ポケットモンスター パール編




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おまけ





『ポケモンコンテスト・ズイ大会』

『ランク:ノーマル』

『第1幕から第3幕まで行い、リボンを3名に授与します』

『まだリボンをゲットしてないあなた、参加してみてはいかかが!?』

『入場料:S席4400円 A席2400円 B席1000円』

『協力:ポケッチカンパニー、執行:ポケモンコンテスト執行委員会シンオウ支部』


−ズイタウン、ポケモンコンテスト広告より−





ヒカリ 「あ…」

コウキ 「ん? どうしたのヒカリちゃん?」

ヒカリ 「あれって…」

コウキ 「…コンテスト?」







第15話 『ヒカリ2度目の挑戦! リボンゲットなるか!?』




『ポケモンコンテスト・ズイ大会』


ヒカリ 「そうか、ゲームと違ってコンテスト会場ひとつじゃないんだ(アニメ寄り)」

コウキ 「ゲーム?」

ヒカリ 「こっちの話、でも出場資格満たしているのかねぇ…」

コウキ (そうか…高レベルのコンテストだったらヒカリちゃんは出られないのか…)

コンテストにもいくつか分類があるみたいだった。
リボンをひとつも持っていない人たちのランク、ノーマルランク。
1〜2個所持のグレイトランク。
3〜4個でウルトラランク。
そして、5つ所持でマスターランク、これがグランドフェスティバルの出場条件だ。
この前のヨスガの大会はスーパー、ノーマルランクもグレイトランクも参加できる大会だったみたい。
今回は…ヒカリちゃんが出られるのはノーマルかスーパー。
ちなみに、補足になるけど、スーパーはノーマルとグレイトが参加可能。
ハイパーとあればグレイトとウルトラランクの人が参加可能らしい。

ヒカリ 「ここで蹴落とされたら…作者の陰謀よね…」

コウキ (作者の陰謀?)

ヒカリちゃんはわけのわからないことを言いつつ、コンテスト会場の前に立てられている看板に近づき、見てみる。

『出場資格リボン0個のみ、ノーマルランク!』
『まだ、ゲットしていない君、挑戦だ!』

…と、書いてある。

ヒカリ 「オッケー!! 今度こそ優勝いただきーっ!!」

ピンプク 「!? ピーン! ピーン!」

コウキ 「!? ああ、ピンプク!? おーよしよし!」

ヒカリ 「わわわっ!? びっくりしちゃった!? ごめんごめん!」

ピンプクは突然のことに泣き出してしまう。
うぅ…まだ、生まれて昨日の今日だもんね…。

少女 「あの…」

コウキ 「はい?」

ピンプク 「ピン?」

突然、小学生くらいの女の子が僕の腕で泣いているピンプクに注目する。
少女は背伸びしてピンプクに手を当てた。

少女 「……」

ヒカリ (!? あれ…今、この子の手が青く光った気が…?)

ピンプク 「ピーン…ピーン…」

コウキ 「あ、寝ちゃった…」

少女 「もう、大丈夫です」

ヒカリ 「ありがとね〜、お嬢ちゃん、あたしはヒカリ、お嬢ちゃんは?」

エガミ 「エガミです、あの…出場資格を見たいんですけど…」

コウキ 「ああ、ごめんごめん」

どうやらこのエガミという少女もコンテストに出場するようだ。
だけど、問題はランク。

エガミ 「よかった、出られる…」

ヒカリ (て、ことは同じリボン無所持者ね、まぁ、あんまりすごそうじゃないし、なんとかなるかもね♪)
ヒカリ 「よーし、じゃあ、エントリーしてきますかね!」

コウキ 「あ…僕、今回はポケモンセンターで大人しくしているよ…」

ヒカリ 「ああ、そうね…ピンプクのこと考えると仕方ないか」

僕はヒカリちゃんとは逆にポケモンセンターで結果を待つことにするのだった。
ピンプクに大泣きされたら敵わないからね。





ヒカリ 「エントリーしたいんですけど?」

受付 「はい、本ズイ大会は三幕に分かれておりますけど、どの幕に出場しますか?」

ヒカリ 「三幕ときたか…」

つまり、一日でリボンが三つ動くわけか…どこに強豪が入るかわからないけど…。

ヒカリ 「エガミちゃんは何幕?」

エガミ 「私は、一幕…」

ヒカリ 「あ、そうじゃあ…あたしも…」

ボボボン!!

