ポケットモンスター パール編




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おまけ





『ハクタイの森』

『シンオウ地方テンガン山を縦軸に西側に位置する広大な森』

『多くのポケモンが生息し、ポケモンを持たない旅人はまず迂回する』

『中には森の館と呼ばれる謎の洋館もあり、ゴーストタイプのポケモンも豊富』

『さらに、森のどこかにあるというコケの生えた岩…とあるポケモンの進化に関わるという』

『多くのトレーナーにとってはレベルアップの場となるが、その過酷さは並みのトレーナーはそうやすやすとは通さないだろう』


−ハクタイの森の説明−





ヒカリ 「…うざい」

コウキ 「い、いきなりどうしたのヒカリちゃん…?」

ヒカリ 「どうしたもこうしたもないわよ…一体、どうなっているのよこの森ーっ!!」







第7話 『ヤミカラスパニック!』




…さて、時は遡ること少し前。


ヒカリ 「いよいよハクタイの森ね」

コウキ 「森か…」

ヒカリ 「もしかして怖いの?」

コウキ 「いや…別に怖くはないんだけど…」

むしろ期待の方が僕にとっては大きい。
でも…。

コウキ (なんだか嫌な予感するんだよね…)

ヒカリ 「さ、さっさとハクタイシティに行くわよーっ!」

…こうして、僕たちはハクタイの森に突入するのだった。



………。



ヒカリ 「…ここどこなわけ?」

コウキ 「さぁ?」

そして30分後、ものの見事に迷った。
ハクタイの森の中は全く整備されておらず、荒れたい放題、というかさながら樹海だった。
北に進めばいいのはわかるけど実際のところ本当に北に進んでいるのかさえわからない。
方位磁石(ノズパス)ないしね…。

ミミロル 「ミミ、ミミ!」

突然、森の前方に茶色い2足歩行のポケモンが現れる。
こっちに気づいていないのか、大きな耳をピクピクして、辺りを見渡していた。

ヒカリ 「あ、ミミロル!」

コウキ 「ミミロル?」

僕は図鑑を開いてミミロルを検索する。

『ミミロル うさぎポケモン』
『高さ 0,4m 重さ 5,5kg』
『危険を感じると両耳を立てて警戒する』
『寒い夜は毛皮に顔を埋めて眠る』

コウキ 「と、いうことは…」

ミミロル 「――!? ミミー!!」

ミミロルは僕を見て両耳を立てて激しく警戒しているようだ。

コウキ 「……」

ヒカリ 「て、コウキ君どこ行くの!?」

コウキ 「遠くで見てる…」(泣)

例によって僕がいるとポケモンゲットもままならない。
稀にブイゼルさんみたいなポケモンもいるけど、大多数のポケモンは僕を警戒する。
ここは離れていた方がいい…。

ヒカリ 「もう…しょうがないな…」

ヒカリちゃんはそう言ってミミロルと向き合う。

ヒカリ 「行くのよ! ポッチャマ!」

ポッチャマ 「チャマー!」

ヒカリちゃんはおなじみポッチャマをだす。
ポッチャマはいつもどおりだ。

ガサ…ガサガサ…!

コウキ 「ん?」

突然、後ろの草むらが揺れる。
と言っても見渡す限りとどこでも草むらな気もするけど。

ガサァッ!!

ヤミカラス 「カー!!」

コウキ 「う、うわっ!?」

ヒカリ 「あれ!? コウキ君!?」

突然、真後ろからヤミカラスが現れる。

ヤミカラス 「カー!!」

ツンツンツンツン!!

コウキ 「いたいたいたいたっ!?」

突然、ヤミカラスは出てくるなり僕の頭をツンツンつつき始めた。
僕は慌ててその場から逃げる。

ヒカリ 「な、なに…!? どうなってるの!?」

コウキ 「うわーっ!?」

ツンツンツンツン!!

ヤミカラス 「カー!!」

ヒカリ 「…て、きゃああああっ!?」

ツンツンツンツン!!

