ポケットモンスター パール編




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おまけ





『…そこには神がいた』

『それらは強大な力を持っていた』

『その力と対になるように3匹のポケモンがいた』

『そうすることで鼎(かなえ)のごとく均衡を保っていた…』



−シンオウ神話より抜粋−





ヒカリ 「はい、着きましたーカンナギタウン!」
ヒカリ 「え? なんでヨスガじゃなくてカンナギかって?」
ヒカリ 「答えは本編で!」







第20話 『過去と未来と今と』




『某日 某時刻 ヨスガシティ』


ヒカリ 「…駄目ね、やっぱり居ないわ、ジムリーダー」

ジュン君と別れて早1週間、僕たちは無事ヨスガシティに着いたけどジムリーダーは居なかった。

ヒカリ 「あ〜あ…どうする〜?」

ヒカリちゃんは宛が外れてがっくりする。
僕以上にがっくりしている様は少しどうかと思った。

リン 「だったら、カンナギタウンへ行ってみたら?」

ヒカリ 「はい? て…リン!?」

なんと、ヒカリちゃんのライバル(?)のリンさんが現われる。
以前はヒカリちゃんボロ負けだったっけ…。

ヒカリ 「カンナギタウンに何があるってのよ…」

リン 「今から2週間後、カンナギタウンでポケモンコンテストが行われるわよ、ランクスーパーのね」
リン 「さすがにまだ、ウルトラランクってことはないでしょう?」

ヒカリ 「ええ、まだ一つだからグレイトランク」

リン 「スーパーはノーマルからグレイトランクのコーディネーターが参加できる大会よ、どう?」

ヒカリ 「悪くないわね…けど、リンはいいの?」

リン 「私はいいわ、1ヵ月後に行われるヨスガのハイパーランクの大会に照準を合わせているから今は充電中」

ヒカリ 「ハイパーランク!? てことは気合で2週間でカンナギで大会やって2週間で帰ってくれば大会に出られる!?」

リン 「あなた…言ってる意味わかってる?」
リン 「コンテストに出るにも準備が必要なのよ? そんなハイペースでポケモンもあなたももつの?」

ヒカリ 「大丈夫! 2ヶ月ペースで試合を進めてたプロボクサーだっていたんだから!」

リン 「それは減量手間を省き、闘争心を維持するためでは?」

ヒカリ 「要領はそれと一緒で十分!」

リン 「はぁ…疲れきって本来以下の実力しか出せなくなってもしらないわよ?」

ヒカリ 「大丈夫大丈夫!」

コウキ (本当かな〜…?)

なんだか、本当に大変そうなんだけど。

ヒカリ 「なんとかなる、なんとかなるって!」



…というわけで、僕たちは一路カンナギタウンを目指し旅立ち、そして。



ヒカリ 「ふぅ…ここがカンナギタウンね!」

コウキ 「2週間でなんとか着いたね」

ヒカリ 「思い思えばヨスガに向かう212番道路では沼地にはまり、動けなくなったり…」
ヒカリ 「かたや、カンナギに向かう際は頭痛に悩むコダックに苦しみ、さらには霧深い峡谷となる210番道路では1メートル先も見えず苦戦した…」
ヒカリ 「けど、そこら辺は省かせてもらうわ!」

コウキ 「…誰に言ってるの?」

ヒカリ 「ん〜? 読者?」

コウキ 「???」

まぁ、何はともあれ、カンナギタウンには着いた。
ここではコンテストがあるらしいんだけど。

ヒカリ 「コンテスト会場は…ああ、アレね」

ヒカリちゃんはキョロキョロと目当ての建物を探すとそれは案外あっさりと見つけることが出来た。

ヒカリ 「じゃ、チャキチャキとエントリーしてくるわ! コウキ君は観戦するなりポケモンセンターで休むなり好きにして!」

ヒカリちゃんはそう言ってコンテスト会場へと向かった。

コウキ 「僕はどうしようか…な…?」

僕たちは町の中心に聳える、古い遺跡のようなところに注目する。

コウキ 「なんだ…? ここは…僕…知っている?」

何故かはわからない、だけど僕は知っているこの街の『壁画』を…。
そして、その意味を…三つの神が…。

コウキ 「其則語(それすなわちかたる)…空間とは全ての広がり、そして心も空間…」
コウキ 「其則語(それすなわちかたる)…時間とは止まらない物、過去と未来と現在(いま)…」 コウキ (どうして…今までこの街に着たことはないのに…僕の失われた記憶がここを覚えているのか…?)

