ポケットモンスター パール編




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おまけ





『ノモセシティ』

『シンオウ地方南東部にあり、海の街』

『最大の特徴は街の40パーセントを占める大湿原』

『ここではシンオウ地方では珍しいポケモンの多くが生息している』

『また、大湿原ではサファリゲームが体験し、ここでポケモンをゲットすることも可能』

『そして、ここにもまたジムがある』

『ノモセジム:ジムリーダーマキシマム仮面』


−ノモセシティの説明より−





ヒカリ 「ノモセシティまで、後もうちょっとね」

ジュン 「リッシ湖の辺りだからな…いろいろ観光名所も多いぜ?」

コウキ 「観光名所?」

ヒカリ 「えっとね、シンオウ地方三大湖のひとつリッシ湖は当然として、リゾート地として有名」

ジュン 「レストラン『ななつぼし』とかホテル『グランドレイク』とかが有名だな」

コウキ 「ふ〜ん」







第18話 『新たな仲間、そしてジム戦』




『某日 時刻12:22 213番道路 リッシ湖のほとり』


ジュン 「さぁってと…腹減ったな…どうする? 昼飯」

ヒカリ 「高級レストランで食べる予算はないわよ、当然弁当よ!」

コウキ 「どこで食べる?」

僕たちは現在、リッシ湖の辺にいた。
ここは大きなホテルなどもあり、観光地だということがわかる。

ジュン 「ここじゃあ、食いにくい! とっととこのエリアを抜けて海辺で飯でも摂ろうぜ?」

ヒカリ 「そうね、そうしようかしら」

コウキ 「うん」

僕たちは意見が一致するとこの観光地を抜けるのだった。



…………。



ピンプク 「ピンプクピンプク♪」

コウキ 「え〜と、ピンプクが使える技は『はたく』、『あまえる』、『まねっこ』、『リフレッシュ』、『てんしのキッス』に『カウンター』かぁ」

僕はピンプクの技を見ていた。
これからピンプクの技も確認して、徐々にバトルに出していかないといけない。

ジュン 「あれ? ピンプクって『カウンター』なんか使えたか?」

コウキ 「う〜んと…どうなの、ヒカリちゃん?」

僕だってそんなの知らない。
だけど覚えているってことは使えるってことだけど…ね?

ヒカリ 「タマゴ遺伝で野生では覚えない技は確認されているわ、タマゴでの景品だったし、♂親が『カウンター』を覚えていたんでしょうね」

とのこと。

コウキ 「だ、そうだよ」

ヒカリちゃんの話によると、生物と言うのは遺伝子(DNA)というものがあり、これがその個性を引き継ぐらしい。
子が親に似たりするのはこれが影響するかららしく、これはポケモンにも当てはまるらしい。
通常野生では、同種同士でしか、交配が行われないが、これが人の手によるものだと、自然界ではありえない特殊な個体が生まれることがあるらしい。
ただ、ポケモンにはタマゴグループというものが存在するらしく、あるグループ内同士でしかダマゴは産まれないそうだ。
ピンプク自身は子供のため、この時点では生殖能力は存在しないそうだけど、その進化系のラッキーやハピナスはタマゴグループ妖精だそうで、養成同士なら生まれるらしい。
この結果、生まれた子供は♂親の覚えていた技を遺伝する性質があるらしく、全てが全て遺伝するわけじゃないそうだけど、このピンプクのようなこともありえるらしい。
野生では前途も述べたように、同種同士でしか、まず交配が行われないので特殊な技を覚えることは無いが、必ずではないので稀に特殊な技を覚えている野生個体もいるらしい。
あと、子供は親の特徴を受け継ぐことがあるらしい。
それぞれの親から2つぐらい特徴が受け継がれるらしく。
たとえば、親が『たべるのがすき』だったりすると子供もやはり『たべるのがすき』だったりするらしい。
これを個体値と称する人もいるらしいけど、そこは僕にはよくわからないので、詳しい人に聞いてほしい。

ヒカリ 「えっとまずエレキブル…♂Lv30…使える技、『ほのおのパンチ』、『でんこうせっか』、『にらみつける』、『でんきショック』、『けたぐり』…etc」
ヒカリ 「おっ、『クロスチョップ』に『れいとうパンチ』、『ひかりのかべ』なんかも使えるじゃん」