なんと、ヒカリちゃんまで突付かれてしまう。
僕とヒカリちゃんは横一線でその場から逃げるのだった。

ミミロル 「ミミ〜?」

ポッチャマ 「チャ、チャマ!?」



…………。



ヤミカラス 「カー!」

ヒカリ 「しつこーい!!」

コウキ 「こうなったら…頼みますブイゼルさん!」

ブイゼル 「ブイ」

ヒカリ 「おお、ブイさん! て、だから痛いって!」

ヤミカラス 「カー!」

コウキ 「うわ、や、やめて!」

僕はボールからブイゼルさんを出す。
それで、なんとかしようとしたのが、ヤミカラスは眼中になく、僕とヒカリちゃんの頭をつついてくる。

ヤミカラス 「カー!」

ヒカリ 「やめなさい!」

ヤミカラス 「カー!」

ブイゼル 「……」(呆)

コウキ 「ブイゼルさん! 『ソニックブーム』!」

ブイゼル 「ブーイー!」

僕はヤミカラスにつつかれながらもブイゼルさんに命令する。
ブイゼルさんは呆れ顔だったがとりあえずヤミカラスに『ソニックブーム』を放ってくれた。

バシィン!

ヤミカラス 「カー!?」

ヤミカラスは『ソニックブーム』の直撃で若干怯む。
そのままブイゼルさんを睨みつけるのだった。

ブイゼル 「…ブイ」

クイクイ。

コウキ 「おお…ブイゼルさんがヤミカラスを挑発している」

ヒカリ 「さしずめ『かかってこい』といった感じね」

ブイゼルさんは前足でヤミカラスを挑発した。
それを見てヤミカラスは…。

ヤミカラス 「カー!」

コウキ 「――て、結局こっちなのーっ!?」

ツンツンツン!

ヒカリ 「キャーッ!?」

ブイゼル 「……」(呆)

ヤミカラスはなおも僕たちを突付いてくる。
ブイゼルさんはアウトオブガンチューというやつ!?

ヒカリ 「これはたまらないわ! こうなったらゲットよ!」

コウキ 「ゲットォ!? でも…!」

ヒカリ 「このままじゃ延々つっつかれるわよ!?」

コウキ 「くぅ…いけ! モンスターボール!」

ヤミカラス 「カー!」

僕はヤミカラスに向かってモンスターボールを投げる。

ヒカリ 「て、それはダークボール! なんで高価なボール使うかな!?」

ヤミカラス 「カー!」

コウキ 「しかも、外したーっ!?」

なんと、僕の投げたボールはヤミカラスにヒットすることはなく外してしまった。
ああ…一個1000円が…。

ブイゼル 「ブイー!!」

ヤミカラス 「ヤミッ!?」

コウキ 「ブイゼルさん!?」

なんと突然ブイゼルさんが飛び上がりダークボールを空中でキャッチする。
そのまま重力落下に従い、ヤミカラスにダンクシュートぎみにダークボールを直接当てた。

ヒカリ 「ナイスブイさん! まさにスーパープレーね!」

ブイゼル 「ブイ」

ブイゼルさんは何事もなかったようにボールの側でたたずんでいた。
さすがブイゼルさん…やっぱりすごいよ。

ボフゥン!