僕はこの町…正確には中央の遺跡に不思議な感覚を覚える。
そして、知らず知らず足は遺跡へと向かっていることにやがて気付いた。

コウキ 「…! あのステキファッションって…ギンガ団?」

僕は遺跡の入り口の前にギンガ団がいる。
一体、どうしてこんな『何も無いところ』に…。

コウキ (? 何もないって…なんで知っているんだ?)

やっぱり変だ。
どうして僕知っているんだろう?

コウキ 「あの…あの人あそこで何しているんですか?」

僕は一番近くにいたおばあさんにまず、状況を聞く。
ギンガ団のことだから、またロクでもないことの気がするけど。

おばあちゃん 「大変なんじゃ! あの宇宙人みたいな奴ここには何も無いというのにそれがわかると爆破するとかぬかしておるんじゃ!」

コウキ 「ば…爆破…?」

て…いわゆるあの紛争地帯とかでよくあるテロってやつ?

コウキ 「と、とにかく止めないと…!」

おばあちゃん 「あ…待て…今、助けを呼んどる…!」

僕はそのまま遺跡の前で佇むギンガ団の前に行く。

コウキ 「ここで何をしているんですかっ!?」

ギンガ団員 「あんっ!? 我々がわざわざこんな辺鄙な場所へ来たというのに何もないと来た!」
ギンガ団員 「何も無いならギンガ爆弾で吹き飛ばす! それだけだ!」
ギンガ団員 「邪魔するというのならポケモン勝負で黙らせるぜ!?」

コウキ 「人の迷惑になることなんてやらないでください!」

ギンガ団員 「なんだとっ!? 銀河団の邪魔をするとは世界に…いや、宇宙に逆らう奴だな! いけ、アゲハント!」

アゲハント 「ア、ア、アゲー!」

コウキ 「行って! ピンプク!」

ピンプク 「ピンー♪」

ギンガ団員 「はっはっは! なんだそのポケモンは!? そんな弱そうなポケモンで邪魔しにきたとはますます目障りな奴!」

コウキ 「弱いかどうかは…やってみないとわからないじゃないですかっ! ピンプク、『はたく』攻撃!」

ピンプク 「ピーンピン!」

パチィン!

アゲハント 「アゲーッ!?」

ギンガ団員 「ぬっ!? アゲハント、『かぜおこし』だ!」

アゲハント 「ハーント!」

ビュオオオッ!

ピンプク 「ピーンッ!?」

ピンプクはアゲハントの『かぜおこし』で跳ね飛ばされてしまう。

コウキ 「く…負けるなピンプク! 『まねっこ』!」

ピンプク 「ピーンッ!」

ビュオオオオオッ!

ピンプクは『まねっこ』で『かぜおこし』を真似する。
アゲハントは虫タイプだから『かぜおこし』は効果抜群だ!

アゲハント 「アゲーッ!?」

ギンガ団員 「むぅ!? 負けるなアゲハント! 『たいあたり』!」

アゲハント 「アッゲー!」

ドッカァ!

ピンプク 「ピ…ピンー!」

コウキ 「ピンプクー! 『はたく』攻撃!」

ピンプク 「ピーンーッ!」

バッチィィン!

アゲハント 「ハ…ハ〜ント〜…」

ドサァ!

ピンプクの渾身の『はたく』がアゲハントに決まり、アゲハントは力なく地面に倒れる。

キィィィン…!

コウキ 「!? ピンプク…!?」

ピンプクに持たせていた『まんまるいし』が反応している。
これはまさか…!?