ジュン 「さっすが交換ポケモン…なに覚えているさっぱりね」

ヒカリ 「ヒポポタスはっと…♂Lv22か、『たいあたり』、『すなかけ』、『かみつく』、『あくび』、『とっしん』が使えるわね」

ジュン 「野生だからな、平凡だな…だが特性の『すなおこし』は良くも悪くも厄介だよな」

僕たちは213番道路の海岸で昼食を食べ終えると手持ちのポケモンチェックを行っていた。
特に念入りに行っているのはヒカリちゃんだ。
色々な経緯もあって入ったエレキブルとヒポポタス、特に入念にチェックをしないといけない。

ヒカリ 「ヒポポタス、あたしがあなたのマスターのヒカリよ」

ヒポポタス 「ヒポ〜?」

ヒカリ 「ヒポポタス、あたしはあなたの命を優先してゲットしたわ、それはわかって」
ヒカリ 「だけど、今ならまだ間に合うわ、あたしの元を離れて再び野生で暮らす?」
ヒカリ 「あたしとついて来るも、離れるも自由だけどどうする?」

ヒポポタス 「ヒポ〜…」

いきなり言われても…そう言った感じでヒポポタスは困っていた。

エレキブル 「ブル♪ ブルブル♪」

エレキブルはヒカリちゃんの側に寄って、自分はやる気満々とアピールしていた。

ヒカリ 「ん〜あ〜、まぁあなたには十分期待しているわ、これからもよろしくね?」

エレキブル 「エレッキ♪」

ルクシオ 「ル、ルク〜…!」

エレキブル 「ブル?」

ヒカリ 「あらまぁ、ルクシオったらエレキブルに対抗心燃やしちゃって…『とうそうしん』の特性の性かな?」

ヒポポタス 「ヒポ…」

コウキ 「ヒポポタス、ゆっくり考えなよ、少なくともヒカリちゃんは悪いトレーナーじゃないから」

ヒポポタス 「ヒポッ!?」

エレキブル 「!? ブルル…!!」

コウキ 「う…」

ヒポポタスは僕が近づくとヒカリちゃんの後ろに逃げ、エレキブルは構え、いつでも攻撃できる体勢に入った。

コウキ 「うう…わかってはいるけどやっぱりショック…」

どうして僕はポケモンに嫌われているんだろう?
ルクシオは未だに少し怯えているし、ポッタイシに至っては未だに僕を信用しきっていない。
正直、フカマルやヤミカラスさえも僕のことを完全に信頼はしていないようだった。

ヒカリ 「おっし、じゃあノモセに入るわよ! みんな戻って!」

ジュン 「さぁって、次のジム戦も無事勝たせてもらおうかね」

コウキ 「ジム戦…」

そう、ジム戦がある…。
ノモセシティ、そこに僕にとって4つ目のジムが…。

コウキ (次も…勝てるかな?)

僕は次のジム戦を不安に思いながらノモセシティを目指した。



…………。



『同日 時刻16:11 ノモセシティ』


ジュン 「さて、この時間から考えるとジム戦をやれるのは俺かお前かだ。ま、ヒカリちゃんがやるならまた話は違ってくるけど」

ヒカリ 「あたしはいいわよ、時間かかるし」

コウキ 「僕が後でいいよ。明日でも構わない」

ジュン 「そうか、じゃ、俺は一足お先にジム戦挑みにいくぜー!!」

ジュン君はノモセについて少し話をしたら一直線にジムへと挑戦に行った。

ヒカリ 「あらあら、ポケモンセンターにも寄らず」

コウキ 「僕たちはどうしようか?」

ヒカリ 「大湿原に行きましょ♪ 珍しいポケモンも見つかるし、先に調査しておいた方がいいでしょ」

コウキ 「うん、わかったよ」

ヒカリ 「…ちなみに知ってる? ピンプクは『まんまるいし』を持っていると進化することを」

コウキ 「え? そうなの?」

ヒカリ 「産まれた時から一緒にいたし、もしかしたらもう進化できるかもしれないよ?」

コウキ 「持っているだけでいいの?」

ヒカリ 「ピンプクが物凄くあなたを信頼していないといけないけどね」
ヒカリ 「後で『まんまるいし』を持たせて確認ね」

まさか、あの『まんまるいし』が進化のキーアイテムだったとは知らなかった。
これからはピンプクに持たせてみようか。
そして、僕たちはすでに夕刻に回ろうとしている時間にノモセの大湿原へと入るのだった。

係員 「入場料一人500円となります」

ヒカリ 「はい、二人分で」

係員 「畏まりました、制限時間は30分、ボールはサファリボールを30個です、存分に楽しんで行ってください!」

コウキ (…お金取るんだ)

どうやら、お金を取るらしい。
しかもサファリボールと言う物を渡される。
つまり、これでゲットして構わないと?