ヒカリ 「ふぅ…これで一安心」

ボールは無事ヤミカラスのゲットを教えてくれる。
とりあえずこれで突付かれずにすむ。

ヒカリ 「…で、ここはどこなの?」

コウキ 「あ…」

そういえば無我夢中で走っていたから忘れていたけど…。
まぁ、初めから迷っていたから結局状況は変わってないんだけど。

ヒカリ 「一体どうしようかポッチャマ…」

コウキ 「え? ポッチャマ?」

ブイゼル 「…ブイ?」

僕たちは周りを見渡す。
とりあえず僕の目に入っているのはヒカリちゃんとブイゼルさんだけ。

コウキ 「…たしかミミロルの前でだしていたよね?」

ヒカリ 「で、その後ヤミカラスに襲われて…」

コウキ 「無我夢中で逃げて…」

ブイゼル 「…ブイ」

ヒカリ 「…置いてきちゃった〜…」

そこで結論に達する。
ポッチャマを置いてきてしまうなんて…。

ヒカリ 「どうしよう…ポッチャマを見失っちゃうなんて…」

ブイゼル 「ブイ…ブイブイ」

コウキ 「ん? ブイゼルさん?」

ブイゼルさんは突然、顔を上げて、鼻を鳴らしていた。

ブイゼル 「ブイブイ…ブイ!」

ヒカリ 「ブイさん、もしかしてわかるの!」

ブイゼル 「ブイ!」

ブイゼルさんはついて来いと言わんばかりに走り出す。

コウキ 「行こう! ヒカリちゃん!」

ヒカリ 「ええ! 頼むわよブイさん!」

僕たちはブイゼルさんについて行くのだった。



…………。



…それから30分後。


ヒカリ 「ふぅ…ここどこよ」

ブイゼル 「……」

コウキ 「ブイゼルさん?」

ブイゼル 「…ブイ」

僕たちは再び足を止めた。
ブイゼルさんもその場で立ち尽くしてしまう。

ヒカリ 「なによ! 結局わからないわけ!?」

コウキ 「お、落ちついてヒカリちゃん!」

ヒカリ 「落ち着いてられないわよ! ああ〜んポッチャマ〜!」

ブイゼル 「…ブイ」

ブイゼルさんは冷静、ヒカリちゃんは既に混乱していた。

コウキ (ブイゼルさんはイタチであって犬じゃないもんな…)

よくよく考えたらイタチのブイゼルさんには無理か。
だったらどうすればいいのだろうか?
というか、僕たち自身もこの先どうすればいいのだろう?

コウキ 「こうなったらポケモンたちみんなの力を借りよう!」

ヒカリ 「そ、そうね…出てきてみんな!」

コリンク 「コリン!」
フワンテ 「フワ〜」
ミツハニー 「ハニー!」

コウキ 「よし! でてきてハヤシガメ、ヤミカラス!」

ハヤシガメ 「ガメ!」
ヤミカラス 「カー!!」

僕もつづけて残り2匹をだす。

ヤミカラス 「カー!!」

コウキ 「て、痛っ!!」

ツンツンツンツン!

ハヤシガメ 「ガメ!?」

ヒカリ 「コ、コウキ君!?」

コウキ 「やめて止めてやめて止めて!」

ヤミカラス 「カー! ッカァ!?」

グイ!

ブイゼル 「ブイ」

コウキ 「て、ブイゼルさん?」

僕の頭を突付くヤミカラスだが、突然、ヤミカラスのくちばしが僕に届かなくなる。
ブイゼルさんが尾っぽ掴んでしまったのだ。

ヤミカラス 「カー! カー!」

ブイゼル 「…ブイ」

ヤミカラスはじたばたするがブイゼルさんは離さない。

コウキ 「はぁはぁ…えと、みんなヒカリちゃんに力を貸して!」

僕は息を整えてそう言った。

ヒカリ 「みんな! ポッチャマがはぐれちゃったの! 力を貸して!」

コリンク 「コリン!」
フワンテ 「フワ〜」
ミツハニー 「ハニ〜!」

ハヤシガメ 「ガメ…」
ブイゼル 「ブイブイ!」

みんな協力してくれるらしい。

ヒカリ 「ありがとう皆! お願いよ!」

コリンク 「コリーン!」

フワンテ 「フワ〜」
ミツハニー 「ハニー!」

まず、コリンクが先頭に森の中に入っていく。
それに続いてフワンテ、ミツハニーも入って行った。

ブイゼル 「ブイ」

ハヤシガメ 「ガメ!」

こちらもブイゼルとハヤシガメは互いの顔を見て頷きあいまた別の方角へと向かう。

ヤミカラス 「カー! カー!」

ただ、一匹じたばたするヤミカラスを引きずりながら…。

コウキ 「僕たちも行こう、ヒカリちゃん!」

ヒカリ 「うん!」



…………。



ヤミカラス 「離せー! 離しやがれー!」

ブイゼル 「たしか、逃げてきた時はこっちの道だったと思うんだけど」

私はヤミカラスを無視して、周りの状況を確認する。

ハヤシガメ 「匂いでわからないのか?」

ブイゼル 「犬じゃないからね、そこまでは無理よ」

匂いでわかるのならもうポッチャマは見つけているでしょうね。

ヤミカラス 「無視するなー! 離せー!」

ブイゼル 「うるさいわね…あんた離すと一人で行動するでしょ」

ヤミカラス 「当たり前だ! なんで私がお前らと一緒に行動しないといけないんだよ!」

ブイゼル 「あなた、コウキにゲットされたのよ? 当然でしょ」

ヤミカラス 「私はあいつをマスターとして認めちゃいない!」

ハヤシガメ 「…やっぱり、まだコウキとポケモンは共存できないのか…」

ブイゼル 「そうね…コウキは…」

コウキ自身うすうす気づいているかもしれないけど、彼はなにか黒い気を持っていた。
それでも、それは表面上の話、その内側にはちゃんとした惹かれる物を持っている。
長い付き合いなしでそれを見抜けるのは私だけでしょうね。