ドーミラーA 「ドー」
ドーミラーB 「ドー」
ドーミラーC 「ドー」
ドーミラーD 「ドー」
ドーミラーE 「ドー」
ドーミラーF 「ドー」

ヒカリ 「て、はいぃ!?」

なんと、突然エガミちゃんは大量のドーミラーを出してくる。
さすがに、1匹だけでもインパクト十分なのに6匹もいると…。

ヒカリ 「つかぬこと聞くけど…それは?」

エガミ 「? 手持ちポケモンです…」
エガミ 「えと…どーれーにーしーよーおーかーなー?」

ヒカリ (やっぱりなのか…やっぱりそうなのかー!?)
ヒカリ (これはやばい…本能がやばいと教えている…! ここは退いて…2幕に…)

ミタマ 「あの…エントリーを…」

ヒカリ 「あっらぁ!? あなたミタマちゃん!?」

ミタマ 「あ、ヨスガ以来、どうも」

なんと、ヨスガ大会で出会ったミタマちゃんまでくるし!?
この子…2次審査あたしより上だったわよね!?

受付 「第三幕までありますが、どの幕に出場しますか?」

ミタマ 「…じゃ、第二幕」

受付 「畏まりました」

ヒカリ (なんですとぉー!?)

一幕にはエガミちゃん、二幕にはミタマちゃんとな!?
どっちに行っても分が悪そうなんですが!?

ヒカリ (どっちとも戦ったことないけど…わかっているのは年齢に騙されるとひどい目に遭うということ…)

少なくとも、ミタマちゃんはヨスガ大会であたしより上だった。
…つっても、リンの性で目立つところまるでなしだったけど…。
しかし、このエガミちゃんは所持ポケモンのインパクトは最強。
どっちとも戦って勝てる保障は無い…いや、むしろ低いかも!

エガミ 「あの…三幕まであるのだから、三幕に出るのも手ですよ?」

ヒカリ 「! …ふ、ふふふ…」

ミタマ 「怖いです…」

ヒカリ 「最もな意見どうも…しかし、名も無い雑魚コーディネーターを屠って何の意味があろうか!?」
ヒカリ 「読者もきっとそれは望んでいなーい! なにより! これだけの相手! 挑まずにはいられない!」

エガミ 「じゃ、どっちに来るんですか?」

ヒカリ 「あ、えーとね、ちょっと待ってね〜…♪」



…………。



ナナコ 「さぁ! ついに始まったポケモンコンテストズイ大会!」
ナナコ 「今回はノーマルランク三連発でいくよー!? ちなみに今回はヨスガではおなじみナナコがいくよー!?」
ナナコ 「第一幕は4名のエントリー! そして気になる審査員は!?」
ナナコ 「まずはポケモン育て屋のおじいさん、トモキチさん!」

トモキチ 「おお…楽しみですなぁ…」

ナナコ 「続いて、ポケモンセンターの院長、エイさん!」

エイ 「みなさん、存分に今回の大会を楽しみましょう!」

ナナコ 「最後は私と一緒に、ズイまで来てくれた、伝説的審査員、ミミィさん!」

ミミィ 「みなさん、よろしくお願いします!」

ワァァァァァァッ!

ナナコ 「オッケー! 観客たちの熱も十分! じゃ、まずは見た目審査いこっかー!?」
ナナコ 「4名のコーディネーター、ステージに上がって!」

ヒカリ (…結局、第一幕に出ちゃった…)
ヒカリ (まぁ、結果は早くに知れるほうがいいしね…)

ルクシオ 「ルックルック〜♪」

とりあえず、今回はルクシオと一緒にエントリー。
電気タイプってぇことで、地面来たら絶望的だけどそこはコンテスト。
もう、あたしは間違えない…リン、あたしは必ずあなたに勝つわ!