ラッキー 「ラッキー♪」


『ラッキー タマゴポケモン』
『高さ 1,1 重さ 34,6kg』
『1日にいくつかタマゴを産む』
『悪い心の持ち主にはタマゴを分けてあげない』


コウキ 「ラッキーに…進化した」

ラッキーに進化していきなり大きくなった。
ヒカリちゃんの話によるととても強い信頼がないと進化しないらしいけど…。

コウキ 「ありがとう…ラッキー」

ラッキー 「ラッキー♪」

コウキ 「…さぁ、これでも弱いですか!?」

僕はギンガ団の人を睨みつけてそう言う。

ギンガ団員 「くくぅ…出て来いグレッグル!」

グレッグル 「グ…!」

ギンガ団の人はアゲハントをボールに戻すとグレッグルというカエルのようなポケモンを出してきた。


『グレッグル 毒突きポケモン』
『高さ 0,7 重さ 23,0kg』
『毒袋を大きく膨らませてゴボゴボと不気味な音を出す』
『相手を威嚇するためだ』


コウキ 「グレッグル…ということは毒タイプ?」

ギンガ団員 「いけ! グレッグル、『どろばくだん』!」

グレッグル 「グーッ!」

バァン!

ラッキー 「ラッキーッ!?」

ラッキーは泥の塊をぶつけられる。
それはラッキーに当たると爆弾の様に爆発した。
だから『どろばくだん』か…。

ギンガ団員 「うははー! よーし、次は『だましうち』!」

グレッグル 「ググ…!」

グレッグルはゆっくりとラッキーに歩みよる。

コウキ 「ラッキー、気をつけて!」

ラッキー 「ラ、ラッキー!」

グレッグル 「! グレー!」

ドカァ!

ラッキー 「ラッキーッ!?」

グレッグルは突然素早く動き始めるとラッキーをそのまま殴りかかった。

コウキ 「今だ! 『カウンター』!」

ラッキー 「ラッキーッ!!」

グレッグル 「!? グレーッ!?」

ドカァァッ!!

グレッグルはラッキーの『カウンター』を受け、一撃で吹っ飛ぶ。

グレッグル 「グゥ〜…」

ギンガ団員 「まさかっ!? やられただとっ!?」

コウキ 「よく頑張ったね、ラッキー♪」

ラッキー 「ラッキ♪」

僕は無事勝てたラッキーを褒める。
ラッキーは嬉しそうにしていた。

コウキ 「さぁ、どうしますかっ!」

ギンガ団員 「強い…うぅ、仕方ないこんな何も無いところどうでもいいから帰ってやるぜ!」

ギンガ団の人はそう言うと一目散に逃げ出してしまう。
どうして負けたのにあんなに威張っているんだろうか?

おばあちゃん 「ほええ…あんた強いんじゃなー! 何はともあれ助かったよ!」
おばあちゃん 「このカンナギタウンの長老としてお礼を言うよ」

なんと、おばあちゃんは長老さんだったらしい。

? 「あらぁ〜? 終わっちゃったの?」

コウキ 「?」

突然、謎の二人組みが僕たちに近づいてきた。
二人とも女性のようで片方はヒカリちゃんと同じように髪を下ろしており、身長も160センチ強位、年上の女性だ。
そしてもう片方の女性は小柄で150センチ程度の幼げな女性、僕より年下かな?

おばあちゃん 「おお、チカにレン、すまんのぅ…この若いトレーナーが撃退してくれたわい!」

長身の女性 「ふ〜ん、私はチカよ、あなた、名前は?」

コウキ 「コウキです」

レン 「えっと、僕はレンだよ、凄いんだね!」

レンさんは人懐っこい性格なのか、まるで自分のことのように喜んでいる。
それにしても僕ぅ〜…?