ヒカリ 「コウキ君、ここではポケモンを出しちゃ駄目だからね」

コウキ 「え? そうなの?」

ヒカリ 「そして、制限時間30分以内なら、ここのポケモンを好きにゲットしていいわ、ただしボール30個を使ってね」

コウキ 「ゲットを…」

ヒカリ 「とりあえず、あたしは東側のエリアを探してみるから、コウキ君は西側のエリアをお願いね」

ヒカリちゃんはそう言って反対の方向へと歩き出した。

コウキ (…僕一人で大丈夫かな?)

とりあえず、当然の疑問を持つ。
僕自身ポケモンから嫌われ、ポケモンは自ずと遠ざかっていく。
一体、なんでかはわからないけど、少なくとも今はポケモンの分布完成は僕にはできないと思う。

ガサッ!

コウキ 「!」

突然、草むらが動く。
草むらの方を見るとそこにはウパーがいた。

コウキ 「や、やぁ」

ウパー 「ウパッ!? ウパーッ!?」

コウキ 「て…あ!」

ウパーは僕の動きに敏感に反応して一目散に逃げ出してしまった。
声…かけただけなのになぁ…。

僕は意気消沈しながらもとりあえず、制限時間内くらいはポケモンを探してみることにした。
ようはポケモンを見つけられればいい。
見つけられればそれでそのポケモンがそこに生息するということがわかるからだ。
僕たちの目的はポケモン図鑑の完成、だけど別に捕まえなくてもいい。

グチョ…。

コウキ 「それにしても…歩き…にくい…!」

大湿原は非常にぬかるんでおり、泥沼が広がっている。
草むらはその泥を土壌に生えており、その中にポケモンはいるのだ。
だけど、泥沼が僕の足を引きずりこみ、思うように動けない。

コウキ 「うう…」

ガササ…!

コウキ 「! …?」

突然に、すぐ近くの草むらが揺れる。
2メートルほど先の草むらだが泥に足がはまり、確認は出来なかった。

ガサ…ガサガサ…!

コウキ (近くになにかいるのはわかるんだけど…なんなんだろう?)

ポケモン…なんだろうか?
身の丈が僕の頭の方まで伸びる草むらではさっぱりわからない。
せめて、もう少し近づいてきてくれれば…。

? 「…ルピルピ!」

コウキ 「ルピ?」

そういう鳴き声が聞こえる。
そして。


『スコルピ 蠍ポケモン』
『高さ 0,8 重さ 12,0kg』
『乾燥した土地に生息』
『砂地に穴を掘り潜り込み隠れて獲物を待ち続ける』


スコルピ 「ルピ!」

コウキ 「スコルピ…て、ポケモンだったのか」

スコルピは何を考えてか(自分で言うのもどうかと思うが)僕に近づいてきた。
普通はみんな逃げるんだけど…。

スコルピ 「ルピ!」

コウキ 「え? こんな所でなにをしているって?」

スコルピ 「ルピルピ!」

コウキ 「えっとだね、僕はポケモンたちの調査をしていてね、それで今回はこのノモセの大湿原の調査に来たんだ」

スコルピ 「スコピ?」

スコルピは本当かと更に問いてくる。

コウキ 「えと、うん…その、怪しくないし、危なくもないよ?」

スコルピ 「……」

コウキ 「……?」

スコルピは品定めするように僕の顔を覗き見る。

スコルピ 「…ピオ」

スコルピは確かに悪意は見えないという。
て、見ただけでわかるの?

スコルピ 「スコ、ルピルピ」

しかし、なにやら怪しい気を持っているとも付け足してきた。
怪しい気…ねぇ…。
それがなんなのかさっぱりわからないけど、僕がポケモンに嫌われ『くろいビードロ』呼ばれる所以(ゆえん)らしい。

スコルピ 「ルピピ」

興味は尽きないと言う。
興味か…。

コウキ 「あ、あの…君! よかったら僕と一緒にこない!?」

スコルピ 「ルピ?」

コウキ 「う、うん、ほら…ここ一応サファリボールってのがあるでしょ? だから…僕と一緒にこない?」

スコルピ 「ルピピ?」

スコルピは本当に私なんかを誘うのかと言う。

コウキ 「う、うん! 僕はその怪しい気の性でポケモンから嫌われる…君と…友達になりたいんだ」

スコルピ 「…スコピ」

スコルピはわかったと言う。

コウキ 「それじゃいくよ…サファリボール!」

コツン!

