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OPERATION Third 『自分を知る者』




グレッグ 「自分の見つかった所を調べたい?」

クレス 「そうだ、俺は自分が何者なのか何をしていたのか分からない…」
クレス 「だから、知りたいんだ」
クレス 「俺の記憶を無くした場所…そこへ行けば何かがわかる気がするんだ…」

俺は襲撃があった次の日、司令室に行ってグレッグにそう申しかけた。
もし何があったのか見ればなにか思い出すかもしれないからだ。

しかし、グレッグはそれを聞くと顔を顰(しか)めていた。
やはり、まだ俺に対する疑いがあるから迂闊に行動させられないのか…。

マリア 「…立場上一応私も同行しないといけないんだけど…」

マリアは後ろで面度臭そうにして頭を掻きながら言った。
そう、マリアは俺の監視員だ。
俺は捕虜の扱いを受けていないとはいえ敵だった男に変わりはない。
そこで俺は常にこのマリアの監視下にあるのだ。
だが、監視といってもそれはそんなに厳しい物じゃない。
常に行動を共にしているだけで部屋(といっても都合上独房だが)ではその目は離された。
監視カメラもなかったようだし緩和過ぎるくらいだ…。
俺の対処に関してはマリアが全て取り締まっているらしいが。

マリア 「あそこはハッテンの基地が近いからもし発見されたらことよ?」

マリアはそう言う。
ハッテンとは国の名前だそうで今俺達のいるこの基地もその国の領地だそうだ。
ちなみにそのハッテンというのとは今は敵対関係にあるらしくそういった所には迂闊に近づけないようなのだ。

クレス 「無理はわかっている…だが、記憶が戻るのに何もしていないなど俺には出来ないんだ」

マリア 「記憶っても戻るか分からないし…戻っても…」
グレッグ 「まぁいいだろう…許可しよう」

マリアが面度臭そうに言っているそばでグレッグはそう言って許可してくれた。

グレッグ 「ちょっとグレッグ! あんた…」

グレッグ 「問題ないだろう、だが一応『カルタ』も連れて行け」

マリア 「…わかったわよ」

マリアはいい加減諦めてそう言った。
どうやら俺がその場所に行くのに反対のようだ。

クレス 「すまない…マリア」

俺はそう言った。
マリアはそれに意外そうな顔をしたがやがてやれやれといった顔に変わって言う。

マリア 「ちょっとグレッグと話があるから部屋出といてくれない?」

クレス 「…わかった」

俺はそう言うと部屋をすぐに出た。
話があると言ったが一体なんだろうか…。
まぁ…俺の知るところではないのだろう。




マリア 「どうして許可したの?」

私はグレッグとふたりっきりになった所でそう言ってグレッグに詰め寄った。
グレッグは机にふんぞり返って腕を組んでこう言った。

グレッグ 「随分…クレスを気に入っているようだな…」

マリア 「…そうかしら?」

グレッグはそう言って逆に詰め寄ってきた。
私はちょっととぼけてみる。
まぁ、あんまり効果なんてないでしょうけど。

グレッグ 「お前がとぼけるとはまさしくそういうことだ…」

マリア 「………」

まさかとぼける所が盲点になるなんて…やるじゃない。
さすがに長い付き合いだから隠し事は通用しないってか…?

グレッグ 「…随分処置が甘いんじゃないか?」

マリア 「あら…心外ね、私は結構厳しくやったつもりよ?」

そうなことまるでないけどそう言っておく。
甘いのは自分でもわかっている。
戦場では危険な感情だけど…仕方ないわよね…。

マリア 「彼はもう立派な味方よ、味方にそんな扱いできるわけないでしょ?」

昨日の戦いを見たら違うとは言えないでしょ。
彼は撃ったのよ…もしかしたら昨日まで同じ釜の飯を食っていたかもしれないエグザイルの敵機を。
彼は確かに元エグザイルだけど今はサナリィの人間であってもいいんじゃないかしら。

グレッグ 「記憶がない内はな…」

マリア 「…!」

嫌な所を突いてくれるわね…。
彼も私の言い分には納得しているみたいだけど一言付け足した。
…確かに彼は今記憶が無い状態…いわゆる記憶喪失。
もし、それが戻ったら…。