おばあちゃん 「そうじゃ! 助けてもらったお礼じゃ中を案内してあげよう!」

チカ 「…て、言っても中には一つしかないけどね」

コウキ 「壁画…ですか?」

レン 「あれ? 知ってるの?」

コウキ 「いや…そういうわけじゃ…」

おばあちゃん 「さぁ、こっちじゃぞ」

僕はおばあちゃんに誘われて遺跡の内部へと入る。
遺跡はそれほど大きいわけではなく、一番奥に壁画があるだけだった。

コウキ 「…そこには神がいた」
コウキ 「それらは強大な力を持っていた」
コウキ 「その力と対になるように3匹のポケモンがいた」
コウキ 「そうすることで鼎(かなえ)のごとく均衡を保っていた…」

チカ 「! あなたそれって…」

レン 「長老がいっつも言っているシンオウ地方の昔話…」

おばあちゃん 「なんじゃ…知っているのかい…なら話は早いね」
おばあちゃん 「この三匹のポケモンと中央の何かはその昔話を司っているらしいよ」

壁画には3匹のポケモンがトライアングルを描くように描かれている。
其則(それすなわち)…感情の神西の湖…。
其則(それすなわち)…意思の神東の湖…。
其則(それすなわち)…知識の神北の湖…。
其等位置辿れば、則宇宙の真理、其則黄金三角形を描く…。

コウキ (まただ…!? なぜ…なぜここに来て急に知らないことを意識してしまう!?)
コウキ (この地には何があるんだ!? この地は僕に何を知らせる気だ!?)

レン 「だ、大丈夫〜?」

チカ 「ちょっと、あなた…気分悪そうだけど?」

コウキ 「あ…だ、大丈夫です」

僕の中に眠り、そして目覚める謎の記憶…。

コウキ (一体…何が起きているのか…)

おばあちゃん 「そうじゃ! お主トレーナーじゃろう、礼代わりと言ってはなんじゃが、これをやろう!」

コウキ 「それは…?」

チカ 「秘伝マシン03ね、シンオウ地方では『なみのり』よ」

おばあちゃん 「トレーナーなら持っていてもそんじゃないじゃろう! 元々はウチの孫のもんじゃったがくれてやるわい!」

コウキ 「あ、ありがとうございます」

レン 「それより、君のポケモン大丈夫? 傷ついているようだけど…」

コウキ 「あ…うん、さっきも派手にバトルしちゃったし…ポケモンセンターに行かないと」

チカ 「あ、だったらこのレンにお任せよ♪」

コウキ 「え? レンさんに?」

おばあちゃん 「レンはこの町一番のヒーラー(治癒者)じゃ、ポケモンセンターで機械的に治療するよりポケモンも喜ぶぞ!」

コウキ 「えと…それじゃ、お願いできますか、レンさん?」

レン 「うん♪ じゃ、僕の家に行こう♪」

そうして、僕は遺跡の中を見物するとポケモンの治療のため、レンさんの家へと伺うのだった。



…………。



レン 「…どう? 気持ちいい?」

フローゼル 「フロー♪」

ヤミカラス 「ヤーミ♪」

僕はレンさんに結局今連れている全匹治療してもらっていた。
レンさんは塗り薬を使うだけだけど、優しい言葉遣いと丁寧なケアでポケモンを安らかに治癒している。
普段ツンとしているヤミカラスもとても素直に気持ちよくしていた。