エガミ 「……」

ヒカリ (エガミちゃんは当然ながら、ドーミラーだけ、しっかし、ドーミラーに着飾りなし?)
ヒカリ (だけど、なんか不気味な色で光ってるなぁ〜…)

ドーミラーは何もアクセサリーをつけていないものの鈍い光を放っていた。
すごく不気味ね…ドーミラーってあんな輝き方するんだ…。

ナナコ 「オッケー! 大体集計も取れたからねー! 一旦控え室に戻って!」

ヒカリ 「さってと…勝てるかな〜?」

今回はとりあえず、以前貰ったワンピースを着ている。
まだ少し恥ずかしいけど、まぁ、要は慣れよね…。



……………。



ナナコ 「さぁ、今回のノーマルコンテストは見た目審査とこの後の演技審査でポイントを算出! その結果でトーナメント表が完成するわけだ!」
ナナコ 「とはいえ、全力プレーしなかったら私が許さないよー!?」
ナナコ 「では、まずはエガミ選手の演技!」

エガミ 「出てきて、ドーミラー」

ドーミラー 「ドー…」

当然ながら出てくるのはドーミラー。
ただし、見た目審査の時同様、不気味なくらい鈍い光を放っている。
磨けばああなるのね…でも、あの光には人を混乱させる作用があるらしいけど?

ヒカリ (あの子…大丈夫なの?)

エガミ 「ドーミラー、『トリックルーム』」

ドーミラー 「ドー…」

ナナコ 「おおーっ!? 突然会場は謎の空間に包まれたぞー!?」
ナナコ 「ポケトピアの解説風に言うと! 歪んでいます! なにかが…たしかに!」

ヒカリ (『トリックルーム』って…素早さを逆転させる技よね…あれ、覚えているんだ)

エガミ 「ドーミラー、『ジャイロボール』!」

ドーミラー 「ドー!」

ドーミラーはその場で高速回転して、宙に浮く。
そのままUFOのように宙を動き回っていた。

エガミ 「そのまま、『じんつうりき』!」

ドーミラー 「ド〜…」

ヒカリ (!? なにこれ…!?)

突然、ドーミラーが6匹に見える。
そしてそれぞれが鈍い光を放ち、歪んだ空間は薄暗く、まるで本当にUFOの編隊飛行のようだった。

ドーミラー 「ド〜…」

やがて、『トリックルーム』の効果時間の終わりと共にエガミちゃんの演技が終了する。

パチパチパチパチパチ!!!

ナナコ 「すごいぞエガミ選手! これぞイリュージョン! まるで一流魔術師のマジックを見ていたかのようだ!?」

ヒカリ (たしかに、大した演出家だわ…イリュージョンって言葉もぴったりね…)

ナナコ 「それじゃ、次はヒカリ選手、頑張ってー!」

ヒカリ 「それじゃ…あたしは、エンターティナーっぷりを見せてみましょうか!」
ヒカリ 「ルクシオ、ゴー!」

ルクシオ 「ルックー!」

ルクシオは元気よく、ボールから飛び出す。

ルクシオ 「ルゥゥゥゥック!!!」

ナナコ 「ルクシオの咆哮! 猛々しく会場に響き渡ったぞーっ!?」

ヒカリ 「ルクシオ、『じゅうでん』!」

ルクシオ 「ルックー!!」

ルクシオは体に電気を溜める。
今回はバトルじゃないんだから、限界まで充電できる。
終わったら…。

ヒカリ 「ルクシオ、『スパーク』!」

ルクシオ 「ルクーッ!!」

バッチィン!!

目に焼きつくような凄まじい閃光が会場に走る。
一気に物凄い『スパーク』をして、会場をびっくりさせたけど…もう一度びっくりしてもらいましょうか。

ナナコ 「おおっと!? なんと、ルクシオの体が金色に輝いている! さっきのドーミラーとは違い、神々しい光か!?」

ヒカリ 「ほい、ほいほいほい!」

あたしは予め用意しておいた、クッキーをルクシオに投げつける。
クッキーはルクシオに近づくと。

バチィン!!

ルクシオの体を渦巻く大量の電流で粉々になってしまう。
あたしはそれを連続で投げ、観客に視覚させる。
ルクシオの周りの強力なフィールドを!

ナナコ 「なんと! ルクシオの周りにドーム状の電流が渦巻いています!」
ナナコ 「かなり強力なエネルギーバリアーか!?」

ヒカリ 「ルクシオ、フィナーレ!」

ルクシオ 「ルックー!!」

ルクシオは『スパーク』したまま、あたしに突っ込んでくる。
当然、さっきのフィールドをみんなは見ているのでその殺傷力は十分わかったはず。

ナナコ 「危ないヒカリ選手! このままじゃぁ…!?」

シュポン!