ヤミカラス 「…お前ら、なんでマスターのことを呼び捨てにしているんだ?」

ブイゼル 「え?」

ハヤシガメ 「…そもそも、俺はコウキのことをマスターとは思ってない」

ヤミカラス 「なんだと…? そんなこと許されると…」

ハヤシガメ 「俺にとっては親友、共に歩き共に戦い、共に生きる親友だ」

ブイゼル 「私にとっては相棒、私を理解してくれ、私を必要としてくれ、そして私を愛してくれる相棒よ」

ハヤシガメ 「俺たちにとっては上下はない」

私とハヤシガメはそれぞれ言葉は違うけど、ほとんど内容は一緒と思える。
ようは、私たちはコウキが好きなのね。

ヤミカラス 「…そんなこと…許されるわけがない…トレーナーは…絶対の存在だ」

ハヤシガメ 「……」

ブイゼル 「疑問には思っていたけど、あなたはこの森出身じゃないわね?」

ヤミカラス 「!? どうしてそれを…」

ブイゼル 「簡単よ、この森にはヤミカラスは数える程しかいないわ、とすると出会う確率はその時点で絶望的」
ブイゼル 「さらに、そこであなたはトレーナーとしての存在を絶対と言ったわね?」

ヤミカラス 「……」

ブイゼル 「あなた…誰かにゲットされてリリースされたのね」

ヤミカラス 「…! 言うな!」

ハヤシガメ 「リリース、捨てられたのか…」

ポケモンはゲットとし、そのポケモンの所有者になることが出来る。
それと逆にいらなくなったポケモンは所有権を捨て、野性にリリースすることもできる。
聞こえはリリースという方がよさそうだけど、実質内容はいらないものを捨てているに過ぎない。
物でやるならともかくポケモンでやるのはおおよそ信じがたい。
だが、現実に行われているのも事実。
しかし、大半のリリースポケモンはゲットされた物のトレーナーの顔さえ見たこともなくリリースされたことにも気づかないポケモンがほとんどだ。
つまり、リリースされる大半のポケモンはトレーナーとの思い出がないのだ。

ブイゼル 「あなたにとってトレーナーはタブーのようね」

推測に過ぎないけどヤミカラスはトレーナーとの思い出が強いのだろう。
トレーナーになんらかの理由があったからリリースしたものと思いたいけど…。

ブイゼル (ここまでトレーナーを毛嫌いするのは以前のトレーナーに問題があったとしか思えないわね)

コウキ自身の問題も+αで考えるとこれは大変そうね。
心の傷かしら…。

ヤミカラス 「…おい、いい加減本当に離せ」

ブイゼル 「逃げないと誓うのならね」

ヤミカラス 「…わかったよ、逃げないよ」

ブイゼル 「…コウキを突付くのいいけどコウキから逃げるのもなしよ?」

ハヤシガメ 「突付くのいいのか?」

ヤミカラス 「わかったよ! 誓う!」

ブイゼル 「…はい」

私はヤミカラスを離す。
ヤミカラスは自由になると大きく体を広げた。

ヤミカラス 「…私は嘘は言わない、逃げない、だがある程度は自由にやらせてもらうぞ?」

ブイゼル 「飛ぶのならついでにポッチャマも見つけてくれない?」

ヤミカラス 「ああ、あのペンギンか、まぁいいか」

ヤミカラスはそう言うと上空へと飛び上がった。
鷹の目とは言わないけれどヤミカラスが協力さえしてくれればポッチャマの発見も楽になるでしょう。

ブイゼル 「人間を信じられなくなっちゃったのね…」

ハヤシガメ 「きっとわかるよ、コウキはそんなに器量の小さな人間じゃないって」

ブイゼル 「ええ、私たちは一歩先へと踏み込んだからそれが理解できる」
ブイゼル 「でも、彼女、そしてこの先のまだ見ぬ仲間たちにとっては目の前に大きく黒い壁が立ちはだかっている」
ブイゼル 「理解するなんて到底難しいことよね…」

