて、どう出るのかしら!?

フワンテA 「フワ〜!」

ヒュオオオオッ!

ポッチャマ 「チャマッ!?」

ヒカリ 「『かぜおこし』!」

突然、フワンテの周りに風が起き始める。
フワンテの『かぜおこし』か。

フワンテB 「フワ〜…!?」

チュドォーン!!

ヒカリ 「へっ!?」

ポッチャマ 「チャマッ!?」

突然、真後ろのフワンテが爆発を起こす。
それに連鎖して…。

フワンテC 「フワー!?」
フワンテB 「フワワーッ!?」

チュドンチュドォン!!!

ヒカリ 「きゃっ!? れ、連鎖爆発!? てか誘爆しているの!?」

フワンテA 「フワワーッ!?」

チュッドォーン!!

ヒカリ 「て! あんた巻き込まれているじゃなーい!!?」

気がつくと周りのフワンテたちは皆自滅してその数は十分の一程まで少なくなっていた。
お、恐るべし…ま、まさかこれがフワンテの特性…?

フワンテ 「フワ〜…」

ヒカリ 「でも…誘縛しなかったフワンテもいるわね…爆発するだけじゃないってことか」

とりあえず、目の前に人際小さなフワンテが目に入る。
誘縛を少なからず受けたのか少しダメージを負っているようだった。

ヒカリ 「ちっちゃいな〜…子供かな? でも、ゲットに年齢は関係無し!」
ヒカリ 「ポッチャマ『つつく』攻撃!」

ポッチャマ 「チャマー!」

ポッチャマはその小さなフワンテに接近し、そのくちばしで攻撃をしようとする。

フワンテ 「フ〜ワッワ〜…」

ポッチャマ 「チャマ!? チャマ…」

ドサァ!

ヒカリ 「え!? 嘘どうしたのポッチャマ!?」

ポッチャマ 「チャママ〜…ZZZ」

なんとポッチャマは突然その場で居眠りを始めてしまう。

ヒカリ 「嘘!? なんで眠っちゃうの!?」

ポッチャマはなんといきなり深い眠りに落ちてしまう。

ヒカリ 「まさかこれって『さいみんじゅつ』!?」

フワンテというポケモンそのものはよく知らないけど『さいみんじゅつ』を使うらしい。
て、だとしたらまずいじゃない!

ヒカリ 「こうなったら一か八か! いけモンスターボール!」

フワンテ 「フワッ!?」

あたしの投げたボールはフワンテにヒットする。
いつも思うけど5メートルほどとはいえ体長40センチ未満の的相手に百発百中で当てられるあたしってすごい制球率なんじゃないかな?
さて、そんなことはどうでもよく、フワンテはボールの中で暴れる。
これで出られたらゲットは失敗。

ボフゥン!

ボールは暴れるのをやめる。
大人しくなったボールからはゲット成功音が鳴り、使用者にゲット成功を告げる。
あたしはフワンテの入ったボールを手に取ると…。

ヒカリ 「フワンテゲットで大丈〜夫♪」

なんて、アニメ風に言ってしまうあたし。
う〜ん、50点ね。

ヒカリ 「ふぅ…それにしてもラッキー…誘縛でダメージを受けてなかったらゲットできなかったでしょうね」

それにしてもこのフワンテ『さいみんじゅつ』が使えるのか、この先図鑑完成には重宝しそうね。

ヒカリ 「よく知らないポケモンだし、一応参照してみますか」

あたしはそう思うとポケモン図鑑でポケモンチェックをした。

『フワンテ♂ Lv1 特性:軽業』
『技:からみつく ちいさくなる さいみんじゅつ サイコキネシス ゆめくい 10まんボルト』

ヒカリ 「…個性的な子ねぇ…」

ていうか、何者!?
赤ん坊というのはよくわかったけど技覚えが普通じゃない…。
一体何者なのよ…野生…だったのよね?

ヒカリ 「なんとも…疑問だわ」

まぁ、ともあれフワンテの図鑑登録は成功。

フワンテD 「フワワ〜」
フワンテE 「フ〜ワ〜」

ヒカリ 「…うざい」

今だ場に漂い続けるフワンテ30匹ほど。
フワンテも傷ついているし、ポッチャマも寝ちゃったし一度ポケモンセンターに戻るかな?



…………。



ポケモンナース 「はい、あなたのポケモンはみんな元気になりましたよ♪」

ヒカリ 「早かったですね」

ポケモンナース 「フワンテの怪我は大したことなかったですしポッチャマは眠っていただけですからね」

ソノオタウンのポケモンセンターで回復を頼んで5分。
非常にあっさり終わってしまった。
これではコウキ君も復活はしまい…。

ヒカリ 「あとは『あまいミツ』の木にでも行くかな〜?」

とりあえず暇なので自分がミツを塗った木に向かうことにする。

ザワザワ、ザワザワ!