僕の投げたサファリボールはスコルピの額に当たる。
すると通常のモンスターボール同様ポケモンは赤い光の粒子体に変わり、サファリボールに閉じ込められてしまう。

ボフゥン!

コウキ 「やった…スコルピゲット! …て、あれぇ!?」

なんとスコルピをゲットしたかと思うとスコルピの入ったボールがいきなり消えてしまう。

コウキ 「そ、そんな!? ど、どこ行ったの!? あれ!? す、スコルピ!?」

僕はサファリボールは見つからないわ、オマケに沼地から足は抜けないわで結局30分使い切るのだった。



…………。



ヒカリ 「…ああ、それは転送システムよ」

コウキ 「転送システム?」

ヒカリ 「コウキ君、今何匹手元にポケモン持ってる?」

コウキ 「え? えと…ハヤシガメ、ブイゼルさん、ヤミカラス、ドーミラーさん、フカマル、そしてピンプクだから…6匹」

ヒカリ 「あたしたちポケモントレーナーはね、一度にポケモンを6匹までしか持てないの」
ヒカリ 「だから、正規の規格のモンスターボールはリミットオーバーすると自動的にパソコンに捕まえたポケモンを転送するシステムが組み込まれているのよ」
ヒカリ 「コウキ君が捕まえたポケモンは今、ボックスにいるわ」

コウキ 「そうだったのか…」

ヒカリ 「でも、コウキ君が7匹目をねぇ…?」

コウキ 「う、うん…」

ヒカリ 「で、ここまででポケモンは6匹までしか持てないとわかったと思うけど誰か外すの?」

コウキ 「え…あ」

ヒカリ 「ハヤシガメ、ブイさん、ヤミカラス、ドーミラー、フカマル、ピンプク…スコルピを使うつもりなら誰かはずさないとねぇ?」

コウキ 「う…ん…」

たしかに…捕まえたからには使ってあげたい。
とはいえ、みんな大切な仲間だ。
誰かを外して誰かを加える…う〜ん…。

ヒカリ 「普通順当なのはピンプクよ、バトル向きでもないし」

コウキ 「でも…ピンプクはまだ、ちっちゃいし進化するんでしょ?」

ヒカリ 「まぁねぇ…でも、だったらどうするのよ?」
ヒカリ 「それでなくてもポケモンを6匹育てるだけでもとても難しいのよ?」
ヒカリ 「ブリーダーでもなければ普通6匹も同時に育てたりなんてしないわ」
ヒカリ 「だからあたしだって極力ポケモン捕まえなかったんだから」

コウキ 「…そうだったんだ」

…考えてみれば6匹連れているトレーナーなんて見たことがない。
モミさんやミルちゃんに至っては1匹だけ。
ジュン君は4匹か…多い方だな…。

ヒカリ 「あたしだってヒポポタスがいなければ本来は5匹で行動するつもりだったんだし…抽選会がなければジュンと同じ4匹」
ヒカリ 「まぁ、あたしたちは研究所所属のトレーナーだし、捕まえても使わないという手段はあるけどね、あたしのアンノーンの様に」

コウキ 「でも、それじゃあぶれた1匹が可哀相だよ」

ヒカリ 「…て、コウキ君は言うに決まってるか…じゃどうする?」

コウキ 「…わかった! ポケモンを入れ替え入れ替えしながらやるよ!」

ヒカリ 「今日はスコルピ入れるけどブイさん外す、明日はブイさん入れるけどフカマル外すみたいな?」

コウキ 「うん! 頑張るよ!」

ヒカリ 「大変よ〜? まぁ、コウキ君がやるっていうんなら構わないけどね」

僕はやる!
ヒカリちゃんが言うんだ、とても大変なことだろう。
でも、僕は頑張る。
大切なみんなとなら頑張れる!

ヒカリ (ジム戦とか人数限定戦じゃ、育ててる数が多いほど不利だからねぇ…一度に出せる数は限定される)
ヒカリ (野良バトルならともかく、これから公式戦は苦労しそうね…コウキ君)
ヒカリ 「とりあえず、ポケモンセンター行こうか? ジム戦は今日中には無理だろうし」

コウキ 「ジュン君もひょっとしたらいるかもね」

ヒカリ 「う…そ、そうね…」

コウキ (ヒカリちゃん…まだジュン君が苦手なのかな…?)