グレッグ 「もし戻ったら撃たれるかもしれない…へたな感情を持つのはよせ!」

マリア 「…だったら…!」

私は少し感情を昂ぶらせてしまう…。
なんだか久しぶりな気もする、こんな感情を抱いてしまうのは。
私はそんな感情を持ったまま言った。

マリア 「だったらなんで記憶が戻ってしまうかもしれない場所に彼を送るの!?」

怒鳴ってしまう。
外にまで響いているかも…。

グレッグ 「記憶が戻るなら外の方がいいだろう…」
グレッグ 「お前も知っているだろう…奴の逃げてきた基地がどうなったか…」

マリア 「………」

たしかほぼ壊滅状態…。
出せる分は出したみたいだけどそれもクレスひとりの手で全滅…。
確かにある意味時限爆弾を身に付けているようなものだけど…。

マリア 「でも記憶が戻るとは…!」

グレッグ 「…戻らないなら越したことは無い」
グレッグ 「だから、カルタをつけるんだ」

マリア 「…はぁ、要するに私じゃ役不足ってこと…?」

私は項垂れながらそう言う。
グレッグは特に気にする様子はないが一応フォローはしてくれる。

グレッグ 「そんなことは言っていないだろう」
グレッグ 「万が一だ」

マリア 「…心配しなくてもクレスは大丈夫よ」
マリア 「あの目は裏切る目じゃないわ」

グレッグ 「…根拠は?」

マリア 「女の勘」

グレッグ 「………はぁ」

今度はグレッグが項垂れた。
だって確証無いもん。
まぁ、それにきっとクレスは本当は優しい奴ね。

マリア 「ま、とりあえずカルタは借りとくわ」

私はそう言うとさっさと司令室を出た。
自分でも不思議ね…何でこんなにクレスのこと信用しちゃっているんだろ…?

マリア 「…マークと重ねちゃってるのかな…?」

思わず呟いてしまう。
聞かれちゃったら変に思われちゃうかもしれないわね…。

マリア 「さて…カルタはどこかしら…?」

私はカルタを探して基地内を歩くのだった。

マリア 「ま、格納庫にでも行ったらクレスがいるだろうし先にそっちへ行くかしらね」




……………




『格納庫』


クレス 「…ナイトメア…お前は俺を知っているのか…?」

俺は格納庫に来ていた。
そこでナイトメアに話し掛けていたのだ。
無論ナイトメアは答えてくれるはずも無い。
それは記憶の無い俺でもわかることだ。
今度はナイトメアはちゃんといつでも戦えるようにされている。
こいつは俺が記憶を失う前から乗っていた筈のユニット…もし話が出来るなら何かわかるかもしれないのに…。

? 「クレス…さんですよね?」

クレス 「!?…だれだ?」

ナイトメアの前で上を眺めていると突然後ろから声をかけられる…。
振り向くとそこには見たことの無い青年がいた。
見た目はシュウイチとあまり変わらない、同じ位の年なんだろう。
身長はシュウイチよりも低い、150センチくらいだ。
体格としては華奢な部類に入るだろう。
見たことは無い、それよりも何の用だろうか?

? 「カルタ・タイトっていいます…お見知りおきを」

クレス 「カルタ…」

その少年と言ってもいいくらいの男はカルタと名乗る。
…たしかグレッグが俺につけると言っていたな。
そうか…カルタとはこの少年のことだったのか。

クレス 「俺の名は今はクレスだ」

カルタ 「今はですか…まぁ、記憶無いそうですから仕方ないですよね」

カルタはそう言ってうすら笑っていた。
不思議な奴だ…それが第一印象だった。

シュウイチ 「あ、こんな所にいた! カルター!」

カルタ 「! シュウイチ?」

突然格納庫の入り口からシュウイチが入ってきた。
カルタを探しているようだった。

カルタ 「どうしたのシュウイチ?」

シュウイチ 「マリアさんが探していたよ」

カルタ 「マリアさんが?」

シュウイチとカルタはまるで友人同士のように親しく話していた。
少し羨ましくも思ってしまう。
俺にはこのふたりのような親しい関係の者はいない。
もしかしたらエグザイルにはいたのかもしれないが…。