コウキ 「すごいですね、レンさんって…どんなポケモンとも仲良くなれるんですね」

レン 「えへへ〜♪ じゃないとヒーラーにはなれないからね♪」

チカ 「レンはね、トレーナーとしても優秀よ、4年前のポケモンリーグでは結構良い成績残してるんだから」

コウキ 「ポケモンリーグにも出たことあるんですかっ!?」

レン 「昔の話だよ〜、それにアレっきりバトルはほとんどしてないし…」

チカ 「な〜に言ってるの、そんじょそこらのチンピラトレーナーを追い返すのもいつもあなたの仕事じゃない」

レン 「えへへ♪ でもいつもチカさんに助けられているし♪」

コウキ 「もしかして、チカさんも凄腕のトレーナーなんですか?」

チカ 「レンほどじゃないけどね、今暇人の窓際族で引きこもっている所よ」

おばあちゃん 「ほっほっほ、チカは目利きの天才じゃよ、ポケモンの特徴を見抜く力に長けとるんじゃ」

レン 「加えて昔は嫌らしい戦術でバトル嫌がられてたよね〜」

チカ 「うっさいわね、それでも負けは負けよ。あんたにもシロナにも」

コウキ 「…ところで、どうしてレンさんはヒーラーになったんですか?」

レン 「…う〜ん、わからない」

コウキ 「は?」

レン 「よく聞かれるんだけどね、何故かなってたの? 学んだ覚えは無いのに何故かヒーラーとしての知識があってね、自分でも不思議なの」

チカ 「まるで○ィスパードよねぇ〜」

レン 「うぅ〜、本当に不思議だよねぇ〜」

コウキ (そんな他人事じゃあるまいし…)

レンさんはまるで他人事のように言っていた。
…でも、わからない、けど突然知ってしまう…知りえるはずも無いというのに。
もしかして、僕と同じなのかな?

チカ 「あ、そうそう、今日はコンテストやっていたわよね、テレビ着けるわよ〜?」

レン 「どうぞ〜♪」

チカさんはテレビのリモコンを取ると、それでテレビを点ける。
テレビはいわゆる薄型テレビというやつらしい。

テレビ 『ワァァァァァ!』

テレビを点けた瞬間流れたのは人の歓声だった。

司会 『さぁ、演技審査も次で最後! 最後のコーディネーターはヒカリさんです!』

コウキ 「あ、ヒカリちゃんだ」

レン 「知り合い?」

コウキ 「はい」

テレビにはヒカリちゃんが映っていた。
どうやらエントリーはなんとか間に合ったようだ。



…………。



ヒカリ 「大丈夫大丈夫…さぁ、いっくわよー! ヒッポポタス!」

ヒポポタス 「ヒッポーッ!」

あたしはボールを高々と上へ投げる。
すると中からヒポポタスが空中捻り回転を入れて登場、観客の歓声が一気に沸き起こる。

ヒポポタス 「ヒポー!!」

ビュオオオオオオッ!

司会 『ヒポポタス、吼えます! そして大量の砂を空中に巻き上げたっ! 会場は一瞬で砂嵐状態にぃ!』

ヒカリ 「ヒポポタス! 『すなじごく』!」

ヒポポタス 「ヒポーッ!!」

司会 『常に吐き出されるヒポポタスの砂、無限にさえ思える砂は一瞬で地面を砂覆った! 正に砂地獄!』

ヒカリ 「ヒポポタス、砂に向かって『とっしん』よ!」

ヒポポタス 「ヒッポポーッ!」

ズドォン! ブハァァッ!!

司会 『おーっと! ヒポポタスの強烈な『とっしん』で地面の砂が一瞬で巻き上がった!』

ヒカリ 「さぁ、最後よ! 『ほえる』!」

ヒポポタス 「ヒーポーッ!!!」

ビュオオゥッ!!

司会 『これはなんとも実に生き生きとしたヒポポタスらしい演技! まさにポケモンの魅力を魅せる演技です!』

ヒカリ 「おっけ♪ 戻ってヒポポタス♪」

ヒポポタス 「ヒポー♪」

あたしはヒポポタスをボールに戻す。

ヒカリ (60点…こりゃやばいかな〜?)

あたしは今回の演技に辛口判定でつける。
実際、バトル審査は危ない気がする。

ヒカリ (見た目審査でリード出来ていたと願うのみね…後は)

ミタマ 「あ、お疲れ様ですヒカリさん」

ヒカリ 「…あ、うん」

あたしが控え室に帰る最中、ミタマちゃんに会う。
ミタマちゃんは今回のコンテストにエントリー、最悪彼女と戦わないといけないのね。

ヒカリ (大丈夫大丈夫…バトルになれば、きっとなんとかなるわ…同じリボン1つ同士…)

ミタマちゃんは以前のズイ大会で優勝しているからあたしと同じリボン1つ。
立場の上では互角…のはず。

司会 『さぁ、いよいよ2次審査進出の4名も決定したよーっ!』

控え室に備え付けてある大型ディスプレイに進出者の顔が順々映っていく。
会場の方では超大型オーロラビジョンにコーディネーターの顔が映っていることだろう。

ピィン! ピィン! ピィン!