ヒカリちゃんはジュン君の名前を聞いただけで眉を細める。
よほど嫌いらしい。
なんだか、ちょっとジュン君が可哀相だ。

ヒカリ (さっさとアイツとオサラバしたいわ…あんな奴一緒にいたら毎日が貞操の危機よ!)



…………。



『同日 時刻17:25 ノモセシティ ポケモンセンター』


ウィィィン。

ジュン 「お、ヒカリちゅわぁぁぁぁん!」

ヒカリ「……」

ウィィィン…ガンッ!

シャッターが開くと同時にジュン君がヒカリちゃんに飛び掛る。
ヒカリちゃんはすかさず一歩下がると、シャッターは当然閉じる。
するとジュン君はものの見事にシャッターに頭からぶつかるのだった。

ヒカリ 「見境なしか、アンタは…」

心なしかヒカリちゃんの顔が疲れているように見えた。

コウキ 「ジュン君、大丈夫?」

ジュン 「へ…へへ、相変わらずヒカリちゃんってば照れ屋なんだから♪」

ヒカリ 「誰がよ…はぁ」

ジュン 「溜息とはひどいなぁ〜」

コウキ 「ところで、ジム戦は? 勝ったの?」

ジュン 「ん? う〜ん」

コウキ 「?」

ジュン君はなにやら悩んでいる。
何を一体悩んでいるんだろうか?

ジュン 「お前には教えてやらん」

コウキ 「な…!?」

ジュン 「まぁ、愛しのフィアンセ、ヒカリちゃんには教えてもいいけどね〜♪」

ヒカリ 「いつからフィアンセになったあたしは…大体別に他人の結果なんて知りたくないわよ」

ジュン 「や〜ん、そう言われると教えたくなるじゃ〜ん♪ 勝ったよ〜ん♪」

ヒカリ 「あっそ」

ジュン 「や〜ん、コメントそれだけ?」

コウキ (毎度ながらジュン君もしつこいなぁ〜、ヒカリちゃんも完璧に関わりたくないってオーラ全開だし…)

僕はとりあえず、ポケモンセンターに来たのだからポケモンを預ける。
明日は僕がジム戦(の予定)だ。
勝てるだろうか…それとも負ける?

コウキ 「やってみないとわからないよね…」



…………。
………。
……。



『次の日 時刻08:15 ノモセシティ ノモセジム』


審判 「それではこれより、ノモセジム、ジム戦を開始します!」
審判 「使用ポケモンは3匹、ポケモンの途中交代は挑戦者のみ有効!」
審判 「道具の使用及びポケモンの所持は無しとします! 先制はジムリーダー!」
審判 「それではジムリーダー、最初のポケモンを!」

マキシ 「いでよ、俺様のヌオーッ!」

ヌオー 「ヌオ〜」

明くる日、僕は朝一番にノモセジムへとやってきた。
ノモセジムのジムリーダーはマキシマム仮面こと通称マキシさん。
筋肉隆々で体格も大きく、強そうだった。
今日はジュン君は観戦に来ておらず、ヒカリちゃんがひとりぽつんと観客席にいる。

コウキ (このフィールド…とっても戦いにくそうだな…)

今回はフィールドがとても戦いにくそうだった。
なぜならば、今回は足場がほとんど無い。
フィールドは迷路の様になっており、プールの様に水没している。
しかしながら、フィールドを埋める水は引いたり満ちたりし、まるで海の様に水位を変えていた。
そして奇妙なことにこの迷路の壁だが、三段階に高さが別れている。
それぞれ背の高い壁、低い壁、中位の壁だ。
水はどんなに満ちても高い壁を水没させるほどではなく、水は引くと低い壁を空気に晒すが無くなりはしない。
それぞれ1メートルずつ高さが変わっているようだ。
ちなみに陸上系はこの迷路の様に入り組んだ壁の上で戦わないといけないのだが、その足場も案外しっかりしており幅1メートルくらいはあった。

マキシ 「さぁ、お前が最初に出すポケモンはなんだ?」

ヒカリ (ヌオーは地面と水を併せ持つポケモンよ…弱点は草タイプだけ…セオリーならハヤシガメね)