シュウイチ 「クレスさん…?」

クレス 「! どうした…シュウイチ?」

突然不思議な顔して俺を見ていたシュウイチに俺はどうしたと聞く。

シュウイチ 「どうしたじゃないですよ、いきなりボ〜…っとして!」

ボ〜…っとか…。
そこまでぼーっとしていたのか俺は。

クレス 「…なんでもない、大丈夫だ」

シュウイチ 「そうは言いますけどね…」

シュウイチはそう言ってまだ話を続ける。
心配をしてくれるの嬉しいが…。

カルタ 「シュウイチ〜、クレスさん迷惑するからそれくらいにした方がいいよ」

シュウイチ 「え…? 迷惑…」

クレス 「いや…俺は…」
マリア 「ビンゴ! やっぱりここね」

俺が否定しようした時…今度はマリアが出てくる。
なぜだ?

マリア 「やっぱりね、何となくクレスはここにいる気がしたのよね」

しかも俺を探していたのか。
何故…そうか、俺も一緒に行かなければならないからな…。

シュウイチ 「あ、マリアさーん!」

カルタ 「マリアさん」

マリア 「シュウイチ…? あら、カルタもいたの、ちょうどいいわ!」

カルタ 「?」

マリアはカルタも探していたようだ。
当然か…カルタも一緒に行かなければならないのだから。
しかし、当の本人カルタは頭に?マークを浮かべていた。

マリア 「カルタ、単刀直入に言うわこれからE−17地点に行くわよ」

単刀直入すぎ…。

カルタ 「そこって…ナイトメアが発見された辺り…」

マリア 「そうよ、詳しいことは行きながら話すけどとりあえず機体に乗って!」

カルタ 「は、はい!」

カルタは背筋を伸ばしそう言う。
そして自分の機体の方へと向かって行った。

マリア 「クレスも機体に乗って」

クレス 「ユニットで行くのか?」

マリア 「そうよ、そっちの方がいいでしょ?」

クレス 「…まぁいい」

何がいいのかさっぱりわからなかったが俺はとりあえずナイトメアに乗り込むことにした。
しかし、何かおかしい…。
俺のナイトメアの背中にでかいブースターのような物が装備されている。
あれは一体…?

ガンス 「『熱核ギガブースター』。それがあれば目標地点までなんとたったの10分だ」

隣にガンスがそう呟く。
恐らく俺の不思議そうな顔を見て思わず呟いたのだろう。

とりあえずさっさとナイトメアに乗り込むのだった。

マリア 『とりあえずそのままブースターを使えばギガブースターが発動するからあたしの後ろについてきて!』

クレス 「了解した」

俺は通信機越しに言ってくるマリアの言う通りにすることにした。
まずマリアの機体『レフトハンド』が格納庫の外に出る。
そして東の方を向く。

マリア 『マリア・レウス。レフトハンドでいくわよ!』

そう言うとマリアを乗せてレフトハンドが物凄い速度で東の空に消えていった。
そしてそれに続いて見たことも無い機体が外に出た。
その機体は大変特徴的な頭をしている。
なんというか円盤状のものが頭部の後ろから生えているのだった。
見た目は真っ白な機体。
他の量産機とは違うようだ。

カルタ 『カルタ・タイト。オペレータでます!』

そしてオペレータという機体に乗ってカルタもマリアに続いた。
次は俺の出番だ。

俺は外に出るとふたりの消えた空の方を向いてバーニアの出力を最大にする。

クレス 「クレス。ナイトメアでる!」

俺はブースターのアクセルを思いっきり踏み機体を浮かせて飛び去る。

やがて機体はマックススピードを出した後例のブースターが作動し、更に加速した。
計測器によると2000キロを出している。
そしてすぐに目の前に二機のユニットが確認できた。
マリアとカルタの機体だ。
俺はすぐにマリアたちの近くまで行った。

カルタ 『クレスさん、詳しい話はマリアさんに聞きました。よろしくお願いします!』

クレス 「ああ、よろしく頼む」

通信機越しに音声だけでカルタの声が聞こえた。
恐らく向こうも聞こえているだろう。
一応モニターに本人の顔を映すことも出来るが回線を開いていないし見る必要も無いから開かなかった。