ヒカリ 「ポケモンセンターの外に出て今度は何よ?」

なにやら町中が騒がしい。
一体なにが起きているわけ?

なんだか、ソノオの花畑の方に人が集まっているみたいだけど…。
ちなみにあたしが『あまいミツ』を塗ったのって花畑内にある木なのよね。

ヒカリ 「ちょっとちょっと〜? 一体何が起きているの?」

あたしは野次馬の一人に状況に尋ねる。

男 「え? いや…なんでも花畑内がある意味危険地帯になっているみたいだよ」

ヒカリ 「危険地帯〜?」

それは本当に危険そうだ。
しかし、あっちにはあたしがミツを塗った木がある。
そろそろ木にポケモンが集まる頃なのに!

ヒカリ 「…ちょっと位なら大丈夫よね?」

あたしは野次馬を潜り抜け花畑に潜入することにした。

男 「あ! だから危険だって!」

後ろからさっきの男の忠告が聞こえるが無視する。
一体どうなっているのよ…。

やがて、あたしは野次馬を通り抜け花畑に侵入する。
すると…。

ミツハニーA 「ハニー!」

ミツハニーB 「ハニニー♪」

ミツハニーC 「ハ〜ニ〜♪」

ヒカリ 「…また、大量発生なわけ!?」

今度は花畑の大空をミツハニーの大群が飛んでいた。
たしかに…これはある意味危険だわ…。

ヒカリ 「ん…よく見ると…」

あたしはミツハニーの動きを観察しているとひとつの法則性に気づいた。
よく見ると一本の木の周りを渦を描いて回っている。

ヒカリ 「て…あたしがミツを塗った木じゃない」

どうやら、この大量のミツハニーたちはあたしが呼んでしまったもののようだ。

ヒカリ 「今度はどうしよう…やっぱり一匹はゲットしたいけどフワンテの時の例があるし…」

まぁ…さすがに誘爆はしないはず…。
フワンテのあれはえげつなかったからね…。

ヒカリ (まぁ…見た目から判断するに飛行と虫、例によってコリンクは相性的に出さない方がよろしそう)
ヒカリ (さっき捕まえたフワンテはなんせレベル1…まともにはまだ無理ね…でも)
ヒカリ 「援護くらいはできるでしょ! いきなさいポッチャマ、フワンテ!」

ポッチャマ 「チャマー!」

フワンテ 「フワ〜」

こっちは2匹、相手はあたしの視界の7割を覆い尽くすミツハニー!
なんとかしますか!

ヒカリ (とはいえ…フワンテと違って自分の羽で飛ぶだけに動きが素早いわね…)

フワンテはなんていうか浮かんでいるだけ…てか風に流されている。
迂闊な攻撃をすると爆発してえらい損害を被るけど、どのポケモンを攻撃したかは判断しやすい。
しかし、このミツハニーはちゃんと自分の羽で飛ぶからなかなか特定の一匹を見つけるのは難しい。
せめてなにか特徴でもあれば別だけど…。

ヒカリ 「て…うん?」

ミツハニー 「ハニー」

ヒカリ 「あれ…? あのミツハニーだけ真ん中が赤い…?」

何百匹と大量発生してはいるが真ん中に赤いマークがあるミツハニーは一匹だけだった。
…特徴的ね…わかりやすいわ。

ヒカリ 「あなたたち! あの赤いミツハニーをゲットするわよ!」

ポッチャマ 「チャマ!」
フワンテ 「フワー」

とりあえずこれならなんとか的を絞れる!
一匹だけ特徴的なのがいて助かったわ!

ヒカリ 「いきなりみせて貰うわよ! フワンテ『10まんボルト』!」

フワンテ 「フワー!」

バチィン!

ミツハニー 「ハニーッ!?」

フワンテの『10まんボルト』は目標のミツハニーにヒットする。
しかし、レベル1も相まってミツハニーには対してダメージは与えられていない。
でも、十分気は引けたわ!

ミツハニー 「ハニー!」

ヒカリ 「ポッチャマ! フワンテの盾になって!」

ポッチャマ 「ポッチャマ!」

ミツハニーは風を起こしてフワンテを攻撃するがポッチャマはフワンテをその身で守る。

ヒカリ 「チャンス到来! フワンテ『さいみんじゅつ』!」

フワンテ 「フワ〜」

ミツハニー 「!? ハニ〜…」

ミツハニーはフワンテの『さいみんじゅつ』を食らってくるくると回りながら地面に落ちる。
う〜む…見たら最後、この『さいみんじゅつ』は強力ね…。

ヒカリ 「いけ! モンスターボール!」

あたしは迷わずモンスターボールを投げつける。
今度は状態異常つき! いけるでしょ!?