ヒカリ 「…演技、終了」

あたしはボールを前に突き出し、ルクシオがあたしに激突する直前にボールへと戻す。

ナナコ 「あ…」

ヒカリ 「終わりましたよ〜?」

ナナコ 「あ、す、素晴らしい演技でした! 私もうヒヤッとしました!」
ナナコ 「一歩間違えれば自分が感電死の中、すごい演技です!」

ヒカリ (やっぱりエンターティナーはあっと言わせたものが勝ちね…本当にあって言ったし…)

観客もみんな唖然としていたわね。
いやぁ、愉快愉快。



…………。



その後、他の選手の演技もまぁ順調に進んであたしはその間控え室で結果を待つ。
といっても、トーナメントの表がどうなるかだけど…。

ナナコ 『さぁ! これで全部の演技が終了! トーナメント表は順位で決まるよー!?』
ナナコ 『まず、最初の組み合わせ! ヒカリ選手VSトウカ選手!』

ヒカリ 「最初か…」

ということで、当然ながらエガミ選手は後半か。
勝てるのなら…多分あの子と決勝よね…。

ナナコ 「もうわかっているとは思うけど、後半はショウジ選手VSエガミ選手!」

エガミ 「…あの、ヒカリさん」

ヒカリ 「ん? エガミちゃん、どうしたの?」

突然、エガミちゃんがあたしに寄ってくる。
これから戦うかもしれないってのに、なんだか不謹慎ねぇ…。

エガミ 「決勝で会いましょう」

ヒカリ 「…超余裕ね、こっちは一回戦を抜けるかどうかに不安なのに」

エガミ 「大丈夫ですよ、きっと勝てます」

ヒカリ 「この世に絶対なんてありえないのよ?」

エガミ 「だから、きっとです」

ヒカリ 「…気休めどうも」

役員 「ヒカリ選手、トウカ選手、試合です!」

ヒカリ 「じゃ、いっちょ行きますか…」

あたしは立ち上がってフィールドへと向かう。
勝てなきゃ…お話にならないわよねぇ。
リンほどの強敵なら何もできないだろうけど、あんな化け物がいるのなら演技の時点で気付く。
魅せ方ということにおいてはあたしはまだまだ素人だけど、育て具合はあたしの目はごまかせない。
どんな中途半端な演技をしても、その体つき、コンディション、ポケモンの個体能力…全部見抜く。
ナナカマド研のこのヒカリの目はごまかせない。
これまで途方もない数のポケモンと触れ合ってきたんだから。



…………。



ナナコ 「さぁ! ここにまだまだ若葉マークだけど、すっごい力を秘めたコーディネーターたちが繰り広げる演技!」
ナナコ 「ヒカリ選手もトウカ選手も気合入れて最高の演技を期待するよー! レディ…ゴー!!」

ヒカリ 「でてきて、ルクシオ!」

トウカ 「トリトドン、ゴー!」

ルクシオ 「ルックー!」

トリトドン 「トリー!」

ヒカリ (トリトドンかぁ…しかも青色ということは東のトリトドン…水タイプだけど、地面タイプでもある…通常バトルなら相性最悪ね)
ヒカリ (しかし、ちょっと気になるんだけど…なんか以前より持ちポイントが少ない気が?)

あたしはオーロラビジョンを見たとき、ヨスガの大会より両者の持ちポイントが低い気がした。

ヒカリ 「まぁいいや! 『じゅうでん』!」

ルクシオ 「ルックー!」

ナナコ 「ルクシオ、電気をため、自分を際立たせる! さりげないが、持ちポイントが100しかないノーマルランクじゃ結構痛いぞ!?」

ヒカリ:100
トウカ:90(−10)

ヒカリ (うわ!? これだけで10分の1も減った!? やっぱり持ちポイント少ないのか!?)