マリア 『とりあえず、おさらいするわよ』

カルタ 『はい! E−17地点ですね!』
カルタ 『具体的にはハッテン特殊兵器所蔵陸軍基地より、南へ40キロ地点の山上高原地帯とその谷底です!』

マリア 『オーケー、よくわかっているわね』

…俺にはあまり分からない。
正直、地理的なことなぞさっぱりだ。

クレス 「カルタ…俺についての情報はないのか?」

思わず聞いてみる。
もしかしたら何かわかるかもしれない。

カルタ 『残念ながら我々の所にあなたのデータはありません』
カルタ 『推測としてあなたがエグザイルのスパイだったというくらいです』

…推測か。
はたして俺は何者だったのか…もしかしたらわかるかもしれないと思っているのだがどうなのだろうか…。

クレス 「…エグザイルとはなんなのだ?」

もう一つ聞いてみる。
これなら答えられるだろう。
少なくとも俺にはそのエグザイルという組織さえもわからないのだ。

カルタ 『エグザイルはこの世界の統一を志す非合法組織です』
カルタ 『ただ、その方法は武力制圧という極めて非道なやり方のため多くの敵がいます』
カルタ 『その一つが我々サナリィです』
カルタ 『ただ、非合法組織とは思えぬほどの人員と兵器、戦闘力を持っています』
カルタ 『具体的なところは何もわかっていないのが現状です…』
カルタ 『ただ…エグザイルのやり方はどうも何かがおかしいんです…』

クレス 「どうゆうことだ?」

カルタ 「やつらまるでこの世界を戦いの渦に巻き込むようなんです」
カルタ 「戦場は全世界に展開し、まるで混沌の時代を作っているみたいなんです」

…どうゆうことかは分からない。
つまりイタズラに戦火を長引かせているということか?

カルタ 「我々も世界の平定を目指しています」
カルタ 「でもできればそれは平和にやっていきたい」
カルタ 「武力によって行えば武力によって反抗は起きますから、歴史的には…」

クレス 「…成る程」

サナリィとエグザイルか…。
互いに世界を敵に回しながら争う対極の組織。
エグザイルは世界を支配して統一を目指す。
だがサナリィはそんな行為に反対する者が集まった組織だ。

水と油…。
決して合い混じらない存在…。
俺も戦争を望んでいた者の一人だったのだろうか…。

マリア 『もうすぐ着くわよ…』

マリアはそう言った。
俺は正面を凝視すると山の上に平坦な場所があることに気付いた。

マリア 『ギガブースターは取り外して、邪魔になるから』

カルタ 『了解』

クレス 「了解した」

俺たちは一斉にギガブースターを取り外した。
ボタン一つで出来るから簡単だ。

マリア 『…ここよ』

クレス 「………」

俺たちはその場所の上に来ると機体を地面に下ろした。
どうやら場所は高原地帯のようだった。
デコボコとしてはいるが基本的に平坦。
短い草が地面を覆い、その下は底の見えない崖になっていた。
俺はここから落ちたのか…。
我ながらよく生きていたものだ。

マリア 『…何か思い出した?』

クレス 「…いや」

マリアは機体越しにそう言う。
俺は特に感情を込めずそう言った。
…何も思い出せそうにはない…。

マリア 「そう…」

マリアは少しホッとした声でそう言う。
ふ…ホッとしたのは俺もか…。
何故か分からないが今は戻らない方がいい気がした。
多分、今記憶が無いうちはエグザイルよりサナリィの方がいいと思っているからだ。
しかし記憶が戻ったらどうなるんだろうか…。
俺は…エグザイルに戻るのだろうか…。

クレス (そうなればマリアたちとは敵同士か…)

何だかそれはとても嫌な感じがした。
だが、どうなるかはその状態になってしまわないと分からない。
ただ、今は記憶が無い今が良かった…。

カルタ 『!? 敵!?』

マリア 『え!?』

突然カルタが敵と言う。
そしてそれとすぐに敵は崖の下から現れた。

カルタ 『所属はエグザイル!』

クレス 「!」

カルタの話によると敵はエグザイルのようだ。
確かに反応色はエグザイルを示す赤だ。

マリア 『ここで鉢合わせなんてね…』

敵は3機だった。
ただ、ちょっとこちらの機体とは性質が違うようだ。
常に飛べるタイプのようだ。
一機は他の二機とは違う。
恐らく特機タイプだろう…隊長機だろう。
その隊長機は白と青をベースにした細みの機体、翼のような物が肩と背中から生えている。
他の二機は緑色で足がブースターとなってる、背中にはマッフのようなものがついてあった。
量産機か…?