ボフン!

ミツハニー 「ハニー!」

ヒカリ 「え!? で、でちゃった!?」

ミツハニーはこっちの期待を簡単に裏切り、ボールから出てきてくれる。
ご丁寧に眠りからも覚めているじゃありませんか。

ミツハニー 「ハニー!」

ヒュオオオオッ!

フワンテ 「フワーッ!?」

ヒカリ 「フワンテッ!?」

フワンテはミツハニーの『かぜおこし』で一発ダウンしてしまう。
まずい…レベル1だから耐えられるはずもないのだけど…。

ヒカリ 「こうなったらだめもともう一回…て、モンスターボールがない!?」

なんとボールラックを見ると既にモンスターボールがなかった。

ヒカリ 「し、しまった…さっきのが最後…ん?」

よく見ると普通のモンスターボールは確かにない。
しかし…特殊なボールなら2つあった。

ヒカリ 「これなら…いっけーっ!!」

あたしはある特殊なボールを手に取るとミツハニーに投げつける。

ミツハニー 「ハ、ハニー!?」

再びボールはミツハニーに当たり、ゲットが始まる。
出ないで…出ないでよ!

カチ…カチ…カチ…。

ヒカリ (お願い…!)

ボフゥン!

ヒカリ 「やった…ミツハニーゲット!」

あたしはミツハニーのゲットを確認するとボールを回収する。
ちなみにさっき使ったボールは『ネットボール』。
水タイプや虫タイプが捕まえやすいボールだ。
偶然、2つ持っていたのが役に立つなんてね…。

ヒカリ 「ふぅ…さて、あとのこれどうしよう?」

あたしは依然あたしの視界の7割を覆い尽くすミツハニーを見る。
まさに黄色7:青3の風景ね…。

ヒカリ 「あたし、知〜らないっと」

後はソノオのトレーナーさんたちに適当にゲットしてもらおう。
あたしはそう思うと再びポケモンセンターに帰るのだった。



…………。



『同日 時刻18:30 ポケモンセンター 103号室』


コウキ 「…それで、ポケモン調査の方はどうなの?」

ブイゼル 「ブイ」

あたしがポケモンセンターに帰ってくるとまだベットで寝てはいるがとりあえず元気を取り戻したコウキ君が待っていた。
ブイゼルも心配なのか暇なのかコウキ君の側にべったりだ。
ちなみにブイゼルはまだゲットはしていないみたい。
ソノオを出る前にはゲットするかどうか決めるでしょうけど。

ヒカリ 「うん、色々大量発生してね…大変だったわ」

コウキ 「そうなんだ、僕がいたらきっとみんな逃げてたんだろうな…」

ヒカリ 「あ、あはは〜」

そうかもね…でも、あの数から逃げられたらショック大きいわよね…。

コウキ 「じゃ、明日にはハクタイの森に向かうんだね」

ヒカリ 「そのつもりだけど…大丈夫?」

コウキ 「僕なら大丈夫だよ!」

ヒカリ 「そう…」

ブイゼル 「…ブイ」

ヒカリ 「それで、ブイゼルさんはどうするの?」

コウキ 「うん、そのことだけどブイゼルさんとも話し合って一緒に行くことにした」

ヒカリ 「そうなんだ、それじゃよろしくねブイゼルさん」

ブイゼル 「ブイ」

コウキ 「ブイゼルさん、これに入ってもらいますよ?」

ブイゼル 「ブイ」

コウキ君はそう言ってスーパーボールを取ってブイゼルさんに使う。

ヒカリ 「…て、なんでスーパーボールを!?」

あたしは思いっきり突っ込んでしまう。
なんでモンスターボール使わないかな…。

コウキ 「え? でも…ブイゼルさんがモンスターボールは嫌だって…」

ヒカリ 「あ、そう…」

なんだか、今日は疲れる相手ばっかりね…。
フワンテ…ミツハニー…ブイゼルさん。
本当に変なのばっかり。
あたしはそう思いながらもとりあえず今日のレポートを書くのだった。







『ヒカリちゃんレポート』


図鑑完成度23/150(完成度15パーセント)

コウキのパーティ

ハヤシガメ♂ Lv21
ブイゼル♀ Lv10


ヒカリのパーティ

ポッチャマ♀ Lv22
コリンク♂ Lv19
フワンテ♂ Lv1
ミツハニー♀ Lv13




ポケットモンスターパール編 第6話 「あなたは誰?」 完







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