見事にトウカ選手のポイントが減った。
これを10回繰り返せば理論的にはポイントアウトでこちらの勝利…。
しかし、効果抜群の攻撃をもろに受けようものなら…即ポイントアウトで負けてしまうかもしれない…。
ボクシングでいうところの4回戦は2ダウンでKOと似ているわね…危険すぎる…。

トウカ 「トリトドン、『どろかけ』!」

トリトドン 「トーリ!」

ヒカリ 「わ、ちょっ! ルクシオ2メートル前進、滑り込みながらね!」

ルクシオ 「ルクー!」

ズササァァ!

ナナコ 「おーと、ルクシオトリトドンの攻撃を下から潜って回避しました!」

ヒカリ:100
トウカ:70(−20)

トリトドンの泥系攻撃はほとんど丸い玉を作ってやや上気味に大砲の弾のように放射線状を描いて飛ばすと言う種族的特徴がある。
これを理解していたら距離の使い方だけで攻撃は回避できるわ。

ヒカリ (もちろんトレーナーも対策は考えてそうなものだけど)

トウカ 「く! 『みずのはどう』!」

ヒカリ 「今度は横よ! ステップをするように!」

トリトドン 「ドーン!」

ルクシオ 「ルック!」

ナナコ 「うまい! こんどは横にやや高く飛び『みずのはどう』を回避!」

水技は逆に直線を描く技がほとんど、だから縦の動きではなく横の動きに弱い。
高度なトリトドンならここで『じしん』でもくるでしょうけど、どうせ覚えてないでしょう?

ヒカリ:100
トウカ:50(−20)

ヒカリ 「ルクシオ、『にらみつける』!」

ルクシオ 「ルックー!」

トリトドン 「ト、トリ…」

ナナコ 「ルクシオ、迫力の眼差しでトリトドンを怯ませた!」
ナナコ 「そろそろトウカ選手のポイントも危ないぞ!?」

ヒカリ:100
トウカ:35(−15)

トウカ 「く! トリトドン、『どろばくだん』!」

ヒカリ 「! ラストォ! トリトドンの頭に『かみつく』!」

ルクシオ 「ルックー!!」

ガブリ!

トリトドン 「!?」

ズドォン!!

ナナコ 「おおっと! 発射口を塞がれて『どろばくだん』はトリトドンの口の中で爆発! 自滅した!」

ヒカリ:100
トウカ:0(−35)

ビィィィィィィ!

ナナコ 「ここで、バトル・オフ! トウカ選手ポイントアウトだ!」

ヒカリ 「ふぅ…よくやったわよ、ルクシオ♪」

ルクシオ 「ルク♪」

あたしは無事ポイントアウトで勝利する。
これでとりあえず約束は半分果たせたわね。
あとはエガミちゃんが勝てれば約束は完終。

ヒカリ (これで落ちたら、ますます作者の陰謀が見えるわね…)

エガミ 「…あ、ヒカリさん」

ヒカリ 「おっ、エガミちゃん、こっちは勝ったわよ!」

エガミ 「はい、見ていました」

ヒカリ 「じゃ、控え室でエガミちゃんの戦いを見ておくわ」

エガミ 「…控え室に帰るのはしばらく待っていてくれませんか?」
エガミ 「一分で終わらせますから」

ヒカリ 「…OK」

エガミちゃんったら大胆にもKO宣言ってことね。
コンテストバトルは5分行われる、それを一分で終わらせるということは…。

ヒカリ (…見たら怖くて逃げ出しちゃいたくなるかもしれないけど…見ないわけにはいかないか)

果たして、エガミちゃんはどう戦うのかしら…?


ナナコ 「さぁ、次はもうひとりの決勝進出者を出すバトルだ!」
ナナコ 「ショウジ選手、エガミ選手ステージオン!」

エガミ 「出てきて、ドーミラー」

ショウジ 「でてこい、デルビル!」

ヒカリ (デルビル…徹底的にドーミラーとは相性悪いわね)

ドーミラーは鋼とエスパーを併せ持つ。
大してデルビルは炎と悪。
ドーミラーの鋼は効き難いし、エスパーに至っては無効だ。

ヒカリ (だけど、デルビルはシンオウ地方には生息しているもののかなり数は少ないらしいわね)
ヒカリ (214番道路にあれの進化形のヘルガーがごく僅か生息しているらしいけど、人によっては見られないって話だけど)

ナナコ 「それじゃ…レディ、ゴー!!」

ショウジ:100
エガミ:100

ショウジ 「デルビル、『とおぼえ』だ!」

デルビル 「ワォォン!」

ショウジ:100
エガミ:90(−10)

ヒカリ (おっと、まずは能力アップか、エガミちゃんはどうするのかしら?)