ハヤシガメ 「俺はコウキとヤミカラスを信じるさ、あいつらは理解しあえるよ」

ブイゼル 「…そうね」

私たちはそこで話題を切り、ポッチャマを探す。
まったく、面倒なことになったわね。



…………。



コリンク 「お姉ちゃんどこー? いたら返事してよお姉ちゃーん!」

フワンテ 「フワフワ〜…お腹空いたよ〜…」

ミツハニー 「はい、この『あまいミツ』をお舐め♪」

フワンテ 「わ〜い♪ 甘くておいしい〜♪ ミツハニーお姉ちゃんありがとう〜♪」

コリンク 「…いいなぁ、僕も欲しいな〜…て、だめだめ! 僕はお姉ちゃんを探さないと!」

僕たちはポッチャマお姉ちゃんを探していた。
しかし、この広大な森の中ではお姉ちゃんの姿はまったく見えない。
オマケにフワンテは子供だからすぐ泣くし、ミツハニーさんいなかったらと考えると頭が痛くなりそうだ。

コリンク 「それにしても、ミツハニーさんいつの間に『あまいミツ』を?」

ミツハニー 「ハニーの特性です♪ 『あまいミツ』のありかがわかるんですよ」

フワンテ 「フワワ〜、すごいな〜、僕全然わからないよ〜」

コリンク 「…でも、その特性もしかしたら利用できるかも」

フワンテ 「フワフワ〜?」

コリンク 「『あまいミツ』はみんな大好き、だったらポッチャマお姉ちゃんもいるのは『あまいミツ』のあるところじゃないかな?」

ミツハニー 「なるほど、それは考えられますね」

コリンク 「だよね!? ミツハニーさん僕たちを『あまいミツ』のある場所に連れてって!」

ミツハニー 「いいですよ」

僕たちはミツハニーさんを先頭にあまいミツのある場所に向かうのだった。

フワンテ 「フワフワ〜、待ってよ〜…」

コリンク 「はぁ…子守は大変だよ」

僕はフワンテの足を甘噛みすると、そのまま全速力でミツハニーさんを追いかけた。



ミツハニー 「到着です♪」

フワンテ 「フワフワ〜…いませんね〜」

コリンク 「お姉ちゃん、ここにもいない」

僕たちは『あまいミツ』の塗ってある木の下に来たけど、お姉ちゃんの姿はなかった。
ここじゃないのか…。

コリンク 「…そういえば、思ったたんだけどさ、見つけたはいいけど、その後どうやってマスターたち探すの?」

僕はある意味当然の疑問を今更ながら思いつくのだった。
しかし、僕の疑問は事も無げにミツハニーさんに返される。

ミツハニー 「大丈夫ですよ、ヒカリさんの持っている『あまいミツ』の匂いは覚えていますから、いつでも帰れますよ」

コリンク 「…そう、ならいいけど」

フワンテ 「ミツハニーお姉ちゃんすご〜い」

それならこっちは大丈夫か。

コリンク (でも、ハヤシ君たちは大丈夫なの?)