1位、2位、3位と映って行く。
ミタマちゃんはなんと1位だ。

…ピィン!

ヒカリ 「…おっし!」

映った。
あたしはなんとか4位で1次審査を突破した。

ミタマ 「おめでとうございます」

ヒカリ 「ありがとね〜、けど、こっからはライバルよ〜?」

ミタマ 「そうですね、あなたとのコンテストバトル、楽しみにしていますよ」

ヒカリ 「あはは…まぁ、お手柔らかにね?」

さて、無事1次審査は突破できたけどここからが問題だ。
今回の大会は1次の見た目、演技審査と2次のコンテストバトル審査で使用ポケモンを変える。
2匹のポケモンを使用する大会なのだ。
1次はヒポポタスで突破したけど2次は誰でいこうかな?

ヒカリ (初登場コンビでいってみるか)

あたしは、今だコンテストで使ったことの無い『あの子』で行くことにする。

司会 『さぁ、続いてトーナメント表を発表するよーっ!?』

ヒカリ 「!? 一回戦…ヒカリVSミタマ…ふぅん」

ミタマ 「……」

なんと、1回戦でいきなりミタマちゃんと当たっちゃうみたい。
勝ってるっか負っけるっか…てか。

ヒカリ 「やるっきゃないわよねぇ…」

あたしも覚悟を決めよう。
勝てなきゃ…話にならないんだから!



…………。



司会 『さぁ、ついに始まります2次審査! 最初のバトルはヒカリ選手対ミタマ選手です!』

ヒカリ 「でてきて、ポッタイシ!」
ミタマ 「ウソハチ、スタンド&チャーム!」

ポッタイシ 「ポッター!」

ウソハチ 「ウッソー!」

使ったことが無いということでエレキブルを予想していた人、残念でした!
実はポッタイシも登場したこと無いのよ〜?

ヒカリ (にしても、ウソハチか…岩タイプだから相性は有利だけど、これはコンテストだから…ね)

ミタマ 「ウソハチ、『いわおとし』!」

ウソハチ 「ウーソーッ!」

ズドォン!

ウソハチはジャンプして地面を強く叩くと、フィールドの地面が宙を舞い、ポッタイシに襲い掛かる。

ヒカリ 「練習の成果を魅せる時よ! ポッタイシ、岩に向かって『バブルこうせん』!」

ポッタイシ 「ポッターッ!」

ポッタイシは片足立ちでクルリンと一回転し、降り注ぐ岩に対し、『バブルこうせん』を放つ。

ビビビビ…ドカァン!

ポッタイシの『バブルこうせん』は見事に『いわおとし』を相殺する。
しかし、その際『バブルこうせん』で弾けた水滴が、ポッタイシを輝かせる。

ヒカリ:150
ミタマ:110(−40)

ミタマ (すごい…とっても綺麗! ズイの時ではとてもこんな魅せ方を出来るレベルじゃなかったのに…! やっぱりすごいコーディネーター!)

ヒカリ 「ポッタイシ、『メタルクロー』!」

ポッタイシ 「ポッター!」

ミタマ 「ウソハチ、『うそなき』!」

ウソハチ 「ウ…ウソー! ウソー!」

ウソハチはその場でジタバタしながら大泣きしてしまう。
それに思わず、ポッタイシもウソハチの目の前で急ブレーキをかけてしまう。

ミタマ 「ウソハチ、『だましうち』!」

ウソハチ 「ウソー…ウソーッ!」

ドカァ!

ポッタイシ 「ポッターッ!?」

ズササササァッ!