エガミ 「……」

ヒカリ 「…? 静観?」

一体、どういうつもり?
カウンター狙いだったのかしら?

ショウジ 「デルビル、『かみつく』!」

デルビル 「デルッ!」

デルビルは頑丈なドーミラーに『かみつく』。
とはいえ、頑丈なドーミラーにそう効いた様な感覚は無いわね。
さすがドーミラー。

ショウジ:100
エガミ:70(−20)

とはいえ、ポイントは減る。
一体どうするのかしら?

ショウジ 「く! だったらデルビル、『ひのこ』!」

デルビル 「デル!」

ボボボッ!

ドーミラー 「……」

ドーミラーは弱点であるはずの炎を受けたにもかかわらず平然としている。
やせ我慢…じゃなくて、あれは…。

ヒカリ (『たいねつ』ね…まぁうちのルクシオに炎タイプの技は無いから気にしなくてもいいけど)

ショウジ:100
エガミ:50(−20)

ヒカリ (とはいえ、エガミちゃ〜ん…もうポイント半分だよ〜?)

ショウジ 「くそ! 『たいねつ』か! だが! デルビル、『オーバーヒート』だ!」

ヒカリ (おお、技マシンとはいえ大技)

とはいえ、その威力は半端ではない。
エガミちゃん…大丈夫なの?

デルビル 「デールッ!!」

ゴォォォォッ!!

ヒカリ (おー、放熱型『オーバーヒート』)

デルビルの放った『オーバーヒート』はシンオウ地方では基本のブラストタイプ。
いわゆるビーム状の炎を相手に一気にぶつける放射型だ。
地方によっては熱を体に維持して相手との接触の瞬間、それを爆発させるタイプ(スマッシュタイプ)や、熱をドーム状に周囲にばら撒くタイプ(バーストタイプ)などがある。

ズガァァン!!

大爆発…ドーミラーは『オーバーヒート』が直撃して爆発に飲まれてしまう。
いくら『たいねつ』とはいえ単純なダメージはやっぱり効いてしまう。

ズドォン! ズガガガガガッ!!

デルビル 「デールー!?」

ズッシャァァッ!!

ヒカリ 「!? これは…」

なんと、大量の岩がデルビルを押しつぶした。
これって…『いわなだれ』よね…『オーバーヒート』の煙でよくわからなかたったけど、ドーミラーが『いわなだれ』を放ったらしい。
ドーミラーと違い、打たれ弱いデルビルはその一撃でダウンだ。

ビィィィィ!!

ナナコ 「デルビル、バトルオフ! 勝者はエガミ選手だー!」

ヒカリ (時間は…げ、ジャスト一分…)

エガミ 「…一分で終わらせました」

ヒカリ 「たいしたイリュージョンね、お見事」

ポイントなんて関係ないか。
ダウンさせたら勝ち…。
ポケモンコンテストの始まりは激化するポケモンバトルの末に生まれた近代スポーツ。
ポケモンバトルはポケモンを強くし、戦わせて相手を倒すのが基本。
そのため、ポケモンの怪我は多発…死ぬことも少なくなかった。
だから、コンテストバトルが生まれた。
魅せるバトル…制限時間ももうけ、ポイントを削りあって競う。
だけど、根本はやっぱり相手をダウンさせれば勝ち。

エガミ 「戻りましょう、10分の休憩がありますから」

ヒカリ 「随分詳しいのね」

エガミ 「コンテストは慣れていますから」

ヒカリ 「へぇ、でもまだノーマルランクなのよね?」

エガミ 「…この出場は2回目なんです、一回目はリンという方に負けちゃいました」

ヒカリ 「…そう」

そりゃ、運無いわ。
あれはレベルが違う。
とはいえグランドフェスティバルを優勝するにはそれまで気合でリンを越えないといけない。
しかし、あのリンを越えるコーディネーターがいるというのが恐ろしい。
あのリンが準優勝…はぁ、これは大変よね〜…。



…………。



ナナコ 「さぁ、それじゃ、後二幕も残っているからサクサクいくよ!」
ナナコ 「第一幕、ノーマルランク最初のリボン獲得者はどっちだ!?」
ナナコ 「ヒカリ選手とエガミ選手のバトルだー!」

ワァァァァァァッ!