コウキ 「でてこい、ピンプク!」

ピンプク 「ピ〜ン♪」

ヒカリ 「ちょ…うそ!? ぴ、ピンプクってコウキ君!?」

僕はあえて、ノーマルタイプのピンプクを出す。
思いっきり外野から野次が飛んできているけど、それはしかたがないと思う。
なにせこのピンプク…これがデビュー戦なんだから…。

マキシ 「小さくも可愛いポケモンだな! だが、このマキシ、勝負において情けはかけん! ヌオー、『たたきつける』!」

ヌオー 「ヌーオーッ!」

ヒカリ 「あ、あぶなーい!」

コウキ 「ピンプク! 『カウンター』!」

ヌオー 「ヌオーッ!!」

ドッカァァァ!!

ピンプク 「ピ…ピーン!!」

バッキィィィィ!!

ヌオー 「!? ヌオーッ!?」

ズッシャァァァァ!! バッシャァァァン!!

マキシ 「ぬおっ!? 一撃か!?」

ヒカリ 「や…やっちゃった…」

ヌオーは大きな尻尾を思いっきりピンプクに叩きつけてきた。
だけどピンプクそのダメージを耐え切り、『カウンター』をヌオーにお見舞いする。

審判 「ヌオー戦闘不能!」

ヌオーは激しく吹っ飛ばされ、目を回してダウンしていた。
ピンプクが受けたダメージの大きさが伺える…。

コウキ 「大丈夫、ピンプク?」

ピンプク 「ピーン…ピーン…ピン♪」

ピンプクはダメージが大きそうだが、笑って応えてくれた。
とりあえず、いきなりの奇襲は成功したけど…。

マキシ 「わっはっは! してやられたわ! まさか『カウンター』が飛び出してくるとはな!」
マキシ 「窮鼠猫を噛むとはこのことか! ならば2匹目はこいつだ! いけ、ギャラドス!」

ギャラドス 「ギャーッ!!」

コウキ 「!? う、うわ…!?」

ヒカリ 「ギャ、ギャラドスゥ!?」

2匹目は物凄く大きなポケモンだった。
ギャラドスと呼ばれるポケモンは激しく、僕たちを威嚇してくる。

コウキ 「う…わ…あ…」

ギャラドス 「ギャラアアアアッ!!」

ギャラドスの眼差しが怖い。
僕を…僕を潰してしまいそうで…。

マキシ 「どうしたギャラドス?」

ヒカリ (まずいわね…コウキ君、完全にギャラドスに飲まれてる…無理もないか…あの凶悪ポケモンに睨まれたら…)

マキシ 「ギャラドス、『りゅうのいかり』!」

ギャラドス 「ギャアアッ!!」

ゴオオオオッ!!

ピンプク 「ピーンッ!?」

コウキ 「う…うわぁ!?」

ギャラドスの口から放たれた破壊の炎が僕の目の前を包む。
僕は恐ろしくなり目を瞑ってしまった。

ヒカリ 「コウキ君! 落ち着いて!!」

コウキ 「!? ヒ、ヒカリちゃん…?」

審判 「ピンプク、戦闘不能!」

コウキ 「え…あ…」

僕は目の前で横たわるピンプクを見る。
ぼ、僕が…僕のせいでピンプクが…。

コウキ (う…!? き…気持ち悪い…な、なに…これ?)

僕は突然気分が最悪に悪くなる。
なんで…急に…?

審判 「? どうしました、挑戦者?」

マキシ 「コウキ君…?」

コウキ 「だ…大丈夫です……も、戻ってピンプク」

僕はピンプクをボールに戻す。
手が震える…ボールを持つ手がままならない。
なぜ? 一体…どうして?

ヒカリ (な…なに? 悪寒? 今…悪寒がした…どうして…?)

コウキ 「お…お願いします、ブイゼルさん…!」

ブイゼル 「ブーイー!」

僕は震える手でブイゼルさんを出す。
正直、まともに戦えるだろうか…?
今、精神がどん底にあるような状態だこんな状態じゃまともに命令できない。

マキシ 「ブイゼルか! 昨日の少年も使っていたな! もっともあいつのは♂だったが!」
マキシ 「さて、私も水タイプのエキスパート、どれほどのブイゼルか見せてもらおうか!」

コウキ 「く…ブイゼルさん、『ソニックブーム』!」

ブイゼル 「ブーイーッ!!」

ビュオウッ!!