ウソハチは泣き止むと、いきなりポッタイシの後ろに回りこみ、思いっきり体当たりしてくる。
ポッタイシは思わず、前のめりに倒れてしまった。

ヒカリ:120(−30)
ミタマ:110

司会 『すごい! 互い魅せます! ポッタイシの力強さ、美しさを魅せるヒカリ選手、かたや子供らしさ、そして鮮やかさで魅せるミタマ選手』
司会 『非常に見ごたえのある接戦をこなしています!』

ヒカリ (さっすがにやるなぁ! ウソハチの魅せ方をよくわかってらっしゃる!)

恐らく、以前のあたしならそんなこと気付きもしなかったでしょうね。
でも、今のあたしならわかる…ポケモンの魅せ方、コンテストの在り方!

ヒカリ 「ポッタイシ! 跳びあがって『みだれづき』!」

ポッタイシは腕の力を使って大きく飛び上がる。
丁度太陽を背に、ポーズを決めウソハチに向かう様は我ながら良い演技だと思う。

ヒカリ (そう…演技なの…、これはコンテストバトル、演技するバトル!)

ポッタイシ 「ポッター!!」

ガガガガガッ!!

司会 『ポッタイシ、素早く『みだれづき』を空中からウソハチに浴びせたーっ!』

ミタマ 「ウソハチ、『じたばた』!」

ウソハチ 「ウソウソー!」

ポッタイシ 「ポ…ポッターッ!?」

司会 『ああっと! しかし、ミタマ選手も負けていない! ウソハチ『じたばた』暴れながらポッタイシの攻撃を相殺…いや! ポッタイシ押されているーっ!

ヒカリ:80(−50)
ミタマ:100(−10)

ヒカリ (やるぅ! ダメージ狙いじゃなく攻撃をとにかく捌き、それどころか押し込んできた! コンテストらしい戦い方!)

ミタマ 「一気に行きます! ウソハチ、そのまま『いわなだれ』!」

ウソハチ 「ウソハーッ!」

ズドドドドドッ!!

ウソハチは『いわおとし』の要領と同じく強く地面を叩くと、正に雪崩に相応しく大量の岩がポッタイシに降り注ぐ。

ヒカリ (すごい…! だけどコンテスト用に派手さを重視した『いわなだれ』ね…!)

ウソハチの『いわなだれ』はとにかく広範囲でインパクト重視だった。
バトルではダメージにならなければ意味は無い、だけどこれはコンテスト…それもありね。
でも、そのバトルでは意味が無い…その弱点は突かせてもらうわ!

ヒカリ 「ポッタイシ! 跳びあがって連続で『メタルクロー』!」

ポッタイシ 「ポッター!! ポタポタポタポタポターッ!」

ポッタイシは飛び上がりながらとにかく襲い掛かる『いわなだれ』の岩を切り裂いていく。
そして『いわなだれ』の範囲を飛び越え、抜けた時。

ヒカリ 「ポッタイシ、『バブルこうせん』!」

ポッタイシ 「ポッターッ!!」

ウソハチ 「!? ウソハーッ!?」

ビビビビビビビ! ドカァン!!

司会 『決まったー! ミタマ選手の放った決めの『いわなだれ』も鮮やかにポッタイシに捌かれ、逆にポッタイシを魅せさせ、そして華麗に空中から『バブルこうせん』をウソハチに決めたー!』

ミタマ 「ウソハチッ!?」

ウソハチ 「ウッソ〜…」

ヒカリ:80
ミタマ:40(−60)

ビィィィィィィッ!!