ヒカリ 「どうも〜♪、声援ありがと〜♪ …て、やってる場合じゃないわよねぇ」

エガミ 「……」

なんせ相手は謎のドーミラー使い、エガミちゃん。
きっちり一分で敵を倒してくれる辺り相当の強者だ。
まだまだグリーンガールなあたしとは戦いの年季が違うわね…。
とはいえ、これに勝てないとお話にならない。

ナナコ 「それじゃ、一つ目のリボンを賭けて、バトル・スタート!」

ヒカリ 「でてきなさい、ルクシオ!」

エガミ 「ドーミラー、でてきて」

ルクシオ 「ルックー!!」
ドーミラー 「ドー」

とりあえず、参加した以上ノーマルランクではポケモンの交代はできないのでルクシオでいく。
むこうは前回の戦いで『たいねつ』だということはわかった。
とはいえ、こっちは炎タイプの技も地面タイプの技も使えない。
ただしこっちの『とうそうしん』の特性も性別不明のドーミラーには意味が無い。
つまり、特性は今回は全く関係なし!

ヒカリ:100
エガミ:100

ヒカリ 「よーし! ルクシオ、『にらみつける』!」

ルクシオ 「ルックー!」

エガミ 「ドーミラ、『しんぴのまもり』!」

ルクシオはドーミラーを睨み付ける、しかしドーミラーは美しい輝きを放ち、『しんぴのまもり』を張る。
とはいえ、『しんぴのまもり』は状態異常にならないようになる技、無償で使わせてしまったと言う点では問題か。

ヒカリ:95(−5)
エガミ:90(−10)

エガミ 「お返しです、ドーミラー、『ねんりき』」

ヒカリ 「ルクシオ、『じゅうでん』よ!」

ルクシオ 「ルックー!」

ドーミラー 「ドー!」

ドーミラーは『ねんりき』で攻撃してくるがルクシオは『じゅうでん』で特殊防御を上げ、ダメージを軽減する。

ヒカリ:90(−5)
エガミ:80(−10)

ヒカリ (これで10ポイント差、とはいえまだ安心できないわね)

相手は得体が知れない。
たった10ポイント実質、差は無いわね。

エガミ 「ドーミラー、今度は『じんつうりき』!」

ヒカリ 「ルクシオ、そっぽ向いて、ジャンプ!」

ルクシオ 「ルックー!」

『じんつうりき』は精神にダメージを与える技。
使える者は限られるけど、精神疲労がきつくて、よく怯む。
だけど、相手を見ず、効果範囲から離れれば問題ないわ!
やっぱりドーミラー、素早さは遅いからね!

ヒカリ:90
エガミ:70(−10)

ヒカリ 「ルクシオ! もう一度『にらみつける』!」

ルクシオ 「ルクー!」

ドーミラー 「ド、ドー…」

ヒカリ:90
エガミ:60(−10)

エガミ (やっぱり、捕らえきれない…『じんつうりき』の特性もしっかり理解している…攻撃を当てるのは思ったより難しいみたい)
エガミ 「ドーミラー、『トリックルーム』」

ドーミラー 「…ドー!」

ギュウウウウ…!

ヒカリ (!? 『トリックルーム』、やっぱり使ってきたか!)

この技はポケモンたちの素早さが逆転する。
素早さの差がそうなかったらそんなに気にしなくてもいいけど、ドーミラーみたいに遅い敵を相手すると恐ろしい技だ。
ルクシオは逆に物凄く遅いことになってしまう。
ドーミラーから見るとだけど。

エガミ 「ドーミラー、『さいみんじゅつ』!」

ヒカリ 「ルクシオ、『ほえる』よ!」

ドーミラー 「ドー!」

ルクシオ 「ルックー!!」

コンテストバトルは一対一だから『ほえる』は意味がない。
だけど『さいみんじゅつ』のような技なら意思を強く持てるこういう技でごまかせる。
とはいえ、出が遅いから、一発限りの防ぎ方と思ったほうがよいだろう。

ヒカリ:90
エガミ:55(−5)

エガミ 「…ドーミラー、『いわなだれ』」

ドーミラー 「ドー!」

ズドォン! ドドドドッ!!