ヒカリ 「ダメ! それじゃ…!?」

マキシ 「ギャラドス、『りゅうのいかり』!」

ギャラドス 「ギャアアアッ!!」

ゴオオオオオオッ!?

コウキ 「!?」

ブイゼルさんの『ソニックブーム』は『りゅうのいかり』に飲まれて掻き消えてしまう。
ブイゼルさんは素早く身を翻し、『りゅうのいかり』を回避するが、再び僕の目の前が炎で包まれた。

コウキ 「う…うぅ…」

体中が痺れてきた…まるで金縛りにあったかのように動かない。
僕は顔を下に向け、膝を地面につけてしまう。

ヒカリ 「!? コウキ君!?」

マキシ 「どうした挑戦者!?」

コウキ 「………ブイゼル、もう一度『ソニックブーム』だ」

ブイゼル 「ブイ? ブーイー!!」

バッシィィン!

ギャラドス 「ギャラッ!?」

マキシ 「!? ギャラドス!?」

ギャラドス 「ギャーッ!!」

ヒカリ 「!!? い…いや…なに…よ……何よこれ…コ、コウキ…君……?」

意識が透明になる。
すっきりした……状況はアレだが…久しぶりの光だ。
俺は館内だが、スポットライトの光を目に入れる。

マキシ 「なんだかよくわからんが! ギャラドス、『りゅうのいかり』だ!」

ギャラドス 「ギャーッ!!」

ギャラドスはブイゼルに向かって『りゅうのいぶき』を放つ。

コウキ 「はっ! そんなチャチな炎がなんになる!? 水中に入って『アクアジェット』だ!」

ブイゼル 「! ブーイー!!」

バッシャァァァァ!!

マキシ 「ぬぅ!? ならば、ギャラドス、『かみつく』攻撃!」

コウキ 「遅ぇよ! 跳びあがって、『スピードスター』だ!」

ブイゼル 「! ブイーッ!」

バシャァァァァン! ビビビビッ!!

ギャラドス 「ギャアッ!?」

ブイゼルはギャラドスの眼前で飛び上がり、顔面に『スピードスター』を直撃させる。

マキシ 「くっ!? まだだ! 『りゅうのいかり』!」

コウキ 「へ! そのまま口の中に『ソニックブーム』だ!」

ブイゼル 「ブイッ!」

ブイゼルは空中で姿勢を残したまま、『ソニックブーム』を続いて放つ。
やればできるじゃねぇか。

ギャラドス 「ギャ…!?」

ドカァァァン!!

ギャラドスは口にエネルギーを貯め、『りゅうのいかり』を放とうとした瞬間、そのエネルギー体に『ソニックブーム』を当てられ、ギャラドスの口の中で大爆発が起きた。

審判 「ギャ、ギャラドス戦闘不能!」

マキシ 「戻れギャラドス!」

コウキ 「はっはっは! 脆いな!? ジムリーダーってのはその程度なのか!?」

マキシ 「君は本当にあの大人しげな挑戦者なのか…? まるで人が違うように感じるぞ?」

コウキ 「なに寝言言ってやがる…どこをどう間違えるんだ?」

マキシ (たしかに外見はなにも違いがない…しかし、この性格、それにバトルセンス…本人とはまるで違うように感じるが?)

ヒカリ (違う…違う…違う……あれは…コウキ君じゃない…コウキ君じゃない……)
ヒカリ (誰なの…誰なの…誰なの…誰なの…あなたは……誰なの!?)

コウキ 「!? ツ…くそ…面倒だ、速攻で決めないとな…」

一瞬、頭に痛みが走りぬけた。
どうやら、まだ『表』に出られる時間はまだまだ短いらしいな。

ブイゼル 「…!?」

キィィィィン!

マキシ 「ぬっ!?」

コウキ 「ほぅ…進化か」

突然、ブイゼルが輝きだす。
どうやら、ブイゼルに進化が始まったようだ。

フローゼル 「フローッ!」


『フローゼル 海イタチポケモン』
『高さ 1,1 重さ 33,5kg』
『水中の獲物を追いかけるうちに浮き袋が発達した』
『ゴムボートの様に人を乗せる』


マキシ 「ふふ、因果かな…面白い! これが最後のポケモンだ! でてこいフローゼル!」

フローゼル(マ) 「フロー!」

コウキ 「ほぅ…同じポケモンか」

マキシ 「どちらのフローゼルが強いか、勝負だ!」
マキシ 「フローゼル、『スピードスター』だ!」

フローゼル(マ) 「フロー!」

コウキ 「フローゼル、『こうそくいどう』」

フローゼル(コ) 「フロッ!」

敵フローゼルは『スピードスター』を放ってくる。
この技、たしかに必ず必中する技だ。
だが、多少時間は稼げる。
俺はフローゼルに『こうそくいどう』を命令させた。
フローゼルは俺の予想通り、『こうそくいどう』でこの四角いフィールドを丸く使い、『スピードスター』から逃れようとする。