司会 『ウソハチ、バトルオーッフ! Winnerはヒカリ選手っ! 2回戦進出だーっ!』

ヒカリ 「…やったーっ!!」

ミタマ 「戻ってウソハチ…ご苦労様」

ヒカリ 「次もよろしくねポッタイシ♪」

ポッタイシ 「ポッタ♪」

あたしはポッタイシをボールに戻す。

ミタマ 「2回戦も頑張ってください」

ヒカリ 「あ…うん!」

あたしはミタマちゃんの応援を受けて、力強く応える。
そして、2回戦の相手はそれほど大した相手でもなく、楽勝だった。



…………。



司会 『ポケモンコンテストスーパーランクカンナギ大会、優勝はヒカリ選手!』
司会 『これよりヒカリ選手には2つ目のリボンを贈呈します!』

大会も終わり、あたしは表彰台の上にいた。
感じる…あたし、強くなったことを。
コンテストの楽しさ…とても実感できた!

司会 『おめでとう、ヒカリさん! 次のコンテストも頑張ってくださいね!』

ヒカリ 「ありがとうございます!」

あたしはふたつ目のリボンを受け取る。
ふぅ…これでアニメのあたしとは出来が違うことを証明したわね!
アニメ版とは違うのだよ、アニメ版とは!
大体なにさ!? なんで、アニメまでスモモにジム戦挑んでんのよ!?
パクリとは言わないけどさ…どういうことだい!?
と、嬉しさのあまり話が脱線してしまったが、今回は気分がいいのでとりあえず。

ヒカリ 「カンナギリボン、ゲットでダイジョ〜ブ♪」



…………。



コウキ 「ふぅ…よかったぁ〜」

チカ 「あの子…才能あるのかもね、ズイ大会の時とは偉い違い」

コウキ 「あれ? ズイ大会の時のこと、知っているんですか?」

チカ 「まぁね、見たから」

レン 「チカおねえちゃんはコンテストに興味があるみたいだしね〜♪」

チカ 「ま、あくまで見ているだけだけどね」

レン 「僕もコンテスト出てみようかな〜?」

チカ 「やめときなさい、あなたが居なくなったらヒーラーが居なくなって大変よ」

レン 「えー、でもポケモンセンターもあるし…」

コウキ 「やっぱり、レンさんもコンテストに興味があるんですか?」

レン 「うん♪ ポケモンも楽しそうだもん♪ でも、やっぱりって?」

コウキ 「え? いや…やっぱり女性はみんなコーディネーターに憧れるのかなって…」

レン 「え? 女性って…」

チカ 「あははははっ! これは傑作! まぁ、無理も無いけど!」

コウキ 「え? え? ど、どういうことですか!?」

レン 「僕ぅ…男なんだけど…」

コウキ 「ええーっ!?」

チカ 「あはははは! レン〜、やっぱりもうちょっと男らしくしたら?」

レン 「うぅ…いいもんいいもん、どうせ僕は女顔〜、どうせ僕は女性的〜…」

コウキ 「あ…あの…す、すいません男性の方なんて思わなかったものですから…」

レン 「ううん、別にいいよ、それよりポケモンたちはもう大丈夫だよ、ほら…て、あ」

コウキ 「あ…」

ハヤシガメ 「ガメェ…ZZZ」

ブイゼル 「…ZZZ」

なんと、僕のポケモンたちはレンさんのヒーリングがよほど気持ちよかったのか安らかな寝息を立てていた。
皆幸せそう…。

コウキ (すごいなぁ…レンさんって…僕もいつかレンさんみたいなポケモンを癒せる存在になりたいなぁ…)

レン 「ふふ、よかったら今日は泊まっていかない? ポケモンたちもぐっすり休ませてあげたいでしょ?」

コウキ 「いいんですか? あ…だったら連れが一人いるんで、その娘も連れてきていいですか?」

レン 「どうぞどうぞ♪ あのヒカリって娘でしょ?」

コウキ 「あ…はい! じゃ、連れてきますね!」

僕はレンさんの許可を貰い、ポケモンはレンさんの家に置いてコンテスト会場へと向かうのだった。





『同日 某時刻 カンナギタウン 某所』


アカギ 「…どうやら下らない争いがあったようだな」
アカギ 「もっと世界を見渡して大きなレベルで物事を見るべきだというのに…」
アカギ 「…どうやら、ここには私の求める力はないようだな…」






ポケットモンスターパール編 第20話 「過去と未来と今と」 完







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