…………。



ヤミカラス 「…! おいブイゼル!」

ブイゼル 「…?」

突然、上空から呼ぶ声。
私は上を見る。

ヤミカラス 「…!」

ヤミカラスは前方を嘴で指す。

ハヤシガメ 「…見つかったのか?」

ブイゼル 「おそらくね」

私たちは全速力でヤミカラスの指した方角に向かった。



ポッチャマ 「はぁ…お腹空いたな…」

ブイゼル 「見つけた!」

ポッチャマ 「きゃっ!? な、なに?」

ハヤシガメ 「こんなところにいたのか」

ポッチャマ 「あ、コウキさんのところの2匹!」

私たちは無事ポッチャマを発見する。
ヤミカラスと遭遇した場所から少し離れた場所だったけど見つかってよかったわ。

ヤミカラス 「こいつでいいんだな?」

ポッチャマ 「あ! あの時の突っつき魔!」

ヤミカラスは突然私たちの側に急降下してくる、それを見てポッチャマは別の意味で驚いた。

ポッチャマ 「よくもヒカリを攻撃してくれたわね! 覚悟なさい!」

ヤミカラス 「なんだ、私とやろうっての?」

ハヤシガメ 「お、おい…」

ブイゼル 「あなたたち、こんなところで無駄な体力使わないように」

私はそう言って互いの頭を抑える。
こんなところで喧嘩されたらたまった物じゃないわ。

ブイゼル 「とりあえずコウキのところに帰るわよ」

ハヤシガメ 「ああ!」

ポッチャマ 「帰れるのね!」

ヤミカラス 「ふん…!」

ブイゼル 「ヤミカラス、悪いけど今度はコウキとヒカリさんをさがして頂戴」

ヤミカラス 「また私か!」

ブイゼル 「しょうがないじゃない、あなたしか頼れるポケモンはいないんだから」

ヤミカラス 「たく…いつか借りは返してもらうからな!」

ヤミカラスは愚痴をこぼしながら再び飛び上がる。

ハヤシガメ 「じゃ、行こうか」

ブイゼル 「そうね、行きましょポッチャマさん」

ポッチャマ 「あ、うん!」

なんとかポッチャマは見つけることは出来たけど私たちにはまだ問題がある。
ヤミカラスの問題もそうだけど、今回を見る限りヤミカラスとポッチャマの相性もよろしくないわね。
ヤミカラスの勝気な性格を見るかぎり絶対譲らないでしょう。
どうしても敵を作ってしまうタイプね。

ヤミカラス 「そんなに遠くないところに発見! あっちだ!」

ブイゼル 「ありがとうヤミカラス! 最後にコリンク君たちに発見を伝えて!」

ヤミカラス 「借りは高くつくぞ!?」

と、言いながらもヤミカラスは素直に行動する。
元トレーナーのポケモンの性か、コツを掴むと結構簡単に操れるわね。
さて、私たちは早くコウキの元に帰りますか。



………。



ポッチャマ 「ポッチャマー!」

ヒカリ 「ポッチャマ!? いやーんよかったポッチャマー!!」

ポッチャマ 「チャマチャマー!」

ヒカリちゃんはポッチャマを見つけるやいなやポッチャマに駆け寄り抱きしめる。
よほどポッチャマと離れ離れが辛かったようだ。

ブイゼル 「…ブイ」

コウキ 「…ブイゼルさんが見つけてくれたの?」

ブイゼル 「…ブイ、ブイブイ」

ブイゼルさんは首を横に振った。
違うのか。

ハヤシガメ 「ガメガメ!」

コウキ 「もしかしてヤミカラスが?」

ブイゼル 「……」

ブイゼルさんは答えてくれない。
でも、きっと見つけたのはヤミカラスだろう。
あとでお礼を言わないとね。

ヤミカラス 「カー!」

ヒカリ 「あ、ヤミカラス!」

ミツハニー 「ハニ〜♪」
フワンテ 「フワ〜」

コリンク 「コリン!」

コウキ 「コリンクたちも帰ってきたね」

どうやら、ヤミカラスはコリンクたちを呼んできてくれたようだった。

コウキ 「ヤミカラスー! ありがとう!」

ヤミカラス 「カー!」

コウキ 「て…うわあああああっ!!」

ツンツンツンツン!

ブイゼル「……」

ヤミカラスは僕を発見するなりまた突付き始める。
僕は慌てて逃げるのだった。

ヤミカラス 「カー!」

コウキ 「助けてブイゼルさん!」

ブイゼル 「……」

しかし、ブイゼルさんは動いてくれない。

コウキ 「ブイゼルさーん!?」

ヤミカラス 「カー!」

ヒカリ 「はぁ…待ってよー!!」

僕はその場からひたすら走る。
てか、なんで人の頭突付くの!?

コウキ 「ん? あ、もしかして出口!?」

ヒカリ 「え!? あ、本当だ森の終わり!」

僕はヤミカラスに突付かれながらも光を発見し、森の終わりを見つけた。

ヒカリ 「やっとハクタイシティに…!」

コウキ 「て…あれ?」

僕たちは出口にたどり着くが、そこは見覚えがあった。
ポケッチを見ると…。


『205番道路:ソノオタウン側』


ヒカリ 「元の道に帰ってきちゃった…」

コウキ 「ここまで来て…振り出しに戻ったの…?」

どうやら、僕たちはまだハクタイシティ辿り着けないらしい。




ポケットモンスターパール編 第7話 「ヤミカラスパニック!」 完







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