敵A 『隊長…あ、あのユニットは…』

隊長 『…ナイトメア…やはりサナリィに奪われたようね…』

全回線が開きっぱなしだったため敵の声も拾ってしまう。
声からすると隊長は女のようだ。

隊長 『サナリィの者に告ぐ! 降伏しこちらに投降せよ!』

敵の隊長はそう言ってくる。
しかし、それをはいそうですか、とすぐに受けられるわけも無い。

クレス 「悪いがそれには受けられんな!」

俺は機体越しのそう言う。
それを聞くと女は明らかにうろたえたような声が聞こえた。
…なにかおかしかった…何故うろたえる?

隊長 『そ、その声はまさか大佐!?』

クレス 「!? 俺を知っているのか!?」

この女は俺を知っているようだった。
今のはそんな感じだった。

マリア 『何やってんの!? 攻撃しないと!』

敵A 『隊長! 攻撃命令を!』

やがて戦場が混乱状態に陥っていた。
互いが攻撃できない。
いや、俺は出来なくは無いのだが敵は出来そうに無い。

隊長 『お、応戦しながら後退だ!』

敵B 『え!? どうゆうことですか!?』

隊長 『め、命令だ!』

敵 『は…はっ!?』

そう言うと敵は後退しはじめる。

マリア 『簡単に逃がすわけ無いでしょ!』

隊長 『!?』

マリアはエネルギーライフルを隊長機に向ける。
あの女もそれに気付く。

クレス 「待ってくれ!!」

俺は通信機におもいっきり叫ぶ。
あの女を撃たれるわけにはいかない。

マリア 『え!?』

隊長 『!?』

クレス 「女! 名は…名はなんという!」

隊長 『デルタ…デルタ・メラスです…』

俺はその女の名前を聞いた。
デルタか…。
その者が俺を知っているのか。

デルタ 『大佐…何故サナリィに…?』

クレス 「残念ながら記憶が無い」
クレス 「お前の知っている大佐はいない!」

デルタ 『!…記憶が…』

カルタ 『敵…離脱します』

俺は敵の消えたほうを見ていた。
敵は俺がマリアを止めてしまったせいで一機も落とせなかった。

マリア 『…どうして止めたの?』

マリアはそう聞いてきた。

クレス 「あの女が…俺を知っていたから…」

俺はそう言うと機体の外に出た。
あの女…デルタといったな…一体何者なのだろうか…。

マリア 「それが理由なわけ…?」

マリアも降りてくる。
俺は地面の草に触れると小さく呟く。

クレス 「…すまない」

マリア 「はぁ…まったく」

この土地に俺の記憶を呼び戻す物は無い。
だが…デルタ…この女は俺を知っていた。
この女が…俺の記憶の鍵になるのだろうか…。

マリア 「…気になるの? …あの娘」

クレス 「…ああ、気になる」

俺の記憶を握る者だ、気にならないわけが無いだろう。

マリア 「もしかして恋人かしらね?」

クレス 「? 恋人?」

突然マリアはわけのわからんことを言い出す。
恋人…?
意味はわかるが何故…?

マリア 「ああ〜気にしないで独り言独り言…」

クレス 「はぁ…?」

カルタ 『マリアさん、クレスさん。あんまり長くここに居たら敵が来るかもしれないですからもう行きましょう!』

カルタが機体から直接外部スピーカーを使ってそう言う。

マリア 「そうね…行くわよクレス」

クレス 「ああ…」

俺たちはそう言って頷きあうとそのまま機体に戻る。
はたして俺は一体何者なんだろうか…。
少なくともデルタは俺を大佐といった…。
ということはそれなりに大きな存在だったということ…。

クレス 「…俺は一体…」


…NEXT OPERATION A GO




Strategy of the following!

突然の出会い、それは戦いの風だった。
デルタと交戦よりすぐクレス達はその下の落下地点を調べていた。
しかしそこへ再びエグザイルが出現する。
戦うには不利とみたマリアはその場からの離脱をする。
しかしそこへハッテンの軍が…!
そして戦場は三つ巴の戦いに!

次回 UNIT

OPERATION Fore 「包囲網を突破せよ!」


クレス 「…ここが俺の見つかった場所…」




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