コウキ 「フローゼル、『アクアジェット』だ!」

フローゼル(コ) 「! フローッ!」

フローゼルは敵フローゼルから右に60度といったところから一気に突撃する。

ドカァ!!

マキシ 「俺様は水タイプのエキスパート! 俺様のポケモンは水技で倒される物か! フローゼル、『かみつく』!」

フローゼル(マ) 「フーッ!!」

ガブリ!

『アクアジェット』は確かに当たるが、大したダメージは無い。
そのまま、敵フローゼルはこちらのフローゼルをつかみ、肩に噛み付いた。
甘いな…甘い甘い!

コウキ 「へ、攻撃が目的じゃねぇんだよ! フローゼル、敵を放すなよ! そのままフローゼルと位置を変えろ!」

フローゼル(コ) 「フ…フロッ!」

フローゼル(マ) 「フロッ!?」

マキシ 「しま…そういうことか!」

コウキ 「『かみつく』を命令したのはミスだな!」

ビビビビビ! ドカァァン!!

『スピードスター』は必ず当たる技。
しかし、密着状態で位置を変えられたら敵に当たるのは道理!
『かみつく』などせず、距離を離せばいいものを。
もっとも、離してもどっちみちだったがな。

コウキ 「『かみくだく』!」

フローゼル(コ) 「フローッ!!」

フローゼル(マ) 「フ…フローッ!?」

俺は容赦はしない、フローゼルに容赦なく最後の一撃を命令する。
フローゼルの『かみくだく』を受けた、敵は既に力なかった。

フローゼル(マ) 「フロ…」

バッシャァァン!!

敵フローゼルは力なくプールに落ちた。

審判 「フローゼル、戦闘不能! よって勝者挑戦者コウキ!」

コウキ 「は…あっけねぇな…ツ…!」

頭痛が本格的に激しくなってきた。
まだ、『表』には出られないということか。
だが、以前出た時よりは出られる時間が『長く』なったな…。
まだ、馴染まないということか…くそ。

コウキ 「一時の娯楽だが…まぁ、楽しかったぜ…あばよ…」

バッシャァァン!!

フローゼル 「フロッ!?」



ヒカリ 「コウキ君ッ!」

突然、悪寒が消える。
それと同時にコウキ君は前のめりに倒れて、プールに落ちてしまった。

フローゼル 「フロッ!?」

マキシ 「大丈夫か、コウキ君!」

コウキ 「う…ここ…は?」

ヒカリ 「よかった…大丈夫…」

コウキ君は心配するフローゼルと、慌ててプールに飛び込んだマキシさんに助けられる。
コウキ君から、あの異様な気配は完全に消えている。
でも…また姿を出した。

ヒカリ (なんなのよあれ…一体…)

コウキ君の中にいるもう一人のコウキ君。
何故そんなものが存在するのか。
なぜ突然現われ、突然消えるのか?

ヒカリ (コウキ君の記憶を握るのは、もう一人のコウキ君なのかもしれない…)

なにはともあれ、コウキ君ジムリーダーを撃破…。
ちょっと釈然としないけど…4つめのジムバッジか。







『ヒカリちゃんレポート』


ノモセジム、ジムリーダーマキシマム仮面(通称マキシ)撃破 残り4人
図鑑完成度87/150(完成度58パーセント)

コウキのパーティ

ハヤシガメ♂ Lv32
フローゼル♀ Lv30
ヤミカラス♀ Lv36
ドーミラー  Lv29
フカマル♂  Lv28
ピンプク♀  Lv26
スコルピ♀  Lv27


ヒカリのパーティ

ポッタイシ♀ Lv33
ルクシオ♂  Lv33
フワライド♂ Lv32
ビークイン♀ Lv32
エレキブル♂ Lv34
ヒポポタス♂ Lv29






ポケットモンスターパール編 第18話 「新たな仲間、そしてジム戦」 完







おまけ

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