ルクシオ 「ルックーッ!?」

ドーミラーの周りから岩が飛び出し、ルクシオを襲う。
やっぱり『いわなだれ』があったか!

ヒカリ 「ルクシオ、耐えるのよ!」

ヒカリ:60(−30)
エガミ:55

エガミ (耐えますか、時間は余裕がある、ここは一気に攻めましょう!)
エガミ 「ドーミラー、『じんつうりき』!」

ヒカリ 「ええいままよ! ルクシオ、『いばる』!」

ルクシオ 「ル〜ルック!!」

ドーミラー 「!! ドー!?」

ルクシオはドーミラーの『じんつうりき』を受けながらも、『いばる』を行う。
ドーミラーは威張られて『じんつうりき』を止めてしまった。

ヒカリ:45(−15)
エガミ:40(−15)

ヒカリ 「ルクシオ! 気合入れなさい! 『スパーク』よ!」

ルクシオ 「ルックー!」

エガミ 「ドーミラー! 『いわなだれ』!」

ドーミラー 「ドー!? ドーッ!?」

しかし、ドーミラーは混乱状態だ、正確に攻撃は出てこない。
そして。

ルクシオ 「ルックー!!」

ドッカァァァ!! バチバチバチィ!!

ドーミラー 「ドーッ!?」

ヒカリ:45
エガミ:0(−45)

ビィィィィ!!

ナナコ 「決まったー! ドーミラーが混乱して動けない隙に渾身の『スパーク』がヒット! ドーミラー、依然無事だがポイントが無くなりバトル・オフだ!」
ナナコ 「これで第一幕の勝者はヒカリ選手に決定ー!!」

ヒカリ 「…やったー!! 勝ったー!」

ルクシオ 「ルクルク♪」

ヒカリ 「ルクシオ、よくやったわ♪」

ルクシオ 「ルックー♪」

ドーミラー 「ド〜…」

エガミ 「また負けちゃった…ヒカリさん、おめでとう」

ヒカリ 「うん、エガミちゃんには悪いけど」

エガミ 「いえ、またの機会を待ちます」

こうしてなんとかあたしはリボンひとつをゲットすることに成功する。
これで晴れてグレイトランクに昇格。
リンと同じ立場に立てたわね。
とはいえ、むこうはすでにリボン2つ…いや、あのリンなら今頃すでに3つめもゲットしているかも…。

ヒカリ (終着駅は同じ、それまでに追いつければ問題ないわ)



…………。



ナナコ 「さぁ、日も暮れてきたがようやく第3幕まで終了し、今回の大会のリボン獲得者が決まった!」
ナナコ 「ヒカリ選手、ミタマ選手、パルマ選手、授与式を行うからステージに上がってきて!」

ヒカリ 「……」

ミタマ 「どうも…」

ヒカリ 「リボン獲得、おめでと♪」

あたしはとなりに並ぶミタマちゃんを祝う。

ナナコ 「ヒカリ選手、ミタマ選手、パルマ選手! 汝らの活躍を認め、リボンを授け、グレイトランク昇格を許す!」
ナナコ 「20XX年度、ポケモンコンテスト執行委員会代表、ナナコ!」

ナナコ 「ヒカリ選手、おめでとう」

ヒカリ 「ありがとうございます!」

あたしはナナコさんから手渡しでリボンを貰う。
同時にミタマちゃんも貰った。

ヒカリ 「んん〜! リボンゲットで大丈〜夫♪」

ミタマ (同姓同名で同じキャラがモデルでもパクリはどうかと…)

ヒカリ (やっぱ決まらないわ、2つ目の時は別パターンでやろっと)

こうしてあたしの2回目のコンテストは終了する。
エガミちゃんには悪いけど、あの娘の実力ならきっとすぐにでもリボンをゲットできるでしょ♪

ヒカリ (次はトバリシティ! コウキ君の出番ね…ジム戦よ!)





ポケットモンスターパール編 第15話 「ヒカリ2度目の挑戦! リボンゲットなるか!?」 完







おまけ

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